5月9日のニュース<br>・酸をかけられたファイサル・ハリムは今週皮膚移植手術を受ける見込み<br>・スランゴールFC会長のスランゴール州皇太子はファイサル選手の治療費を負担<br>・ジョホールは不戦勝?スランゴールはスンバンシー・カップ出場辞退を表明<br>・ジョホールはセランゴールの辞退に失望し、警察の保証を信じるべきと主張<br>・今季のマレーシアスーパーリーグは予定通り実施する- MFL

酸をかけられたファイサル・ハリムは今週皮膚移植手術を受ける見込み

酸をかけられ、第4度の火傷の診断を受けた代表FWファイサル・ハリムは、皮膚の移植手術を受けることになり、その移植手術に使用される皮膚が今週にも海外から届くと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

スランゴールFCスポーツ医学部長のハズワン・カイール医師は「皮膚は同種移植のために海外から持ち込む必要がある。移植手術は回復プロセスを助け、加速させるための手順の一部である。」と説明し、筋肉の回復などはその後になると説明しています。

スランゴールFC会長のスランゴール州皇太子はファイサル選手の治療費を負担

スランゴールFCの会長であるスランゴール州皇太子のトゥンク・アミール・シャー殿下は、酸をかけられたファイサル・ハリム選手は医療保険に加入しているにもかかわらず、回復するまでの治療費と医薬品費用を負担する準備があると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。。

スランゴールFCのシャリル・モクタール理事は「ファイサル選手の医療費は保険でカバーされているが、我々は彼に最善を尽くしたいと思っている。最善の治療というものは通常、高額な費用がかかるが、(スランゴールFC会長の)トゥンク・アミール・シャー殿下は、そういった心配する必要はないと保証し、必要な場合には、医療費を負担する準備があると述べていると明かしています。

この日、シャリル理事はトゥンク・アミール・シャー殿下に同行し、2回目の手術を完了した後、集中治療室 (ICU) にいるファイサル選手を訪問しています。訪問後にメディアに対応したシャリル理事は、「ファイサル選手はすでに食事ができるようになてはいるが、まだ軟いものを摂取している。また、起きて軽い運動をしたがっているようで、サッカーに関連した運動をしたがっている」と説明しています。

ジョホールは不戦勝?スランゴールはスンバンシー・カップ出場辞退を表明

今週金曜日5月10日に開幕する今季のマレーシアスーパーリーグ(MSL)はスランゴールFC対ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が開幕戦で対戦する予定になっています。JDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで予定されているこの試合は前年のリーグ優勝チームとマレーシアカップ優勝チームが対戦するスンバンシー・カップを兼ねて行われます。

英国のFAコミュニティー・シールドを模して1995年から始まったいわばスーパーカップですが、スランゴールFCはこの試合を辞退することを発表しています。スランゴールFCは、「安全上の理由」をもとにリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)に対して試合の延期を要請したものの、MFLは警察と協力して十分な安全が確保できるとしてこの申請を拒否すると発表していました。

スランゴールFCは本日声明で、様々な関係者との詳細な調査と議論の後、この試合の出場を辞退するという難しい決断をしたと発表しています。「クラブ(スランゴールFC)は、長い間楽しみにしていた2024年スンバンシー・カップに参加しないという非常に難しい決定をしなければならなかった。」

さらに「現在の不安定な状況を考慮して、スランゴールFCは、チームの安全が最も重要であると考えており、あらゆる形態の暴力と脅威を真剣に受け止め、チームの安全に関する問題については一切妥協しないことを強く主張する」という声明を発表しています。

ジョホールはセランゴールの辞退に失望し、警察の保証を信じるべきと主張

スランゴールFCが開幕戦となるスンバンシー・カップ出場を辞退したことを受け、ジョホール・ダルル・タジムFCはクラブ公式SNSで声明を発表し、セランゴールFCの出場辞退という決定に失望していると表明しています。

JDTのアリスター・エドワーズCEO名で出された声明では、ラザルディン・フセイン警察庁長官とジョホール警察長官のM・クマール警視監は、チーム、選手、そしてサポーターの安全を最優先とすることを強調しています。

「スンバンシー・カップで選手を含むすべての人々の安全を確保するために、警察は1,500人の警官を配置して、安全面で妥協しないことを確認している。我々は、ファイサル・ハリムに関わる事件や、セランゴールFCの一部の個人に届いた脅迫を強く非難しますが、チームが試合に参加しないという決定を再考してくれることを期待しています。」

さらに「これは、警察の保証を受けても不安を感じるために、どのチームでも撤退する 『前例』を作ってしまう可能性があるためである」と声明は続いています。

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クラブの主力でもある代表選手が酸を浴びせられるという「前例のない」事件に対して、前例を作ることを非難するような声明は出さず、相手の出場辞退を受け入れて勝点を得る。また出場辞退についての処分はMFLに任せるという方法もあったはずですが、敢えてこの声明を出したことで、未だICUに入っているファイサル選手を思いやる国内サッカーファンの多くを敵に回してしまったことは間違いありません。

今季のマレーシアスーパーリーグは予定通り実施する- MFL

国内リーグのマレーシアスーパーリーグ(MSL)を運営するマレーシアン・フットボール・リーグ(MFL)は、今週開幕するMSLの試合日程を維持することを決定しています。

MFLによる声明では、警察が今シーズンの全てのMSLの試合においてセキュリティを強化することを保証したと発表しています。

その一例として、通常の3倍に当たる1,500人の警察官が、5月10日にスルタン・イブラヒム・スタジアムで行われるスンバンシー・カップで選手とファンの安全を確保するために配置され、厳重な管理とチェックが行われるとしています。

MFLは「警察によってセキュリティが保証されることから、安全レベルに対する懸念に基づいて申請されたスランゴールFCの試合延期要請を拒否した。」と声明で述べています。

5月8日のニュース<br>・酸をかけられた代表FWファイサル・ハリムは2度目の手術へ<br>・青年スポーツ相-ファイサル選手の治療は傘下の国立スポーツ協会が無料で行う<br>・ファイサル・ハリムが所属するスランゴールFCが5月10日開幕戦の延期をリーグに申請<br>・JDTの元代表キャプテン、サフィク・ラヒムが1週間で3人目の被害者に-走行中の車のリアウィンドウをハンマーで粉砕される

酸をかけられた代表FWファイサル・ハリムは2度目の手術へ

5月5日に酸をかけられて入院中の代表FWファイサル・ハリム(スランゴールFC)をスランゴール州サッカー協会副会長でスランゴールFC技術委員会委員長のシャリル・モクタル副会長が5月7日に訪れたことをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ファイサル選手との面会後に記者の質問に応じたシャリル氏は、ちょうど目を覚ましていたファイサル選手と簡単な会話を交わし、スランゴールFCのチームメイトによろしく伝えて欲しいと言付けられたということです。

「本日(5月7日)に2度目の手術が予定されており、この手術は1回目の手術と同様の措置が行われると聞いた。顔、首、腕、体に酸の飛沫による深刻な影響があり、処置は箇所ごとに分て行われているようだ。」と説明したシャリル氏は、ファイサルセンスの動作や話し方に事件の影響が出ているとも述べて、ファイサル選手が早期回復のために皆に祈ってもらうよう求めているとも話しています。

青年スポーツ相-ファイサル選手の治療は傘下の国立スポーツ協会が無料で行う

青年スポーツ省のハンナ・ヨー大臣は、酸をかけられて治療中の代表FWファイサル・ハリムについて、国立スポーツ協会(NSI)の施設で最善の治療を無料で受けることができると述べています。

「青年スポーツ省は傘下の国立スポーツ協会を通じて、理学療法なども含めて必要な処置は何でもファイサル・ハリムに提供する用意があると話し、ファイサル選手にはマレーシア政府だけでなく、マレーシア国民全員が速やかな回復のために祈りを捧げている。」と話したヨー大臣は、回復には数ヶ月を要する場合でも、無料で必要な支援を受けられることを保証しています。

また今回の反抗について激しく非難したヨー大臣は、警察に対して、同様の犯行を防ぐためにも、反抗の背景にある動機が判明するよう容疑者には厳しく対処することを望んでいると話しています。

