3月17日のニュース:協会はリーグ中断中の給与未払に監視を強化、開幕からの4試合で3勝1分のJDT監督の進退問題?、東南アジア選手権2020年大会もスズキ自動車が冠スポンサーに

協会はリーグ中断中の給与未払いに監視を強化 
 新型コロナウィルスの影響を受け、3月16日から中断期間に入ったマレーシアフットボールリーグMFLですが、この中断期間に給与未払いが発生しないよう、マレーシアサッカー協会FAMは注意の目を光らせるつもりであると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムCEOは、選手やスタッフはいずれもクラブと正式に契約を交わしていること、また各クラブともリーグ開幕前にMFLが行った審査で11月までの予算が確保されていることになっているので、財政問題による給料未払いが発生しないと信じていると話しています。同時にFAMは、今後の状況を詳しく監視し、もし給料を支払われない選手やスタッフからFAMに対して報告がされた場合には、それに応じて該当クラブに処分を行うとしています。
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 このブログでも数え切れないほど取り上げた給料未払い問題。特に問題がない場合でも給料未払い問題が普通に発生するマレーシアサッカー界では、今回の新型コロナウィルスによるリーグ中断は、経営者側による給料未払いの良い口実となりかねません。 
 スペインのラリガを参考に、MFLが今季開幕前に新たに導入したECP(経済コントロールプログラム)によって、各クラブの財務状況はMFLが審査済みのはずなので、もしクラブが今回の中断による救済措置などを求めるようであれば、MFLの審査そのものに問題ありとなり、非難がMFLへ向かう可能性もあります。

開幕からの4試合で3勝1分のJDT監督の進退問題?
 ジョホール・ダルル・タジムJDTはマレーシアフットボールリーグMFL1部で6連覇中ですが、今季は開幕戦で昨季FAカップチャンピオンのクダFAに1-0と勝利したものの、その後はいずれも今季1部に昇格したばかりのUITM FCに2-1、PDRM FCに1-0と辛勝、そして4戦目のフェルダ・ユナイテッドとは1-1と引き分けたことから、今季も圧倒的な勝利を予想するメディアの中にはモラ監督の進退について取り上げる新聞も出てきました。
 マレー語紙ブリタハリアンでは、MFLの各クラブがモラ監督の戦術に慣れた現状では、新たな戦術導入が必要とし、このままではモラ監督交代もありうるというマラ工科大学UITMのスポーツ科学科のモハマド・サデック・ムスタファ准教授のコメントを掲載しました。
 これに対し、JDTは公式Facebook上でテクニカル・ディレクターを務めるアリスター・エドワーズ氏が、開幕からの4試合で3勝1分の勝点10でリーグトップであること、他のクラブに比べるとAFCチャンピオンズリーグACLの試合を余分に戦って疲労がたまていることなどを挙げつつ、コーチでも元選手でもないサッカーとは無関係の学識経験者からのコメントを掲載したブリタハリアンに対して、単に現状を扇情的に扱っていると非難し、公平で正確な報道を求めるとしています。
(JDT公式FBに掲載されたエドワーズTDのコメント)

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 UITM FCやPDRM FCとの1点差勝利、そして昨季は最終節まで2部降格の可能性があったフェルダ・ユナイテッドと引き分けたことで、ソーシャルメディア上でも「今季のJDTは大丈夫か」のようなコメントは散見されました。
 「引分は負けに等しく、負けを大惨事のようにみなすサポーターの気持ちは理解できる一方で、良い日もあれば悪い日もあり、それがサッカーだと理解する必要がある」とJDTのオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下もモラ監督率いるチームを支持するコメントを出しています。
 4試合を消化して、3勝1分で勝点10を獲得しながら進退問題が話題になる監督は世界中を見回してもそうはいないでしょうが、言い換えれば、JDTに対するマレーシアサッカーファンの期待がどれだけ高いかを示しているとも言えるでしょう。
(JDT公式FBに掲載されたオーナーのトゥンク・イスマイル殿下のコメント)

東南アジア選手権2020年大会もスズキ自動車が冠スポンサーに
 東南アジアチャンピオンを決めるアセアンサッカー連盟AFF選手権は2年ごとに開催され、前回大会の2018年大会ではベトナムが通算スコア3-2でマレーシアを破って優勝しています。
 今年開催予定の第13回大会も予定通りであれば、今年半ばに予選のグループ分けが決定し、10月から11月にかけてグループステージが始まりますが、今年の大会もスズキ自動車がAFF選手権の冠スポンサーに就任したことをGoal. comが伝えています。
 タイガービールが冠スポンサーとして1996年に始まったことから当初はタイガーカップと呼ばれていたAFF選手権は、2004年のタイガービール撤退により単にAFF選手権と呼ばれていた時期を経て、スズキ自動車が冠スポンサーとなった2008年大会からはスズキカップと呼ばれています。
 また試合の開催方法も年とともに変わってきており、2016年の前々回大会までは、それぞれ4カ国が2つのホストカントリーに分かれてグループステージを行う形式でしたが、前回2018年大会からは2つのグループに分けられた5カ国が、ホーム2試合、アウェイ2試合を戦受け意識に変わりました。グループの上位2カ国が準決勝に進出し、またホームアンドアウェイで対戦、さらに決勝もホームアンドアウェイの通算成績で優勝が決まる形式は引き継がれたものの、この2018年大会は75万人を超える観衆を集める大会になりました。
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 今年、操業100周年、そして東南アジア進出90年を迎えるスズキ自動車の冠スポンサー継続は喜ばしいことですが、気になるのはやはり新型コロナウィルスの影響です。現在、国内リーグ中断中のマレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、また開幕を延期したフィリピンなどが、今後、国内リーグを再開し、さらに予定されている日程全てを消化しようとすれば、その試合日程が10月あるいは11月までずれ込む可能性があり、そうなるとスズキカップのグループステージが予定されている時期と重なる可能性があります。