2025/26マレーシアスーパーリーグ第2節 試合結果とハイライト映像<br>・ジョホールが早くも単独首位に<br>・新規参入のイミグレセンFCとマラッカFCが揃ってリーグ初勝点獲得

2025/26年シーズンのマレーシアスーパーリーグ第2節が8月12日から13日にかけて行われていますが、なぜか今節は6試合中、4試合が引き分けでした。なお前節第1節に試合がなかったヌグリ・スンビランFCや、第1節の試合が8月29日に延期されていたサバFCとマラッカFCも今季初戦を戦い、これで13チーム全てが開幕を迎えたことになります。紹介試合が1試合少ないクチン・シティFCを除くと、ジョホール・ダルル・タジムFCが唯一の開幕から2連勝で早々と単独首位に立っています。
 今季のスーパーリーグは13チーム編成のため、谷川由来選手が所属するクチン・シティFCは今節は試合がありません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第2節
2025年8月12日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 5-3 ヌグリ・スンビランFC
⚽️ジョホール:ジョン・イラザバル2(38分、56分)、ジョアン・フィゲイレド(41分)、アリフ・アイマン(58分)、ベルグソン・ダ・シルバ(90+1分)
⚽️ヌグリ・スンビラン:ジョセフ・エッソ(8分)、ジョバン・モティカ2(13分、60分)
MOM: ジョン・イラザバル(ジョホール・ダルル・タジムFC)

両チーム合わせて8ゴールの試合は、自力に勝るジョホールが逆転勝利

開幕戦でスランゴールFCを3-0で退けたジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のシスコ・ムニョス監督は、この試合では若きエース、アリフ・アイマンと正GKシーハン・ハズミがベンチスタートとなり、弱冠19歳のヘリテイジ帰化選手、スペイン出身のクリスティアン・アバドがゴールを守るなど、開幕戦からは5名を入れ替えて、昨季12位のヌグリ・スンビランFCをホームに迎えました。

しかし先制したのはヌグリ・スンビランでした。MFアレクサンダー・アギャルカワ(スランゴールFCから加入)がJDTのオフサイドトラップの隙をついてDFライン裏へ絶妙のパスを出すと、これをFWジョセフ・エッソ(ガーナ1部ドリームズFCから加入)がゴール前まで持ち込み、GKクリスティアン・アバドをかわしてゴール!しかし、これで終わりませんでした。さらに13分には中央付近でエッソへのファウルでFKを得ると、JDTの選手たちがボールから目を切ったところで再びアギャルカワがこのFKを素早く前方へフィード。これをFWジョバン・モティカ(クアラ・ルンプール・シティFCから加入)が左サイドから持ち込み、GKアバドをかわしてゴール!VARの介入があったものの、結局オフサイドとはならずヌグリ・スンビランがリードを2点に広げます。

しかしJDTは38分に途中出場のFWアリフ・アイマンのコーナーキックをヘリテイジ帰化選手のCBジョン・イラザバル(アゼルバイジャン1部サバフFKから加入) が頭で合わせて1点差とすると、その3分後にはMFワイ・リン・アウン(ミャンマー1部ヤンゴン・ユナイテッドから加入)が自陣ゴール前にいたJDTのFWジョアン・フィゲイレドへまさかのパスミス。これを決められたヌグリ・スンビランは同点に追いつかれます。ワイ・リン・アウンはJDTの1点目もゴール前でイラザバルに競り負けており、この日は散々な出来でした。

前半を2−2で折り返した後半の56分、ついにJDTがリードを奪います。ショートコーナーからエクトル・ヘベルのクロスをイラザバルが押し込んで逆転すると、さらにその2分後にはアリフ・アイマンがゴールを決めて、今度は逆にJDTがリードを2点に広げます。

しかしヌグリ・スンビランもキャプテン佐々木匠選手からのパスを受けたモティカがこの試合2点目となるゴールを挙げ、JDTに迫ります。しかしJDTも90分にFWベルグソン・ダ・シルバがバイシクルキックでスーパーゴールを決め、ヌグリ・スンビランを突き放して開幕から2連勝を飾っています。 なおJDTがリーグ戦で3失点したのは2023年8月26日以来でした。

昨季はスランゴールFCを率いてJDTにはリーグ戦、FAカップ決勝と3戦全敗だったヌグリ・スンビランFCのニザム・ジャミル監督と、やはりスランゴールFCでFAカップ決勝ではJDTの厳しいマークと激しいチェックで途中退場に追い込まれたアレクサンダー・アギャルカワ。この2人にとってはこの日のJDT戦はいわばリベンジマッチだったはず。そんな試合でJDTに冷や汗をかかせたことで、2人の新しいチームであるヌグリ・スンビランFCがリーグ上位を狙える手応えを感じられたのではないでしょうか。また早いチェックでJDTにボールをゆっくりと持つスペースを与えない戦術も他のチームの対JDT戦の参考になったように思います。またサフワン・バハルディン(シンガポール1部ライオンシティセイラーズFCにローン移籍中)とともになぜ放出されたのかが理解できないアレクサンダー・アギャルカワもニザム監督のサッカーを理解している利点を活かして、今季のヌグリ・スンビランFCのキープレーヤーとなりそうです。

ヌグリ・スンビランFCの佐々木匠選手はキャプテンとして先発して65分に交代、常安澪選手は76分から出場して、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第2節
2025年8月12日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 3-0 DPMM FC
⚽️スランゴール:ケビン・ディーロムラム2(5分、36分)、クリゴール・モラエス(67分)
MOM:クリスティアン・ナウモフスキ(DPMM FC)

スランゴールは今季ホーム初戦で快勝

今季開幕戦となった前節のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)戦ではほぼ完敗だったスランゴールFCは、今季ホーム初戦となったこの試合ではDPMM FCと対戦しています。試合開始から積極的に攻めたスランゴールは開始5分でケビン・ディーロムラム(タイ1部ポートFCから加入)のゴールで先制すると、36分には先制点と同じように右サイドのクエンティン・チェンからのクロスを再びディーロムラムが押し込んで、スランゴールが2−0とリードします

2点リードで折り返した後半もスランゴールは攻撃の手を休めず、DPMMゴールに迫るものの、GKクリスティアン・ナウモフスキが好セーブを連発して凌ぐ中、またもクエンティン・チェンのクロスを今度はクリゴール・モラエス(タイ1部ブリーラム・ユナイテッドから加入)が頭で押し込んで3点目を挙げ、DPMMを圧倒しています。

マレーシアスーパーリーグ第2節
2025年8月12日@スルタン・ムハマド4世・スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC 1-1 イミグレセンFC
⚽️クランタン:イフェダヨ・オルセグン(79分PK)
⚽️イミグレセン:エドゥアルド・ソーサ(45+1分)
🟥アミラリ・チェヒニ(イミグレセンFC)

開幕戦でクアラ・ルンプール・シティFCに完封負けしていた昇格組のイミグレセンFCが昨季最下位のクランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFCを相手に、エドゥアルド・ソーサ(前コロンビア1部デポルテス・トリマ)の記念すべきスーパーリーグ初ゴールと初勝点を挙げています。なお開幕戦でクチン・シティFCに完封負けしていたクランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFCもイフェダヨ・オルセグン(PDRM FCから加入)のゴールでの引き分けに持ち込み、やはり今季初勝点を獲得しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第2節
2025年8月13日@ハン・ジェバ・スタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカFC 1-1 ペナンC
⚽️マラッカ:ホアン・ダグラス (70分)
⚽️ペナン:ディラン・ヴェンツル=ホールズ (29分)
MOM:ヴィトール・フランシスコ・ドス・サントス・デ・カルバリョ(マラッカFC)

こちらも昇格組のマラッカFCがホアン・ダグラス(ブラジル4部インデペンデンシアFCから加入)のゴールでスーパーリーグ初得点と初勝点をホームで挙げています。また開幕戦ではトレンガヌFCに完封負けしていたペナンFCもこの引き分けで今季初勝点を獲得しています。
ペナンFCの鈴木ブルーノ選手は今季初先発して、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第2節
2025年8月13日@KLフットボール・スタジアム(クアラ・ルンプール)
クアラ・ルンプール・シティFC 1-1 サバFC
⚽️クアラ・ルンプール:デクラン・ランバート(65分)
⚽️サバ:ガブリエル・ペレス(90+2分)
MOM:ガブリエル・ペレス(サバFC)
🟥:ディーン・ペレカノス(サバFC)

今季初戦となったサバは、前半終了間際にディーン・ペレカノス(オーストラリア1部ウェスタン・シドニー・ワンダラーズFCから加入)が危険なタックルで一発レッドとなり、後半は10人でのプレーを強いられます。しかも後半の65分にはデクラン・ランバートのクロスがDFデイン・インガム(オーストラリア1部ニューカッスル・ユナイテッド・ジェッツFCから加入)にあたってコースが変わるアンラッキーなゴール(記録はランバートのゴール)でクアラ・ルンプール・シティFCにリードを許します。

その後も好機を作りながら得点に結び付かなかったクアラ・ルンプール・シティFCが1点のリードを守ってアディショナルタイムに突入すると、サバFCはセンターサークル付近で得たFKをスチュアート・ウィルキンがゴール前へ蹴り込むと、途中出場のガブリエル・ペレスが頭で押し込み同点に追いつき、10人のサバFCがそのまま引き分けに持ち込んでいます。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第2節
2025年8月13日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 2-2 PDRM FC
⚽️トレンガヌ:アザム・アズミ(63分)、ヤン・マベラ(90分)
⚽️PDRM:ヘンリ・ドゥンビア2(13分、56分)

今季は上位を狙いたいトレンガヌFCはホーム開幕戦でまさかの引き分け。

開幕戦ではペナンFCを3−0で破っていたトレンガヌは、この試合がホーム開幕戦。しかしビジターのPDRM FCがヘンリ・ドゥンビア(リビヤ1部アル=イテハド・ミスラタSCから加入)の2発でリードを奪います。

しかしトレンガヌも65分にマレーシア代表SBアザム・アズミのゴールで1点差に迫ると、89分には自陣ゴール前でPDRM FCのサフィー・アフマドが痛恨のハンド。このPKをヤン・マベラ(ルクセンブルグ1部ラシンFCユニオン・ルクセンブルクから加入が)が決めて同点に追いつきますが、その後は追加点を奪えず、トレンガヌはホーム開幕戦を引き分けで終えています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第2節終了時点)

チーム勝点
1ジョホール22008356
2トレンガヌ21105234
3KLシティ21104134
4クチンシティ11004043
5スランゴール21013303
6PDRM20203302
7マラッカ10101101
8サバ10101101
9DPMM201125-31
10イミグレセン201114-31
11ペナン201114-31
12クランタン201115-41
13ヌグリ・スンビラン100135-20

