6月30日のニュース<br>・マレーシア戦にまさかの敗戦でベトナムも帰化選手による強化策採用か<br>・ジョホールのベルグソンにブラジルクラブ移籍の噂<br>・急転!東ティモール代表FWはKLシティではなくクチンシティと契約

マレーシア戦にまさかの敗戦でベトナムも帰化選手による強化策採用か

マレーシア代表は6月10日に行われたアジア杯2027年大会3次予選でベトナム代表に4-0と大勝しましたが、この勝利はいずれもマレーシア国外で生まれ育ち、マレーシアにルーツを持つ「ヘリテイジ帰化選手」の活躍によるものでした。2025年だけでもマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手7名がマレーシア代表に初召集されており、彼らを中心に構成された「新」マレーシア代表が東南アジアの雄、ベトナム代表に11年ぶりとなる勝利をあげています。

昨今話題となる帰化選手による代表強化ですが、東南アジアの国で唯一、2026W杯アジア3次予選に残ったインドネシア代表は、かつての宗主国オランダ出身者を中心としたヘリテイジ帰化選手によって強化されたことはよく知られているかと思いますが、この地域ではフィリピンも伝統的に帰化選手による代表強化を行っています。昨年末開催された東南アジアサッカー連盟AFF選手権「三菱電機カップ」に出場したフィリピン代表はヘリテイジ帰化選手14名が含まれており、この大会がFIFA国際マッチカレンダー外で行われたことから「海外組」を招集できなかったインドネシア代表をグループリーグで破り、8年ぶりの準決勝進出を果たしています。

話を戻しましょう。6月10日のアジア杯予選でマレーシア代表と対戦したベトナム代表では、スロバキア出身のヘGKフィリップ・グエンと、元フランスU18でのプレー経験もあるフランス出身のジェイソン・ペンダントの2名のヘリテイジ帰化選手が先発(ペンダント選手はこの試合がベトナム代表デビュー)しましたが、一方のマレーシア代表はWGアリフ・アイマン、GKシーハン・ハズミ(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)を除く先発11名中9名がヘリテイジ帰化選手でした。そして4-0の試合の4ゴール全てを異なる4名のヘリテイジ帰化選手が決めており、まさにヘリテイジ帰化選手の力を見せつけた試合になりました。

かつての宗主国オランダ出身のヘリテイジ帰化選手が主力のインドネシアに対して、マレーシアのヘリテイジ帰化選手の出身はブラジルやアルゼンチン、オランダ、スペインと多彩であり、しかも彼らはアルゼンチンやコロンビア、スペイン、トルコなどのリーグでプレーしており、こういったヘリテイジ帰化選手が増えれば、短期間での強化も十分可能です。

そんな中でYahooニュースが興味深い記事を掲載しています。韓国メディアによる報道からの引用記事によると、ベトナムの国内法が改正され、二重国籍の許容とベトナム国籍取得条件の緩和によりベトナムリーグでプレーしている全ての外国籍選手がベトナム国籍を取得できるようになるということです。ベトナム代表は韓国出身のキム・サンシク監督がおり、この記事ではこの法改正により東南アジア内でのパワーバランス赤割るだけでなく、今後はベトナム代表が日本代表や韓国代表の脅威になる可能性を挙げています。10月のアジア予選最終戦はベトナム代表ホームでの対戦となるマレーシア代表は、帰化選手で溢れるベトナム代表との対戦となるかもしれません。

ジョホールのベルグソンにブラジルクラブ移籍の噂

2021年シーズン途中にジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に加入して以来、141試合に出場し150ゴール31アシストと驚異的な記録を残してきたFWベルグソン・ダ・シウヴァにブラジルクラブ移籍の噂が報じられてます。

マレーシア語紙ブリタハリアンは、ベルグソン選手に対してブラジルの有力クラブであるスポルチ・レシフェがその獲得に興味を示しているというブラジルのメディアによる報道を紹介しています。

34歳のベルグソン選手に関心を示しているとされるスポルチ・レシフェは現在ブラジル1部セリエAに所属しているクラブで、1987年にブラジル・セリエA、また2008年にコパ・ド・ブラジルで優勝してクラブだということです。

また、この噂に拍車をかけているのがJDTのクラブ公式SNSで、そこではブラジル生まれのベルグソン選手とJDTサポーターとの映像を投稿し、ベルグソン選手がJDTを去る可能性を示唆しているようにも見えることです。

この投稿はベルグソン選手がリーグ通算100ゴールを決めた際のアーカイブ映像で「ベルグソンは記念の100ゴール目を決めた後、(JDTのサポーターグループ)『ボーイズオブストレイツ』と時間を過ごし、皆が大好きな決めポーズで締めくくった!」というコメントが付けられています。

国内リーグでの圧倒的な得点力で、昨年までは将来のマレーシア代表入りが大いに期待されていたベルグソン選手ですが、国外で生まれ育ちマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手が次々と代表入りし、前述のベトナム代表戦で11年ぶり勝利を挙げるなど結果が出始めている中で、FIFAの規定を満たしてマレーシア代表入りするまでには1年かかるベルグソン選手を今さら待つ必要もなく、さらに年齢を考えれば今が売り時という判断をクラブがしようとしているのかも知れません。なおJDTからは現時点で何のコメントも出されていません。

急転!東ティモール代表FWはKLシティではなくクチンシティと契約

昨季リーグ4位のクチンシティFCは、東ティモール代表FWジョアン・ペドロの加入をクラブ公式SNSを通じて発表しています。

このブログでは、6月16日のニュースでペドロ選手がクアラルンプールシティFC(KLシティ)入りと伝えましたが、KLシティFCを運営するクアラルンプールサッカー協会(KLFA)のサイド・ヤジドKLFA会長自身が加入を認めていたにも関わらず、なぜかクチンシティFCが移籍先となったようです。主に左WGでプレーするペドロ選手は昨季はカンボジア1部のアンコール・タイガーでプレーし、26試合で7ゴール6アシストを記録を残している他、、PSMマカッサル(インドネシア)、ベンフィカ・デ・マカオ(マカオ)、ウボン・ユナイテッド(タイ)などでプレー経験もあり、5月に行われたマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズ戦には東ティモール代表として出場しています。

27歳のペドロ選手はマレーシアリーグでは2020年シーズンに当時1部のUITM FC(現UITMユナイテッドFC)でプレーしており、およそ5年ぶりのマレーシアリーグ復帰となります。

またクチンシティFCへは、ペドロ選手に加えてノルウェイ出身のフィリピン代表SBスコット・ウッズがカンボジア1部ボーウング・ケットFCから、また元クダ・ダルル・アマンFCでカメルーン出身のCFワンジャ・ロナルド・ンガがイラク1部のアル=カーラバーSCから加入しています。190センチの大型ストライカーのンガ選手は2022年シーズンにクダ・ダルル・アマンFCで28試合に出場して15ゴールを挙げています。

さらにクチンシティFCは、昨季のU23リーグにあたるMFLカップで24ゴールを挙げて得点王と最優秀選手賞を受賞したガブリエル・ニステルローイがジョホール・ダルル・タジムFC (JDT)U23チームのJDT IIからローン移籍することも発表しています。クチンシティFCの本拠地があるサラワク州のミリ出身の25歳は、昨季は同じくJDTからクチンシティFCへローン移籍し、今季は完全移籍となったFWラマダン・サイフラーや、昨季はやはりJDTからペラFCへローン移籍し、こちらも完全移籍でクチンシティに加入するGKハジク・ナズリ、そしてスランゴールFCでは伸び悩んでいた元U23代表FWダニアル・アスリとともに、昨季の4位からトップ3入りを狙うクラブの強力な新戦力となりそうです。

6月28日のニュース<br>・アセアンU23選手権出場のU23代表監督「帰化選手は起用しない」<br>・今季リーグ不出場のスリ・パハンがその理由を正式に発表<br>・今季3部加入のクランタン・レッド・ウォリアーズFCが始動<br>・フットサルアジア杯2026予選:マレーシアがG組の開催国となりアジア最強イランと同組に

アセアンU23選手権出場のU23代表監督「帰化選手は起用しない」

東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権2025年大会は7月15日からインドネシアで開催されますが、この大会に先立ち、マレーシアU23代表合宿参加メンバーが発表されています。このメンバー発表の席で、U23代表のナフジ・ザイン監督は招集リストには国外でプレーする帰化選手は入っていないこと明らかにしています。

ナフジU23代表監督は、このアセアンU23選手権を含めて今後出場する3つの重要な大会で国内でプレーするマレーシア人選手たちが実力を発揮する機会を与えるつもりであると話しています。

「今回のU23代表合宿参加者には海外在住のマレーシア人選手はおらず、国内の選手だけを招集している。スーパーリーグには多くの才能ある選手が存在しており、我々は、自分たちのプレースタイルに合っていると感じた選手のポテンシャルを引き出すことを重視している。」

ナフジU23代表監督は、6月10日のAFCアジア杯予選ベトナム代表戦前のA代表合宿にも参加したFWハキミ・アジム(クアラルンプールシティFC)やDFウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)など8選手を招集しています。

