クランタンFAの迷走が止まらない
マレー半島東海岸北端に位置するケランタン州のサッカー協会ケランタンFA(KAFA)は、昨シーズンから給料未払い問題を抱えていましたが、今年の1月末、このKAFAと共同して、ケランタンFAの所有するプロクラブチームであるケランタン・レッドウォリアーズも含めた州内のサッカー活動の活性化を目指して、マイインスピレーション社はKRW社を設立しました。それからわずか3ヶ月後の4月4日、KRW社の株式の70%を保有するこのマイインスピレーション社が、KAFAとの協力関係の破棄とKRW社からの撤退を発表しました。マイインスピレーション社のアーマド・ファジル・モハマッドCEOは、KAFAとビビ・ラムジャニ・イリアス・カーンKAFA会長に対する信用がなくなったことを理由に挙げて、撤退を決めたとしています。
その後、選手としてプレーして以来、今年25年ぶりにケランタンFAに戻り、レッドウォリアーズを指揮しているマルコ・クラリエヴィッチ監督や、かつてはレッドウォリアーズで国内リーグとカップ戦の優勝に主将として貢献したピヤことモハマド・バダリ・ラジ、ウルグアイ人FWラウル・タラゴナといった選手たちはKRW社が給料を支払っていることから、最大スポンサーであったマイインスピレーション社の撤退後のKRW社やKAFAの経済状況に合わせて、スタッフや選手の契約見直しを行うことをビビ・ラムジャニKAFA会長が4月8日の記者会見で示唆し、混迷が深まっていました。
さらに同じ4月8日には、モハマド・バダリ・ラジ選手が正式に契約破棄を申し入れたのに対し、KAFAのダト・スリ・アファンディ・ハムザ副会長が、ラジ選手に対して正式な回答をするまでは練習に参加することを命じ、これに対して給料の週払いが約束されていながら、実際には栄養費として1日20マレーシアリンギ(約550円)しか支払われていないことを暴露するなど、選手とマネージメントの間の泥試合の体をなしてきていました。
そして本日、KRW社の新たな取締役会議が開催され、4月12日に予定されているホームでのPDRM FCのチケット売上による収益は、スタジアム使用料などを除いた全額が選手の給料に回されると発表しています。
ケランタンFAが所属するマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグでは、既にプルリスFAの給与未払い問題により、プルリスFAのプロクラブプルリス・ノーザンライオンズがリーグ追放となっており、レッドウォリアーズのファンの間では、第二のノーザンライオンズとなるのではという不安の声も上がっています。
マレーシアでは、特にマレー系国民の間では人気ナンバーワンスポーツのサッカーですが、しかしマレーシアのFAには「身の丈にあった経営」という考え方はないのでしょうか…。