2025/26マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第2節終了時点)

得点選手名所属
12ワンジャ・ンガクチンシティ
12パク・テスPDRM
12ヘンリ・ドゥンビアPDRM
12アリフ・アイマンジョホール
12ジョン・イラザバルジョホール
12ジョバン・モティカヌグリ・スンビラン
12ケビン・ディーロムラムスランゴール
12アザム・アズミトレンガヌ
91マヌエル・イダルゴ他21名KL

2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節 試合結果とハイライト映像・<br>ジョホールが12連覇に向けて好発進<br>・マレーシアリーグ17年ぶり復帰のブルネイDPMMは引き分け<br>・トップリーグ初参戦のイミグレセンFCは完封負け

2025/26年シーズンのマレーシアスーパーリーグが8月8日に開幕しました。来年5月までの10ヶ月間に渡る戦いは、絶対王者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のリーグ12連覇を阻むチームが現れるのか、はたまたその包囲網をJDTが潜り抜けてスーパーリーグ記録更新となる4季連続の国内三冠(リーグ、マレーシアカップ、FAカップ)を達成するのかどうかに注目が集まります。
 開幕節となる第1節ですが、今季のスーパーリーグは13チーム編成のため、佐々木匠、常安澪の両選手が所属するヌグリ・スンビランFCは今節は試合がありません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月8日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-0 スランゴールFC
⚽️ジョホール:ジャイロ・ダ・シウバ(2分)、エディ・イスラフィロフ(64分)、アリフ・アイマン(73分)
MOM:ジャイロ・ダ・シウバ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

12連覇へ向けて快勝スタート。

昨季のリーグ王者とマレーシアカップチャンピオンが対戦するスンバンシーカップ、(「スンバンシー」はマレーシア語では「寄付、貢献」)は、英国のコミュニティシールドを模したいわゆるスーパーカップ。本家が中立地のウェンブリー・スタジアムで行われるのに対し、スンバンシーカップはリーグ1位の本拠地で開催され、また本家は公式戦開幕前に行われるのに対し、スンバンシーカップはリーグ開幕戦、つまり公式戦の一環として行われます。

昨季までリーグ11連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が昨季2位のスランゴールFCをホームに迎えて行われたこの試合は、シスコ・ムニョス新監督率いる王者が、開始1分で先制します。スランゴールFCの中途半端なクリアを拾ったMFサム・カスティジェホ(前スペイン1部バレンシアCF)から左サイドを上がった左SBホナタン・シルバ(スペイン1部CFから加入)へボールが渡ると、シルバはこれをダイレクトでゴール前へ。これをFWジャイロ・ダ・シルバ(キプロス1部パフォスFCより加入)が体勢を崩しながらも押し込み、JDTがあっという間に先制します。

ローン移籍先のパファスFCでチームメートだった「シルバ」コンビの活躍で先制したJDTは先制点を演出したカスティジェホが26分に接触プレーから退場するアクシデントがあったものの、ベンチスタートとなっていた昨季32ゴールの得点王ベルグソン・ダ・シルバが交代出場してその穴を感じさせないプレーを見せました。一方のスランゴールは41分にFWファイサル・ハリムからのパスを右サイドで受けたFWクリゴール・モラエス(タイ1部ブリーラム・ユナイテッドから加入)がGKと1対1となるチャンスを得ますが、マレーシア代表GKシーハン・ハズミがシュートを弾き、スランゴールは同点のチャンスを阻まれてしまいます。

前半をJDTのリードで折り返すと、後半64分に得たコーナーキックを若きエース、FWアリフ・アイマンが蹴ると、それに合わせて走り込んできたCBエディ・イスラフィロフが頭で合わせる絶妙のセットプレーでリードを広げたJDTは、さらにアリフ自身が73分にダメ押しのゴールを得意の右サイドの角度のないところから決めて完勝。12連覇に向けて快調なスタートを切っています。

昨季途中に就任し、今季は開幕からスランゴールFCの指揮を取る喜熨斗勝史監督も開始2分での失点について「集中力を失っていなければ防ぐことができたミスであり、JDTのような強いチームはそんなミスを許容しない。」と述べて、競った試合でこのようなミスをしている限りはスランゴールFCはチャンピオンになれない、とチームに苦言を呈するとともに、次戦に向けてミスの修正を直ちに行うとも述べています。

また喜熨斗監督はJDTとスランゴールFCとの間にフィジカルと技術の両方で大きな差があると述べ、今後はより厳しい練習をしていく必要性についても言及しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月9日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン・スタジアム)
イミグレセンFC 0-3 クアラ・ルンプール・シティFC
⚽️クアラ・ルンプール:リザル・ガザリ(30分OG)、サファウィ・ラシド(56分)、マヌエル・イダルゴ(83分PK)
MOM:クインシー・カメラード(クアラ・ルンプール・シティFC)

JDTのセカンドチームかと見紛うクアラ・ルンプール・シティFC(KLシティFC)が、今季から新規参入のイミグレセンFCに格の違いを見せつけて快勝。

先発ではライアン・ランバート、サファウィ・ラシド、マヌエル・イダルゴがJDTからローン移籍、またシャズワン・アンディクはJDTからの完全移籍、さらにベンチにはローン移籍中のデクラン・ランバート、完全移籍のニコラオ・ドゥミトルの合計6名が昨季はJDTの所属選手。そのKLシティはイミグレセンFCのキャプテンでDFリザル・ガザリのオウンゴールで先制すると、試合前にはシファ・メルビン夫人が2人目の子どもを懐妊したことを明らかにしたFWサファウイ・ラシドが56分に、そして83分にはザフリ・ヤーヤが倒されて得たPKをマヌエル・イダルゴが決め、過去30年間で初となる開幕戦でのクリーンシートで勝利しています。

イミグレセンFCは、昨季はサバFCで9試合にプレーして7ゴールを挙げたFWジョアン・ペドロ(ベトナム1部ホーチミンシティFCから加入)が72分に、またアディショナルタイムにはFWラファエル・オールシュテイン(リオグランデドスル州2部ECパッソ・フンドから加入)の新加入FWコンビがいずれもPKを外すなど、無得点に終わっています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月9日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチン・シティFC 4-0 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC
⚽️クチン:ロナルド・ンガ2(6分、71分)、ジョアン・ペドロ(18分)、ラマダン・サイフラー(90+3分)
MOM:ワンジャ・ンガ(クチン・シティFC)

前年の13位から昨季は4位と大躍進を果たしたクチンシティFCがホームで完勝

2022年シーズンにはクダ・ダルル・アマンFC(当時1部、現在は3部A1セミプロリーグ)で23試合に出場し15ゴール5アシストの記録を残していたFWロナルド・ンガ(イラク1部アル・カラバアSCから加入)がマレーシアリーグ復帰初戦で2ゴール、さらに新加入の東ティモール代表FWジョアン・ペドロ(カンボジア1部アンコール・タイガーFCから加入)、そして昨季はJDTからローン移籍ながら、今季は完全移籍となったFWラマダン・サイフラーがゴールを挙げて、クチンシティFCが白星スタート。

次節第2節は試合がないクチンシティは、第3節8月24日に王者JDTと対戦します。

クチン・シティFCの谷川由来選手はベンチ外でした。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月9日@MBSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 2-2 DPMMFC
⚽️PDRM:パク・テス2(68分、72分)
⚽️DPMM:ラマダン・サナンタ(3分)、ミゲル・オリベイラ(6分)
MOM:パク・テス(PDRM FC)

マレーシアリーグ復帰のブルネイDPMM FCはPDRM FCと引き分け

17年ぶりのマレーシアリーグ復帰となったDPMM FCは、インドネシア代表FWラマダン・サナンタ(インドネシア1部プルシス・ソロから加入)、FWミゲル・オリベイラ(前クウェート1部アル・ヤルムークSC)のゴールで6分までに2点をリードします。ホームのPDRM FCは、24分にMFパク・テス(サバFCから加入)とDPMM FCのGKクリスティアン・ナウモフスキが交錯し、PDRM FCはPKを獲得しますが、MFアフマド・イスライワの蹴ったPKはナウモフスキが反応よく弾いてゴールを守ります。

しかし後半に入るとパクが68分には頭で、72分にはゴール前のこぼれ球を蹴り込んで同点に追いつき、その後は両チームとも得点を挙げられず、このまま試合終了。

DPMM FCのジェイミー・マカリスター監督は、好機を活かせていれば早い段階で試合の行方を決めることができたと話す一方で、後半はPDRMに押されていたことを認めながらも、いずれの失点もミスからであることを悔やんでいました。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第1節
2025年8月10日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0-3 トレンガヌFC
⚽️トレンガヌ:アザム・アズミ(50分)、ガブリエル・シルバ(55分)、カーラフ・ラスカム(89分)
MOM:ガブリエル・シルバ(トレンガヌFC)

前半から両チームともにチャンスを得ながらゴールに繋がらない、フラストレーションが溜まる試合は、後半開始とともに動きます。

先制したのはアウェイのトレンガヌ。左サイドのサフワン・マズランからのボールはペナンDFラインの裏へ。そこに抜け出したアザム・アズミが狙いすましてファーサイドを狙ったシュートをペナンGKカイルルアズハン・カリド(スランゴールFCから加入)が止められず、トレンガヌがリードします。さらにその5分後にはガブリエル・シルバがペナンDFに競り勝って2点目のゴールを決めます。ペナンはダニロ・シポヴァツ(ボスニア1部FK BSKバニャ・ルカから加入)らのシュートがトレンガヌGKスハイミ・フシンにことごとく止められ、その間に途中出場のカライフ・ナスカムが3点目を決めて、トレンガヌがそのまま逃げ切っています。

ペナンFCの鈴木ブルーノ選手は58分から交代出場し、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第1節終了時点)

チーム勝点
1クチン11004043
2ジョホール11003003
2KL11003003
2トレンガヌ11003003
5PDRM10102201
5DPMM10102201
7サバ00000000
7マラッカ00000000
7ヌグリ・スンビラン00000000
10ペナン100103-30
10イミグレセン100103-30
10スランゴール100103-30
13クランタン100104-40

2025/26マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第1節終了時点)

得点選手名所属試合
12ワンジャ・ンガクチン1
12パク・テスPDRM1
31ミゲル・オリヴェリアDPMM1
31アリフ・アイマンジョホール1
31マヌエル・イダルゴKL1
31ジョアン・ペドロクチン1

7月14日のニュース<br>・昨季給料未払い問題発生のクランタンTRW FCには大量12名の外国籍選手が加入<br>・実質国内2部リーグのA1セミプロリーグの優勝賞金が倍増<br>・マレーシア首相がKLサッカー協会に3400万円配分もなぜ?

