3月31日のニュース:JDTの選手らが33パーセントの給料カットに同意、FAMは他のクラブもJDTに倣うことを期待 、その一方で選手は協会とリーグの役員報酬削減を要求

マレーシアでは明日4月1日より、現在発令中の活動制限令MCOがより強化され、これまで通常営業が許されていたスーパーマーケット、食料品店、飲食店などが全て午前8時から午後8時までの営業となります。フードデリバリーなども同様の営業時間となり、この時間帯以外に妥当な理由なき外出をすれば警察に逮捕される、いわば夜間外出禁止状態となります。このような状況下では、読んでいて楽しいニュースはなかなかないのですが、数日ぶりのブログを書いてみました。

JDTの選手らが33パーセントの給料カットに同意
 ジョホール・ダルル・タジムJDTは公式Facebookページにて、選手、コーチ、スタッフが33パーセントの給料削減に同意したと発表しています。3月28日のこのブログでは、選手が給料の一部を本拠地があるジョホール州の災害基金に寄付した事を取り上げましたが、この寄付が削減された33パーセントの一部から拠出されたものなのか、残りの給料64パーセントから選手が寄付したものかは、発表された内容を読む限りでは明らかではありません。
 JDTはこれまでも、2017年にはペナン州で起こった洪水被害者への支援、昨年2019年には元フランス代表のロベール・ピレスやダヴィド・トレセゲ、ルイ・サハ、元オランダ代表のエドガー・ダーヴィッツ、元イタリア代表のマルコ・マテラッツィなど豪華メンバーをそろえて開催したチャリティーマッチで68万リンギ(およそ1700万円)を国立がん協会へ寄付するなど、社会活動に熱心なクラブです。
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 MFLのクラブとしては初めて給料削減を公表したJDTですが、この給料削減と寄付行為は、マレーシアサッカー協会FAMやマレーシアサッカーリーグMFLの公式サイトで取り上げられた他、アジアサッカー連盟AFCのウィンザー・ジョン事務局長(マレーシア人)からも称賛されています。

FAMは他のクラブもJDTに倣うことを期待
 JDTが選手、コーチ、スタッフと給料削減について同意したことで、マレーシアサッカー協会FAMは、他のMFLクラブもJDT同様に選手と交渉することを期待していると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 現在、マレーシアフットボールリーグMFLは暫定的に4月30日までの中断が決まっていますが、マレーシア国内に発令中の活動制限令MCOは今後も延長される可能性があり、実際には国内リーグ再開の目処は立っていません。
 試合が開催できない状況下で入場料収入が途絶えたMFLクラブが窮状を訴えていることは、何度かこのブログでも取り上げましたが、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、クラブが選手・スタッフと真摯に交渉を行い、選手・スタッフもある程度の歩み寄りを見せることで、妥協点を見つけるよう努力を求めています。

その一方で選手は協会とリーグの役員報酬削減を要求
 同じニューストレイトタイムズ電子版では、選手やスタッフに給料削減への理解を求めるのであれば、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアサッカーリーグMFLの役員がまずは報酬削減を表明するべきではないか、という選手の声を取り上げています。
 FAMとMFLは、クラブと選手・スタッフとの間で給料削減の交渉を行うべきと提案していることは上で取り上げましたが、MFl1部スーパーリーグのクラブに所属する匿名の選手は、FAMとMFLの役員が率先して報酬を削減すれば、選手やスタッフもそれに続くだろうと話す一方で、そもそも給料削減が議論になる根拠がないとして、給料全額が払われるべきだとしています。
 この選手はインタビューの中で、ユベントスやバルセロナの選手も給料削減に同意している事を指摘されると、リーグも違えば給料の額も違うとして比較の対象にはならないと反論しています。
 4月30日までリーグ中断が続けば、給料削減についての話し合いに応じる可能性があると話すこの選手は、ここまで2週間の中断で給料削減の話が出ること自体、多くのクラブが経営状況に問題がある証であると指摘し、この程度で経営が難しくなるクラブが多いのであれば、MFLは今季のリーグを中止すれば、簡単な話だと過激なことも発言しています。
 またインドネシアサッカー協会PSSIがリーグ中断期間中は各クラブが選手に支払う金額を実際の給料の25パーセントまでで良いとする措置をとった事をAFCが評価していますが(詳しくは下をご覧下さい)、これについては、PSSIがインドネシアのプロサッカー選手会への相談なしで行われたことから、インドネシアの選手は非常に腹を立てていると話し、マレーシアのプロサッカー選手会PFAMには、選手の福利が守られるよう頑張ってもらいたいと話しています。
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 インドネシアサッカー協会PSSIは、3月28日に国内リーグを5月29日まで中断することを発表し、さらに3月から6月までの期間は「不可抗力(force majure)」を理由に、各クラブが選手、コーチ、スタッフに支払う給料を、契約した金額の25パーセントを上限として良いとする決定をしています。PSSIの発表はこちらです。
 例えばオーストラリアサッカー協会FFAは職員の70パーセントを削減しており、「痛み」を共有するのであれば、マレーシアでも協会やリーグ運営組織でも職員の給与削減、あるいは役員報酬の削減が話題になっても良いはずですが、この記事の選手が指摘しているようにマレーシアサッカー協会FAMやマレーシアフットボールリーグMFLからはそういった話は残念ながら全く聞こえてきません。