11月28日のニュース
コールドプレイの公演で傷んだ国立競技場の芝にサッカーファンが失望
スランゴール対ペラ戦終了後に両サポーターが暴徒化しケガ人も
ジョホールオーナーがJリーグ関係者と会談-Jクラブ買収の可能性も
オーストラリアがAFCカップで渡航のミャンマー軍政との関連が疑われるクラブへビザ発給を拒否-試合は中立地タイでの開催へ

本日11月28日はACLのグループステージI組第5節で川崎フロンターレ対ジョホール・ダルル・タジムFCが対戦します。ここまで4戦全勝の川崎がI組の1位突破はほぼ確定ですが、ジョホールとしてはこの試合で引き分け、あわよくば勝利でI組2位でのノックアウトステージ進出の可能性を残したいところですが、果たしてその結果はどうなるでしょう。

コールドプレイの公演で傷んだ国立競技場の芝にサッカーファンが失望

11月22日にブキ・ジャリル国立競技場で行われた英国ロックバンド、コールドプレイのマレーシア発公演には7万5000人を超える観衆が集まるなど、大盛況だったと報じられました。コンサート自体は大盛況でしたが、その後のピッチの状況を移した写真をジョホール・ダルル・タジムFCのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が自身のインスタグラムに投稿し、その「惨状」を明らかにしています。

1998年開場のブキ・ジャリル国立競技場の大規模改修工事に合わせて、その費用をイスマイル殿下が負担する形で行われたピッチを高麗芝系のゼオンゾイシア芝へと張替える工事をおこないましたが、その後、芝が十分根付かない内に行われた先月10月のムルデカ大会では、試合中にあちこちの芝が剥がれ、大会に参加したインド代表やタジキスタン代表などかも不満の声が出ていました。

今月11月16日に行われたFIFAワールドカップ2026年大会予選でも、状況は改善していたものの、やはり芝の養生が不十分と思われるような剥がれ方をしている場面もあり、ブキ・ジャリル国立競技場を運営するマレーシア・スタジアム社も12月8日に予定されているマレーシアカップ決勝にはピッチの状況を改善すると約束しています。

そんな中で開催されたコールドプレイのコンサートでしたが、公演後のピッチは土がむき出しになっている部分も見られるほどの状況で、これを見たサッカーファンからは失望とも怒りとも言える声が上がっています。

これに対してマレーシア政府のハンナ・ヨー青年スポーツ相は、ブキ・ジャリル国立競技場には予備の芝の育成設備が完備されており、マレーシアカップ決勝までにはピッチの状況は修復できると説明する投稿を行ない、またマレーシアサッカー協会(FAM)もマレーシア・スタジアム社がマレーシアカップ決勝戦までにピッチ修復を終えられることを期待するとコメントしています。

スランゴール対ペラ戦終了後に両サポーターが暴徒化しケガ人も

11月25日にスランゴール州のMBPJスタジアムで行われたマレーシアスーパーリーグ第24節、スランゴールFC対ペラFC戦前に両リームのサポーターが衝突し、ケガ人が出ていると報じられています。

これを報じたマレーシア語紙ハリアン・メトロによると、両サポーターの小競り合いから発展した騒動は、スタジアムの駐車場に止めてあった複数の車に破損が起こった他、SNS上では医療スタッフに治療を受けるペラサポーターの映像などもあり、試合終了後は混乱を避けるため、ペラサポーターには一時、スタジアム内で待機することが求められたということです。また別の記事では、スランゴールFCは既に警察に事件を報告して、詳しい調査を求めているとも報じられています。

ジョホールオーナーがJリーグ関係者と会談-Jクラブ買収の可能性も

英字紙ニューストレイトタイムズは、ジョホール・ダルル・タジムFCのオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が東京でJリーグ関係者と会い、「日本サッカーへの投資と株式取得」の可能性についての話し合いを行った、と報じています。イスマイル殿下は本日、ACLで川崎フロンターレと対戦するジョホールチームに合わせて来日しています。

ジョホールのクラブ公式Facebookの投稿を引用する形で書かれた記事では、今回の階段は「ジョホール・ダルル・タジムFCの東アジアへのブランド拡大という目的の他に、日本企業によるクラブへの投資の促進という目的」もあったとされています。なお、Jリーグ側からは、執行役員で海外事業担当の相田鉄弥氏と海外事業部長の大矢丈之氏らがこの会談に参加したということです。

ジョホールは、これまでにボルシア・ドルトムント(ドイツ)、ヴァレンシアCF(スペイン)、ユベントスFC(イタリア)などの欧州各チームの他、シャールジャFC(アラブ首長国連邦)やコンサドーレ札幌などとも協力関係にあったこともあります。

オーストラリアがAFCカップで渡航のミャンマー軍政との関連が疑われるクラブへビザ発給を拒否-試合は中立地タイでの開催へ

明日11月29日はAFCカップ第5節がアジア各地で行われますが、東南アジア地区のF組ではオーストラリアのニューサウスウェールズ州ルウメアで予定されていたマッカーサーFC(オーストラリア)対シャン・ユナイテッド(ミャンマー)の試合が、タイでの開催に変更されています。

オーストラリアサッカー協会の発表によりと、これはシャン・ユナイテッドの選手らに対し、オーストラリア政府がビザを発給しなかったことが原因だと説明されており、オーストラリアでの試合開催が不可能となったことから、このカードはバンコクのBGスタジアムに会場を移して開催されるということです。、

オーストラリアサッカー協会、オーストラリア政府内務省のいずれもこの件に関しては説明を行っていませんが、オーストラリア国内の人権団体がシャン・ユナイテッドとミャンマー軍事政権との関連についての懸念を表明したことがあり、これとの関連が疑われています。

なおマッカーサーFCはAFCカップ第1節では、オーストラリア政府の「助言」を無視する形で9月21日にシャン・ユナイテッドのホームで対戦しており、その行動には一部からは批判の声も出ていました。

2023マレーシアスーパーリーグ第24節結果とハイライト映像(3)-ヌグリスンビラン、ペナン、KLシティが順位を上げる

W杯アジア2次予選などで中断されていたマレーシアスーパーリーグがほぼ1ヶ月ぶりに再開し、第24節の1試合が行われています。首位のジョホール・ダルル・タジムFCは既に今季の優勝を決めており、注目は来季から始まるACL2の出場権がかかる2位を争うスランゴールFCとクダ・ダルル・アマンFCの結果に注目が集まりますが、今節は両チームが勝利し、勝点差2のままです。また個人タイトル争いは、得点王争いトップのエイロン・デル・ヴァイエ(スランゴールFC)が2位のフェルナンド・フォレスティエリに3点さをつけるゴールを決めています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンスーパーリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年11月25日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆: 406人
ヌグリスンビランFC 2-0 PDRM FC
⚽️ヌグリスンビラン:R・バラトクマル(48分)、A・セルヴァン(79分)
🟨ヌグリスンビラン(0)
🟨PDRM(1):ファクルル・アジム
MOM:エラルド・グロン(ヌグリスンビランFC)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発してフル出場しています。

リーグ戦2連勝中で、チャレンジカップ決勝への進出を決めているPDRMは、前節ではリーグ5位のスリ・パハンを破っており、この試合に勝てば今季最高位の6位に浮上します。一方のヌグリスンビランは、ここまで5つの引き分けを含み13試合白星がなく、順位もリーグ10位と低迷しています。

