8月31日のニュース:今季2試合を残しサバFCのクルニアワン監督が「休養」、クラブ史上初の2部降格危機のペラFCは「政治」の力を使って1部残留を画策か、JDTは優勝賞金でフロントライナーの家族を支援

 今日8月31日はムルデカデーと呼ばれる独立記念日で、マレーシア国民の祝日です。しかしこの8月31日を「マレーシアの独立記念日」とするのは間違いで、この日は1957年にマレー半島の英領マラヤが英国から「マラヤ連邦」として独立を果たした日で、サバやサラワクを含めたマレーシアの建国は1963年9月16日まで待たねばなりません。言い換えれば、サバやサラワクではこの1957年8月31日という日付には何の意味もありません。(1963年8月31日に英国直轄植民地だったサバ(当時の名称は北ボルネオ)が自治政府を樹立し独立していますので、厳密に言えばサバの人々にとってはこの日がサバの「独立記念日」ではあります。ちなみにサラワクも同年7月22日にやはり英国直轄植民地から自治政府を設立して独立し、マラヤ連邦、サバ、サラワクそして当時はシンガポールも含めた地域が合同でマレーシアという国家が設立しました。シンガポールはその翌年1964年にマレーシアから離脱し、独自で独立国家となりました。

今季2試合を残しサバFCのクルニアワン監督が「休養」
 Mリーグ1部のサバFCはクラブの公式Facebook上で、クルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督の休養を発表しています。リーグ中断期間を挟み7月24日から始まった後半戦でサバFCは7試合で3分4敗、前半戦の最終戦から数えると3分5敗で5月5日以来白星がありません。
 サバFCは8月28日の第20節で最下位のUITM FCにも0-4で敗れ、現在は4勝7分9敗のリーグ7位となり、11位のペラFCとは勝点差6となっています。今季の残り2試合を1分1敗で終えても得失差に関係なく1部残留が決まりますが、クルニアワン監督ではこの成績すら危ういということなのでしょう。なおサバFCは次節は現在5位のスランゴールFC、そして最終節は降格を争う11位ペラFCとの対戦が残っています。
 なおクルニアワン監督が休養中はブルハン・アジュイ アシスタントコーチが監督代行を務め、ジュリアス・アティンが新たにアシスタントチームマネージャーに就任することも発表されています。いずれもかつてはサバFC(当時はサバFA)でプレーした経験があります。

クラブ史上初の2部降格危機のペラFCは「政治」の力を使って1部残留を画策か
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上にスチュアート・ラマリンガム事務局長名で投稿を行い、自身も、またハミディン・アミンFAM会長もスーパーリーグのチーム数を現行の12から16へ増やすことについて誰とも話し合いを持っていないことを表明しています。さらに投稿では「Mリーグの1部スーパーリーグや2部プレミアムリーグでプレーするチーム数や。2部から1部への昇格および1部から2部への降格チーム数については、Mリーグを運営するMFLとその理事会の管轄下にあり、FAMはこれに関知していない。」とも述べています。
 FAMがこのような声明を発表したのは、ソーシャルメディア上で拡散しているある映像が原因です。この映像では先週の新内閣発足に伴い新たに就任したアフマド・ファイザル・アズム青年スポーツ相が、1部スーパーリーグを16チームとすることで、現在11位と低迷するペラFCが2部に降格せずに済むのではないかと尋ねられたことに対し、青年スポーツ省はそれを指導する権限はないと述べる一方で、ハミディンFAM会長やスチュアート事務局長とはリーグを16チームに拡大についての話し合いを持ったと述べています。
 2018年5月からペラ州首相を務めていたアフマド・ファイザル氏は、昨年2020年3月に連邦政府で起こった政権交代の影響を受け、与野党の力関係が逆転したペラ州議会で不信任案が可決され同年12月にペラ州首相を辞任しましたが、今年1月までペラ州サッカー協会会長も務めていた経緯もあり、連邦政府内で国内スポーツを統括する立場にあるアフマド・ファイザル青年スポーツ相がリーグ拡大という裏技を使って、ペラFCの2部降格を阻止しようとしているといった見方が広まっていました。
 さらにMリーグを運営するMFLも公式サイト上で声明を発表し、今季の1部からの降格と2部からの昇格チーム数については従来通り行うことを発表しており、FAM、MFLともネット上に広まるペラFCの「1部残留工作」の噂の打ち消しに躍起になっています。

JDTは優勝賞金でフロントライナーの家族を支援
 Mリーグ1部で残り2試合を残し第20節に今季の優勝とリーグ8連覇を達成したJDTは、今回のタイトルを新型コロナの感染拡大阻止と戦う全てのフロントライナーに捧げたいとクラブの公式サイトで明らかにしています。
 今回の優勝は自らの命を危険に晒しながら日夜、新型コロナと戦うフロントライナーのおかげだとして、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は今季の優勝賞金をフロントライナーの家族の支援のための基金とすると述べています。
 これを取り上げた英字紙スターは、今季の優勝賞金とおよそ50万リンギ(およそ1320万円)だと報じ、これまでにJDTは新型コロナ感染拡大前からJDT基金を通じで同様の社会貢献を行なってきたともしています。
 同じ記事では、Mリーグで外国籍監督として初のリーグ3連覇を達成したベンヤミン・モラ監督は今回の優勝をイスマイル殿下に捧げるとともに、今季唯一の黒星をつけられたトレンガヌFC戦と対戦する次節では、主力を温存することなくベストメンバーで望むと話しています。