ファイサル・ハリムが所属するスランゴールが5月10日開幕戦の延期をリーグに申請

酸をかけられたファイサル・ハリムが所属するスランゴールFCは、今週金曜日の5月10日に予定されている今季2024/25シーズン開幕戦を兼ねたスンバンシー・カップの開催延期を国内リーグを運営するマレーシア・フットボール・リーグ (MFL) に公式に申請したことを明らかにしています。

スンバンシー・カップは、前年のリーグ優勝チームとマレーシアカップ優勝チームが対戦するいわばスーパーカップで、今季はスランゴールFCとジョホール・ダルル・タジムFC (JDT))が、JDTのホームであるスルタン・イブラヒム・スタジアムで対戦する予定になっています。(昨シーズンはJDTがリーグとマレーシアカップでいずれも優勝しているため、今回のスンバンシー・カップは昨季リーグ2位のスランゴールFCがJDTと対戦します。)

ファイサル選手を見舞った後に記者の質問に答えたスランゴール州サッカー協会副会長でスランゴールFC技術委員会委員長のシャリル・モクタル副会長は、「安全上の理由」を挙げて延期の申請をMFLに提出したと述べています。

「セランゴールFCは、安全上の理由から、金曜日のスンバンシー・カップの日程変更をMFL と対戦相手の JDT に正式に要請した。スランゴールFCは試合の中止ではなく、日程変更を求めた。」と述べています。

さらに「延期の理由については、これ以上詳細を明かすことはできないが、我々(スランゴールFC)は MFL に正式に申請を行なったので、MFLが最終的な決定を行うだろう。」とも話しています。

ファイサル選手が襲われた事件の後、MFL のスチュアート・ラマリンガムCEOは、これまでのところスランゴールFCからは延期の申請がないとして、試合は予定通り行われると述べています。その一方で、最新の動きがあれば、改めて発表を行うとも話しており、MFLの判断に注目が集まっています。

JDTの元代表キャプテン、サフィク・ラヒムが1週間で3人目の被害者に-走行中の車のリアウィンドウをハンマーで粉砕される

偶然なのか、あるいは単なる模倣犯なのか、それとも…。

強盗傷害事件の被害者となったアキヤ・ラシド(トレンガヌFC)、酸をかけられて重傷を負ったファイサル・ハリム(スランゴールFC)に続き、今度はジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のベテランで長年、マレーシア代表のキャプテンを務めたサフィク・ラヒムが車のリアウィンドウを何者かに粉砕される事件が起こったと、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

5月7日の午後10時ごろに起こった事件では、ジョホール州ジョホール・バル野JDTの練習場近くででサフィク選手が運転していた車にバイクに乗った2人組が近づき、バイク後部に乗っていた人物がハンマーを取り出し、リアウィンドウを粉砕したということです。

衝撃を感じて直ちに車を止めたサフィク選手に対して、バイクの2人組は車の前に回って誇示するようにハンマーを振り回していたという報道もあります。

危険を感じたサフィク選手は直ちに車をUターンさせて現場を離れ、バイクの2人組は追いかけることはせず、やはり現場から立ち去ったということです。

ジョホール・バル南部警察のラウブ・スラマット署長は事件があったことを認め、容疑者の捜索が既に行われていることをメディアに明らかにしています。

5月7日のニュース<br>酸をかけられた代表FWファイサル・ハリムは4時間の手術後に集中治療室へ<br>襲撃事件被害のファイサル・ハリム、アキヤ・ラシド両選手と賭け屋との関連を警察が否定<br>今季開幕戦でジョホールはアウェイサポーターへのチケット割り当てゼロ<br>FAM-MSN プロジェクトがひっそりと解散か

酸をかけられた代表FWファイサル・ハリムは4時間の手術後に集中治療室へ

このブログでも取り上げたスランゴールFCでプレーする代表FWファイサル・ハリムへの酸がかけられた事件ですが、その後の報道ではファイサル選手の火傷は「第2度」ではなく「第4度」と、当初の報道より事態が深刻なようです。なお第4度の火傷では皮膚より下の筋肉、場合によっては骨まで火傷が到達し、傷の色は赤ではなく黒や白、あるいは茶色や黄色になること。また神経系等も傷んでしまい、痛みなどを感じなくなることもあるということです。

英字紙スターは既に4時間に及ぶ手術を受けたファイサル選手は現在、状態は安定しているものの、酸をかけられた腕の感覚がなく、また普通に会話ができる状況にもないということです。事件後に緊急搬送された病院から、スランゴールFCと契約している専門病院へと移されたということですが、そこでは通常の病室ではなくICUに入り10日ほど経過を見る予定であるとも報じてられています。また担当医師の話では、更なる手術が必要な可能性もあり、少なくとも3週間から4週間は入院が必要ということです。

襲撃事件被害のファイサル・ハリム、アキヤ・ラシド両選手と賭け屋との関連を警察が否定

1週間で2度も起こった代表選手襲撃事件によりマレーシアサッカー界に広がった衝撃は未だ収まりませんが、その一方で事件直後からSNS上で見かけたのはブッキーbookieと呼ばれる賭け屋と両選手の関連が疑われる、という投稿でした。しかしマレーシア警察は、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、アキヤ・ラシド(トレンガヌFC)両代表選手と賭け屋との関連を否定しています。

5月5日に起こったファイサル選手に酸がかけられた事件についてラザルディン・フサイン警視総監は、捜査が完了するまでは憶測や思い込み、さらには根拠のない作り話などを広めないように求めています。さらに捜査完了には一定の時間が必要であることへの理解を求めたラザルディン総監は、現在、ファイサル選手に酸を浴びせた犯人の目的を捜査中だと説明しています。またファイサル選手襲撃の3日前に起こったアキヤ選手への強盗傷害事件との関連性は、現時点では見当たらないとも話していルト、マレーシア語紙のシナル・ハリアンが報じています。

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日本で万が一Jリーグの選手が暴漢に襲われたとしても、その事件を賭け屋とすぐに結びつける人はいなそうですが、サッカーの八百長試合で多くの逮捕者が出た歴史があるマレーシアでは、「賭け屋の指示に従わなかったことで、腹いせに襲われたのでは」と考える人がいるのは事実です。マレーシアサッカー界最大の汚点とも言える1994年の八百長事件では、1部リーグとカップ戦での八百長に関わったとして100名を超える選手とコーチが処分を受け、中には国内サッカーからの永久追放となった選手も数名います。その後も2017年、そして2022年にも八百長が疑られる事例がありました。

これまで報じられた八百長試合は、給料が少ない若手選手に賭け屋が八百長を持ちかけるというケースが多くありました。そう考えると金銭的には何の不自由もなさそうな両選手が自身の選手生命を台無しにするような八百長への加担に同意するとは到底考えられませんが、給料未払いのクラブが複数存在するマレーシアサッカーでは、この八百長の誘惑はいまだ存在していると報じるメディアもあり、今回の事件が国内サッカー県警者やファンに過去の嫌な記憶を思い起こさせることにもなっています。

今季開幕戦でジョホールはアウェイサポーターへのチケット割り当てゼロ

スンバンシーカップをリーグ戦の一環として行うからこういうことが起こるのに、MFLはなぜ、何も手を打たないのか。

今季2024/25シーズンは5月10日にジョホール州イスカンダル・プテリにあるスルタン・イブラヒムスタジアムで行われるジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)対スランゴールFCのカードで開幕します。この試合はスンバンシーカップと呼ばれる、前年度のリーグ優勝チームとマレーシアカップ優勝チームが対戦するカードにもなっています。スンバンシーとはマレーシア語で「慈善」を意味し、この試合は英国のチャリティーシールド(現コミュニティーシールド)を模したカップ戦となっています。

しかし1985年から始まったこのスンバンシーカップが本家のコミュニティーシールドと異なるのは、リーグ戦の一環として行われること。そして試合はリーグ優勝チームのホームで開催されることです。英国のコミュニティーシールドはリーグ開幕前のーパーカップ」的な位置付けであり、1974年からいくつかの例外を除いてウェンブリースタジアムなど中立地で開催されています。

リーグ戦10連覇を果たしているJDTは過去9シーズンにわたり、リーグ覇者としてこのスンバンシーカップをリーグ戦の主催試合として行なっていますが、この仕組みが今季のすんバンシーカップでは議論を巻き起こしています。