そんな勢いに差がある両チームの対戦は、一進一退を繰り返し、33分にはPDRMの鈴木ブルーノがヌグリスンビランDFを振り切ってシュートを放つも、GKシーク・イズハンが好セーブを見せ、前半終了間際にはヌグリスンビランがカサグランデからシャーレル・フィクリと繋いでゴールを狙うも、PDRMのDFジェイムズ・オクゥオサがこれを防ぎます。

両チーム無得点で前半を折り返すと、後半はヌグリスンビランが徐々にペースを掴み始め、優勢に転じます。48分にはカサグランデとのワンツーで左サイドを抜け出したシャーレル・フィクリがゴール前へ絶妙のクロス。これをPDRMのジャック・フェイがクリアし損ねてオウンゴールとなり、ヌグリスンビランが9月23日のマレーシアカップ、ジョホール戦以来となるゴールを挙げて先制します。11月16日のW杯予選日本戦でフル出場したDFチョー・ミン・ウーがこの試合ではベンチ外で、その代わりに今季2試合目の出場となったジャック・フェイのオウンゴールでリードしたヌグリスンビランは、この1点でさらに勢い付くと、77分に投入されたA・セルヴァンが連携を失ったPDRMのDFラインを抜け出して2点目のゴールを決めて、5月18日の第11節、PDRM戦以来半年ぶりのリーグ戦勝利を挙げています

2023年11月26日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆: 927人
ペナンFC 3-2 スリ・パハンFC
⚽️ペナン:アブディーン・アブドゥル2(26分、64分)、イザット・ジクリ(79分)
⚽️スリ・パハン:ラファエル・ダ・シルヴァ(20分)、シャズワン・アンディック(52分)
🟨ペナン(1):イザット・ジクリ
🟨スリ・パハン(1):ファドリ・シャス
MOM:アブディーン・アブドゥル(ペナンFC)

5位のスリ・パハンと11位のペナンの対戦は、リーグ戦では7試合続けて白星がなかったペナンが7月7日以来の勝利を挙げています。

今月11月7日にチョン・イーファット監督とマンズール・アズウィラ コーチを「休養」させたペナンは、コーチから昇格したアクマル・リザル監督代行が今季の残り3試合の指揮を取ることを発表したペナンFC。そのアクマル監督代行指揮下では初戦となったこの試合では、スリ・パハンのラファエル・ダ・シルヴァに先制ゴールを許す、嫌な展開で始まります。

白星から見放されていた7試合ではわずか3得点のペナンですが、この試合では6分後に同点に追いつきます。アル=ハフィズ・ハルンの蹴った右コーナーキックをアブディーン・アブドゥルが頭で合わせて同点ゴールを決めます。リーグ後半から加入しながらこれまで不発だったアブディーン・アブドゥルの活躍で追いついたペナンは同点で前半を折り返します。

後半に入るとスリ・パハンがペースを上げ、52分にシャズワン・アンディックが今季自身初ゴールとなるミドルシュートを決めて再びリードを奪いますが、ペナンもアブディーン・アブドゥルがゴール前の混戦からのこぼれ球を押し込み、64分に再び同点に追いつきます。勢いに乗るペナンは、さらに79分には今季初出場のイザット・ジクリが相手ゴール前での不十分なクリアボールをボレーで蹴り込んで逆転します。アクマル監督代行の期待に応えたイザット・ジクリのゴールが決勝点となったペナンが7試合ぶりの白星を挙げています。

一方、上位、下位とも離れ、勝敗に関係なく順位が変わらないスリ・パハンは、これで3試合白星名となりました。

2023年11月26日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆: 81人
クランタンFC 1-6 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️クランタン:ハジマン・チェ・ンガ(73分)
⚽️クダ:イフェダヨ・オルセグン4(6分PK、27分PK、30分、71分)、アミルル・アフィク(29分)、アリフ・ファルハン(87分)
🟨クランタン(0)
🟨クダ(0)
MOM:イフェダヨ・オルセグン(クダ・ダルル・アマンFC)

ACL2の出場権の懸かる2位争いでスランゴールを勝点差2で追う3位クダ・ダルル・アマンFCは、負けられない試合が続きますが、この日の相手はシーズン最多失点記録を更新中の最下位クランタンFCです。

公式発表では観衆の数が81名と寂しい試合は、イフェダヨ・オルセグンが前半だけでハットトリックを達成したクダが難なく勝利し、スランゴールを追撃しています。クランタンは3試合ぶりのゴールを挙げましたが、焼け石に水でした。

2023年11月26日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆: 397人
KLシティFC 3-0 クランタン・ユナイテッド
⚽️KLシティ:マトコ・ジルダム(21分)、パウロ・ジョズエ(68分)、チェチェ・キプレ(78分)
🟨KLシティ(1):T・サラヴァナン
🟨クランタン(0)
MOM:アズリ・アブドル・ガニ(KLシティFC)

8位のKLシティFCが12位のクランタン・ユナイテッドFCに快勝して7位に浮上しています。

この試合の前には、今季の守備の要、CBジャンカルロ・ガリフオコがケガのため、今季残り試合の出場を見送ることが発表されたKLシティでしたが、キックオフから早いボール回しでクランタン・ユナイテッドを圧倒します。しかし、好機を作りながら得点に結びつけられない嫌な展開の中、21分にはロメル・モラレスがGKと1対1となりながらもシュートを外すと、そのこぼれ球をマトコ・ジルダムが押し込んで、KLシティが先制します。

前半を1-0で折り返したKLシティはその後も攻め続けますが、クランタン・ユナイテッドのGKイルハム・アミルラーが好セーブを連発して得点を許しません。KLシティも代表候補GKのアズリ・アブドル・ガニがクランタン・ユナイテッドの反撃の前に立ちはだかり、試合はKLシティが1点をリードしたまま進みます。

そして66分にはゴールキックからのフィードを受けた右サイドのザフリ・ヤハヤが持ち込み、最後はゴール前でフリーとなっていたパウロ・ジョズエにパス。これを難なく決めたジョズエ選手のゴールで2点目を挙げたKLシティは、78分にも全く同じような展開からいずれも途中出場のショーン・ジャネッリのクロスをチェチェ・キプレが頭で合わせて3点目を挙げると、そのまま逃げ切って3試合ぶりの勝利を挙げています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第24節終了)

順位チーム勝点
1JDT2423109078370
2SEL24181568214755
3KDA24172552262653
4SAB24153661332849
5SRP24135644311344
6TRE2410684133836
7KLC249784137434
8PDRM24104102732-534
9NSE2459102845-1724
10PEN2465132841-1323
11PRK2464142551-2622
12KLU2435162359-3614
13KCH2416171847-299
14KEL24222025108-858
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキングトップ10(第24節終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2240/66524
2フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1934/75718
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)1834/94420
4アブ・カマラ(KCH)1219/43121
クパー・シャーマン(SRP)1223/43722
イフェダヨ・オルセグン(KDA)20/319
7ファイサル・ハリム(SEL)1127/39721
8イヴァン・マムート(TRE)1025/55119
ステファノ・ブルンド(SRP)1020/44021
10フアン・ムニス(JDT)921/44421
パウロ・ジョズエ(KLC)929/57421
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ第24節結果とハイライト映像(2)-AFCカップを控えるチーム同士の対戦はサバに軍配