AFF U23選手権2025年大会では、マレーシアは開催国インドネシア、フィリピン、ブルネイと同じA組に入っています。B組にはベトナム、ラオス、カンボジア、C組にはタイ、ミャンマー、東ティモールが振り分けられており、各組の1位とA〜C組の2位チームの内、最も成績が良かったチームの4チームが準決勝へ進出します。

AFF U23選手権2025年大会の目標についてナフジU23代表監督は、A組では全ての国に準決勝進出のチャンスがあるとして、初戦となる7月15日のフィリピン戦から1試合ごとに集中していきたいと話しています。

ジョホール・ダルル・タジムFC II (JDT II) とスランゴールFCの選手が大半を占める、U23代表合宿参加者 30 選手は以下のとおりです。*は6月のA代表合宿参加者

P氏名年齢所属
GKハジク・アイマン20JDT III
ハジク・ムクリズ22PEN
シャーミ・アディブ22NSE
ズルヒルミ・シャラニ22JDT II
DF*アイマン・ハキミ22SEL
アイマン・ユスフ19AMD
アリフ・イルハム21KLCE
ファクルル・ハイカル21JDT II
ファリス・ダニシュ18JDT III
*シャフィザン・アルシャド19JDT III
S・タアナシュ20BUN
*ウバイドラー・シャムスル22TRE
MFアイマン・ダニシュ21JDT II
*アリフ・アフマド22JDT II
アイサル・ハディ21JDT II
ダニエル・ハキミ21PRK
ダニシュ・ハキミ20JDT III
ダニシュ・シャマー20JDT II
ハジク・クティ20PEN
*ムハマド・アブ・カリル20SEL
*ハイカル・ダニシュ20SEL II
G・パヴィトラン20JDT III
ロヒシャム・ハイカル19SEL II
ジアド・エル=バシール21JDT II
FWアリフ・イズワン21SEL
*ファーガス・ティアニー22SAB
アフィク・ヒルマン22KLCE
ラーマン・ダウド20SEL
ナビル・カユム21SEL
*ハキミ・アジム22KLC
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、JDT II-JDT U23, JDT III-JDT U19、SEL-スランゴールFC
SAB-サバFC, TRE-トレンガヌFC、KLC-KLシティFC、KLCE~KLシティU23, PEN-ペナンFC、PRK-ペラFC、NSE-ヌグリスンビランFC、AMD-モクター・ダハリ・アカデミー、BUN-A1セミプロリーグブンガラヤFC

今季リーグ不出場のスリ・パハンがその理由を正式に発表

今季2025/26シーズン出場のためのクラブライセンスを申請し、それが交付された後に今季リーグ戦不出場を発表したスリ・パハンFCが、不出場表明から1週間経った6月27日にその理由を正式に発表しています。

クラブ公式SNSを通じてスリ・パハンFCは今季のリーグ不出場の理由は、クラブの内部組織を改善し、さらに強化するためであると説明しています。

「スリ・パハンFCは将来、(本拠地がある)パハン州のサッカーの発展に寄与する機会が与えられることを期待している。」「スリ・パハンFCはリーグ主催者やスポンサー、そしてスリ・パハンのファンに感謝するとともに、来季に再び会えることを願っている。」という声明を発表しています。


この声明を読む限りでは、財務状況が不十分としてクラブライセンスが交付されず、3部のセミプロリーグから再スタートを切るペラFCやクダ・ダルル・アマンFCとは明らかに異なる理由でのリーグ不参加のようです。今シーズンを犠牲にしてでも持続可能なプロクラブとして生まれ変わり、来季のリーグに是非、戻ってきて欲しいです。

今季3部加入のクランタン・レッド・ウォリアーズFCが始動

熱狂的なサッカーファンが多いことで知られるマレー半島北部のクランタン州に本拠地を持つクラブには1部スーパーリーグ所属のクランタン・ダルル・ナイムFCがあります。このクランタン州から今季2025/26シーズンからは新たに2つのクラブが*実質2部に当たる3部のA1セミプロリーグに参入しますが、そのうちの一つのクランタン・レッド・ウォリアーズFC(KRW FC)が、2名の外国籍選手が加入することを発表しています。KRW FCのニック・ハフィズ・ナイム・ニック・ハッサン会長は、チームを強化するためレバノンとスウェーデン出身のセンターバックとストライカーの2選手が加入することを明らかにしています。(*2部プレミアリーグは現在休止中)

ニック・ハフィズ・ナイム会長は、地元コタ・バルでのトレンガヌFC戦を皮切りに行われる数試合のプレシーズンマッチを行うことも発表しています。

「(7月25日の)開幕に向けての準備は95%完了している。あと2人の外国籍選手と2~3人のマレーシア人選手が加われば、チームは完成する。外国籍選手はメディカルチェックが済み次第登録される予定だ。」

「7月4日にトレンガヌFCと対戦した後、マラッカFC、ヌグリスンビランFC、ペナンFCとプレシーズンマッチを行う予定だ。我々はイルファン・バクティ監督を信じており、来季2028/27シーズンにスーパーリーグ昇格という目標を達成できる。」とスポーツ専門サイトのスタジアム・アストロとのインタビューで自信を見せています。

フットサルアジア杯2026予選:マレーシアがG組の開催国となりアジア最強イランと同組に

6月26日にクアラルンプールのAFCハウスで、AFCフットサルアジア杯2026年大会予選の組み合わせ抽選が行われ、予選開催国の一つとなっているFIFAフットサルランキング76位のマレーシアは同5位のイラン、同97位のアラブ首長国連邦、バングラデシュ(ランキングなし)と同じG組に入っています。

組み合わせ抽選に出席したフットサルマレーシア代表監督のラクポル・サイネンガム監督は、2026年にインドネシアで開催されるアジア杯への出場権獲得に向けて、「もちろん、この道のりは簡単ではない。アジアNo.1のイラン以外にも、アラブ主張国連邦も近年大きな潜在力と大きな進歩を見せており、バングラデシュを過小評価することもできない。」と述べています。

「国内で国際的なフットサル大会が開催されるのは8年ぶり(東南アジア競技大会通称シーゲームズ2017年クアラルンプール大会以来)なので、マレーシアのファンが大勢集まって応援してくれることを本当に願っている」と国内開催の有利さを活用して、2018年以来となるアジア杯出場を目指したいとしています。

AFCフットサルアジア杯2026年大会予選G組の試合は、9月20日から24日まで、パハン州クアンタンのSUKPAインドアスタジアムで開催されます。

6月26日のニュース<br>・アルゼンチン出身のマレーシア代表選手アグエロがタイ1部クラブへ移籍<br>・辞任した小倉シンガポール代表監督の後任候補にクチンシティFCのアイディル監督の名が浮上<br>・マレーシア代表の中央アジア遠征に合わせて国内リーグの今季日程が変更に<br>・深まる謎-退団表明のスランゴールFCキャプテンがU23チームと練習

アルゼンチン出身の帰化選手アグエロがタイ1部クラブへ移籍

昨季2024/25シーズンにはスリ・パハンFCでキャプテンを務めたアルゼンチン出身の帰化選手MFセルヒオ・アグエロが、今季2025/26シーズンにタイ1部へ昇格したカンチャナブリー・パワーFCに移籍することが明らかになっています。

カンチャナブリ・パワーFCのプラワット・キタマクニット社長が自身のSNSに「セルヒオ・アグエロは7月2日にやって来る」と投稿し、コメント欄ではファンからの質問に答える形で「基本的な要件については全てが完了している。まだ細かい点が残っているが、(タイに来る)時期は決まっている」と述べています。

カンチャナブリー・パワーFCは、昨季はタイ2部で4位となり、同3位から6位までが出場する1部昇格プレーオフに駒を進め、準決勝では同5位のマハーサーラカーム SBT FCを2試合通算7-4で破り、さらに決勝では清水龍秀選手が所属する同3位プレー・ユナイテッドをこちらは2試合通算5-4で破って、2017年のクラブ創設以来初めて1部昇格を果たしたクラブです。

このカンチャナブリー・パワーFCに移籍するアグエロ選手は、あのセルヒオ・アグエロ選手と同じアルゼンチン出身です。(このブログでは混乱を避けるためにエゼキエル・アグエロと表記してきました。-筆者中)じゃない方のアグエロ選手は、リーベルプレートやオールボーイズでユース時代を過ごした後、2015年にハンガリー2部FCタタバーニャと初めてプロ契約を結ぶと、2016年にはスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFC(既に解散)へ移籍します。その後はサラワク・ユナイテッド(既に解散)、ペナンFA(現ペナンFC)、下部リーグのKLローヴァーズFCなどでプレーし、2021年にスリ・パハンFCに移籍します。一時はペラFC(既に解散)へローン移籍をしたものの、その間にマレーシアでのプレー期間が5年を超えたことから、2022年にマレーシア国籍を取得すると同年9月にはマレーシア代表デビューを果たしています。

マレーシア代表では17試合に出場して3ゴールを挙げています。また記憶に新しいところでは、先月5月28日に行われたマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズではマレーシアを代表して出場し、キャプテンも務めました。

