10月10日のニュース
戦闘の余波はサッカーにも-パレスチナがムルデカ大会出場辞退

戦闘の余波はサッカーにも-パレスチナがムルデカ大会出場辞退

1957年に当時のマラヤ連邦が英国から独立したことを記念して第1回大会が開催されたムルデカ大会。ムルデカとはマレーシア語で「独立」を表す。2013年以来10年ぶりの開催となった今回のムルデカ大会は、10月のFIFA国際マッチデー期間を利用して開催されますが、このムルデカ大会に出場予定だったパレスチナが出場辞退を正式に表明しています。

10月7日早朝にパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルに対して始めた大規模攻撃に関連して、双方で計1千人を超える死者が出ています。当然のことながらサッカー云々という事態ではありませんが、イスラエルが加盟している欧州サッカー連盟(UEFA)は8日、イスラエルでの試合開催に関して、全ての試合を延期し、新たな日程は今後決定されることを発表しています。 延期される試合は、ユーロ2024予選10月12日のイスラエル代表対スイス代表、U-21欧州選手権2025年大会予選10月12日のイスラエルU21代表対エストニアU21代表、10月17日のイスラエルvsドイツなどです。

一方、アジアサッカー連盟(AFC)に加盟しているパレスチナ代表は、10月13日から始まるムルデカ大会でタジキスタン代表と対戦、さらに10月17日には決勝戦、あるいは3位決定戦でマレーシア代表あるいはインド代表との対戦が予定されていました。しかし、戦闘が続く現在の状況では安全にパレスチナを出国できないことから正式に大会出場辞退を表明しています。

今回が第42回大会となるムルデカ大会ですが、当初は開催国マレーシア、インド、パレスチナ、ヨルダンの4カ国が出場することが発表されましたが、今年7月に行われたFIFAワールドカップ2026年大会アジア予選の組み合わせ抽選の結果、パススチナとヨルダンがオーストラリア、モルジブ対バングラデシュの勝者とともに予選I組に入ったことから、ヨルダンが出場辞退し、代わりにタジキスタンが出場することになった経緯もあります。

タジキスタンが出場し4カ国出場となった今回のムルデカ大会は、10月13日にはパレスチナ代表対タジキスタン代表、マレーシア代表対インド代表の2試合が行われ、両試合の勝者は10月17日の決勝へ進出し、敗者は同日の3位決定戦に回る、というのが当初の大会形式でした。しかし出場国が3カ国になったことを受けて大会日程の変更が危ぶまれる中、マレーシアサッカー協会(FAM)は本日、公式サイト上にムルデカ大会の形式は変更しないことを発表しています。

この発表によると、マレーシア代表は予定通り10月13日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場でインド代表と対戦する一方で、タジキスタン代表は「不戦勝」となり、10月17日の決勝戦への出場権を獲得、決勝では同じブキ・ジャリル競技場でマレーシア代表とインド代表の試合の勝者と対戦することが決定されたということです。

この決定により、10月13日はマレーシア代表対インド代表の1試合のみが行われ、10月17日も決勝戦のみが行われることとなりました。なおFAMによると、パレスチナ代表による出場辞退から代替出場チームを見つけるには時間的制約があることから、インド代表、タジキスタン代表の関係者との協議を行い、今回発表された変速試合日程は今回のムルデカ大会参加国の間で合意された内容に基づくものであるということです。

10月7日のニュース
ムルデカ大会出場の代表メンバー25名が発表
バンコク乱射事件が起きたモール近くにいたジョホールオーナーが体験を語る

ムルデカ大会出場の代表メンバー25名が発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトで、昨日10月6日から始まっている代表合宿の参加者25名が発表されています。

ポジション氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ27JDT
スハイミ・フシン29TRE
アズリ・アブドル・ガニ24KLC
DFマシュー・デイヴィーズ28JDT
ラヴェル・コービン=オング32JDT
シャルル・ナジーム24SEL
クエンティン・チェン24SEL
ドミンク・タン26SAB
ダニエル・ティン31SAB
アザム・アズミ22TRE
ディオン・コールズ27BRU
ジュニオール・エルドスートル32DWU
MFエンドリック・ドス・サントス28JDT
アリフ・アイマン21JDT
サファウィ・ラシド26JDT
ブレンダン・ガン35SEL
ムカイリ・アジマル22SEL
スチュアート・ウィルキン25SAB
エゼキエル・アグエロ29SRP
ヌル・シャミイ・イスズアン28SRP
パウロ・ジョズエ34KLC
ノーア・レイン21SJK
FWアキヤ・ラシド24JDT
ファイサル・ハリム25SEL
ダレン・ロック33SAB
所属:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SEL-スランゴールFC、SAB-サバFC、SRP-スリ・パハンFC、TRE-トレンガヌFC、KLC-KLシティFC、BRU-ブリーラム・ユナイテッド(タイ1部)、DWU-デワ・ユナイテッド(インドネシア1部)、SJK-セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ(フィンランド1部)

マレーシア代表のキム・パンゴン監督は9月のFIFA国際マッチカレンダーで招集した25名中21名を再び招集しています。今回外れたGKカラムラー・アル=ハフィズ(クダ・ダルル・アマンFC)、MFアザム・アジー(スリ・パハンFC)、DFシャールル・サアド、DFシャーミ・サファリ(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)に代わり新たに招集されたのは、先月のAFC U23アジアカップ2024予選に出場したMFムカイリ・アジマル(スランゴールFC)、DFアザム・アズミ(トレンガヌFC)、国外組のMFノーア・レイン(フィンランド1部セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ)の3名と、今回が代表初招集となるGKスハイミ・フシン(トレンガヌFC)です。

マレーシア代表は、インド、パレスチナ、タジキスタンが出場して10月13日に開幕するムルデカ大会初戦でインド代表と対戦します。この試合に勝利した場合は同17日の決勝でパレスチナ対タジキスタンの勝者と、敗れた場合は同じ試合の敗者との3位決定戦に回ります。

バンコク乱射事件が起きたモール近くにいたジョホールオーナーが体験を語る

ACL第2節でBGパトゥム・ユナイテッドを4ー1で破ったジョホール・ダルル・タジム。そののオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、この試合を観戦するために家族とバンコクを訪れていましたが、その滞在先となったホテルが先日バンコク市内中心部で起こった乱射事件の舞台となったショッピングモールに隣接していたことを明らかにしています。

バンコク中心部のショッピングモール「サイアム・パラゴン」で3日午後4時半(日本時間同6時半)ごろに14歳の少年が買い物客らに向けて次々と発砲し、中国人観光客とモールのミャンマー人店員の2人が亡くなり、重傷者を含む5人が負傷する事件がおこりましたが、イスマイル殿下は自身のSNSでこの時の状況を語っています。

事件が起こった際に偶然、家族とホテルのロビーにいたイスマイル殿下は、人々が次々と叫びながらホテルのロビーに逃げ込んできたのを見、さらにショットガンが発砲される音も聞こえたことから身構えると、直ちに保安チームにより安全な地下駐車場へと誘導されたということです。

「子どもたちが怖がっている姿は今でも思い起こすことができる。妻が子どもたちを守るようにしゃがみ込んで落ち着かせ、自分と保安チームがそれを守るようにして立ちはだかった。そして、保安チームには車を用意するように命じるとともに、速やかに現場から離れて安全な場所を見つけて避難する手配をするように命じた。」と投稿したトゥンク・イスマイル殿下は、当初はバンコク市内のマレーシア大使館に向かうよう保安チームに命じましたが、より近くにシンガポール大使館があることがわかると、ジョホール州にあるシンガポール大使館経由で支援を求め、無事、大使館に避難したということです。

大使館到着後は、マレーシアの首相と国防相に連絡を入れ、事情を説明した後、その日の夜に行われたジョホールの試合を見ずに帰国の途についたと述べたトゥンク・イスマイル殿下は、試合を見られなかったのは残念だが、家族と保安チームに怪我がなかったことに安堵していること、そして今回の出来ことが自身が経験した最悪の経験だったとも述べ、マレーシアとシンガポールの関係者に感謝の意を表して投稿を締め括っています。

AFCカップ2023/24
東南アジアゾーンG組第2節-トレンガヌは敵地で引き分け、H組第2節-サバは5点大勝で首位浮上

AFCカップ2023/24東南アジアゾーンのグループステージ第2節が行われ、マレーシアから出場しているトレンガヌFC(2022年シーズン2位)とサバFC(同3位)の両チームは、いずれもインドネシアのクラブと対戦し、トレンガヌは2021/22シーズン覇者のバリ・ユナイテッドと対戦して1-1の引き分け、またサバは2022/23シーズン王者のPSMマカッサルを5ー0で破っています。
(試合のハイライト映像はアストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより)

AFCカップ2023/24 G組第2節-トレンガヌは敵地で引き分け

バリ・ユナイテッドは昨季のAFCカップ2022グループステージが開催された2022年6月30日に、サポーターが発煙筒を焚いたり、爆竹を鳴らしたりなどの行為を行ったことのよる制裁処分として、この日、ホームのカプテン・イ・ワヤン・ディプタ・スタジアムでの入場者数が定員の4分の1に制限されることが試合前に発表されています。なお、この処分と同時にAFCより科せられた罰金3万米ドル(およそ450万円)は既に支払い済みだったようです。世界一熱狂的なサポーターとも言われるインドネシアのサポーターですが、この入場者数制限はアウェイのトレンガヌFCにとっては朗報でした。

この試合直前に行われた国内リーグ9月29日のスランゴール戦では0-4と完敗したトレンガヌでしたが、その試合ではこの日の先発XIのその名を連ねたGKスハイミ・フシン、FWソニー・ノルデらが欠場するなどローテーションも行い、この試合には万全で臨みました。なお、この試合は今季国内リーグでチーム最多の10ゴールを挙げているFWイヴァン・マムートがベンチ外となる一方で、今季はわずか6試合しか先発していない長身DFアルグジム・レゾヴィッチが先発するなど、アウェイということもあってか、トレンガヌのトミスラフ・スタインブリュックナー監督は守備に重点を置いた布陣を選択しています。(以下のこの試合のトレンガヌの先発XI)

グループステージ初戦ではいずれも勝利している両チームの対戦となったこの試合は、ホームのバリ・ユナイテッドが優勢で試合が進むも、トレンガヌDFがその攻撃に耐えて前半を0-0で折り返します。後半に入ると、トレンガヌもソニー・ノルデを中心にシュートを狙いますが、バリ・ユナイテッドが攻め込む場面が続く中、54分に右コーナーキックからのボールをジャジャン・ムルヤナを頭で落とすとそのボールをプリヴァト・ムバルガが蹴り込んでゴール!バリ・ユナイテッドがついに先制します。

初戦のセントラル・コースト・マリナーズ戦に続く連勝を目指すトレンガヌですが、この試合ではワントップで先発したアディソン・クライソーンが不発に終わると、ストライカーのシャーミ・ザムリを交代で投入しますが、これが功を奏します。トレンガヌは84分に左サイドでコーナーキックを得るとソニー・ノルデからのボールはファーサイドのノー・ハキム・ハサンへ。これを折り返すとニアサイドにいたシャーミ選手が押し込んで、トレンガヌがついに同点に追いつきます。

試合はこのまま終了し、勝点4で両チームが並びましたが、得失差でバリ・ユナイテッドが1位、トレンガヌが2位となっています。

ACLカップ2023/24 グループステージG組第2節
2023年10月4日@カプテン・イ・ワヤン・ディプタ・スタジアム(バリ、インドネシア)
観衆:2,180人
バリ・ユナイテッドFC 1-1 トレンガヌFC
⚽️バリ・ユナイテッド:プリヴァ・ムバルガ(54分)
⚽️トレンガヌ:シャーミ・ザムリ(84分)
🟨バリ・ユナイテッド(0)
🟨トレンガヌ(2):アリフ・ザカリア、アズグジム・レゾヴィッチ

G組のもう1試合はセントラル・コースト・マリナーズが大量9点を挙げて圧勝しています。

ACLカップ2023/24 グループステージG組第2節
2023年10月4日@セントラル・コースト・スタジアム(ゴスフォード、オーストラリア)
観衆:4,037人
セントラル・コースト・マリナーズFC 9-1 スタリオン・ラグナFC
⚽️CCマリナーズ:ディラン・ヴェンツル-ホールズ2(6分、57分)、マルコ・トゥーリオ3(28分、44分、90+2分)、ブライアン・カルタック(63分)、アルー・クオル(70分)、アンヘル・トーレス(75分)、ジョシュ・ニスベット(85分)
⚽️スタリオン:フアン・トゥルヒーヨ(31分)
🟨マリナーズ:ウィリアム・ウィルソン、ネイサン・ポール
🟨スタリオン:アブラハム・プラシート
スタリオン・ラグナFCの野村悠太選手は50分から交代出場、中村玲央選手はベンチ入りしませんでした。

AFCカップ2023/24 グループステージG組順位(第2節終了)

順位チーム勝点
1バリ・ユナイテッド21106334
2トレンガヌ21102114
3セントラル・コースト21019273
4スタリオン・ラグナ2002314-110
AFCカップ2023/24H組第2節-サバは5点大勝で首位浮上

サバが2連勝でH組の首位に浮上しています。

初戦のホウガン・ユナイテッド(シンガポール)戦を3-1と快勝したサバと、同じ初戦でハイフォン戦に0-3と敗れているPSMマカッサルの試合は、前日のバリ・ユナイテッド対トレンガヌ戦と同じ、バリのプテン・イ・ワヤン・ディプタ・スタジアムで行われました。(下はこの日の両チームの先発XI)


