サッカー協会はU23アジアカップの準決勝進出目標を撤回
本日6月1日にウズベキスタンで開幕するAFC U23アジアカップにはマレーシアU23代表も出場しますが、当初、マレーシアサッカー協会FAMは準決勝出場(!)を今大会の目標に挙げていましたが、マレーシア語紙ウトゥサン・マレーシアによると、FAMは大会直前となった現在、この目標を撤回しているようです。
今大会ではマレーシアは、前回2020年大会優勝チームの韓国、各国のU23代表が出場して先月、開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズの優勝チームのベトナムと準優勝チームのタイと同じC組に入っていますが、FAMはこれらの国と同組のグループステージを突破し、さらに準々決勝にも勝利して準決勝に進出することを目標に上げていました。
客観的に見ればグループステージ突破すら容易ではないこのC組にもかかわらず、高い目標を上げていたFAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は「準決勝進出と言う目標は撤回する。今大会はアジアの他のチームと対戦して経験を積む良い機会になることを望んでいる。」と一転してトーンダウンしています。
この目標転換についてサイフディン事務局長は、U23代表の現在の実力に基づいた現実的な目標を設定し直しただけだと述べています。「FAMはU23代表に対して悲観的になっているわけではなく、身の丈にあった目標を設定し直しただけだ。」と話したサイフディン事務局長は、目標がどうであれチームには全力を尽くすことを求めたいと話しています。
なお2018年大会に続いて2度目の出場となるマレーシアは6月2日に韓国、6月5日にタイ、そして6月8日にベトナムと対戦します。
JDTはACLに向けて大型補強を敢行か
Mリーグ1部スーパーリーグ首位のJDTは、トランスファーウィンドウで新たな戦力補強を行うことを発表しています。先日テクニカルディレクターのアリスター・エドワーズ氏の名前でクラブ公式Facebookに投稿された内容は、マレーシア人選手2名、外国籍選手2名を新たに獲得すると言う内容です。
この投稿後に俄然、注目が集まっているのが、今季は英国3部のピーターバラ・ユナイテッドでプレーした20歳のMFコービー・ジェー・チョンです。英国生まれながらマレーシア人の父親を持つコービー選手は、マレーシア人選手として登録でき、また来季の契約が更新されなかったことが明らかになっています。
JDTは昨季、英国1部EPLのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズU23から、やはり英国生まれながら母親がマレーシア人のナタニエル・シオ・ホンワンを獲得しており、似たような経歴を持つコービー選手の獲得は可能性が高そうです。
また別のメディアでは、スリ・パハンでプレーするMFアザム・アジー、ヌグリスンビランでプレーするDFクザイミ・ピーの両代表選手もこのトランスファーウィンドウでJDTに移籍するのでは、と言った噂もあります。
さらに大穴的な予想として、2017年から昨季までJDTでプレーしたFWゴンザロ・カブレラが、同一国で5年連続プレーすることで帰化選手として登録が可能となるFIFAの規定を利用して帰化し、マレーシア人選手としてJDTの戻ってくると言う噂もあります。アルゼンチン出身でイラク国籍を持つカブレラ選手は、JDT在籍5年間で90試合に出場し、クラブ史上最多となるリーグ通算ゴール43ゴールを挙げていますが、昨季終了後は退団していました。
*****
悲願のACLグループステージ突破を成し遂げたJDTは、浦和レッズとの対戦が決まっている準々決勝に向けて、かつてない補強を行いそうですが、これによりますますJDTの代表チーム化が進む一方で、帰化選手と外国籍選手だけのチーム編成にも近づきそうです。ACLでマレーシアのクラブが躍進してくれれば、それは喜ばしいことですが、このような強化方針によって国内出身選手の機会は減るわけで、マレーシアのサッカー全体にとってみるとマイナスの影響もありそうです。
スリ・パハンもFIFAの規定を使った帰化選手を獲得か
Mリーグ1部スーパーリーグでここまで2勝2分4敗の8位のスリ・パハンも、JDT同様に帰化選手の獲得が近いと、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。
英国出身のリー・タックとアルゼンチン出身のエセキエル・アグエロは、スリ・パハンが既に帰化手続きを進めている選手で、6月24日のトランスファーウィンドウ期間最終日までにはその手続きが完了しそうだと、この記事では述べられています。
33歳のタック、28歳のアグエロの両選手は、父母や祖父母にマレーシア人はいませんが、いずれも2017年シーズンからMリーグでプレーしており、FIFAが規定する「同一国に5年間以上継続して居住する」という帰化選手登録のための条件を満たしていることから、今年に入って帰化手続きが進められていました。
スリ・パハンはこれ以前にもガンビア出身のモハマドゥ・スマレ(現JDT所属)を帰化させてマレーシア人選手として登録した実績もあります。
国内クラブだけでなく、マレーシアサッカー協会FAMも代表チーム強化のための「帰化選手養成プログラム」の一環として、ブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラとコソボ出身のリリドン・クラスニキ(いずれもJDT所属)の帰化申請を行い、両選手は昨年2021年に晴れてマレーシア代表選手としてデビューしています。しかし、両選手はFIFAワールドカップ2022年大会予選などで「帰化選手」として期待されていたほどの活躍が見せられずが、FAMには批判が殺到、その結果としてFAMは「帰化選手養成プログラム」の凍結を発表する事態となっています。
しかしその一方で、FAMはMリーグのクラブによる所属選手の帰化申請についてはこれを阻むことはしないことも表明しており、タック、アグエロ両選手の帰化には特に障害はありません。
JDTも今季はスーパーリーグのペナンでプレーするブラジル出身で27歳のエンドリックを来季獲得し、帰化申請を行うことを明らかにしており、Mリーグは今後も帰化選手が続々と誕生しそうです。
*****
Mリーグには、マレーシア国外で生まれ育ちながら、父母や祖父母がマレーシア人であることから帰化してマレーシアパスポートを取得する「ハイブリッド」と呼ばれる帰化選手と、上記のタック、アグエロ両選手のように5年間滞在後に申請を行って帰化する帰化選手の2つのタイプの帰化選手が存在します。
JDTで言えば、ラベル・コービン=オン、マシュー・デイヴィーズ、ナチョ・インサ、ナタニエル・シオ・ホンワンが「ハイブリッド」帰化選手、ギリェルメ・デ・パウラ、リリドン・クラスニキ、そしてモハマドゥ・スマレがFIFA規定による帰化選手です。特にハイブリッド帰化選手は、2010年代後半から増え続けており、今季もブレンダン・ガン、クェンティン・チェン、サミュエル・サマーヴィル(いずれもスランゴール)、デヴィッド・ロウリー、ニコラス・スウィラッド(いずれもスリ・パハン)、ドミニク・タン(サバ)、ダレン・ロック(PJシティ)がおり、またマレーシア国外でプレーする代表選手にはディオン・クールズ(ベルギー1部SVズルテ・ワレヘム)やジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリー)がいます。