所属していたスリ・パハンFCは、昨季のマレーシアカップ決勝に進出し王者ジョホール・ダルル・タジムFCをあと一歩まで追い詰めるなど健闘したものの、今季2025/26シーズンの参加を辞退したため、スリ・パハンFCの他の選手同様、その移籍先については噂レベルも含め様々な話が出ていました。今月初旬には今季からスーパーリーグに参入するブルネイのDPMM FCがクラブ公式サイトでアグエロ選手と契約したことを発表しており、このブログでもそのニュースを取り上げましたが、公式サイトでは現在はその発表を見ることはできません。

辞任した小倉シンガポール代表監督の後任候補にクチンシティFCのアイディル監督の名が浮上

シンガポール・サッカー協会(FAS)は24日、日本代表コーチやJ1横浜Mの強化責任者などを歴任したシンガポール代表の小倉勉監督(58)が「個人的な理由」のため辞任すると発表しました。

2019年〜2021年の吉田達磨氏(現韓国1部太田ハナシチズン コーチ)、そして2022年〜2024年1月の西ヶ谷隆之氏(現タイU23代表監督)に続く、3人目の日本人監督として2024年2月にFASと2年契約を結んでシンガポール監督に就任した小倉氏は、FASに対して日本で火急の要件があることを理由に数週間前に辞意を表明していたとシンガポールの英字紙ストレイツタイムズが報じています。

とここまではマレーシアとは関係ない話なのですが、マレーシアのスポーツ専門サイト、スタジアム・アストロは、この小倉氏の後任候補の1人がシンガポール出身で、現在はクチンシティFCのアイディル・シャリン監督であると伝えています。

クチンシティFCを前年2023年シーズンの13位(2勝6分18敗)から昨季は4位(10勝9分5敗)まで押し上げた手腕で、昨季2024/25シーズンにリーグ最優秀監督賞を受賞したアイディル氏は、47歳で現役時代はシンガポール代表として87試合に出場した後、2012年にはホーム・ユナイテッド(現ライオンシティ・セイラーズFC)でコーチ、2016年には監督に就任しています。2018年にはクダ・ダルル・アマンFCの監督に就任し、2019年にはマレーシアFAカップ優勝、2020年、2021年にはいずれもジョホール・ダルル・タジムFCに次ぐ2位とすると、2023年シーズンの途中まではシンドネシア1部のプルシカボ1973で監督を務めた後、2023年シーズン途中にクチンシティFCの監督に就任しています。

代表の中央アジア遠征に合わせてリーグが今季日程を変更

マレーシア国内リーグ1部のスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、中央アジアで開催される中央アジアサッカー連盟CAFAネイションズカップ2025年大会に参加を決めたマレーシア代表を全面的に支援するために、この大会が行われる8月26日から9月9日までの期間はリーグ戦を開催しないことを発表しています。

MFLのモハメド・シャズリー・シャイクCEO代理は、「MFLは、10月に行われるアジア杯2027年大会予選に向けて、マレーシア代表チームが準備を進める上で、この大会が最も重要なものの一つだと考えている」と説明し、マレーシア代表チームから要請を受けたことが今回の措置を講じる理由となったことを説明しています。

MFLは今季2025/26シーズンが8月8日のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)対スランゴールFCで開幕することを既に発表していましたが、CAFAネイションズカップがFIFA国際マッチカレンダー外であることから、リーグ戦の開催がどうなるのかについてはSNSなどでも様々な意見が飛び交っていました。

深まる謎-退団表明のスランゴールFCキャプテンがU23チームと練習

2020年シーズンからスランゴールFCでプレーし、キャプテンを務めてきたシンガポール代表のCBサフワン・バハルディンは、自身が監督の構想外であることが明らかになったとして、契約期間があと1シーズン残っているものの2024/25シーズン終了後にクラブを離れることを表明していました。

しかしサフワン選手が自身のSNSに投稿した内容がスランゴールFCサポーターを困惑させています。33歳のサフワン選手は、「新しいチーム、スランゴールU23とのプレシーズントレーニングの2日目!」と投稿して、現在はスランゴールFCのU23チーム、スランゴールFC IIの練習に参加していることを明らかにしています。

2019年オフにスランゴールFCに加入したサフワン選手は、2023年にはネグリ・スンビランFCに移籍しましたが、前半戦が終了して2度目のトランスファーウィンドウが開くと、スランゴールFCに復帰し、そのあとはスランゴールFCのキャプテンを務めるとともに、チームの精神的支柱も務めてきた選手です。母国の強豪、ライオンシティ・セイラーズ加入なども噂れた現役のシンガポール代表選手が、今季から実質2部に当たるA1セミプロリーグに参加するスランゴールFC IIでプレーするとは思えませんが、今後の動向は見守りたいところです。

6月24日のニュース<br>・ジョホールはスペイン出身帰化選手とオランダ出身帰化の加入を発表<br>・ジョホールは帰化選手ティアニーをサバへ放出<br>・マレーシア代表の中央アジア遠征が決定-イランやウズベキスタン相手に腕試しも

ジョホールはスペイン出身帰化選手とオランダ出身帰化選手の加入を発表

こうなるのは予想してたけど、なんかモヤモヤする。

マレーシア1部スーパーリーグ11連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、クラブ公式SNSでスペイン出身のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)で191センチのCBジョン・イラザバルの加入を発表しています。背番号は17となることも併せて発表されています。

アゼルバイジャン1部のサバFKを6月30日に契約満了で退団していた29歳のイラザバル選手は、今月6月10日に行われたAFCアジア杯2027年大会3次予選ベトナム代表戦で代表デビューを果たすと、11年ぶりとなるマレーシア代表のベトナム代表戦勝利に貢献していました。

母親がボルネオ島のサバ州出身というイラザバル選手は、今年に入ってマレーシア代表でデビューしたヘリテイジ帰化選手7名の内の1人です。

またJDTはイラザバル選手加入の発表後には、今年3月のネパール代表戦でひと足先に代表デビューしていたオランダ出身のヘリテイジ帰化選手でAMFエクトル・へヴェルの加入も発表しています。へヴェル選手もポルトガル2部ポルティモネンセを6月30日に契約満了で退団しており、本人もJDT入りを認めていましたが、これまで発表はありませんでした。

祖父がマレーシアのマラッカ州出身というへヴェル選手は、オランダU16やU20など年代別代表でのプレー経験があり、ヘリテイジ帰化選手としてマレーシア代表に加わると、アジア杯予選の初戦となった3月のネパール代表戦と今月のベトナム代表戦のいずれにも先発してフル出場し、やはりマレーシアの勝利に貢献しています。

ジョホールは帰化選手ティアニーをサバへ放出

マレーシア1部スーパーリーグで昨季2024/25シーズンを3位で終えたサバFCは、22歳のマレーシア代表CFファーガス・ティアニーをジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)から完全移籍で獲得したことを、クラブ公式SNSで発表しています。

2023/24シーズンはJDTのU23チーム、JDT IIからタイ2部のチョンブリーFCへローン移籍すると、開幕戦でいきなり初ゴールを決めましたが、結局、12試合出場(出場時間524分)で、1ゴール1アシストという成績でリーグ前半戦を終えると、ローン期間の終了に合わせて今度はタイ1部のナコーンパトム・ユナイテッドへやはりローン移籍しました。セランゴールFCから同じくローン移籍していたムハマド・カリルとともにプレーしたティアニー選手は11試合に出場し3ゴールを挙げましたが、チームは16位中15位となり、2部へ降格を止めることはできませんでした。

スコットランドのグラスゴー生まれのティアニー選手は、父親のマーティン・ティアニー氏が1990年代前半にマレーシアリーグのPDRM FA(当時、現PDRM FC)やペナンFA(現ペナンFC)などでプレーしたプロサッカー選手で、父親と共にマレーシアへやってきたティアニー選手は、この地で育ったことからマレーシア国籍を会得し、マレーシアU23代表では12試合に出場しています。

A代表デビューは2024年11月のインド代表戦で、途中出場ながら14分プレーしています。また同年12月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権「三菱電機カップ」では、この大会がFIFA国際マッチカレンダー期間外の開催であることからJDTが自チームの選手のマレーシア代表招集を拒否したこともあって、主力を欠く代表チームでは4試合に出場し代表初ゴールをカンボジア代表戦で決めるなど、1ゴール1アシストの成績を残しています。

ティアニー選手が移籍するサバFCは、7年間在籍した韓国出身のキャプテンでCBパク・テスを放出するなど、大規模なメンバー交代の最中で大型ストライカーのティアニー選手は出場機会が大いにありそうです。このブログでも既報の通りサバFCは、ニュージーランド代表SBデイン・インガム(オーストラリア1部ニューカッスル・ジェッツFC)、オーストラリア出身MFディーン・ペレカノス(オーストラリア1部ウェスタンシドニーワンダラーズFC)、ボスニア出身のCFアジュディン・ムジャギッチ(クロアチア2部NK BSKビイェロ・ブルド)ら外国籍選手の加入を発表しています。

