3月22日のニュース
W杯アジア2次予選-マレーシアはオマーンに敗れて3位転落
KLシティの新たな監督とコーチが決定

アジア各地でW杯アジア2次予選が行われ、東南アジアのチームが格上相手に健闘しています。韓国と引き分けたタイ、中国と引き分けたシンガポール、シリアと引き分けたミャンマーは見事ですし、インドネシアに至っては東南アジア王者ベトナムを相手にアジアカップ2023に続き連勝するなど格上相手に見事な試合をしています。そんな結果を横目で見ながら、マレーシア(FIFAランキング132位)もオマーン(同80位)に挑みました。

W杯アジア2次予選-マレーシアはオマーンに敗れて3位転落

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第3節が行われ、ここまで2連勝で首位のマレーシアは同じく1勝1敗のオマーンと敵地で対戦し、0−2で敗れて同じ勝点6ながら得失差で3位に転落、勝ったオマーンが首位に浮上しています。また同じD組のキルギスも台湾を破って2勝1敗で勝点6となり、得失差でマレーシアを抑えて2位に浮上しています。

マレーシア時間では3月22日午前2時キックオフとなった試合の先発XIは以下のとおりです。マレーシアはアジアカップ2023韓国戦からFWダレンロック(サバ)に代わりFWロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジム-JDT)が入った他は変更がなく、5バックは左からラヴェル・コービン=オング(JDT)、ドミニク・タン(サバ)、シャールル・サアド(JDT)、ディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)、ダニエル・ティン(サバ)、中央は左右にファイサル・ハリム(スランゴール)とアリフ・アイマン(JDT)、ダブルボランチがスチュアート・ウィルキン(サバ)とブレンダン・ガン(前スランゴール)、そしてワントップにロメル・モラレスの5-4-1でこの試合に臨みました。

試合は前半からホームのオマーンが一方的に攻める展開となります。アジアカップ2グループステージ敗退後に就任した元チェコ代表監督のヤロスラフ・シルハヴィ監督がゲキを飛ばす中、積極的にゴールを狙いますが、マレーシアGKシーハン・ハズミの好守で耐えしのぎます。22分にはイサム・アル=サブヒがDFとGKをかわしながらボールはサイドネットに当たるなど、オマーンはゴールを奪えず、またマレーシアは3本のシュートを放ったのみで、前半は0−0で終了します。

後半に入ると58分にオマーンが先制します。左サイドのアリ・アル・ブサイディからのクロスにイサム・アル=サブヒがDFラヴェル・コービン=オングのマークをうまく外してシュート。これが決まって均衡が破れます。マレーシアにとって惜しかったのはその直後の60分に右コーナーキックからコービン=オングがフリーでヘディングシュートを放つもゴールポストに阻まれ、同点の機会を逃します。さらに80分にもエンドリックのパスを受けて抜け出したパウロ・ジョズエのゴールがオフサイドとなるなど1点が遠い中、88分にムーセン・アル=ガッサニがゴール前の混戦から倒れながらもチップキックでゴールを決め、オマーンがリードを広げるとこのスコアのまま試合が終了し、マレーシアの連勝は2で止まると共に首位から3位に転落しています。

素人目線ですが、グループ首位ということもあってか「引き分けで良し」という空気が感じ取れたマレーシアが、この試合は引き分けでもグループステージ突破が危うくなるオマーンに敗れたという印象です。試合中の競り合いでも倒されてアピールするマレーシアの選手を尻目にプレーを続けるオマーンの選手からは必死さが伝わってきました。3月26日に同じカードがマレーシアのホーム、ブキ・ジャリル国立競技場で午後10時キックオフで行われますが、今度はマレーシアがその必死さを見せる番です。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第3節
2024年3月21日@スルタン・カーブース・スポーツコンプレックス(マスカット、オマーン)
オマーン 2-0 マレーシア
⚽️オマーン:イサム・アル=サブヒ(58分)、ムーセン・アル=ガッサニ(88分)
🟨オマーン(2):イサム・アル=サブヒ、アブドラー・ファワズ
🟨マレーシア(3):ドミニク・タン、ファイサル・ハリム、エンドリック・ドス・サントス

オマーン対マレーシア戦のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

またD組のもう1試合は台湾がホームにキルギスを迎えました。元東京ヴェルディ監督のギャリー・ホワイト台湾代表監督が開始8分でレッドカードにより退場という波乱で幕が開いたこの試合は、キルギスも24分にDFサイド・ダツィーフ(キルギス1部FCドルドイ・ビシュケク)が早くも2枚目のイエローで退場し、そこから10人でのプレーを強いられます。しかし台湾はこの数的優位を生かすことができず、前半は0−0で終了します。

後半に入るとキルギスは、後半から出場のFWカイ・メルク(ルクセンブルグ1部ユニオン・ティテュス・ペタンジュ)がペナルティエリア内で倒されて得たPKをヴァレリー・キチン(ロシア2部FKエニセイ・クラスノヤルスク)が決めて先制します。さらに昨年11月の同じW杯アジア2次予選マレーシア戦でもゴールを挙げているカイ・メルクが自身でゴールを決めてリードを広げるとそのまま逃げ切り、第2節のオマーン戦に続いてキルギスは2連勝となりました。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第3節
2024年2月21日@高雄楠梓足球場(高雄市、台湾)
台湾 0-2 キルギス
⚽️キルギス:ヴァレリー・キチン(54分PK)、カイ・メルク(80分)
🟨台湾(1):リャン・メンシン(梁孟昕)
🟨キルギス(1):サイド・ダツィーフ
🟥台湾(1):ギャリー・ホワイト監督
🟥キルギス(1):サイド・ダツィーフ(🟨x2)

W杯2026アジア2次予選予選D組順位表(第3節終了)

順位勝点
1オマーン32015146
2キルギス32016426
3マレーシア32015506
4台湾300306-60
KLシティの新たな監督とコーチが決定

給料未払い問題に揺れるKLシティFCは、辞任したネナド・バチナ監督に代わる新監督にミラスロフ・クルヤナツ氏の就任を発表しています。クルヤナツ新監督は、昨シーズン途中まで監督を務めたボヤン・ホダック氏(現インドネシア1部プルシブ・バンドン監督)のもとでコーチを務め、ホダック氏辞任後にには監督代行として2試合の指揮を取っています。その後はバチナ監督が正式に就任したため、コーチに戻っていました。そのバチナ監督は今季もKLシティを指揮すると考えられていましたが、今月になって契約解除を申し入れ、KLシティFCは監督不在となったことから、チームをよく知るクルヤナツ氏に再び白羽の矢が立ったというところでしょう。

またこのクルヤナツ監督と共にチームを指導するコーチには、KLシティFCのU23チームの監督を務めていたワン・ロハイミ氏が就任することも発表されています。2022年にはPDRM FCの監督を務めたワン氏はペナンU21やプルリスU19など年代別チームの監督経験もあります。

クルヤナツ監督誕生により、5月の開幕を前に監督が決まっていないのは佐々木匠選手が加入したヌグリスンビランFC、クランタン・ユナイテッドFCからリブランドされたクランタン・ダルル・ナイムFC(KDN FC)、そして鈴木ブルーノ選手が所属するPDRM FCの3チームとなりました。前任のK・ディヴァン氏が3部M3リーグのマラッカFCに就任したヌグリスンビランFC、やはり前任のアイルトン・シルヴァ氏が母国ブラジルのクラブの監督に就任したKDN FCにに比べると、前任のユヌス・アリフ氏が筆頭候補のPDRM FCは、その他にもかつてPJシティFCを率いてスーパーリーグを戦ったP・マニアム氏(3部ハリニ・スランゴールFT監督)などの名前も新監督候補として挙がっており、発表も近そうです。

3月21日のニュース
W杯アジア予選-マレーシアは選手のフィットネスレベルに不安
大山鳴動して…結局プルリス・ユナイテッドのスーパーリーグ参入は白紙に
給料未払いのクダとKLシティには勝点剥奪処分の可能性をFIBが言及-最悪の場合はクラブライセンス交付取り消しも
スランゴールは今季開幕前に国外クラブを招いてミニトーナメント開催か

いよいよ今日3月21日から2026年W杯アジア2次予選が各地で再開されます。勝点6でD組の首位を走るマレーシアは、この組最強と目される勝点3のオマーンとの首位攻防戦に臨みます。マレーシア時間では3月22日の午前2時キックオフとなるこの試合であわよくば勝点1が取れれば、3次予選進出も見えてきますが果たしてどうなるでしょう。

