3月10日のニュース
10月開催のムルデカ大会にパレスチナ・レバノン・インドの出場が決定
マレーシア政府が各州のスタジアムのゼオンゾイシア芝への張り替え費用を負担
U20女子アジアカップ予選出場メンバーが発表に

10月開催のムルデカ大会にパレスチナ・レバノン・インドの出場が決定

マラヤ連邦(当時)の英国からの独立を記念して1957年に第1回が開催されたムルデカ大会(ムルデカとはマレーシア語で「独立」)は、アジア最古の招待大会の一つですが、近年はマレーシア代表の弱体化などもあり久しく開催されていませんでした。それが今年10年ぶりに開催されることが決定し、パレスチナ、レバノン、インドの3カ国の出場が決定したと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

今年10月に予定されている第41回大会となるムルデカ大会では、直近のFIFAランキング145位のマレーシアと対戦する同93位のパレスチナと同100位のレバノンは、いずれも大会初参加ですが、同109位のインドはこれまで1959年大会と1964年大会では準優勝しており、最近では2001年大会に出場しています。

10年間も開催されていなかったムルデカ大会が復活した理由は、2007年の自国開催を除くと43年ぶりに予選を突破してマレーシアがAFC選手権アジアカップ出場を決めたことにあります。キム・パンゴン代表監督は、来年1月に開催されるアジアカップ前に中東のチームとの対戦を希望しているということで、アジアカップへの準備を目的に復活したのが今回のムルデカ大会というわけです。

マレーシア政府が各州のスタジアムのゼオンゾイシア芝への張り替え費用を負担

マレーシア政府の青年スポーツ省は、マレーシア各州の主要スタジアムのピッチをゼオンゾイシア芝へ張り替えるための予算配分の用意があることを発表しています。

ハンナ・ヨー青年スポーツ相は、ピッチ張り替えを希望する州の青年スポーツ委員会に対して、管理するスタジアムの中から芝張り替えを希望するスタジアムを1つを選び、必要であればピッチの排水設備を改善した上で青年スポーツ省に対して芝張り替えの申請を行うことを求め、その申請を受けた後に予算を配分するとしています。

ヨー青年スポーツ相は、ピッチ張り替え後の維持管理費用はは各州政府が負うものとし、今回のピッチ張り替えはその維持管理が条件となるとも説明し、あくまでもその条件を満たす州にのみ予算を配分するとも話し、あくまでも政府が張替えを強要するものではないとしています。

なお今回の張り替えで使われるゼオンゾイシア芝は、。ゾイシア、ゼオンといずれも高麗芝系品種の芝を掛け合わせて作られたゾイシアゼオン芝は、維持管理に必要な水量が少ない、暖かい土地に育つ芝で、ジョホール・ダルル・タジムのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムで既に使用されている他、現在、まさに張り替えが行われているブキ・ジャリル国立競技場で使用されることになっています。

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この青年スポーツ省のピッチ張り替えについては、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がクラブ公式Facebookでコメントしています。前述したようにJDTはスルタン・イブラヒムスタジアムでこのゼオンゾイシア芝を使っていますが、その張り替え費用は100万マレーシアリンギ(およそ3000万円)前後、年間の維持管理費用は24万マレーシアリンギ(およそ720万円)だとしています。さらに張り替え費用が政府負担、つまり費用がかからないにもかかわらず、さらにリーグを運営するMFLから放映権料などの数百万マレーシアリンギの分配金があるにもかかわらず、24万マレーシアリンギの維持管理費用の出費を嫌ってピッチ張り替えを行う予定がないスーパーリーグのクラブがあるとし、そういった決断を下すサッカークラブのトップは、マレーシアサッカーに対する愛情からサッカークラブに関わっているのではなく、個人の利益のためにクラブに関わっている人間だと非難しています。

U20女子アジアカップ予選出場メンバーが発表に

3月10日からカンボジアのプノンペンで開催されるAFC U20女子アジアカップ予選に出場するU20女子代表のメンバーがマレーシアサッカー協会FAM公式サイトで発表されています。キャメロン・ン監督率いるU20女子代表は先月2月20日から26名を招集した第一次候補合宿を行っていましたが、そこから最終メンバーとなる23名が選ばれています。26名の中から23名を選ぶことが難しかったと話したン監督は、最終メンバーの選考については複数のポジションを守れる選手を優先したと説明しています。なお、最終メンバーはこちらです。

