断食月中ではありますが、今月7日にはFIFAワールドカップ2022年大会のアジア一次予選を控えるマレーシア代表は、ネパール代表をブキ・ジャリル国立競技場に迎え、練習試合を行いましたので、観戦に行ってきました。
ブキ・ジャリル国立競技場での観戦は数年ぶりです。
オープンスタンドのチケットは20リンギ(約520円)でした。写真右は暗くてわかりにくいですが、窓口上の料金表です。練習試合ということもあってか手書きでした…。なお料金表一番下のKanak-kanakは子どものチケット代です。
人口約3200万人のマレーシアは、2018年時点で外国人労働者の数が180万人おり、非合法の労働者も含めればその数は600万人とも言われています。その内、ネパール人労働者は約50万人いるそうです。ということで、マレーシアに住んでいるであろうネパール人サポーターも大挙観戦に来ていました。またスタジアムの外にはネパール国旗をプリントしたTシャツを売る店もありました。
1998年に建てられたブキ・ジャリル国立競技場は、東南アジアではインドネシアのジャカルタにあるゲロラ・ブン・カルノ競技場に次ぐ87,411名収容のスタジアムです。2017年にはクアラ・ルンプール(KL)が東南アジア競技大会の開催地となったため、大幅な改修工事が行われたのは知っていましたが、久しぶりに足を運んでみると見違えるほど綺麗になっていました。スタンドには車椅子での観戦席も整備されています。
マレーシアの他のスタジアムや公共施設では考えられないほど、トイレが綺麗なのはある意味感激でした。
二日後にある断食明けのお祝いハリラヤは、日本で言えば正月にあたるイベントで、地方出身者にはKLから実家へ帰省する人が多く、この日も試合開始1時間前はスタンドはガラガラでした。さらに2階席へは入れず、売店も閉まっていました…。
そうこうしている内に両チームのスタメンが発表になりました。マレーシアは主力選手で帰化選手のムハマドゥ・スマレ(パハンFA)が、昨年末のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップ決勝(の試合後の暴言)で4試合の出場停止処分を受けており、今日の試合には出場できません。以下は両チームの先発メンバーです。発熱で体調不良が報じられていた新キャプテンのファリザル・マリアスもスタメンです。
両国の国旗に続いて選手が入場、そして国歌演奏という流れでインターナショナルマッチの雰囲気が高まりました。
前回のエアマリンカップでは、チケット代が高すぎるとして代表戦ボイコットを宣言したウルトラス・マラヤの皆さんもこの日は三々五々とやってきました。ゴール裏の席は開場されていなかったため、微妙な位置で応援です。
いよいよ試合開始。開始時刻は午後10時でした。
前半はほとんどの時間がネパール側サイドでのプレーでした。開始早々はチャンスが何度かあったものの、その後はネパールはいわゆる「大型バスをゴール前に駐車」し。マレーシアはパス回しはできるものの、ゴールへ向かってシュートを打つことがほとんど来ませんでした。
前半は両チーム無得点で終了。
マレーシアの競技場内は完全禁煙なのですが、ウルトラス・マラヤの皆さんは全く御構い無しの様子で、ハーフタイム中は皆さんの周りは煙が蔓延していました。
後半に入るとマレーシアのタン・チェンホー監督は、アキヤ・ラシド、ドミニク・タン、ファイザル・ハリム、シャマー・クティ・アバら、エアマリンカップと同時期に行われていたアジアサッカー連盟AFCU23選手権予選のため招集できなかったU23組を次々と投入しました。
そして51分には、アキヤ・ラシド(ジョホール・ダルル・タクジムJDT)がゴール前で倒されPKを獲得。これをサファウイ・ラシド(JDT)が決めてマレーシアが先制します。
さらに82分にはシャールル・サアド(ペラTBG)がヘディングシュートを決めて2点目を奪います。
断食月ということもありコンディショニングが難しかったのだと思いますが、試合には勝ったものの、素人目では全体的に組織的プレーを意識しすぎた結果、クラブでは積極的に攻撃に参加するコービー・オング(JDT)やエースのサファウイ・ラシドが生きず、スピード感に欠ける試合という印象でした。
またスマレ選手とポジションを争うシャズワン・ザイノン(スランゴールFA)やシャフィク・アーマド(JDT)もインパクトを残せませんでした。そんな中、空回りする場面も多かったのですが、アキヤ・ラシドやファイザル・ハリム(パハンFA)が持ち前のスピードで何度か突破を図ろうとするなど、これまでの代表にはなかった攻撃パターンも生まれそうな印象でした。