闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い-ペラFC
給料未払い問題が明らかになり主力選手が大量に流失したことから今季のMリーグ1部では10位となり来季は2部に降格するペラFCのGMの行動がソーシャルメディア上で話題になっています。
ペラFCのアズマン・ノーGMは一部の国会議員に対して、現在マレーシアカップに出場中のペラFCの移動や宿泊の費用などの経費を補うため、一人当たり最低2万リンギ(およそ54万円)の寄付を求めていることがソーシャルメディア上で広まり、マレーシア語紙のハリアンメトロがアズマンGMに直接、問い合わせたところ、SMSやワッツアップ(WhatsApp-マレーシアで最も一般的なメッセンジャーアプリ)で寄付を募ったことを認めているということです。
寄付を求めたのは先週末10月30日(土)に本拠地ペラスタジアム(ペラ州イポー)で開催されたトレンガヌFC戦のためだったと説明し、支払いに使える手持ちの現金がなかったことから国会議員への寄付を募ったとその経緯を述べています。
「クラブは金がないのではなく、小切手の現金化に問題があったことから、たまたま手持ちの現金が不足していた。そこで複数の国会議員にメッセージを送り現金の支援を求めたのが真相である。それ以上でもそれ以下でもないので、殊更にこの件を大袈裟にする必要ない。我々も深刻な状況であり、そんな時に国会議員に助けを求めるのは普通のことだと考えている。ありがたいことに即座に現金による支援を受け取ることができた。」と説明したアズマンGMはマレーシアカップの残り試合に必要な経費の資金源を探している一方で、ペラFCのサポーターからも支援が集まっていることを感謝していると話しています。
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この記事のタイトル「闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い」は新聞記事の見出しの直訳ですが、ここで言う闇金とはマレーシアではAh long(マレーシア語で悪徳高利貸しや闇金融)と呼ばれる個人あるいは企業です。「期限までに借金が返せず、家のドアに赤いペンキをぶちまけられた。」「借金を完済したにも関わらず追加融資を持ちかけられ、断ると拳銃が写った写真付きメッセージが送られてきた。」などマレーシアの新聞を読んでいるとこのAh longの恐ろしさを報じる記事をよく目にしますが、確かにそんなAh longに借りるくらいなら、選挙民のために働く国会議員にお願いするのは至極、筋が通っているということなのでしょう。
サバFCは一部経営陣の「背任行為疑惑」を公式に否定
Mリーグ1部サバFCはニュースサイトが報じたクラブ経営陣の不正行為疑惑を真っ向から否定するとともに、法的措置も辞さないことをクラブの公式Facebookで発表しています。
これは東マレーシア(ボルネオ島のサバ州、サラワク州など)をカバーするニュースサイトのボルネオトゥデイが、サバFCの関係者が、選手の代理人と共謀して選手の給与を実際よりも高く設定して支払う一方で、その差額を懐に入れているという背任行為を行なっているという疑惑を報じたことが発端です。サバFCは昨季2020年シーズンからパク・タエス(韓国)を除く4名の外国籍選手を入れ替え、今季中のトランスファーウィンドウ期間にも1名を入れ替えた他、一旦退団が公式発表されたレヴィ・マディンダと数日後に再契約を発表するなど変わった動きもしていました。
ボルネオトゥデイの記事では、サバFCの一部関係者が選手の給料を3万3000リンギ(およそ90万円)としながら実際には1万5000リンギ(およそ41万円)しか支払わずその差額を私的目的に利用するといった背任行為を例に挙げ、選手の入れ替えが頻繁に行われているのは、一部の関係者がこの背任行為を「商売」にしているからだとし、この状況が続けば選手は搾取され、クラブの一部関係者は私服を肥すことになると指摘していました。
さらにボルネオトゥデイはスタジアムの照明が当初の30万リンギ(およそ820万円)の見積もりから購入時には80万リンギ(およそ2190万円)が支払われた点や、練習中に選手が使用する心拍数測定器の価格が当初の300リンギから支払い時には13万リンギとなった点などについてもその変更理由が疑わしいとしていました。
今回のサバFCの声明は、これら全ての疑惑を真っ向から否定した上で、選手の移籍は正式な方法で行われたことや、スタジアムの照明はサバ州までの輸送費用を含んでいること、心肺測定装置の購入には代理店などを介さずに行なっていることを説明し、ボルネオトゥデイの主張が正しければその証拠を示すよう求めています。さらに専門家による監査を喜んで受けるとする一方で、今後も根拠のない中傷が続くようであれば法的措置も検討するとしています。
ガン治療中のブレンダン・ガンはスランゴールFCによる給料半減の噂を否定
サッカー専門サイトのヴォケットFCは、マレーシア代表MFのブレンダン・ガンと所属するMリーグ1部のスランゴールFCが、いずれも給料半減の噂を否定していると報じています。
事の発端は同じMリーグ1部のJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が「ガン治療中の選手が給料を半減されている。」と自身のインスタグラムで公表したことにあります。
「その選手はガン治療中である。彼はこれまでクラブに貢献してきた選手にも関わらず、治療により試合に出場できないことを理由にクラブは彼の給料を半減している。このようなことをして選手の生活に責任を持っていると言えるのだろうか。多くの選手がこのクラブを出たいと言うのも理解できる。このクラブはソーシャルメディア上では良いことばかり発信しているが、その内実は反対のようである。クラブの成功に必要なものの第一は「人道」だ。」と投稿したイスマイル殿下ですが、ネット上ではこれがW杯予選後の7月に睾丸腫瘍の診断を受けて休養し、最近、練習を再開したスランゴールFCのブレンダン・ガンを指している可能性が高いと考えられています。
イスマイル殿下のこのの投稿に対して、スランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOは自身のツイッターで反論し、ガン選手の給料半減を真っ向から否定するとともに、スランゴールFCは選手との契約を尊重し、病気やケガなどで出場できない選手も含めた選手全員が契約通りの給料を遅れることなく支払っていると説明しています
さらにガン選手本人も「ソーシャルメディア上で話題となっている内容を読んだが、自分は今季2021年シーズンの給料全額をスランゴールFCから受け取っているという事実を明らかにしておきたい。」と述べて、ジョハンCEOの説明内容を肯定しています。
ただしイスマイル殿下はこの件を本人から直接聞いたとも述べているだけに、謎は深まっています。
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リーグ8連覇を達成し、現在のMリーグの盟主を自負するJDTに対し、現在開催中のマレーシアカップ100年の歴史の中で優勝33回、準優勝16回(2位はシンガポールの優勝24回、準優勝19回、ちなみにJDTは前身のジョホールFCと合わせても優勝4回、準優勝2回)と「伝統」という点では他のクラブを圧倒するスランゴールFCと図式の中で、イスマイル殿下はスランゴールFCに向けては敵意剥き出しとも言える厳しい意見や批判的な発言を行うことが少なくありません。実際、スランゴールFCの最後のMリーグ優勝は2010年、マレーシアカップ優勝も2015年が最後なのに対し、リーグ8連覇進行中のJDTはマレーシアカップでも2017年と2019年(昨季2020年はコロナ禍により中止)と優勝しており、イスマイル殿下からすれば「伝統」にあぐらをかき盟主然とし、マレーシアサッカー全体の向上といった大局的視点を欠いているように見えるスランゴールFCには小言の一つ二つも言いたくなるのも当然と言えば当然かも知れません。