一昨日7月12日に今季2025/26シーズンの初観戦となるクランタン・レッド・ウォリアーズFC(KRW FC)対ヌグリ・スンビランFC戦を観戦しました。この試合はマレー半島東海岸のクランタン州を本拠地とするKRW FCとヌグリ・スンビラン州を本拠地にするヌグリ・スンビランFCがクアラルンプールのKLフットボールスタジアムで対戦すると言うなかなか珍しい試合でした。

KRW FCはマレーシアのサッカーどころとも言えるクランタン州を本拠地とし、2012年にはリーグ、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠なども達成したことがある名門ながら放漫財政や民営化の失敗などで消滅してしまったクランタンFCの流れを汲むクラブとして新たに発足し、今季から実質2部のA1セミプロリーグに参戦するクラブです。

一方のヌグリ・スンビランFCは過去数年は、チーム強化のための投資をあまり積極的に行ってこなかったクラブで、1部スーパーリーグに昇格した2022年はリーグ4位だったものの、そこからクラブ創設100周年となった2023年は9位、そして昨季2024/25シーズンは12位と苦しんでいましたが、このオフには、新監督として昨季途中までスランゴールFCの監督を務めていたニザム・ジャミル監督が就任し、また近年にない積極的な補強を行いました。

そんな両チームの対戦は、いずれも新戦力のヨヴァン・モティカ(KLシティFCから移籍)と常安澪(J3ガイナーレ鳥取よりローン移籍)の左右両WGが試合開始から躍動し、ヌグリ・スンビランが押し気味に試合を進めます。先制点もこのコンビが機能し、モティカ選手のクロスを常安選手が高いジャンプからヘディングシュートを決めて先制しました。試合は後半にもやはり新戦力のルクマン・ハキムが絡んで2点目を挙げたヌグリ・スンビランが快勝しています。コンビネーションにはまだまだ改善の要素があるように見えましたが、佐々木匠選手が孤軍奮闘した昨季終盤のチームからは明らかに変わっており、ヌグリ・スンビランFCは今季の台風の目になりような予感を感じました。

一方のKRW FCは、2012年のクランタンFC国内三冠達成の時の主力選手だったマット・ヨーの愛称で知られる39歳のFWノーシャルル・イドラン・タラハがキャプテンとして先発し、スタンドの大半を占めたKRW FCサポーターが大盛り上がりを見せていました。マレーシア代表として31ゴールを決めている大ベテランは昨季で引退していましたが、7月1日にKRW FCと契約を結んで現役復帰しています。クラブ創設から1シーズンでの1部スーパーリーグ入りを目指すKRW FCをピッチ内外でリードする存在となりそうです。またこの試合前に正式に加入が発表されたFWエマニュエル・ムバルガ(タイ1部チャイナート・ホーンビルFCから加入)、AMFケイデン・ソパー(マンジュンシティFCから加入)、そしてイギリス生まれのパキスタン代表FWオティス・カーン(英国4部オールダム・アスレチックAFCから加入)の外国籍選手も揃って出場しています。

昨季給料未払い問題発生のクランタンTRW FCには大量12名の外国籍選手が加入

前述のクランタン・レッド・ウォリアーズFCは今季から実質2部のA1セミプロリーグに参入するクラブですが、クランタンには1部スーパーリーグに所属するクランタン・ダルル・ナイムFCというクラブもあります。こちらはKRW FCの前身クランタンFCの凋落と時を同じくして、3部から2部、そして1部へと這い上がってきたクラブです。かつてはクランタン・ユナイテッドFCという名称で、前日本代表の本山雅志氏も2021年から2年間在籍したことがあるクラブです。

このクラブが今季はクランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC(KTRW FC)と名称を変更してスーパーリーグへ参戦することが明らかになりました。前述のクランタン・レッド・ウォリアーズFCはKRW FCと表されますが、こちらはKTRW FCとなり、なぜこんなにややこしい名称にしたのかは不明です。

このKTRW FCは、昨季は給料未払い問題が起こり、シーズン後半は外国籍選手を含めた多くの主力選手が退団し、シーズン終盤はU23やU21チームの選手を試合に起用した結果、2勝1分21敗で得点16失点82という成績で12位のヌグリ・スンビランFCから勝点9も離されたダントツの最下位でした。しかしのこのKTRW FCは、12名の外国籍選手を獲得するようだとマレーシアのスポーツ専門サイトのアストロ・アリーナが報じています。その12名は昨季はともにPDRM FCでプレーしたCFイフェダヨ・オルセグンとWGプリンス・アグレに加えて、フィリピン、ミャンマー、シエラレオネ、シリアの選手が加わることを、チームアドバイザーで、前クランタン州サッカー協会会長のアヌアル・ムサ氏が明らかにしています。

アヌアル氏は、今季のKTRW FCは外国籍選手とトップリーグでの経験が豊富なマレーシア人選手が中心となり、育成が必要なマレーシア人若手選手がこれに加わるチーム編成となることも明らかにしています。

「このようなチーム編成にすることで、(前マレーシア代表コーチの)E・エラバラサン監督は育成だけでなく、結果にもフォーカスした指導ができるはずだ。クランタン州のサッカーファンは(昨季の成績に)耐え難く思っており、チームが勝利することを望んでいる。今季は(14チーム中の)トップ10入りを目標としているが、これは決して高望みな目標だとは思っていない。このチームが下位に沈むことはないと信じている。」とアヌアル氏は述べています。


アヌアル氏の志はともかく、KTRW FCは実はまだ問題を抱えています。昨季の給料未払い問題は当然のことながらクラブの財務状況に問題があったからですが、そのクラブが12名もの外国籍選手を獲得できるのは、KTRW FCがMFLの設けるクラブライセンス交付条件を満たしていないからだという指摘が出ています。MFLはクラブライセンス交付の条件にクラブが最低4つの年代別チームを運営することを求めています。そしてこの年代別チームの内、U21チームが参加するプレジデントカップと、U19チームが参加するユースカップにそれぞれ1チームを出場させることも条件としています。しかし今季2025/26シーズンのマレーシア1部スーパーリーグ出場のために必要なクラブライセンスを交付されたすべてのクラブの中で、KTRW FCだけが今季のプレジデントカップにもユースカップにもチームを出場させていません。にもかかわらずクラブライセンスを交付した第一審機関(FIB)とスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)には、リーグ参加チーム数を減らさないためにこの規則違反に目を瞑っているという批判も出ています。

さらに前述したようにこのチームは昨季も主力が退団したシーズン後半には、本来ならプレジデントカップやユースカップに出場するべきU23やU19の選手をスーパーリーグの試合で起用したことに対してMFLが警告なども含めた何の処分を科していないことも批判を受けています。なおこの件に関してMFLは、KTRW FCのU23やU19チームがプレジデントカップやユースカップに「昨季(2024/25シーズン)」出場したことを理由にクラブライセンス交付条件を満たしていると説明しています。

実質国内2部リーグのA1セミプロリーグの優勝賞金が倍増

現在2部リーグのプレミアリーグが休止中のため、実質2部となっている3部のA1セミプロリーグですが、今季は優勝賞金が倍増されることが発表されています。

A1セミプロリーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)のユソフ・マハディ会長は、「今季の優勝賞金は、昨季から100%アップした20万リンギ(およそ690万円)となる。この増額が昨季以上のレベルアップとなり、さらによりエキサイティングなリーグとなることを期待している。」と述べています。

昨季優勝のマラッカFCと2位のイミグレセン(入国管理局)FCが1部スーパーリーグに昇格したA1スーパーリーグですが、今季からはスーパーリーグのセカンドチーム(フィーダーチーム)の参加が3シーズンぶりに認められ、スーパーリーグでは11連覇中の絶対王者ジョホール・ダルル・タジムFCのセカンドチームJDT IIと、同じくスーパーリーグで昨季2位のスランゴールFCのセカンドチームのスランゴールFC IIが参戦、また1部昇格を果たしたイミグレセンFCのセカンドチーム、イミグレセンFC IIも新たに参加します。この他、昨季もA1セミプロリーグでプレーしたATM(マレーシア国軍)FC、マレーシア大学FC、マンジュンシティFC、マチャンFC、そして昨季はブンガラヤ・ダマンサラFCとして参戦したクラブがブンガラヤFCとUMダマンサラFCに分かれて出場する他、実質3部のA2アマチュアリーグの優勝チームのクランタンWTS FCと準優勝のプルリスGSA FCもこのA1セミプロリーグに昇格します。

この10チームに加えて、今季の1部スーパーリーグ参入に必要なクラブライセンスを交付されなかったクダ・ダルル・アマンFCが今季はA1セミプロリーグに参戦する他、同じクダ州からクダ州サッカー協会(クダFA)チーム、同じくクラブライセンスが交付されず解散したペラFCに代わりペラ州サッカー協会(ペラFA)チーム、かつて国内三冠を達成したクランタンFCの流れを汲むクランタン・レッド・ウォリアーズFC、韓国のアマチュアクラブのFCソウル・フェニックスが加わった合計16チームが、今季のA1セミプロリーグに参戦します。

AFLの規定では、A1セミプロリーグ参加チームは最低10名の選手とプロ契約を結ぶことになっていますが、完全プロチームのJDT IIやスランゴールFC IIが参戦するため、この時点で既に「セミプロリーグ」ではなくなり、プロとアマチュアが同居するリーグとなります。また今季から参戦するクダ・ダルル・アマンFCもれっきとしたプロクラブであり、クランタン・レッド・ウォリアーズFCとペラFAもそれぞれ、スーパーリーグに在籍していたクランタンFCとペラFCの流れを汲んで誕生したチームであり、外国籍選手が参加することを表明しており、ほとんどプロリーグといった状況です。

この状況で予想されるのはリーグ内の二極化です。完全プロクラブとセミプロクラブが同居することで、A1セミプロリーグがユソフAFL会長が望む「昨季以上のレベルアップとなり、さらによりエキサイティングなリーグとなる」ことが実現できるのかどうかは、スーパーリーグより一足早く8月2日に開幕するリーグを見守りたいと思います。

マレーシア首相がKLサッカー協会に3400万円配分もなぜ?