今回の予選でG組のマレーシアは、開催国のカンボジアの他、ミャンマーと同組になっています。(なおこのG組には当初はパキスタンも入っていましたが、出場を辞退しています。)今回の予選でマレーシアは今日3月10日にカンボジアと、また3月12日にミャンマーとの試合が予定されており、このG組の1位となるとが他の7組の1位とともに、今年6月の2次予選に進出します。また2次予選では1次予選突破の8チーム中、上位4チームが、開催国ウズベキスタン、前回2019年大会王者の日本、同準優勝の韓国、同3位の北朝鮮の4チームに加わり、本戦を戦います。


3月8日のニュース
今季未勝利のクランタンUにブラジル出身FWが加入
ラダメル・ファルカオがジョホール入団!?
タイ1部リーグ第22節-ディオン・コールズはフル出場、サファウィ・ラシドは先発も前半で交代

今季未勝利のクランタンUにブラジル出身FWが加入

開幕からの3試合を1分2敗と今季まだ勝星がないクランタン・ユナイテッドFCが6人目の外国籍選手としてブラジル出身のFWグレゴリ・ロシャ・メンデス・ダ・シルヴァの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。27歳のグレゴリ選手は、先月2月23日までとなっていた今年1度目のトランスファーウィンドウ期間中に1年契約を結んでいたものの、マレーシア入国に手間取り、この時期の入国となったという説明がなされています。

今年2023年に入ってからは、ポルトガル3部のCDシンファンイスでプレーし、11試合で8ゴール1アシストを記録しているというグレゴリ選手は、既に先週からクランタン・ユナイテッドのセカンドチームの練習に参加しており、試合出場に十分なフィットネスレベルとなり次第、スーパーリーグにデビューすることになるということです。

今季ここまで0勝1分2敗のクランタン・ユナイテッドは、開幕からの3試合で1得点4失点という状況です。今季の外国籍選手は、FWダヴィッドことダヴィッド・デ・サンタナ・シルヴァ(ブラジル)、FWエルニスト・バトゥルカノフ(キルギス)、MFホセ・エルメル・ポルテリア(フィリピン)、MFモルガロ・ゴミス(セネガル)、DFヤン・ヴィクトル・シルバ・パイシャン(ブラジル)の5名で開幕を迎えましたが、ここまでチーム唯一の得点は41歳のマレーシア人FWインドラ・プトラのゴールによるものです。

ラダメル・ファルカオがジョホール入団!?

2010/11シーズンのUEFAヨーロッパリーグではFCポルト(ポルトガル)で17得点を上げて優勝に貢献、そして翌2011/12年シーズンの同大会ではアトレティコ・マドリード(スペイン)で12得点を挙げやはり優勝に貢献したエル・ティグレことラダメル・ファルカオ(コロンビア)は、UEFAヨーロッパリーグ史上唯一の2シーズン連続、しかも異なるチームでUEFAヨーロッパリーグ得点王となった選手です。CAリーベル・プレート(アルゼンチン)やモナコ(フランス)、マンチェスター・ユナイテッドやチェルシー(いずれも英国)などでもプレー経験がある元コロンビア代表が、現在マレーシアスーパーリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジム(JDT)に加入するという噂を、英字紙スターが報じています。

スペイン・マドリードに拠点を置く日刊スポーツ紙「マルカ」」の電子版の記事を引用する形で書かれた記事では、現在はスペイン1部のラージョ・バジェカーノに在籍している37歳のファルカオ選手にJDTが契約を持ちかけているというスペインのメディアの記事を引用し、現在のファルカオ選手契約は今年6月までとなっていると報じています。さらにマレーシアの今年2度目のトランスファーウィンドウが7月5日から8月1日までであることから、そのタイミングでファルカオ選手がJDTに加入すれば、シーズン後半戦やFAカップ、マレーシアカップ、そしてAFCチャンピオンズリーグに向けた戦力補強になるとしています。