またサバFCは、国外移籍が噂されていたMFスチュアート・ウィルキンやCBドミニク・タン、SBダニエル・ティン、FWダレン・ロックといったマレーシア代表選手やベテランGKカイルル・ファーミが残留した他、スペイン出身のMFシフことミゲル・シフエンテスも今季残留が発表されています。


このティエニー選手や、同じボルネオ島に本拠地を持つクチンシティFCへのFWラマダン・サイフラーの放出は、前述のヘリテイジ帰化選手のイラザバル選手とへヴェル選手が加入するJDTの方針を示しているかも知れません。国内の有力選手はとりあえず押さえておいて、トップチームで出場機会がなさそうなら他のクラブへローンして出場機会を積ませる。それと同時に外国育ちのヘリテイジ帰化選手を揃え、競争で負ければ放出するといった方針は、JDTがアジアで伸し上がるためには必要な手段なのかも知れませんが、国内リーグで活躍してJDTと契約しながら、契約後は一度もJDTのユニフォームを着ていない選手が複数のクラブにローンされ続けている状況は、国内リーグがJDTというクラブの選手育成の場になっているようにも見えます。

マレーシア代表の中央アジア遠征が決定-イランやウズベキスタン相手に腕試しも

中央アジアサッカー連盟CAFAが主催するCAFAネイションズカップにマレーシア代表が出場することを、マレーシア代表専用SNSアカウントのマレーシアNTが発表しています。

このブログでも6月19日のニュースで取り上げましたが、この時点では大会参加についてはマレーシアサッカー協会FAMは「検討中」という記事が各メディアに出ていましたが、マレーシアNTでは「(マレーシア代表の愛称)ハリマウ・マラヤは、イランやウズベキスタンを含む8つの有名チームが集まる大会CAFAネーションズカップ2025に参加し、新たな挑戦をする」、「今回の参加は名誉なことであるだけでなく、国際舞台でより大きな夢を実現する機会を開くものでもある。」などと投稿しています。

またピーター・クラモフスキー代表監督のコメントも併せて投稿しています。「2025年のCAFAネイションズカップに参加できることを誇りに思う。アウェイで強豪チームと厳しい環境で戦うこの経験は、フィールド内外でのさまざまな面で我々の力を試すものであり、代表チームの継続的な発展にとって非常に重要である。」「またこの大会はハリマウ・マラヤにとって国家に栄光をもたらし、サポーターの精神を活気づけ、マレーシアサッカーが夢見る団結を築き続けるためのもう一つの重要な機会でもある。」

2023年の第1回大会に続き、今回が第2回大会となるCAFAネーションズカップは、8月26日から9月9日までキルギスタンとウズベキスタンで開催され、CAFAの加盟国であるアフガニスタン、イラン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンと、マレーシア、そして同じく招待チームであるオマーンの合計8カ国が出場します。

6月23日のニュース<br>・ジョホールは来月のスペインキャンプでラ・リーガのクラブと対戦<br>・スランゴールにタイ代表MFが加入<br>・クランタンDNは前U23代表監督を新監督に指名<br>・オン元マレーシア代表監督は今季はプルシク・クディリを指揮

ジョホールは来月のスペインキャンプでラ・リーガのクラブと対戦

今季2025/26シーズンの開幕が8月8日と発表されたマレーシア1部スーパーリーグ。そのスーパーリーグで11連覇中と言う圧倒的な強さを誇るジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、7月3日から22日までプレシーズンキャンプをスペインで行うことを発表していますが、そのキャンプ中に、2024/25シーズンのスペイン2部チャンピオンのレバンテUDと対戦することが発表されています。

今月就任したばかりのスペイン出身のシスコ・ムニョス新監督の元、12連覇とACLエリートでの上位進出を目指すJDTは、2シーズン連続となるスペインでのプレシーズンキャンプを実施することを発表しています。ワトフォードや元シェフィールド・ウエンズデイといった英国のクラブで監督経験があるムニョス監督は、母国スペインでもSDウエスカ(今季スペイン2部8位)で2021/22シーズンに監督を務めたこともあり、また現役時代の大半をスペインで過ごし、レバンテUDでもプレーした経験があることからこの試合が実現したのかもしれません。

JDTのクラブ公式SNSでは、この後もさらにスペインキャンプ中の他の練習試合の対戦カードが発表される予定としており、来季スペイン1部に昇格するレバンテUD以上のビッグクラブとの対戦も期待されます。

スランゴールFCにタイ代表MFが加入

昨季2024/25シーズンは2位のスランゴールFCは、タイ代表MFピチャ・アウトラの加入をクラブ公式SNSで発表しています。29歳のピチャ選手は、退団したシンガポール代表CBのサフワン・バハルディンに代わる東南アジア枠での加入となります。

昨季のACL2でスランゴールFCはタイ1部のムアントン・ユナイテッドと対戦しましたが、ピチャ選手は両試合ともにキャプテンとして先発しており、ホームアンドアウェイで1分1敗となりノックアウトステージ進出を逃したスランゴールFCにとっては好印象を残した選手だったのかも知れません。キャプテンシーもあるようなので昨季のサフアン選手に続き、外国籍選手のキャプテン誕生となる可能性もありそうです。

昨季最下位のクランタンDN FCが未払い給料の支払いを開始

昨季2024/25シーズンはスーパーリーグ最下位の13位に終わったクランタン・ダルル・ナイムFC(クランタンDN FC)は、未払いとなっている昨季の給料の一部支払いを始めたことを発表しています。2025年2月から4月分に該当する支払いは、未払い給料全体の10〜20%に相当すると言うことです。

クランタンDN FCのイルワン・リザルCEOは、未払い給料の支払い方法についてはクラブと選手間の協議 の結果、同意に至ったと説明し、今季2025/26シーズンが開幕する8月までには、未払い給料を完済したいとも述べています。

またイルワン・リザルCEOは今季に向けてクラブは600万リンギ(およそ2億600万円)を監督・コーチや選手などの人件費に用意していると述べています。


昨季2024/25シーズンの未払い給料がありながら、クランタンDN FCに今季のクラブライセンスを交付した独立機関の第一審機関(FIB)の対応には疑問の声も上がっています。今季に向けた予算が用意できるのであれば、まずは未払い給料を完済するのが先決ではないかと思うのですが、マレーシアサッカーの常識では、クラブライセンス交付には問題がないようです。

スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の規約では、クラブライセンス交付を求めるクラブは、ライセンス申請の時点でクラブ(雇用者)が選手やスタッフ(被雇用者)に対して給料、所得税、社会保障費用などにおいて雇用者が被雇用者への未払いがないこと、あるいは未払いに対する支払い方法に同意が得られていることを条件の一つに挙げています。

ただしこの条件は2024年12月末日の時点を基準にしており、クラブライセンスを交付するFIBは、マレーシアプロサッカー選手会(PFAM)を通じて、2024年12月末日の時点で未払い給料がないことを確認していたと説明しています。その一方で、今季のスーパーリーグは秋春制移行に伴い、シーズンが2024年5月から2025年5月までの2年にまたがる形となっており、11月にシーズンが終了したいた昨季までとは状況が異なっています。つまり昨季までは12月31日の時点で未払い給料が無ければ、クラブの財務状況は「シロ」でしたが、今季は12月31日はまだシーズン途中であり、2025年1月以降に未払い給料があっても、クラブライセンス申請には何の問題もないと言う「抜け穴」があったわけです。

クランタンDN FCは前U23代表監督を新監督に指名

タンスリ・アヌアル・ムサは今でもクランタンで影響力があることに驚き

昨季の最下位からのチーム立て直しを目指すクランタン・ダルル・ナイムFC(クランタンDN FC)の今季監督に元マレーシアU23代表監督のE・エラヴァラサン氏が就任することになりそうです。

元クランタン州サッカー協会会長のアヌアル・ムサ氏が自身のSNSに投稿し、エラヴァラサン氏と、かつてサラワクFA(既に解散)やサバFC(現在のサバFC)でプレーしたボスニア出身のムアマー・サリバシッチ氏(今年5月まで前ボスニア2部HNKトミスラヴ・トミスラヴグラード監督)の両氏が、来季のクランタンDN FCの指揮を取ることになると投稿しています。

エラヴァラサン氏はU23代表監督を務めた後、2023年からはマレーシア代表のコーチに就任し、キム・パンゴン監督(現韓国1部蔚山HD FC監督)のもとで唯一のマレーシア人コーチを務め、2024年7月にキム監督が蔚山HD FC監督就任のために契約解除となった後、代表チームから離れています。

今回の投稿でアヌアル氏は「2025/26シーズンにスーパーリーグでプレーするクランタン州の唯一のクラブに、エラヴァラサン、サリバシッチ両氏を迎え入れることができることは喜ばしい。」と投稿し、さらにクランタン州のサッカーは本気で栄光を取り戻すつもりであるとし、その観点から見ると現在のクラブは明らかに人材不足であり、マレーシア人選手だけでは如何ともし難いとして、東南アジアを含めたアジアやアフリカの代表クラスの選手数名を契約する予定でもあるとも述べています。