W杯アジア2次予選-マレーシアは選手のフィットネスレベルに不安

マレーシア時間では3月22日午前2時キックオフとなるW杯アジア2次予選D組第3節のオマーン戦を前に行われた試合前会見でキム監督は「我々の置かれている状況は理想的とは言いがい。12月に昨季の国内リーグを終え、今季の開幕は5月と空白期間が空いている。代表選手は1月のアジアカップ2024以降は実戦の機会がなく、国内クラブの中には未だプレシーズンのトレーニングを始めていないところもある。このためフィジカルの面では明らかにハンデを背負っており、さらに現在はイスラム教の断食月であることもムスリム(イスラム教徒)の選手には負担になっている。」と、特にスタミナ面での不安について述べています。

さらに、この試合前の唯一の実戦となったネパールとの練習試合でも代表チームの全メンバーが揃っていなかったことを明らかにしたキム監督ですが、それでもオマーン戦に向けてできる準備は全て行なったと述べ、お互いに理解しあっている選手たちは試合が始まって10分もすれば連携に問題もなくなるだろうと話しています。

また記者会見に列席したDFディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)は、重要な局面でミスをしないよう心がけたいと話しています。「試合開始から全力で臨む必要がある相手ではあるが、(実践不足から)チームは試合終盤には特に疲れが出ることが予想される。そこで求められるのは精神力の強さであり、それを見せることができれば良い結果をクアラ・ルンプールに持ち帰れると思う。」と語っています。

オマーンは、マレーシアのFIFAランキング132位に対して80位と明らかに格上ですが、アジアカップ2024では2分1敗でグループリーグ敗退が決まると、大会直後に前チェコ代表監督のヤロスラフ・シルハヴィー氏が監督に就任しており、この新監督のもとでどのようなサッカーをするのかが不明です。なおマレーシアとオマーンが最後に対戦したの2016年で、この時はオマーンがマレーシアを6-0と一蹴しています。

大山鳴動して…結局プルリス・ユナイテッドのスーパーリーグ参入は白紙に

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、スーパーリーグ参入のための「特別クラブライセンス」を申請していたプルリス・ユナイテッドFCに対して、独立組織の第一審機関(FIB)がライセンス交付を行わない旨を決定したことを公式サイトで発表しています。この結果、今季のスーパーリーグは13チーム編成となる可能性が高くなりました。

昨季14位のクランタンFCが未払い給料問題を理由にFIBから今季のスーパーリーグ参加に必要なクラブライセンスが交付されないことが決まると、昨季の2部プレミアリーグと1部スーパーリーグの合併により、2部プレミアリーグが休止中であることから、MFLは3部リーグに当たるM3リーグのクラブに対して14番目のチームとなるための特別クラブライセンス申請を受け付けると今年1月に発表しました、

昨年10月にはM3リーグ優勝のイミグレセン(入国管理局)FC、2位KLローヴァーズFC、3位ハリニ・スランゴールや今回のプルリス・ユナイテッドFCを含めたM3リーグの7クラブから出されていたクラブライセンス申請をFIBは「条件を満たしていない」として全て却下していたこともあり、それからわずか数ヶ月後に出されたこのMFLの発表には半信半疑の声も上がりました。

それでもM3リーグの上位3チームとプルリス・ユナイテッドFCがこの「特別クラブライセンス」を申請すると、MFLは昨季のM3リーグトップ3のチームではなく、9勝5分10敗で8位に終わったプルリス・ユナイテッドFCを条件付きながら「特別クラブライセンス」の交付候補として選びました。そしてその理由としてスポンサーによる2500万リンギ(およそ8億円)とされる豊富な運営資金を上げるとともに、500万リンギ(およそ1億6000万延)の小切手のコピー(笑)も提出されたことなどを説明しました。

その上でFIBは、この小切手のコピーにある500万リンギ が実際にクラブの口座にあることを証明する書類を3月9日までに提出、2023年12月分までの給料未払いがないことを証明する書類を3月13日までに提出、スポンサー企業によるクラブに対するスポンサー契約を証明する書類を3月15日までに提出、そしてこれらスポンサー企業から既に一部スポンサー料が支払われていることを証明する書類を3月22日までに提出することを求めていました。しかし、FIBはプルリス・ユナイテッドFCから証明書類が提出されていないとして、今回、シーク・モハマド・ナシルFIB委員長名で特別クラブライセンスの交付を行わないことを決定したことを発表しています。

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昨年10月の時点でにクラブライセンス申請の資格審査に通らなかったM3リーグのクラブがわずか数ヶ月後に同様の審査に通ることなど期待できはずがなく、チーム数を偶数にしたいという単なる数合わせ以上の理由なしにこの特別ライセンスを交付しようとしたことに無理があったように思えます。さらにM3リーグのトップ3を差し置いて、リーグで負け越した8位のクラブを選び、しかもそれが失敗におわるなど、今後のリーグ運営をスチュアート・ラマリンガムCEOを筆頭とした現在のMFL理事会に本当に任せて良いのか、という疑問すら浮かぶ今回の迷走ぶりでした。

給料未払いのクダとKLシティには勝点剥奪処分が科される可能性をFIBが言及-最悪の場合はクラブライセンス交付取り消しも

また同じMFLの公式サイトでは、給料未払い問題を抱えるクダ・ダルル・アマンFCとKLシティFCの状況についてFIBの見解が明らかにされています。これによるとFIBが3月15日までと期限を設けていた未払い給料の50%の支払いについて、両クラブともこれを達成していないということです。

FIBは両クラブが3月30日までに全ての未払い給料を支払わない場合には、今季のスーパーリーグでの勝点剥奪と罰金5万リンギ(およそ160万円)の処分を課すとしています。さらに3月30日までに問題が経血しない場合には、今季リーグ戦に参戦するための十分な資金があるかどうかを再検討し、場合によってはクラブライセンス取り消し処分を科す可能性に言及しています。

とは言え、2部プレミアリーグが休止中の現在は、たとえ勝点0で今季を終えてもカブリーグへ降格する心配どころか、来季もスーパーリーグ残留が明らかな上、給料未払いのクラブにとっては、5万リンギ程度の罰金を払えば、さらに未払い状態を引き延ばせるといった救済措置にもなりかねず、この処分内容は甚だ疑問です。

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上の記事にもあるように、今季のスーパーリーグが既に13チームとなったこともあり、FIBがクダとKLシティにクラブライセンス交付取り消し処分を科すことはまぁないでしょう。昨季の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグ合併により14チーム編成となったスーパーリーグはクランタンFCが脱落した結果、既に13チーム編成となり、ここからさらにクダかKLシティが脱落すれば、MFLによるリーグ合併そのものが失敗だったことにもなります。

この問題の根源にあるのはMFLによるクラブ民営化です。州政府からの公的資金提供なしでのクラブ運営を求めているMFLですが、今回で言えばKLシティFCは未払い給料支払いの原資についてクアラルンプール市役所(DBKL)からの「寄付」で賄うことを表明しており、MFLもこれを認めるなど、そもそも民営化自体が絵に描いた餅だったことを示しています。給料未払い問題がないクラブでも、例えばスランゴールFCはスランゴール州政府からの公金による直接支援はないものの、州首相がトップに鎮座する州政府関連会社がスポンサーになる形で資金提供を受けており、事実上の民営化には程遠い状況です。

スランゴールは今季開幕前に国外クラブを招いてミニトーナメント開催か

バンコクでのプレシーズンのトレーニングキャンプを行ったスランゴールFCは、現地ではいずれもタイ2部リーグのFW下地奨選手が所属するサムットプラーカーン・シティFCとアユタヤ・ユナイテッドFCと試合を行い、サムットプラーカーン・シティには6−0で勝利し、アユタヤ・ユナイテッドFCとは1−1で引き分けています。

そのスランゴールFCは5月の開幕を前に、インドネシア、シンガポール、ブルネイのクラブを招いてミニトーナメントを行う計画があると、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロが報じています。詳細は明らかになっていませんが、スランゴールFCは2020年にバンコク・ユナイテッド(タイ)、プルシブ・バンドン(インドネシア)、ハノイFC(ベトナム)を招いて「アジア・チャレンジ2020」と称した、2日間で4試合を行うミニトーナメントを開催しています。

3月20日のニュース
ポリス・テロの練習試合2試合目は主力抜きのジョホールに雪辱
国内小売店チェーン不買運動にサッカー選手が続々と支援表明
U23アジアカップに向けたU23代表合宿が始まる

ポリス・テロの練習試合2試合目は主力抜きのジョホールに雪辱

ジョホール遠征中のタイ1部ポリス・テロFCは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と2度目の練習試合を行い、3-2で勝利しています。前スランゴールFCのタン・チェンホー監督が率いるポリス・テロFCは、初戦はベルグソン・ダ・シルヴァに4ゴールを許すなど0−5と敗れていました。

初戦に続き、JDTのホームであるスルタン・イブラヒム・スタジアムで行われた試合は、アリフ・アイマンやシャールル・サアド、シーハン・ハズミといった主力7名が明日3月21日(マレーシア時間3月22日)にオマーンで行われるW杯アジア2次予選に出場するマレーシア代表に加わるため、またマシュー・デイヴィーズとジュニオール・エルドストールはケガのためにいずれもチームを離れているJDTとの対戦でした。