W杯アジア2次予選などで中断されていたマレーシアスーパーリーグがほぼ1ヶ月ぶりに再開し、第24節の1試合が行われています。首位のジョホール・ダルル・タジムFCは既に今季の優勝を決めており、注目は来季から始まるACL2の出場権がかかる2位を争うスランゴールFCとクダ・ダルル・アマンFCの結果と個人タイトル争いとなりそうです。
(試合のハイライト映像はマレーシアンスーパーリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年11月24日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆: 2,651人
トレンガヌFC 0-4 サバFC
⚽️サバ:ラモン・マチャド(6分)、サディル・ラムダニ(29分)、ミゲル・シフエンテス(40分)、ジャフリ・フィルダウス・チュウ(48分)
🟨トレンガヌ(1):イヴァン・マムート
🟨サバ(2):ダニエル・ティン、ラモン・マチャド
MOM:リザル・ガザリ(サバFC)

リーグ4位のサバFCをホームに迎えた同6位のトレンガヌFCの対戦は、いずれも来週、AFCカップ第5節を控える両チームの対戦となりましたが、サバがまさかの大勝で、AFCカップのホウガン・ユナイテッド(シンガポール)戦に弾みをつけています。

先週のW杯予選ではFWダレン・ロック、MFスチュアート・ウィルキン、DFドミニク・タンがマレーシア代表に、FWサディル・ラムダニがインドネシア代表に招集されていたサバは、キルギス戦で負傷したドミニク・タンはベンチ外、キルギス戦、台湾戦共に先発してフル出場したスチュアート・ウィルキンの両選手はベンチ外だったものの、ダレン・ロック、サディル・ラムダニの両FWは揃って先発しています。

そして6分のラモン・マチャドのゴールに続き、29分にはサディル・ラムダニも元気に豪快なゴールを決めるなどしたサバが前半で3点のリードを奪うと、後半にも追加点をとって、そのまま逃げ切っています。

この日はU23代表DFサフワン・マズランらDF陣の4名が先発から外れたトレンガヌは、サバの攻撃陣を止めきれませんでした。試合後にトレンガヌのトミスラフ・スタインブリュックナー監督は、来週のAFCカップ第5節の首位攻防戦となるセントラル・コースト・マリナーズ(オーストラリア)戦、そして12月8日のマレーシアカップ決勝に向けて、体調が万全でない選手については大事を取ったことを明らかにしています。

2023年11月25日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆: 9,069人
スランゴールFC 4-0 ペラFC
⚽️スランゴール:シャルル・ナジーム(3分)、ムカイリ・アジマル(33分)、ヨハンドリ・オロスコ(73分)、エイロン・デル・ヴァイエ(80分)
🟨スランゴール(3):ファズリ・マズラン、ファイサル・ハリム、ジクリ・カリリ
🟨ペラ(1):ファディル・アズミ
MOM:T・シャヒースワラン(ペラFC)

珍しく17時30分と早い時間にキックオフの試合は、リーグ2位のスランゴールFCが同9位ながら調子を上げて2連勝中のペラFCをホームに迎えての対戦となりました。

スランゴールは代表選に招集された4名の内、今やマレーシア代表のエースとなったFWファイサル・ハリム、W杯予選ではほとんど出番のなかったMFムカイリ・アジマルとシャルル・ナジームは先発し、MFブレンダン・ガンは62分から出場しています。

来季のAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)の出場権が掛かるリーグ2位を3位で勝点差2のクダ・ダルル・アマンFC維持したいスランゴールは、ヨハンドリ・オロスコからのパスを受けたシャルル・ナジームが先制ゴールを開始3分で決めると、それを合図にしたかのようにスランゴールが怒涛の攻撃でペラを圧倒します。33分にはエイロン・デル・ヴァイエのパスを受けたムカイリ・アジマルが2点目のゴールを決めてリードを広げると、その後の好機に決められなかったスランゴールが2-0とリードして前半を終了します。

後半に入っても圧倒的な力を見せるスランゴールは77分にヨハンドリ・オロスコが、そして80分にはリーグ得点王のエイロン・デル・ヴァイエが今季22得点目となるゴールを決めてペラを突き放しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第24節途中)

順位チーム勝点
1JDT2423109078370
2SEL24181568214755
3KDA23162546252150
4SAB24153661332849
5SRP23135542281444
6TRE2410684133836
7PDRM2310492730-334
8KLC238783837131
9PRK2464142551-2622
10NSE2349102645-2121
11PEN2355132539-1420
12KLU2335152356-3314
13KCH2416171847-299
14KEL23221924102-788
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第24節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2240/66524
2フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1934/75718
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)1834/94420
4アブ・カマラ(KCH)1219/43121
クパー・シャーマン(SRP)1223/43722
6ファイサル・ハリム(SEL)1127/39721
7イヴァン・マムート(TRE)1025/55119
ステファノ・ブルンド(SRP)1020/42021
9フアン・ムニス(JDT)921/44421
10ロメル・モラレス(KLC)817/33219
パウロ・ジョズエ(KLC)825/50420
アリフ・アイマン(JDT)818/431122
ラモン・マチャド(SAB)810/2429
イフェダヨ・オルセグン(KDA)815/3118
ウィリアン・リラ(KDA)811/36214
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

11月23日のニュース
AFC U23アジアカップの組み合わせ決定-マレーシアはウズベキスタン、ベトナム、クウェートと同組に

AFC U23アジアカップの組み合わせ決定-マレーシアはウズベキスタン、ベトナム、クウェートと同組に

来年2024年4月にカタールで開幕するAFC U23アジアカップ2024年大会のグループステージ組み合わせ抽選が行われ、マレーシアはウズベキスタン、ベトナム、クウェートと同組のD組に入ることが決まりました。

カタールのドーハで行われた組み合わせ抽選では、各組の組み合わせが以下のように決まっています。

<A組>
カタール(開催国)
オーストラリア(予選I組1位)
ヨルダン(予選A組1位)
インドネシア(予選K組1位)

<B組>
日本(予選D組1位、2016年大会優勝)
韓国(予選B組1位、2020年大会優勝)
アラブ首長国連邦(予選G組1位)
中国(予選G2位)

<C組>
サウジアラビア(予選J組1位、2022年大会優勝)
イラク(予選F組1位、2013年大会優勝)
タイ(予選H組1位)
タジキスタン(予選I組2位)

<D組>
ウズベキスタン(予選E組1位、2018年大会優勝)
ベトナム(予選C組1位)
クウェート(予選F組2位)
マレーシア(予選H組2位)

4月15にから5月3日まで開催されるこの大会では、グループステージ各組の上位2チームがノックアウトステージとなるベスト16に進出します。なおこの大会の上位3チームは2024年パリオリンピックの出場権を獲得し、4位のチームはアフリカサッカー連盟(CAF)のアフリカU23ネイションズカップの4位チームと大陸間プレーオフで対戦し、勝者がパリオリンピック出場権を獲得します。

AFC U23アジアカップには今回が3度目の出場となるマレーシアU23代表ですが、初出場の2018年中国大会では、サウジアラビア、イラク、ヨルダンと同組ながらサウジアラビアを破るなど1勝1分1敗のグループ2位でベスト16に進出したものの、ノックアウトステージでは初戦で韓国に1-2で敗れています。また2022年ウズベキスタン大会では、韓国、ベトナム、タイと同組になり、0勝3敗でグループステージ敗退となっています。