今回のニュースの中心にいるアヌアル氏は国内有数の政治家としても知られ、2009年から2016年までクランタン州サッカー協会の会長を務め、クランタン州サッカー協会が運営するプロクラブのクランタンFAを強豪に育てた人物として知られています。それまではリーグ3位が最高位だったクランタンFAは、アヌアル氏在任の7年間には2012年の国内三冠(リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップ)を含むリーグ優勝2回、FAカップ優勝2回、マレーシアカップ優勝2回という成績を残しており、アヌアル氏はクランタン州サッカーの黄金期を知る人物でもあります。

しかし、その一方で2015年からのクランタン州サッカー協会がクランタンFAの選手の給料未払い分など多額の負債を抱えていることが明らかになると2016年には会長職を突如辞任し、いわゆる「泥舟から逃げた」と批判された人物でもあり、またクランタンFAの資金を自身が会長を務めるマレーシア政府の地方地域開発省の下部組織である国民信頼評議会MARAから私的に流用したとして、マレーシア汚職防止委員会の取り調べを受けたこともある人物でもあります。

オン元マレーシア代表監督は今季はプルシク・クディリを指揮

昨季2024/25シーズン途中にサバFCを退団し、降格圏にいたインドネシア1部のプルシス・ソロの監督に就任したオン・キムスウィー氏は、クラブ経営陣が求めていた降格回避を達成しました。今季2025/26シーズンも続けて指揮をとりたいという希望を表明していたオン氏ですが、シーズン終了後も複数の候補者の1人という位置付けてプルシスとの交渉は進んでおらず、他のクラブでの指揮も視野に入れているという報道が出ていました。そんなオン氏が同じインドネシア1部のプルシク・クディリの監督に就任したことをクラブ公式SNSが伝えています。オン監督は、昨季は9勝9分16敗の14位で終えたプルシスから10勝11分13敗の12位だったプルシクへ移ることになります。

昨季のプルシクはブラジル出身のマルセロ・ホスピージ監督でスタートしましたが、第27節を終えて12位と徐々に順位を下げていたことから、ポルトガル出身のディバウド・アウベス監督に交代しました。2022/23シーズンにプルシクの監督を務めたこともあるアウベス監督でしたが、シーズン終了までの残り7試合を1勝3分3敗の成績で順位を12位で維持し、何とか残留を果たしています。しかしクラブはアウベス監督との契約を終えて新監督を探しているところでした。

プルシクは、スペインの2部や3部でのプレー経験があり、昨季に現役を引退したばかりのアーサー・イルワン氏がオーナーを務めるクラブで、2019年にインドネシア2部リーグで優勝し、1部昇格を果たしています。2020/21シーズンはコロナ禍で1部リーグが中止になりましたが、翌2021/22シーズンからは11位、11位、9位、12位という成績を残しています。

6月20日のニュース<br>・スリ・パハンFCの不参加で2025/26シーズンもスーパーリーグは奇数の13チーム編成に<br>・25/26シーズンの開幕は8月8日に決定<br>・スランゴールが代表CBを含めた9名の残留を発表<br>・サッカー協会-中央アジア遠征は決定ではない

スリ・パハンFCの不参加で2025/26シーズンもスーパーリーグは奇数の13チーム編成に

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、6月20日に公式サイト上で今季2025/26シーズンへの参加するのは13チームと確定したことを発表しています。

今季に向けては14クラブが国内クラブライセンスを交付されていましたが、この内、今年5月に行われた昨季最終戦のマレーシアカップ決勝でジョホール・ダルル・タジムFCに1−2と惜敗したスリ・パハンFCが、2025/26シーズンのスーパーリーグには出場しないことを決定したと言うことです。

この結果、今季のスーパーリーグに出場するのは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)、セランゴールFC、サバFC、トレンガヌFC、クチンシティFC、クアラルンプールシティFC、PDRM FC、ペナンFC、ヌグリ・スンビランFC、クランタン・ダルル・ナイムFCと、招待参加クラブとして参戦するブルネイのDPMM FC、そして昨季は3部A1セミプロリーグでプレーし、今季からスーパーリーグに昇格するマラッカFCとイミグレセンFCの全13クラブです。

国内のクラブはすべて、今季リーグ戦出場に必要な国内クラブライセンスを独立第一審機関(FIB)から交付されており、またブルネイのクラブ、DPMM FCは、国際サッカー連盟(FIFA)とアジアサッカー連盟(AFC)から、今季のスーパーリーグに出場するための承認を受けています。

しかし同じく国内クラブライセンスを取得したスリパハンFCは、2025年6月16日付けで確認書を提出し、2025/26シーズンのスーパーリーグに出場しないことを決定したということです。

25/26シーズンの開幕は8月8日に決定

スンバンシーカップ:2025年8月8日-昨季のリーグ王者JDTと同2位のセランゴールFCが対戦する試合は、スルタン・イブラヒム・スタジアムで行われるリーグ開幕戦でもあります。
FAカップ:8月中旬に開幕
マレーシアカップ:2026年1月に開幕
MFLチャレンジカップ:2026年1月に開幕

またMFLは近いうちに2025/26シーズンのスーパーリーグのスケジュールを発表する予定ということですが、マレーシアからはJDTが出場するACLエリート、そしてスランゴールFCが出場するACL2については、AFCが8月15日に両大会の抽選を行う予定であるため、MFLは年間スケジュールを作成する困難に直面していると説明されている他、JDTとセランゴールFCがするASEANクラブ選手権ショッピーカップの詳細な日程を東南アジアサッカー連盟AFFに求めている最中だとしています。

スランゴールが代表CBを含めた9名の残留を発表

2024/25シーズンの国内1部スーパーリーグ2位のスランゴールFCが、2ヶ月後に開幕予定の2025/26シーズンに向けて、マレーシア代表CBのハリス・ハイカルやW杯出場を決めたヨルダン代表SBら9選手の残留を発表しています。

6月19日にまでにスランゴールFCが残留を発表しているのは、カーボベルデ代表WGアルヴィン・フォルテス、ヨルダン代表SBモハマド・アブアルナディ、マレーシア代表CBハリス・ハイカルの他、いずれもマレーシア代表経験のあるGKサミュエル・サマーヴィル、CBシャールール・ナジーム、SBジクリ・カリリ、MFムカイリ・アジマル、AMFハイカル・ラウ、FWイズワン・ユスランの合計9選手です。

中でもハリス選手は、マレーシア人の有力選手の御多分に洩れず、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)入りの噂なども出ていた中での残留発表でした。

FAM-中央アジア遠征は決定ではない

昨日のこのブログでは、イランやウズベキスタンが加盟している中央アジアサッカー連盟(CAFA)が主催する国際大会CAFAネイションズカップにマレーシア代表が招待されていると言う記事を取り上げましたが、マレーシアサッカー協会(FAM)はこの大会への参加を決定したわけではないとしています。

マレーシア語紙ブリタ・ハリアンは、FAM競技委員会ザイナル・アビディン・ハッサン副委員長の「競技委員会の会議で正式な議論を行った後にいかなる決定も下されるだろう」という発言を紹介しています。

「(東南アジアクラブ選手権)ショピーカップ、ACLエリートやACL2などのさまざまな試合により年間スケジュールを非常に過密なものになっているため、CAFAネイションズカップへの出場の可否はまだ決定はしていない。参加となれば代表選手に負担をかけないよう細心の注意を払う必要がある」と述べたザイナル副会長は、代表選手たちがシーズンを通して最高のパフォーマンスを発揮できるよう、休息、国内リーグ戦、国際試合の3つバランスを考慮する必要があると説明したということです。

6月19日のニュース<br>・マレーシア代表は8月に中央アジアで腕試しか<br>・ベトナム戦活躍のスペイン出身の帰化選手がアゼルバイジャンのクラブを退団-ジョホール移籍の布石か<br>・来季1部昇格のイミグレセンFCの本拠地が決まらず

マレーシア代表は8月に中央アジアで腕試しか

マレーシアのスポーツメディア、スタジアム・アストロは、マレーシア代表が今年8月にが開催されるCAFAネイションズカップに招待されたと報じています。

この大会を主催する中央アジアサッカー連盟(CAFA)はアフガニスタン、イラン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの6カ国が構成している連盟で、CAFAネイションズカップはいわばCAFAの選手権大会に当たります。なおこのCAFAネイションズカップは2023年に第1回大会が開催され、決勝ではイランがウズベキスタンを1−0で破って優勝しています。

第1回大会はCAFAに加盟する6カ国に招待されたオマーン代表が加わり、7チームで開催されています。マレーシアにルーツを持つ帰化選手(ヘリテイジ帰化選手)の活躍でベトナム代表を11年ぶりに破ったマレーシア代表は、第2回大会として8月26日から9月9日までの予定で開催されるこの大会に招待されたと言うことです。

この大会参加国を直近のFIFAランキングで見てみると、イランの18位を筆頭に、ウズベキスタン57位、キルギス103位、タジキスタン105位とマレーシアの132位を上回る強豪が並び、もし大会参加が実現すれば、貴重な格上チームとの対戦機会を得ることができそうです。

