8月30日のニュース:クラブ民営化で伝統喪失の危機、イングランド2部のクラブのマレーシア人オーナーが「成功」を厳命、移動制限措置適用地域在住のクダFA主将は無事チームに合流

クラブ民営化で伝統喪失の危機
 9月30日に迫ったMリーグ1部と2部のクラブの民営化の期限を前に、複数のクラブを伝統の喪失に直面していると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 各クラブは来季以降もMリーグに所属するためには民営化が義務付けられていますが、この民営化によってクラブはより高いプロ意識や安定した持続可能性を持つことが期待される一方で、長年使い続けてきた伝統あるクラブのエンブレムやロゴを放棄し、新しいものを採用せざるを得なくなっているということです。
 例えばスランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)が運営するMリーグ1部のスランゴールFCは、スランゴール州を代表するクラブとして1936年からスランゴール州FAのエンブレムをユニフォームにつけてプレーしてきました。

 「勇気」を象徴する赤と「王権」や「高貴さ」を象徴する黄色を基調とし、スランゴール州の紋章も描かれたエンブレムは、現在、エリートアカデミーの名称にもなっているかつての名選手モクタル・ダハリらも着用したスランゴール州を代表するチームのユニフォームにいつも輝いていましたが、来季からは選手の誇りを象徴するエンブレムが使用できなくなるということです。
 スランゴール州FAは、クラブの民営化を進めるマレーシアサッカー協会FAMに対し、民営化後も州FAエンブレムの継続的な使用許可を求めたとされていますが、エンブレムの変更も民営化の要件の一つであることから、それが認められる可能性は極めて低そうです。現にFAMのハミディン・アミン会長は州FAと民営化されたクラブが同じエンブレムやロゴを使うことを認めておらず、民営化されたクラブは州FAのエンブレムとは異なるものをつかことを義務とするコメントを発表しています。
 なお来月9月30日までに民営化が完了しないクラブは、来季2021年シーズンはMリーグ3部にあたるM3リーグに降格になるとされています。

イングランド2部のクラブのオーナーが「成功」を厳命
 イングランド2部リーグで2019/2020年シーズンは5位に終わったカーディフシティFCは、マレーシアのビジネスマン、ヴィンセント・タン氏が2010年からオーナーです。チームのユニフォームの胸スポンサーでもあるタン氏は、ユニフォームにVisit Malaysiaのスローガンを採用してきました。(写真左)

 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、この胸のスローガンが今季2020/2021年シーズンからMalaysia Berjaya(berjaya-ブルジャヤはマレーシア語で「成功」の意味)と変わることが発表されています。(写真右)
 リゾートを含めた不動産投資開発や旅行産業を運営するコングロマリットで財をなしたタン氏は「マレーシアを世界的に売り込む」ことを目的として、Visit Malaysiaのスローガンを使ってきました。その上で「新しいスローガンは自分の愛国心と自らが設立したコングロマリットのブルジャヤグループの二つの意味を持っている。」と話し、スローガンがMalaysia Berjayaと変わっても目的は変わらないと話しています。
 このスローガン変更についてはカーディフシティFCのニール・ハリス監督も「2019/2020年シーズンはプレーオフで敗れてプレミアリーグ昇格を逃したが、マレーシア語の)Berjayaの意味を理解してから、新たなシーズンには「成功」が求められていると思っている。」と話しています。
 なお、ヴィンセント・タン氏はカーディフシティFCの他、19歳のルクマン・ハキム・シャムスディンが加入したことで話題を集めたベルギー1部のKVコルトレイクのオーナーでもあります。

移動制限措置適用地域在住のクダFA主将は無事チームに合流
 Mリーグ1部のクダFAを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)は、住民の自由な移動が制限されている移動制限措置が発令中のスンガイプタニ在住のバドロル・バクティアルに代わって提出していた適用除外申請が認められたことを発表しています。
 バドロル選手の雇用主であるクダFAによる申請が許可されたことにより、クダFAの主将でもあるバドロル選手はチームと共にPDRM FCとの対戦地であるクアラルンプールへ移動が可能になったと、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 新型コロナウィルの新たなクラスターとなる懸念からスンガイプタニに移動制限措置が適用されることが発表され、この措置が適用されている地域の住民は、その地域外に出て活動を行う場合には申請を行うことが標準作業手順SOPにより義務付けられています。定められています。
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 マレーシア国内の移動制限措置が定期用される地域には警察などが検問を設けて、人の出入りを制限しており、上記のような適用除外許可証などの書類がなければ、実際にその地域を離れることは不可能です。