開始からアウェイのサバが積極的に攻める試合は6分に動きます。左サイドで粘ったインドネシア代表サディル・ラムダニからのクロスをゴール前のダレン・ロックへ。これをPSMマカッサルDFと競ることなくマレーシア代表FWのロック選手がヘディングシュート決めてサバが先制します。これでギアが入ったのか、PSMマカッサルもペースを上げてサバゴールに迫りますが、GKダミエン・リムの好セーブなどもあり、1-0のまま試合は進みます。さらに36分には、今度は右サイドからのサディル選手のクロスをガブリエル・ペレスが頭で合わせてゴール!このゴールでサバが2ー0として前半を終えます。

後半開始直後にも、右サイドでボールを得たサディル選手がドリブルでPSMマカッサルペナルティエリア内まで持ちこみ、そこからのマイナスのパスをロック選手がこの試合2得点目、初戦と合わせて4得点目となるゴールを決めて、サバがリードを広げます。さらに57分にはPSMマカッサルGKレザ・アーヤがこの試合で絶好調のサディル選手を自陣ペナルティエリアの外で倒して1発レッドで退場となり、劣勢のPSMマカッサルは10人となってしまいます。サディル選手のフリーキックはゴールとはならなかったものの、73分にはスチュアート・ウィルキンのフリーキックで4点目、さらに途中出場のファルハン・ロスランが右サイドからGKまで一気に切り込んだミゲル・シフエンテスのパスを押し込んで5点目と大量点を挙げたサバが昨季のインドネシア王者に圧勝しています。

AFCカップ2023/24 グループステージH組第2節
2023年9月21日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:334人
PSMマカッサル 0-5 サバFC
⚽️サバ:ダレン・ロック(6分、46分) ガブリエル・ペレス(36分)、スチュアート・ウィルキン(73分)、ファルハン・ロスラン(90+3分)
🟨マカッサル(0)
🟨サバ(3):ダニエル・ティン、ダレン・ロック、ミゲル・シフエンエス、
🟥マカッサル(1):レザ・アーヤ
PSMマカッサルの南部健造選手は後半から出場しています。

H組のもう1試合は、初戦でサバに敗れていたホウガン・ユナイテッドがジョルジェ・マクシモビッチの2ゴールでハイフォンに逆転勝ちしています。

ACLカップ2023/24 グループステージH組第2節
2023年10月4日@ジャラン・ブサル・スタジアム(シンガポール)
観衆:467人
ホウガン・ユナイテッドFC 2-1 ハイフォンFC
⚽️ホウガン:ジョルジェ・マクシモビッチ2(82分、90+3分)
⚽️ハイフォン:ユーリ・マムチ(56分)
🟨ホウガン(2):髙山和真、アミル・ザラニ
🟨ハイフォン(0)
ホウガン・ユナイテッドの髙山和真、栗山直樹両選手はいずれも先発してフル出場しています。

ACL2023/24 グループステージH組順位(第2節終了)

順位チーム勝点
1サバ22008176
2ハイフォン21014223
3ホウガン・ユナイテッド210134-11
4PSMマカッサル200208-80

AFCチャンピオンズリーグ2023/24
グループステージI組第2節-ジョホールは4発快勝で今季初勝利


2023/24シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)第2節が行われ、グループステージI組のACL5季連続出場となったジョホール・ダルル・タジムFC(ジョホール)はアウェイでのBGパトゥム・ユナイテッド戦に臨み、4-2で逆転勝利し、得失差で川崎フロンタールに注ぐグループ2位に浮上しています。

ジョホールは9月27日の国内リーグPDRM FC戦から5日空いたこともあってか、第1節9月19日の0-1で敗れた川崎フロンターレ戦と全く同じ11名が先発、一方のBGパトゥム・ユナイテッドは、9月29日のランプーン・ウォリアーズ 戦から中3日。トンチャイ・スッコキ監督は1-3で敗れている第1節の蔚山現代戦からは5名を入れ替え、前川崎のチャナティップ・ソングラシンや、前清水のティーラシン・デーンダーを今季ACL初先発させています。(以下は両チームの先発XI)


第1節で共に敗れた両チームの顔合わせとなったこの試合は、開始早々、ジョホールのシェーン・ローリーが自陣ペナルティエリア内で、BGパトゥムのダニーロ・アウヴェスへファウル。VARも入り、BGパトゥムへのPKが確定すると、これをヴィクトル・カルドソがゴール。ジョホールGKシーハン・ハズミはボールに触れるも止めることはできず、BGパトゥムが先制します。しかし、その興奮も冷めやらぬ中、自陣ハーフからジョルディ・アマトが出したロングボールを受けたアリフ・アイマンがファーストタッチからそのままシュート!BGパトゥムDFにチャージする間も与えない素早い動きを見せたアリフ選手のゴールで、ジョホールはあっという間に追いつきます。

このゴールでペースを掴んだジョホールは、12分には中央からヘベルチ・フェルナンデスがドリブルでペナルティエリア手前まで持ち込みます。BGパトゥムDFをしっかりと引きつけてから左サイドを上がってきたベルグソン・ダ・シルヴァへ。フリーとなっていたベルグソン選手がこれをゴールし、ジョホールが逆にリードを奪います。その後はこの試合を通じて躍動したアリフ選手や、フアン・ムニスらがBGパトゥムゴールを狙いますが得点には至らず、前半はジョホール1点リードで終了します。

後半に入ってもジョホールの勢いは止まらず、53分にはベルグソン選手の放ったシュートをBGパトゥムGKチャッチャイ・プドプロムが防ぐも、このこぼれ球に詰めていたムニス選手がゴールへ押し込んで、ジョホールがリードを2点に広げます。しかしその直後には右サイドのティーラシン・デーンダーからのパスをチャナティップ・ソングラシンがゴール前へ絶妙なボールを送ると、これをフェロズ・バハルディンとマシュー・デイヴィーズに挟まれながらもカルドソ選手がヘディングシュートを決め、BGパトゥムが1点差と迫ります。

しかし78分にはハーフラインからのスローインを受けたアリフ選手が右サイドで得意の高速ドリブルを駆使してBGパトゥムDFを抜き去ると、最後はGKチャッチャイ選手とゴールポストのわずかな隙間を狙ってシュート。これが決まって再びリードを2点差としたジョホールがそのまま逃げ切って、今季ACL初勝利を挙げると共に、勝点で並んだ蔚山現代を得失差で上回ってI組の2位に浮上しています。

ACL2023/24のグループステージI組の次節第3節は、BGパトゥムはホームに川崎フロンターレを迎え、ジョホールは蔚山現代とのアウェイマッチが10月24日に予定されています。