さらにマルカの記事は「JDTはファルカオ選手を2年契約で獲得し、その後はチームのアンバサダー、そしてジョホール州のアンバサダーとしても活動することを求めている。」「(同じスペイン1部のクラブで、シンガポール出身のピーター・リム氏がオーナーの)バレンシアCFの補強候補にも上がっていることもあり、JDTとの契約交渉は継続中だが、ファルカオ選手自身は新たな挑戦に挑む意思があることは伝えているようだ。」という内容に加え、JDTオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が世界的に知名度のある選手を獲得して、JDTのクラブとしての価値を高めたいと考えており、世界各地でサッカースクールを運営するジェノヴァ・インターナショナル社や、ファルカオ選手の代理人が運営するレーシング・シティ・グループ社などとの協力関係を構築中であるとも紹介しています。

タイ1部リーグ第22節-ディオン・コールズはフル出場、サファウィ・ラシドは先発も前半で交代

3月4日と5日にタイ1部リーグ第22節が行われ、マレーシア代表のDFディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)とFWサファウィ・ラシドはいずれも先発しています。また、DFジュニオール・エルドストール(PTプラチュワップFC)は今節もベンチ外でした。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第22節
2023年3月4日@ドラゴン・ソーラー・パークスタジアム
ラーチャブリーFC 1-1 スコータイFC
 16分に早々とレッドカードで退場者を出して10人となったラーチャブリーFCは24分に先制しながらも、前半に追いつかれましたが、そのまま引き分けて、連敗を3で止めています。また4位のチェンライ・ユナイテッドが敗れたため、チェンライ・ユナイテッドと勝点で並んだものの、得失点差で1つ順位を上げて4位に浮上しています。
 サファウイ・ラシドは先発して、46分に交代しています。

2023年3月5日@チャン・アリーナ
ブリーラム・ユナイテッドFC 2-0 ラムプーン・ウォリアーズFC
 リーグ首位のブリーラム・ユナイテッドFCは、この日の勝利でリーグ再開からの7試合で6勝1分とし、2位のバンコク・ユナイテッドFCとは勝点差12、3位のチョンブリーFCとは同21点をつけています。
 ブリーラム・ユナイテッドFCのディオン・コールズは先発して、フル出場しています。

2023年3月5日@ブンヤジンダースタジアム
ポリス・テロFC 1-1 PTプラチュワップFC
 この引き分けで連敗を2で止めたPTプラチュワップFCは、12位のラムプーン・ウォリアーズFCが敗れたため、代わって12位に浮上しています。
 PTプラチュワップFCのジュニオール・エルドストールはこの試合もベンチ外で、未だ出場がありません。

タイ1部リーグ順位表(第22節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU22184056173958
2バンコクU22144438122646
3チョンブリー22114737231437
4ラーチャブリー229762516934
12プラチュワップ2256112843-1521

2023マレーシアスーパーリーグ 第3節結果とハイライト映像(2)-サバが開幕3連勝、ジョホールは7ゴールで圧勝

 分かってはいたけど、やっぱり今季もジョホールの独走なのか。
 3月6日にスーパーリーグ第3節の残り2試合が行われ、いずれも開幕2連勝中だったサバFCとジョホール・ダルル・アマンが勝利、連勝3に伸ばしています。サバは今季スーパーリーグに昇格したクチンシティFCを2ー1で退け他ものの2位に後退し、ジョホールはヌグリスンビランを相手に7ゴールを挙げる圧勝で得失点差でサバを抑えて首位に浮上しています。

2023年3月6日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:2,500人
クチンシティFC 1-2 サバFC
⚽️クチンシティ:アブ・カマラ(45+1分)
⚽️サバ:サディル・ラムダニ(24分)、テルモ・カスタニェイラ(58分)
🟨クチンシティ:バドルル・アフェンディ、アブ・カマラ
🟨サバ:パク・テス
MOM:テルモ・カスタニェイラ(サバFC)

 映像で見る限りではピッチの状態がかなり悪そうな中、先制したのはサバでした。それまでもクチンシティゴールを脅かしていたサディル・ラムダニがパク・テスが流したボールに走り込んでシュート!これが決まってサバが先制しました。しかしクチンシティも前半終了間際にゴール前の混戦から谷川由来選手の放ったシュートがゴール前のアブ・カマラの足元へ転がり、これをカマラ選手が振り向きざまにシュート!これが同点ゴールとなり、クチンシティが追いついて前半が終了しました。
 ピッチコンディションがさらに悪くなる中、58分にはゴール前のボールにクチンシティDFがピッチに足を取られて反応が遅れたところをテルモ・カスタニェイラがゴールへ押し込み、これが決勝点となりサバが2-1で勝利し、開幕からの連勝を3に伸ばしています。
 開幕戦、第2節とベンチ入りしていなかったクチンシティの谷川由来選手は、昨季の金髪から今季は黒髪となり(個人的には断然黒髪のほうが良い!)、この試合に先発し、今季初出場の試合にフル出場しています。

