7月4日のニュース:FAカップの審判はマレーシア人を採用か、トレンガヌFCの新外国人選手問題

FAカップの審判はマレーシア人を採用か
ペラTBGとクダFAが対戦するマレーシア FAカップ決勝について、外国人の主審が担当するのではと言う噂が出ていましたが、この試合を主催するマレーシアフットボールリーグMFLのホームページ上で、MFLのモハマド・シャズリ・シャイク・モハマドCOO(最高執行責任者)が決勝の主審はマレーシア人となると発表しています。
 FAカップの主審が外国人になるのではないか、という噂が出ていた背景には、マレーシアのもう一つのカップ戦*マレーシアカップの2018年決勝を担当したマレーシア人審判の判定が物議を醸し出し、決勝で対戦したトレンガヌFCとペラTBG両チームの監督、選手、サポーターそしてマレーシアサッカー協会の当時の会長トゥンク・イスマイルジョホール州皇太子までから試合をコントロールできなかったとして非難されると言う一件があります。
 しかしその一方で、マレーシアサッカー協会FAMのモハマド・ダリ・ワヒド審判委員長が、FAカップ決勝のマレーシア人主審採用の件は最終決定ではない、と発言しており、外国人主審採用の可能性がなくなったわけではありません。
*マレーシアカップは、天皇杯と同じ1921年から開催されているマレーシアはもとより、アジアでも由緒あるカップ戦。回数で言えば日本軍政による当時の英領マラヤ占領時の1942年から1947年の間のみ中断されただけなので、天皇杯よりも回数を重ねています。

トレンガヌFCの新外国人選手問題
トレンガヌFCは、5月29日に終了した今年2回目のトランスファーウィンドウ期間に、モンテネグロ出身のDFイゴール・ゾンジッチに替えて期限付き移籍で獲得したブラジル人DFルイス・グスタフォ・カミロの国際移籍証明書ITCが発行されなかったとして、特別措置として既にITCを保持している選手の入団許可をMFLに対して求めている、とトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBNTのホームページで発表しています。
 PBNTのホームページによると、ルイス選手が所属しているフェロヴィアリアFC(ブラジル)との間で期限付き移籍交渉は合意できていたものの、ITC発手続きに必要な書類の不備によって、「30秒」締め切りに遅れてしまいITCが取得できなかったとしています。
 このわざわざ書かれた「30秒」と言う表現に対して、マレーシア人らしい言い訳だなと思わず苦笑してしまいました。「1秒でも30秒でも期限切れは期限切れ」と考える日本人からすれば、「マレーシアなら30秒は遅れのうちに入らないから、世界もそれを認めてくれてもいいのに」といったような考えを持つ人には遭遇することは珍しくないので、わざわざホームページ上に書いて共感を求めたのでしょう。
 なおPBNTのホームページでは、今年2回目のトランスファーウィンドウ期間中にカンボジア出身のDFチエリー・チャンタ・ビンも他の選手と入れ替えることを計画したものの、チャンタ・ビン選手の代わりに獲得予定だったタイ出身のサンサーン・リムワッタナ(タイ1部リーグポートFC、現在はアユタヤ・ユナイテッドに移籍)については、当初合意していた移籍金を上回る金額をポートFC側が要求したため破談になったことも合わせて書かれています。
 またゾンジッチ選手退団により外国人枠が一つ空いたトレンガヌFCは、MFL2部に所属するBチームのトレンガヌFC IIからコートジボアール出身のMFデルチ・マルセルを昇格させて、急場をしのいでいましたが、このマルセル選手は第17節のペラTBG戦で退場になっています。