昨季は国内三冠(リーグ戦、マレーシアカップ、FAカップ)を達成したJDTは、マレーシアカップ準優勝のスランゴールFCと、今回のスンバンシーカップで対戦しますが、何とアウェイのスランゴールFCのサポーター向けに割り当てられるチケットがないことが明らかになっています。JDTはクラブ公式SNSで、スランゴールFCからサポーター向けチケットの割り当てを依頼されていないため、ホームサポーター向けのチケットのみを販売することを公式声明として発表しています。この声明では、スランゴールFCから依頼されたのは、チームに対する警察警護、ミネラルウォーター、スポーツドリンク、氷、そしてメインスタンド30席分のチケットのみだと説明しています。JDTはこれらの依頼に応じる一方で、アウェイチームはサポーターのためのチケット割り当てについても、ホームチームのチケット販売前に依頼するべきにも関わらず、そういった依頼がなかったとして、アウェイチームへの割り当ては今回は行わないと生命を結んでいます。

正式な手順を踏まず、サポーターチケットが割り当てられることを当然と思っていたのであればスランゴールFCに非があるかも知れませんが、国内で圧倒的な実力を誇り、マレーシアを代表するクラブでもあるJDTの対応も大人気ないように思えます。しかもスンバンシーカップは、リーグ戦の一環でもあると同時に、タイトルのかかるカップ戦でもあるわけで、もう少し柔軟な対応をしても良いようにも思えます。

ボラセパマレーシアJP的には、このスンバンシーカップはマレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が主催し、本家に倣ってブキ・ジャリル国立競技場のような中立地で、リーグ戦とは別のカップ戦として行うべきだと考えています。リーグ戦の他にACLを控え、しかも国内カップ戦でも優勝候補の筆頭のJDTにとっては、リーグ戦とスンバンシーカップを1試合で行うことで、少しでも過密日程を減らすことになると考えているかも知れませんが、今回の一件でMFLがどのような対応をするのかに注目してみたいともいます。

FAM-MSN プロジェクトがひっそりと解散か

東南アジアのサッカー関連ニュースを報じるSNSの”Asean Football”は、マレーシアサッカー協会(FAM)とマレーシアスポーツ評議会(MSN)が共同で運営するクラブのFAM-MSNプロジェクトが解散すると報じています。

FAMの公式サイトやSNSでは何も報じられていませんが、Asean Footballによると、解散の理由はこのプロジェクトを通じて才能ある選手を見つけることができなかったからだとしています。

2020年にFAMとMSNが協力して創設したFAM-MSNプロジェクトは、翌2021年から当時のマレーシア2部リーグ、マレーシアプレミアリーグ(現在は休止中)に参戦し、2021年は1勝3分16敗と2022年は2勝2分14敗、そしてプレミアリーグがスーパーリーグと統合された昨季2023年は新設されたU23リーグのMFLカップで3勝1分10敗という成績を残しています。

Asean Footballは、「このチームの半数が参加した東南アジアサッカー連盟AFF U20選手権(筆者注:実際にはAFF U19選手権)で優勝しており、FAMーMSNプロジェクトは失敗ではない。」FAMのテクニカル・ディレクターのスコット・オドネル氏の談話も紹介しています。

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FAMとMSNが共同で運営する、国家サッカー選手育成プログラム(NFDP)の卒業生と、その中核となるエリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミー(AMD)の卒業生で編成されるこのFAM-MSNプロジェクトは、当初からその目的や効果に疑問の声が上がっていました。というのもNFPDやAMDの卒業生の内、特にAMDの卒業生はすぐにマレーシアリーグのプロクラブから声がかかり、そのまま入団しますが、その一方でNFPDの卒業生でもプロクラブに入団できない選手がいます。そういった18歳から20歳のNFDP卒業生に競技活動を中断させることなく、実戦での経験を積ませた上で、再度プロクラブ入りを実現させようというのがこのFAM-MSNプロジェクトというチーム設立の目的でした。

しかしこのFAM-MSNプロジェクトが参戦したのは2部とは言え、れっきとしたプロリーグであり、要するにユースチームが大人の、しかも生活のかかったプロの世界にいきなり放り込まれた格好になりました。それまでは同年代としか試合をしたことがなかった若い選手たちにとっては、体格も経験も技術も勝るプロ選手との対戦で連戦連敗、しかも大敗続きでした。1年目を終えてチームは20試合で1勝3分16敗、得点20失点56という成績に終わり、2部リーグ参戦という育成方法には1年目が終わった段階で、その効果に期待できないのではという声が上がっていました。それでもこのFAM-MSNプロジェクトは翌2022年シーズンも参戦し、18試合で2勝2分14敗、得点10失点33という成績でした。また当初考えられていたFAM-MSNプロジェクトから他のプロクラブへの移籍は、サフワン・マズラン、ウバイドラー・シャムスル(いずれもトレンガヌFC)、アズハド・アラズ(サバFC)など、数名に止まっています。

5月6日のニュース<br>代表FWアキヤ・ラシドが強盗傷害事件の被害者に<br>さらに代表FWファイサル・ハリムは酸攻撃を受ける<br>スランゴールはヨルダンU23代表キャプテンを移籍期限最終日獲得<br>ジョホールは開幕直前に期限付き移籍中のGKイズハムをスリ・パハンから呼び戻す

ゴールデンウィークの日本から来客があり、ここ数日は運転手兼観光ガイドに忙しく久しく更新できていませんでしたが、その間にマレーシアサッカー界を揺るがす事件が起こりました。今季2024/25シーズン開幕まであと5日を切ったこの時期に起こった事件はいずれも代表選手が襲われるという衝撃的なもので、シーズン前の盛り上がりに水を差すだけでなく、来月の代表戦での両選手の招集にも影響が出る可能性がありますが、なによりもまずは理不尽な攻撃を受けた両選手の早い回復を祈ります。

代表FWアキヤ・ラシドが強盗傷害事件の被害者に

複数のメディアがトレンガヌFCに所属する代表FWアキヤ・ラシドが強盗被害に遭い、病院で治療を受けたと報じています。

ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)から期限付きでトレンガヌFCに移籍しているアキヤ・ラシドは5月2日の午後8時30分ごろ、練習を終えた後、トレンガヌ州クアラ・トレンガヌの自宅コンドミニアム戻り、車から降りたところを強盗に襲われたということです。またその際には、現金5,000リンギ(およそ160,000円)が入った財布と携帯電話を奪われた上、暴行を受け、その際には頭を4針、左足を2針縫うケガも負ったということです。なお、アキヤ選手は前日に25歳の誕生日を祝ったばかりでした。

昨日5月5日に会見したクアラ・トレンガヌ地区警察署のアズリ・モハマド・ノール所長は、被害にあったアキヤ選手の証言から、今回の犯行はマスクとフード付きパーカーで顔を隠した複数人が金属の棒状のものを使って犯行に及んだとしており、付近のCCTVの映像を調べる他、特別捜査チームを作って容疑者を捜索していると説明しています。

さらに代表FWファイサル・ハリムは酸攻撃を受ける

アキヤ選手の強盗事件からわずか3日後の5月5日に、今度は代表FWファイサル・ハリムが酸をかけられるアシッドアタック(酸攻撃)を受け、首から肩、さらに腕にかけての数カ所に火傷を追ったことを複数メディアで報じられています。

スランゴールFCでプレーするファイサル選手は5月5日の午後、家族とスランゴール州コタ・ダマンサラ近郊のショッピングモールを訪れてゴーカートを楽しんだ後で、このアシッドアタックにあったということです。事件後に近隣の病院で診断と治療を受けた結果、「皮膚の水膨れと真皮の表面的な破壊を引き起こす」火傷2度(Second degree burn)と診断されたということですが、命に別状はないそうです。

スランゴール州警察本部のフセイン・オマル本部長も会見を開き、事件の経緯を説明した上で、犯人の捜索が続いているとしていますが、別の報道では犯人は2人組でファイサル選手にバイクで近づき、酸をかけた後そのまま逃走したということですが、CCTVに残った記録映像から割り出されたバイクのナンバーは偽造で、バイク自体も盗まれたものだと考えられているようです。

スランゴールはヨルダンU23代表キャプテンを移籍期限最終日獲得

今季2024/25シーズン1回目のトランスファーウィンドウは5月4日に閉じましたが、昨季2位のスランゴールFCはその直前にヨルダンU23代表FWレジク・バニ・ハニがヨルダン1部のアル・ファイサリーSCから加入したことを公式サイトで発表しています。