ベトナム戦活躍のスペイン出身帰化選手がアゼルバイジャンのクラブを退団-ジョホール移籍の布石か

先日のベトナム代表戦ではマレーシア代表として初出場した試合で先発し、フル出場してを11年ぶりとなるベトナム戦勝利に貢献したCBジョン・イラザバルが、所属するアゼルバイジャン1部のサバFKを退団したことが明らかになりました。

クラブの公式SNSに投稿されたメッセージ以下のようなものでした。「2022年からサバでプレーしてきたジョン・イラザバルに別れを告げる。彼の契約は今シーズン末で終了する。(筆者注:アゼルバイジャン1部は5月24日に最終節を追えています。)」

「ジョンはサバFKで98試合に出場し、6ゴールを記録、アゼルバイジャンカップで優勝した他、(アゼルバイジャン1部の)プレミアリーグで(2022/23シーズンの)準優勝と(2023/24シーズンの)3位入賞に貢献した。」

「彼が示したプロ意識、決意、そして忠誠心は、このチームの歴史に深い印象を残した。この旅路を共に歩んでくれたことを感謝するとともに、今後のご活躍を祈る。」

スペイン出身で28歳の帰化選手であるイラザバル選手がサバFKを正式に退団したことで、SNSではジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)入りの噂が広がっています。

元オランダ年代別代表でもプレー経験がある帰化選手のエクトル・へヴェルがポルトガル2部のポルティモネンセからJDT入りが濃厚とされているだけに、イラザバル選手がそれに続く可能性は十分ありそうです。

来季1部昇格のイミグレセンFCの本拠地が決まらず

マレーシアでは本拠地が決まっていないのにクラブライセンスが交付されるのかぁ。

今季2024/25シーズンに3部のA1セミプロリーグで準優勝し、開幕が2ヶ月後に迫る来季は1部スーパーリーグでプレーするイミグレセン(入国管理局)FCの本拠地が決まりません。

今季のスランゴール州バンギにあるマレーシア国民大学UKM内にある収容人数2000名のUKMスタジアムを本拠地としていたイミグレセンFCは、スーパーリーグ昇格にあたり、当初、マレー半島北部クダ州にあるダルル・アマン・スタジアムを新たな本拠地として登録しようとしていました。

このダルル・アマン・スタジアムは、今季スーパーリーグ11位のクダ・ダルル・アマンFCが本拠地としていましたが、給料未払い問題が未解決などの理由からクラブライセンスを交付されず、来季のスーパーリーグ出場ができなくなりました。いわばそこを居抜きでしようとしたのがイミグレセンFCです。

しかしクダ州首相(知事に該当)でもあるムハマド・サヌシ クダ州サッカー協会(KFA)会長でが、イミグレセンFCによる本拠地使用申請を却下しています。

「アウェイマッチの際のダルル・アマン・スタジアムの使用は許可するが、本拠地として登録することは許可しない。我々(ケダ州)には(リーグ公式戦を開催できる)スタジアムが1つしかなく、既にケダ州を代表する他のチームがいるため、ダルル・アマン・スタジアムをイミグレセンFCの本拠地として登録することは許可しない。」

さらにサヌシKFA会長は、隣接するペナン州には、スーパーリーグ公式が開催可能なスタジアムがバトゥ・カワン・スタジアムとシティ・スタジアムという2つのスタジアムがあることから、ペナンを本拠地とすることを提案しています。

超保守政党PASで選挙対策委員長も務めるサヌシKFA会長は「イミグレセンFCは他の州で本拠地を探すべき。(入国管理局傘下の)イミグレセンFCには適したペナンに行くことを勧めたい。ペナンには移民が多いので、ペナンを本拠地とするのが適している」と差別発言ギリギリのコメントも出しています。

6月18日のニュース<br>・ジョホールが大量11名の退団を発表-ヘセ・ロドリゲスやジョルディ・アマトも<br>・女子アジアカップ予選出場のマレーシア女子代表23選手を発表<br>・プルシス・ソロを降格危機から救った元マレーシア代表監督は来季もインドネシアで指導か

ジョホールが大量11名の退団を発表-ヘセ・ロドリゲスやジョルディ・アマトも

来たる者あれば去る者あり。

来季に向けてスペイン出身のCBアントニオ・グラウデル、ブラジル出身のCFジャイロ、そしてマレーシアの「パトリック・ヴェラ」ことDMFイブラヒム・マヌシの加入を発表しているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、今度は大量11選手の退団を発表しています。

この中には2015年からJDTでプレーし、アジア初タイトルとなった2015年AFCカップ(現在のACL2)決勝でFCイスティクロル・ドゥシャンベを完封し、マレーシア代表では53試合出場を果たしているGKファリザル・マーリアス(38)や、JDTでは通算170試合、マレーシア代表では80試合に出場し、オーナーのトゥンク・イスマイル殿下がJDTの歴代史上最高のキャプテンと評するMFサフィク・ラヒム(37)の両ベテランや、既にクチンシティFCへの完全移籍が発表されているWGラマダン・サイフラーの名前もあります。

また外国籍選手では、2022年シーズン途中に加入したスペイン生まれのインドネシア代表CBジョルディ・アマトや、元レアル・マドリードのCFヘセ・ロドリゲス、今季加入したブラジル出身のSHムリロ・エンリケも含まれています。また既に国内リーグで起用できる外国籍選手の登録枠がいっぱいとなっていたJDTがACLエリートで起用するためだけに獲得したブラジル出身のMFアンセルモ・デ・モラエス、スペイン出身のCBアルバロ・ゴンザレス、MFロケ・メサ、MFジョナサン・ヴィエラも国内リーグに1試合も出場することなく退団となっています。

女子アジアカップ予選出場のマレーシア女子代表23選手を発表

マレーシアサッカー協会(FAM)は、女子アジア杯2026年大会予選に出場するマレーシア女子代表のメンバー23名を発表しています。今年5月に就任したばかりのアレマFC(インドネシア1部)前監督のジョエル・コルネリ監督は、就任後初の対外試合となった先日のブータン遠征に参加した23名中21名を召集しています。

6月29日から7月5日までタジキスタンのドゥシャンベで行われるアジア杯2026年大会予選で、マレーシアは予選開催国タジキスタン、パレスチナ、北朝鮮と同組のH組に入っています。

5月29日から6月3日までブータンで行われた3カ国対抗戦で香港に1−2で敗れ、ブータンに3-1で勝利したメンバー、FWインタン・サラ、DFステフィ・サージ・カウル、GKヌルル・アズリン・マズランら女子代表の主力に加え、今回のメンバーにはU19代表からGKダリア・エリーザとFWヘンリエッタ・ジャスティンが召集されています。

2001年以来8大会ぶりの本戦出場を目指すマレーシア女子代表は、6月18日と22日にドバイでアラブ首長国連邦代表と国際親善試合2試合を行った後、タジキスタン入りし、6月29日にパレスチナ代表と、7月3日にタジキスタン代表と、そして7月5日に北朝鮮代表といずれもドゥシャンベ中央スタジアムで対戦します。

この予選では予選全8組の1位のみが予選を突破し、既に出場を決めている開催国オーストラリア、前回2022年大会優勝の中国、同2位韓国、同3位日本を含めた全12カ国が対戦する本戦に出場します。

プルシス・ソロを降格危機から救った元マレーシア代表監督は来季もインドネシアで指導か

昨年11月にサバFCからの契約延長オファーを断り、隣国インドネシアリーグのプルシス・ソロの監督に就任したオン・キムスウィー氏は、来季もインドネシアリーグで指導を続けるようだと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

日本人の山本奨選手がキャプテンを務めるプルシス・ソロは、昨季途中から指揮を取るミロミール・シェシュリア監督が開幕から1勝5敗の成績で残して15位と出遅れると解任されてしまいます。コーチを立てて暫定監督とするも、第11節までで2勝1分8敗と降格圏の16位に沈んだクラブにやってきたのオン氏でした。第12節から指揮を取ったオン監の督初勝利はそこから1ヶ月以上経った第19節でしたが、第28節では降格圏を脱出すると、その後は2度と降格圏に落ちることなく、結局、就任後の23試合を7勝8分8敗として14位でシーズンを終了し、クラブを2部降格から救っています。

しかし5月末で現在の契約が切れるオン監督は自身のSNSでプルシスへの別れを思わせるような投稿を行なった他、自身のSNSからプルシス監督の経歴を削除しており、このまま退団となりそうです。なおインドネシアメディアが紹介するプルシスの広報担当ブライアン・バルセロナ氏の話では、監督を誰にするかという決定はクラブオーナーの専権事項であり、クラブ自体もオーナー自身が行なっている候補者との面接や交渉などの結果を待っている状態であると説明されています。また同じメディアでは、ディバウド・アウベス監督が解任されたばかりのプルシク・クディリの監督に就任するのではという噂があります。


今季残り4試合を残した時点でのインタビューでオン監督は「もう1シーズン挑戦したい。今シーズンは降格圏から抜け出さなければならないが、もし(リーグ1で)生き残ることができれば、来シーズンはトップ5入りを果たしたい」と意欲を示し、「もし私が残留するなら、もちろん私が望むプレースタイルに合う選手が欲しいし、それは重要だ」と彼は語っていました。しかし今月6月に入り、プルシスのオーナーの1人、ケヴィン・ヌグロホ氏が、来季のクラブの監督候補はオン氏を含めて4名の外国籍監督がいると発言し、オン氏の去就が不透明になっていました。