ACL2023/24 グループステージI組第2節
2023年10月3日@BGスタジアム(パトゥムターニー、タイ)
観衆:5,964人
BGパトゥム・ユナイテッド 2-4 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️BGパトゥム:ヴィクトル・カルドソ2(5分、55分)
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン2(6分、78分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(12分)、フアン・ムニス(53分)
🟨BGパトゥム(4):ヴィクトル・カルドソ、サーラット・ユーイェン、イゴール・セルゲーエフ、フレディ・アルヴァレス
🟨ジョホール(2):フアン・ムニス、ホン・ワン
ジョホールの邦本宜裕選手は初戦に続き、ベンチ外でした。

(試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

I組のもう一試合は、ホームの川崎フロンターレが試合終了間際に橘田健人のゴールで勝利し、2連勝でI組首位となっています。蔚山現代は初戦でハットトリックを決めたマルティン・アーダームがこの試合では不発で、無得点に終わっています。(以下は両チームの先発XI)


ACL2023/24 グループステージI組第2節
2023年10月3日@等々力陸上競技場
観衆:9,382人
川崎フロンターレ 1-0 蔚山現代
⚽️川崎:橘田健人(89分)
🟨川崎(1):瀬川祐輔
🟨蔚山現代(1):金太煥(キム・テファン)、

ACL2023/24 グループステージI組順位(第2節終了)

順位チーム勝点
1川崎F22002026
2ジョホール21014313
3蔚山現代21013213
4BGパトゥムU200237-40

2023マレーシアスーパーリーグ
第22節結果とハイライト映像(2)-スランゴールはマレーシアカップ準々決勝で敗れたトレンガヌ相手に4発快勝、クダはスランゴールとの勝点差を5に詰める

マレーシアスーパーリーグ第22節の1試合が行われ、9月24日のマレーシアカップ準々決勝では、ホームアンドアウェイの通算成績1-3でトレンガヌFCに敗れていたスランゴールFCが、その敗戦の鬱憤を晴らすかの様にトレンガヌのホームで4ゴールを決めて勝利しています。今季はすでにジョホール・ダルル・タジムFCが優勝を決めており、残る4節では来季新設されるAFCチャンピオンズリーグ2の出場権がかかるリーグ2位争いに注目が移っていますが、このスランゴールと、今節KLシティを破ったクダ・ダルル・アマンとの勝点差は5となり、スランゴールは残り3試合、クダは残り4試合と最後まで争いが続きそうです。
 また9月29日にスルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)で予定されていたクランタンFC対サバFCは、試合前の豪雨によりピッチが冠水し試合開催が不可能となったため、順延されています
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年9月29日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆: 7,456人
トレンガヌFC 0-4 スランゴールFC
⚽️スランゴール:ヨハンドリ・オロスコ2(26分、41分)、ファイサル・ハリム(52分)、アリフ・イズワン・ユスラン(81分)
🟨トレンガヌ(0)
🟨スランゴール(1): ハリス・ハイカル
MOM:ヨハンドリ・オロスコ(スランゴールFC)

9月24日に行われたマレーシアカップ準々決勝と同じマッチアップとなったこの試合は、5日前に引き分けてマレーシアカップ準決勝進出を逃したリーグ2位のスランゴールが、6位のトレンガヌに快勝して、3位のクダとの勝点差を5に広げています。

5日後の10月4日にAFCカップ第2節、アウェイのバリ・ユナイテッド(インドネシア)戦が控えるトレンガヌは、この試合よりもAFCカップを重視したのか正GKスハイミ・フシン、MFソニー・ノルデ、FWイヴァン・マムートら主力選手が先発から外れる一方、アディソン・クライソーンは7月16日の第17節以来、オミド・ナズリは7月28日の第18節以来の先発となるなど、マレーシアカップ準々決勝とは異なる布陣で臨みました。

メンバーを落としたトレンガヌは立ち上がりこそ後期を作ったものの、試合は徐々にスランゴールのペースとなり、26分にヨハンドリ・オロスコがペナルティエリアの外からシュートを決めて、スランゴールが先制します。さらに40分にはムカイリ・アジマルが放ったミドルシュートをトレンガヌGKラーディアズリ・ラハリムが弾くと、そのボールに詰めていたオロスコ選手がこれを押し込んで、スランゴールがリードを広げます

後半に入ると50分には右サイドのオロスコ選手からのクロスをムカイリ選手が折り返し、これを代表のエース、ファイサル・ハリムが蹴り込んで3点目。さらにそのファイサル選手と交代して出場したU23代表でプレーする19歳のアリフ・イズワン・ユズランが81分に自身今季2得点目となるゴールを決めて、スランゴールがトレンガヌのホーム、スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアムでは5年ぶりとなる勝利を挙げています。

2023年9月30日@KLフットボール・スタジアム(クアラルンプール)
観衆:2,068人
KLシティFC 0-1 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️クダ:イフェダヨ・オルセグン(45+2分PK)
🟨KLシティ(0)
🟨クダ(2):ファズルル・ダネル、ボヤン・シーゲル
MOM:イフェダヨ・オルセグン(クダ・ダルル・アマンFC)

AFCチャンピオンズリーグ2の出場権がかかるリーグ2位争いでスランゴールを追う3位クダは、この試合を落とせば残り4試合で勝点差が8と開くところでしたが、僅差の接戦を制して2位争いに踏みとどまっています。

今季のカップ戦では既に敗退しているクダにとっては、リーグ戦での上位進出が今季の唯一の目標となっていますが、この日の相手KLシティには4月18日の第9節ではホームで敗れています。一方、現在7位のKLシティはリーグ戦よりも今月10月に行われるマレーシアカップ準決勝に向けてケガ人が多いチーム状況を立て直したいとこ露です。それぞれの思惑が交錯する中、クダはベストメンバーで、KLシティはチーム得点王のロメル・モラレス、パウロ・ジョズエ両選手がベンチスタート、正GKケヴィン・メンドーザはベンチ外となる布陣でこの試合に臨んでいます。

試合はクダが開始直後から圧倒的な主導権を握るも、クダの放つシュートがいずれもゴールの枠を捉えることができず、得点には至りません。そんな中、前半ロスタイムにKLシティのナジルル・ナイムが自陣ペナルティエリア内でクダのファズルル・ダネルを倒してPKを与えてしまいます。これを今季途中から加入ながらチーム得点王のイフェダヨ・オルセグンが7試合で7得点目となるゴールを決めて、クダが先制します。

リードを奪われたKLシティのネナド・バチナ監督は後半からパウロ・ジョズエやロメル・モラレスを次々と投入し、ジョズエ選手得意のフリーキックなど見せ場はあったもののゴールには至らず、1点のリードを守り切ったクダが2位争いに残りました。

2023年9月30日@ダルル・マクモル・スタジアム(パハン州クアンタン)
観衆: 1,617人
スリ・パハンFC 3-2 クチンシティFC
⚽️スリ・パハン:ステファノ・ブルンド(13分PK)、クヴォンディク・ルジエフ(43分)、ラファエル・ダ・シルヴァ(62分)
⚽️クチンシティ:ペドロ・エンリケ(16分)、アブ・カマラ(25分)
🟨スリ・パハン(2):アスリフ・ナスルルハク、クパー・シャーマン
🟨クチンシティ(1): アイマン・ジョアニ
MOM:エゼキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