国内小売店チェーン不買運動にサッカー選手が続々と支援表明

国内小売チェーンのKKマートで、「アッラー」の文字がプリントされた靴下が販売されていたことが分かり、KKマートへの不買運動を呼びかけるSNSが拡散し、これにサッカー選手が続々と賛同を表明しています。

問題の靴下は外部メーカーが製造し、KKマートに委託販売していたもので、くるぶしの辺りにアルファベットでイスラム教の唯一神を表す「ALLAH」とプリントされていました。一部店舗で消費者によって撮影されたこの靴下の画像がSNSで拡散すると、「イスラム教に対する冒涜」といった批判の声と共に、KKマートの不買運動を呼び掛ける声が上がりました。  

これに対してKKマートは速やかに謝罪を表明した上で、二度と同じ問題を起こさないと約束し、さらに問題の商品の販売を中止や製造業者に事情説明を求めたことを明らかにしています。

しかしちょうどイスラム教の神聖な断食月「ラマダン」中ということもあってか、与党連合に参加している統一マレー国民組織(UMNO)の青年部が、KKマートに対して国内全188店舗に謝罪の横断幕を掲げるよう求めるなど政治化する動きになっています。

KKマートは国内全店舗に設置した広告表示用スクリーンで謝罪のメッセージを流すなどの対応をしていますが、SNSではKKマート全店舗での不買運動を呼びかける声も上がり、これに国内リーグでプレーするサッカー選手たちが自身のSNS上で次々と賛同を表明しています。

代表FWサファウィ・ラシド(トレンガヌFC)やU23代表FWハキミ・アジム(KLシティFC)は不買運動呼びかけの投稿を再投稿し、U23代表FWシャヒール・バシャーやMFアリフ・イズワン、GKアジム・アル=アミン(いずれもスランゴールFC)は自身の言葉を加えて投稿し賛同を表明している選手も少なくありません。

マレーシアでは近年、Religion「宗教」、Royalty「王族」、Races「人種」の頭文字をとって3Rと呼ばれる話題について、マレー系を中心に非常に過敏になっており、ジョホール・ダルル・タジムFCのオーナーで、ジョホール州皇太子の父君でもある現マレーシア国王のスルタン・イブラヒム殿下も、意図的か否かにかかわらず、今回の出来事は民族調和を乱すものであり、責任の所在をはっきりさせた上で、厳格な処分を求めるよう関係機関に求めています。

U23アジアカップに向けたU23代表合宿が始まる

4月15日に開幕するAFC U23アジアカップに出場するマレーシアU23代表合宿がスランゴール州プタリン・ジャヤで始まっています。この合宿に先立ち、ジョホール・ダルル・タジムFCでプレーする21歳のFWアリフ・アイマンがU23代表でプレーするべきか否かの論争がサッカーファンの間で起こりましたが、フアン・トーレスU23代表監督は「我々はアリフをU23代表に招集することは検討したことはない」と話し、アリフ選手はA代表でプレーするべき選手であり、むしろU23代表でプレーするべきでないと話しています。なお、アリフ選手は3月21日(マレーシア時間3月22日)にオマーンのマスカットで行われるW杯アジア2次予選のオマーン戦に出場するマレーシア代表のメンバーに選ばれています。

この他、今回のU23代表招集が見送られたリチャード・チン(英国6部バース・シティFC)については、ケガで長期離脱中であることが理由と説明する一方で、ドイツ3部のSVヴァルトホーフ・マンハイムU21でプレーするアニル・ヴィグネスワランは、チームにDFが不足していることもあり招集されるべき選手だとトーレス監督は説明しています。

なおU23代表は、3月22日と25日に国内でインドU23代表と練習試合を行った後、U23アジアカップが開催されるカタール入りしますが、このインドU23代表のメンバーが発表されています。

これを報じたサッカー専門サイトのマカンボラによると、注目すべき選手としてGKアーシュ・アンワル・シーク(ATKモフン・バガンFC)、DFホルミパム・ルイバ(ケララ・ブラスターズFC)、DFトイバ・シン・モイランテム(オディシャFC)、FWパルシブ・ゴゴイ(ノースイースト・ユナイテッド)の名が上がっています。

また今回U23アジアカップ2024に出場しないインドU23代表のナウシャド・ムーサ監督の話として、マレーシア入りする前にデリーで4日間の合宿を行ってからマレーシアイリスとして、今回の試合は将来のA代表入りを目指す選手たちにとって貴重な経験となるというコメントを紹介しています。

3月19日のニュース
トレンガヌは7人目の外国籍選手となるクロアチア出身MF獲得で今季開幕前の補強終了
スリ・パハンも今季開幕に臨む外国籍選手6名が決定
サッカー協会会長-U23アジアカップでのマレーシアの目標はグループリーグ突破

マレーシア1部スーパーリーグの2024/25シーズンは5月に開幕します。そして現在開いている今年1度目のトランスファーウィンドウは4月26日までとまだ終了までに1ヶ月ほどありますが、各クラブの外国籍選手を中心とした補強内容が出揃いつつあります。今季は登録9名、ベンチ入り6名、同時にピッチ上でのプレーは5名とルールの変更があった中、開幕前に上限の9名を獲得しているのはジョホール・ダルル・タジムFCのみで、その他のクラブは大半が6名前後となっています。

トレンガヌは7人目の外国籍選手となるクロアチア出身MF獲得で今季開幕前の補強終了

トレンガヌFCはクロアチア出身の新たな「司令塔」、27歳のMFマリン・ピルジが1年契約で加入したことをクラブ公式SNSで発表しています。165cmと小柄なピルジ選手は、昨季はクロアチア1部のNKヴァラジュディンで48試合に出場して3ゴールを挙げているということです。フリーキックのスペシャリストとしても紹介されているピルジ選手は背番号60をつけることも発表されています。

またトレンガヌFCのサブリ・アバスCEOは、このピルジ選手の獲得で今季開幕前の外国籍選手獲得は終了したと述べています。トレンガヌFCは今季これまでに、2年ぶりの復帰となるMFマヌエル・オット(フィリピン、クダ・ダルル・アマンFCから加入)、FWイスマヒル・アキナーデ(ナイジェリア、クランタン・ダルル・ナイムFCより加入)、CBマシュー・ステーンフォールデン(オランダ、ウズベキスタン1部パフタコール・タシュケントFKより加入)の4名の新戦力を獲得しています。また昨季は20試合出場で11ゴール1アシストのFWイヴァン・マムート(クロアチア)、MFヌリーロ・トゥクタシノフ(ウズベキスタン)、そしてマレーシアで2018年からプレーし、現在はマレーシア国籍取得申請の長身CBアルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)の3名が昨季から残留しています。

またマレーシア人選手では、いずれも代表選手で今年1月のアジアカップ2024にも出場したFWサファウィ・ラシドとFWアキヤ・ラシドがジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)から期限付きで移籍、さらに昨季まで所属したKLシティFCで100試合以上出場しているDMFアクラム・マヒナンらが加入しています。この新戦力に代表No.2 GKスハイミ・フシンや、U23代表でプレーするアザム・アズミ、サフワン・マズラン、ウバイドラー・シャムスルのDFトリオ、やはりU23代表のGKラーディアズリ・ラハリムらの若手にも期待がかかります。昨季は首位のJDTとは勝点差36の6位に終わったトレンガヌFCですが、今季が2シーズン目となるトミスラフ・シュタインブリュックナー監督もこの戦力には手応えを感じているはずです。。

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今回が東南アジアで初めてのプレーとなる新加入のピルジ選手が60という異例の背番号を選んだ背景を、英字紙スターが紹介しています。中盤の選手では既にオット選手の背番号が8に、またトゥクタシノフ選手は10に決定しており、一桁の背番号が空いていなかったということもありますが、ピルジ選手は「自分がサッカーを始めた際にはサッカースクールへ通わせてくれ、プロ選手になるためのモチベーションを与えてくれたのも父なので、父への感謝の気持ちを忘れないために今回、空いている番号の中から60を選んだ」と説明し、昨年他界した父親の年齢が60歳だったことが、今回の背番号決定に関係していると説明しています。

スリ・パハンも今季開幕に臨む外国籍選手6名が決定

スリ・パハンFCは今季のスーパーリーグに6名の外国籍選手を登録すると発表しています。昨季のスーパーリーグでは13勝6分7敗の5位に終わったスリ・パハンFCのサフィアン・アワンCEOは、開幕前の外国籍選手は6名で終了するが、開幕後の状況によっては今年2度目のトランスファーウィンドウで新たな選手獲得の可能性もあると話しています。

