問題発言映像の青年スポーツ相が謝罪
かつてペラ州サッカー協会を務めたことから、今季Mリーグ1部で降格危機に直面するペラFCをリーグのチーム数拡大によって救おうとしていると非難が集まっていたアフマド・ファイザル・アズム青年スポーツ相が謝罪したと、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
新内閣成立後、青年スポーツ省への初登庁となったこの日、記者会見に応じたアフマド・ファイザル青年スポーツ相は、ソーシャルメディア上で拡散した映像の中で発言について全てのマレーシア人に対して謝罪したいと述べています。またマレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長とスチュアート・ラマリンガム事務局長に対しても映像の中で名前を出したことを詫びています。
『今回の私の発言は誤りであり、この誤りについて全てのマレーシア人に謝罪したい。今回、大臣として自分が言うべきことと言うべきでないことがあることを学んだ。何も良いことをもたらすさないないことについて話すよりも、担当大臣として国内スポーツをより良くするために職務を全うすることをマレーシア人と全てのスポーツファンに約束する。」と述べています。
アフマド・ファイザル青年スポーツ相はネット上に流出した映像の中で、現在は12チームで構成されているMリーグ1部スーパーリーグのチーム数を16に拡大することで、現在11位で2部降格危機のペラFCが1部に残留できると発言しましたが、その発言内容が現在のMリーグの規則に反し、政治的な介入であると批判を受けていました。さらにアフマド・ファイザル青年スポーツ相はハミディン・アミンFAM会長やスチュアート・ラマリンガム事務局長にもこの内容を提案済みとも述べたことから、FAMやMリーグを運営するMFLがチーム数増に関与しているのではないか疑問の声が上がり、FAMとMFLがそれぞれアフマド・ファイザル氏との会談の事実がないこと、そして今季の1部と2部の入れ替えは従来通りの方式で行うと言う声明を出す事態になっていました。
2021年のU21とU19リーグの2年連続中止が決定
マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトで今季2021年のU21リーグのプレジデントカップとU19リーグのリーグカップの中止を発表しています。両リーグは今季は6月に開幕予定でしたが、新型コロナ感染拡大により9月に延期されていました。
FAMはマレーシア国内での新型コロナ感染状況が改善されていないことが中止の理由として挙げている他、クラブの選手や関係者、審判、さらには試合開催に直接的、間接的に関わる関係者全員の安全を考慮した結果に基づく決定であるとしています。また今回の決定は、国内のスポーツを統括する青年スポーツ省と新型コロナ対策を担当する国家安全保障委員会のいずれからも現時点で開催許可の承認を得られていないことも理由に挙げられています。
マレーシア国内では、8月30日には1週間ぶりに国内の1日あたりの新規感染者数が2万人を切り、スランゴール州とクアラルンプールを含む首都圏を中心では新規感染者数が減り始めた一方で、他の地域では新規感染者数が再び増え始めた州もあり、この状況下でのU21リーグとU19リーグの開催までにはまだ時間がかかること、さらにU21とU19の選手は新型コロナワクチン接種を終えたばかりでありこのまま予定通り9月に今季リーグを開幕すれば感染リスクも大きいことも今季中止の判断に繋がったとFAMは説明しています。
FAMはプレジデントカップとユースカップの2022年シーズンを来年2月に開幕する予定であることも発表しています。
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新型コロナを理由に挙げられてははどうしようもないですが、2024年パリオリンピック出場を目指すFAMは、長期強化プランの一環としてU20代表をAFC U23アジアカップ予選に派遣する一方で、そのパリオリンピック予選に出場する可能性がある選手たちがプレーするU21リーグとU19リーグを昨年に続き2年連続で中止しています。代表チームの強化にも直結する国内リーグの中止は、U20代表だけでなく、長期的に見ればU23代表やフル代表などの強化にも影響を与えることは必至で、また数年後にはマレーシアサッカーの暗黒の時代がやって来そうでなりません。
2位争い渦中のクダはシャーマンとアタヤがW杯予選出場で今季残り試合は全て欠場か
Mリーグ1部スーパーリーグで2位のクダ・ダルル・アマンFCは今夜9月1日にスリ・パハンFCと対戦しますが、この試合では今季13ゴールを挙げているエースのFWクパー・シャーマンと司令塔MFラビ・アタヤの両主力選手が自国の代表としてFIFAワールドカップ予選に出場するため欠場します。8月31日から9月9日はFIFA国際マッチデー期間となっており、両選手はこの期間中に開催されるMリーグ1部第21節の9月4日のKLシティFC戦と当初は第16節の7月31日予定されていながら順延されたUITM FC戦も欠場します。
シャーマン選手はMリーグのサバ、ケランタン、トレンガヌでも監督経験があるピーター・バトラー監督が率いるリベリア代表の選手として、アフリカ2次予選C組で9月3日にはアウェイでナイジェリアと、9月6日にはホームで中央アフリカと対戦します。
一方のアタヤ選手はマレーシアが突破できなかったアジア2次予選を突破したレバノン代表の選手として、アジア3次予選B組で9月2日にはマレーシアが予選で敗れているアラブ首長国連邦とアウェイで、9月7日はやはりアウェイで韓国と対戦します。
来季のAFCカップ出場権がかかるスーパーリーグの2位争いでは残り2節となる中、クダ・ダルル・アマンFCが直近の4試合で4連勝するなど勝点38(18試合終了)がリードしているものの、3位のトレンガヌFCと4位のペナンFCがいずれも勝点37(20試合終了)と僅差で迫っています。なお、クダ・ダルル・アマンFCは7月下中の後半戦開幕時に新型コロナ検査で陽性者が出たことから、チーム全員が検疫隔離となり、他のクラブより昇華している試合数が少なく、今夜のスリ・パハンFC戦は第17節の8月4日に予定されていた試合が順延されたものです。
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気になるのはFIFA国際マッチデー期間以降です。現在、マレーシア政府は全ての渡航者に2週間の検疫隔離を求めており、シャーマン、アタヤ両選手が国際マッチデー期間最終日の9月7日にマレーシアに戻った場合、何か特例がない限り、2週間の隔離期間を経て9月21日からのプレーが可能になります。一方で今季のMリーグ1部は最終第22節が9月12日となっており、両選手は今季のリーグ戦は出場なし、リーグ戦終了後のマレーシアカップから復帰となる可能性があります。
FAMの新事務局長にモハマド・サイフディン氏が就任
マレーシアサッカー協会FAMは9月1日付でモハマド・サイフディン・アブ・バカル氏が事務局長に就任することを公式Facebookで発表しています。FAMの事務局長は、前任者のスチュアート・ラマリンガム氏がMリーグを運営するMFLのCEOに就任することから空席となっていました。
60歳になるモハマド・サイフディン氏はスランゴール州サッカー協会で技術部門と育成部門で担当者を務めたのち1991年からはFAMで競技委員会委員長、2004年からはアジアサッカー連盟AFCで競技委員を務め、FAMに戻った2007年から2009年までは副事務局長を務めた後、2009年から2012年まではカタールのスターズリーグの競技委員会の副委員会、2012年からは2019年まではオマーンリーグの競技委員会やライセンス担当者を務めた経歴を持っている他、FIFAとAFCのマッチコミッショナーでもあります。