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、7月12日にクアラルンプールサッカー協会(KLFA)に100万リンギ(およそ3400万円)を配分することを発表しています。

KLFAの創設50周年記念式典に参加したアンワル首相は、これまで政府として国内で広く愛されているサッカーの発展を支援してきたと説明した上で、さらに発展を進めるための基礎としてインフラ整備に重きを置くことを求めたいと述べています。

「今回の配分はマレーシアサッカーを地位を高める機会になるよう、教育省や高等教育省、さらには他の教育機関と協力した上で下地づくりから始めるべきだと考えている。そのためには十分なインフラが欠かせない。練習場やトレーニング施設、アカデミーなど我々の子どもたちが正しく快適にトレーニングができるような環境を作ることが重要だ。」と式典の挨拶で述べたアンワル首相は、KLFA後援者で自身と同じ人民正義党所属のファーミ・ファジル通信大臣、サイド・ヤジドKLFA会長とともに登壇しました


アンワル首相は昨年はマレーシアサッカー協会(FAM)に対して、マレーシア代表強化のために1500万リンギ(およそ5億2000万円)を分配しており、他のスポーツ団体からはサッカーに偏った支援に対する不公平感への不満も出ており、今回のKLFAへの分配は、同様の声が今度は同じサッカー界の他州サッカー協会から上がる可能性があります。

7月12日のニュース<br>・ベトナム撃破のマレーシアはおよそ20年ぶりにFIFAランキング120位代入り<br>・開幕まで1ヶ月でリーグ規定変更-外国籍選手の同時出場枠は当初の7から6へ<br>・マレーシアリーグの今季日程発表-8月開幕来年5月閉幕の10ヶ月シーズンに<br>・前スポルティング・ヒホンのMFメンデスがジョホール入り-しかもヘリテイジ帰化選手であることも明らかに

英国1部のウエストハム・ユナイテッドのU18チームに在籍する16歳のCBハリー・モンタギューに将来のマレーシア代表入りの可能性が報じられています。ウエストハム・ユナイテッドのクラブ公式サイトでもマレーシアの血を引いていることが明らかにされているモンタギュー選手は、サバ州サンダカン出身の母親を持ち、将来のマレーシア代表入りを望んでいると発言しているということです。16歳ながら既に身長が185センチあり、CBの他にもDMFなどもこなすモンタギュー選手の今後に注目です。

ベトナム撃破のマレーシアは19年ぶりにFIFAランキング120位代入り

19年ぶりの120位代入りは帰化選手皆さんのおかげです。

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回から6ランクアップして125位となっています。マレーシアが120位代になるのは2006年5月に127位を記録して以来、およそ19年ぶりのことです。

先月6月に行われたAFCアジア杯2027年大会3次予選では、今年に入って7名が代表入りしたヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)の活躍のおかげで、格上のベトナムを相手に4−0と11年ぶりの勝利を挙げており、この勝利のおかげで14.91ポイントを獲得したマレーシアは合計1138.48ポイントとなり、同じく6ランクアップして147位となった香港と共にアジアで最大の上げ幅を記録したチームとなりました。

東南アジアでは域内3位のインドネシアが5ランクアップして118位に、またラオスも同じく5ランクアップして185位になっています。その他の国では、フィリピン145位(1ランクアップ)、シンガポール159位(2ランクアップ)、ミャンマー160位(2ランクアップ)、カンボジア180位(1ランクアップ)、ブルネイ183位(2ランクアップ)、ラオス185位、東ティモール195位(2ランクアップ)となっていますが、その一方で東南アジア1位のタイは3ランクダウンの102位、同2位のベトナムは4ランクダウンの113位に後退しています。

開幕まで1ヶ月の土壇場でリーグ規定変更-外国籍選手の同時出場枠は7から6へ

これが通用するのがマレーシア!(笑)

8月8日に今季2025/26シーズンが開幕するマレーシア1部スーパーリーグ。そのスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が今季のリーグ規約の変更を発表しています。

MFLは公式サイト上で、今季の外国籍選手の試合出場について当時にピッチに立つことができる人数を当初の7名から6名とすることを今頃になって発表しています。MFLは5月22日に今季のリーグ規約を発表し、1クラブあたりの登録人数を30名とすること(ただしACLエリートやACL2に出場するクラブに限り34名まで登録可能)、1クラブあたりの外国籍選手の登録人数を最大15名とすること、また外国籍選手の試合出場については最大で9名までがベンチ入り可能で、同時にピッチに立つことができるのは7名(内訳は無条件4名、アジア枠1名、東南アジア枠2名)とすることを発表していました。

この発表直後には、この規定ではマレーシア人選手の出場機会が激減する可能性を示唆する声が多く上がる一方で、ACLエリートは外国人枠が完全撤廃されている点やACL2や東南アジアクラブ選手権では7名が同時にピッチに立てることから、マレーシア国外の状況も考慮するとやむなしと言った声も上がっていました。

しかしMFLは当初の発表から1ヶ月半、今季の開幕まで1ヶ月を切ったところで大どんでん返しを行いました。MFL理事会が決定した今回の規定変更により、ベンチ入り9名は変更がないものの、同時にピッチに立てるのは1名減って6名となり、その内訳は無制限4名、アジア枠4名、東南アジア枠1名となっています。なおMFLは今回の規定変更について、マレーシアリーグそのものへの影響と、マレーシア人選手の育成という観点から再考した結果と説明しています。とは言え、国内に溢れているヘリテイジ帰化選手が既にマレーシア人選手の出場機会を奪っているという指摘もあります。

もちろんエンターテイメントという点では、マレーシア人よりもレベルが高い外国籍選手が多くプレーすれば、スーパーリーグのレベルも商業価値も、そして興行収入も全てアップするでしょう。それはそれで良いのですが、マレーシア人選手の出場機会が奪われれば、ひいては代表チームの強化に悪い影響が出ることも予想できます。しかしその一方で、ここ数ヶ月で加速しているヘリテイジ帰化選手(外国で生まれ育ったもののマレーシアにルーツを持つ選手)によるマレーシア代表強化策を見ると、代表チームに関わっている方々の強化方針にはマレーシア人選手のレベルアップは含まれていないようにも思えてしまいます。

またMFLは、今回の規約変更にあたっては、スーパーリーグの各クラブの意見を取り入れた結果でもあると説明しており、今回出場枠が2から1に減った東南アジア枠については、クラブ側から東南アジアの選手が増えても強化にはつながらないという声も出たと説明しています。しかしタイやベトナム、インドネシアなどの代表主力クラスに職種を伸ばすマレーシアのクラブはほとんどなく、そのレベルの選手を取らずに東南アジアの選手が戦力になるかどうかを語るのもモヤモヤします。

マレーシアリーグの今季日程発表-8月開幕来年5月閉幕の10ヶ月シーズンに

8月8日に今季2025/26シーズンが開幕するマレーシア1部スーパーリーグ。そのスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が今季のリーグ規約の変更を発表しています。

8月8日の今季開幕戦は昨季のリーグ王者で国内三冠(リーグ、FAカップ、マレーシアカップ)達成のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がリーグ2位のスランゴールFCをホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムに迎えます。この試合は英国のコミュニティーシールドを模したスンバンシーカップと呼ばれる前年リーグ覇者とマレーシアカップチャンピオンが対戦するカップ戦を兼ねています。今季のリーグは、秋春制以降のために変則となった昨季の14ヶ月から10ヶ月となっており、最終節は2026年5月16日に予定されています。またFAカップは1回戦が8月15日から始まり、決勝は12月14日、そしてマレーシアカップは来年1月17日に開幕し、決勝は来年の5月23日に予定されています。なお詳しい日程はこちらです。

なおJDTが出場するACLエリートとスランゴールFCが出場するACL2は、今季の大会の組合せ抽選が来月8月15日に行われることになっており、MFLは両チームのACLエリートとACL2の日程が明らかになった上で、スーパーリーグの日程が変更される可能性があるとしています。

またこの両チームは東南アジアサッカー連盟AFFクラブ選手権「ショピーカップ」にも出場しますが、その日程の発表がこのMFLの日程発表直前だったこともあり、MFLはこちらについても日程変更を発表する可能性があります。なおJDT(左)とスランゴールFC(右)のショピーカップの試合日程は以下の通りです。

前スポルティング・ヒホンのMFナチョ・メンデスがジョホール入り-しかもヘリテイジ帰化選手であることも明らかに

ヘリテイジ帰化選手がまた1人ジョホールへ加入

スペインでプレシーズンキャンプを行っているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、スペイン生まれのMFナチョ・メンデスがスペイン2部スポルティング・ヒホンから加入することを発表しています。

ユースからスポルティング・ヒホンでプレーする27歳のメンデス選手にとっては今回のジョホール移籍がスペイン国外への初めての移籍となります。2017年にトップチームデビューを果たしているメンデス選手は、昨季2024/25シーズンはキャプテンとしてチームの全42試合中39試合に出場し、4ゴール1アシストの記録を残しています。

さらにJDTのクラブ公式SNSでは「『ヘリテイジ帰化選手』のナチョ・メンデスがJDTに加わった。」と告知しており、来月、マレーシア代表が出場する中央アジアサッカー連盟CAFAネイションズカップでの代表デビューがありそうです。なおメンデス選手の加入で、今月7月にJDTに加入したヘリテイジ帰化選手はスペイン出身のDFジョン・イラザバル、オランダ出身のMFエクトル・ヘヴェル、ブラジル出身のFWジョアン・フィゲイレドと合わせて4名となりました。

7月9日のニュース<br>・マレーシア女子代表もヘリテイジ帰化選手による強化を目指す<br>・さすが金満クラブ!ブルネイDPMMがアウェイチームの移動費用と宿泊費を全額負担<br>・ジョホールはキャンプ地スペインでプレシーズンマッチ2連勝<br>・スランゴールで構想外のキャプテンはライオンシティセイラーズにローン移籍

マレーシア女子代表もヘリテイジ帰化選手による強化を目指す-FAM

何かと話題のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)による強化が進むマレーシア男子代表ですが、英字紙ニューストレイトタイムズは、マレーシアサッカー協会FAMは女子代表もヘリテイジ帰化選手の参加による強化方針を打ち出していると報じています。

FAM女子委員会のスラヤ・ヤアコブ委員長は、来月8月6日から10日までクアラルンプールで行われるAFC U20女子アジア杯2026年大会予選に国外出身の3選手を代表招集する予定であることを明らかにしています。このAFC U20女子アジア杯2026年大会予選ではマレーシアはF組の開催国となり、日本、イラン、グアムと同組になっています。

スラヤ委員長は昨年の憲法改正により、マレーシア国外でマレーシア人の母親とマレーシア人以外の父親との間に生まれた子どもは、自動的にマレーシア国籍を取得できるようになったことで、国外生まれの選手の国籍取得が容易になり、より多くの選手がマレーシア女子代表候補となると期待していると述べています。(この憲法改正以前は、マレーシア人の父親とマレーシア人以外の母親の間に生まれた子どもに限り、自動的に国籍取得となっていました。)