今季のスリ・パハンFCは、昨季は24試合に先発し12ゴール7アシストを記録したエースのFWクパー・シャーマン(リベリア)、本来はCBながらPKスペシャリストして24試合で10ゴールを挙げたDFステファノ・ブルンド(アルゼンチン)、昨季途中に加入したAMFクヴォンディク・ルジエフ(ウズベキスタン)が残留しています。この3名に加えて今季は、2021年と2022年にはスリ・パハンFCでプレーしていたAMFエマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン、ジョホール・ダルル・タジムFCから期限付き移籍)、カザフ2部で昨季は26試合で24ゴールを挙げているFWミコラ・アハポフ(ウクライナ、カザフ2部FCアクジャイクから加入)、そして長身CBアレクサンドル・ツヴェトコヴィチ(セルビア、スイス2部FCアーラウから加入)が新たに加入しています。

この中で特に注目はアハポフ、イダルゴ両選手です。昨季は厳しいマークで封じられることが多かったシャーマン選手と、今季はツートップを組むことが期待されるアハポフ選手が前評判通りの得点力を見せ、イダルゴ選手は同じアルゼンチン出身でマレーシア国籍を取得しマレーシア人登録となるエゼキエル・アグエロとのAMFコンビが機能すれば、スリ・パハンFCのトップ3も見えてきます。

サッカー協会会長-U23アジアカップでのマレーシアの目標はグループリーグ突破

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、来月4月15日に開幕するAFC U23アジアカップ2024に出場するマレーシアU23代表の目標をグループステージ突破が現実的な目標となるだろうと話しています。

上位3チームが今夏のパリオリンピック出場権獲得となる今大会ですが、過去最高の成績が2018年大会のベスト8というマレーシアにとっては、オリンピック出場権獲得は正直、夢のまた夢です。流石にそれはハミディン会長も理解しているようです。

ハミディン会長によると、マレーシアU23代表はマレーシア国内でインドU23代表との練習試合を行った後、U23アジアカップ2024開幕の2週間前に大会が開かれるカタールのドーハ入りし、カタール、中国の両U23代表との練習試合を行い、この他にもう1試合の練習試合を行ってから本番に臨む予定になっているということです。

今大会でマレーシアは、前回準優勝のウズベキスタンの他、ベトナム、クウェートと同じD組に入っており、4月17日の初戦では今大会の優勝候補でもあるウズベキスタンと対戦します。

3月18日のニュース
Mリーグでプレーする8カ国9名の外国籍選手も今回のW杯アジア2次予選で代表入り
ポリス・テロに続きチョンブリーもジョホールへ遠征
フットサルMPFL第4節-ジョホールはスランゴールも撃破で開幕4連勝

いよいよ今日3月18日から今年1回目のFIFA国際マッチカレンダー期間が始まります。3月26日まで続くこの期間中、アジア各地でW杯2026年大会アジア2次予選が行われます。第2節を終えてD組首位のマレーシアは3月21日(マレーシア時間3月22日)にオマーンの首都マスカットで、そして3月26日にはクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で同2位のオマーンと対戦します。

Mリーグでプレーする8カ国9名の外国籍選手も今回のW杯アジア2次予選で代表入り

またマレーシアスーパーリーグでプレーする外国籍選手の中でも今回のFIFAカレンダーで代表入りしている選手がいます。全員で9名が8カ国の代表としてプレーしますがその顔ぶれは以下の通りです。幸いなことにマレーシアと同組のチームの選手は誰もいないので、全員を心置きなく応援します。

フィリピン
 MFパトリック・ライヒェルト(KLシティFC)
 DFイェスペル・ニホルム(ペラFC)
インドネシア
 DFジョルディ・アマト(ジョホール・ダルル・タジムFC)
シンガポール
 DFサフワン・バハルディン(スランゴールFC)
ミャンマー
 FWハイン・テット・アウン(ヌグリスンビランFC)
ウズベキスタン
 DFウマル・エシュムロドフ(スランゴールFC)
ヨルダン
 MFノー・アル=ラワブデ(スランゴールFC)
パレスチナ
 MFオディ・ハロウブ(クランタン・ダルル・ナイムFC)
シリア
 MFジャリル・エリアス(ジョホール・ダルル・タジムFC)

ポリス・テロに続きチョンブリーもジョホールへ遠征

FIFA国際マッチカレンダーで中断中のタイ1部リーグで、現在14位のポリス・テロFCが、3月13日から21日までの予定でマレーシアのジョホールへ遠征していることは、3月14日にこのブログでも取り上げました。先月スランゴールFC監督を辞任したばかりのタン・チェンホー監督が率いるクラブは、スーパーリーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の施設を使ってトレーニングキャンプを行っています。なおポリス・テロFCは3月15日には、JDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで非公開の親善試合を行い、ベルグソン・ダ・シルヴァの4ゴールなどで’0-5で敗れています。

そのポリス・テロFCに続き、今度は同じタイ1部リーグで現在11位のチョンブリーFCも3月17日から23日までジョホールへ遠征することをクラブ公式SNSで発表しています。なお、チョンブリーFCは3月20日と22日にスルタン・イブラヒム・スタジアムで親善試合を行う予定もあるようです。

今回、23名で遠征してくるチョンブリーFCには、昨季途中までクダ・ダルル・アマンFCでプレーし、14試合で8ゴール2アシストを記録した元Jリーグ甲府のFWウィリアン・リラや、2022年はスランゴールFC、23年はKLシティFCでプレーし、スーパーリーグ’通算49試合で25ゴール11アシストの記録したFWカイオンなど、マレーシアスーパーリーグでは見慣れた顔もいます。

フットサルMPFL第4節-ジョホールはスランゴールも撃破で開幕4連勝

マレーシアプレミアフットサルリーグ2024の第4節が行われ、開幕から3連勝中の首位ジョホール・ダルル・タジム(JDT)が、スランゴールFCを4-2で破り、開幕からの連勝を4に伸ばしています。前節第3節で今季初勝利を挙げたスランゴールFCは通算成績を1勝3敗として6位に低迷しています。

試合は開始4分にウェリントン・ペレイラのパスを受けたカイルル・エフェンディがゴールを決めてスランゴールFCがリードします。その後はJDTの猛攻をスランゴールがGKシャワル・サバルディンを中心に耐えますが、20分にアブ・ハニファ・ハサンのゴールでJDTが追いつき、前半を1-1で折り返します。

後半に入ってもJDTの攻撃に耐えたスランゴールですが、32分にカイオ・セザール、33分にエリオ・ネトが立て続けにゴールを決めてJDTが逆転すると、スランゴールも若きエース、シャヒル・イクバル・カーンが35分にゴールを決めて1点差に迫りますが、逆にJDTのサアド・アブドル・サニが4点目となるゴールを決めるとそのまま逃げ切っています。

またJDTに次ぐ2位につけるパハン・レンジャーズFCは、2勝チーム同士の対決となったゴンバックTOTユナイテッドとの試合を、得点王のグンター・スリストヨにゴールを許さず、8-6で破り2位を守っています。

この第4節終了後、MPFLは3月24日からはタイで始まる大会に代表チームが出場するため中断期間に入り、4月20日の第5節から再開されます。

フットサル代表はタイでの招待大会でオーストラリア、アフガニスタンと対戦

フットサルマレーシア代表は3月24日から28日までタイで開催される招待大会に出場することが、東南アジアサッカー連盟AFFの公式SNSで報じられています。タイ中部のノンタブリーで行われる大会には、ランキング77位のマレーシアの他、開催国タイ(ランキング25位)、オーストラリア(同36位)、アフガニスタン(56位)が出場します。大会フォーマットは1回戦総当たり後、上位2チームが決勝へ、下位2チームが3位決定戦にそれぞれ進出します。なおタイでは、来月4月17日から28日までAFCフットサルアジアカップが開催されます。

3月17日のニュース
代表はW杯予選前の最終調整でネパールと変則マッチで対戦
代表最終メンバー24名がW杯アジア2次予選に向けてオマーンへ出発
スランゴールFCがニザム・ジャミル監督就任を発表
給料未払い問題に揺れるKLシティのバチナ監督が辞任

代表はW杯予選前の最終調整でネパールと変則マッチで対戦

3月22日にW杯アジア2次予選D組第3節のオマーン戦を控えるマレーシア代表は、3月15日にネパール代表と対戦し、5-1で勝利しています。1月のアジアカップ2024終了以来、オマーン戦までの実戦はこの1試合しかないマレーシア代表は、非公開でネパール代表と4ハーフ、140分の変則マッチを行っています。

マレーシアの通信社ブルナマによると、この試合ではダレン・ロック(サバFC)がPKを含む2ゴールを決めた他、スチュアート・ウィルキン、ダニエル・ティン(いずれもサバFC)、ムカイリ・アジマル(スランゴールFC)が得点しています。 一方のネパールは、昨年10月の南アジアサッカー連盟SAFF U19選手権で大会トップタイの3ゴールを挙げた後、今回初めて代表入りしたサミール・タマンがゴールを決めています。