2023年3月6日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:15,427人
ヌグリスンビランFC 0-7 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ2(21分、49分PK)、ジオゴ(41分)、アリフ・アイマン(53分)、ラヴェル・コービン=オング2(67分、88分)、エンドリック(76分)
🟨ヌグリスンビラン:ザイナル・アビディン・ハリム、チェ・ラシド・チェ・ハリム、アルーン・クマル
🟨ジョホール:アリフ・アイマン
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(ジョホール・ダルル・タジム)

 今季スーパーリーグ1試合最多となる7ゴールを挙げたジョホール・ダルル・タジム(JDT)が開幕3連勝し、勝点で並ぶサバを得失点差で抑えて、今季初めて首位に浮上しています。
 JDTはこの試合も外国籍選手5名に帰化選手4名が先発し、マレーシア生まれの選手で先発したのはGKシーハン・ハズミとFWアリフ・アイマンの2名だけという布陣でしたが、開幕からの2試合いずれも引き分けで、2試合で1得点というヌグリスンビランには荷が重い相手でした。
 今季初先発となったラヴェル・コービン=オングが6分にシュートを放つなど、JDTは試合開始からヌグリスンビランゴールに迫りますが、それでもGKシーク・イズハン・ナズレルの好守もあり、前半はフェルナンド・フォレスティエリの今季初ゴールとジオゴのスーパーゴールによる2点に抑えて折り返します。
 しかし後半はギアを上げたJDTにヌグリスンビランなすすべもなく、合計7失点の大敗で敗れています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第3節終了時)

PosTeamPWDLGFGA+/-Pts
1JDT3300120129
2SAB33009279
2SEL32107167
4KDA32015236
5SRP31206335
6PDRM311114-34
7KEL310224-23
8KCH310237-43
9PEN302124-22
10KLC302125-32
11PRK302114-32
12NSE302118-72
13KLU301214-31
14TRE301203-31
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

3月7日のニュース
スランゴールFC前TDがミャンマー代表監督に就任
M3リーグ開幕-給料未払い問題未解決でスーパーリーグ除名のマラッカとサラワクは共に黒星スタート

スランゴールFC前TDがミャンマー代表監督に就任

昨季までスランゴールFCで監督やテクニカルディレクター(TD)を務めたミハイル・フェイヒテンバイナー氏が、ミャンマー代表監督に就任したことをマレーシア国内の複数メディアが報じています。

ドイツ出身でU15ドイツ代表監督などの経験を持つフェイヒテンバイナー氏は、「ドイツサッカーのDNA」を伝えたいと2020年にスランゴールFCのセカンドチーム、スランゴールFC IIの監督兼クラブのTDに就任しました。そして新型コロナの影響で短縮されたスーパーリーグでスランゴールFCが2勝4分2敗で低迷すると、残り3試合を残して辞任したB・サティアナタン監督に代わり暫定監督としてシーズンを終えました。

翌2021年シーズン前に、自身の元でプレー経験がある元浦和レッズのカルステン・ナイチェル監督に就任すると、フェイヒテンバイナー氏はTDに復帰しましたが、このシーズンもスランゴールFCが8勝9分5敗の6位に終わると、2022年にはトップチームの監督に就任しました。しかし4勝4分5敗となった昨季途中の8月にはスポーツディレクターに「降格」されていました。

ミャンマー代表では同じドイツ出身で、2019年10月から今年1月まで監督を務めたアントワーヌ・ヘイしに代わり、同国代表と同国U23代表の両チームの監督を務めるということですので、まずは今年5月にカンボジアで開催される東南アジア競技大会通称シーゲームズでU23代表監督がデビューとなりそうです。

就任会見では、代表監督になるという自身の夢が達成できたと述べたフェイヒテンバイナー氏は、さらにスランゴールFCII監督時代にミャンマー代表のハイン・テット・アウンを指導したこともあることからミャンマーのサッカーについて知識はあり、代表監督としての仕事を早く始めたいと語っています。

