3月7日のニュース:今週末は「クラン・ヴァリーダービー」、エアマリンカップではコーズ・ウェイダービーも

今週末は「クラン・ヴァリーダービー」
マレーシアフットボールリーグMFLは今週が第6節。今節注目のカードの1つが「クラン・ヴァリーダービー(Klang Valley Derby)」と称されるスランゴールFA対クアラルンプールFAの対戦です。
 マレー語では「ドロの交わる場所」という意味のクアラルンプール(KL)は、19世紀にクラン川を上ってきたスランゴールの王族が、クラン川とゴンバク川が合流する地域に豊富な埋蔵量の錫(すず)鉱床を発見したことにより、その歴史が始まります。その後は錫の集散地として、現在もKL市内を流れるクラン川沿いに発展を続けました。1957年のマラヤ連邦(当時)が1957年にイギリスから独立した際には、KLはマラヤ連邦の首都となり、スランゴール州の州都でもありました。しかし1969年の下院選挙の際、スランゴール州で野党が圧勝し、下院でも与党の議席が三分の二を割る事態が起こると、当時の政権は1974年に野党勢力が優勢であったクアラルンプールを連邦直轄区としてスランゴール州から分離させて、野党勢力の弱体化と政権保持を図りました。そういった経緯もあり、スランゴールとKLは強烈なライバル関係にあります。
 クラン川沿いに発展してきたスランゴールとKLは、サッカーでもその対戦が「クラン・ヴァリーダービー」と呼ばれるライバル関係にあります。しかし残念ながら近年は両チームともタイトルを手にする機会はなく、スランゴールFAは2015年のマレーシアカップ、KLFAに至っては1999年のFAカップ優勝以降、大きなタイトルを獲得していません。しかも今シーズンのMFL第6節に組まれたこの試合で、スランゴールFA、KLFAともまだ勝ち星なしで対戦するとは思いもよりませんでしたが、それでも熱くなるのがダービーマッチですよね。

エアマリンカップではコーズウェイダービーも
研究社の英和中辞典によれば、コーズウェイ(Causeway)とは「(低湿地に土を盛り上げた)土手道、(敷石などによる昔の)舗装道路」とありますが、ジョホール海峡によって隔てられたマレー半島とシンガポール島の間も、1923年に当時この地域を支配していたイギリスによって建設されたコーズウェイによって陸路で繋がり、車や列車が行き来できるようになっています。
 これにちなんでマレーシアとシンガポールがスポーツで対戦する際には「コーズウェイダービー」という名称が使われます。1963年のマレーシア建国の際には、シンガポールもマレーシアの一部でしたが、「(マレー人だけでなく華人やインド系住民なども含めた)マレーシア人のためのマレーシア」を標榜した当時のシンガポール与党のリーダーで、後のシンガポール首相リー・クアンユーと、「マレー人のためのマレーシア」を唱えるマレーシアの初代首相トゥンク・アブドル・ラーマン率いるマレー半島側の与党UMNOの間の対立から、1965年にはシンガポールはマレーシアから独立させられてしまった経緯もあり、このコーズウェイダービーは、国と国とのプライドのぶつかり合いでもあります。
 前置きが長くなりましたが、3月20日にクアラルンプールのブキ・ジャリルスタジアムで開催されるエアマリンカップの準決勝では、抽選の結果、このコーズウェイダービーが実現することになりました。FIFAカレンダーの国際Aマッチとなるこのエアマリンカップは、マレーシア代表にとってはただの国際試合ではありません。今年の6月に行われるFIFAワールドカップ2020年大会の予選1回戦では、AFCランキングで34位以上のチームはシードされ、9月の予選2回戦からの参加となるため、現在35位のマレーシアはこのエアマリンカップで好成績を収めて、何としてもAFCランキング34位に入らねばなりません。しかも現在AFCランキング34位にいるのが今回対戦するシンガポール。2016年10月7日にシンガポールのカラン国立競技場での引き分け以来の対戦となるダービーマッチは従来以上に盛り上がること間違いなしです。

3月6日のニュース:AFC U23選手権予選とエアマリンカップ出場の代表候補選手発表

AFC U23選手権予選とエアマリンカップ出場の代表候補選手発表
3月22日から26日までクアラルンプール郊外のシャー・アラムスタジアムを会場に開催されるアジアサッカー連盟AFCのU23選手権予選兼東京オリンピック予選に出場するU22代表候補合宿への参加選手27名が、マレーシアサッカー協会FAMより発表になりました。昨日のAFCチャンピオンズリーグACL、JDT対鹿島アントラーズ戦にも出場したFWサファウィ・ラシド、FWアクヤ・ラシド、MFシャマル・クティ・アッバの3選手や昨年末のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップでゴールも決めているDFシャミ・サファリ(スランゴールFA)など、現時点で考えられる最強布陣となりそうな選手27名が招集されています。なお、この予選ではマレーシアは、中国、フィリピン、ラオスと同組のグループJとなっています。
 AFC U23選手権へは、2018年に初めて出場したマレーシアはタイで行われる本選への連続出場を目指して代表候補合宿を行いますが、JDT以外の選手は3月11日までに、3月12日にホームでACL第2線となる慶南FCUを戦うJDTの選手は3月13日までに合流予定となっています。候補選手は7日間の合宿を経て23名に絞られ、3月17日にはU22オーストラリア代表との練習試合を行った後、予選に臨みます。
 上記のJDTの3選手、スランゴールFAのシャミ・サファリらは、2月のアセアンサッカー連盟AFFのU22選手権では所属チームが代表チームへの招集を拒否していたため参加せず、チームもグループステージで敗退となっていました。