またスラヤ委員長は「FAMは国外に住む選手を広く受け入れたい。もちろん代表入りについては審査が必要になるが、既にアメリカやオーストラリア、イギリスなどでプレーしている選手からは問い合わせも受けている。」と述べ、、男子代表がヘリテイジ帰化選手の参加により注目を集めたことで、国外でプレーするマレーシアにルーツを持つ女子選手からの関心も高まっていると説明しています。

さすが金満クラブ!ブルネイDPMMがアウェイチームの移動費用と宿泊費を全額負担

今季2025/26シーズンからマレーシアスーパーリーグ(MSL)に参戦する隣国ブルネイのクラブ、DPMM FCはホームゲームを首都のバンダル・スリ・ブガワンで開催する子を発表していますが、ブルネイのあるボルネオ島は多くのMSLクラブが本拠地を持つマレー半島から南シナ海を挟んでおよそ1500キロメートル離れています。空路での移動となるとその費用も安くはありませんが、この移動費用をDPMM FCが全額負担することをMSLを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が明らかにしています。

昨季2023年シーズンと2024/25シーズンの2シーズンはシンガポール1部プレミアリーグに参戦したDPMM FCは、その主戦場をマレーシアスーパーリーグとしますが、MFLのモハマド・シャザリCEO代行によると、この費用の負担はDPMM FCのマレーシアリーグ参入の際の重要な要件だったようです。

なおDPMM FCはマレーシアスーパーリーグでタイトルを獲得した場合でも、マレーシアを代表してアジアサッカー連盟AFC主催大会のACLエリートやACL2、また東南アジアサッカー連盟AFF主催大会のクラブ選手権ショピーカップなどへの出場権は与えられないことも明らかになっています。

また8月に開幕するマレーシアスーパーリーグ(MSL)について、今季昇格を果たしたイミグレセン(入国管理局)FCを除く12チームの本拠地の確定と、各クラブの本拠地が使用できない場合の代替開催地として今季のMSL参加を辞退したスリ・パハンFCのホーム、ダルル・マクモル・スタジアムを使用することなども発表されています。これはクランタン・ダルル・ナイムFCのホームであるクランタン州コタ・バルのスルタン・モハマド4世スタジアムが来年2026年の2月から3月にかけてのイスラム教の断食月(ラマダン)中はタラウィーと呼ばれるラマダン期間中の祈りの場として使用され、スタジアムの使用ができなくなる場合などに使われるということです。


DPMM FCは2005年から2008年まではマレーシアリーグでプレーしていたこともあり、国内のサッカー協会の問題を理由にマレーシアリーグから撤退し、翌2009年シーズンにはシンガポールリーグへ移っています。その後、ブルネイ政府によるブルネイサッカー協会(BFA)への介入を理由にFIFAはBFAの資格を停止し、これにDPMM FCはシンガポールリーグからも撤退し、最終的には2012年にシンガポールリーグに復帰しています。

その一方で2018年に再びマレーシアリーグ復帰を画策したDPMM FCでしたが、当時リーグを運営していたフットボールマレーシアLLP(現MFL)が、ホームゲームをマレーシア国内で行うこと、ブルネイ人は外国籍選手登録となることなどを条件としたために、マレーシアリーグ参戦を断念、今度はインドネシアリーグ参入を試みるものの、インドネシアサッカー協会PSSIからは断られ、結局はシンガポールリーグに残留しました。

今回のマレーシアリーグ参入にあたりDPMM FCは自国でのホームゲーム開催が認められたことに加え、ブルネイ国籍の選手をマレーシア国籍の選手と同様に登録することも認められており、前回参入を試みた時よりも環境は整っています。またマレーシアスーパーリーグにとっても今季はクダ・ダルル・アマンFC、ペラFC、スリ・パハンFCと昨季から一気に3クラブが撤退する中でのDPMM FC参入認可は、クラブ数減少という苦境をを打破する苦肉の策の結果とも言えそうです。

ジョホールはキャンプ地スペインでプレシーズンマッチ2連勝

リーグ12連覇に向けて7月2日よりスペインの南東部バレンシア州アリカンテでプレシーズンキャンプを行っているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、現地時間7月7日に2試合目のプレシーズンマッチを行い。スペイン5部相当のバレンシア地域リーグに所属するコスタ・クラブと対戦し、ベルグソン・ダ・シルヴァが68分に決めた1点を守り切って勝利しています。

JDTは7月6日にはスペイン3部のレアル・ムルシアCFのBチームでやはりスペイン5部相当のレアル・ムルシア・インペリアルと対戦して4-0で勝利しています。こちらの試合ではベルグソン選手(5分)の他、新加入のハイロことハイロ・ダ・シルヴァが20分に、そしてコロンビア出身の帰化選手ロメル・モラエスが56分と64分にそれぞれゴールを決めて快勝しています。

シスコ・ムニョス新監督が就任したJDTの次戦は7月9日(現地時間)に行われる英国3部リーグ所属で、マレーシア人実業家のヴィンセント・タン氏が所有するカーディフ・シティFC戦です。さらにJDTは7月12日にはスペイン2部のレバンテUD、その2日後にはバレンシアCFのリザーブチーム、同4部のバレンシア・メスタージャとの対戦が発表されている他、カタールリーグで昨季5位のアル・ラーヤンSCと7月16日に、同9位のアル・アラビSCと7月19日に対戦します。また7月21日にはサウジアラビア1部リーグで昨季11位のアル・リヤドSCと対戦した後、22日間に及ぶスペインキャンプを終えてマレーシアに帰国します。

スランゴールで構想外のキャプテンはライオンシティセイラーズにローン移籍

喜熨斗勝史監督の構想外であることが明らかになったスランゴールFCのキャプテンでシンガポール代表のCBサフワン・バハルディンが、自国リーグの王者、ライオンシティ・セイラーズFCへローン移籍することを、スランゴールFCが公式SNSで明らかにしています。

契約期間が来年6月末までと1年残っているサフワン選手は、現在、タイでプレシーズンキャンプ中のチームを離れて、スランゴールFC U23チームの練習に参加していることが報じられると、その去就に注目が集まっていました。

2015年にメルボルンシティFCと契約し、シンガポール人選手として初めてオーストラリア1部リーグでプレーしたサフワン選手は、2016年シーズンからはPDRM、パハン、スランゴール、ヌグリ・スンビランと複数のクラブでプレーした後、2023年シーズンからはスランゴールFCでキャプテンとしてプレーしていました。

移籍するライオンシティ・セイラーズは昨季のACL2では決勝に進出し、アラブ首長国連邦UAE1部のシャルージャFCに1-2と惜敗しています。10年ぶりのシンガポールリーグ復帰となるサフワン選手ですが、チームにはシンガポール代表のチームメートも多く在籍し、サフワン選手自身もシンガポールサッカーのレベルアップに貢献できることは何でもする覚悟であると述べています。

7月8日のニュース<br>・C大阪のクールズがマレーシア人選手初のJ1デビュー<br>・AFC -マレーシアの帰化選手について公式な異議申し立てはこれまでなし<br>・6月代表初招集のブラジル出身帰化選手がジョホール入り-ジョホール入り帰化選手はこの1ヶ月で3人目

C大阪のクールズがマレーシア人選手初のJ1デビュー

タイ1部ブリーラム・ユナイテッドからJリーグのセレッソ大阪へ移籍したマレーシア代表DFディオン・クールズが移籍3試合目にして、ついにJリーグデビューを果たしています。移籍直後のFC東京戦はベンチ外、続く東京ヴェルディ戦はベンチ入りしたものの出番なしと、マレーシアのサッカーファンはもやもやしましたが、加入3試合目となる7月5日のガンバ大阪との大阪ダービーで0-1と劣勢の中、72分にJ1デビューを果たしています。

試合は70分にガンバがイスラエル代表MFネタ・ラヴィの放ったシュートが近くにいたチームメートの半田陸選手の背中に当たってコースが変わるラッキーなゴールで先制します。そしてその3分後に、ついにクールズの出番がやってきました。右SBの奥田勇斗選手と交代で出場したクールズ選手はそのまま試合終了までプレーしています。

デビュー戦はわずか17分というプレー時間に終わったクールズ選手ですが、、セレッソのアーサー・パパス監督とは2023/24シーズンには前所属のブリーラム・ユナイテッドで監督と選手という関係だったこともあり、自身の能力を知る監督のもとで出場時間が増えることが期待できます。なお2023/24シーズンは、パパス監督はリーグ30試合中26試合にクールズ選手を先発で起用、途中出場2試合も含め28試合に起用しています。

なおクールズ選手についてパパス監督はブリーラム時代にCB以外にも右SBや右WGなどでも起用しており、「彼はスピードがある。ちょうどいい年齢で取ってこられて良かった」と日本のメディアにも話しているように、今後はさまざまな使われ方をしそうです。

マレーシア代表でも当初はCBとして起用されることが多かったクールズ選手ですが、ピーター・クラモフスキー監督はこの2試合では右のサイドハーフ/ウイングバックで起用しており、単なるDF以上の起用は十分にありそうです。

AFC -マレーシアの帰化選手について公式な異議申し立てはこれまでなし

今年に入って既に7名がマレーシア代表入りしている帰化選手について、アジアサッカー連盟AFCには正式なルートを経ての異議申し立ては行われていないと、マレーシアのオンラインメディア、フリーマレーシアトゥディ(FMT)が報じています。

FMTはウインザー・ポールAFC事務局長の発言として、6月10日に行われたAFCアジア杯2027年大会3次予選のベトナム代表戦に出場した帰化選手についてどの国のサッカー協会からも公式な不服申し立てが出されていないという発言を紹介しています。

6月10日の試合に臨んだマレーシア代表はマレーシア出身2名、マレーシア国外で生まれ育ったもののマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手9名という編成で、しかもその帰化選手中5名は、このベトナム代表戦の数時間前にマレーシア代表でのプレーをFIFAが承認するというという慌ただしさでした。

「(代表選手としてプレーできるか否かの)資格の判断はFIFAの管轄であるが、AFCはいかなる不服申し立ても受け取っていない。もしそういった申し立てがあれば、AFCはFIFAの判断を仰ぐことになる」と説明したマレーシア出身のポールAFC事務局長は、一部のインドネシアのオンラインニュースサイトが伝えた疑惑を否定しています。

このオンラインニュースサイトでは、マレーシア代表が4-0と圧勝したベトナム代表戦に出場した帰化選手数名が代表選手としての資格を持たない可能性があり、その場合には試合の結果は覆され、ベトナム代表が3-0で勝利となり、さらにマレーシアサッカー協会FAMには200万米ドルの罰金が課せられる可能性があると伝えていました。さらに代表選手資格を得るための書類の偽造が明らかになった場合には、更なる処分が科せられる可能性があるとも報じていました。

