2月19日のニュース:ブキジャリル国立競技場の芝を張り替えへ、M3リーグのクラブが抱える問題

ブキジャリル国立競技場の芝を張り替えへ
 マレーシア代表のホーム、クアラルンプールのブキジャリル国立競技場SNBJは施設は東南アジアでもトップクラスながら、国内外を問わずどのチームがプレーしてもピッチの状況の悪さが批判されてきました。
 そんなSNBJのピッチの芝が張り替えられるようだと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 記事によると、SNBJを管理するマレーシアスタジアム社とマレーシア政府の青年スポーツ省が共同して、いわゆる「カウグラス」と呼ばれる現在の芝を、ジョホール・ダルル・タジムの新しいホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムやシンガポール国立競技場などでも使用されているゼオン・ゾイシア(zeon zoysia)という芝への張り替えを今年後半に予定しているようです。なお、張り替えからピッチが使用できるようになるまでは3ヶ月、費用は1000万リンギ(およそ2億6400万円)かかるとしています。

M3リーグのクラブが抱える問題
 マレーシアフットボールリーグMFLは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグはプロリーグという位置づけである一方、3部のM3リーグや4部のM4リーグはアマチュアリーグという扱いです。これをMFLの主導で、M3リーグを段階的にセミプロリーグへ、そしてM4リーグ以下をアマチュアリーグとする改革が現在進行中ですが、そんな中、サッカー専門サイトのスムアナニャボラが、M3クラブの抱える問題を取り上げた記事を掲載しています。
 その問題とはスポンサー獲得の難しさです。M3クラブの平均的な年間運営費用とされる75万リンギ(およそ1980万円)を支援するスポンサーの獲得がM3リーグのクラブ、特にクアラルンプールやスランゴール州など都市部のクラブでは難しくなっているということです。
 記事の中で例として挙げられているのは、昨季はM3に所属していたトゥン・ラザクFCです。このトゥン・ラザクFCは当初予定していたスポンサーが支援を中止した結果、主力選手が次々と退団していき、最終的にはシーズン26試合中23敗で勝点7、しかも失点140という成績で今季はM4リーグへ降格しています。
 また同じ記事の中では、スランゴール州プチョンを拠点としていたプチョン・フェルザFCが、獲得した有力スポンサーの地元ペラ州マンジョンへクラブを移し、マンジュンシティFCとクラブ名称を変えることでM3に残留していることも取り上げられています。
 地方では数千人の集客が可能なM3リーグの試合も、娯楽が多い都市部では観客が数百人という試合が珍しくないことから、企業がスポンサーとして支援するメリットを提供できず、その結果、都市部のクラブにはスポンサーのなり手が見つからないと記事はまとめられています。
******
 先日観戦したMFL2部クチンFA対M3クラブのタイ・スランゴールFCの試合も、プレーシーズンマッチとはいえ、日曜日の午後5時過ぎに開始だったにもかかわらず100名にも満たない観衆でしたので、この記事が言わんとすることが実感できました。特にMFL2部昇格を目指して、有力選手や外国籍選手を獲得しようとすれば運営費用はさらに膨らむわけで、有力スポンサーを獲得できるかどうかはM3クラブにとっては死活問題です。


観戦記:2020年2月16日クチンFA対タイ・スランゴールFC@カジャン刑務所ミニスタジアム

 マレー半島遠征中のクチンFAを追いかけて、マレーシアの首都クアラルンプールから南東へおよそ30キロ、スランゴール州のカジャンKajangという街で行われた試合を観戦しました。
 クチンFAのマレー半島遠征2試合目となったこの試合は、Penjara Kajangの中のフィールドで行われたのですが、Penjaraとはマレーシア語で「刑務所」のこと。この試合の会場はなんと刑務所の敷地内にでした。入り口に警官はいるものの、私も含め観客は自由に出入り可能で、緊張していた分、やや拍子抜けでした。
 この日の相手タイ・スランゴールFCはマレーシアフットボールリーグMFL3部にあたるM3のクラブです。昨季はスランゴール州内の地域リーグで優勝し、今季からM3に昇格するクラブで、外国籍選手も確認できただけで3名が在籍していました。
 ちなみにこのカジャン刑務所は、マハティール首相の後継者と言われるアンワル・イブラヒム副首相が、マレーシアの法律で禁じられている同性愛罪で収監されていた場所でもあります。

 この試合で最も興味深かった場面の映像がこれです。イスラム教の礼拝の時間が始まっているにもかかわらず試合が続行ています。この試合が午後5時開始だった理由は、午後7時頃にある礼拝時間までに試合が終わるようにということだったと思いますが、試合開始が遅れた結果、礼拝時間中まで試合が続いてしまいました。
 これが練習であれば、一旦中断して礼拝時間が終わるのを待ち、練習再開になりますが、この日の試合はそのまま続行されていました。