直近のFIFAランキング132位のマレーシアは、同80位のオマーンと対戦する前に同等の相手との試合をブッキングできず、見つかった相手が175位のネパールでした。この1試合だけで、D組1位突破が最有力のオマーンとの2連戦を迎えるのは不安ですが、3月22日と26日のどちらかの試合で勝点1を挙げられれば、グループ2位での通過が見えてくるだけに、何とか頑張って欲しいです。

代表は最終メンバー24名がW杯アジア2次予選に向けてオマーンへ出発

マレーシア代表が本日、W杯アジア2次予選D組第3節オマーン戦が行われるオマーンの首都マスカットへ出発しています。

合流が遅れていたジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の8名とタイ1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーするDFディオン・コールズが合流し、招集された33名全員が揃いましたが、何とここでアクシデント。右SBのマシュー・デイヴィーズとCBのジュニオール・エルドストールについて、両選手が所属するJDTが上の記事でも取り上げたネパール代表との試合で負傷したとして診断書を示し、マレーシアに残って治療に専念することを求めたということです。

この結果、残った31名の内、U23代表候補の7名を除いた24名がマスカットへ向かいました。U23代表候補は11名が今回のA代表合宿に参加していましたが、そこから4名が残りましたが、具体的な選手名の発表はありません。各メディアの報道を総合すると、ネパール戦でゴールを決めたMFムカイリ・アジマルや、ケガのジュニオール・エルドストールと同じCBのハリス・ハイカル(いずれもスランゴールFC)、これまでも代表合宿に参加経験のあるサフワン・マズラン(トレンガヌFC)、アジアカップ2024のメンバーにも選ばれたGKシーク・イズハン(ペナンFC)がこの4名のようです。

スランゴールFCがニザム・ジャミル監督就任を発表

先月、前マレーシア代表監督のタン・チェンホー氏が辞任したスランゴールFCは、ニザム・ジャミル コーチが2024/25シーズンの新監督に就任することをクラブ公式SNSで発表しています。スランゴールFCは外国籍4名とニザムコーチが次期監督候補と発表していましたが、8年ぶりのアジアの舞台となるACL2には、マレーシア人監督で臨むこととなりました。

スランゴール州出身のニザム監督は43歳で、今季のスーパーリーグではペナンFCのアクマル・リザル監督の42歳に次ぐ若さです。スランゴールFCでは2000年から2004年までプレーし、2001年にはFAカップ、翌2002年にはマレーシアカップ優勝を経験するなど、強かった時のスランゴールFCを経験しています。

現役引退後は複数のクラブでコーチを務め、2019年と2020年にはフェルダ・ユナイテッドFC(2020年シーズン後に解散)で監督を務め、渡邉将基池田圭恵龍太郎といったフェルダ・ユナイテッドFCでプレーした日本人選手との接点もあります。

2022年からは当時のミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督(現ミャンマー代表兼ミャンマーU23代表監督)のもとでスランゴールFCのコーチとなり、この年の8月にファイヒテンバイナー氏が事実上の監督解任とスポーツディレクター就任となると監督代行に就任し、同年9月にタン・チェンホー監督就任までチームを指揮しました。そして今年2月29日にそのタン監督がタイ1部のポリス・テロFC監督に転身すると再び監督代行となっていました。

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「実より花を取る」ことが多いスランゴールFCの経営陣ですので、ACL2では失敗できないと迷わず外国籍監督を起用するのだろうと思っていましたが、良い意味で予想を裏切られました。ニザム監督の就任’で、今季のスーパーリーグでは、前述のアクマル監督、クダ・ダルル・アマンFCのナフジ・ザイン監督(45)、ペラFCのユスリ・チェ・ラー監督(47歳)、サバFCのオン・キムスイ監督(53)そしてPDRM FCのユヌス・アリフ(65)に続く6人目のマレーシア人監督誕生となりました。

給料未払い問題に揺れるKLシティのバチナ監督が辞任

英字紙スターは、KLシティFCのネナド・バチナ監督が辞任したと報じています。昨年6月にインドネシア1部プルシブ・バンドン監督に転身した、ボヤン・ホダック前KLシティFCに代わって就任したバチナ監督は、2021年と2022年シーズンはホダック前監督を支えるKLシティFCのコーチでした。今季も監督として指揮をとると考えられていましたが、突然の辞任となりました。

バチナ監督の後任には、昨季コーチを務めたミラスロフ・クルヤナチの昇格が予想されています。

このブログでは何度も取り上げていますが、昨季の給料未払い問題が解決していないKLシティFCからは、昨年12月にマレーシア国籍を取得してアジアカップ2024にも出場したコロンビア出身のFWロメル・モラレスやライアンとデクランのランバート兄弟がジョホール・ダルル・タジムFCへ、MFアクラム・マヒナンがトレンガヌFCへ、U23代表FWのT・サラヴァナンがスリ・パハンFCへ、U23代表GKアジム・アル=アミンがスランゴールFCへ、と多くの選手がチームを去っており、バチナ監督の後任が誰であれ、今季は厳しいシーズンとなりそうです。

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これを報じたマレーシアの通信社ブルナマの記事では、現在は所属なしとなっている前スランゴールFCのMFブレンダン・ガンの獲得が噂されていることについて尋ねられたKLシティFCのスタンリー・バーナードCEOは、給料未払い問題を抱えるクラブが代表選手でもあるガン選手を獲得することは容易ではないと述べていることも報じています。ガン選手はKLシティFCとスリ・パハンFCから獲得オファーを受けていると報じられており、このスタンリーCEOの発言で、スリ・パハンFC入りが濃厚となりました。

3月14日のニュース
積極的な補強を進めるクチンシティがジョーダン・ミンターの加入を発表
プルリス・ユナイテッドはスーパーリーグ参入取り止めか
タン前スランゴールFC監督率いるポリス・テロFCがジョホールでトレーニングキャンプ開催

クチンシティがジョーダン・ミンターの加入を発表

サラワク州のクチン市を本拠地とするクチンシティFCは、2015年にクチン市サッカー協会が運営するクラブ、クチンFAとして発足しました。2019年に3部リーグのM3リーグで2位となり、2020年に当時の2部プレミアリーグに昇格すると、2020年途中にクチンシティFCと名称を変更し、プレミアリーグと1部スーパーリーグの合併により改編された2023年スーパーリーグに参加しています。そのスーパーリーグでは2勝6分18敗で13位に終わったクチンシティFCですが、昨季途中に就任したシンガポール出身のアイディル・シャリン監督の元で、チャレンジカップでは決勝に駒を進めています。

かつては「シンガポールのグアラディオラ」などとも呼ばれたアイディル監督は、2019年から2022年まではクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)の監督を務め、2019年にはFAカップ優勝を果たすなど、マレーシアのサッカーをを熟知している監督でもあります。そのアイディル監督の2季目となるクチンシティFCは、州政府の支援を受ける他のクラブに比べると、運営予算は少ないものの、今オフは積極的な補強を行っていますが、新たにガーナ出身のFWジョーダン・ミンターの加入が発表されています。

2020年にフィリピンリーグのスーパーリーグのカヤFCからトレンガヌFCのセカンドチーム、トレンガヌFC IIに移籍したミンター選手は、昨季はトレンガヌFCで10試合に出場して5ゴール、過去4シーズン通算ではスーパーリーグは26試合出場で12ゴール、プレミアリーグでは32試合で30ゴールを挙げています。

クチンシティFCは既に、アイディル氏がクダFC監督を務めていた際の選手だったDFロドニー・ケルヴィンやGKシャーリル・サアリ、さらにコートジボアール出身でマレーシアでは8年目のシーズンを迎えるFWチェチェ・キプレらを獲得している他、昨季はPDRM FCで24試合に出場した長身CBのジェイムズ・オクウォサなども獲得しています。またGKコーチには、やはりアイディル監督がクダFC監督時のコーチだった元代表GKのカイルル・アズマン氏を招聘するなど、13位から一気に上位進出を目指せる布陣が整いつつあります。

プルリス・ユナイテッドはスーパーリーグ参入取り止めか

2024/25シーズンの開幕を5月に控え、現在は13クラブの参加が決まっているマレーシアスーパーリーグ。このスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は先日、14番目のクラブとして、昨季は3部M3リーグで8位だったプルリス・ユナイテッドFCの参入を発表しています。