マレーシアサッカー協会FAMはこの報道を根拠のないものとして一蹴していましたが、その一方で、FAMは一部選手が持つマレーシアのルーツを明らかにしていないこともあり、対ベトナム代表戦で11年ぶりの勝利に湧き立つ国内サッカーファンの間でも、隣国からの報道についてはさまざまな声が上がっていました。AFCが不服申し立てがないことを明らかにしたことで、この問題はひと段落となりそうです。

6月代表初招集のブラジル出身帰化選手がジョホール入り-これでジョホール入りは3人目、さらにアルゼンチン出身SBも加入

フィゲイレドお前もか。

国内リーグ11連覇中の絶対王者、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、FWジョアン・フィゲイレドがトルコ1部のイスタンブール・バシャクシェヒルFKから移籍することを、クラブ公式SNSが伝えています。背番号は25となります。

29歳のフィゲイレド選手は6月10日のAFCアジア杯予選ベトナム代表戦で初招集されたブラジル出身でマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手です。ベトナム代表戦では先制ゴールも決めているフィゲイレド選手はトルコリーグで昨季は34試合に出場し7ゴール2アシストを挙げているほか、UEFAコンファレンスリーグなどでもゴールを挙げており、、

JDTにはやはり今年6月に帰化選手としてデビューしたばかりのMFエクトル・ヘヴェル(ポルトガル2部ポルティモネンセから加入)、DFジョン・イラザバル(アゼルバイジャン1部サバFKから加入)も加入しており、JDTの「マレーシア代表チーム化」がさらに進んでいます。


このフィゲイレド選手加入の後、JDTはさらにアルゼンチン出身の左SBホナタン・シルヴァの加入も発表しています。31歳のシルヴァ選手は、現在スペインのアリカンテでプレシーズンキャンプ中のJDTに合流予定ということです。

シルヴァ選手はアルゼンチン1部のエストゥディアンテス、ボカ・ジュニアーズ、ポルトガルのスポルティングCP、ラ・リーガのCDレガネスやヘタフェCFなどでプレーし、昨季はキプロス1部のパフォスCFへローン移籍していました。なお、このパフォスFCでは、既にJDT加入が発表されているジャイロことジャイロ・ダ・シウバのチームメートでもありました。。

シルヴァ選手は2014年にアルゼンチン代表として国際親善試合の香港代表戦とクロアチア代表戦に出場した経験もあります。

7月6日のニュース<br>・ヌグリ・スンビランに2人目の日本人選手加入<br>・トレンガヌは4人目の外国籍選手となるコンゴ代表FWの加入を発表<br>・東南アジアクラブ選手権組合せ抽選-スランゴールは前回王者ブリーラムと同組に<br>・女子アジアカップ2026予選-マレーシアは北朝鮮に完敗で敗退

ヌグリ・スンビランに2人目の日本人選手加入

昨季2024/25シーズンのマレーシア1部スーパーリーグでは13チーム中12位に終わったヌグリ・スンビランFCには、昨季から元Jリーグ仙台などでプレーした元U18日本代表のMF佐々木匠選手が所属していますが、新たに2人目の日本人選手が加入することが明らかになりました。

J3のガイナーレ鳥取がクラブ公式サイトで常安澪(つねやすみお)選手のヌグリ・スンビランFCのローン移籍を発表しています。23歳のMF常安選手は東京都出身で、川崎フロンターレU18から東海学園大を経て、2024年に鳥取へ加入し、今季はここまでJ3リーグ戦2試合(0得点)、ルヴァンカップ1試合、天皇杯1試合出場を記録しています。

スーパーリーグのクラブに複数の日本人選手が所属するのは、2022年シーズンに元日本代表で元鹿島の本山雅志選手と元盛岡の深井脩平選手の両選手がクランタン・ユナイテッドFC(現クランタン・ダルル・ナイムFC)在籍して以来です。(なお前年の2021年は現在はクチンシティFCでプレーする谷川由来選手もクランタン・ユナイテッドFCに在籍しており、マレーシアリーグ史上初めて日本人選手3名が同じクラブでプレーしています。)


昨季は4勝4分16敗で、11位のクダ・ダルル・アマンFCとは勝点差5の12位だったヌグリ・スンビランFCですが、昨季途中までスランゴールFCの監督を務めたニザム・ジャミル新監督を迎え、今オフシーズンは積極的な補強を行なっています。新戦力としては前U23マレーシア代表GKアズリ・ガニと元U21ボスニア代表のWGジョバン・モティカがクアラルンプールシティFCから、元マレーシア代表WGハキミ・アブドラがトレンガヌFCから、そして元マレーシア代表DFクザイミ・ピーがスランゴールFCからそれぞれ加入しています。またAFC U16選手権で得点王となり、早熟の天才としてベルギー、アイスランド、日本と国外リーグに挑戦しながら結果が出ずに苦しんだFWルクマン・ハキム(前ベルギー1部KVコルトレイク)も5年ぶりの国内復帰先にこのヌグリ・スンビランFCを選んでいます。

移籍初年度ながらその活躍が他のクラブの注目を浴びた佐々木匠選手との契約をシーズン途中で延長するなど、なんとしても手放したくなかった佐々木選手を司令塔とするヌグリ・スンビランFCは今季はスーパーリーグの台風の目になりそうです。

なおこのヌグリ・スンビランFCは昨日7月5日に今季のユニフォームのサプライヤーであるタイのブランド、ウォリックス(Warrix)社直営のクラブショップを開店しましたが、その開店イベントにはガイナーレ鳥取クラブアンバサダーに就任されたの長谷川アーリアジャスール氏も参加しており、今後はガイナーレ鳥取とヌグリ・スンビランFCの提携などもあるのかも知れません。

トレンガヌは4人目の外国籍選手となるコンゴ代表FWの加入を発表

トレンガヌはフランス出身でコンゴ民主共和国代表CFヤン・マベラの加入を発表しています。29歳のマベラ選手はルクセンブルグ1部のラシンFCユニオン・ルクセンブルクからの移籍で背番号は11となることも発表されています。トレンガヌFCの発表によると、マベラ選手は昨季はラシンFCユニオン・ルクセンブルクで29試合に出場して22ゴールを決めた他、UEFAカンファレンスリーグの予選などにも出場しているということです。

トレンガヌは、昨季在籍した9名の外国籍選手の内、ウズベキスタン出身のMFヌリロ・トゥクタシノフのみが残留しています。また新戦力としてはカメルーン出身のCFスティーブン・ンゴン・サムをフィリピン1部のワン・タギッグFCから、ブラジル出身のWGガブリエル・シウバをカンボジア1部のスヴァイ・リエンFCからそれぞれ獲得しており、マベラ選手が4人目の外国籍選手となります。

東南アジアクラブ選手権組合せ抽選-スランゴールは前回王者ブリーラムと同組に

東南アジアクラブ選手権ショピーカップ2025年大会の組合せ抽選がタイのバンコクで行われ、マレーシアから出場する昨季の王者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と2位スランゴールFCの対戦相手が決まっています。

今回が第2回大会となるショピーカップは東南アジアの各国リーグの優勝チームやカップ戦優勝チームが出場し、マレーシアからは国内三冠を達成したJDTとリーグ2位のスランゴールFCが出場します。スランゴールは、昨季のタイ王者で第1回ショピーカップ優勝チームのブリーラム・ユナイテッド、そしてショピーカップ決勝でそのブリーラムに敗れたハノイ公安FC(ベトナム)、そしてBGパトゥム・ユナイテッド(タイ)、タンピネス・ローヴァーズFC(シンガポール)と同じA組に入っています。一方のJDTはシンガポール王者のライオン・シティ・セイラーズFC、ベトナム王者のナムディンFC、カンボジア王者のPKRスヴァイ・リエンFC、バンコク・ユナイテッドFC(タイ)と同じB組に入っています。

上記の10チームに加えて、プレーオフに参戦するブルネイリーグ王者のカスカFC対DHセブFC(フィリピン)の勝者がA組に、ラオスリーグ優勝のエズラFC対ミャンマーリーグチャンピオンのシャン・ユナイテッドFCの勝者がB組に加わり、12チームが第2回大会優勝を目指して対戦します。

なおインドネシアはACL2のプレーオフに出場する昨季リーグ優勝のプルシブ・バンドンや2位のデワ・ユナイテッドではなく、今季3位のマルト・ユナイテッドと4位のプルスバヤ・スラバヤをインドネシアサッカー協会PSSIがリーグ代表としていましたが、この大会を主催する東南アジアサッカー連盟AFFが、この大会は各国のリーグ1位または2位、あるいはカップ戦優勝を出場の条件であるとして両チームの出場登録を拒否し、PSSIにインドネシアの代表として参加するチームの再考を求めていましたが、出場登録申し込みの期限までに代替チームについての連絡がなかったことから、今大会はインドネシアからのチームの参加が無くなってしまいました。

今回のショピーカップはホームアンドアウェイ方式で行われるグループステージの成績1位から4位までのチームが、ノックアウトステージとなるベスト8に進出します。そこを勝ち上がると決勝は来年2026年5月20日と27日にホームアンドアウェイ方式で行われます。


昨季2024/25シーズンのこの大会はマレーシアからは前年2023年シーズンリーグ1位を含めた国内三冠のJDTはACLエリートへ、2位のスランゴールはACL2に出場したため、マレーシアカップ準優勝のクアラルンプールシティとFAカップ準優勝のトレンガヌFCが参戦し、いずれもグループステージ3位で敗退しています。

女子アジアカップ2026予選-マレーシアは北朝鮮に完敗で敗退

AFC女子アジアカップ2026年大会予選H組の最終節が7月5日にタジキスタンのドゥシャンベで行われ、いずれも2勝同士となったマレーシア女子代表対北朝鮮女子代表の対戦は、地力で勝る北朝鮮がマレーシアを圧倒して6-0で勝利し、来年3月にオーストラリアで行われる本戦出場を決めています。

初戦のパレスチナ戦を1-0、2戦目のタジキスタン戦はアディショナルタイムのゴールでやはり1-0といずれの試合も僅差でものにしてきたマレーシアに対し、北朝鮮は同じ2チームを相手にいずれも10−0と圧倒していました。マレーシアは本戦出場の可能性を最終節までするところまでは何とかこぎつけたものの、FIFAランキング9位(日本の7位に次ぐアジア2位)の北朝鮮に対して、同102位のマレーシアは試合開始から防戦一方となりました。

それでも北朝鮮の猛攻に耐え続けたマレーシアでしたが、39分にキム・ヘヨンにゴールを許してしまいます。さらに前半のアディショナルタイムにはミョン・ユジョンがさらにゴールを決め、前半は北朝鮮が2点のリードで折り返します。