*****

この大会で個人的に気になるのは、マレーシアが「最強」チームを編成できるかどうかです。具体的には、トップリーグでもプレーし、A代表候補にも名前が上がるDFフェロズ・バハルディンやホン・ワンことMFナサニエル・シオ、そして今やA代表の主力となっているMFアリフ・アイマンといったこの年代のトップの選手を抱えるジョホール・ダルル・タジムFCが、このAFC U23アジアカップに出場を許すかどうか、という点です。

クラブオーナーでジョホール州皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下は、FIFA国際マッチカレンダー外での代表戦にはトップチームの選手の招集に協力しない姿勢を表明しており、昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップでも、その姿勢は変わりませんでした。三菱電機カップは東南アジア域内の大会でしたが、はたしてAFC主催大会でもその姿勢を貫くのかどうか。かつてはマレーシアサッカー協会の会長も務めた経験があるイスマイル殿下の以降次第でマレーシアU23代表の戦力は大きく変わります。


2023マレーシアスーパーリーグ第24節結果とハイライト映像(1)-ジョホールはクチンシティに快勝で来週のACLに弾みをつける

W杯アジア2次予選などで中断されていたマレーシアスーパーリーグがほぼ1ヶ月ぶりに再開し、第24節の1試合が行われています。首位のジョホール・ダルル・タジムFCは既に今季の優勝を決めており、注目は来季から始まるACL2の出場権がかかる2位を争うスランゴールFCとクダ・ダルル・アマンFCの結果と個人タイトル争いとなりそうです。
(試合のハイライト映像はマレーシアンスーパーリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年11月23日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆: 8,441人
ジョホール・ダルル・タジムFC 2-0 クチンシティFC
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ(34分)、フアン・ムニス(43分)
🟨ジョホール(0)
🟨クチンシティ(1):ジョセフ・カラン・ティー
MOM:ワン・アズライ(クチンシティFC)
ジョホール・ダルル・タジムFCの邦本宜裕選手は先発して57分に交代しています。
クチンシティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

主力選手が11名がマレーシア代表に招集されていたジョホールは、11月21日の台湾戦では90分から交代出場したDFシャールル・サアドや、出場のなかったDFシャーミ・サファリ、MFモハマドゥ・スマレ以外の全員がこの試合ではベンチ外でした。このため、代表だけでなくクラブでもポジションをシーハン・ハズミに奪われているファリザル・マーリアスが今季リーグ戦初先発、また邦本宜裕選手も加入後3試合目となる先発を果たしています。

一方、今季のチーム総得点18点中12点を挙げているFWアブ・カマラが、W杯アフリカ予選に出場中のリベリア代表に招集されているクチンシティは明らかに火力不足。マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式サイトによると、この試合ではジョホールのシュート数19本(枠内14本)に対して、クチンシティはシュート0本に終わっています。

試合は34分にベルグソン・ダ・シルヴァのミドルシュートで先制したジョホールが、43分にはクチンシティGKワン・アズライが全く反応できないほどのフリーキックをフアン・ムニスが決めてリードを広げると、そのまま危なげなく逃げ切っています。

勝ったジョホールは来週11月28日にACL第5節の川崎フロンターレ戦が控えており、代表戦に出場し、この試合を欠場した主力も万全の体調でアウェイマッチに臨めそうです。ノックアウトステージ進出には、最低でも引き分けが求めらるこの試合は、11月でも日中の気温が30度を超えることもあるマレーシア勢からすれば過酷な気候での試合となりますが、リーグ10連覇の実力を発揮してもらえることを期待したいです。一方、敗れたクチンシティは、来週11月29日にPDRM FCとのチャレンジカップ決勝ファーストレグが控えています。この試合では欠場したアブ・カマラも戻るでしょうから、ベストの布陣で今季初タイトルを目指して戦って欲しいです。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第24節途中)

順位チーム勝点
1JDT2423109078370
2SEL23171564214352
3KDA23162546252150
4SAB23143657332446
5SRP23135542281444
6TRE23106741291236
7PDRM2310492730-334
8KLC238783837131
9PRK2364132547-2222
10NSE2349102645-2121
11PEN2355132539-1420
12KLU2335152356-3314
13KCH2416171847-299
14KEL23221924102-788
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第24節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2137/59423
2フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1934/75718
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)1834/94420
4アブ・カマラ(KCH)1219/43121
クパー・シャーマン(SRP)1223/43722
6ファイサル・ハリム(SEL)1126/38720
7イヴァン・マムート(TRE)1025/54118
ステファノ・ブルンド(SRP)1020/42021
9フアン・ムニス(JDT)921/44421
10ロメル・モラレス(KLC)817/33219
パウロ・ジョズエ(KLC)825/50420
アリフ・アイマン(JDT)818/431122
イフェダヨ・オルセグン(KDA)815/3118
ウィリアン・リラ(KDA)811/36214
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

11月23日のニュース
2024/25シーズンのクラブライセンスはクランタンFCを除く13クラブに交付
前スランゴールのヨルダン代表に無期限出場停止処分
U23代表合宿に英国出身のリチャード・チンが初参加
大量の帰化選手について問われたキム監督が台湾メディアに反論

W杯2026年大会アジア2次予選ではキルギス、台湾に連勝し、今年の通算成績を9勝2分2敗で終えたマレーシア代表。FIFAランキングでは格上のキルギスにも勝利したことで、次のランキング発表では120位代も予想されています。代表戦も終わり、国内リーグも今季残り3節となっていますが、早くも秋春制移行の第一歩となる2024/25シーズンに関するニュースが出ています。

2024/25シーズンのクラブライセンスはクランタンFCを除く13クラブに交付

来季2024/25年シーズンのための国内クラブライセンス交付状況が発表され、今季マレーシアスーパーリーグでプレーする14クラブ中、13クラブが来季の国内クラブライセンスを交付される一方で、今季最下位に沈むクランタンFCは未払い給料問題が解決したかどうかについての報告が不十分であることが交付が保留になっています。

国内クラブライセンス交付を行う第一審機関(FIB)のシーク・ナスリ委員長は、ジョホール・ダルル・タジムFC、スランゴールFC、クダ・ダルル・アマンFC、スリ・パハンFC、トレンガヌFC、PDRM FC、ペラFC、ヌグリスンビランFC、ペナンFC、クチンシティFCの10クラブは来季の国内クラブライセンスが交付されたことを明らかにしています、またサバFC、KLシティFC、クランタン・ユナイテッドFCについては、国内クラブライセンスを交付するものの、必要書類の提出が期限を過ぎていた上に、その内容に「誤り」があったことから罰金として2万リンギ(1リンギはおよそ32円)が科されています。

この他、未だ必要書類が提出されていないクランタンFCについては、その遅れに対して罰金2万リンギが科された他、11月30日までに今季の給料未払い問題の解決とその証明を、また12月13日までにFIFAおよびFAMに訴えられている昨季以前の給料未払い問題の解決とその証明を提出することを求め、それが果たされない場合には来季の国内クラブライセンスを交付しないことを表明しています。

また3部に当たるM3リーグの国内クラブライセンス申請については、今季優勝を果たしたイミグレセン(入国管理局)FC、準優勝のKLローヴァーズを含めた7クラブ全てが、ライセンス取得の条件を満たしていないとして、非交付を決めています。この中には、昨季までスーパーリーグでプレーしながら、今季は国内ライセンスを交付されずにセミプロリーグのM3リーグに降格したサラワク・ユナイテッドFCとマラッカFCも含まれています。