いずれもシンガポール出身監督が指揮する両チームの対戦は、61歳のファンディ・アフマド監督率いるリーグ5位のスリ・パハンが、今季後半に就任した46歳のアイディル・シャリン監督率いる最下位14位のクチンシティをホームに迎えましたが、今季1勝のクチンシティを相手に苦しみながらもスリ・パハンが逆転で勝利しています。

クチンシティのペナルティエリア内で微妙な判定からPKを得たスリ・パハンはステファノ・ブルンドがこれを決めて先制します。9月19日のチャレンジカップではクダ・ダルル・アマンFCを破り、アイディル監督就任以来初勝利を挙げているクチンシティは、その3分後、すぐさま反撃に転じます。右サイドで得たフリーキックをアリフ・ハサンがゴール前へ送ると、東ティモール代表FWペドロ・エンリケが頭で合わせて同点ゴールを決めます。今季途中までアイディル・シャリン監督のもとインドネシア1部のプルシカボ1973でプレーし、今季途中にクチンシティに移籍したエンリケ選手の移籍後初ゴールで追いついたクチンシティは、さらに25分、エースのアブ・カマラがコーナーキックからチームトップとなる今季11点目のゴールをヘディングで決めて、クチンシティが逆転します。しかし、スリ・パハンも43分、ペナルティエリア近くのボールに飛び出したクチンシティGKワン・アズラエの位置を見計らう様にクヴォンディク・ルジエフが絶妙のループシュートを決めて同点に追いつきます。

前半を2-2の同点で折り返すと、後半はスリ・パハンのペースで試合が進むものの、GKワン・アズラエ選手の好セーブなどもありクチンシティも粘りを見せますが、62分にクパー・シャーマンからのパスをペナルティエリア内で受けたラファエル・ダ・シルヴァが追い縋るクチンシティDF2人を振り切ってゴールを決め、これが決勝点となったスリ・パハンが勝利しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第22節途中)

順位チーム勝点
1JDT2221108677964
2SEL23171564214352
3KDA22152543251847
4SAB23134650331743
5SRP20124435211440
6TRE22105739271235
7KLC228773835331
8PDRM208392127-627
9NSE214982641-1521
10PEN2154122538-1319
11PRK2144131647-3116
12KLU2125142254-3211
13KEL2223172487-639
14KCH2114161744-277
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第22節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2137/59423
2フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1831/62717
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)1632/85419
4クパー・シャーマン(SRP)1122/41721
ファイサル・ハリム(SEL)1126/38720
アブ・カマラ(KCH)1117/39119
7イヴァン・マムート(TRE)1025/54118
8ステファノ・ブルンド(SRP)919/40020
9ウィリアン・リラ(KDA)811/36214
ロメル・モラレス(KLC)817/31218
パウロ・ジョズエ(KLC)825/46419
アリフ・アイマン(JDT)818/431021
フアン・ムニス(JDT)820/42420
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

9月29日のニュース
マレーシアサッカー協会はマレーシア滞在中の本田圭佑氏のU23代表監督就任を否定
前スランゴール監督がアジア大会でミャンマー代表を指揮-日本と対戦も0-7で敗れる
サウジアラビアでの大会位出場中の女子代表は準決勝でレバノンに敗れて3位決定戦へ

マレーシアサッカー協会はマレーシア滞在中の本田圭佑氏のU23代表監督就任を否定

自身のSNSでマレーシア滞在中であることを明らかにした本田圭佑氏に対して、マレーシアのサッカーファンからは、現在空席になっているU23代表監督に就任して欲しいという声が続々と上がり、さらにはカンボジア代表では実質上の監督を務めていたこともマレーシアではよく知られていることから、マレーシア訪問の理由がまさにU23代表監督候補としてマレーシアサッカー協会FAMとの面接ではないのか、といった噂も飛び交う中、FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長は、その噂を全面的に否定しています。

本田氏は9月26日に”I have been visiting KL(Malaysia). I’d love to meet new people for learning new things.”「KL(=クアラルンプール)に来ています。新しいことを学ぶために新しい人たちに会いたいです。」、さらに続けて”How about if I play football in Malaysia in the future? I think you’ll get to see the best Japanese player”「もしマレーシアでプレーするとしたらどうですか。最高の日本人プレーヤーを目の当たりにすることができると思います。」と投稿すると、多くのマレーシアサッカーファンが反応しました。そんな中で多く見られたのが、A代表のコーチと兼職していたE・エラヴァラサン氏が9月18日に辞任して空席になっているU23代表監督への就任を求める声でした。

そんな声が高まる中、来月13日から始まるムルデカ大会関連のイベントでの記者会見で報道陣の質問に答えたノー・アズマン事務局長は、U23代表監督の候補者についての話し合いはFAM内で進んでおり、近いうちに正式な発表があるとした上で、本田氏がU23代表監督候補ではないと話しています。

前スランゴール監督がアジア大会でミャンマー代表を指揮-日本と対戦も0-7で敗れる

現在、中国の杭州市を中心に開催されている2022年アジア競技大会。マレーシアは今年2月には早々と男子、女子ともサッカーへの不参加を表明していますが、マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、不参加表明時には全ての大会に参加した結果、何も得られないのでは意味がないとして、U23代表は5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズ、8月の東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権、そしてパリオリンピック予選に繋がる9月のAFC U23アジアカップ予選を優先することを理由に挙げていました。しかし今振り返ってみればシーゲームズはグループステージ敗退、AFF U23選手権は4位、AFC u23予選はグループ2位に終わりながらも、なんとか本戦出場を決めています。

そんなマレーシア代表が不在で進むアジア大会のサッカーに、マレーシアサッカーでは見慣れた顔が見られると英字紙スターが報じています。その顔とは2020年から2022年までスーパーリーグのスランゴールFCでテクニカルディレクターTD、そして監督も務めたミヒャエル・ファイヒテンバイナー氏です。このアジア大会では、ミャンマーU24代表の監督として出場しているファイヒテンバイナー氏は、グループステージでは開催国中国、インドなどと同組になりながらも、インドと1-1で引き分けるなどしてミャンマーをベスト16に進出させています。

スターの取材に応じたファイヒテンバイナー氏は、ミャンマーU23代表は若くて発展途上のチームであると話し、アジア大会はチームにとって様々なことを学んで成長するための場であると話しています。「今大会に出場しているミャンマーU24代表の平均年齢は21歳で、この大会に出場している他のU24代表よりも3歳以上若い選手で構成されている。選手たちはミャンマー国内リーグでプレーはしているが、よりレベルが高い他のチームとの対戦は貴重な経験となっている。」と話した63歳のファイヒテンバイナー氏はドイツ出身で、2020年にスランゴールFCのSDに就任すると、2021年には浦和でもコーチ経験がある経験があるカルステン・ナイチェル監督(当時)が成績不振でシーズン途中で解任されると監督に就任し、翌2022年には再びSDに戻り、今年3月からミャンマーサッカー協会と2年契約を結び、A代表とU24代表の監督に就任しています。

