AMD所属選手に「補償金」制度導入
モクター・ダハリアカデミーAMDは、マレーシア政府の青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNが運営し、国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核をなすエリート選手養成アカデミーです。
今年11月のアジアサッカー連盟AFC U19選手権2020年大会予選を1位で突破し、本大会出場を決めたマレーシアU19代表は、このAMDの1期生が中心で構成されていました。その中には今月12月にフィリピンで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場したU22代表のメンバーに飛び級で招集されたルクマン・ハキムやウマル・ハキームもいます。
そのAMDを運営するMSNのトップであるダト・アーマド・シャパウィ・イスマイル委員長が、今後AMDから選手を獲得を希望するクラブに対して「補償金」を請求する制度を発表したと、マレーシアの通信社ベルナマが報じました。
これを支持する形で、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシア14州のサッカー協会(州FA)やマレーシアフットボールリーグMFLの各クラブが自前のアカデミーを持てば、AMDは必要でなくなるとし、それが実現できていない現状で、AMDの存在はむしろ各クラブの負担を軽くする役割を果たしていることから、「補償金」請求は理にかなっていると述べています。
さらに国際サッカー連盟FIFAが規定する最低2千米ドル(およそ22万円)という補償金の額についても、ラマリンガム事務局長は、AMDはエリート選手養成アカデミーであるため、利潤追求をしないまでも、育成にかかる費用に見合った金額を補償金額に設定し、それをAMDに還元するとしており、補償金額はFIFAの補償金額よりもはるかに高額になると話しています。
スランゴールFC監督は「補償金」制度に反論
スランゴールFCのバスカラン・サティアナタン監督は、MSNが導入する「補償金」制度について反論していると、マレー語紙シナールハリアン電子版が伝えています。
一部では20万マレーシアリンギ(およそ530万円)とされるAMD出身選手獲得の際の「補償金」制度導入について、サティアナタン監督は、設定する金額が高すぎることに選手の出場機会を奪いかねないと反論しています。
マレーシアプロサッカーコーチ協会の会長でもあるサティアナタン監督は、AMDは国民の税金で運営されていること、またAMD出身の選手はマレーシア代表となってその育成費用や労力を国家に還元する可能性を持っているとし、もしMSNが利益を追求するのであれば、MSNを民営化し、FIFAの規格に合わせたものにするべきだとしています。
その一方で州FAや各クラブがAMDの選手獲得に何万、何10万と費やす必要があるのであれば、自前のアカデミーを設立するべきだと述べる一方で、自分も税金を払っている国民の一人としてAMDの利益を享受する資格があるとも述べています。
さらにMSNの言い分がまかり通れば、例えば、企業は自社に優秀な学生を送り込む高等教育機関に「補償金」を払う必要があることになるとし、高等教育機関の役割は国民に教育を提供するの役割であり、MSNはスポーツで同様の役割を果たすべきとしています。
JDTオーナーが意味深なメッセージを公開
ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナー、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が自身のインスタグラムに意味深なメッセージを掲載したことで様々な憶測を呼んでいます。
メリークリスマスのメッセージとともに、現在、JDTでプレーしていない5選手の名前を挙げていますが、その中には今季2019年はインドネシア1部リーグのペルセラ・ラモンガンに在籍したMF廣瀬慧(ひろせけい)選手や、今季はクダFAでプレーしたものの契約が更新されなかったスペイン人FWフェルナンド・ロドリゲスの名前が挙がっています。また数日前には来季2020年にはJDT IIに日本人とスペイン人が新加入するとトゥンク・イスマイル殿下自身が告知しており、この2選手がJDT IIの新戦力かも知れません。
またこの他にはスランゴールFCのエンドリック・サントスやマシュー・デイヴィーズ、モハマドゥ・スマレ(いずれもパハンFA)の名も挙げており、来季ではなく2021年にJDTに加入する選手ではないかという予測も出ています。
サッカー専門サイトのヴォケットFCでは廣瀬選手はペルセラ・ラモンガンとの契約を既に完了し、来季のJDT II加入の際の障害はないとしています。