後半に入ってもほとんどの時間が自陣でのプレーとなったマレーシアは、52分、54分、77分とキム・ギョンヨンにハットトリックを決められるなど、技術、スピード、そして体格の全てが勝る北朝鮮相手に後半も4失点して6-0で敗れています。

7月4日のニュース<br>・CAFAネイションズカップ組み合わせ発表-マレーシアはイランと同組<br>・KLシティにジョホールからのローン移籍選手が集結-昨季は給料未払いを抱えたクラブにとってはお得な補強!?<br>・KLシティはヴィダコヴィッチ新監督就任を発表<br>・スランゴールは元甲府のリラを獲得、U23でプレーのアフガン代表もトップチーム昇格でFW強化

CAFAネイションズカップ組み合わせ発表ーマレーシアはイランと同組

8月下旬にタジキスタンとウズベキスタンで開催される中央アジアサッカー連盟CAFAネイションズカップ2025年大会の組み合わせが発表され、招待チームとしてこの大会に参加するマレーシアは、日本に次ぐアジア2位のイランと同じB組に入っています。

先月のAFCアジア杯2027年大会予選でベトナム代表を4−0と撃破したことで、俄然注目を集めることになったマレーシア。そのおかげか、今回が第2回大会となるこのCAFAネイションズカップにオマーンととも招待されています。

8カ国が出場するこの大会の組分けが先日発表され、直近のFIFAランキングが131位のマレーシアは、同18位で第1回大会優勝のイラン、102位のタジキスタン、160位のアフガニスタンと同組のB組に入り、もう一方のA組にはW杯2026年大会出場を決めているウズベキスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、オマーンが入っています。

8月26日から9月9日まで開催されるこの大会はA組がウズベキスタンが開催国に、B組がタジキスタンが開催国になりグループステージを行い、各組の1位が決勝に、2位が3/4位決定戦に回るフォーマットになっています。


W杯予選など公式戦以外では対戦する機会がないFIFAランキング上位のイランとの対戦が決まったマレーシア。この大会はFIFA国際マッチカレンダー外で行われるため、ベトナム戦のようなベストメンバーを招集することは難しそうですが、逆にいえば、洪水のように押し寄せてきた帰化選手にポジションを奪われたマレーシア人選手たちにとっては、ピーター・クラモフスキー代表監督へのアピールの良い機会でもあります。

KLシティにジョホールからのローン移籍選手が集結-昨季は最大7ヶ月の給料未払いを抱えたクラブにとってはお得な補強!?

2025/26シーズンの開幕を来月に控え、各クラブが新加入の選手を披露していますが、昨季2024/25シーズンはリーグ6位に終わったクアラルンプールシティFC(KLシティ)は、いずれもジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)からのローン移籍選手3名の加入を発表しています。

マレーシア代表FWサファウィ・ラシドは、昨季2024/25シーズンはやはりローン移籍でトレンガヌFCでプレーし、リーグ戦とカップ戦合わせて36試合に出場し、18ゴール4アシストを記録しています。同じく代表でプレーするMFシャミル・クティは、昨季はペナンFCで21試合に出場しています。またアルゼンチン出身で元シェフィールド・ウェンズデーU21でもプレーしたMFマヌエル・イダルゴは今季のリーグ参加を取りやめたスリ・パハンFCからの移籍で、昨季は24試合で7ゴール4アシストの記録を残しています。このイダルゴ選手は、2021年からマレーシアでプレーしており、27歳となる来季にはマレーシア国籍を取得し、帰化選手として代表入りするのではとも言われている選手です。

またKLシティは、オランダ生まれのフィリピン代表GKクインシー・カメラードの加入も発表しています。KLシティは昨季の正GKアズリ・ガニがヌグリスンビランFCへ移籍しており、このカメラード選手はかつてKLシティでGKを務めたケヴィン・メンドーザ(現インドネシア1部プルシブ・バンドン)以来の外国籍GKとなります。


昨季は給料未払いが長期化し、シーズン終盤は不安定な戦いが続いたKLシティですが、このローン移籍選手の加入は経費の節約にもなる経済的な補強となっていると同時に、加入する選手たちも出場機会が得られるいわばウィンウィンの補強です。所属するJDTが給料の一部を負担することで、本来なら獲得には高額の給料が必要となる代表選手と外国籍選手が補強できたKLシティは昨季以上の順位を狙うこともでき、帰化選手を次々と補強するJDTに戻っても出場機会が得られそうもない3選手は選手層が薄いKLシティで出場時間を積み重ねることができれば、帰化選手が顔をきかせ、マレーシアで生まれ育った選手の居場所が少なくなっているマレーシア代表への復帰も期待できます。

KLシティはヴィダコヴィッチ新監督就任を発表

昨季2024/25シーズンは11勝4分9敗のリーグ6位に終わったクアラルンプールシティFCは、ミロスラフ・クリヤナッチ監督の退任とリスト・ヴィダコヴィッチ新監督の就任をクラブ公式SNSで発表しています。

開幕後にクラブライセンス取得の際の書類に不備があったとして勝点6の剥奪処分を受け、さらに一時は最大で7ヶ月分の給料未払いがあることを選手が告発するなど、選手のパフォーマンスに大きな影響を与える問題がピッチ外で続いたクラブをやりくりしたクリヤナッチ監督でしたが、残念ながら1年でチームを去ることになりました。

クリヤナッチ監督と同じセルビア出身のヴィダコヴィッチ新監督は、2022年シーズンにはマラッカ・ユナイテッドFCの監督に就任しましたが、開幕から4試合を1分3敗という成績で解任されています。しかし、このときは開幕直後にもかかわらず、プレーシーズンから既に給料未払い問題が起こっていたことが明らかになり、主力の外国籍選手たちも試合をボイコットするなど、評判の高かったヴィダコヴィッチ監督の手腕が問われる前にクラブが崩壊していました。(なおマラッカ・ユナイテッドFCは2022年シーズン終了後に負債を抱えて解散しています。)

ヴィダコヴィッチ監督は、セルビア代表やスペイン下部リーグでコーチを務めた後、フィリピン1部のセレス・ネグロスFC(現ユナイテッド・シティFC)で2016年シーズンから3連覇を果たし、2020年シーズンにはモルジブ1部マジヤS&RCでリーグを制覇しています。この他にも東南アジアでは、インドネシア1部のボルネオFCやPSSスレマン、シンガポール1部のライオンシティ・セイラーズFCでも監督経験があります。

スランゴールは元甲府のリラを獲得、U23でプレーのアフガン代表もトップチーム昇格でFW強化

昨季2位のスランゴールFCは、その獲得が噂されていた元Jリーグ甲府のストライカー、ウィリアン・リラの加入を発表しています。31歳のリラ選手は2023年シーズン途中までクダ・ダルル・アマンFC(現在は3部降格)でプレーし、14試合で8ゴールを上げる活躍を見せていましたが、給料未払い問題が起こると前半戦終了後のトランスファーウィンドウで隣国タイのチョンブリーFCに移籍していました。移籍したチョンブリーFCではリーグ戦30試合に出場して15ゴールを挙げ、その後はアラブ首長国連邦UAE1部のハッタ・クラブで24試合にプレーし14ゴールを記録しています。

甲府を天皇杯優勝に導き、その甲府はACL出場を果たしたものの、リラ自身はクダに移籍しており、ACLには出場しませんでした。今季のACL2出場が決まっているスランゴールでリーグ戦はもとより、ACLでも爆発的な得点力を見せてもらいたいところです。

またスランゴールは昨季はU23チームでプレーしたアフガニスタン代表FWオミド・ムサウィのトップチーム昇格も発表しています。アフガニスタン生まれながら、オランダで育ったオミド選手は、FCトゥウェンテやSBVフィテッセ、PECズヴォレなどのユースでプレーし、その後はオーストラリアのセミプロリーグを経て昨年10月にスランゴールU23に加入しています。代表デビューは2022年6月のベトナム代表戦で、アフガニスタン代表のアジア杯2027年大会予選のミャンマー代表戦、シリア代表戦のいずれにも先発するなど、通算17試合に主通常しています。前述のCAFAネイションズカップにはアフガニスタン代表も出場し、マレーシアと同じB組に入っていますので、マレーシア代表と対戦する可能性もあります。


今季のマレーシア1部スーパーリーグは各クラブは最大で15名の外国籍選手の登録が可能となっていあす。試合出場登録は最大9名でピッチ上には同時に7名(アジア枠1名、東南アジア枠2名を含む)が立つことが可能です。なおスランゴールFCは、いずれもヨルダン代表のMFノー・アル=ラワブデ、DFモハマド・アブアルナディ、カーボベルデ代表のFWアルヴィン・フォルテス、昨季はローン移籍でペナンFCでプレーしたガーナ出身のDFリッチモンド・アンクラの残留が発表している他、これまでに昨季のタイリーグでは27試合で17ゴールを挙げたFWクリゴールことクリゴール・モラエス(タイ1部PTプラチュワップFCから加入)、タイ代表MFピチャ・アウトラ(タイ1部ムアントン・ユナイテッドから加入)の2選手の加入を発表しています。

7月2日のニュース<br>・マレーシアサッカー協会会長「ヘリテイジ帰化選手は全員がFIFAの承認を得ている」<br>・シンガポール代表監督候補のクチンシティ監督はクラブ残留へ<br>・本拠地が決まらないイミグレセンFCのホーム候補にプルリス州が浮上

マレーシアサッカー協会会長「ヘリテイジ帰化選手は全員がFIFAの承認を得ている」

6月10日のAFCアジア杯2027年大会3次予選のベトナム代表戦では4−0と圧勝したマレーシア代表。ベトナム代表戦の勝利は11年ぶりのことでした。そんな長年の宿敵相手に大勝した原動力となったのはマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手でした。特に2025年になって代表入りしたヘリテイジ帰化選手はスペインやオランダ、ブラジルやアルゼンチン出身で、一見するとマレーシアとは縁遠いように思える国々であることから、近隣諸国はもとより、国内でもその「ルーツ」の信憑性に疑問の声が上がっています。

そんな中、マレーシアサッカー協会FAMのモハマド・ジョハリ・アユブ会長が声明を発表し、ヘリテイジ帰化選手のマレーシア代表入りについては、FIFAによる厳格な審査を経ていると説明しています。

「我々(FAM)は誰彼構わずヘリテイジ帰化選手として代表に招集しているわけではない。FIFAが選手たちについて全てを審査しており、FAMはFIFAの設けた手順や指示に従っているだけに過ぎない。」