クラブが国内クラブライセンスを交付されるためには設備、人件、運営、法務、財務、実務の6つの基準で一定の評価を受ける必要がありますが、さらにFIBは、負債や未払い給料、更には未払いの所得税などがないことの宣誓供述書(宣誓者本人が把握している情報を基に作成した供述書の内容が真実であることを、特定の国家資格保有者の立会いのもとで、宣誓した上で署名している書類のこと)の提出も義務付けています。

*****

クランタンFCはマレーシアスーパーリーグのシーズン最多失点記録を現在102失点で更新中であることは、このブログでも取り上げていますが、そのクランタンFCを指揮するアイルトン・シルヴァ監督が今季残り試合3試合を残してチームを去るようです。2019年にはチェンライ・ユナイテッドを率いてタイ1部リーグを制覇し、この年のリーグ最優秀監督にも選ばれたシルヴァ監督ですが、給料未払いに加えて、経験不足の若い選手で構成されたチームを指揮することは難しかったのか、或いはシルヴァ監督自体も給料未払いだったのかは不明ですが、このままだと来季のスーパーリーグは奇数の13チーム編成となりそうな気配です。

前スランゴールのヨルダン代表に無期限出場停止処分

マレーシアサッカー協会(FAM)の規律委員会が開催され、9月24日にスランゴール州のMBPJスタジアムで行われたマレーシアカップ準々決勝セカンドレグのスランゴールFC対トレンガヌFCの試合で、ハスロル・アミル主審に対して暴行したスランゴールFCのヤザン・アル=アラブに対して、マレーシア国内で行われる全ての試合について無期限の出場停止処分を科すことを発表しています。

この試合でヤザン選手は、試合終了後に激しくハスロル主審に抗議したことからレッドカードを出されましたが、それに激昂しハスロル主審に向かって唾を吐き、その胸を押し、最後は背中を向けたところで尻を蹴るなどの行為に及んでいました。

なおヤザン選手は、その後の10月3日にスランゴールと契約を両者同意のもとで解除しています。現在は無所属ですが、11月21日に行われたFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選のG組第2節ヨルダン対サウジアラビア戦ではヨルダン代表としてベンチ入りしています。

この試合で引き分けたスランゴールは通算成績1-3でトレンガヌに敗れていますが、試合後は審判の判定をめぐってスランゴールFCの関係者と審判団が大荒れとなりましたが、その結果、スランゴールFCのアシスタントチームマネージャーのワン・アジマル氏を含む5名にはそれぞれ罰金1万リンギから1万5000リンギ(1リンギはおよそ32円)と公式戦10試合のスタジアム入場禁止処分が、また保安担当ながら審判に向かって水の入ったボトルを投げるなどしたM・ジャヤバラン氏には罰金2万リンギと2年間の全てのサッカー関連活動禁止処分が出されています。またスランゴールFCもクラブとして2万3000リンギの罰金を科されています。

また同じ規律委員会では、リーグ10連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムFCにも2件で合計3万リンギの罰金処分を科しています。7月22日にジョホール州のスルタン・イブラヒムスタジアムで行われたFAカップ決勝のジョホール対KLシティFC戦では、サポーターに暴力行為があったとして罰金1万5000リンギを、さらにJDTのフットサルチームも5月27日のジョホール対スランゴールMACでサポーターに挑発行為があったとして罰金1万5000リンギが科されています。

U23代表合宿に英国出身のリチャード・チンが初参加

11月13日から一昨日21日までクアラ・ルンプールのKLフットボールスタジアムで行われていたU23代表合宿に英国出身で英国3部のチャールトン・アスレティックに所属するDFリチャード・チンが参加していたと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。先月10月に就任したばかりのスペイン出身のフアン・トーレス監督率いるマレーシマレーシアU23代表は、来年2024年4月に開催されるAFC U23アジアカップの出場権を得ており、今回の合宿は大会に向けた準備の一環として行われています。

マレーシア人の父親とセイシェル出身の母親を持つチン選手は、合宿途中の11月15日から参加すると、すぐにその存在感を示していたということです。また11月16日にはU23代表のチームメイトとともに、クアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されたW杯予選のマレーシア対キルギス戦も観戦したということです。

今年22歳になるチン選手は、昨年にはマレーシア代表でプレーしたい意思を表明していましたが、この度、マレーシアのパスポート取得に必要な全ての書類が揃ったことから、今回のU23代表合宿への参加が実現したということです。

現在は英国6部のセミプロクラブ、ダートフォードFCに期限付き移籍中のチン選手は、所属先では守備的MFとしてプレーすることが多いようですがが、この合宿ではサイドバックとして、代表でもプレーするサフワン・マズラン(トレンガヌFC)、ジクリ・カリリ(スランゴールFC)、ウマル・ハキム、フィルダウス・ラムリ(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC II)らとのポジション争いに臨んだようです。

AFC U23アジアカップは4月15日から5月3日までカタールのドーハで開かれますが、今年9月にタイで行われた予選H組では、マレーシアはタイに続く2位になったものの、各組2位チームの中で成績上位4チームに入り、前回2022年、2018年大会に続き、2大会連続3回目となる出場権を獲得しています。

大量の帰化選手について問われたキム監督が台湾メディアに反論

一昨日行われたFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選D組第2節で台湾を1-0で破ったマレーシアのキム・パンゴン監督が試合後の記者会見で台湾メディアから出ていた意見を真っ向否定したと、マレーシア語氏のブリタハリアンが報じています。

試合後の記者会見で、台湾側のメディア関係者から代表チームに多くいる「帰化選手」の存在について指摘されたキム監督は「マレーシア代表には『帰化選手』はいるが、彼らは外国籍選手ではなく、マレーシア国民であると」と反論したようです。

さらにキム監督はFIFAワールドカップ2018年大会で優勝したフランスが「帰化選手」のおかげで優勝したことや、アジアでも日本を含めた複数の国が「帰化選手」によって強化されていると述べた上で、「帰化選手」は外国籍選手ではない点を強調しています。

「マレーシア代表にいる多くの帰化選手は、片親あるいは両親がマレーシア出身ながら国外で生まれ育ったヘリテージ帰化選手であり、彼らは外国籍選手ではなくマレーシア国民である。またマレーシア人の血縁を持たない帰化選手もいるが、彼らにとっては国籍を変えてマレーシア人となる決断は簡単ではない。」と説明しています。

「しかも外国で生まれ育った選手は、国籍を変更する前に自分がマレーシア代表となるだけの能力や献身的姿勢、さらには国家に対する忠節を示す必要がある。それを理解した上で、帰化選手の存在を否定するべきではない。」とも話しています。

台湾との試合でマレーシアは先発XIの内、ヘリテージ帰化選手はDFマシュー・デイヴィーズ、DFラヴェル・コービン=オング(以上ジョホール・ダルル・タジムFC)、DFジュニオール・エルドストール(インドネシア1部デワ・ユナイテッド)、DFディオン・クールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)、MFスチュアート・ウィルキン(サバFC)の5名、帰化選手はブラジル出身のパウロ・ジョズエ(KLシティFC)の1名でした。またベンチにはDFダニエル・ティン、FWダレン・ロック(いずれもサバFC)、MFブレンダン・ガン(スランゴールFC)、MFノーア・レイン(フィンランド1部セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ)の4名のヘリテージ帰化選手と、ブラジル出身のMFエンドリック・ドス・サントス、ガンビア出身のモハマドゥ・スマレ(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)の2名の帰化選手も入っています。