6月17日のニュース<br>・マレーシアの「パトリック・ヴィエラ」もジョホール入り<br>・実質2部リーグのA1セミプロリーグは来季は韓国チームを含む16チーム編成に

マレーシアの「パトリック・ヴィエラ」もジョホール入り

君もジョホールを選ぶのか。

今季2024/25シーズンに彗星のように現れながらも、その風貌やプレースタイルからマレーシアの「パトリック・ヴェエラ」の愛称を得たスリ・パハンFCのイブラヒム・マヌシがジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)移籍を発表しています。またイブラヒム選手の背番号は、今季アルバロ・ゴンザレスが着けていた27となることも明らかになっています。

23歳のイブラヒム選手は、昨季2023年シーズンはわずか1試合の出場ながら、開幕から1勝1分2敗と苦しいスタートを切ったファンディ・アフマド監督が第6節となるクアラルンプールシティFCに初めて先発に起用すると、そこから出場時間を伸ばし、シーズン後半戦からは豊富な運動量を誇るDMFとしてレギュラーポジションを掴みました。

所属するスリ・パハンFCは、今季リーグ戦で8試合連続勝星など苦しいシーズンを送り7勝8分9敗の8位と苦しみましたが、今季最終戦となった4月25日のマレーシアカップ決勝では、イブラヒム選手はマレーシアカップ3連覇と3季連続国内三冠のかかるJDTを相手に自慢の運動量と時折見せる正確なロングフィードで接戦を演出しました。

しかしこのマレーシアカップ決勝後には、スリ・パハンFCのオーナーでパハン州王子のトゥンク・アブドル・ラーマン・イブニ・スルタン・ハジ・アフマド・シャー殿下が来季はクラブオーナーを辞任することを明らかにし、マレーシアカップ準優勝のスリ・パハンFCは選手の自由な移籍を容認しました。そこからスランゴールFCとJDTの間でイブラヒム選手の争奪戦が勃発しました。中盤の選手層が厚く、加入しても出番があるかどうかはわからないJDTに対して、スランゴール州スンガイ・ブロー出身のイブラヒム選手はスランゴールFCには文字通り喉から手が出るほど欲しい選手でしたが、この勝負にはJDTが勝利しています。


マレーシアのサッカーファンでも、そのマレーシア人離れした風貌から新たな外国籍選手と間違えることが多かったイブラヒム選手。国内でもそれだけ無名だったわけですが、それもそのはず。ジョホール州のトゥンク・マコタ・イスマイル・スポーツ高校では、スランゴールFCでプレーするムカイリ・アジマルと同期のイブラヒム選手ですが、18歳で卒業するとマレーシアリーグクラブのセレクションに参加できず、3年間はフードデリバリーなどに従事し、ほとんどサッカーをすることがなかったということです。それでも一昨年に母親の勧めでスリ・パハンFCのセレクションに参加し、トップチームでは2022年シーズンは3試合、翌2023年シーズンは1試合の出場機会を得たものの、大半をU23チームで過ごしたイブラヒム選手ですが、今季のチームの窮状で出場機会を得るとそのチャンスを逃さずに、最後は国内最高峰のクラブ移籍まで手に入れています。

来季の実質2部リーグのA1セミプロリーグは韓国チームを含む16チーム編成に

マレーシア国内リーグは1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグという編成が長らく続いていましたが、2023年シーズンにスーパーリーグとプレミアリーグを統合して新たなスーパーリーグを編成した結果、現在、プレミアリーグは休止状態となっています。

このためスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)とは別団体のアマチュアフットボールリーグ(AFL)が運営する3部A1セミプロリーグが、現在は実質的な2部リーグです。そのA1セミプロリーグに来季2025/26シーズンに参戦する16チームが発表されています。

チーム名備考
1JDT IIJDTのU23チーム
2スランゴールFC IIスランゴールFCのU23チーム
3イミグレセンFC IIイミグレセンFCのU23チーム
4ブンガラヤFC今季A1セミプロリーグ4位
5マレーシア大学今季A1セミプロリーグ5位
6国軍FC今季A1セミプロリーグ8位
7マンジュンシティFC今季A1セミプロリーグ9位
8マチャンFC今季A1セミプロリーグ14位
9クダFAクダ州サッカー協会のチーム。初参戦
10ペラFAペラ州サッカー協会のチーム。初参戦
11KRW FCかつての名門クランタンFCの流れを汲む
12クランタンWTC FC4部A2アマチュアリーグ2024/25 2位
13クダ・ダルル・アマンFCスーパーリーグ撤退から再生を目指す
14プルリスGSA FC4部A2アマチュアリーグ2024/25チャンピオン
15UMダマンサラ・ユナイテッド詳細は不明
16ソウルフェニックスFC今季は韓国K4リーグ所属。詳細は不明

今季2024/25シーズンは15チームが参加したA1セミプロリーグは、優勝したマラッカFCと2位のイミグレセン(入国管理局)FCがスーパーリーグへ昇格しています。


2023年シーズンに発足させたU23チームのリーグ、MFLカップがわずか2シーズンで廃止されたことで、行き場のなくなったU23チームの内、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)、スランゴールFC、そして今季1部スーパーリーグに昇格したばかりのイミグレセンFCの3クラブはU23ちーむをこのA1セミプロリーグに参戦させています。また来季2025/26シーズンにスーパーリーグでプレーするための国内クラブライセンスが交付されず、チームを解散したペラFCの後を継ぐ形でペラ州サッカー協会がマレーシアの国体Sukmaに出場するU23チームを核にした「ペラFA」を創設して参戦しています。同様にクラブライセンスを交付されなかったクダ・ダルル・アマンFCは、クラブを解散せずにそのまま参戦し、これとは別にクダ州サッカー協会のチーム、クダFAも参戦しています。またクランタン・レッド・ウォリアーズFC(KRW FC)を含めたこれのチームは、他のチームが下部リーグから昇格してA1セミプロリーグまた到達しているのに対し、いきなりこのリーグ参戦を認められるなど、マレーシアらしい緩さも見られますが、そこで問題になるのはリーグを運営するAFLの運営能力です。来季途中で突如参戦のどこかのチームに給料未払い問題が発生するようなことがあれば、その審査能力にも疑問符がつきます。

6月16日のニュース<br>・ジョホールにブラジル出身FWが新たに加入<br>・サファウィ・ラシドはKLシティへ移籍<br>・ペナンのキャプテン、ヴィトールは退団しブラジルへ<br>・サバFCも6シーズン在籍のパク・テスらの退団を発表

残り2.5枠をかけた2026W杯アジア4次予選(プレーオフ)がサウジアラビアとカタールの2カ国で集中開催となることをアジアサッカー連盟(AFC)が6月13日に発表していますが、これに対して各国から批判が噴出しています。

このプレーオフにはA組3位のアラブ首長国連邦UAE、同4位のカタール、B組3位のイラン、同4位のオマーン、C組の3位サウジアラビア、同4位のインドネシアが出場し、10月8日から14日までの間、3カ国ずつ2組に分かれて総当たり戦を行い、各組の1位が2026W杯への出場権を獲得します。

こういったプレーオフは当然ながら中立国で開催されるのが常で、AFC本部があり最終予選に残ることがないマレーシアも、かつてはこのプレーオフのような試合で会場としてよく使われることがありましたが、今回はなんとプレーオフに出場するサウジアラビアとカタールで行われるということでAFCに対して批判が続出しているということです。

サウジアラビアで集中開催されたACLエリート決勝トーナメントでも、他国のクラブに対して、優勝したアル・アハリを含めた地元勢に有利な日程になっていたり、組合せ抽選前日に急遽、日程が変更されるなどことでAFCは批判を受けましたが、まぁオイルマネーなしではAFCは立ち行かないということなのでしょう。なおこのニュースをマレーシアで報じた英字紙ニューストレイツタイムズはAFCに問い合わせを行ったということですが、記事執筆の時点では返答がないということです。

ジョホールにブラジル出身FWが新たに加入

あくなき勝利への執念。

今季2024/25シーズンにリーグ11連覇を含む3シーズン連続となる国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が新たなFWを獲得しています。今回加入するのはブラジル出身のジャイロことジャイロ・ダ・シウバです。33歳のジャイロ選手は2021/22シーズンからキプロス1部のパフォスFCでプレーし、2022/23シーズンには18ゴールでリーグ得点王となっています。今季は26試合に出場して10ゴール5アシストの記録を残しています。またUEFAカンファレンスリーグ10試合、UEFAヨーロッパリーグ予選2試合にも出場しています。

JDTはスペイン出身で前スペイン2部カディスCFのCBアントニオ・グラウデル、そして今年3月にマレーシア代表デビューを果たした元オランダU20代表のAMFエクトル・へヴェルをポルトガル2部ポルティモネンセSCから獲得して、来季のACLEでの上位進出を目指しています。


