1月5日のニュース
AFF選手権-「B代表」が前回大会で「A代表」が達成できなかった準決勝進出を果たす

いやぁ久しぶりにスカッとする試合でした。
 昨日1月3日にクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催された東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022のグループステージ最終節で、マレーシア代表はシンガポール代表を4-1で破り、2大会ぶりとなる準決勝進出を決めています。
 12月24日に行われたラオス戦の公式発表された観客数が2万9661名だったのに対し、この試合の観客数は2倍以上の6万5147名と、マレーシア代表のホームには久しぶりに6万人越えの観客が集まりました。
 マレーシアが入ったB組は、この試合前までは、1位ベトナム(2勝1分0敗)、2位シンガポール(2勝1分0敗)、3位マレーシア(2勝0分1敗)、4位ミャンマー(0勝1分2敗)、5位ラオス(0勝1分3敗)となっており、最終節ではベトナムはミャンマーと、シンガポールはマレーシアとのカードが組まれており、ベトナムとシンガポールは引き分け以上で準決勝進出が決まるのに対し、マレーシアはこの日の試合に勝利した場合のみ、準決勝に進出できるという状況でした。
 しかもここまで、マレーシアはミャンマーを相手に1-0と辛勝し、ベトナムには0-3と敗れていたのに対し、シンガポールはミャンマーを3-2で破り、ベトナムとは0-0で引き分けるなど、試合前の下馬評はシンガポール有利となっていただけでなく、シンガポールのスターFWイクサン・ファンディが自身のSNSに「ゴールを決めてブキ・ジャリルのピッチで踊りたい」と戯言を投稿するなど、選手にもそういった気持ちがあったようです。
 しかもマレーシアは初戦のミャンマー戦でケガをしたセンダーバックのクザイミ・ピーの回復が遅れている上、ベトナム戦での「疑惑の判定」でレッドカードをもらった右サイドバックのアザム・アズミが結局はAFFから2試合の出場停止処分を受けるなど、キム監督がこの重要な試合でどんな11名を起用するのかにも注目が集まりました。この試合では初戦のミャンマー戦の先発XIから上記のアザム・アズミに代わりDFクェンティン・チェンが入り、クザイミ・ピーに代わって先発したMFムカイリ・アジマルは、ラオス戦からセンターバックに入ってプレーしている本来はMFのブレンダン・ガンのポジションに入る布陣をキム監督は選択しています。
 試合は6万人を超える大観衆を背に、開始から5分でV・ルヴェンティン、そしてファイサル・ハリムが次々にゴールを狙いますが、いずれもシンガポールGKハサン・サニの攻守に阻まれます。それでも攻撃の手を休めないマレーシアに対して、前述の試合前記者会見では引き分け狙いではなく攻撃的にプレーしたいと話した西ケ谷隆之監督の言葉とは裏腹に、シンガポールの選手は守備の時間が長くなっていきます。そして35分、ついにマレーシアが先制します。右サイドでシンガポールDFのパスをカットしたサファウィ・ラシドが得意の左足ではなく、右足で速いクロスを挙げると、ダレン・ロックがこれを頭で合わせてゴール!先制点が欲しかったマレーシアにとっては願ってもないゴールとなりました。この後もシンガポールにはほとんどチャンスを与えず、マレーシアは試合を支配しながらも結局、前半は1-0のままで終了します。
 後半に入ってもマレーシアは攻撃の手を緩めず、50分にはシンガポールのキャプテン、ハリス・ハルンが自陣ゴール近くでクリアしたボールを受け取ったシャワル・アヌアルがもたつくところを、詰めていたスチュアート・ウィルキンがボールを奪います。そのままペナルティエリアの外から放たれた低い弾道のシュートが決まり、マレーシアはリードを2点に広げます。その4分後には、マレーシアの速いプレスからシンガポールDFが苦し紛れに出したルーズボールを奪ったマレーシアはサファウィ・ラシドのマイナスからのクロスに再びスチュアート・ウィルキンがシンガポールDFをかわしてゴールを決めて3-0とします。
 しかしこの試合はこれでは終わりませんでした。シンガポールは今季、ペナン入りが噂されているファリス・ラムリのシュートで1点を返ます。再び点差が2点となり、さらにゴールを狙ってシンガポールが前掛かりになったところで、マレーシアは88分、カウンターからハキミ・アジム、リー・タックと渡ったボールをセルヒオ・アグエロがゴール右隅に突き刺し4-1としています。キム監督は準決勝の対戦に備えて、ドミニク・タン、シャルル・ナジームのDFコンビを交代させるよゆうをみせながらも、その後のシンガポールの反撃を防ぎ、2大会ぶりの準決勝進出を果たしています。

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昨季のリーグ戦では2ゴールだったスチュアート・ウィルキンがこの試合だけで2ゴール(今大会通算3ゴール)を挙げ、MOMに選ばれた試合は、マレーシアにとっては準決勝進出を決めただけでなく、2014年のAFF選手権以来、1分2敗と苦手にしていたシンガポールからの勝利でした。スタンドには「俺たちは機械が好きだ(11名が代表辞退したJDTのオーナー、トゥンク・イスマイル殿下が『選手は機械ではなく、シーズン終了後には休息が必要であり』として、JDTの選手11名が代表招集を辞退したエピソードを指す)」「代表チームより重要なクラブなどない」といった横断幕も見られましたが、JDTの選手も参加した前回2020年大会で、マレーシアはグループステージで敗退しており、JDTの選手がいないことから「Bチーム」などと揶揄された今回の代表が準決勝を果たしたのは皮肉な結果です。

2023年1月3日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
マレーシア 4-1 シンガポール
⚽️マレーシア:ダレン・ロック(35分)、スチュアート・ウィルキン(50分、54分)、セルヒオ・アグエロ(88分)
⚽️シンガポール:ファリス・ラムリ(85分)
🟨マレーシア(0)
🟨シンガポール(1)

この試合のハイライト映像はアストロ・アリーナの公式YouTubeより。