2023マレーシアスーパーリーグ第22節結果とハイライト映像(2)-7失点大敗のクランタンは今季総失点もシーズン新記録の102失点

W杯アジア2次予選の裏で、未消化となっていたマレーシアスーパーリーグ第22節の1試合が行われ、5位のサバFCが最下位14位のクランタンFCに大勝して4位に浮上しています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンスーパーリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年11月21日@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
観衆: 235人
クランタンFC 0-7 サバFC
⚽️ サバ:ジャフリ・フィルダウス・チュウ(25分PK)、ファルハン・ロスラン(29分)リザル・ガザリ(39分)、イルファン・ファザイル(57分)、テルモ・カスタネイラ(68分)、ラモン・マチャド(70分)、S・クマーラン(89分)
🟨クランタン(0)
🟨サバ(0)
MOM:リザル・ガザリ(サバFC)

FIFA国際マッチカレンダー期間に行われたこの試合。サバはエースのFWダレン・ロック、MFスチュアート・ウィルキン、DFドミニク・タンの3人がW杯予選を戦っている代表に招集されており不在です。主力3人を欠くサバにとっては不利な試合かと思われましたが、終わってみれば今季チーム最多の7ゴールを挙げて大勝し、順位も1つ上げて4位となっています。

この試合は9月29日に予定されていたクランタンのホームゲームでしたが、ましたが、当日の豪雨でピッチの状態が悪くなったことから延期となっていました。新たに発表された11月20日は、今度はホームスタジアムのスルタン・ムハマド4世スタジアムが他のイベントで使用できず、結局、この試合は本拠地のクランタン州コタ・バルから450km以上離れた、スランゴール州シャー・アラムのUITMスタジアムで行われています。

試合は25分にテルモ・カスタンヘイラがクランタンのペナルティエリア内で倒されていたPKをジャフリ・フィルダウス・チュウが決めてサバが先制すると、前半だけで3ゴールを挙げたサバがリードします。後半に入ってもイルファン・ファザイルのロングシュートなどで4点を追加したサバが、異なる7選手がゴールを挙げ、7-0で大勝しています。この勝利で勝点45としたサバはスリ・パハンに代わって4位に浮上、一方のクランタンは勝点8のまま最下位に沈んでいます。

なおこの試合で7失点大敗のクランタンは今季リーグ戦での総失点が102(カップ戦も合わせると132)ととなり、更新中のシーズン通算最多失点記録を更新しています。これまでの記録はPDRM FCが2009年に記録した75点(26試合)ですが、すでにこの記録を大幅に更新しているクランタンは今季まだ3試合を残しています。相手はリーグ3位のクダ・ダルル・アマンFCや7位のPDRM FC、そして同じクランタン州に本拠地を持つ12位のクランタン・ユナイテッドとのクランタンダービーも残っており、記録はまだまだ更新されそうです。

給料未払いなどにより外国籍選手が1人もいないクランタンは、マレーシア人選手の流出も続きましたが、トランスファーウィンドウでは給料未払い問題未解決を理由に新規選手獲得を禁じられています。その結果、例えばこの日の試合の出場登録選手20名中、キャプテンで25歳のDFガファール・アブドル・ラーマンと控えで30歳のDFアリプ・アミルディン以外の18名は全員がU23の選手で、中にはU20やU18の選手もそれぞれ数名含まれています。本来ならU23リーグのMFLカップに出場するべき選手が、トップチームの選手不足を補うために駆り出されている格好で、リーグ上位のサバと対峙するには選手のレベルが違いすぎたと言えるかもしれません。。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第23節終了)

順位チーム勝点
1JDT2322108878167
2SEL23171564214352
3KDA23162546252150
4SAB23143657332446
5SRP23135542281444
6TRE23106741291236
7PDRM2310492730-334
8KLC238783837131
9PRK2364132547-2222
10NSE2349102645-2121
11PEN2355132539-1420
12KLU2335152356-3314
13KCH2316161845-279
14KEL23221924102-788
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第23節終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)枠内/シュートアシスト
1エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)2137/59423
2フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)1934/70718
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)1733/90419
4アブ・カマラ(KCH)1219/43121
クパー・シャーマン(SRP)1223/43722
6ファイサル・ハリム(SEL)1126/38720
7イヴァン・マムート(TRE)1025/54118
ステファノ・ブルンド(SRP)1020/42021
9ロメル・モラレス(KLC)817/33219
パウロ・ジョズエ(KLC)825/50420
アリフ・アイマン(JDT)818/431122
フアン・ムニス(JDT)820/42420
イフェダヨ・オルセグン(KDA)815/3118
ウィリアン・リラ(KDA)811/36214
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

FIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選第2節-マレーシアは2連勝でD組首位浮上

FIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選のD組第2節が行われ、FIFAランキング137位のマレーシアは同152位の台湾と敵地で対戦し、苦しみながらも1-0で辛勝し、2連勝しています。

第1節ではFIFAランキング97位のキルギスをホームに迎え、ロスタイムに挙げた決勝ゴールで4−3勝利したマレーシア。キム・パンゴン監督はキルギス戦に勝利した後も、台湾に敗れることがあればマレーシアは3次予選に進めるだけのチームではないと話し、格上相手との勝利に自信を持った選手たちの気持ちが緩むことを懸念しました。

キム監督は5日前のキルギス戦からFWダレン・ロック(サバFC)、MFブレンダン・ガン(スランゴールFC)、DFドミニク・タン(サバFC)、DFシャールル・サアド(ジョホール・ダルル・タジムFC)の4名に代えて、FWアキヤ・ラシド、MFアフィク・ファザイル(以上ジョホール・ダルル・タジムFC)、パウロ・ジョズエ(KLシティFC)、DFジュニオール・エルドストール(インドネシア1部デワ・ユナイテッド)を起用しています。またキルギス戦同様3-4-3のシステムながら、前線は左からアキヤ・ラシド、パウロ・ジョズエ、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、中盤はラヴェル・コービンオンと、1列下がったアリフ・アイマン(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)が左右サイドハーフ、インサイドハーフにはスチュアート・ウィルキン(サバFC)とアフィク・ファザイル、そして最終ラインはディオン・クールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)、ジュニオール・エルドストール、マシュー・ディヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジムFC)と、先発11名中、ジョホールの選手が6名という布陣で、この試合ではディオン・クールズがキャプテンとなっています。


試合は開始からマレーシアが積極的に攻め込むものの、かつてのブキ・ジャリル国立競技場のような土も見えるピッチに戸惑い、ボールコントロールに苦しむ場面も見られます。それでも29分にアキヤ・ラシドが、40分にはスチュアート・ウィルキンがシュートチャンスを得るものの、いずれもゴール上にふかしてしまいます。さらにその3分後には、アキヤ選手のパスがDFを振り切って走り込んできたファイサル・ハリムに渡り、GKと1対1の場面を作るものの、ファイサル選手のシュートはゴールポストに弾かれ、決定的なチャンスを逃してしまいます。