JDTはスペイン2部スポルティング・ヒホンで10番をつけるMFナチョ・メンデスにオファーを出していることが報じられています。オーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下の趣味なのか、前述の同じスペイン2部カディスCFから加入するアントニオ・グラウデルをはじめ、MFイケル・ウンダバレナ、DMFエディ・イスラフィロフ、AMFフアン・ムニョス、SBオスカル・アリバスら多くのスペイン出身選手がJDTには在籍しています。

メンデス選手についての記事を掲載した英字紙ニューストレイツタイムズによると、27歳のメンデス選手にはスペイン1部ラ・リーガや2部のクラブ複数も興味を示しているということです。

サファウィ・ラシドはトレンガヌからKLシティへ

今季2024/25シーズンはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)からトレンガヌFCにローン移籍していた代表FWサファウィ・ラシドが来季はクアラルンプールシティFC(KLシティFC)でプレーすることをKLシティFCを運営するクアラルンプールサッカー協会(KLFA)のサイド・ヤジド・サイド・オマル会長が明らかにしています。

20歳となる2017年に出身地のトレンガヌからJDTに移籍し、2018年、2019年と2シーズン連続でリーグMVPを受賞、マレーシア代表でも主力となるなど順調だった選手生活が変わってしまったのが2020年のポルトガル1部ポルティモネンセへのローン移籍でした。シーズン途中の10月に移籍したポルティモネンセでは、トップチーム出場どころかU23チームで1試合に出場したのみで、結局、ローン移籍期間を短縮してわずか3ヶ月でJDTに戻りました。

翌2021年には開幕直後のケガで3ヶ月を棒に振ったサファウィ選手ですが、自身が不在だったJDTでその間に同じ右ウィングとして台頭して来たのがアリフ・アイマンでした。アリフ選手はこの2021年シーズンにサファウィ選手に代わって、史上最年少の19歳でリーグMVPを獲得すると、今シーズンまで4季連続でリーグMVPを獲得するスーパースターとなっています。このアリフ選手に押し出される形で、2022年末にタイリーグのラーチャブリーFCにローン移籍します。しかし13試合で1ゴールとマレーシア代表としてはやや寂しい成績でシーズンを終えると、2023年シーズンはJDTに復帰するもリーグ戦出場2試合と激減し、今季はトレンガヌFCへローン移籍していました。リーグ戦とカップ戦合わせて31試合で13ゴールという記録でしたが、20試合以上出場したのは2021年シーズン以来3年ぶりでした。復活の兆しが見えたサファウィ選手ですが、エースのパウロ・ジョズエの退団が濃厚なKLシティFCでは、フル回転が期待されます。

またマレーシア出身の選手に関しては、KLシティFCにはペナンFCからシャマル・クティ・アバの移籍の噂もあります。代表戦出場43試合のMFはやはりJDTからのローン移籍となります。

さらにKLシティは東ティモール代表FWジョアン・ペドロを獲得したことも報じられています。今季はカンボジア1部のアンコール・タイガーでプレーし、26試合で7ゴール6アシストを記録した左WGを主戦場とする26歳のペドロ選手は、PSMマカッサル(インドネシア)、ベンフィカ・デ・マカオ(マカオ)、ウボン・ユナイテッド(タイ)などでプレー経験もあり、5月に行われたマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズ戦には東ティモール代表として出場しています。


今季は未払い給料が一時は7か月に及ぶと報じられたKLシティFCですが、どこから資金を得たかは分かりませんが、サイド・ヤジドKLFA会長は未払い給料は全て支払われていると主張しています。なお今季は6位に終わったKLシティFCですが、財政問題から勝点6を剥奪されており、その6点を加えると順位が1つ上がって5位になるなど、選手の実力ではなく、経営陣によって苦しんだチームが来季は復活しそうです。

ペナンのキャプテン、ラファエル・ヴィトールは退団しブラジルへ

今季10位に終わったペナンFCは、キャプテンでブラジル出身のCBラファエル・ヴィトールの退団、そしてブラジルのセリエB、アマゾナスFCへの移籍が発表されています。

2020年から5シーズンに渡りペナンFCでプレーしてきたヴィトール選手は、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)へ移籍し、マレーシア国籍を所得して、帰化選手として代表入りなどの噂もありました。

強力なリーダーシップを発揮してチームをまとめてきたヴィトール選手の退団は、前述のKLシティFC移籍が噂されているシャマー・クティ・アバの退団とともに、ペナンFCが来季へ向けてチームを大きく刷新する未来を示しています。

ペナンFCには、今季PDRM FCでプレーしたFW鈴木ブルーノに加え、クチンシティFCからFWチェチェ・キプレ、スリ・パハンFCからDFステファノ・ブルンドが加入することが明らかになっている他、ボスニア出身のWGダニーロ・シポヴァッチ(ボスニア1部BSKバニャ・ルカ)、ブラジル生まれで元東ティモールU23代表のAMFチアゴ・フェルナンデス(インドネシア2部プルシカス・スバン)の加入も発表されています。

またマレーシア人選手ではクラブが解散したペラFCから元FC琉球のWGワン・ザック・ハイカルとMFフィルダウス・サイヤディが、また来季のスーパーリーグ参戦を取りやめたクダ・ダルル・アマンFCからSBアリフ・ファルハン、MFアミルル・ヒシャム、CBアクマル・ザヒルの3選手、そしてスランゴールFCから元マレーシア代表GKカイルルアズハン・カリドが加入します。


マレーシア国籍を得て代表入りが噂されていたヴィトール選手の退団は、先日、ベトナム代表に4−0と圧勝したマレーシア代表と関係があるかもしれません。これまでマレーシア代表には国内で5シーズン以上プレーした経験を持つというFIFAの規約に沿って、外国籍選手がマレーシア国籍取得後に代表入り選手が7名おり、今回のベトナム代表との試合でベンチ入りした中では、ブラジル出身のパウロ・ジョズエ(KLシティFC)とエンドリック・ドス・サントス(ベトナム1部ホーチミンシティFC)、そしてロメル・モラレス(JDT)の3名がいます。ここ数年のマレーシア代表は、こういった帰化選手が主力として活躍していました。しかし、今回のベトナム代表戦で11年ぶりの勝利に導いたのは、そういった帰化選手ではなく、国外生まれながらマレーシアにルーツを持つ帰化選手(ヘリテイジ帰化選手)でした。このヘリテイジ帰化選手はマレーシアリーグよりレベルの高いリーグでプレーしていることもあり、今後はこのヘリテイジ帰化選手の方が重用される可能性が高いだけでなく、マレーシアサッカー協会(FAM)や所属するクラブなどがルーツを持たない外国籍選手のマレーシア国籍取得支援を積極的に行わない可能性もあります。

今回退団したヴィトール選手の他、今季のリーグでシーズン最多ゴール記録を樹立したブラジル出身のFWベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)や、KLシティFCのオーストラリア出身CBジャンカルロ・ガリフオコなども、今後代表入りする帰化選手候補と言われていましたが、今回のヴィトール選手、そして以前このブログでも取り上げたマレーシア人と結婚までしてマレーシア国籍取得に前向きだったにもかかわらず、やはりマレーシアを去ったトレンガヌFCのモンテネグロ出身CBアルグジム・レゾヴィッチのケースを見ると、今後はヘリテイジ帰化選手が代表強化の中心となるのではないでしょうか。

サバFCも6シーズン在籍のキャプテン、パク・テスらの退団を発表

今季はJDT、スランゴールFCに次ぐ3位に終わったサバFCは、キャプテンで韓国出身のDFパク・テスら外国籍選手の退団を発表しています。

2019年からサバFCでプレーするパク選手はCBとして99試合に出場して20ゴールを挙げています。35歳のパク選手は自身のインスタグラムストーリーで、今年1月からクラブと契約更新について話し合うことになっていたものの、「チームへの忠誠心と愛ゆえにその話し合いを待ち続け」る一方で、他のクラブへの移籍を考えることなかったと明かしています。さらにクラブに問い合わせても返事はなく、『また後で』とだけ言われ続けた。」と綴り、最後は「サバFCに感謝したい。私はただクラブが選手を人間として、よりプロフェッショナルに扱ってくれることを願っているだけである。(こういった形での退団は)苦いが、これもサッカーの一部なので耐えるつもりだ。」と失望の色を滲ませる投稿を行なっています。

サバFCは、元インドネシア代表WGサディル・ラムダニ、元ポルトガルU17代表MFテルモ・カスタニェイラ、元ギリシャU19代表CBハリス・スタンブリディスの退団が発表されている他、元マレーシア代表MFイルファン・ファザイルら9名のマレーシア人選手の退団も併せて発表されています。


その一方でサバFCは新加入の4選手を発表しています。新外国籍選手2名はニュージーランド代表で12試合出場経験を持つSBデイン・インガム(26歳、オーストラリア1部ニューカッスル・ジェッツFC)と、MFディーン・ペレカノス(24歳、オーストラリア1部ウェスタン・シドニー・ワンダラーズFC)、そしてマレーシア人選手2名はいずれも地元サバ州出身で、今季はPDRM FCでリーグ戦14試合に出場したCBバドルル・アフェンディと、2023年シーズン以来の復帰となるWGマクシアス・ムサとなっています。