昨季14位のクランタンFCは給料未払い問題未解決により、今季スーパーリーグ参加のためのクラブライセンスが交付されなかったことから、チーム数が13となりました。これを偶数にするための「特例クラブライセンス」交付を発表していたMFLに対して、昨季のM3リーグチャンピオンのイミグレセン(入国管理局)FC、2位のKLローヴァーズFC、3位のハリニ・スランゴールFT、そして同8位のプルリス・ユナイテッドFCが特例クラブライセンス申請を行った結果、プルリス・ユナイテッドFCが審査を通過し、ライセンスを交付されるとともにスーパーリーグ参入が決まりました。

2023年にMFLは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを合併統合して14クラブ編成としたことから、現在2部プレミアリーグは休止中で、スーパーリーグの下はセミプロリーグの’M3リーグという状況です。そんなM3リーグのトップ3でもなく、しかも9勝5分10敗と負け越している8位のプルリス・ユナイテッドFCの参入が発表されると、MFLの決定にはサッカーファンからは疑問の声が多く上がりました。

しかしマレーシア語ネットメディアのマジョリティは、プルリス・ユナイテッドFCがスーパーリーグ参入を取り止めることをMFLに伝えたと報じています。この記事によると、プルリス・ユナイテッドFCは金銭的な理由からリーグ参入を辞退することを書面で伝えたとしています。

MFLがプルリス・ユナイテッドの参入を発表した際には、2500万リンギ(およそ7億9000万円)をスポンサーから集め、その証拠として500万リンギ(およそ1億6000万円)の小切手のコピーなども申請書類の一部として提出されたことなどを挙げて、特例クラブライセンス交付に至ったと説明していました。しかし、マジョリティの記事は、その後、次々とスポンサーが降板し、その2500万リンギが担保的なくなったと伝えています。

またMFLはプルリス・ユナイテッドFCのスーパーリーグ参入について、本拠地のあるプルリス州政府とプルリス州サッカー協会からもこれを支援するという公式文書を受け取ったことを発表しましたが、こちらについては金銭的な支援を指すものではなく、あくまでも参入の「意思」を支援するものである、とプルリス州のシュクリ・ラムリ州首相が説明しているということです。さらにこのシュクリ州首相の発言内容が明らかになり、クラブが州政府の後ろ盾がないことが明らかになったことがスポンサー降板の引き金となったとも、マジョリティは報じています。

この一連の動きにより、プルリス・ユナイテッドFCがMFLに対して担保していたクラブ運営資金源が消滅したことから、マジョリティはスーパーリーグ参入を取り止めざるを得ないだろうと報じています。この件についてMFLへも問い合わせを行なったということですが、この記事が出た時点では回答を得られていないということです。

タン前スランゴールFC監督率いるポリス・テロFCがジョホールでトレーニングキャンプ開催

スランゴールFC監督を辞任したタン・チェンホー氏が今月から監督を務めるタイ1部のポリス・テロFCはクラブ公式SNSで、リーグ中断期間を利用して3月13日から21日まで、マレーシアのジョホール・バルでトレーニングキャンプを行うことを発表するとともに、移動のため空港で搭乗を待つ選手たちの写真もSNS状に公開されています。なおタイリーグは、3月18日から26日までのFIFA国際マッチカレンダーに合わせて中断しており、今回のトレーニングキャンプもこの期間を利用して行われます。

タン監督就任後のポリス・テロFCは、第20節のナコーンパトム・ユナイテッド戦は1-1で引き分けたものの、第21節のプラチュワップFC戦は開始20分で2点のリードを許すと、後半にはDFマックス・クリーヴィーが1発レッドで退場となると、そのまま0-2で敗れて、順位は最下位と勝点差2の14位と低迷しています。

前の代表監督でもあったタン氏は、スランゴールFC退団直後はジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に加わるのではないかという憶測もありましたので、今回のジョホールでのキャンプにも注目が集まっています。

3月13日のニュース
マレーシアリーグの今季の運営費用は15億円超
U23アジアカップに向けたU23代表候補合宿参加者17名が発表-Y.S.C.Cのルクマンもメンバーに
佐々木匠選手がヌグリスンビランへ加入でMリーグ今季3人目の日本人選手誕生
クランタン・ユナイテッドFCがクランタン・ダルル・ナイムFCに改名

マレーシアは昨日からイスラム教の9月に当たる断食月ラマダンが始まっています。およそ30日間、イスラム教徒は日の出前に食事を済ませ、日没まで水を含め何も口にしませんが、そのラマダン中の3月22日と26日にはW杯アジア2次予選のオマーン戦がアウェイとホームでそれぞれ行われます。3月26日にブキ・ジャリル国立競技場で開催されるホームの試合は、日没とともに明ける断食後に食事をとるイスラム教徒への配慮もあって午後10時キックオフとなることが発表されています。

マレーシアリーグの今季の運営費用は15億円超

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は今季2024/25シーズンの運営費用が5000万リンギ(およそ15億7000万円)となる予想を発表しています。

MFLは今季からVARを導入しますが、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、このVAR導入と運用にかかる費用が昨季に比べて増加するとして、それをカバーする新たな資金源が必要になると説明しています。なおMFLはVAR導入と運用にかかる費用について、これまで970万リンギ(およそ3億円)になると発表しています。

この970万リンギには初期設備投資として、試合会場へVAR設備を移動するためのトレーラーなども含まれるとしています。なおスチュアートCEOは、この移動式VARはスタジアムに常設する場合と比べるとその費用は3倍になるとしていますが、マレーシアのインターネット環境や、スタジアムの状況などを考慮すると現時点では最善の方法であると説明しています。なお、来季以降についてはVAR関連の初期投資費用がなくなるためおよそ三分の一の320万リンギ(およそ1億円)まで減額できるということです。

U23アジアカップに向けたU23代表候補合宿参加者17名が発表-Y.S.C.Cのルクマンもメンバーに

4月15日からカタールで開幕するAFC U23アジアカップ2024。マレーシアU23代表も出場するこの大会に向けて、マレーシアサッカー協会(FAM)は3月17日から始まるU23代表候補合宿の参加者17名を公式サイト上で発表しています。

2024年3月 マレーシアU23代表候補合宿参加メンバー
*は9月のAFC U23アジアカップ予選出場者、#は11月のU23代表候補合宿参加者

氏名年齢所属
GK*#ラーディアズリ・ラハリム23TRE
*#アジム・アル=アミン23SEL
DF#ムハマド・アブ・カリル19SEL
*#ウマル・ハキーム22JDT II
アニル・ヴィグネスワラン21MAN
#アイマン・カイルル・ユスニ22PRK
MF#フィルダウス・フアド22PRK
*#シャヒル・バシャー23SEL
*#ナジムディン・アクマル21JDT II
*#ファーガス・ティアニー21JDT II
*ウバイドラー・シャムスル21TRE II
ファリス・アブドル・ラシド23TRE II
*#サイフル・ジャマルディン22SRP
FW#ダリル・シャム22JDT
#*アイマン・アフィフ23KDA
#*アリフ・イクマルリザル・アヌアル22PEN
#*ルクマン・ハキム22YSCC
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、JDT II-ジョホール・ダルル・タジムII(U23)、TRE-トレンガヌFC、TRE II-トレンガヌFC II(U23)PRK-ペラFC、SEL-スランゴールFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、YSCC-J3 Y.S.C.C.、MAN-ドイツ3部SVヴァルトホーフ・マンハイムU21 

今回のメンバーで注目されるのは、ドイツ3部SVヴァルトホーフ・マンハイムのU21でプレーするDFアニル・ヴィグネスワランです。ヴィグネスワラン選手は2021年からドイツでプレーしており、2021年にも19歳で前回のAFC U23アジアカップ2022予選に出場するU23代表に選ばれました。しかし、この時は代表合宿に一度も参加しないままメンバーに選ばれたため、一部サポーターから疑問の声が上がりました。それと関係しているかどうかは不明ですが、当時のブラッド・マロニー監督は結局、予選3試合で一度もヴィグネスワラン選手を起用しませんでした。今回は合宿からの参加となるヴィグネスワラン選手は、Y.S.C.C.のルクマン・ハキムとともにわずか2名の国外組ですが、期待したいです。

また上の17名の他、3月8日から始まっている2026W杯アジア2次予選のオマーン戦に向けたA代表候補合宿に参加している選手の内、以下の11名については、最終メンバー入りしなかった場合には、そのままU23代表合宿に合流することをFAMは発表しています。(*は9月のAFC U23アジアカップ予選出場者、#は11月のU23代表候補合宿参加者)

P氏名年齢所属
GKシーク・イズハン・ナズレル22TRE
DF*#ハリス・ハイカル22SEL
*#ジクリ・カリリ22SEL
*V・ルヴェンティラン23SEL
*#サフワン・マズラン22TRE
アザム・アズミ23TRE
MF*ムカイリ・アジマル23
ノーア・レイン22SEL
*#T・サラヴァナン23SRP
FWハキミ・アジム21KLC
*#アリフ・イズワン・ユスラン20SEL
チーム名:TRE-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、PEN-ペナンFC)

