2月22日のニュース:MFLが女性審判を採用、今季の助成金は来週にも分配へ、来季のAFCカップ本戦出場権2枠がマレーシアに与えられる

MFLが女性審判を採用
 マレーシアサッカー協会FAMの公式サイトでは、今季のMFLの試合を担当する3名の女性審判を紹介しています。
 リタ・ガニ、ヌル・アクマル・アヌアル、ヌルル・アイン・イザティ・ザイナルの3名のうち、婦人警官のリタ氏は2014年のアジア最優秀女性審判にも選ばれており、2015年の女子ワールドカップや2016年のリオデジャネイロ五輪でも審判の経験があり、ヌル・アクマル氏とともに今季はMFL2部プレミアリーグの審判からスタートすることになっています。またヌルル・アイン氏は14歳(!)だった2012年から審判を務めており、今季のプレジデントカップ(MFL各クラブのU21チームによる大会)やユースカップ(同U19による大会)の審判を担当します。
 FAM審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長は、審判知識とフィットネスの両審査に合格した30名を今季MFL1部と2部の試合を担当する審判員に選出していますが、この3名の女性審判も男性審判と同じ審査を受けて合格しているとし、この3名の起用によって、より多くの女性が審判に関心を持つことを期待したいとしています。
 ダリ・ワヒド委員長は、昨季は審判の質について多くの不満が出ていたとして、審判委員会として問題点の解消と審判技術の向上などに取り組んできたとも述べています。さらにマレーシア人審判に対するサポーターからの低い評価については、マレーシア人審判はAFC主催の試合で審判を務めていることから、その技術は決して低くないと強調しています。

今季の助成金は来週にも分配へ
 昨季は大型スポンサーとされていたテレコム・マレーシア社(TM社)の撤退により、予定されていた助成金の半分しか分配できなかったMFLですが、今季の助成金が来週にもMFL1部と2部の24クラブに分配されるようです。
 英字紙スター電子版によると、MFL1部のクラブには100万リンギ(およそ2660万円)、MFL2部のクラブには50万リンギが分配されることを、MFLの新たなCEOに就任したアブドル・ガニ・ハサン氏が発表しました。
 助成金の金額は、MFLがスポンサーより得た金額に基づいているとし、MFL各クラブにはその点を了解して欲しいとも述べています。
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 今季はスポンサーに「復帰」したTM社やスーパーリーグの冠スポンサーとなったマレーシア第2の金融グループCIMB社などのおかげでそれなりに収入はあるとは思うのですが、昨季の助成金はMFL1部が300万リンギ、MFL2部が100万リンギが当初は支給される予定でしたが、最終的にはそれぞれ半額の150万リンギと50万リンギが支給されました。しかも、MFLはこの金額を助成金ではなく「放映権料」としており、今回TMが独占的にMFLの試合を放映するのであれば、各クラブが受け取る放映権料は増額されても良さそうなのですが、こういった疑問については触れられていません。

来季のAFCカップ本戦出場権2枠がマレーシアに与えられる
 同じスター電子版では、MFLのアブドル・ガニCEOの話として、マレーシアのクラブにAFCカップの本選出場権2枠が与えられたことが公表されています。
 AFCチャンピオンズリーグACLの下位大会にあたるAFCカップは、昨季までは、ACLに出場資格のない国のクラブを対象とした大会でした。このため昨季に限って言えば、JDTがACL本戦に出場したため、マレーシアのクラブにはAFCカップへの出場資格がありませんでした。しかし来季からはこの規定が変更になり、マレーシアにAFCカップ本戦出場枠2枠が与えられることになったことから、MFL1部2位のクラブとマレーシアFAカップ優勝クラブにこの出場枠が与えられることになりました。
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 ACLに加えてAFCカップでMFLクラブが好成績を上げることができれば、過去4年間のAFC主催大会(ACLとAFCカップ)でのクラブの成績とフル代表の成績をもとに算出されるAFCクラブコンペティションランキングも上昇し、現在1枠のACLへの出場枠が増加する可能性もあります。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(3):PJシティFC、トレンガヌFC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで今回も、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第3回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

PJシティFC(ホーム:MBPJスタジアム-スランゴール州プタリンジャヤ)
(昨季結果:MFL1部8位 / 今季予想:8位)
<監督>
デヴァン・クップサミー(PJシティFC監督3季目)
<外国籍選手>
FWデンバ・カマラ(ギニア共和国、イスラエル1部リーグのハポエル・テルアビブFCより移籍)
MFキム・ボングジン(韓国、ベトナム1部リーグのホアンアイン・ザライFCより移籍)
FWワシントン・ブランドン(ブラジル、昨季から残留)
DFエリゼウ・アラウージョ・デ・メロ・バティスタ(ブラジル、昨季から残留)
<主力選手>
GKムハイミン・モハマド
MFラジェシュ・プルマル
FWサフィ・サリー
<クラブ概要>
 MFL1部では唯一の私企業が運営するクラブですが、運営企業のQNet社は連鎖販売取引(日本ではいわゆる「マルチ商法」と呼ばれる販売形態)で成長した企業です。2018年シーズンはMFL2部では3位でしたが、上位のクラブが給料未払い問題により解散したため、棚ぼた式に昨季初めてMFL1部に昇格したクラブです。その前身はMalaysia Indian Football Association, MIFA(インド系マレーシア人サッカー協会)だったことから、インド系マレーシア人の選手の割合が他のクラブに比べると高いのも特徴です。
 昨季の8位という成績は、初昇格のクラブとしては上出来だと思いますが、昨季終了後、主力のマレーシア人選手が大量に流出しており、メンバーが大きくかわていることから、選手間の連携に不安があります。シーズン開幕後も連携に問題があるようだと、昨日のブログで9位と予想したフェルダ・ユナイテッドと入れ替わって9位になる可能性もあります。ヌグリスンビランFAやスランゴールFAを率いてMFL1部優勝経験もあるデヴァン・クップサミー監督の手腕が問われるシーズンとも言えます。

トレンガヌFC(ホーム:スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム-トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
(昨季結果:MFL1部7位 / 今季予想:5位)
<監督>
モハマド・ナフジ・ザイン(トレンガヌFC監督2年目)
<外国籍選手>
MFファリス・ラムリ(シンガポール、シンガポールリーグのホウガン・ユナイテッドより移籍-ASEAN東南アジア枠)
FWドミニク・ダ・シルヴァ(アルゼンチン、ベトナム1部リーグのサイゴンFCより移籍)
DFババカル・ディアロ(セネガル、フィンランド1部リーグのクオピオン・パロセウラより移籍)
MFリー・タック(イングランド、在籍3年目)
MFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン、昨季より残留)
<主力選手>
DFナスルラー・ハニフ
DFカマル・アジザ
MFファイズ・ナシル(スランゴールFCより移籍)
<クラブ概要>
 トレンガヌ州サッカー協会PBSNTFが運営するクラブ。昨季途中にイルファン・バクティ前監督が辞任し、コーチから昇格したナフジ・ザイン監督は、今季は「暫定」がとれて正式に監督になりました。
 今季はJDTの連覇に待ったをかけるクラブの一つと目されていますが、ここに来て昨季の給料未払い問題が浮上し、場合によってはMFLより勝点剥奪(はくだつ)処分を受ける可能性もでてきています。在籍する選手の中にも給料の受け取りが数ヶ月遅れている選手もいるという報道もあり、開幕前にこの問題が解決しないと、果たしてそういった選手たちがチームのためにプレーできるのかというモラル面に不安があります。