*****

なお、昨日9月28日にベスト16で3大会13年ぶりの日本U22代表と対戦したミャンマーU24代表ですが、今夏、ドイツ1部ヴェルダー・ブレーメンに明治大から加入した佐藤恵允選手(ヴェルダー・ブレーメン)の2ゴールなどで前半は5-0、後半も内野航太郎選手(筑波大学)のゴールなどで2-0となり、3日前に行われたグループステージ最終戦から10名の選手を入れ替えた日本に7-0で敗れています。

サウジアラビアでの大会に出場中の女子代表は準決勝でレバノンに敗れて3位決定戦へ

サウジアラビアサッカー協会(SAFF)が主催し、同国タイフで開催中の国際大会に出場中のマレーシア女子代表は9月27日行われた準決勝でレバノンと対戦し、90分を終えて0-0に終わった試合でPK戦3-4で敗れています。この結果、女子代表は9月30日に行われる3位決定戦に回り、開催国サウジアラビアと対戦します。

サウジアラビア、パキスタンと同組になったグループステージA組では、両チームとの対戦がいずれも0-0で終わり、勝点2となった女子代表はA組2位で準決勝に進出していました。一方のB組はレバノンが1位、ブータンが2位、ラオスが3位となっており、準決勝はA組1位のサウジアラビア対B組2位ブータン、A組2位マレーシア対B組1位レバノンとなっていましたが、サウジアラビアはブータンに0-1で敗れ、マレーシアとの3位決定戦に回り、決勝はレバノン対ブータンとなっています。

地元メディアのインタビューに答えたマレーシア女子代表のソリーン・アル=ズービ監督は、試合結果は残念だが、新たに招集した選手が多い今回のチームだったが、格上の相手に選手が全力で挑んだことを誇りに思うと述べ、最後のPK戦に関しては運がなかったとした上で、チーム強化は間違っておらず、結果は必ず現れると主張しています。

2023マレーシアスーパーリーグ
第22節結果とハイライト映像(1)-ジョホールが前人未到のリーグ10連覇達成

マレーシアスーパーリーグ第22節の1試合が行われ、今季優勝まで勝点1と迫っていた首位ジョホールが8位のPDRMに快勝し、4試合を残して優勝を決めるとともに、前人未到のスーパーリーグ10連覇を果たしています。

2023年9月27日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆: 12,666人
ジョホール・ダルル・タジム 4-0 PDRM
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ(37分)、フアン・ムニス(40分)、アリフ・アイマン(54分PK)、フェルナンド・フォレスティエリ(57分)
🟨ジョホール(0):
🟨PDRM(1): マリオ・アルケス
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)
ジョホールの邦本宜裕選手は55分から出場して、試合終了までプレーしています。
PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して、61分に交代しています。

前日の試合前記者会見でエステバン・ソラリ監督が話したように、今季のリーグ戦21試合中20試合に先発しているインドネシア代表CBジョルディ・アマトがベンチ外となり、代わりにフェロズ・バハルディンが先発した以外は、先週のACL第1節、川崎戦と同じ11人が先発し、来週10月3日のACL第2節、BGパトゥム・ユナイテッドを想定した布陣なのは明らかでした。一方のPDRMは、ミャンマー代表DFチョー・ミン・ウー、今季18試合に先発しているDFジェイムズ・オクウォサ、さらにいずれも17試合に先発しているMFファディ・アワドとMFマーカス・マコーリーら主力選手を欠く苦しい布陣でリーグ首位のジョホールと対戦しました。

試合開始からジョホールが一方的に攻め込む展開から次々とシュートが放たれるものの、その多くが枠の外だったため得点に至りませんでしたが、ついに38分、ジョホールが先制しました。9月23日のマレーシアカップ準々決勝、ヌグリスンビラン戦でMリーグ通算101ゴール目を決めていたベルグソン・ダ・シルヴァが、相手DFを引きつけたアフィク・ファザイルからノールックのパスを受けると、PDRMのDFをかわしてシュート。これが決まってジョホールがリードを奪います。さらにその3分後には右サイドを上がってきたマシュー・デイヴィーズからパスを走り込んできたフアン・ムニスがノートラップでシュート。このゴールでジョホールは2-0として前半を折り返します。

後半に入ると、ペナルティエリア内で倒れて倒されてファウルを得たアリフ・アイマンが自身でPKを決めて3-0とすると、57分にはヘベルチ・フェルナンデスからのパスをPDRMのDFラインの裏で受けた途中出場のフェルナンド・フォレスティエリがそのままドリブルで持ち込み4点目のゴールを決めています。終わってみればシュート数はジョホール17本(枠内11本)に対してPDRM1本(枠内0本)と、ジョホールがPDRMに完勝。22試合で勝点64としたジョホールが、4試合を残して今季のスーパーリーグ優勝とリーグ10連覇を決めた試合でした。

ジョホールは開幕から連勝しながら、得失差により今季初めて首位に立ったのは第3節でしたが、そこから首位を譲ることなく、また2位以下との差を徐々に広げました。この日は出場がありませんでしたが、昨季途中に加入したジョルディ・アマトが今季はCBとして安定した力を見せる一方で、ケガで出遅れたDFシェーン・ローリーの穴を23歳のDFフェロズ・バハルディンが埋め、衰えが見えていたMFナチョ・インサに代わって元ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC U 23出身のMFホン・ワンことナサニエル・シオが今季全22試合に先発し、さらに21歳ながら2年連続リーグMVPのMFアリフ・アイマンも今季8ゴール10アシストを挙げるなど、常勝チームながら世代交代も上手く進めています。さらに前半戦を終えて13勝0敗と圧倒的な力を見せつけながらも、今季前半終了後のトランスファーウィンドウではタイ1部リーグで得点王の経験もヘベルチ・フェルナンデスをバンコク・ユナイテッドが期限付き移籍で獲得、またACLでのプレー経験もある邦本宜裕選手をポルトガル1部リーグのカーザ・ピアACから獲得するなど、貪欲な補強を行った結果がこの日の試合を含めた今季22試合で得点86失点7得失差79という数字になっています。

この日のスーパーリーグ優勝でマレーシアFAカップ優勝に続き、今季2つ目の国内タイトルを手にしたジョホールですが、昨年に続く国内三冠達成に向けてマレーシアカップ獲得が残っており、対戦相手がペラに決まった準決勝(ホームアンドアウェイ方式)の2試合、そして決勝1試合とあと3勝で、クダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)が2007年と2008年に達成して以来の2年連続国内三冠達成となります。しかしその前には来週10月3日にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)第2節となるアウェイのBGパトゥム・ユナイテッドが控えており、ホームでの川崎フロンターレ戦に惜敗したジョホールはまずは今季のACL初勝利がかかっています。