なお今回発表されたメンバーから、A代表でも主力として活躍し、1月のアジアカップ2023でもPKを決めている22歳のMFアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)はU23代表候補ではないことも明らかになっています。

マレーシアU23代表は、今回のU23アジアカップではウズベキスタン、クウェート、ベトナムと同じD組に入っており、4月17日に初戦となるウズベキスタン戦に臨みます。

佐々木匠選手がヌグリスンビランへ加入でMリーグ今季3人目の日本人選手誕生

昨季のスーパーリーグでは6勝9分11敗で9位に終わったヌグリスンビランFCが前愛媛FCの佐々木匠選手を含めた新たな加入選手を発表しています。なお佐々木選手についてはSNSでは獲得の噂が出ていましたが、やっと正式に発表されました。

昨季のJ3では22に出場して2ゴールを挙げた、166cmで25歳のMFと紹介されている佐々木選手は、元U20日本代表の経験やMF以外にFWも含めたあらゆるポジションができる選手ともクラブ公式サイト(マレーシア語です)で紹介されており、その期待の高さが感じられます。また佐々木選手は、PDRM FCの鈴木ブルーノ、クチンシティFCの谷川由来両選手に続く、今季のスーパーリーグでプレーする3人目の日本人選手となりました。

ヌグリスンビランはこの他、新たな戦力として元ナイジェリアU17代表で27歳のセンターバック、アリユ・アウドゥ・アブバカル(カザフスタン2部ハーン・テングリFCから移籍)や、昨季はPDRM FCでプレーしたFWジャック・フェイの加入も発表しています。セネガル出身で30歳のフェイ選手は昨季はPDRM FCのセカンドチームでプレーし、20試合に出場し8ゴールを挙げています。また昨季途中にスランゴールFCから期限付き移籍した22歳のミャンマー代表FWハイン・テット・アウンが今季も期限付き移籍でプレーすることや、同じスランゴールFCからU19やU23代表でもプレー経験がある20歳のGKシャーミ・アディブを期限付き移籍で獲得したことも発表しています。

なおヌグリスンビランは今季について、限られた予算により若いマレーシア人選手主体でチーム編成を行うことを表明しており、昨季のキャプテンでクラブのレジェンド的選手でもある36歳のFWザクアン・アドハや、昨季は24試合に出場した代表GKのシーク・イズハン・ナズレル、21試合出場(内17試合先発)のMFトミー・マワトの他、16試合で6ゴール2アシストのFWシャーレル・フィクリらがチームを去っています。さらに昨季の指揮を取ったK・ディヴァン氏が3部リーグのマラッカFC監督就任のため退団した後は、その後任も発表になっていません。

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昨季同様外国籍選手の獲得は5名程度にとどまりそうなヌグリスンビランFCは、マレーシア人選手については大幅な戦力アップはなく、外国籍選手のパフォーマンスが、そのままチームの成績に直結しそうです。外国籍選手は活躍すれば大きな支持が得られる反面、そうでなければ厳しい批判にさらされる中、周辺国に比べると日本人選手の数が少ないマレーシアリーグでの佐々木選手の活躍に期待したいところです。

クランタン・ユナイテッドFCがクランタン・ダルル・ナイムFCに改名

マレー半島の北部、西海岸に面したクランタン州は、クアラルンプールやペナンなどと比べるとイスラムの影響が非常に強い保守的な地域であると同時にサッカーの人気が高い地域でもあります。1946年創設で、クランタン州サッカー協会が運営していたプロクラブのクランタンFAは、赤色が基調になっているクランタン州の旗にちなんだザ・レッド・ウォリアーズ「赤い戦士」の愛称で知られ、2011年と2012年にはスーパーリーグを連覇し、2012年はカップ戦も合わせて国内三冠を達成するなど強豪として知られていました。

しかし2018年に11位となり、翌年から2部プレミアリーグに降格すると、給料未払い問題から戦力補強がままならず、そのまま浮上できませんでした。この間、オーナーがクランタン州サッカー協会から実業家のノリザム・トゥキマン氏に代わり、2023年にプレミアリーグとスーパーリーグが合併する改変により、5年ぶりにスーパーリーグへ復帰したクランタンFCでした、昨季は2勝2分22敗、得点29失点はリーグ新記録となる121で最下位となりました。さらにその後、給料未払い問題が解決されないことから、第一審機関(FIB)は2024/25シーズンに参加するためのクラブライセンスを交付せず、今季は3部リーグのM3リーグに参加することになっています。

このクランタンFCの凋落と相反するように現れたのがクランタン・ユナイテッドFCでした。2016年にクランタン州内リーグの州都コタ・バルのクラブとして発足すると、2019年にはM3リーグまで昇格するとクランタン・ユナイテッドFCと改名し、そのシーズンに優勝を果たして2020年には2部プレミアリーグへ昇格しています。そして昨季のリーグ改変により1部スーパーリーグに初参戦すると、クランタンFCを上回る4勝5分17敗で12位となっています。

そして老舗のクランタンFCが新興のクランタン・ユナイテッドFCを圧倒するという力関係は、今回のクランタンFCのスーパーリーグからM3リーグへの降格により完全に逆転しています。そしてこれに乗じてなのかどうかは分かりませんが、クランタン・ユナイテッドFCは、クラブ名をクランタン・ダルル・ナイムFCへと変更することを、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が了承しています。

ジョホール・ダルル・タジムFCや、クダ・ダルル・アマンFCといったクラブ名に見られるように、マレーシアの各州には正式名称があります。ジョホール州と一般に呼ばれているのはジョホール・ダルル・タジムですし、クダ州の正式名称はクダ・ダルル・アマンです。これに倣う形でクランタン・ユナイテッドFCも、クランタン州の正式名称を使ったクランタン・ダルル・ナイムFCと改名しています。

さらにクラブのロゴを従来の赤、白、緑の組み合わせから、やはりクランタン州旗の赤を前面に出したものに変更していますが、クラブ会長のロジ・ムハマド氏は、このリブランディングはクランタン州のサッカーファンを一つにまとめたいという意思表示であると述べています。さらにロジ会長は今回のクラブ名とロゴの変更をクランタンFCにとって代わろうとする目的ではないと述べていますが、クランタンFCの今後が不透明な中、クランタン州を代表するクラブになる可能性は大と言えるでしょう。

3月11日のニュース
MFL-今季導入予定のVARの機材は4会場分のみ!?
マヌエル・オットはトレンガヌに復帰

先月、タン前監督が辞任したスランゴールFCの新監督候補から前タイ代表監督のアレシャンドレ・「マノ」・ポルキン氏が外れたことが明らかになりました。残りはマレーシア人1名、外国籍3名ということですが、スランゴールFCのジョハン・ハミドンCEOはマレーシア人なら現在監督代行を務めているニザム・ジャミル監督の昇格、また外国籍3名はいずれもこれまでにマレーシアで監督を務めた経験がない人物と述べています。噂では本田圭佑氏の名前も上がっていますが、流石にそれはなさそうですが、いずれにしても今週中には明らかになりそうです。

MFL-今季導入予定のVARの機材は4会場分のみ

隣国のシンガポールやタイでは既に導入されているVARですが、今季からいよいよスーパーリーグにも導入されます。昨季のリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムFCと、マレーシアカップ準優勝のスランゴールFCがリーグ開幕戦として対戦するスンバンシーカップがマレーシアリーグにVARが初めて導入される歴史的な試合になりそうです。

スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)のスチュアート・ラマリンガムCEOは、リーグ戦はもちろんのこと、マレーシアカップやFAカップを含めた今季の全試合でVARを導入するために努力していると説明する一方で、特にボルネオ島のサバ州やサラワク州での試合については、主な試合が行われるマレー半島から飛行機を使ってVAR設備を運び込む必要があることから、その移設が容易ではないことを認めています。

「MFLには現在、移動可能なVARの設備が4組あるが、毎節7試合が行われることから、今季の日程作成の際には、VARの移設についても効率的に行えるよう考慮する必要がある。」とスチュアートCEOは述べていますが、これを取り上げたマレーシア語紙ブリタハリアンの記事には、MFLがVARの設備を4組しか用意していない理由についての説明はありません。

なおマレーシア国内では、ACLが開催されたジョホール・ダルル・タジムFCのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムと、AFCカップの決勝が行われたブキ・ジャリル国立競技場ではVARが使用されたことがありますが、それ以外のスタジアムでは前例がないことから、スチュアートCEOは、リーグ開幕前にペナン、クダ、スランゴーでVARの試験運用のための試合を開催することも発表しています。

マヌエル・オットはトレンガヌに復帰

契約期間を1年残しながらクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)からの退団が発表されたフィリピン代表MFマヌエル・オットのトレンガヌFC入団が発表されています。東南アジア枠での契約は来年5月までの1年契約、背番号は8となるということです。2022年シーズンにはトレンガヌFCでプレーしたオット選手は2季振りの復帰となります。

