3月5日のJDT対クダ・ダルル・アマン戦で開幕する今季のMリーグ。需要があるとは思えませんが、勝手に今季の順位予想をしてみました。
ボラセパマレーシアJP的順位予想 1位ジョホール・ダルル・タジムFC
2020年シーズン成績:リーグ1位 – 9勝2分0敗 得点33 失点8
昨季はリーグ7連覇を果たしたJDTは、タイのBGパトゥム・ユナイテッドへ移籍したジオゴ・サントスに代わって獲得したばかりのエースストライカー候補ジョナサン・エレラを開幕直前にもかかわらず、期限付き移籍させて皆を驚かせたJDTですが、外国籍選手以外は全員がマレーシア代表経験者という強力なチームに、代表でも主力のモハマドゥ・スマレや「未完の大器」ダニアル・アミールが加わるなど、補強は怠りありません。あえて弱点を探すとすれば衰えが見えつつあるGKファリザル・マーリシャスでしょうか。
とは言え優勝候補の一番手であることは間違いありません。この記事を出す直前にはエレラに代わるブラジル出身のストライカーのベルクソン・ダ・シルバをフォルタレーザEC(ブラジル)から期限付き移籍で獲得したことが明らかになっています。また今季はAFCチャンピオンズリーグACLが集中開催になる中、Mリーグはこの時期にリーグが中断することから、ACLとMリーグの両方に出場することになっても負担が少なく、ここが死角になることもなさそうです。
<ボラセパマレーシアJP的今季注目選手>
ゴンザロ・カブレラ
JDTの強さは実は強固な守備にあり、その中心がゴンザロ・カブレラです。機を見て積極的に攻撃にも参加、しかも好機を物にするなど、DFながら攻守に貢献度が高い選手です。カブレラが安泰なら、JDTの守備も安泰ですが、言い換えれば換えが効かない選手なので、万が一ケガなどをすればJDTの8連覇に赤信号が点ります。
シャフィク・アフマド
W杯予選では2ゴールを挙げながら、クラブでは絶対的なレギュラーでないシャフィク・アフマドは、個人的には1年間を通してプレーを見てみたい選手です。昨年は事故でお子さんを亡くされるなど辛い1年でしたが、前線でサファウイ・ラシドやスマレとの連携が強化されれば、代表にとっても大きなプラスになります。
ボラセパマレーシアJP的順位予想 2位クダ・ダルル・アマンFC
2020年シーズン成績:リーグ2位 – 7勝1分3敗 得点20 失点13
JDTに対抗できる戦力を持ちながら、数ヶ月間にわたる給料未払いというピッチ外でのトラブルでチームの士気が下がり前半は出遅れたものの、最後にはきっちり2位を確保した昨季のクダ。今季の補強の目玉はUTIMから加入したラビ・アタヤ(レバノン)ではないかと思います。司令塔にもなれ、また自らが攻撃にも参加できる選手ですが、UITMでは前線の選手が力不足だったことから自分が攻撃に参加することが多くなり、その後はマークも厳しくなった結果、持ち味が活かせなかった印象です。
UITMとは違い、クパ・シャーマン、チェチェ・キプレと強力FW2枚を揃えるクダでは、司令塔に専念できそうです。また、このアタヤの加入でバドロル・バクティアルがより積極的に攻撃に加われるようになり、攻撃陣にも厚みが増しそうです。
この他にもシャズワン・ザイノン、ロドニー・セルヴィン(いずれスランゴールから移籍)らを獲得し、選手層が厚みを増したクダはJDTに勝負を挑める数少ないクラブの一つで、そのためにもJDTとの今季開幕戦になんとしても勝利しておきたいところです。
<ボラセパマレーシアJP的注目選手>
アヌマンサン・モハン・クマール
上記のアタヤ選手とともに新加入のアヌことアヌマンサン選手は、シンガポール時代のアイディル・シャリン監督の元でプレー経験もあり、移籍1年目ながら監督のサッカーを理解してチームにフィットする可能性があります。昨季は前線で孤立してしまう場面もあったシャーマンとキプレでしたが、このMFコンビの加入でそれが解消できそうです。
ボラセパマレーシアJP的順位予想 3位クアラルンプール・ユナイテッドFC
2020年シーズン成績:*2部プレミアリーグ3位 – 6勝3分2敗 得点21 失点14
2部降格から1年で1部復帰を果たしたクアラルンプール・ユナイテッドですが、昇格に合わせて外国籍選手、マレーシア人選手とも1部でプレー経験のある選手を獲得したことに加え、Mリーグでの勝ち方を知っているボジャン・ホダック監督が就任したことで、いきなり上位進出を狙えるチームに変貌しています。
