5月28日のニュース(2):北朝鮮予選辞退の影響でマレーシアの順位が2位から4位へ、デ・パウラは本番前最後の練習試合は出場資格なし

 W杯予選前の最後の練習試合となるバーレーン戦が本日5月28日午後7時30分(現地時間、マレーシア時間では5月29日深夜12時30分)から行われますが、その前に衝撃的なニュースが飛び込んできました。

北朝鮮予選辞退の影響でマレーシアの順位が2位から4位へ
 アジアサッカー連盟AFCは公式サイト上で、今月5月16日に北朝鮮がW杯予選の出場辞退を発表したことを受け、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の順位決定要件の変更を発表しています。
 アジア2次予選では、各組1位の8チームと各組2位の上位4チームの合計12チームが3次予選に進みますが、北朝鮮がいた予選H組がそれまでの5カ国から4カ国となった一方で、残る7組は5カ国のままであることから、各組2位と5位の対戦成績は順位決定の際に考慮しないことが正式に発表されました。
 このブログでもこうなる可能性があり、その結果としてマレーシアの予選順位に大きな影響が出ることを北朝鮮出場辞退発表直後の5月18日のニュースで取り上げましたが、その懸念が現実のものとなりました。
 この発表が出る前までのマレーシアが所属する予選G組の順位は以下の通りでした。

TeamPWDLGDPts
1ベトナム5320411
2マレーシア530229
3タイ522138
4UAE420246
5インドネシア5005-130
P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GD-得失差、Pts-勝点

 マレーシアを除くG組の各チームはいずれも最下位のインドネシアとは1試合対戦しており、来月6月3日からアラブ首長国連邦UAEで再開されるW杯予選で残る1試合を戦います、マレーシアは既にインドネシアとはホームとアウェイで対戦し2勝しています。このため、今回のAFCによる措置により、マレーシアはそこで得た勝点6を失う一方で、他のチームは1勝分の勝点3を失い、その結果、インドネシアを除く予選G組の順位は以下のように変動します。

TeamPWDLGDPts
1ベトナム422028
2タイ412105
3UAE3102-13
4マレーシア3102-13
*P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GD-得失差、Pts-勝点

 

 2019年末にインドネシア代表監督に就任した韓国出身のシン・テヨン監督は、今回のW杯予選では若い選手を多く招集していることから、インドネシアは予選を通して最下位のままの可能性が高く、ベトナム、タイ、UAEは対戦成績が予選順位に関係しないインドネシア戦では、主力選手を休ませるなど余裕を持った日程となるのに対し、インドネシア戦が残っていないマレーシアは上位進出のためには気を抜ける試合が1試合もない状況での予選となります。

デ・パウラは本番前最後の練習試合は出場資格なし
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の初戦ととなるアラブ首長国連邦UAE戦(6月3日)まで残り1週間となった本日、マレーシア代表はバーレーンのリファーにあるナショナルスタジアムでバーレーン代表と本番前の最後の練習試合を行いますが、英字紙ニューストレイトタイムズは、国際Aマッチとして行われるこの試合にはブラジル出身で帰化選手のギリェルメ・デ・パウラは出場資格がないと報じています。
 5月25日に行われたクウェート代表との練習試合ではチーム唯一のゴールを決めたデ・パウラ選手ですが、FIFAが規定する「新しい国籍を取得」した選手が代表チームでプレーする資格として「当該協会の管轄区域において、18歳以降に少なくとも5年の居住歴がある選手」の条件を満たしていないことがその理由です。この記事によれば、デ・パウラ選手は来月6月1日にはFIFAが求める条件を満たすことになり、W杯予選にはギリギリのところで出場可能ということです。また5月25日に行われたクウェート代表との試合は国際Aマッチではなかったことから、デ・パウラ選手の出場には支障がなかったようです。
 なお、5月24日に行ったウクライナ(FIFAランキング24位)との練習試合で、バーレーン(同99位)は1-1と引き分けており、マレーシア(同153位)にとっては本番前の最後の練習試合ながら厳しい戦いになりそうです。