7月1日から3日のニュース:FAカップの決勝はクダFA対ペラTBG、オーストラリアとインドネシアもWC共催を検討、U19代表監督交代は吉と出るか凶と出るか。

FAカップの決勝はクダFA対ペラTBG
6月29日(土)と6月30日(日)の両日に行われたマレーシア FAカップ準決勝の第2戦は以下の結果となりました。(左側のチームがホーム、カッコ内は第1戦と第2戦の通算成績)
ペラTBG3-0パハンFA(4-3)
得点者:ペラTBG-ブレンダン・ガン(35分)、パルティバン・ジャネセカラン(42分)、ファイサル・ロスリ(44分OG)
 ホームゲームとなった6月22日の第1戦を3-1と勝利したパハンFAは、この準決勝第2戦に備え、6月25日に行われたマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグのスランゴールFA戦には主力の一部を休ませる布陣で臨みました。(結果はスランゴールFAに2-5で惨敗)そこまで準備周到に用意したドラー・サレー監督でしたが、その策略は功を奏さず、FAカップ連覇もかかっていたパハンFAは準決勝敗退となりました。
フェルダ・ユナイテッド3-2クダFA(3-3)
得点者:フェルダ・ユナイテッド-チアゴ・ジュニオール(65分)、チャントゥル・スピア(72分)、ハディン・アズマン(90分)、クダFA-フェナンド・ロドリゲズ(26分PK)、ファルハン・ロスラン(38分)
 スーパーリーグでは最下位のフェルダ・ユナイテッドですが、チームの愛称「ファイターズ」の名に恥じない奮闘を見せ、第1戦と第2戦の通算成績を3-3としたものの、アウェイゴールルールでクダFAが勝ち抜けました。
 フェルダ・ユナイテッドの渡邉将基選手はスタメンでフル出場、池田圭選手は途中出場となっています。
 この結果、7月27日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリルスタジアムで行われるマレーシアFAカップの決勝は、2004年以来3度目の優勝を目指すペラTBGと、2年ぶり5度目の優勝を目指すクダFAの対戦となりました。

オーストラリアとインドネシアもWC共催を検討
6月23日に閉幕した東南アジア諸国連合ASEANの首脳会談サミットの際に、タイのプラユット・チャンオチャ首相が国際サッカー連盟FIFAワールドカップの2034年大会の立候補をアセアン各国と合同で行うことを表明しましたが、そのASEANにも加盟しているインドネシアが隣国オーストラリアと2034年ワールドカップ共催を検討しているとAFP通信が伝えています。
 記事の中でインドネシアサッカー協会のスポークスマンは、当初はタイとの共催を模索したものの話がまとまらなかったため、オーストラリアとの共催を検討したとし、既に両サッカー協会は具体的な話し合いを始めているし、また両サッカー協会は2021年のFIFA U20ワールドカップの共催も検討しているとしています。アセアンによる共催の検討が発表されたわずか数日後のこの発表について、オーストラリアサッカー協会からはコメントが取れていないようですが、インドネシアサッカー協会はアセアン10カ国による共催とオーストラリアとの共催を天秤にかけているのでしょうか。
 アセアン10カ国による共催については、マレーシアサッカー協会FAMのダト・ハミディン・モハマド・アミン会長も実現が難しいとし、現実的には3から4カ国による共催案がより現実的ではないかと述べています。

U19代表監督交代は吉と出るか凶と出るか
英字紙ニューストレイトタイムズの電子版が、FAMがボジャン・ホダックU19代表監督との契約の更新を行わなかったことを懸念する記事を掲載しています。
 昨年2018年のアセアンサッカー連盟AFFU19選手権で初優勝、さらにアジアサッカー連盟AFCU19選手権本戦に12年ぶりの出場を果たすなど、FAMが求めた結果を全て残してきたホダック元監督の契約更新が行われなかった理由は謎のままですが、歯に衣着せぬ言動でFAMと衝突することも度々あったことから、その辺りが理由ではないかとしています。
 後任にはオーストラリア出身のブラッド・マロニーU23代表コーチが監督代行に指名されています。マロニー監督代行はU23代表のコーチとしてオン・キムスイU23代表監督を支えながら、U19代表の監督代行を務めることになっています。U19代表は8月5日から18日までベトナムで行われるAFF U19選手権には連覇がかかり、11月5日から18日までカンボジアで行われるAFCU19選手権予選が控えている一方、U23代表は12月にフィリピンで行われる東南アジア競技大会(オリンピックの東南アジア版)に参加します。これらの大会で好成績を残せない場合、ホダック監督を「解任」したFAMに対するファンの信頼が失われる可能性があります。