この試合のハイライト映像。マレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第22節途中)

順位チーム勝点
1JDT2221108677964
2SEL22161560213949
3KDA21142542251744
4SAB22133650331742
5SRP20124435211440
6TRE21105639231635
7KLC218763834431
8PDRM208392127-627
9NSE214982641-1521
10PEN2154122538-1319
11PRK2144131647-3116
12KLU2015142053-338
13KEL2122172487-638
14KCH1914141439-257
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第22節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2137/58422
2フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1831/62717
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)1632/85418
4クパー・シャーマン(SRP)1121/38620
5イヴァン・マムート(TRE)1027/56117
ファイサル・ハリム(SEL)1025/37719
7アブ・カマラ(KCH)915/37117
8ウィリアン・リラ(KDA)811/36214
ステファノ・ブルンド(SRP)817/36019
ロメル・モラレス(KLC)817/31217
パウロ・ジョズエ(KLC)825/46419
アリフ・アイマン(JDT)818/431021
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

9月27日のニュース
ジョホールは今日にもリーグ10連覇達成
マレーシアカップ準々決勝で試合後に主審を「蹴った」ヤザンには重い処分も

ジョホールは今日にもリーグ10連覇達成

FIFA国際マッチデーやマレーシアカップ準々決勝による中断期間が終わり、今日から1ヶ月ぶりにスーパーリーグが再開します。第21節を終えて20勝1分0敗、勝点61で首位に立つジョホール・ダルル・タジムFCは、消化試合数が1試合多い2位スランゴールFCに勝点差12をつけています。ジョホールは今季残り試合が5試合、スランゴールは4試合となっており、ジョホールは本日開催される第22節PDRM FC戦で引き分け以上であれば今季の優勝とリーグ10連覇が決まります。

中断期間直前の8月26日の第21節クダ・ダルル・アマンFC戦で勝利していればは既に優勝が決まっていたジョホールですが、この試合は3-3と今季初の引き分けを喫しています、しかし第20節までは開幕から20連勝しているだけでなく、今季は既にマレーシアFAカップで優勝、マレーシアカップでも準決勝進出を果たしており、公式戦での敗戦は昨季のAFCチャンピオンズリーグのベスト16、2022年8月22日の浦和レッドダイアモンズ戦まで遡らなければなりません。また国内での公式戦敗戦に至っては2021年11月21日のマレーシアカップ決勝でKLシティFCに敗れたのが最後、リーグ戦で言えば2021年4月24日のトレンガヌFCが最後で、国内では2年近く負けていません。

本日対戦するPDRMは現在、8勝3分8敗のリーグ8位で、エースの鈴木ブルーノ選手が5ゴールを挙げているものの、チーム総得点は21でリーグ11位、総失点は23位でリーグ4位タイと少ない得点で守り勝つチームで、直近の5試合では3勝1分1敗、得点10、失点8という成績です。また今季のジョホールとの対戦はいずれも4月で、4月14日のマレーシアFAカップ1回戦ではベルグソン・ダ・シルヴァの2ゴールなどで3-0で敗れて、4月19日のリーグ第9節ではフェルナンド・フォレスティエリのゴールにより1-0で敗れています。

試合前の会見でジョホールのエステバン・ソラリ監督は、PDRMが調子を上げてきているので注意したいと話しながらも、ホームのサポーターの前で優勝を決めるとともに、来週10月3日にバンコクで行われるACL2023/24第2節のBGパトゥム・ユナイテッド戦を念頭において、選手がケガをしないように試合に臨みたいと話すなど、余裕を見せています。

マレーシアカップ準々決勝で試合後に主審を「蹴った」ヤザンには重い処分も

9月24日に行われたトレンガヌFCとのマレーシアカップ準々決勝では、通算成績1-3で敗れて敗退したスランゴールFCですが、試合後にはハスロル・アミル主審に激しく抗議したヨルダン代表DFヤザン・アル=アラブがレッドカードを出され、それに応じるように後ろからハスロル主審を「蹴る」素振りを見せたことが波紋を呼んでいます。

この悪態には出場停止を含めた重い処分が科されることが明らかですが、それが長期間に渡ると、来季のAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)出場権がかかるリーグ2位のスランゴールにとっては大きな影響がありそうだと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。

スランゴールのタン・チェンホー監督はセンターバックとして今季ここまで16試合に出場(14試合先発)しているヤザン選手について、感情を抑制できずに起こしてしまった行為だとして自身の比を認めてチームに謝罪はしたものの、欠場となればその影響は計り知れないと話しています。

試合前には選手に対して自身だけでなくチームにも影響を及ぼすことから、感情をコントロールすることを求めていると話したタン監督ですが、ヤザン選手が欠場となればマレーシアカップ準々決勝で敗れたばかりのトレンガヌFC戦が今週末に控えているだけでなく消化試合が1試合少なく勝点差5で迫る3位のクダ・ダルル・アマンFCも残っており、2016年のAFCカップ以来となるアジアの舞台復帰を目指すスランゴールに黄信号が灯っています。

またスランゴールは、ヤザン選手の行為に対する謝罪の声明を発表するとともに、マレーシアサッカー協会FAMに対しては審判の質の向上を求める書簡を送ったことも明らかにしていますが、それはそれ、これはこれといったところでしょう。

マレーシアカップ
準々決勝セカンドレグ結果とハイライト映像(3)-リーグ11位のペラが4位のサバを撃破してジョホールとの準決勝へ

ACLとAFCカップによるリーグ中断期間が終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝セカンドレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ていません。リーグ戦では残り5試合で勝点1を挙げれば優勝が決まるジョホールの準決勝の相手はペラに決まり、もう一つの準決勝はKLシティ対トレンガヌとなりました。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝セカンドレグ
2023年9月25日@ペラ・スタジアム(ペラ州イポー)
観衆:14,852人
ペラ 1-0 サバ
(通算成績:ペラ 3-2 サバ)
⚽️ペラ:ワン・ザック・ハイカル(45分)
🟨ペラ(2):アイマン・ユスニ、ハキミ・マット・イサ
🟨サバ(3):ドミニク・タン、スチュアート・ウィルキン、パク・テス
MOM:ワン・ザック・ハイカル(ペラ)

