12月16日のニュース:FAMは前AMD責任者のリム氏のコメントに反論、タイ1部リーグ第14節-タンとスマレが揃って先発しチームは9試合ぶりの勝利、前スランゴールFC監督はサラワクUのTDに就任

FAMはリム氏のコメントに反論
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会NSCが共同で運営する「U20育成チーム」は来季2021年のMリーグ2部に参加しますが、この案にNSC傘下の国家サッカー選手養成プログラムやその中核となるエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDの前責任者であるリム・ティオンキム氏が反対しているという記事を昨日、紹介しましたが、FAMは早速これに反論しています。
 FAMのスバハン・カマル会長代理は、リム氏のコメントはあくまでも彼個人の見解であり、FAMは国内の若い選手に継続して実践経験を積ませることを重視しており、今回のリーグ参加はその場を提供することが目的である。」と話しています。
 さらにカマル会長代理は「FAMは若い選手、特にAMDの卒業生については、国内リーグでしか通用しない選手に育てるのではなく、フル代表で他国の代表選手と渡り合った際に役立つような経験を積ませたい。」と話し、将来的にはさらに経験を積むために国外遠征も視野に入れていることを明らかにしています。
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 アイディア自体は悪くないとは思いますが、カマル会長代理が話すように、将来の代表育成が目的ならば、なぜAMD卒業生40名全員を囲い込まず、トップ層の12名だけはスランゴールFCとJDTと契約させたのかが疑問です。この年代のトップの育成はクラブ任せで、いわばどのチームも欲しがらなかった残り物の選手(失礼!)をFAMとNSCで育成、しかもその方法は単に既存のリーグに参加させるだけで将来の代表選手が育成できるのなら、苦労はありません。

タイ1部リーグ第14節-タンとスマレが揃って先発しチームは9試合ぶりの勝利
 タイ1部リーグは第14節が行われ、代表のドミニク・タンとモハマドゥ・スマレが所属するポリス・テロFCは滝雅美監督率いるラヨーンFCとホームのブンヤジンダースタジアムで対戦し1−0と勝利しています。この勝利は9月13日以来となる9試合ぶりの勝利です。
 これまでの出場はいずれも途中からだったスマレ選手が初めてスタメン出場し、タン選手と揃ってスタメンに名を連ねた初の試合で、タン選手はフル出場、前節はケガのためにチームの遠征にも帯同しなかったスマレ選手は57分に交代しています。なおスマレ選手と交代して出場したキーラティ・ケアウソムバットがポリス・テロFCの唯一のゴールを決めています。
 この勝利でポリス・テロFCは5勝4分5敗となり9位に浮上、敗れたラヨーンFCは2勝1分11敗で最下位の16位となっています。
 次節第15節でポリス・テロFCは現在、14位のナコーンラーチャシーマー・マツダFCとアウェイで対戦します。

前スランゴールFC監督はサラワクUのTDに就任
 マレーシアの通信社ブルナマはMリーグ1部スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン前監督がMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドFCのテクニカルディレクターに就任したと報じています。契約期間は2年ということです。
 2013年のMリーグ2部プレミアリーグ優勝以来タイトルから遠ざかっているサラワク・ユナイテッドFCは今季は2部で10位と低迷しています。
 サティアナタンTDは、2022年シーズンでの1部昇格を果たすため、U21やU19チームを含めた若手の育成プログラムを担当し、今季に続き来季もチームの指揮を取るエラヴァラサン・エランゴワン監督とともに、サラワクFA時代のかつての栄光を取り戻す力になりたいと話しています。
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 サラワク・ユナイテッドFCについては、代表FWのノーシャルル・イドラン・タラハや今季のスランゴールFCで主将を務めたテイラー・リガンの加入をニュースを取り上げましたが、即戦力補強だけでなく、このサティアナタンTDの就任によりサラワク・ユナイテッドFCの本気度が伝わってきます。
 ただし気になるのが、サラワク・ユナイテッドFCにはこのサティナ監督と反りが合わず、スランゴールFCを退団しこのサラワク・ユナイテッドFCに移籍したアムリ・ヤハヤがいます。TDが直接、トップチームの運営に関わることはないかも知れませんが、遺恨再燃が心配ではあります。

12月15日のニュース:前エリートアカデミーTDは育成チームのMリーグ2部出場に反対、スランゴールFCとトレンガヌFCの来季本拠地は未定、ケランタンUの東山新監督は来季トップ4入りを目指す