昨季はトレンガヌで9ゴールを挙げたFWドミニク・ダ・シルヴァ、かつての代表のエースFWサフィ・サリー(PJシティより移籍)、やはり代表経験もあるハディン・アズマン(クダより移籍)の前線、在籍5年目となる主将のパウロ・ジョズエ、23歳ながらMリーグ4年目を迎える攻撃的MFロメル・モラレス(マラッカ・ユナイテッドから移籍)そしてマレーシアの「鉄人」インドラ・プトラ・マハユディンの中盤、そして新加入のセンターバックで昨季はオーストラリア1部のメルボルンヴィクトリーなどでプレーしたジャンカルロ・ガリフオコ、地元出身のイルファン・ザカリア(クダより移籍)、そしてMリーグでは珍しい外国籍GKケヴィン・レイ・メンドーザ(フィリピン、デンマーク2部ヴェンシュセルFFより移籍)ら守備陣は、他の1部クラブに見劣りしない布陣です。
1部昇格クラブながら、上で述べたメンバーに加え、ボジャン・ホダック監督が指揮を取るというところが、3位に推す理由です。Mリーグではケランタンで2012年にリーグ戦、マレーシアカップ、FAカップの年間三冠のトレブルを達成、JDTでも2014年優勝監督、そして2018年には東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権でも優勝と「勝ち」を知る監督の手腕に1部昇格初年度から期待したいです。
<ボラセパマレーシアJP的注目選手>
インドラ・プトラ・マハユディン
今季39歳を迎えるインドラ・プトラですが、昨季は11試合中9試合に出場し、3ゴールを決めるなど鉄人ぶりを発揮しました。2012年のケランタン年間三冠達成時にはホダック監督の元でプレーしており、ここでもう一花咲かせるのではという期待があります。
ロメル・モラレス
23歳という年齢からリリドン・クラスニキやギリエルメ・デ・パウラに続く帰化選手候補でもあるモラレスですが、昨季は所属したマラッカ・ユナイテッドの給料未払い問題で試合どころではなかったようです。昨季の鬱憤を晴らし、請われて帰化選手になれるよう活躍して欲しいです。
ボラセパマレーシアJP的順位予想 4位スランゴールFC
2020年シーズン成績:リーグ5位 – 4勝5分2敗 得点26 失点19
昨季はシーズン途中でB・サティアナタン監督がチーム不振から解雇になるなど思うような成績を残せなかったスランゴールFC。過去5年まで遡っても2016年シーズンから5位、6位、8位、3位、5位と「赤い巨人」と恐れられたリーグ盟主の座はJDTに奪われたままです。
そこで今季、クラブは方針を大転換し、5年ぶりの外国籍監督となるJリーグ元浦和コーチのカルステン・ナイチェル監督を招聘。また外国籍選手もアセアン(東南アジア)枠のDFサフアン・バハルディン(シンガポール)、そして昨季のゴールデンブーツ受賞者でナイジェリア出身のFWイフェダヨ・オルセグン(今季からバーレーン国籍を取得しアジア枠で登録)の2選手以外は入れ替えを行いました。ナイチェル監督とマイケル・ファイテンバイナー テクニカルディレクターのドイツコネクションを通じてDFテイム・ホイバッハ(イスラエル1部マカビ・ネタニャより加入)、攻撃的MFオリヴァー・バフ(スイス2部グラスホッパーから加入)、守備的MFマヌエル・コンラート(ドイツ3部KFCユルディンゲン05から加入)を獲得しています。
なおMリーグ1部各クラブの外国籍選手は5名の登録が可能ですが、大半のクラブはストライカー、ミッドフィルダー、センターバックの3ポジションに加えて、ストライカーをもう1人、そしてミッドフィルダーかディフェンダーをもう1人というのが一般的ですが、スランゴールは守備的MFのコンラートを含め3選手が守備の選手となっています。スランゴールは昨季のマレーシア人選手得点王のFWシャーレル・フィクリをペラから獲得しており、昨季の外国籍選手、マレーシア人選手の両方の得点王を揃えた攻撃陣はこれで万全、外国籍選手には守備を任せようということなのでしょう。
昨季5位のスランゴールですが、12ゴールでリーグ得点王となったオルセグンは上位4チームからは2ゴールしか挙げられておらず、特にJDTとクダ戦では無得点、またマレーシア人得点王のシャーレル・フィクリもこの2チーム相手では無得点と、上位に弱い体質が改善できるかどうかがカギになりそうです。昨季の失点19はリーグ8位の成績で、新外国籍選手を中心とした守備陣の奮起なければ4位以下の成績もあり得ます。
<ボラセパマレーシアJP的注目選手>
ニック・シャリフ
昨季後半にパハンFA(現スリ・パハン)に彗星のように現れたニック・シャリフを他のクラブとの争奪戦に勝って獲得したスランゴールですが、先日の報道ではケガのため開幕絶望となっています。新たな環境で昨季のような活躍を見せられるかが注目でしたが、リーグ後半までは出場はなさそうです。
シャミ・サファリ
一方のシャミ・サファリは攻撃参加のできるサイドバックとしても、ウイングとしてもプレーできる選手ですが、その器用さが幸いして昨季はポジションが一定しませんでした。監督が代わり起用法も変われば、代表でもレギュラー定着が見えてきそうです。