マレーシア代表は警察車両でスタジアムから脱出
9月5日に行われたFIFA国際サッカー連盟ワールドカップWC2022年大会アジア二次予選試合のインドネシア戦はアウェイながらマレーシアが3-2と逆転で勝利を収めましたが、試合終了後、敗戦に不満な一部インドネシアサポーターの暴走によりスタジアム内が混乱し、後にインドネシアサッカー協会PSSIが謝罪したものの、マレーシアサッカー協会FAMはFIFAとアジアサッカー連盟AFCに報告書を提出する事態になりました。その試合後にマレーシア代表選手が警察車両によって宿舎へ戻る映像が、マレーシアサッカー協会FAMの公式YouTubeチャンネルで公開されています。
会場となったゲロラ・ブン・カルノスタジアムから、バラクーダと呼ばれる装甲兵員輸送車4台に分乗し、ホテルまで約6分ほどの距離を移動したようですが、警察車両での移動ということで、マレーシア代表の選手たちはくつろいだ雰囲気だった様子が見て取れます。映像は下からどうぞ。
UAE戦と言えば…2015年の悪夢
敵地インドネシアで勝点3を獲得し好発進のマレーシア代表。WCアジア二次予選の第2戦はアラブ首長国連邦UAE戦が9月10日(火)に控えています。
UAE戦と言えば、2015年9月3日のWC2018年大会アジア予選対UAE戦に触れずにいることはできないでしょう。現在はパハンFAの監督を務めるドラー・サレーが代表監督を務めていた当時のマレーシア代表は、敵地UAEで10-0とマレーシアサッカー史上最大の大敗を喫しました。マレーシアサッカーにとっては悪夢とも言えるこの試合でベンチ入りしていたメンバーで、今回の代表チームにも選ばれている唯一の選手であるマシュー・デイヴィーズ(パハンFA)が、英字紙スター電子版で当時を振り返っています。
当時は弱冠20歳のデイヴィーズ選手は、このWCアジア予選が代表初招集でしたが、前半終了時点で既に7-0となった試合について、今でもはっきり記憶に残っており、チーム全体が壊滅的な状況であったと述べています。
しかしその一方で今回の代表チームは、前回とはメンバーが全く違っていること、そして不利と言われたジャカルタでのインドネシア戦でも二度リードされながら逆転勝ちしたことを挙げ、インドネシア戦前同様、過去の歴史を振り返らず、プラス思考でUAEとの試合に臨みたいと語っています。
なお、この試合のハイライトはこちらから視聴可能です。
タン監督「インドネシア戦勝利に浮かれるな」
マレーシア代表のタン・チェンホー監督は、インドネシア戦勝利によって良いスタートが切れたのは事実だが、次のUAE戦はさらに厳しい戦いとなるとして、選手たちに浮かれずに気を引き締めることを求めていると、英字紙スター電子版が伝えています。
前述した2015年の試合でもハットトリックを決めているFWアリー・マブフートや、やはり2015年の試合に出場し、マレーシアのホームゲームとなったシャーアラムスタジでの試合でゴールを決めているMFオマル・アブドゥッラフマーンなど、どのポジションにもタレントが揃っているUAEに対して、タン監督はインドネシア戦とは戦術変更を行うとも語っています。
最新のFIFAランキングではUAEが65位に対して、マレーシアは159位と明らかに格下であり、しかもUAEとの過去7回の対戦成績は1勝6敗、しかも唯一の勝利は1980年9月20日まで遡らなければならない強豪に対して、マレーシア代表がどのような試合を見せてくれるのか楽しみです。
UAEは早々とマレーシア入り
そのUAE代表は、マレーシアの気候と時差ぼけ対策として、マレーシアがインドネシアと対戦した前日の9月4日に早々とマレーシア入りしています。
英字紙ニューストレイトタイムズNST電子版によれば、2015年のAFC最優秀選手FWアーメド・カリル、そして2016年のAFC最優秀選手MFオマル・アブドゥッラフマーンを含む25名のうち、マレーシア入り後にケガをし全治2週間と報道されたFWハルファン・ムバラクを除く24名から、最終ベンチ入りメンバー23名が決まるようです。
オランダ人のベルト・ファン・マルワイク監督は、2010年大会ではオランダを、2018年大会ではサウジアラビア(ただし大会直前に監督辞任)をそれぞれワールドカップへ導いた名将で、今年2019年3月に就任したばかりですが、アル・アビヤド(アラビア語で「白」)のニックネームを持つUAE代表には才能豊かな選手が多く、その才能を伸ばして、UAE代表を次のWC(2022年カタール大会)に出場できるような競争力のあるチームにしたいとNST電子版の取材に答えています。
親善試合のヨルダン戦、そしてWC予選のインドネシア戦では、守備陣に不安を残したマレーシア代表ですが、FWのアリー・マブフート、アーメド・カリルやMFオマル・アブドゥッラフマーンをどう抑えるかが、勝利のカギとなりそうです。