前エリートアカデミーTDは育成チームのMリーグ2部出場に反対
 国家サッカー選手養成プログラムNFDPの卒業生を中心に編成されるU20「育成チーム」が、来季のMリーグ2部に参戦することが決まりましたが、サッカー専門サイトのヴォケットFCは、このNFDPや、その中核となるエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーでかつてテクニカルディレクターを務めたリム・ティオンキム氏がこの計画について猛反対していると報じています。
 NFDPを監督するマレーシア政府青年スポーツ省参加の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会が共同で運営する「育成チーム」のMリーグ2部参加について、リム氏は「才能がある若い選手の育成という観点から、FAMが下した最も愚かな決断の一つである。」と一刀両断にし、「18歳の選手がプロと対戦することでどれほど有意義な経験を積めるのか。」と疑問視しています。
 ドイツリーグでのプレー経験もあり、また元バイエルンミュンヘンのユースチームのコーチ経験もあるリム氏は「この『育成チーム』に参加する選手全員が現時点で必ずしも高いレベルにあるわけでなく、そのレベルに達していない選手には育成に適した環境が必要である。そういった選手には時間が必要で、現在の自分のレベルにあったリーグでプレーするべきであり、Mリーグ2部はそのレベルではない。」と述べています。
 「この『育成チーム』の核となるのはNFDPの卒業生のトップレベルの選手をスランゴールFCやJDTが獲得した後の残りの選手たちであることを考えると、そういった選手を2部リーグでプレーさせて不必要なプレッシャーを与えるよりは、U21チームのリーグであるプレジデントカップやU19のリーグであるユースカップでプレーさせる方が遥かに良い。確かにU21やU19のリーグ参加は「育成チーム」がプレーする環境としては理想的ではないかもしれないが、FAMはそれ以外のリーグを用意することができない現状ではやむを得ない。」
 「NFPD卒業生全員が(NFPD出身でベルギーリーグに移籍した)ルクマン・ハキムや、(同じくNFPD出身でJDTに加入した)ウマル・ハキームではないので、成長するための時間を与えてあげる必要がある。「育成チーム」内でも選手のレベルは異なるが、そのレベルの違いを理解し、選手はそれぞれにあった時間を与えて育成されるべきだが、FAMはそれがわかっていない。」
 「マレーシアの選手の問題点はプレッシャーをかけられると冷静に組織だったプレーができないと言われるが、Mリーグ2部でプレーしてもそれを学ぶことはできない。マレーシアの多くのサッカーファンは代表チームがワールドカップに出場することを夢見ているが、育成の仕組みが正しくなければ、実現は難しいだろう。」などと話しています。

スランゴールFCとトレンガヌFCの来季本拠地は未定
 英字紙ニュースストレイトタイムズは、Mリーグ1部のスランゴールFCとトレンガヌFCの来季の本拠地が未定であると報じています。
 従来の本拠地であるシャーアラムスタジアムが今後2年ほどは改修工事中で使用できないスランゴールFCは、今季は1試合をブキジャリル国立競技場で行ったものの、その他のホームゲームはスランゴール州シャーアラムにあるUITM FCの本拠地UITM FCを使用しました。
 来季はやはりスランゴール州にあるPJシティFCの本拠地MBPJスタジアムを間借りすることが発表されていますが、クアラルンプール市内のムルデカスタジアムの使用も検討しているとされています。
 スランゴールFC(当時はスランゴールFA)が最後にムルデカスタジアムを本拠地として使用したのは1994年で、翌年の1995年に新たに完成したシャーアラムスタジアムへと本拠地を移しました。
 またトレンガヌFCも本拠地のスルタン・ザイナル・アビディンスタジアムの改修工事を今季開幕前に行いましたが、現在も照明を含めた施設に問題があり、新たな本拠地を探しているということです。
 来季はAFCカップにも出場するトレンガヌFCは、早急に新たな本拠地を見つける必要がありますが、Mリーグを運営するMFLは来季開幕前に各クラブの本拠地となるスタジアムの状況を調べるために視察を行うとしてますが、現時点では、トレンガヌFCからの本拠地変更の届出は提出されていないということです。

ケランタンUの東山新監督は来季トップ4入りを目指す
 Mリーグ2部のクチンシティFC(来季から、今季まではクチンFA)の監督を辞職し、来季は同じ2部のケランタン・ユナイテッドFCの指揮を取る東山晃新監督は、来季の目標にトップ4入りを挙げています。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、この目標は今季2部で8位となったケランタン・ユナイテッドFCのパフォーマンスをもとに立てた目標だということです。
 31歳の東山監督は新たな選手の獲得も含め、経営陣と協議中ということですが、トップ4入という目標達成には現場とフロントの協力が欠かせないとも述べています。
 「他のクラブに対抗する実力があると信じているので、目標のトップ4入りにも自信がある。練習開始後は練習試合なども組み、来季開幕前までにチームを強化したい。」と話す東山監督率いる新チームは来季に向けて、今月28日に指導するということです。
 今季初めて2部に昇格したケランタン・ユナイテッドFCですが、クラブ創設3年目にもかかわらずマレーシアカップへの出場権を獲得しています。