「新生」代表がモルジブ戦勝利
当初の招集メンバーからジョホール・ダルル・タジムJDTの選手10名が招集を辞退し、これまでのメンバーとは大きく顔ぶれた変わったマレーシア代表は、今週12月21日(土)のミャンマー戦(ヤンゴン)で幕を開ける東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップに向けての最後の練習試合となった12月14日のモルジブ戦で、FW陣が期待以上(失礼!)の活躍を見せ、3-0で快勝しています。
この日の先発は、GKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)、DFはクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)、シャルル・ナジーム(スランゴール)、ドミニク・タン(サバ)の3バック、MFはアザム・アズミ(トレンガヌ)とV・ルヴェンティラン(PJシティ)を左右に配置し、中央はブレンダン・ガンとムカイリ・アジマル(いずれもスランゴール)の4人、FWはサファウィ・ラシド(JDT)、ダレン・ロック(サバ)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)という布陣で、キム・パンゴン監督は4日前のカンボジア戦からは5名を入れ替えています。
試合が行われたKLフットボールスタジアムは最大収容観客数1万8000人と、カンボジア戦が行われたブキ・ジャリル国立競技場の三分の一以下ですが、ブキ・ジャリルでのカンボジア戦では8332人と、スタンドがガラガラに見えたので、この日はさらに少ない公式発表観客数6002人でも、サイズ的にはむしろこちらで良かったかと。またカンボジア戦でナイキ社製の新しいホームユニフォームを披露したハリマウ・マラヤ「マラヤの虎」ことマレーシア代表は、この日は上下黒のアウェイユニフォーをお披露目しています。
試合の方は24分、この日、キャプテンマークをつけたサファウィ・ラシドから出たゴール前のボールへモルジブGKとDFの対応が遅れた隙をついてダレン・ロックがボールを奪いそのままシュート。これが決まって、マレーシアは1-0と先制します。後半に入ると、63分には今度がダレン・ロックが相手DFラインの裏に出したパスを受けたファイサル・ハリムがGKをかわしてゴールを決め2-0、さらに88分には途中出場のリー・タック(スリ・パハン)がゴールをめて3-0として、マレーシアがそのまま逃げ切っています。ファイサル、タック両選手は12月9日のカンボジア戦に続く2試合連続のゴールをとなりました。
またこの試合ではDFアリフ・ハイカル(スランゴール)が代表戦初出場を果たした一方で、今回の代表合宿に招集されたメンバーでは、FWラマダン・サイフラー(JDT)、FWハキミ・アジム(KLシティ)、MF R・コギレスワラン(PJシティ)、GKラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)、GKアズリ・ガニ(KLシティ)はカンボジア戦、そしてこの日のモルジブ戦とも出場機会がありませんでした。
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JDTの主力10人が代表招集を辞退した今回の代表チームは、ネット上では「B代表」などと揶揄されています。それでも代表初招集となった選手たちを含め多くの選手を実戦で起用するできたのは、AFF選手権での結果にかかわらず、選手層を厚くするための良い機会です。
AFF選手権前に行われた2試合を振り返ると、個人的にはマレーシアの課題である攻撃で、帰化選手のリー・タックが活躍が目を引きました。34歳という年齢もあり、タック選手の帰化、そして代表招集には疑問の声が上がっていました。タック選手同様、FIFAの同一国で5年間プレーという規定に基づいて帰化し、代表選手となったブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ選手が代表チームでは活躍できなかったことにあります。しかし、それをものともせず、しかも2試合連続ゴールで自分の力を示したタック選手は、AFF選手権でも代表チームにとっては大きな戦力となることが期待されます。
今回の2試合では前述のアリフ・ハイカルやリー・タックに加えて、GKカラムラー・アル=ハフィズ(クダ)、MFスチュアート・ウィルキン(サバ)、MFデヴィッド・ローリー(スリ・パハン)、シャミー・イスズアン(サラワク・ユナイテッド)、アリフ・イズワン(トレンガヌ)、そしてアルゼンチン出身でやはり今年マレーシア国籍を取得したエセキエル・アグエロ(スリ・パハン)と、8名を代表デビューさせたキム・パンゴン監督が、12月21日のミャンマー戦で開幕するAFF選手権でこの「B代表」をどこまで連れて行けるのかに注目したいと思います。
2022年12月14日
国際親善試合@KLフットボールスタジアム
マレーシア 3-0 モルジブ
⚽️マレーシア:ダレン・ロック(24分)、ファイサル・ハリム(63分)、リー・タック(88分)
下はこの試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより。