6月11日のニュース:今夜はベトナム戦-試合前の代表の様子、ベトナム戦は中盤の勝負で長身選手起用が効果的-元Vリーグ選手がアドバイス、消滅クラブのコーチへも未払い給料の支援を求める- 指導者協会

 現在、アラブ首長国連邦UAEのドバイで開催中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組は、現地時間の6月11日に2試合が予定されています。
 6月2日のUAE戦では0-4と完敗したマレーシアは、タン・チェンホー監督就任以来の対戦成績が4試合で0勝1分3敗のベトナムと対戦します。UAE入り後、インドネシアと引き分け、UAEに敗れたタイと同様、3次予選進出の可能性が限り無く低くなったマレーシアですが、現実的な目標はW杯ではなくアジアカップ2023年大会出場。現在勝点9でタイと並びながら得失差でG組4位のマレーシアは、今夜のベトナム戦で万が一勝利すればタイ戦で引き分けても3位がとなりますが、今夜負ければタイ戦での勝利が必須となります。FIFAランキング153位のマレーシアが同92位のベトナムと同106位のタイを天秤に掛ければ、素人目ではここはタイ戦勝利のためにベトナム戦をどう戦うかという発想も必要かと思います。
 UAE入り後の練習試合と先日のUAE戦を合わせた3試合でマレーシアは1得点10失点と攻守とも不安材料満載ですが、前述したようにタイもこの予選では1分1敗(3得点5失点)と結果を出せておらず、タイと2-2で引き分けたインドネシアを4-1で一蹴したベトナムと比べれば、少なくともタイは与し易い相手に見えます。となれば、毎試合勝利が期待されている代表チームですが、今夜のベトナム戦、次戦のタイ戦の2試合合わせて勝点3獲得を目指す戦略があっても良いと思うのですがどうでしょうか。

今夜はベトナム戦-試合前の代表の様子
 UAEに4-1で敗れてから今夜のベトナム戦まで試合のない期間が8日間続いたマレーシア代表チーム。選手は十分な休養が取れ、首脳陣は次戦に向けて戦術や戦略を用意する時間が確保できる一方で、タン・チェンホー監督は空き過ぎた時間のせいで必要以上に不安や緊張を感じることがあることから、選手を鼓舞し、対話を続け、練習を通じて自信を植えつけることに精を出していたようです。
 UAE戦敗戦の原因を分析し、それを修正するための練習を続けてきたと話すタン監督は、選手が敗戦を引きずらずにベトナム戦に臨む用意ができていると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版に語っています。
 対戦相手のベトナムについて問われたタン監督は、FIFA U20ワールドカップ2017年大会出場選手を核とするチーム内の連携が良く取れており、相互理解と強い精神力を持ったチームだと称えた上で、前試合のUAE戦から連日の練習で攻守共に改善されたマレーシアにとって今夜の試合はベトナム戦連敗を止める好機だとして、最後まで集中力を切らさずに戦いたいと記者会見で話しています。

ベトナム戦は中盤の勝負で長身選手起用が効果的-元Vリーグ選手がアドバイス
 Mリーグ1部UITM FCの主将でフランス出身のヴィクトル・ニレノルドはベトナム1部VリーグのダナンFCでプレー経験があることから、今夜のW杯予選でベトナムと対戦するマレーシアに対して、自身の経験からアドバイスがあると英字紙スター電子版が報じています。
 「ベトナムの強さは中盤にあり、Mリーグで言えばJDTのように短いパスをつなぐサッカーを展開するので、そこで競り負けないことが第一。一方、攻撃に比べると守備には脆さもあり、マレーシアはギリェルメ・デ・パウラ、リリドン・クラスニキ、ディオン・コールズそしてラヴェル・コービン=オングといった長身選手をセットプレーで活用するべきだ。」と話すニレノルド選手は、マレーシアが注意するべき選手としてプレーメーカーのMFグエン・クアン・ハイ(ただしマレーシア戦は警告累積により出場停止)、FWグエン・バン・トアンを挙げています。

消滅クラブのコーチへも未払い給料の支援を求める- 指導者協会
 先日のこのブログでは、FIFAが国際プロサッカー選手会FIFProが共同で設立したFIFAサッカー選手基金(FIFA FPF)を通じ、かつてMリーグにありながら消滅してしまった5クラブによって給料未払い問題を被っている147選手に対して、一人当たりおよそ1230米ドルから9230米ドル(およそ13万5000円から101万円)が支払われるというニュースを取り上げました。これについて同じ5クラブからの給料がやはり未払いとなっている監督、コーチについての支援がないことから、マレーシアサッカー指導者協会FCAMはFIFAが監督、コーチの窮状を無視していると非難しています。
 プルリスFA、ハネランFC、マルセラ・ユナイテッドFC、クアンタンFA、トレンガヌシティFCの5クラブはかつてMリーグに所属しながら、運営資金不足などを理由にリーグから撤退し、クラブは消滅しています。
 FCAMのB・サティアナタン会長はFIFAが選手のみを支援し、監督、コーチを支援しない理由が理解できないとして、給料未払いとなっている5クラブの監督、コーチを代表してFCAMがFIFAに対し、問題喚起の手紙を送る予定だとニューストレイトタイムズの取材に対して明らかにしています。
 「国際プロサッカー選手会がFIFAサッカー基金創設で重要な役割を果たし、選手の福利を図るという目的を達成できているのは良いことだが、その一方でプロ指導者を統括する国際プロサッカー選手会のような世界的な組織はなく、権利のために戦う環境が整っていないのは残念だ。」
 数年前にFCAMの代表者としてヨーロッパサッカー指導者協会の定款に署名をしたと話すサティアナタン会長は、このヨーロッパサッカー指導者協会がプロ指導者の権利を守る唯一の国際的組織であり、世界各国が指導者協会を設けることを望んでいること、アジア諸国では指導者協会がほとんどなく、現在はインドと日本の指導者協会が中心となり、各国に協会設立を働きかけている最中であることなども述べています。
 最後にサティアナタン会長は、選手の声を代弁し、資金的にも裕福な国際プロサッカー選手会に倣って、FCAMはインドや日本の指導者協会と協力して、選手同様にサッカーに貢献しているプロ指導者の権利を守り、その代弁者となるような組織を設立したいと話しています。