1月10日のニュース:マラッカ州サッカー協会会長の発言に選手らが反発、さらにそこから別の問題も発生

昨季のマラッカ・ユナイテッドの主将がFAMに宣誓供述書を提出
 昨季2019年はマラッカ・ユナイテッドに在籍し、主将も務めたシュコール・アダンは、シーズン途中に給料未払い問題を公表、その後は試合出場を拒否し、そのまま退団していました。今季2020年はクアラルンプールFA(KLFA)に加入したシュコール選手ですが、事前に取り決められていた期間内に解決されなかった給料未払い問題に業を煮やし、給料やボーナスなどに関する主張を記載した宣誓供述書をマレーシアサッカー協会FAMに提出したと、ニュース専門サイトアストロアワニが報じました。
 シュコール選手に加えて、昨季マラッカ・ユナイテッドに在籍した13名の選手も同様の行動を取ったようですが、シュコール選手は第三者を介さずに提出したのに対し、13名の選手はマレーシアプロサッカー選手協会PFAMを代理人として提出しています。
 マラッカ州サッカー協会MUSAは契約選手に対し、その契約内容に関してメディア向けに公式発言をすることを禁じていましたが、給料未払い問題を抱える選手の中には破産宣告を強いられた選手もいるとのことで、シュコール選手はこの行動は自分一人のためではなく、他の選手のためでもあると述べています。

マラッカ州サッカー協会会長はシュコール選手を非難し、謝罪を要求
 シュコール選手がFAMに宣誓供述書を提出したことを受けて、マラッカ州サッカー協会MUSAのダミアン・ヨー会長は、「シュコール・アダン、火遊びをするつもりなら、火をやるよ。(原文の”play with fire”は 「危険なことに手を出す」とでも訳せば良いでしょうか。「そんなことをすると、悪い結果や危険なことになるだろう」と忠告するときの表現です。)と自身のFacebookでシュコール選手の行動を非難しています。
 MUSAは昨シーズン、マラッカ・ユナイテッドに所属した14選手に対する未払い給料の支払いは分割で行うことが決まっている一方で、それが予定より2ヶ月遅れていることについてはその理由を説明し、さらに話し合う用意があるとしており、ヨー会長は、今回のシュコール選手の行動により、1月15日に予定されていた最初の支払いが遅れるだけでなく、問題解決により多くの時間がかかる可能性を示唆しています。
 その上で、シュコール選手に対し、もし未払い給料を直ちに受け取りたければ、FAMに提出した宣誓供述書を取り下げた上でMUSAに謝罪すべきであると述べています。
 またヨー会長は、シュコール選手が給料未払い問題をFAMに持ち込んだことにより、新外国籍選手獲得にも影響が出ていると非難し、その例として交渉中であった英国EPLのエバートンでプレー経験のあるFWヴィクター・アニチェベが交渉を取りやめたとしています。

TMJはヨー会長にアドバイスを送る
 元マラッカ・ユナイテッドのマシュコール選手とマラッカ州サッカー協会MUSAヨー会長のやりとりに、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が興味を持ったようで、自身のインスタグラムで、シュコール選手が未払い給料の問題をFAMに持ち込んだことが明らかに不満なヨー会長に対して「まずは落ち着いて、(未払いの)給料をシュコール選手に払えよ」とアドバイスを送っています。

選手会会長はシュコール選手を支持
 またマレーシアプロサッカー選手会PFAMの会長を務めるPJシティFCのサフィ・サリーは、MUSAのヨー会長のシュコール選手の名誉を傷つける職業倫理に反する発言であると非難しています。
 サフィーPFAM会長は、シュコール選手は自らの権利を行使してだけであるとし、謝罪の必要はないとシュコール選手を支持しています。

ヨー会長はTMJに対して干渉をやんわりと拒絶
 TMJのアドバイスに対して、ヨー会長は自らのFacebookでこれを感謝しながらも、この問題についてはマラッカ州サッカー協会の内部規律に沿って対応するとし、やんわりと干渉を拒絶しています。

ヴィクター・アニチェベとの交渉決裂はシュコール選手とは無関係か
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、ヴィクター・アニチェベとMUSAの交渉が決裂したのは、シュコール選手がFAMに給料未払い問題を持ち込んだからではなく、単に選手側の要求確かすぎて応じられなかったからだという記事を掲載しています。
 記事によればアニチェべ選手の代理人は月額4万米ドル(およそ438万円)を要求し、MUSAがこれに応じられなかったとしています。

ヴィクター・アニチェべはMUSAとの交渉そのものを否定
 その一方でスポーツ専門サイトフォックスポーツは、ヴィクター・アニチェべ本人の話として、マラッカ州サッカー協会MUSAと契約交渉が決裂したどころか、交渉を行ったこと自体を否定していると報じています。
 フォックスポーツに対し、アニチェべ選手はMUSAとは交渉したこともなく、自分の名前を語る人や組織に何が起こっているのかについては全く知らないと述べています。
 このアニチェべ選手の発言により、MUSAのヨー会長が述べていたシュコール選手が給料未払い問題をFAMに持ち込んだことにより、アニチェべ選手の獲得交渉が不調に終わったという発言の信憑性が疑わしくなりました。
 フォックスポーツは、交渉中の選手が本当にアニチェべ選手だったのか、あるいは代理人に騙されていたのか、それともアニチェべ選手が事実を隠しているのか、真実は不明であるとしています。