先月のAFC U23アジアカップではヨルダンU23代表キャプテンも務めたレジク選手は22歳で、ヨルダンU16、U17、U19の年代別代表でもプレー経験がある他、昨季のACLでも6試合に出場し、2ゴール2アシストの記録を残しています。ACL経験のあるレジク選手の加入は、リーグ戦へ向けてのチーム強化になるだけでなく、今季ACL2に出場するスランゴールにとって重要な補強となりそうです。

ジョホールは開幕直前に期限付き移籍中のGKイズハムをスリ・パハンから呼び戻す

契約とはいえ、道義的に問題ないのだろうか。

昨季5位のスリ・パハンFCは、リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)から期限付き移籍中だったGKイズハム・タルミジがJDTの要望により移籍期限を終了して退団することを公式SNSで発表しています。

昨季は26試合中19試合に出場し、今季もプレシーズンマッチにも出場していた33歳と経験豊富なイズハム選手の突然の離脱はスリ・パハンFCには大きな痛手となりそうです。JDTにも控えGKで元代表正GKのファリザル・マーリアスの負傷という事情があるにせよ、開幕まで10日を切ってから正GKの離脱はスリ・パハンFCにとっては、チーム編成に関わる問題です。代わりのGKとして、かつてスリ・パハンFCでプレーしてた24歳のGKシャズミン・ロザイミを期限付き移籍で獲得していますが、昨季はトップチームでの出場がなく、イズハム選手の穴を埋めるには不十分な成績です。

スリ・パハンFCはファンディ・アフマド監督の母国シンガポールからイズワン・マフブト(ライオン・シティー・セイラーズFC)の獲得を目指したようでしたが、実現せず、さらにウズベキスタン出身のGK獲得に動いたと報じられていますが、こちらも実現しませんでした。

4月30日のニュース<br>今季のスーパーリーグはブラジルブーム?<br>MFLは今季からファイナンシャルフェアプレーを採用<br>MFLは今季前半戦日程の改定案を発表−21時キックオフの試合が減少

最後の東南アジア勢としてU23アジアカップべすと4に残っていたインドネシア。昨夜の準決勝ウズベキスタン戦では0-2で敗れて、オリンピック出場権獲得は3位決定戦のイラク戦へと持ち越しとなりました。その3位決定戦に臨むインドネシアにとって痛いのはこのウズベキスタン戦でDFリズキー・リドが1発レッドで退場となったこと。今大会はここまでの全試合で先発フル出場しているセンターバックの欠場はシン・テヨン監督にとっては頭痛の種です。その一方で、このウズベキスタン戦を警告累積で出場停止となっていたエースのラファエル・ストライクはイラク戦に出場可能となります。準々決勝の韓国戦で2ゴールを挙げたストライクの復帰で、インドネシアには1972年のマレーシアとビルマ(現ミャンマー)以来となる東南アジアからのオリンピックサッカー出場を次戦で決めてほしいところです。

今季のスーパーリーグはブラジルブーム?

今季20214/25シーズン開幕まで2週間を切ったマレーシアスーパーリーグ(MSL)ですが、英字紙スターは今季のMSLは前例のないブラジルブームが到来していると報じています。

MSL10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)にはフィンランド1部セイナヨエン・ヤルカパッロケルホから主に左SBでプレーするムリロ・エンリケが加入しています。JDTには、昨季のリーグ得点王ベルグソン・ダ・シルヴァや、ヘベルチ・フェルナンデス、そして5年間のMSLでのプレーを経てマレーシア国籍を取得したエンドリック・ドス・サントスも在籍しており、JDTは今季のMSLでは最多となる4名のブラジル出身選手が所属するクラブとなっています。

昨季3位のサバFCにはいずれも昨季からプレーし、23試合に出場した197cmの大型CBガブリエル・ペレスと、シーズン途中の加入ながら11試合で9ゴール3アシストを記録したストライカーのラモン・マシャドが在籍しています。また、同4位だったクダ・ダルル・アマンFCには、31歳のセンターバック、クレイトンことホセ・クレイトン・デ・モライス・ドス・サントスが今季から加入しています。

同7位のKLシティFCは、JDTのエンドリック・ドス・サントスと同様にブラジル出身ながらマレーシア国籍を獲得した帰化選手のパウロ・ジョズエがキャプテンを務めています。また昨季9位のPDRM FCにはブラジル生まれの鈴木ブルーノ選手がいますが、2009年に日本国籍を取得しています。

また10位だったペナンFCは、身長164cmと小柄ながらフラメンゴやサントスでもプレーした26歳のAMFネトことジョアン・フェレイラ・デ・オリヴェリア・ネト、東南アジアではベトナムリーグでもプレー経験がある30歳のストライカー、ロドリゴ・ディアズの両選手を獲得し、今季在籍4シーズン目となるペナンFCのキャプテンで長身センターバックのラファエル・ヴィトールとともにブラジルトリオを編成します。

11位に終わったペラFCは、ヴァスコ・ダ・ガマ、コリンチャンス、アトレチコ・ミネイロ、バイーアなどブラジルの有名クラブやディナモ・キーフ(ウクライナ1部)でもプレー経験がある元ブラジルU21代表の28歳のウイング、クレイトンことクレイトン・ダ・シルベイラ・ダ・シルバと26歳のCBルイス・エンリケ・モッタを獲得しています。また13位のクチンシティFCにはセンターバックのセリオ・サントス、サンパウロ生まれながら東ティモール国籍を持つストライカーのペドロ・エンリケが在籍しています。

ブラジル出身選手は今季加入が6名となり、MSL全体では15名(マレーシア帰化選手2名を含む)と外国籍選手最大のグループとなっています。

MFLは今季からファイナンシャルフェアプレーを採用

マレーシアスーパーリーグ(MSL)を運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は今季2024/25シーズンよりファイナンシャルフェアプレー(FFP)を採用することを発表しています。FFPは国内クラブライセンスを交付する第一審機関(FIB)がアジアサッカー連盟(AFC)の設けたガイドラインに基づくものになっているということです。

MFLの公式サイトで発表された声明では「MリーグのFFP初年度は、リーグが直面する主要な問題である選手やスタッフの給与支払いを監視し、クラブの財政的安定性を確保するための責任を強化するための導入期間とされる」と記されています。

またMFLは「収入と支出に関する規制を監視および施行し、2年目以降の文書提出および監視手続きの後、Mリーグのクラブの長期的な持続可能性を確保する予定」で、4月25日に全クラブを対象にオンラインで初めてのFFPブリーフィングセッションを開催したことも明らかにしています。

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MFLはかつて、ラ・リーガの経済コントールプログラム(ECP)を参考にしたMFL独自のECPを2020年から導入するとしていましたが、実現しなかった経緯があります。当時のECPと今回のFPPの詳細な違いは不明ですが、おそらくMFLは各クラブが提出した文書をもとに、MFLが設定する規制に従って決められた予算内での経営を求めると考えられています。いずれにしても、今や年間行事のようになっている給料未払い問題がおこならないようMFLにはしっかり監督してもらいたいところです。

MFLは今季前半戦日程の改定案を発表−21時キックオフの試合が減少

マレーシアスーパーリーグ(MSL)を運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は今季2024/25シーズンの前半戦日程の改訂版を発表しています。今月初めてに発表された日程からは試合会場が未確定だったものが変更されるなど改訂が行われています。なおMSLの前半戦は5月10日から12日まで開催される第1節から、10月18日から20日まで開催される第13節までとなっています。

今季日程の特徴はこれまでMSLでは一律だった21時キックオフの試合が少なくなったこと。例えば第1節の日程では、21時キックオフの試合は6試合中3試合で、5月11日のPDRM FC対クダ・ダルル・アマンFC戦(スラヤン・スタジアム)は17時30分キックオフ、また同日のスリ・パハンFC対クランタン・ダルル・ナイムFC戦は20時15分キックオフ、5月12日のサバFC対ペナンFC戦は16時45分キックオフとなっています。また第2節や第3節でも21時キックオフの試合は6試合中2試合となっています。