今季最多入場者となる1万4852人の声援を受けたホームのペラが1-0で勝利し、ファーストレグと合わせて通算成績を3-2として準決勝進出を決めています。

13勝3分6敗でリーグ4位のサバは、今月のFIFA国際マッチカレンダーでFWダレン・ロック、MFスチュアート・ウィルキン、DFドミニク・タン、DFダニエル・ティンの4名がマレーシア代表に、またFWサディル・ラムダニがインドネシア代表に招集されるなど国内屈指のチームですが、一方のペラは今季リーグ戦では4勝4分13敗の11位に沈んでいます。今季開幕時に監督を務めていたリム・ティオンキム氏は前半戦をわずか1勝で終える解任され、その後は内部昇格でユスリ・チェ・ラー コーチが監督についたものの、その後も2勝1分6敗と調子は上がりません。しかし、このマレーシアカップではリーグ3位のクダ・ダルル・アマンを通算成績4-3で退けるジャイキリでベスト8に進出しています。

続くサバとの準々決勝ファーストレグでは、ホームのサバが2度リードしながらも、いずれもペラが追いつく展開となり、最後は2-2と引き分けとなっていました。今季のマレーシアカップではアウェイゴールルールが採用されておらず、この試合の勝者が準決勝と進出となることから、両チームともに試合開始から積極的なプレーを見せ、サバ有利の展開となる中ペラGKのT・シャヒースワランの好セーブもあり、試合は無得点のまま進みます。

30分過ぎから試合は落ち着き、ペラも徐々に好機を作り始めます。その直前にも惜しいシュートを放っていたルカ・ミルノヴィッチが37分にゴール前のサンディ・アフォラビへ絶妙なパスを出し、アフォラビ選手と交錯したサバのラモン・マシャドがハンドを犯したようにも見えましたが、ペラの激しい抗議は受け入れられずに試合は進みます。そして45分にこの試合唯一のゴールが決まります。中央のアフォラビ選手から左サイドを抜け出したワン・ザック・ハイカルへパスが渡ると、ワン・ザック選手は詰めてきたサバのウィルキン選手をかわしてシュート。14歳の時にはMリーグのU21チームでもプレーし、JFL時代のFC琉球にも在籍した32歳のゴールが決まったペラがついに通算成績3-2とリードします。そして後半のサバの猛攻をゴールポストにも助けられて逃げ切ったペラが優勝した2018年以来となる準決勝進出を決めています。

この試合で準々決勝は全て終了し、今季のマレーシアカップ準決勝のカードは2021年優勝のKLシティ対2018年準優勝のトレンガヌ、昨季2022年優勝のジョホール対2018年優勝のペラに決まっています。1921年に当時は英国の植民地だった英領マラヤで始まったマラヤカップは、1963年のマレーシア成立とともにマレーシアカップと名前を変えて、2020年は新型コロナ禍により、また1942年から47年までは日本軍によるマラヤ占領などの影響で中断されたものの、今年の第97回大会まで続いています。

マレーシアカップ
準々決勝セカンドレグ結果とハイライト映像(2)-KLシティとトレンガヌがベスト4進出を決める

ACLとAFCカップによるリーグ中断期間が終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝セカンドレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まる中、そのジョホールは順当に準決勝進出を決め、さらにKLシティとトレンガヌが続いています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝セカンドレグ
2023年9月24日@ダルル・マクモル・スタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:4,041人
スリ・パハン 1-1 KLシティ
(通算成績:スリ・パハン 1-2 KLシティ)
⚽️スリ・パハン:ステファノ・ブルンド(90+6分PK)
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(29分)
🟨スリ・パハン(1):ステファノ・ブルンド、ファドリ・シャス
🟨KLシティ(1):パウロ・ジョズエ、ライアン・ランバート、ジャンカルロ・ガリフオコ
MOM:ロメル・モラレス(KLシティ)

ファーストレグではホームのKLシティがロメル・モラレスのゴールで1-0で勝利しているこのカードですが、セカンドレグは豪雨のため試合開始が1時間以上遅れて始まりました。水が浮いたピッチではボールは転がらず、選手は足を取られる劣悪なコンデションの中、29分に右サイドでKLシティがフリーキックを得ると、パウロ・ジョズエの蹴ったボールをゴール前のロメル・モラレスが頭で合わせてゴール!KLシティが先制すると共とに、通算成績でも2-0とリードを広げます。

KLシティがリードして前半を折り返すと、後半はパハンがギアを上げてKLシティゴールに迫りますが、強固なKLシティDF陣を崩すことはできません。終了間際のロスタイムにKLシティのDFジャンカルロ・ガリフオコがペナルティエリアでクパー・シャーマンを倒してスリ・パハンにPKを与え、これをステファノ・ブルンドが決めて1-1に追いつきますが、スリ・パハンの得点はこの1点にとどまり、KLシティが通算成績2-1でベスト4進出を決めています。

スリ・パハンのファンディ・アフマッド監督は、現役時代にはKLシティの前身、KLFAで1987年から1989年までマレーシアカップ3連覇を達成していますが、監督としてのマレーシアカップ挑戦は準々決勝止まりとなりました。

マレーシアカップ2023準々決勝セカンドレグ
2023年9月24日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:10,743人
スランゴール 1-1 トレンガヌ
(通算成績:スランゴール 1-3 トレンガヌ)
⚽️スランゴール:サフワン・バハルディン(69分)
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(23分PK)
🟨スランゴール(0):ノー・アル=ラワブデ
🟨トレンガヌ(0):スハイミ・フシン
🟥スランゴール(1):ヤザン・アル=アラブ
MOM:サフワン・バハルディン(スランゴール)

ファーストレグではホームのトレンガヌが2-0で勝利しており、先制点が欲しいスランゴールは試合開始からボールを前に送りますが、トレンガヌは先日のAFCカップ、セントラル・コースト・マリナーズFC戦で完封劇を演じた若い4バックが決定機を許さず、逆にスランゴールからボールを奪ったトレンガヌがカウンターに転じるなど、試合は両チームがせめぎ合って進みます。

好機を作りながらスランゴールが得点できない中、先制したのトレンガヌでした。20分にスランゴールDFサフワン・バハルディンがペナルティエリア内でノー・ハキム・ハサンを倒してトレンガヌにPKを与えてしまいます。これをイヴァン・マムートがど真ん中に決めて先制するとともに、トレンガヌが通算成績でも3-0とリードを広げて前半を終了します。

スランゴールは後半の69分にPKを与えたサフワン・バハルディンが右コーナーキックからのヘディングシュートを決めて1-1と追いつきますが、直近の12試合で無敗のトレンガヌは、この後はスランゴールに得点を許さずに逃げ切って、通算成績3-1で準決勝進出を決めています。なおこの試合終了後には、主審に執拗に抗議したスランゴールのヨルダン代表、ヤザン・アル=アラブが退場処分になっていますが、その際には審判を蹴る様子が映像に残っており、マレーシアサッカー協会FAMから厳しい処分を受ける可能性があります。

昨季はマレーシアカップ決勝でジョホールに敗れているスランゴールは、2021年大会に続く準々決勝敗退となりました。今年で97回目となるマレーシアカップで優勝33回、準優勝17回と圧倒的な記録を誇る「赤い巨人」ことスランゴールですが、2015年の優勝が最後となっています。