またトレンガヌFCは、このオット選手との契約で今季のスーパーリーグに臨むチームの外国籍選手が6名となりました。オット選手と中盤でコンビを組むMFヌリーロ・トゥクタシノフ(ウズベキスタン)をはじめとする残留組のFWイヴァン・マムート(クロアチア)、DFアルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)に加えて、クランタン・ユナイテッドFCから移籍した長身FWイスマイル・アキナーデ、そして元オランダU19代表のセンターバック、マシュー・ステーンフォールデンです。

またマレーシア人選手ではジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)からいずれも代表FWのサファウィ・ラシドとアキヤ・ラシドも期限付き移籍で獲得している他、対1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーしている代表DFディオン・コールズの獲得も噂されています。

3月10日のニュース
Y.S.C.C.のルクマンがカップ戦に続きリーグ戦デビュー-マレーシア国内でも急遽Y.S.C.C戦の放送が決定
代表はW杯予選オマーン戦を前にネパールと非公開で対戦
今季の3部リーグは外国籍選手2名の登録が可能に-ただし18歳から21歳までの年齢制限あり

昨季13位に終わったクチンシティFCが、リベリア出身のFWアブ・カマラの退団をひっそりと発表しています。昨季は22試合に出場してリーグ4位の13ゴールを挙げ、2022年には2部プレミアリーグで11ゴールを挙げて得点王になるなどリーグ屈指のFWでした。Transfermarktによると既にアラブ首長国連邦2部のディバ・アル・ヒスンSCに移籍しているようですが、今季に向けて積極的な補強を行なっているクチンシティFCになぜ残留しなかったのかが気になります。アイディル・シャリン監督のサッカーに合わなかったのか、それてもクチンシティFCでの活躍で市場価値が爆上がりしたのか(Transfermarktでは3倍近くになっています)。いずれにしても個人的にはもっとマレーシアリーグで見てみたかった選手なので、残念な移籍です。

Y.S.C.C.のルクマンがカップ戦に続きリーグ戦デビュー-マレーシア国内でも急遽Y.S.C.C戦の放送が決定

3月7日のJリーグYBCルヴァンカップ1回戦の水戸戦でJリーグデビューを果たしたJ3のY.S.C.C.に所属するマレーシアU23代表FWルクマン・ハキムが、今度はリーグ戦でもデビューしています。水戸戦では77分からの交代出場だったルクマン選手ですが、20分ほどの出場ながら倉貫一毅監督へは十分アピールできていたようです。

3月9日の松本山雅FC戦でリーグ戦デビューを移籍後初先発で飾ったルクマン選手は、ツートップの一角として出場すると39分には初のイエローカードをもらったものの、後半の56分までプレーし、脇坂崚平と交代しています。なおルヴァン杯の水戸戦では、ルクマン選手は先発した脇坂選手と交代で出場しています。試合はY.S.C.C.が宣誓したものの、ルクマン選手交代後の79分に同点とされ、そのまま引き分けています。これでチームは開幕から2分1敗と勝星がなく、順位も15位となっています。なおY.S.C.C.の次戦は3月16日にホームで開幕から2連勝中のFC今治戦となっています。

2024明治安田J3リーグ第3節
2024年3月9日@サンプロ・アルウィン
観客:8,882人
松本山雅FC 1-1 Y.S.C.C.横浜
⚽️松本山雅:浅川隼人(79分)
⚽️Y.S.C.C:山本凌太郎(49分)
🟨Y.S.C.C(6)
🟨水戸(1)
🟥Y.S.C.C.(1)

またルクマン選手の水戸戦での活躍を受けて、マレーシア国内でも衛星放送のアストロがY.S.C.Cの試合をこの日の松本山雅FC戦から4月27日の明治安田J3リーグ第11節の奈良クラブ戦まで10試合を放送することを発表しています。

マレーシアの衛星放送アストロによるルクマン選手の松本山雅FC戦ハイライト映像
代表はW杯予選オマーン戦を前にネパールと非公開で対戦

3月22日のW杯アジア2次予選のオマーン戦(アウェイ)に向けて、3月8日より代表候補合宿が始まっています。今季のマレーシアスーパーリーグは5月開幕となっていることから、プレシーズンの連取が始まっていないクラブもある中で、マレーシアサッカー協会FAMは早めに合宿を始めてます。これに対して今回の代表候補合宿参加者33名中9名が所属するジョホール・ダルル・タジムFCは、FIFAの規定に沿って次チームの選手の代表合宿参加を試合の1週間前となる3月15日とするなど、代表候補合宿には招集された33名全員が集まらない状況で始まっています。

その代表候補合宿初日を終えた後、メディアに対応したキム・パンゴン監督は、3月15日にクアラ・ルンプール近郊で非公開でネパール代表との練習試合を行うと話しています。これを報じたマレーシア語紙のブリタハリアンによると、FIFA国際マッチカレンダーが3月18日からであることから、アウエイマッチのオマーン戦前に練習試合を組むことが難しい中、なんとかネパール戦を組むことができたようです。

また3月15日の試合には、この日から代表に合流することになっているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の選手が出場しない可能性が高く、その場合には1月のアジアカップ2023の韓国戦を代表に取ると、先発11名中、アリフ・アイマン、ラヴェル・コービン=オング、シャールル・サアド、シーハン・ハズミが不在ということになります。

W杯予選オマーン戦はブキ・ジャリルで開催へ

3月22日に行われるW杯アジア2次予選のマレーシア対オマーン戦は、オマーンの首都、マスカットにあるスルタン・カーブース・スポーツコンプレックスで開催されますが、その4日後の26日にはマレーシアがホームでオマーンと対戦することが決まっています。本来なら、ホームでの代表戦はクアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場一択なのですが、先月2月24日に英国のシンガーソングライター、エド・シーランのコンサート会場となり、ピッチの状態が心配されていました。しかしマレーシアサッカー協会(FAM)は、予定通りオマーン戦はブキ・ジャリル国立競技場で行われることを発表しています。

FAMの公式サイトでの発表によると、FAMのハミディン・アミン会長はブキ・ジャリル国立競技場を運営するマレーシア・スタジアム社のハンス・アイサック会長、キム・パンゴン代表監督とピッチの状況を視察した結果、試合開催可能と判断したということです。これ以前にハミディン会長は、FAMによると視察でピッチの状態に問題ありとなった場合には、ジョホール州のスルタン・イブラヒム・スタジアムやトレンガヌ州のスルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアムが代替候補となると述べていました。

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またFAMは3月26日のオマーン戦のチケットも販売を開始しています。バックスタンドが大人40リンギ(およそ1,260円、1リンギはおよそ31円)、子ども5リンギ、メインスタンドが60リンギ、プレミアム席が80リンギとなっています。なお来週3月11日からはイスラム教の断食月が始まることから、この試合は午後10時キックオフ(!)となっています。

今季の3部リーグは外国籍選手2名の登録が可能に-ただし18歳から21歳まで

3部リーグに当たるM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)は、今季より外国籍選手の登録が可能となることを発表しています。

リーグの冠スポンサーMBSB銀行からMBSBカップとも呼ばれるM3リーグは今年5月に開幕予定ですが、、今季から外国籍選手の2名の登録が可能となることがAFCの公式サイトで発表されています。

AFLのユソフ・マハディチェアマンは、M3リーグでの外国籍選手の登録については、1クラブあたり最大で2名までとすること、また選手1名当たりその6ヶ月分の給料をAFLに一時金として預けること、そして登録時の年齢は18歳から21歳まで歳、その選手が23歳になるまでM3リーグでのプレーが可能とすることなどAFL独自の規定は、給料未払い問題の発生を未然に防止する目的があると話しています。

2019年以来となる外国籍選手の登録解禁ですが、これによりリーグのレベルが上がることが期待でき、またリーグの商業価値も上がるだろうとユソフ会長は話しています。その一方で外国籍選手枠は各クラブに強制されるものではないとしていますが、将来的に1部スーパーリーグ昇格を目指すクラブには外国籍選手が在籍するクラブとの対戦が増えることに利点がある他、スーパーリーグクラブとの対戦があるカップ戦では、ピッチ上では同時に5名がプレーできるスーパーリーグクラブとの差を埋める役に立つだろうと話しています。

また今季のM3リーグの編成については、昨季出場の13クラブ中、既に9クラブが参加を表明する一方で、昨季5位のサインスFCと同12位のサラワク・ユナイテッドFCが出場を取りやめることを発表しています。更にM3リーグの出場クラブ数を維持するために、昨季はスーパーリーグでプレーしたクランタンFCと、サラワク州シブを本拠地とする昨季の4部M4リーグで4位のマチャンFCからのリーグ参加申請を既に受け取っていることも明らかにしています。