5月28日のニュース:W杯予選に臨む代表に「秘密兵器」?、移籍情報3題、トレンガヌのコナテがマリ代表招集

W杯予選に臨む代表に「秘密兵器」?
 6月3日から始まるFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会に向けてアラブ首長国連邦のドバイで合宿中のマレーシア代表に「秘密兵器」が投入されるのでは、とマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ブルナマによればこの秘密兵器とは、今季はデンマーク1部で2位のFCミッティランで21試合に出場したDFディオン・コールズです。ベルギー人の父親とマレーシア人の母親を持ち、これまでも何度か代表入りの話が出ては消えていたコールズ選手ですが、所属するFCミッティランの公式ソーシャルメディアでコールズ選手が初の代表招集を受けたことを明らかにしたことから、俄然、信ぴょう性が高まっています。
 サラワク州クチン生まれのコールズ選手は慎重185cmの右サイドバックで、U19やU21ベルギー代表の経験もあるほか、ベルギー1部クラブ・ブルッヘ在籍時にはUEFAチャンピオンズリーグでのプレー経験もあります。
 左サイドバックやセンターバックのプレー経験もある185cmのコールズ選手が代表に加われば、代表の守備陣はマシュー・デイヴィーズ、ジュニオール・エルドストール、ラヴェル・コービン=オングと外国育ちながらいずれもマレーシア人の血を引く帰化選手による強力な布陣となりそうです。
*****
 さらにその後、FCミッティランの所属選手名簿からコールズ選手の名前が消えたことで、コールズ選手は代表入りだけでなく、そのままMリーグ1部JDTへの加入も噂されています。
 本日5月28日にはバーレーンのマナマで予選前最後の練習試合となるバーレーン戦が行われます。流石にぶっつけ本番ということはなさそうですので、この試合がコールズ選手の代表デビュー戦となるかもしれません。

移籍情報-マラッカUはブラジル出身FW2名の新加入を発表
 Mリーグ1部スーパーリーグで11位のマラッカ・ユナイテッドFCは公式Facebook上で新加入となるブラジル出身FW2選手を紹介しています。
 今季はここまで13試合で15ゴールと得点力不足に苦しむマラッカ・ユナイテッドですが、ブラジル4部のSERカシアス・ド・スルから加入するジョヴァンニ・ゴメス・ダ・シルヴァ(26)と、同じくブラジル4部のガウヴェスECから加入するアドリアーノ・アパレシド・ナルシソ(26)には1部残留に向けての活躍が期待されています。
 なお、マラッカ・ユナイテッドFCはこれに先立ち、FWステファン・ニコリッチ(モンテネグロ、今季4ゴール)とFWアレックス・ドス・サントス・コンカウヴェス(ブラジル、同3ゴール)との契約を解除しています。

移籍情報-ペラFC退団のナジルル・ナイムはサバFCへ移籍
 給料未払い問題で主力選手が次々と退団しているMリーグ1部のペラFCから新たな退団者です。同じ1部スーパーリーグのサバFCは、ペラFCを退団したDFナジルル・ナイム(28)の加入を公式Facebookで発表しています。
 ペラ州出身で2016年からペラFCでプレーするナジルル選手は、今季13試合中10試合に出場(内7試合は先発出場)しており、サバFCでも主力として活躍することが期待されています。
 各年代や代表でもプレー経験があるナジルル選手は、2013年には当時JFLのFC琉球のトライアルを受けた後に1年契約を交わしましたが、ケガのためJFLには1試合も出場することなく契約を解除しています。

移籍情報-ザフアン・アゼマンらがケランタンUに加入
 Mリーグ2部プレミアリーグのケランタン・ユナイテッドFCは、1部スーパーリーグのペナンFCよりFWザフアン・アゼマンを獲得したことをクラブの公式Facebookで告知しています。
 来月21歳になるザフアン選手は今季ここまでペナンFCに所属していたものの出場はわずか1試合にとどまっていました。マレーシアU19代表では、フル代表のアキヤ・ラシド(JDT)やニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット(トレンガヌFC)らと共にプレーしたザフアン選手は、昨季はタイ3部のアーントーンFCに所属していましたが、新型コロナウィルスの影響などもあり契約が更新されず、今季開幕前にペナンFCに加入していました。
 またケランタン・ユナイテッドにはMリーグ1部のサバFCからMFアリアスディアス・ジャイスとDFエバン・ウェンズリー・ヴェンツェルも今シーズン終了までの期限付き移籍で獲得しています。
 両選手とも、開幕当初はチーム合流が遅れていた外国籍選手に代わってベンチ入りし、途中出場ながらも数試合にプレーしましたが、第3節に5名の外国籍選手全員が合流した後はベンチ入りもできていませんでした。

トレンガヌのコナテがマリ代表招集
 Mリーグ1部トレンガヌFCは、今季加入したMFマカン・コナテが母国マリの代表に招集されたことをクラブの公式Facebookで発表しています。コナテ選手はこれが代表初招集ということです。
 プロとしてプレーし始めて以来、ずっとこれを目標とし、待ち望んできたと話すコンテ選手は、自身がトレンガヌFCでプレーする映像を見た代表のコーチから直接、連絡を受け、6月1日から始まる代表合宿に参加するために直ちにマレーシアを出国するということです。
*****
 現在Mリーグ1部で2位のトレンガヌの快進撃の原動力となっているコナテ選手ですが、マリ代表の練習試合は6月15日まで組まれているということで、コナテ選手がこの最終戦まで代表チームに残れば、トレンガヌが出場し6月30日に初戦を迎えるAFCカップのグループステージへの出場が危ぶまれるなー、と思っていた矢先、国内で新規感染者数が増え始めたシンガポールサッカー協会FASがトレンガヌを含むグループI、そしてクダ・ダルル・アマンFCを含むグループHの両グループステージ開催を返上してしまいました。