7月11日のニュース:Mリーグは8月15日から再開か、カリド選手のゴールデンブーツに125万円の値が つく、スランゴールFC監督はカリド選手に同情も引退後の準備不足も指摘

Mリーグは8月15日から再開か
 マレーシア政府による新型コロナウィルス関連の定例記者会見の席上で、身体接触を含むスポーツの練習が7月15日より、そしてサッカーなどの試合の実施が8月15日より許可されることが発表されています。
 英字紙スター電子版によると、イスマイル・ヤアコブ上級相は昨日7月10日に行われた定例会見の席上でサッカー、ラグビー、ホッケー、セパタクロー、バスケットボール、スカッシュなどの身体接触を含む球技と空手やテコンドー、シラットなどの格闘系競技の身体接触を含む練習が可能になることを発表しています。これに伴いフットサル場などの商業運動施設も営業が可能になるということです。
 また身体接触を含まないバドミントンなどの競技やモータースポーツはこの7月15日より試合実施が許可される一方、身体接触を含むサッカーやラグビーなどの競技の試合実施については、1ヶ月遅れて8月15日から可能になるということです。
 なお身体接触を含む競技か否かにかかわらず、どの競技も観客を入れた上での試合開催については許可されていません。
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 8月15日からの試合実施許可が出たことで、Mリーグの再開時期も当初予定されていた9月1日から前倒しになりそうです。当初はMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは9月中の4週間に各クラブが毎週2試合を実施してリーグ戦の残り8試合を消化する過密日程を発表していましたが、8月中旬のリーグ再開が可能となれば、日程に余裕が生まれ、各クラブも歓迎することでしょう。

カリド選手のゴールデンブーツに125万円の値がつく
 ペラFA(現ペラTBG)や代表でプレーしたストライカーのカリド・ジャムルスがMリーグ得点王を記念するゴールデンブーツやメダル、ユニフォームなどをオークションにかけたことはマレーシアのサッカーファンに様々な反応を引き起こしましたが、英字紙ニューストレイトタイムズによれば、そのゴールデンブーツに5万リンギ(およそ125万円)の値がつけられたということです。
 2002年のペラFA時代に22ゴールを挙げて獲得した記念の品に対して、サバ州からのオークション参加者によってつけられた5万リンギという値段は、カリド選手が最低落札価格として設定した1万500リンギ(およそ26万2000円)を大きく上回っています。
 カリド選手はゴールデンブーツの状態はとても良いわけではないが、他のクラブの外国籍フォワードと競った結果の品には尊重されるべき価値があるだろうと話しています。
 2児の父ながら過去3年間は無職というカリド選手は、同情は不要だが、今後は人生で意味のある仕事につきたいと話す一方で、支援を申し出たペラ州政府がこの5万リンギより高い値をつけるかどうかを1週間ほど待つと話しています。
 またカリド選手の苦境を知った青年スポーツ省のワン・アーマド・ファイサル・ワン・アーマド・カマル大臣代行とも面会したカリド選手は「自分は貴重な経験を持っているので、これを分かち合いたいと持っているが、コーチの職を与えられなければそれも無理で、(パハンFA監督の)ドラー・サレーや(マラッカ・ユナイテッド監督の)ザイナル・アビディン・ハサンのように選手から指導者へと転身することもできない。自分のような元選手は、そういった機会がなければ消え去るのみである。」と話しています。
 B級コーチライセンスを持っているというカリド選手は、ファイサル大臣代行との面会の内容は明かしていないということですが、ファイサル大臣代行はカリド選手はサッカー界の財産であるとして、青年スポーツ省として支援したいと話しています。
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 かつての名選手ということで同情する声も少ないくないですが、無職だった過去3年間に、Mリーグ1部や2部では無理でも、下部リーグやアマチュアリーグで指導経験を積むくらいの時間も余裕もあったと思うのですが、それもせずに泣きを入れる辺りは今後の指導者としての資質に疑問符がつきそうな気もします。

スランゴールFC監督はカリド選手に同情も引退後の準備不足も指摘
 Mリーグ1部スタンゴールFCの監督でもあるマレーシアサッカーコーチ協会MFCAのサティアナタン・バスカラン会長は、Mリーグ1部と2部を併せて24クラブしかない現状は、マレーシア人指導者にとってプロコーチの職に就くには厳しい環境であると述べています。
 現在のMリーグではある程度の実績を持つ指導者しか監督、コーチになることは難しいとした上で、いったんコーチとしての仕事を失えば、また実績を積むまでは次のクラブを見つけることは難しいと話しています。
 (マンCの)ペップ・グアルディオラや(リバプールFCの)ユルゲン・クロップなら、こちらがクラブを探さずともクラブの方から自分を見つけてくれるが、過去の名選手という程度で指導者としての実績がなければ、他のマレーシア人指導者や外国籍指導者との勝負に勝つ必要があると話しています。
 「マレーシア国内にはA級あるいはB級コーチライセンスを持つ指導者が何千人といる。元代表選手というだけでコーチの職に着けると考えているのであれば、アドバンストA級のコーチライセンスを持ちながら仕事がない元代表選手の名を何名でも挙げることができる。」と述べるサティアナタン会長は、上記のカリド選手の苦境について、自分がケランタンFA監督時代の選手であったこともあり、記念の品を手放さなければならないのは残念だと話しています。
 しかし誰もがコーチになれるわけではないという現実を認識するべきだとも話すサティアナタン会長は、選手の多くが現役引退後の生活についての計画がないことが問題だと指摘しています。その上で、マレーシア国軍が除隊後の生活のための教育プログラムを用意していることを指摘し、サッカー選手にも同様のプログラムを導入するべきかもしれないと述べています。