また後半戦(第14節から第26節まで)の日程は、8月までには発表となるということです。

前半戦の改訂された日程はこちらです。

4月29日のニュース<br>スランゴールがプレシーズン大会優勝+新装MBPJスタジアムの体験レポ

いよいよ今日はU23アジアカップ準決勝、インドネシア対ウズベキスタンの試合が行われます。U23アジアカップ初出場ながら快進撃を続けるインドネシアが、今日の試合に勝って東南アジアからは19オリンピックサッカーへの出場を決めるのことができるのかどうかに注目が集まります。独立前のオランダ領東インドとして1938年大会にアジア初のW杯出場を果たしているインドネシアですが、東南アジアからは1980年のマレーシア以来となるオリンピック出場を果たすことができるのでしょうか。(注:1980年のモスクワオリンピックは、当時のソ連のアフガン侵攻に抗議する形で西側諸国の多くがボイコットし、マレーシアもこれに同調し出場辞退しています。その前の東南アジアからのオリンピック出場は1972年にマレーシアとビルマ(現在のミャンマー)が1972年のミュンヘンオリンピックに出場しています。このとき、マレーシアは西ドイツ、アメリカ、モロッコと同組になり、アメリカには3−0と勝利したものの、西ドイツには0−3、モロッコには0−6で敗れてグループステージ敗退しています。)

スランゴールがプレシーズン大会優勝

4月26日と28日に両日に行われた国際大会で、スランゴールFCが優勝を果たし、賞金1万米ドルを獲得しています。

スランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムで行われた国際招待大会「スランゴール・アジア・チャレンジ2024」にはスランゴールFCの他、DPMM FC(ブルネイ)、バレスティア・カルサFC(シンガポール)、ヤング・エレファンツFC(ラオス)が参加し、それぞれが2試合を行いました。

4月26日の第1試合では、バレスティア・カルサFCが田中幸大選手のPKの1点を守り切り、ヤング・エレファンツFCに勝利し、またスランゴールFCは1月のアジアカップにも出場したヨルダン代表MFノー・アル=ラワブデと、今季新加入のカーボベルデ出身FWアルヴィン・フォルテス(タイ1部ラーチャブリーFCから移籍)がそれぞれ2ゴールを挙げてDPMM FCを破っています。

バレスティア・カルサFC対ヤング・エレフェンツFC戦のハイライト映像(アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)
スランゴールFC対DPMM FC戦のハイライト映像(アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

そして昨日4月28日の第1試合ではバレスティア・カルサFCとDPMM FCが対戦しました。ブルネイのクラブながらシンガポール1部のプレミアリーグでプレーするDPMM FCは来月5月に開幕する今季リーグ戦でもこのバレスティア・カルサFCとたいせんします。この試合は連勝して今大会優勝を狙うバレスティア・カルサFCが田中雄大選手の2試合連発となるゴールや杉田将宏選手のゴールでリードしますが、DPMM FCはブルネイ代表でもプレーする21歳のFWハケメ・ヤジドの2ゴールで追いついて前半を終えます。後半に入るとDPMM FCがMFアズワン・アリのゴールで遂に逆転しますが、バレスティア・カルサFCはキャプテン、アレン・コザルのゴールで追いついて、引き分けに持ち込んでいます。

DPMM FC対バレスティア・カルサFC戦のハイライト映像(アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

また第2試合では大会ホストのスランゴールFCが、ラオスリーグ2連覇中、しかも2シーズン無敗というヤング・エレファンツFCと対戦しました。かつてクチンシティFCでもプレー経験がある鈴木雄太選手、そして西原拓夢選手と日本人選手2名が在籍するヤング・エレファンツFCを相手に、スランゴールFCはFWアルヴィン・フォルテスの2戦連発となるゴールで先制すると、今季からキャプテンを務めるシンガポール代表のDFサフワン・バハルディンが得意のヘディングシュートを決めて、スランゴールがリードを広げて前半を終了します。後半にはマレーシア代表のエースFWファイサル・ハリム、そして先日のU23アジアカップに出場したものの、良いところがなかったMFシャヒール・バシャーがダメ押しとなる4点目を決めて、スランゴールFCが快勝し、前回大会ではPK戦でバンコク・ユナイテッドに敗れて逃した優勝を果たしています。

スランゴールFC対ヤング・カルサFC戦のハイライト映像(アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

スランゴールFC対ヤング・エレファンツFC戦の観衆は3,700名とやや寂しかったものの、スランゴールFCにとっては、5月10日に開幕する2024/25シーズンに向けて良い勢いがついた大会となりました。

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今季のACL2にも出場するスランゴールFCは、今季開幕前に本拠地のMBPJスタジアムを改修しています。昨季まで同居していたPDRM FCは、今季の本拠地を同じスランゴール州のスラヤンにあるMBSスタジアム(通称スラヤンスタジアム)に移したため、スランゴールFCのみが使うスタジアムになっています。スタジアム内はチームカラーの赤と黄色を基調に塗り替えられ、座席も一部はコンクリートに直に座る形だったところにも座席が設置されるなど、快適さも増しています。以下の写真はそれぞれ左が改修前、右が改修後です。

スタジアム正面入口はチームカラーの赤に塗られ、表示も変更されています。(ちなみにPetaling Jaya City FCは既にリーグ脱退したクラブです。スランゴールFCは昨季もこのMBPJスタジアムを使って今いたが、Home of Petaling Jaya Cityの看板はそのまま放置されていました。)

スタンド全般は鮮やかな色に塗られ、華やかな雰囲気になっています。

クルヴァに屋根が設置されています。(ただしホームチームのみ)

コンクリート直座りだった席がなくなり、プラスチックの座席が設置されています。

その他に新たな座席も導入されています。これは肘掛けもあって快適でした。

その一方でアジアの大会に出るのであれば改善が必要と考えられる点もあります。まずはマレーシアでは「あるあるネタ」のトイレの汚さ。マレーシアではトイレットペーパーよりも水で洗う方が多く、そのせいからかトイレの床は常に水びたしで衛生感がありません。また、蛇口や便器が破損しているものが放置されたままのものもあり、マレーシア基準では問題なくとも、国際試合を行うのであれば改善して欲しい点でした。

またメインスタンド側では1つしかない売店は常に長蛇の列の上、品揃えが酷く、食べ物はすぐに売り切れ、飲み物はペットボトルを開けてコップに移し替えた炭酸飲料を売るため、炭酸が抜けた砂糖水をつかまされることもあります。同じ首都圏にあるKLフットボールスタジアムはすぐ外にフードトラックが多く出ており、また今季からPDRM FCがホームにするスラヤン・スタジアムも近くにファーストフードやコンビニがあり、持ち込みが可能なのですが、MBPJスタジアムは周りにそういったものがないため、スタジアム内の店が頼りなのでなんとかして欲しいところです。

またこの日は17時キックオフに合わせて16時30分にスタジアムに着きましたが、QRコードのチケットを購入済みでしたが、入り口ではそのチケットを読み込むチケット係がまだ来ていいないと言われて暑い中15分ほど待たされました。しかも結局、時間までに係員が来ず、チケットをスキャンされないまま入場して良いと言われるなど、アジアの大会に出る準備は本当にできてるのだろうか、という思わずにはいられませんでした。

4月26日のニュース<br>マレーシアサッカー協会TDはアジアカップ敗退を「マッチフィットネス」不足が原因と分析<br>トーレスU23代表監督は最終戦の敗因にシーク・イズハンの退場などを挙げる<br>本日開幕のスランゴール・アジア・チャレンジの対戦カード発表

インドネシアの快進撃が止まりません。1月のアジアカップではベスト16進出、そして初出場となったU23アジアカップでは韓国を破ってベスト4に到達しています。その過程ではA代表がアジアカップベスト16で敗れたオーストラリアをU23代表が撃破して、しっかり借りを返すなど両代表監督を兼務するシン・テヨン監督にとっても快心の結果でしょう。FIFAランキングではマレーシアに代わって東南アジア3位となったインドネシアですが、この調子ならまだまだ上には行けそうで、アジアカップではA代表、U23代表ともグループステージを突破できなかったマレーシアとの差はむしろ開くばかりです。

マレーシアサッカー協会TDはアジアカップ敗退を「マッチフィットネス」不足が原因と分析

U23アジアカップでは、0勝3敗、得点1失点6という成績でグループステージで姿を消すことになったマレーシア。この成績に様々なところから様々な意見が出ています。マレーシアの通信社ブルナマによると、マレーシアサッカー協会(FAM)のスコット・オドネルTD(テクニカル・ディレクター)は、今大会のU23代表には「マッチフィットネス」が不足していたことが、今回の結果の主な原因であると分析しているようです。

