4月3日のニュース:給料削減はリーグ再開日程確定後にすべき、UKM FCの選手は発言を捏造したMFLを批判、国家スポーツ委員会はユースコーチの手当未払い問題解決を約束

給料削減はリーグ再開の日程確定後にすべき
 現在中断中のマレーシアフットボールリーグMFLの各クラブは、試合が開催されないため入場料収入を失い、契約していた支援を取りやめるあるいは支援ができなくなるスポンサーが現れるなど苦境に立たされています。その結果、各クラブが選手と給料削減や特別手当てなどの契約内容の見直しを求めていますが、選手側はその交渉を始めるにはまだ早いという意見のようだと英字紙スター電子版が報じています。
 少なくとも国内リーグを運営するMFLが再開日程を決めてくれれば、選手は団結してマレーシアサッカー に関わる全員にとって何が最善かを話し合う用意があると話すのは、スランゴールFCのブラジル人MFサンドロです。
 「現在、世の中で起こっていることについては、我々選手がその責任を負うべきでないので、給料削減などを受け入れることは難しい。しかしその一方でクラブが置かれた厳しい状況も理解できる。だからこそ、選手はリーグがいつまで中断されるかを知る必要があり、リーグ再開の日程が決まれば選手は給料削減などについての妥協点を見つける努力ができるだろう。マレーシアサッカー協会FAMとMFLは難しい決断を迫られていることも理解している」とサンドロ選手は話しています。
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 不要不急の外出を禁じる活動制限令が発令されたのは3月18日で、現在は4月14日まで続くことが決定しています。MFLの当初の試合日程は、3月後半にはFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が予定されていたことから試合が組まれておらず、第5節(4月3日〜4日)と第6節(4月10日〜12日)の2試合の延期が確定しています。
 マレーシア国内での新型コロナウィルス感染者数のピークは4月中旬が予想されることを保健省が発表しており、活動制限令は4月末までの延長も噂されています。その場合には第7節(4月17日〜19日)、第8節(4月25日〜26日)、第9節(4月28日〜29日)までの3試合が延期されることになります。その場合には流石に選手も交渉のテーブルに着く可能性はあるでしょうが、選手の立場で言えば、2試合の延期が確定しただけでクラブ側が給料削減を持ち出すのはいくら何でも早すぎる、ということでしょう。

UKM FCの選手は発言を捏造したMFLを批判
 マレーシアフットボールリーグMFL2部のUKM FCは、MFL1部JDTに続き選手が給料削減に同意したクラブと報道されていましたが、その後、選手はクラブに同意していないという記事が出るなど情報が錯綜しています。それでもマレーシアサッカー協会FAMと国内リーグを運営するMFLは、他のクラブもUKM FCに倣って、選手と給料削減の話し合いをすべきとコメントしています。
 しかし英字紙ニューストレイトタイムズは、UKM FCの選手たちは給料削減には全く同意していないというアスナン・アーマド主将の発言を報じています。記事によれば、アスナン主将とUKM FCの選手が15から20パーセントの給料削減に同意したという発言はMFLによって捏造されたものであるとしています。
 記事の中でアスナン主将は、この捏造された発言を元にFAMとMFLが新型コロナウィルス感染拡大によるリーグ中断による給料削減を他のクラブに奨励していることが許せないとしています。
 さらに、UKM FCの選手の大半は給料が5000リンギ(およそ12万4000円)以下で、しかも国内リーグが公式に終了する11月よりも2ヶ月も短い9月までの契約となっていることなどを挙げ、選手たちは給料削減について不当行為であると感じていると語り、選手はあくまでも給料削減に関してクラブとの話し合いの席に着くことに同意しただけで、内容については全く同視していないとしています。
 またリーグ中断による入場料収入減やユニフォームなどグッズの売上減についても、そもそもUKM FCはその分野の収入はほとんどなかったので、それを選手の給料削減の根拠として持ち出されても筋が通らないとも話しています。
 この他、「今季開幕前には9月まで運営する十分な予算があるとしていたクラブが、なぜ今、給料削減を持ち出すのかが理解できない。クラブは単に新型コロナウィルスを利用して経費を節約しようとしているだけである。」「(33パーセントの給料削減に同意した)ジョホール・ダルル・タジムJDTとUKM FCでは状況が全く違う。JDTの選手の給料は高額なので、給料削減は大した問題ではいだろう。しかもJDTが行なったように、削減した給料を新型コロナウィルスで苦しむ人々へ寄付するといった計画もUKM FCにはない。」とアスナン主将は話しています。
 また同じ記事の中では、DFルーベン・カティリピライは、選手が給料削減に同意したと報道されたことから、他のクラブの選手から同意したことを非難され、この選手が所属するクラブはUKM FCが先例を作ったことで、選手に給料削減に同意するように迫っていると聞かされていると述べています。
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 今回のUKM FCが行おうとしている給料削減については、今季開幕からわずか2試合で契約解除となった外国籍選手の補償金を生み出すためという噂もあります。MFLが公表している登録選手名簿では、UKM FCは今季、DFイグナシウス・アドゥコール(ガーナ)、FWイ・スンウ(韓国)、FWジュリアン・ボッターロ(アルゼンチン)、FWアカニ=サンデイ・ワシィウの4名を登録していますが、リーグ中断前の第4節までで試合に出場しているのは韓国出身のイ選手だけなので、噂は強ち的外れではないのかも知れません。

国家スポーツ委員会はユースコーチの手当未払い問題解決を約束
 マレーシア政府の青年スポーツ省とマレーシアサッカー協会FAMが統括する国家サッカー選手育成プログラムNFDPは、マレーシアの時代を担うユース育成プログラムですが、このプログラムに関わるパートタイムコーチの手当が支払われていないというニュースをサッカー専門サイトのスムアニャボラが伝えたのが4月1日のことでした。
 記事の中では、1月分と2月分のコーチ手当は3月分と共に3月末に支給されることになっていましたが、これが4月分と合わせて4月末に支給と発表になった一方で、NFDPの中核となるエリートアカデミーAMDのコーチは全員が予定通り給料を受け取っている点などを指摘されていました。
 そしてその続報が翌4月2日の同サイトで報じられました。FAMの副会長でもあるスバハン・カマルNFPD技術委員長がMSNと会見を行い、手当未払いの問題についてはNFDPとMSNが責任を負うものであることを認め、その理由としてMSN内でのNFDPを管轄部署が変更となったことなどを挙げ、NFDPは1週間以内に未払い手当を支給するとしています。
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 ユースプログラムからトップリーグまで、マレーシアのサッカー界に蔓延するこの給料未払い問題。見栄っ張りの傾向があるマレー人気質によるものなのか、あるいは計画性のなさなのか、あるいはその両方か。「マレー人は…。」と一般化するのは間違いなことは理解していますが、あらゆるレベルで起こるのを見るとついついそう考えてしまいます。