AFC U23選手権予選の代表候補選手(カッコ内は年齢と所属)
<ゴールキーパー>
*ムハマド・ハジック・ナズリ(21 JDT)
*ムハマド・アズリ・アブドル・ガニ(20 フェルダ・ユナイテッド)
*ダミエン・リム・チェン・カイ(22 ケランタンFA)
<ディフェンダー>
*ドミニク・タン・ジュン・ジン(22 JDT)
*モハマド・ハリス・カマルディン(22 JDT II)
*ムハマド・シャルル・ニザム・ロス・ハスニ(21 ケランタンFA)
*ニック・アズリ・ニック・アリアス(22 ケランタンFA)
R・ディネシュ(21 パハンFA)
*アーマド・タスニム・フィトリ・モハマド・ナシル(20 フェルダ・ユナイテッド)
*アリフ・アル=ラシド・アリフィン(21 PKNS FC)
*エヴァン・ウェンスレイ・ウエンセスラウス(21 サバFA)
*アリアスディアス・ジャイス(21 サバFA)
*ムハマド・アミルル・アシュラフ・アリフィン(21 UITM FC)
*ムハマド・ナジルル・アフィフ・イブラヒム(22 ペラTBG)
*ムハマド・シャミ・サファリ(21 スランゴールFA)
<ミッドフィルダー>
シャマー・クティ・アッバ(22 JDT)
*ニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット(20 ケランタンFA)
*ムハマド・ダニアル・ハキム・ドラマン(21 ケランタンFA)
ムハマド・ダニアル・アミエル・ノーヒシャム(20 フェルダ・ユナイテッド)
*K・シヴァンダラン(20 PJシティFC)
*ムハマド・イザン・シャミ・ムスタパ(22 トレンガヌFC II)
<フォワード>
ムハマド・アクヤ・アブドル・ラシド(20 JDT)
ムハマド・サファウィ・ラシド(22 JDT)
*コギレスワラン・ラジ(21 パハンFA)
モハマド・ファイザル・アブドル・ハリム(21 パハンFA)
*ムハマド・ジャフリ・ムハマド・フィルダウス・チュウ(22 PKNS FC)
*ムハマド・ハディ・ファイヤッド・アブドル・ラザク(19 ファジアーノ岡山)
*は2019年AFF U22選手権の代表選手

エアマリンカップ出場候補選手も発表になっています。
FAMは、3月20日と23日の日程でクアラルンプールのブキ・ジャリルスタジアムを会場に開催される国際サッカー連盟FIFAカレンダーの国際招待大会エアマリンカップに出場するマレーシア代表候補選手25名も発表しています。選手たちは3月12日から始まる強化合宿を経て、オマーン、アフガニスタン、シンガポールが参加する招待大会へ臨みます。
 今回の代表には、昨年末のAFF選手権スズキカップ準優勝のメンバーから13名に加えて、今回新たに招集された選手12名が選ばれています。マレーシア代表は3月20日にシンガポール代表と対戦し、勝てばオマーン対アフガニスタン戦の勝者と優勝を賭けて激突し、負ければこの試合の敗者と3位を争います。決勝及び3位決定戦は3月23日に行われます。なお、この代表チームは3月26日にはネパール代表とも練習試合を行う予定です。
 

エアマリンカップ出場の代表候補選手
<ゴールキーパー>
*ハフィズル・ハキム・カイルル・ニザム・ジョティ(26 ペラTBG)
イフワット・アクマル・チェック・カシム(23 クダFA)
*カイルル・ファミ・チェ・マット(30 マラッカ・ユナイテッド)
<ディフェンダー>
*シャルル・サアド(26 ペラTBG)
*ナジルル・ナイム・チェ・ハシム(26 ペラTBG)
マシュー・デイヴィーズ(24 パハンFA)
アブドル・ラティフ・スハイミ(30 スランゴールFA)
リザル・ガザリ(27 クダFA)
#ニコラス・スワラッド(28 PKNS FC)
*シャズワン・アンディック・イシャク(23 JDT)
*イプファン・ザカリア(24 KLFA)
<ミッドフィルダー>
*ケニー・パルラジ(26 ペラTBG)
#フィルダウス・サイヤディ(26 ペラTBG)
*ムハマドゥ・スマレ(25 パハンFA)
ノー・アザム・アブドル・アジー(24 パハンFA)
*シャズワン・ザイノン(30 スランゴールFA)
#ファイズ・ナシル(27 スランゴールFA)
#アブドル・ハリム・サアリ(25 スランゴールFA)
*アクラム・マヒナン(26 PKNS FC)
#ハフィズ・ラムダン(26 PKNP FC)
ハディン・アズマン(フェルダ・ユナイテッド)
<フォワード>
*ノーシャルル・イドラン・タラハ(33 パハンFA)
*ザクワン・アドハ・アブドル・ラザク(32 クダFA)
*アーマド・ハズワン・バクリ(28 JDT)
S・クマーラン(23 JDT)
*は2018年スズキカップの代表選手、#はタン・チェンホー監督が初めて招集した選手です。