さらにジョハリFAM会長は、一部のヘリテイジ選手のルーツについての情報が開示されていないという指摘については、選手の帰化資格についての情報を隠したり、開示を遅らせる理由がないと述べています。

「もし我々が(そういったルーツに関する情報を)公にするのは簡単なことだ。しかし全てのヘリテイジ帰化選手はFIFAの審査を通っているので、今後も(これまでと同様の)正しい方法と手順に従う予定である。」と述べたジョハリFAM会長は、一部から出ている、ルーツを明らかにしていない帰化選手は正式な帰化手続きを経ずにマレーシア国籍を取得しているという疑問の声に応えています。

ベトナム代表戦直前の1週間ほどで、いずれもアルゼンチン出身のCBファクンド・ガルセス、WGイマノル・マチュカ、CFロドリゴ・オルガド、スペイン出身のCBジョン・イラザバル、ブラジル出身のCFジョアン・フィゲイレドと一気に5名のヘリテイジ帰化選手が発表されるとそのまま代表入りし、ベトナム代表戦にはこの5名全員が先発、そしてフィゲイレド、オルガドの両選手が1点目と2点目を挙げて、歴史的なベトナム代表勝利に貢献しています。


11年ぶりとなるベトナム代表戦勝利に国内サポーターが盛り上がりを見せる一方で、複数の帰化選手はそのルーツが明らかにされておらず、一部国内メディアを中心にFAMに対しては帰化選手のマレーシア国籍取得に至るルーツを明らかにするべきという声があるのも事実です。今回のマレーシアサッカー協会(FAM)会長の発言もその火消しの一環ですが、FIFAはFAMが提出した書類を審査するだけで、FIFA自体が選手のルーツそのものについて独自の調査を行うわけでなく、また英字紙スターでは、国籍付与のための審査を行うマレーシア政府内務省に問い合わせたところ、詳細はFAMに問い合わせるようにと門前払いを受けたという報道もあります。ベトナム戦勝利で一気に加速したアジア杯2027年大会出場権獲得に向けて、サポーターが一丸となって代表を応援するにはFAMが各帰化選手のルーツを公表して、この疑念を払拭する責任があるように思えます。

シンガポール代表監督候補のクチンシティ監督はクラブ残留へ

チームはアジア杯2027年予選を1勝1分と好スタートを切りながら、先月に突然辞任した小倉勉前シンガポール代表監督。その後任候補の1人として名前が上がっていたのがシンガポール出身でクチンシティFCで指揮を取るアイディル・シャリン監督でした。昨季2024/25シーズンにはマレーシアリーグ最優秀監督賞を受賞したその手腕が評価された結果、メディアが次のシンガポール代表監督候補として報じていましたが、今季2025/26シーズンは、アイディル監督のクチンシティFC残留が決まったようです。

クチンシティFCのファズルディン・アブドル・ラーマン オーナーは「アイディル監督はチームの全権を与えられており、クチンシティFCでの指導に取り組むことに満足している。」と述べて、アイディル監督がチームを離れることはないとしています。

8月8日に開幕が予定されている今季2025/26シーズンのスーパーリーグに向けて、クチンシティFCは95%の補強が完了していると述べたファズルディン オーナーは、2シーズンぶりにマレーシアリーグに復帰するカメルーン出身のCFロナルド・ンガは数日中にチームに合流すると述べ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)からローン移籍する昨季のU23リーグ得点王のガブリエル・ニステルロイや、同じJDTから完全移籍するGKハジク・ナズリ、FWラマダン・サイフラーなどに加えて、昨季のチームからはマレーシアでのプレーが5年目を迎えるCB谷川由来選手や谷川選手とコンビを組むCBジェイムズ・オクウォサらの残留も発表しており、昨季の4位に続いて今季もリーグトップ5入りを目指すとしています。

本拠地が決まらないイミグレセンFCのホーム候補にプルリス州が浮上

昨季2024/25シーズンの3部A1セミプロリーグで2位となり、今季は1部スーパーリーグに昇格するイミグレセン(入国管理局)FCは、昨季本拠地としていた最大収容人数2000名のUKMスタジアムに代わる新たな本拠地を探しています。マレーシア語紙ブリタハリアンは、新たなホームの候補地としてマレーシア最北端のプルリス州が浮上していると報じています。

マレーシアの行政首都プトラジャで発足したイミグレセンFCは、隣接するスランゴール州のバンギにあるUKMスタジアムを昨季はホームとして使用していました。しかしここは、マレーシア国民大学UKM内にある運動場で、収容人員が少ない上、スタンドのついた運動場という体で、1部スーパーリーグの公式戦を行うには心許ない設備です。このためイミグレセンFCは1部参入決定後から、新たな本拠地探しを続けてきました。

マレーシアにある13州の内、1部スーパーリーグに所属するクラブが本拠地としていないので、ペラ、クダ、プルリスの3州ですが、イミグレセンFCが当初、本拠地を移そうとしたのがクダ州でした。財政面の問題から昨季はスーパーリーグに所属していたクダ・ダルル・アマンFC(KDA FC)が今季はクラブライセンスを交付されずに撤退したため、KDA FCが使用していたダルル・アマン・スタジアムを新たな本拠地としようとしましたが、クダ州サッカー協会会長も兼ねるクダ州のムハマド・サヌシ州首相(日本で言えば知事に当たります)がイミグレセンFCがクダ州でホームゲームを開催することを拒否しました。

これによりイミグレセンFCは新たな本拠地を探すことになったのですが、今回はプルリス州の名前が挙がりました。プルリス州のトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムを管理するプルリス州スポーツ評議会のモハマド・アズライ・ザイン・トゥシミン議長がマレーシア語紙ブリタハリアンの取材に応え、イミグレセンFCの関係者がトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムの視察に訪れたことを明らかにしています。

アズライ議長は、プルリス州はペナン州、連邦直轄地クアラルンプール、スランゴール州同様にイミグレセンFCのホーム候補地の一つであると話し、実際にホームとなった場合でも(3部の)A1セミプロリーグでプルリスGSA FCや(4部の)A2リーグでプレーするビントンFCといったプルリス州のクラブによる使用が優先されるとも述べています。

7月1日のニュース<br>・女子アジア杯予選開幕-マレーシアはパレスチナに辛勝も白星スタート<br>・「外部からの干渉」を主張するクラモフスキー監督の真意は本人に直接聞くべき-FAM会長<br>・スランゴールはタイリーグからブラジル出身ストライカーを獲得

女子アジア杯予選開幕-マレーシアはパレスチナに辛勝も白星スタート

AFC女子アジアカップ2026年大会の予選H組の試合が6月29日にタジキスタンのドゥシャンベで行われ、マレーシアが白星発進しています。

ドゥシャンベにある共和国中央スタジアムで行われた試合でマレーシアはパレスチナに1-0で勝利しています。

今年5月に就任したブラジル出身のジョエル・コルネリ監督率いるマレーシア女子代表とパレスチナ女子代表の試合は終盤まで0−0で進み、86分に、ヌール・アドリアンナのパスを受けた途中出場のファラヒヤ・リズアンが決勝点となるゴールを決めています。

またマレーシアはGKヌルル・アズリン・マズランが、前半にはパレスチナのディマ・アルムヒのPKを止め、後半にもヌール・ユセフとの1対1となった場面でのシュートを阻止するなど、クリーンシートの活躍を見せています。

H組のもう1試合は北朝鮮が開催国タジキスタンをキム・ギョンヨンのハットトリックを含む10ゴールで圧倒しています。

マレーシアは7月3日(マレーシア時間)にタジキスタンと、そして7月5日には北朝鮮と対戦します。

「外部からの干渉」を主張するクラモフスキー監督の真意は本人に直接聞くべき-FAM会長

マレーシアサッカー協会FAMのモハマド・ジョハリ・モハマド・アヨブ会長は、マレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督が政治的な要素も含めた組織内部闘争によって、代表チームの活動が「外部からの干渉」を受けていると発言したことに対し、その「外部からの看守」についてはクラモフスキー監督に直接、尋ねるべきと回答しています。

マレーシアの通信社ブルナマは、6月30日に行われたFAMの臨時総会後にメディアに対応したモハマド・ジョハリ会長は、不必要な憶測が広がることを避けるために、メディアがクラモフスキー監督の真意を直接本人に問うべきと述べています。

「我々(FAM)は、ピーターが何を言わんとしているのかがわからない。彼に直接、その質問をぶつけるの最善だと考える。発言というものは時として、それが伝わる過程で曲解されることもある。」と述べたモハマド・ジョハリ会長は、6月10日のAFCアジア杯2027年大会3次予選のベトナム戦に4−0で勝利した後のメディアとの対応で、クラモフスキー監督が述べた「外部からの干渉」について、FAMは全力でクラモフスキー監督と代表チームを支援していると強調したと報じています。


マレーシア代表については、元FAMの会長でもあり、国内最強クラブのジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のオーナーで、ジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下が主導する形で改革を進めており、大量の帰化選手加入もその一つです。さらにマレーシア代表チームは独自のSNSアカウント、マレーシア代表(Malaysia NT)を立ち上げ、先日のベトナム戦でも試合前の様子や先発XIの発表、試合経過など全ての投稿を行っています。その一方でこのMalaysia NTアカウントができて以来、FAMの公式SNSでは代表戦についての投稿は試合結果のみとなっており、今月7月に開催される東南アジアサッカー連盟U23選手権前の合宿参加メンバーもMalaysia NTのみが発表しています。

スランゴールはタイリーグからブラジル出身ストライカーを獲得

昨季2024/25シーズンはリーグ2位のスランゴールFCが昨季のタイ1部リーグで17ゴール3アシストを記録したブラジル出身のCFクリゴールことクリゴール・モラエスの完全移籍での加入を発表しています。また背番号は91となることも発表されています。

昨季のタイ1部ではリーグ覇者のブリーラム・ユナイテッドとPTプラチュワップFCの2クラブでプレーした24歳のクリゴール選手は、シーズン前半を過ごしたブリーラムでは14試合に出場して7ゴール1アシストを、そしてブリーラムからローン移籍してシーズン後半を過ごしたPTプラチュワップFCでは13試合に出場して10ゴール2アシストを記録しています。なお昨季のリーグ通算17ゴールは、リーグ得点王のギリェルメ・ビッソリ(ブリーラム・ユナイテッド)の25ゴールに次ぐ最多ゴール2位でもあります。

ブリーラム・ユナイテッド在籍時にはACLエリートやアセアンクラブ選手権ショッピーカップにも出場しているクリゴール選手は、先日、やはりタイ1部のムアントン・ユナイテッドから加入したタイ代表MFピチャ・アウトラに続くタイリーグからの移籍選手です。