試合を押し気味に進めながら前半を0-0で折り返すと、チャンスがありながら得点できない嫌な空気が立ち込める中、キム監督が動きます。62分には本来のMFからこの試合ではFW的な役割を求められていたパウロ・ジョズエと、ボールに絡む場面が少なかったアフィク・ファザイルに代えて、ダレン・ロックとMFエンドリック・ドス・サントス(ジョホール・ダルル・タジムFC)を投入して、状況の打開を図ります。すると72分に右コーナーキックからのクリアボールを繋いだエンドリック・ドス・サントスがシュートを放つと、これは台湾GK潘文傑(パン・ウェンチエ)が弾いたものの、ゴール前に詰めていたダレン・ロックがそのこぼれ球を押し込んで、マレーシアがついに先制します。

その後はギアが上がった台湾に攻め込まれる場面はあったものの、落ち着いた試合運びで台湾の反撃を抑えたマレーシアが2連勝で勝点を6と積み上げた試合でした。その後の試合ではFIFAランキング72位のオマーンが、アウェイゲームで同97位のキルギスに敗れる波乱もあり、D組で唯一2連勝したマレーシアが第2節を終えて、首位となっています。

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組第2節
2023年11月21日@台北陸上競技場(台北市、台湾)
台湾 1-0 マレーシア
⚽️マレーシア:ダレン・ロック(72分)
🟨台湾(2):温智豪(ウェン・チーハオ)、王建明(ワン・チェンミン)
🟨マレーシア(1):パウロ・ジョズエ

試合のハイライト映像。スタジアム・アストロの公式YouTubeチャンネルより

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組第2節
2023年11月21日@ドレン・オムルザコフ・スタジアム(ビシュケク、キルギス)
キルギス 1-0 オマーン
⚽️キルギス:オディルジョン・アブドゥラフマノフ(49分)
🟨キルギス(4):エルジャン・トコタエフ、タミルラン・コズバエフ、オディルジョン・アブドゥラフマノフ、ミルベク・アフマタリエフ
🟨オマーン(1):イサム・アル=サブヒ

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組順位(第2節終了)

チーム得失差勝点
1マレーシア22005326
2オマーン21013123
3キルギス21011403
4台湾200204-40

11月21日のニュース
FAMとキム監督は2025年までの契約延長で合意
W杯アジア2次予選第2節に向けてマレーシア代表が台湾入り
不当解雇を訴えるリム前監督とでペラFCの争いは労働審判所での決着へ

FAMとキム監督は2025年までの契約延長で合意

先日始まったFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選の第1節では、FIFAランキング97位のキルギスをロスタイムのゴールで4-3と破った同137位のマレーシア。そのマレーシアを率いる韓国出身のキム・パンゴン監督との契約は今年末までとなっていましたが、マレーシアサッカー協会(FAM)とキム監督は契約を2年間延長することで合意に達したと英字紙スターが報じています。

昨年1月に前任者で現在スランゴールFC監督のタン・チェンホー氏が、東南アジアサッカー選手権2022年大会で、準決勝へ駒を進められなかった責任を取って辞任し、その後任としてマレーシア代表監督に就任したのが54歳のキム監督でした。2年プラス延長1年のオプションを含む契約内容に同意したキム監督の契約期間が残り2ヶ月を切りながら、契約延長の話が出ていませんでしたが、FAMのハミディン・アミン会長は、キム監督と新たに2025年までの2年契約を結んだことを明らかにしています。

ハミディン会長は、キム監督の博識さと勤勉さを評価した結果の契約延長であったと述べ、今回のW杯予選でマレーシアが目指す3次予選出場を果たせれば、長期政権の可能性も示唆しています。キム監督就任以来、マレーシア代表はFIFAランキングで常用を続け、先月10月には過去18年間で最高位となるFIFAランキング134位となっています。10月のFIFA国際マッチデーで同109位のタジキスタンに敗れて、現在は137位とランキングを下げたものの、W杯予選第1節では同97位のキルギスを破ったことで、次のランキング発表では130位も狙えるだけのポイントを獲得しています。

キム監督が就任してからの21ヶ月でマレーシア代表は25試合で17勝2分6敗、勝率68%という成績を収めています。

W杯アジア2次予選第2節に向けてマレーシア代表が台湾入り

本日11月20日に行われるFIFAワードカップ2026年大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選のD組第2節に向けて、マレーシア代表が試合地の台湾入りしています。

11月16日に行われたD組第1節ではFIFAランキング97位のキルギスをホームに迎え、ロスタイムの逆転ゴールで劇的勝利を挙げた同137位のマレーシアですが、第2節で対戦する同152位の台湾との試合は今予選初のアウェイマッチとなっています。

マレーシア代表のキム・パンゴン監督は、チーム初となるアジア3次予選進出のために最低でも勝点12を獲得することを挙げており、本日の台湾戦に勝利すると、まだD組ではFIFAランキング72位と最高位のオマーン戦を含めて残り4試合で6点獲得とある程度の計算が立ってきます。

台湾は、D組第1節ではアウェイでオマーンに0-3で敗れています。

2019年に東京ヴェルディーの監督も務めた(ただし成績不振のためシーズン途中で解任)ギャリー・ジョン・ホワイト監督率いる台湾は、今季はホームではタイやフィリピンといった格上チームの引き分けるなど2勝2分と負けなしです。またマレーシアとの対戦成績は直近では2018年9月7日に台北の台北陸上競技場で対戦し、このときはウー・チュンチン(呉俊青)とトルコ出身の帰化選手チュー・エンレ(朱恩樂、トルコ名オヌール・ドガン)がゴールを決めて、マレーシアを2-0で破っています。なおこのマレーシア戦でゴールを決めた両選手は、先日のオマーン戦ではチュー選手はベンチ外でしたが、ウー選手は先発して90分までプレーしています。

報道では台湾入りしたマレーシア代表チームはケガ人もおらず、全員が出場可能ということです。明日の台湾戦を終えると、W杯予選は来年3月21日のオマーン戦(アウェイ)、3月26日のオマーン戦(ホーム)、6月6日のキルギス戦(アウェイ)、そして6月11日の台湾戦(ホーム)が予定されています。

不当解雇を訴えるリム前監督とでペラFCの争いは労働審判所での決着へ

今季途中で監督職を解雇されたリム・ティオンキム氏は、雇用主のペラFCによる不当解雇を訴えて未払い給料の支払いを求めていますが、労働審判所による調停が決裂したことから、労働審判所による審判を受けることになったと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ペラFCのボビー・ファリド・シャムスディンCEOは、クラブからリム氏に対して調停案を提示したものの、リム氏がこれを受け入れることを拒否したことを明らかにしています。係争中となったため詳細については明らかにできないと話したファリドCEOは、どのような判決が出てもクラブは控訴せずに労働審判所の判断に全面的に従うと述べています。

マレーシアサッカー協会(FAM)とマレーシア政府青年スポーツ省参加の国家スポーツ評議会(MSN)が共同で運営するエリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミー(AMD)の責任者を務めたこともあるリム氏は、2001年から10年間、ドイツ1部のバイエルン・ミュンヘンのユースチームでコーチを務めたのち、2013年に国家サッカー選手育成プログラム(NFDP)の責任者として招聘され帰国しています。

