MFLがMリーグ2部と3部の入れ替え戦中止を発表
先日行われたMリーグ3部に当たるM3リーグの決勝は、PIB FCがPK戦の末にKLローヴァーズFCを破ってM3リーグチャンピオンとなりました。決勝に進出した両リームは、Mリーグ2部プレミアリーグの下位チーム、ペラFCとUITM FCとの入れ替え戦を行うことになっていましたが、Mリーグを運営するMFLはこの入れ替え戦の実施を中止すると発表しています。これにより、今季のプレミアリーグと1部スーパーリーグを合併して再編成する新スーパーリーグに参加する18チームの顔ぶれが確定しました。
MFLはマレーシアサッカー協会FAMよりマレーシアにおけるクラブライセンス制度の制定及び運用の委任を受けており、マレーシアにおけるクラブライセンス交付機関として、クラブライセンス制度を運営し、国内クラブに対してクラブライセンスを交付します。このクラブライセンス交付判定については第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関FIBが行いますが、今回、このFIBが2023年シーズンに向けたM3リーグ上位2チームとプレミアリーグ回2チームとの入れ替え戦を行わないことを決定したということです。
この件についてFIBのシーク・モハマド・ナシル議長が状況を説明し、MFLではなくアマチュアフットボールリーグAFLが運営するアマチュアリーグのM3リーグに今季参加した20クラブ中、優勝したPIB FCを含む7クラブのみがアマチュアクラブライセンスの申請を行なっており、その申請内容に関してはPIB FCとハリニ FTの2チームが条件を満たしている、と述べています。しかし両クラブともMFL傘下のプロリーグに参加するためのプロクラブライセンス取得のための条件は満たしておらず、既にプロクラブライセンス申請期限は過ぎているとしています。
シーク・モハマド・ナシルFIB議長は、今回の事例をもとに、2024年以降に行われる予定の入れ替え戦に向けて、現在のM3リーグクラブには入れ替え戦出場、そしてプロリーグ参加のための必要条件などについて、理解を進めていきたいと話しています。
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リーグ戦の試合数が少なすぎる、というFIFAの指導を受け、来季からのMFLは大規模なリーグ改編を発表しています。具体的には現在の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを合併して18チームによる新たなスーパーリーグを発足させ、プレミアリーグは一時的に中止となります。またアマチュアリーグのM3リーグは、来季からセミプロリーグ化を目指して開催され、MFLが一定のレベルに達したと判断した時点で、M3リーグのクラブが新たなプレミアリーグを構成します。
リーグ再編は既に決まってしまったものですが、東南アジアの中では人口が3200万人と比較的少ないマレーシアがトップリーグを18チームで構成する一方で、、7000万人近い人口を抱えるタイのトップリーグは16チーム、1億人を超えるベトナムは14チーム、さらには2億7000万人のインドネシアは18チームで構成されていることを考える、今回のリーグ再編の内容には、正直、疑問を感じます。人口600万人に満たない隣国シンガポールは、トップリーグが8クラブで構成され、各チームがホーム、アウェイそれぞれ2試合ずつ行い、1チームあたり28試合を行なっており、試合数自体が問題であれば、シンガポールを参考にしながら各チームの対戦カードを例えば3試合制にするなどの方法も考えられました。
このブログでも頻繁に取り上げているように、給料未払い問題が頻発するMリーグでは、勝点剥奪や下位リーグ降格という罰則があることで、その問題発生数が抑えられているとも言えます。しかしリーグ拡大により、従来のリーグ11位、12位であっても来季は下部リーグ降格の心配がないクラブは、再び給料の遅配や未払いを起こす可能性もあります。また18クラブでトップリーグを構成しても、その実態は上位クラブと下位クラブの差が大きい、分断されたリーグとなり、サポーターが望むような白熱した試合が行われないことも考えられます。まぁ、そんあ心配が取り越し苦労だった、となってくれれば良いのですが。
代表好調の裏で帰化選手不要論が再燃か
キム・パンゴン監督就任以降、好調なマレーシア代表。43年ぶりとなるAFCアジアカップ出場権獲得に続き、先日のキングズカップでもFIFAランキングで上位のタイ、そしてタジキスタンと90分間で引き分け、サポーターの期待も近年にないほど高まっています。
44年ぶりの優勝がかかったキングズカップの決勝、タジキスタン戦で、キム監督は初戦のタイ戦からメンバーを入れ替えて臨みましたが、その中の1人、モハマド・スマレー(JDT)は気合が空回りしており、さらに危険なタックルであわやレッドカードといったハラハラする場面を演出し、試合後はSNSだけでなく、スポーツメディアなどでも、そのプレーに批判が集まり、かつてクダの監督を務め、2007年、2008年と2季続けてリーグ・マレーシアカップ・FAカップの三缶、トレブルを達成しているアズライ・コー氏などは、スマレ選手は試合では全くチームに貢献しておらず、マレーシアは10人で試合をしているようなものだったと酷評しています。
今回のキングズカップでは、代表のパフォーマンスについては概ね良い評価が与えられていた中で、このスマレ選手についてだけは、久しぶりの出場で興奮したのか、他の選手に負けまいと焦っていたのかわかりませんが、平常心で試合には望めていないことが分かるほどで、頻繁にボールを奪われたり、危険なタックルを繰り返すなど、実際にそのプレーには問題があったのは事実でした。
前述のコー氏は、そこから行動に問題があり、精神的に不安定な住まれ選手は代表チームに不要と話し、さらに代表チームにはそもそも帰化選手は不要と、マレーシア語紙のハリアンメトロの取材に答えています。
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また、このような「帰化選手批判」の声があちこちで上がったことを受け、コソボ出身でやはり帰化選手のリリドン・クラスニキ(タイ1部コーンケン・ユナイテッドFC)が自身のインスタグラムで「(帰化選手は、チームが試合に)勝てばマレーシア人扱い、負ければ外国人扱いされる。」と投稿するなど、批判を受けている帰化選手にも不満が溜まっていることが見て取れます。
スマレ選手はコロナ禍前の2019年のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では活躍して多くのサポーターから賞賛されましあ。またクラスニキ選手も、かつて在籍したクダでは多くの地元サポーターから愛された選手です。しかし、この2人とブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ(JDT)の3選手はコロナ禍による中断のW杯予選や昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権などではチームに貢献できなかったことから、サポーターだけでなく、元代表選手などが代表チームへの帰化選手不要論を公言し、これを受けたかどうかはわかりませんが、マレーシアサッカー協会FAMは協会主導で進めていた「代表チーム強化を目的とした外国籍選手のマレーシア帰化支援プログラム」の一時中止を決めルことを発表しています。
Mリーグの帰化選手には、いわゆるハイブリッド帰化選手と呼ばれる、マレーシア国外で生まれ育ったものの父母あるいは祖父母がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得した選手と、そういったマレーシア人の血縁を持たない帰化選手がいます。代表チームを見ると、ハイブリッド帰化選手は今回のキングズカップ出場メンバーでは、ラヴェル・コービン=オング、ディオン・クールズ、ドミニク・タン、マシュー・ディヴィーズ、デクラン・ランバート、ブレンダン・ガン、ダレン・ロックと7名、帰化選手がスマレ1名と25名のメンバー中、およそ3分の1が帰化選手ですが、ハイブリッド帰化選手が批判を受けることはほとんどありません。