昨年12月に昨シーズンが終了したものの、マレーシアの国内リーグが秋春制への移行を行っていることもあり、今季の開幕が5月となりリーグ戦がない期間が5ヶ月に及んでおり、U23代表の選手たちはこの大会前に実際の試合に出場する時間が欠けていたことで良い結果が出せなかったと話しています。さらに「(今回のU23代表選手)の昨季の成績を見ると、所属するクラブ(のトップチーム)で出場時間が1,000分を超えているのはGKシーク・イズハン(2,250分-ヌグリスンビランFC)、ムカイリ・アジマル(1,684分-スランゴールFC)、T・サラヴァナン(1,252分-KLシティFC)、サフワン・マズラン(1,063分-トレンガヌFC)4名しかいない。」と、そもそもトップチームでの出場時間が少ない選手が多かったことは大会前から分かりきっていたことにもかかわらず今更ながらに説明しています。

まるで他人事のように説明を終えたオドネルTDは、FAMとしては年代別大会を再編し、若い選手がより多くの出場時間を得られるようにするべきと考えていと述べ、今後はU23代表がFIFA国際マッチカレンダーでより多くの国際試合を経験できるようにしたいとも述べ、国際試合が実現しない場合には代表合宿を行い、監督やコーチが選手の状況をはくできるような機会を設けたいとしています。

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まるで他人事のように分析されてもなぁ。U23アジアカップの日程がわかっていたにもかかわらず、このタイミングでの秋春制移行を一気に行おうとした時点で、試合のない期間が長期に亘り、その結果としてマッチフィットネス不足の問題が起こることは予測できていたはずですが、それをあえて実行した責任者にその理由を問いただしたいところです。しかもオドネルTDが名前を挙げた4選手のうち、シーク・イズハンとT・サラヴァナンは最終戦でやっと出番がまわってきた一方で、ムカイリ・アジマルは最終戦では先発を外れ、サフワン・マズランは初戦のウズベキスタン戦でのケガで、2戦目、3戦目はベンチ外と、この4選手が一堂に顔を合わせることは一度もありませんでした。

またU23アジアカップの最終戦、クウェートU23対マレーシアU23が放送された際には、コメンテーターとしていずれも元代表選手のザクアン・アドハとP・スブラマニアムの両氏もそろって今回のU23代表は明らかに準備不足だと述べ、ザクアン氏はノックアウトステージ進出という目標に対して、それを本当に実現するための準備がなされていなかったと述べ、スブラマニアム氏は(昨季リーグ終了後から)大会までの4ヶ月間、対外試合を行わないなど大会までの準備のプランそのものが失敗だったと述べている場面もありました。

トーレスU23代表監督は最終戦の敗因にシーク・イズハンの退場などを挙げる

一方、マレーシアU23代表のファン・トーレス監督は、最終戦での敗戦について、前半にシーク・イズハンがレッドカードで1発退場となったことを挙げています。マレーシアU23代表はグループステージ最終戦のクウェートU23代表戦にも敗れて、前回2020年大会に続き、グループステージ3戦全敗で大会を終えています。

グループステージ最終戦についてトーレス監督は「この試合を評価するのは難しい。なぜなら、こちらに得点のチャンスがあったのに、予期せぬ状況(GKシーク・イズハンへのレッドカード)によって我々はさらに困難に陥ったからだ」と話しています。。

「その後は、チームは全力を尽くし、ほぼ同点に持ち込むところまでいったものの。そこから選手たちは疲れ始めてしまった。ハーフタイムでは適切なプランを立てよ、選手たちは要求されたことに素晴らしいパフォーマンスを見せたが、最後の局面でのエネルギーが不足していた。」と説明しています。

スランゴール・アジア・チャレンジの対戦カード発表

本日4月26日(金)と28日(日)の2日間で開催される「スランゴール・アジア・チャレンジ2024」は、スランゴールFCが主催する域内のクラブを招待して行われるプレシーズン大会です。4年ぶり2回目となる今大会には、ヤング・エレファンツFC(ラオス)、DPMM FC(ブルネイ)、バレスティア・カルサFC(シンガポール)の3チームがスランゴールとともに出場しますが、その対戦カードが発表になっています。(出場各チームの簡単な紹介はこちらにまとめました。)

4月26日(金)
バレスティア・カルサFC対ヤング・エレファンツFC(17時キックオフ)
スランゴールFC対DPMM FC(21時キックオフ)

4月28日(日)
DPMM FC対バレスティア・カルサFC(17時キックオフ)
スランゴールFC対ヤング・エレファンツFC(21時キックオフ)

今大会は勝利チームに勝点3、引き分けの場合は両チームに勝点1が与えられる他、1ゴール当たりさらに勝点1が与えられ、各チーム2試合を終えて勝点が最も多いチームが優勝となります。また勝点で並んだ場合には得失差が大きいチームが優勝、さらに得失差でも並んだ場合にはファールの少ないチームが優勝となることも発表されています。

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この大会に向けて今季使用のユニフォームなども発表したスランゴールFCですが、今回の対戦カードを見て気になったのは、スランゴールFCがバレスティア・カルサFCと対戦しないことでした。DPMM FCは、ブルネイリーグではなく、シンガポール1部のプレミアリーグに所属しており、バレスティア・カルサとは5月に開幕する2024/25シーズンでも対戦することから、この2チームが対戦するカードではなく、スランゴールFCが対戦しても良かったのではないかとも思います。ちなみに昨季のシンガポールリーグではバレスティア・カルサのリーグ4位(勝点36)の成績に対し、DPMM FCは7位(同23)だったので、スランゴールFCはあえてバレスティア・カルサFCとの対戦を避けたのでは、という気もします。

4月24日のニュース<br>U23アジアカップ-マレーシアは3戦全敗でグループリーグ敗退

U23アジアカップ2024はグループステージが終了しました。東南アジアから出場した4ヶ国では、ベトナムとインドネシアがいずれもグループ2位でベスト8に進んだ一方で、タイとマレーシアはいずれもグループ最下位で敗退しています。

年始のアジアカップから始まり、2026年W杯予選、そしてこのU23アジアカップまで続いたマレーシア代表の一連の試合はここで一旦終了し、ここから国内サッカーファンの関心は、5月10日に開幕する今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグへと移っていきます。

ただし試合後にはマレーシアサッカー協会(FAM)やU23代表を非難する投稿がSNSに散見し、現在の育成方法や外国籍選手枠、さらには帰化選手獲得の是非など、今後のマレーシアサッカーを大きく変える可能性もある様々な意見も飛び交っています。これについては、どこかのタイミングでボラセパマレーシアJPの意見も書いてみたいと思っています。

U23アジアカップ-マレーシアはクウェートにも敗れて3戦全敗でグループステージ敗退

初戦のウズベキスタン戦、2戦目のベトナム戦といずえrも0−2で敗れたマレーシアは、すでにグループステージ敗退が決定しており、第3節はやはここまで2連敗のクウェートとの対戦となりました。

試合前のマレーシアメディアの取材に対して、このクウェート戦ではここまで出場がない選手の起用も考えていると話していたフアン・トーレス監督ですが、ムハマド・カリル(スランゴールFC)は警告累積のため出場停止、サフワン・マズラン(トレンガヌFC)は初戦のウズベキスタン戦でのケガから回復せず、という状況で、この試合では大会初出場となるシーク・イズハン(ペナンFC)をGKに起用するなど5名の選手をベトナム戦から入れ替えています。FWはファーガス・ティエニーと今大会初先発となるダリル・シャムのジョホール・ダルル・タジムFC II(JDT II)コンビが2トップ、中盤は左右のサイドハーフにルクマン・ハキム(J3 Y.S.C.C)とハキミ・アジム(KLシティFC)中央にはシャヒール・バシャーとノーア・レインのスランゴールFCコンビが入っています。DFは左からウマル・ハキーム(JDT II)、ハリス・ハイカル(スランゴールFC)、ウバイドラー・シャムスール(トレンガヌFC)、アイマン・ユスニ(ペラFC)、そしてGKは今大会初先発のシーク・イズハン(ペナンFC)という布陣です。なおファーガス・ティエニー、ノーア・レイン、ハリス・ハイカル、ウバイドラー・シャムスールの4名が3戦連続の先発となっています。

下は試合前に並んだこの日の先発XI
前列左からウマル・ハキーム、アイマン・ユスニ、ダリル・シャム、ルクマン・ハキム、ノーア・レイン
後列左からウバイドラー・シャムスール、シャヒール・バシャー、ハキミ・アジム、ファーガス・ティエニー、シーク・イズハン、ハリス・ハイカル
(写真提供:植田朝日様)

いずれもここまで未勝利ということもあってか、試合開始からよく言えば勝ちに貪欲な、悪く言えばなりふり構わないプレーが見られる両チームでした、最初に見せ場を作ったのはマレーシアでした。3分にはダリル・シャムのシュートが惜しくもGK正面となり、15分には自陣でボールを持ったウマル・ハキームが中央をドリブルで上り、クウェートDFの間を通すパス。これを受けたルクマン・ハキムが放ったシュートが相手ゴールネットを揺らしたものオフサイドの判定でした。逆にクウェートもその2分後にゴールラインに近い左サイドからクロスを上げ、これをタラール・アル=カイシがダイレクトで合わせるもゴールポストの上を超えていきます。

誤算だったのは36分にケガのためダリル・シャムが交代、さらに44分にはGKシーク・イズハンが自陣へのロングボールをペナルティエリアの外でクリアしようとしてサルマン・アル=アワディと交錯した結果、1発レッドとなってしまいます。(シーク・イズハンは担架で退場)1人少なくなったマレーシアはここでルクマン・ハキムに代えてGKフィルダウス・イルマン(ペラFC)を起用し、ルクマンのU23アジアカップ挑戦はここで終わってしまいます。

そして前半ロスタイムにはマレーシアのペナルティエリア内でウマル・ハキームがタラール・アル=カイシを倒してしまいます。VARが入り、これがPKとなると、キャプテンのサルマン・アル=アワディが決めて、クウェートが先制します。前半を0−1で折り返した試合は、後半の60分に左サイドのスルタン・アル=ファラジュのクロスにタラール・アル=カイシが頭で合わせて強烈なヘディングシュートを叩き込み、クウェートはリードを2点と広げます。しかしその3分後にはノーア・レインからのロングボールを受けたハキミ・アジムがクウェートDFをかわして今大会チーム第1号となるゴールを決め、マレーシアは1点差に詰め寄ります。

84分にはクウェートのサルマン・アル=アワディがウマル・ハキームへの危険なタックルはVARによる検証の結果、レッドカードとなりクウェートも10人となったものの、マレーシアはこれを生かせずこのまま1−2で敗れています。

この試合の映像(スタジアム・アストロのYouTubeチャンネルより)

AFC U23アジアカップ2024 グループステージD組第3節
2024年4月23日@アル・ジャヌーブ・スタジアム(アル・ワクラ、カタール)
クウェートU23代表 2-1 マレーシアU23代表
⚽️クウェート:サルマン・アル=アワディ(45+14分PK)、タラール・アル=カイシ(60分)⚽️マレーシア:ハキミ・アジム(63分)
🟨クウェート(2):ファイサル・アル=シャティ、カレド・アル=ファドリ
🟨マレーシア(4):ウバイドラー・シャムスル、ムカイリ・アジマル、ハキミ・アジムアイマン・ユスニ、ハリス・ハイカル
🟥クウェート(1):サルマン・アル=アワディ
🟥マレーシア(1):シーク・イズハン

全勝同士の対戦となったグループ1位D組のもう1試合は優勝候補のウズベキスタンがベトナムを3-0で破っています。この結果、D組を1位で突破したウズベキスタンはC組2位のサウジアラビアと、またD組2位となったベトナムはC組1位のイラクと、それぞれベスト8で対戦し、勝利すれば2024年パリオリンピック出場に王手がかかります。

AFC U23アジアカップ2024 グループステージD組第3節
2024年4月23日@カリファ国際スタジアム(アル・ライヤーン、カタール)
ウズベキスタンU23代表 3-0 ベトナムU23代表
⚽️ウズベキスタン:アリシャ・オディロフ2(4分、40分)、ルスランベク・ジヤノフ(36分)
🟨ウズベキスタン(1):サイダザマト・ミルサイドフ
🟨ベトナム(2):グエン・ドゥック・ヴィエット、グエン・ホン・フク

勝点
1ウズベキスタン3300111109
2ベトナム32015416
3クウェート310249-53
4マレーシア300316-50

4月23日のニュース<br>前スランゴール監督のタン氏がタイリーグ移籍後初勝利<br>佐々木匠選手所属のヌグリスンビランがアズミ新監督の就任を発表-これで全クラブの監督が決定

昨日、KLフットボールスタジアムで行われたプレシーズンマッチの連邦直轄地大臣杯KLシティFC対ヌグリスンビランFCは、今季2024/25シーズンからマレーシアスーパーリーグ(MSL)で運用が始まるVARの試験運用も行われました。MSLは今季は4セットの移動式VAR設備を用意して、試合ごとにこの設備を移動してVAR判定を行うことを発表しています。昨日の試合は私も観戦しましたが、テレビなどでは見たことがあっても実際にVARが運用される試合を見たのは初めてでしたので、色々と興味深い点がありました。下はMSLを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)のロゴが貼られたトラック。おそらくこれがVAR設備を運ぶトラックと思われます。

KLフットボールスタジアムには一応電光掲示板がありますが、この試合ではそれとは別に仮設のスクリーンが設置され、スコアの他、以下のようなVARによる判定が行われていることが告知されました。(後ろの黒いものが従来の電光掲示板で、その前に仮設スクリーンが設置されています。)

VARが入ると以下のような説明が出ますが、このスクリーンを使ってのリプレイなどは表示されず、観客は最終的な判断が下されるまで、ただただ待たされることになりました。他の国も同じようなものなのでしょうか。

なおこの日の試合では、今季からKLシティFCでプレーする代表MFブレンダン・ガンがマレーシアリーグにおけるVAR判定からのレッドカード退場第1号となりました。またこの試合を見ていた周りの反応ですが、ピッチ上で何かしらの接触プレーがあるたびに「VARで確認しろ!」と声が挙がっていたり、VAR判定を待つ間の時間が長く、「遅いぞ!」という声も聞こえていました。実際、この試合は前半のロスタイムが13分、後半も10分と明らかにVARの影響が見てとれました。試験運用ということで、ピッチ上の審判もVARルームの審判も皆さんが手探りだとは思いますが、今週と来週に行われるプレシーズンマッチでの試験運用を経て、5月10日の開幕戦、ジョホール・ダルル・タジムFC対スランゴールFC戦からVARの正式運用がマレーシアでも始まります。

前スランゴール監督のタン氏がタイリーグ移籍後初勝利

今年2月にスランゴールFC監督を辞任しタン・チェンホー氏は、タイ1部ポリス・テロFCの監督に就任しました。就任時は5勝4分10敗と低迷していたクラブではあったものの、前マレーシア代表監督でもあったタン監督就任以来0勝2分3敗と勝星に恵まれていませんでした。

しかし4月20日に行われた第25節、ホームのウタイターニFCで1-0と勝利し、監督就任以来の初勝利を挙げています。ロスタイムの90+3分にタイ代表でもプレー経験があるベテランMFエッカチャイ・スムレイがこの試合途中出場ながらゴールを決めたポリス・テロFCは今季通算4勝目を挙げ、チームも最下位から1つ順位を上げて15位としています。

今季残り5試合となったタイ1部リーグは次節第26節が今週末に行われますが、現在15位のポリス・テロFCは最下位のトラートFCとの対戦が控えており、4月に入って未勝利のこのトラートFCを破れば、降格圏脱出も見えてきます。

この試合のハイライト映像。タイリーグ公式YouTubeチャンネルより’
佐々木匠選手所属のヌグリスンビランがアズミ新監督の就任を発表-これで全クラブの監督が決定に

今季2024/25シーズンのスーパーリーグに参加する13クラブの内、唯一、監督が決まっていなかったヌグリスンビランFCはアズミ・アジズ新監督の就任をクラブ公式SNSで発表しています。ヌグリスンビランFCは、昨年12月のリーグ終了後、K・デヴァン監督が退任して以来、監督が空席となっていました。