さらに2016年からはAMDの責任者とU16代表の監督も兼任したリム氏は、FIFA U17ワールドカップ2019年大会への出場権獲得となるAFC U16選手権2018年大会での準決勝進出が期待されていました。しかしマレーシアで開催されたこの大会では、日本、タジキスタン、タイと同組となった予選A組でまさかの最下位に終わり、準決勝進出どころか、各組の上位2チームが進出するベスト8にすら届きませんでした。

その後、AMD責任者としての月給が17万5000リンギ(現在のレートでおよそ560万円)でしかも非課税であることを当時の青年スポーツ相に暴露された上に解任、またFAMには大会敗退の責任を負われる形でU16代表を解任されました。

その後、前年に起こった給料未払い問題によってクラブ史上初の2部プレミアリーグに降格していたペラFCの監督に2022年9月に就任したリム氏は、リーグ改編による1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの合併により、今季は1部スーパーリーグで指揮を取りましたが、開幕から2勝3分8敗で11位に低迷していた5月25日に成績不振を理由にペラFCの監督を解任されていました。

FIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選第1節-マレーシアはロスタイムの逆転ゴールで白星発進

アジア各地でFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選が各地で開幕しています。予選B組では大阪で日本がミャンマーに5-0と完勝していますが、このミャンマー代表はかつてマレーシアスーパーリーグのスランゴールFCで監督を務めたミヒャエル・ファイヒテンバイナー氏が今年3月に監督に就任、また日本戦に先発したDFチョー・ミン・ウー(PDRM FC)とFWハイン・テット・アウン(ヌグリスンビランFC)はマレーシアスーパーリーグでプレーする選手です。

東南アジアの他国に目を転じると、タイとシンガポールが入ったC組ではタイはホームで中国に1-2、シンガポールはアウェイで韓国に0-5でそれぞれ敗れています。また東南アジアの3チームが集まったF組ではベトナムがアウェイでフィリピンに2-0で勝利した一方で、インドネシアはアウェイでイラクに1-5で完敗しています。

そしてD組では直近のFIFAランキング137位のマレーシアが同97位のキルギスとホームのブキ・ジャリル国立競技場で対戦し、両チーム合わせて7ゴールの大味な試合を制して勝点3を挙げています。

マレーシアのキム・パンゴン監督は就任以来、最終ラインについては左右にラヴェル・コービン=オングとマシュー・デイヴィーズのジョホール・ダルル・タジムFCコンビを、そしてセンターバックには右ディオン・クールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)とドミニク・タン(サバFC)を起用する4バックを採用してきました。しかしこの試合ではそのシステムを変更し、両サイドバックを高い位置に配置し、中央にシャールル・サアド(ジョホール・ダルル・タジムFC)、右にクールズ、左にタンの両選手を並べる3-4-3を選択しています。(以下はこの試合のマレーシアの先発XI)


試合はホームのマレーシアが試合開始とともに積極的に仕掛け、7分にはアリフ・アイマンの右コーナーキックにクールズが頭で合わせ、マレーシアがあっさりと先制します。この先制点で勢いづくマレーシアはその後も攻め続けますが追加点を奪えず、その間にキルギスが徐々にペースを掴み始めます。

そして42分には2度のシュートをGKシーハン・ハズミが防いだものの、最後はこぼれ球をフリーになっていたDFカイラット・ジャルガルベックに押し込まれて同点とされます。さらにその2分後にはGKエルジャン・トコタエフからのロングフィードをかつてPKNS FCでプレーしていたタミルラン・コズバエフがつなぎ、最後は今季途中までスーパーリーグのクランタン・ユナイテッドでプレーしていたFWエルニスト・バトゥルカノフがDFシャールル・サアドをかわして逆転ゴールを叩き込み、ついにキルギスが逆転します。試合後にキム監督が指摘しているように、早い時間帯でリードしたことでいわゆるボールウォッチングの場面が目立ち、慢心とも取れるプレーが見えていたマレーシアにとってはあっという間の逆転劇でした。

1点のリードを許して前半を折り返したマレーシアですが、同点ゴールを狙って前掛かりになる中、後半の57分にはゴール前の混戦から途中出場のFWカイ・メルクに代表初ゴールを許し、キルギスがリードを2点に広げます。この場面も選手の戻りが遅く、キルギスがゴール前で数的有利を作っての得点でした。

これまでのマレーシアならここから意気消沈してしまうところですが、この試合は違いました。キム監督はここでDFシャールル・サアド、MFでボランチのブレンダン・ガン、そしてこの試合では見せ場がなかったFWダレン・ロックに代えて、エンドリック・ドス・サントスとパウロ・ジョズエのブラジル出身のMFコンビとFWアキヤ・ラシドを投入し、より攻撃的な布陣でゴールを目指します。そしてこれが功を奏した57分、右サイドからアリフ・アイマンが持ち味のドリブルで持ち込むと、飛び出したGKとゴールポストの間に絶妙なボールを送り、キルギスDFクリスティアン・ブローズマンのオウンゴールを誘って、1点差に詰め寄ります。

そして77分には先制点の再現映像を見ているのか思うようなアリフ・アイマンの右コーナーキックから再びディオン・クールズが頭で合わせて、マレーシアはついに同点に追いつきます。しかしその後は両チームとも一進一退を繰り返し、試合は90分を過ぎてロスタイムに入りますが、引き分けでなく勝点3が欲しいマレーシアは、またもアリフ・アイマンが右サイドをドリブルでこじ開け、最後はゴール前のファイサル・ハリムへパス。これをノートラップで蹴り込んだシュートが決まり、マレーシアは4-3とし劇的な逆転劇は幕を閉じました。

このブログでも取り上げた通り、チケットの売り上げが伸び悩んだこの試合でしたが、1万7000を超えるサポーターにとっては記憶に残る文字通りの激勝でした。なおマレーシアの次戦は11月21日の台湾戦(アウェイ)となっており、ホームでのW杯予選は来年3月21日のオマーン戦となっています。

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組第1節
2023年11月16日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
観衆:17,142人
マレーシア 4-3 キルギス
⚽️マレーシア:ディオン・コールズ2(7分、77分)、クリスティアン・ブローズマン(72分OG)、ファイサル・ハリム(90+3分)
⚽️キルギス:カイラト・ジュルガルヴェク(42分)、エルニスト・バトゥルカノフ(44分)、カイ・メルク(57分)
🟨マレーシア(2):ディオン・コールズ、アリフ・アイマン
🟨キルギス(2):グルシジット・アリクロフ、アディルジョン・アブドゥラフマノフ

試合のハイライト映像はスタジアム・アストロの公式YouTubeチャンネルより

なおD組のもう1試合はFIFAランキング位のオマーンが同位の台湾と対戦し、ホームのオマーンが3-0で台湾を下し、勝点3を獲得してマレーシアと並んだものの、得失差でD組首位に立っています。

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組第1節
2023年11月16日@スルタン・カーブース・スポーツコンプレックス(マスカット、オマーン)
オマーン 3-0 台湾
⚽️オマーン:オマル・アル=マルキ(17分)、アフメド・アル=カアビ(41分)、マタズ・サレー(90+1分)
🟨オマーン(1):アフメド・アル=カアビ
🟨台湾(3):コアメ・アンジュ・サミュエル・游家煌(ユー・チーホアン)、游耀興(ユー・ヤオシン)

FIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027年大会予選D組順位(第1節終了)

チーム得失差勝点
1オマーン11003033
2マレーシア11004313
3キルギス100134-10
4台湾100103-30