PJシティFCのホームも改修工事完了
昨日はスランゴールFCがホームのシャーアラムスタジアムの公式戦開催許可をマレーシアフットボールリーグMFLに申請したことを取り上げましたが、PJシティFCのホーム、スランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムも改修工事が終了したと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
リーグ戦中断前の第4節に「ホームゲームを開催できる試合会場がない」という前代未聞の理由でトレンガヌFCとの試合を延期したPJシティFCですが、MBPJスタジアムでの公式戦開催に向け、現在はマレーシアフットボールリーグMFLによる施設検査が行われるのを待っている状況であると、チームマネージャーであるK・ラジャン氏は話しています。
第4節の前にMFLによって行われた施設検査で不合格となり、ホームゲームが開催できなくなり、結局試合延期という対応をせざるを得なかったPJシティFCですが、4月14日までの延長が発表された活動制限令MCOが解除された段階で、MFLによる再検査を受けて合格となった後に公式戦開催が可能となります。
クダFAのフロントがリーグ中断の影響を明かす
ここ数日にわたって、新型コロナウィルスの影響を受けたマレーシアフットボールリーグMFL中断による給料削減の話題を取り上げていますが、リーグ戦が中断中のスペインでも世界でも有数の金満クラブ、バルセロナでも選手が給料削減に応じる可能性が報じられるなど、この話題は世界的なものになりつつあります。
この状況について、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLは各クラブに対し給料削減を行わないよう求め、それに従わないクラブについては罰則を科すとしています。
しかし新型コロナウィルスの影響は、入場料収入への依存度が高いクラブを直撃しているだけではなく、各クラブを支援するスポンサー企業にも打撃を与えており、クラブへの支援に影響が出ていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
この記事ではクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アリス名誉事務局長の発言として、第4節のスランゴールFC戦がジョホール・ダルル・タジムJDTやパハンFA戦などと並ぶいわゆるドル箱カードであり、それが無観客試合となったことで多額の入場料収入を失ったこと、また活動制限令によって収入減となったスポンサー企業の中には契約通りの支援を取りやめる企業がでてきていることなどを取り上げています。
アスミルル事務長は、新型コロナウィルスによる影響下では、州政府に対して運営資金への支援を求める他、スポンサー企業と契約の見直しを行った上で支援の継続を求める、高給を取る選手には給与の削減を依頼する、などの方針も検討中だと話しています。
元代表監督はマレーシアカップの開催を希望
新型コロナウィルスの影響で中断中のマレーシアフットボールリーグMFLは、既に発令中の活動制限令MCOが4月14日まで延長されたことにより、当初予定されていた第5節(4月3日から4日開催予定)と第6節(4月10日から13日に開催予定)の延期が決まりました。また、3月17日と18日に予定されていたFAカップの2回戦は既に延期されています。
新型コロナウィルスの感染被害が収束した場合、延期されている国内日程だけでなく、やはり延期されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の再開、さらには今年開催予定の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ開催も控えており、再開後の日程はかなりのハードスケジュールが予想されます。
そこで取り沙汰されているのが、もう一つのカップ戦、マレーシアカップを中止て日程緩和を図るという方針です。MFL1部と2部の16クラブのみが出場するこの大会は、通常は8月にグループステージが始まりますが、国内リーグ戦とFAカップの勝者にはそれぞれ、アジアサッカー連盟AFCのAFCチャンピオンズリーグとAFCカップへの出場権が与えられる一方で、マレーシアカップは国内で完結してしまう大会であることから、今後、日程調整が難航した場合の「犠牲」となる可能性が一番高いというのが大半の見方です。
しかし前PKNS FC監督で元代表監督でもあるラヤゴパル・クリシュナサミー氏は、異なる意見を持っているとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。ラヤゴパル氏はマレーシアカップの持つ歴史的価値を重じ、必要とあらばFAカップを中止し、マレーシアカップを開催することを提案しています。
1921年(大正10年)にマラヤカップとして始まったこのカップ戦は、1942年から47年までは第二次大戦や日本軍による英領マラヤ占領などで中断されたものの、今年開催されれば94回目となるアジア最古の大会の一つです。(ちなみに日本のサッカー天皇杯も1921年より開催)
もちろんマレーシアカップとFAカップの両カップ戦が開催されることが理想と話すラヤゴパル氏は、例えば、準々決勝からはホームアンドアウェイ方式となるFAカップを一発勝負のノックアウト形式とすれば試合数を減らすことができるとし、主催者のMFLとマレーシアサッカー協会FAMに試合形式を変更してでも、すべての大会を維持して欲しいとも述べています。
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トップリーグは各州のサッカー協会が運営するクラブが大半を占めるマレーシアの国内リーグは、クラブ同士の試合以上に、サポーターが自分の出身州のクラブを応援する言わば州対抗戦の色合いが強いのが特徴で、その頂点にあるのがマレーシアカップの決勝戦でしょう。その熱狂度合いは1990年に始まったFAカップとは明らかに違い、スタジアムはおらがチームを応援するサポーターで一杯になります。
FAカップの勝者がAFCカップに出場できるといった実利的な面以上に、ラヤゴパル氏と同様にマレーシアカップの持つ「伝統」を重視し、大会開催を支持する意見も決して少なくないでしょう。