49歳のアズミ新監督は、2017年と2018年にはクダFA(当時、現クダ・ダルル・アマンFC)でコーチを務め、2020年から2022年まではヌグリスンビランFCのプレジデントカップチーム(U21チーム)を率いた経験もあります。2023年はPDRM FCの監督としてシーズンをスタートし、14試合を終えて6勝1分7敗の8位だった8月3日、マレーシアカップ1回戦スランゴールFC戦を前に「休養」が発表されて、話題になりました。クラブが設けていた前半戦で勝点15の条件なども達成しており、アズミ監督自身も「休養」の理由がわからないとメディアに打ち明けるなど、報道を見る限りではなんとも不可解な「休養」でした。なおPDRM FCはアジズ監督の後を継いだエディ・ガピル監督代行、そしてユヌス・アリフ監督が指揮を取った残り12試合は5勝3分4敗の成績を残した結果、昨シーズンは8位に終わっています。

4月21日のニュース<br>U23アジアカップ-マレーシアはベトナムにも敗れてグループステージ敗退決定<br>スランゴールFC主催の「スランゴール・アジア・チャレンジ2024」の出場チーム発表

U23アジアカップ-マレーシアはベトナムにも敗れてグループステージ敗退決定

XIグループステージD組第1節を終えてグループ首位のベトナムと対戦するマレーシアのフアン・トーレス監督は、0-2で敗れたウズベキスタン戦の先発から3名を入れ替えています。ファーガス・ティエニー(ジョホール・ダルル・タジムFC -JDT II)のワントップからムカイリ・アジマル(スランゴールFC)とのツートップとし、その後ろに左からルクマン・ハキム(J3 Y.S.C.C.)、ノーア・レインとムハマド・カリリ(いずれもスランゴールFC)、ナジムディン・アクマル(JDT II)を中盤に配置、そして4バックには左にウマル・ハキーム(JDT II)、センターバックはウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)とハリス・ハイカル、そして右にはジクリ・カリリ(いずれもスランゴールFC)の2−2−4いう布陣を選択しています。

U23代表同士の対戦では2013年の東南アジア大会を最後にベトナム戦では勝利がないマレーシアですが、6分には左サイドをナジムディン・アクマルからムカイリ・アジマルとつなぎ、ムカイリからゴール前のルクマン・ハキムへクロスを送りますが、これはオフサイドの判定。一方のベトナムも17分に左サイドからクロスに合わせたシュートを放ちますが、これもやはりオフサイドでした。その後もマレーシアは高い位置でのプレスでベトナムからボールを奪う機会を作るものの、精度の低いパスなどのせいでシュートまで持ち込むことができません。

そして39分にはウバイドラー・シャムスルがヴォー・グエン・ホアンを押し倒してペナルティエリアの外やや右サイドでPKを与えてしまいます。これをクアット・ヴァン・カンが見事なカーブを描くシュートを左足から放つと、飛び込んだGKアジム・アル=アミンの指先をかすめてゴールに吸い込まれ、ベトナムが先制します。

前半は共にイエロー3枚をもらったベトナムとマレーシアですが、マレーシアは後半に入っても積極的に仕掛けますが、パスを受ける選手がゴールに背を向けた状態であることが多く、結局、後ろや横へのパスに終始し、そこが起点になかなかななず、さらにパスミスを奪われてカウンターのピンチにも直面します。

そんな中で、前半で得点につながるPKを与えたウバイドラー・シャムスルが、今度はカウンターからの速攻を止めようとして、今度はブイ・ヴィ・ハオを自陣ペナルティーエリア内でを倒してPKを与えてしまいます。これをヴォー・ホアン・ミン・コアゴール左隅に決決めて、ベトナムがリードを2点に広げます。ここからマレーシアのフアン・トーレス監督は、ノーア・レイン以外の中盤3人に交代カードを切りますが、代わって入ったシャヒール・バシャー、ハキミ・アジム、アリフ・イズワンらもこの状況を変えるには至らず、このまま試合終了。2戦連続の完封負けでマレーシアはグループステージ敗退、一方のベトナムはベスト8進出を決めています。

この試合のハイライト映像。スタジアム・アストロのYouTubeチェンネル

AFC U23アジアカップ2024 グループステージD組第2節
2024年4月20日@カリファ国際スタジアム(アル・ライヤーン、カタール)
マレーシアU23代表 0-2 ベトナムU23代表
⚽️ベトナム:クアット・ヴァン・カン(39分)、ヴォー・ホアン・ミン・コア(60分PK)
🟨ベトナム(3):ホー・ヴァン・クン、ヴォー・グエン・ホアン、グエン・マイン・ハング
🟨マレーシア(4):ムハマド・カリル、ウバイドラー・シャムスル、ムカイリ・アジマル、ハキミ・アジム

グループ1位D組のもう1試合は優勝候補のウズベキスタンがクウェートを5-0と一蹴し、グループステージ突破を決めています。4月23日の最終節では同じく全勝のベトナムとグループ1位突破をかけて対戦します。

AFC U23アジアカップ2024 グループステージD組第2節
2024年4月20日@アル・ジャヌーブ・スタジアム(アル・ワクラ、カタール)
クウェートU23代表 0-5 ウズベキスタンU23代表
⚽️ウズベキスタン:アリベク・ダブロノフ(32分)、ムハマドコディル・ハムラリエフ(49分)、ディヨール・ホルマトフ(86分PK)、ホジマト・エルキノフ(55分)、クサイイン・ノルチャエフ(90+6分)
🟨クウェート(4)
🟨ウズベキスタン(1)
🟥クウェート(1)

勝点
1ウズベキスタン22008176
2ベトナム22005146
3マレーシア200204-40
4クウェート200218-70
スランゴールFC主催の「スランゴール・アジア・チャレンジ2024」の出場チーム発表

今季開幕を5月10日に控え、スランゴールFCはプレシーズンマッチの一環として4年ぶりの開催となる「スランゴール・アジア・チャレンジ2024」の開催を発表していましたが、その詳細がクラブ公式サイトで発表されています。

今回の大会は4月26日と28日の2日間に渡り、スランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムで開催されますが、今回はスランゴールFC以外の参加3チームが発表されています。

ヤング・エレファンツFC(ラオス)
ラオスのヴィエンチャンを本拠地とする2015年創設のクラブで、2022年にラオス1部リーグを13勝5分0敗で初優勝すると、翌2023年も12勝2分0敗で連覇を果たし、過去2シーズンは国内リーグ無敗を継続中。

バレスティア・カルサFC(シンガポール)
シンガポールプレミアリーグのクラブで、前身のファトゥル・カリブは今から126年前の1898年創設の東南アジア最古のサッカークラブ。 その後名称を変えたバレスティア・セントラルFCとクレメンティ・カルサFCが2002年に合併し、現在のクラブとなった。ホームのトア・パヨー・スタジアムは、かつてバレスティア・セントラルがホームとしていた。監督は2017年から2021年までマレーシアサッカー協会(FAM)のテクニカル・ディレクターを務めていたオランダ出身のピーター・デ・ルー氏で、在籍選手には、FW深代陸、MF杉田将宏の両選手に加え、ライオン・シティー・セイラーズから移籍した2022年のシンガポールリーグ最優秀選手の田中幸大選手の日本人選手3名もいる。昨季2023年シーズンは4位。

ドゥリ・プンギラン・ムダ・マコタFC(ブルネイ・ダルサラーム)
ボルネオ島にある小国ブルネイ・ダルサラームのバンダル・スリ・ブンガワンを本拠地とする2000年創設のクラブ。クラブ名のドゥリ・プンギラン・ムダ・マコタはマレー語で皇太子を意味し、オーナーはハサナル・ボルキア国王の長男で皇太子のアルムタデー・ビラ殿下。2005から2008年まではマレーシアリーグに所属していたクラブで、2009年からはシンガポールリーグに所属しており、直近では2019年にリーグ優勝を果たしている。昨季2023年シーズンはシンガポールプレミアリーグ7位(9チーム中)

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コロナ禍前の2020年1月に開催された前回大会は、ハノイFC(ベトナム)、バンコク・ユナイテッドFC(タイ)、プルシブ・バンドン(インドネシア)の3チームが出場し、決勝ではバンコク・ユナイテッドFCがスランゴールFCをPK戦で破って、優勝賞金1万米ドルを獲得しています。直近のFIFAランキングではタイ、ベトナム、インドネシアが東南アジアトップ3ですが、前回大会と違い、これらの国のクラブが1つも出場しない今大会はやや寂しい気もしますが、秋春制移行のため、この時期がプレシーズンとなってしまっているマレーシアに対して、タイ、ベトナム、インドネシアはいずれも現在リーグ戦真っ盛りということもあり、招待が難しかったのでしょう。