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マレーシア国内メディアの論調は「ドイツサッカーのDNA」をクラブレベルで浸透させられなかったフェイヒテンバイナー氏に代表監督が果たして務まるのか、という疑問が多く見られますが、スランゴールFCでは、育成を目的とするTDとセカンドチームの監督からトップチームの暫定監督、再びTDに戻ってから今度はトップチームの監督を歴任したことは、クラブ経営陣の迷走の被害者でもあります。5月の東南アジア大会では、そういった懐疑的な意見にどう応えるのかに注目したいです。

M3リーグ開幕-給料未払い問題未解決でスーパーリーグ除名のマラッカとサラワクは共に黒星スタート

3月4日にマレーシアリーグ3部にあたるM3リーグの2023年シーズンが開幕しました。今季は1部スーパーリーグと2部プレミアリーグが統合されてスーパーリーグとなったことで、2部プレミアリーグは中止となり、プレミアリーグに参加していたセカンドチームが新設されたMFLカップ(スーパーリーグクラブのセカンドチームとMSN-FAMプロジェクトが参加するU23リーグ)ため、このM3リーグがスーパーリーグに次ぐリーグとなっています。

今季のM3リーグは、全14チームで争われ、ホームアンドアウェイ方式で行われるリーグ戦終了後は、上位4チームによるプレーオフが行われ、そこから上位2スーパーリーグに参戦できなかったチームがスーパーリーグへ昇格、またリーグ戦13位と14位は4部リーグに当たるM4リーグへ降格となります。なお、スーパーリーグはマレーシアンフットボールリーグMFLが統括していますが、M3リーグ以下はアマチュアフットボールリーグAFLという組織が統括するセミプロリーグです。

今季のM3リーグの注目は、いずれも初参加となるサラワク・ユナイテッドFCとマラッカFCです。昨季はスーパーリーグでプレーしたサラワク・ユナイテッドは給料未払い問題未解決を理由に今季のクラブライセンスが交付されなかったことからスーパーリーグに出場できず、アマチュアリーグのM3リーグに参戦しています。一方のマラッカFCはマラッカ州サッカー協会MAFAが新設したクラブで、こちらはMAFAの前身のマラッカユナイテッドサッカー協会MUSAが運営し、やはり昨季スーパーリーグでプレーしたマラッカ・ユナイテッドFCが、やはり給料未払い問題未解決であることからクラブライセンスを交付されず、スーパーリーグ不参加となったことを受けて設立されています。なお、この記事執筆時点ではサラワク・ユナイテッド、マラッカ・ユナイテッドとも昨季所属選手や監督、コーチへの給料未払いが完了したという報道はなく、国内サッカーファンからは、給料問題未解決のチームやそのチームを運営していた組織にM3リーグ参戦を認めたAFLを批判する声が挙がっていますが、これに対して、AFLのユソフ・マハディ会長は、サラワク・ユナイテッドFCとマラッカFCのM3リーグ参加を認めなければ、「両州のサッカー振興に支障が出る懸念がある」という理由で、両チームの参加を認めたことを明らかにしています。

とは言え、昨季のスーパーリーグでプレーした選手たちは、両チームとも給料未払いにより全員が退団し、その代わりに加入した選手たちの質が問われましたが、案の定、サラワク・ユナイテッドは昨季のノックアウトステージでベスト8に残ったハリニ・スランゴールFTに0-3、マラッカFCは昨季はノックアウトステージに進出できなかったサインスFCに3ー1でそれぞれ敗れて、今季は黒星発進となっています。このようなスコアの試合が続けば、さらに下部のM4やM5リーグから参戦させなかったAFLの判断にも批判が集まりそうです。

この他、先日のこのブログで主要スポンサーが電子タバコ企業であったことが発覚し、リーグからスポンサー契約解除を余儀なくされた結果、今季M3リーグ事態の危機にあったBRM FCですが、宗教学校のラウダー・イスラム教学校が代わってスポンサーとなったことで、無事M3リーグに参戦しましたが、第1節では入国管理局FCと0-0で引き分けています。

また昨季2022年優勝のPIB FCは昨季ノックアウトステージでベスト8のマンジュンシティFCと0-0で引き分け、準優勝のKLローヴァーズFCは今季初参戦のマレーシア・ユニバーシティFCを3-0で一蹴しています。

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2023マレーシアスーパーリーグ
第3節結果とハイライト映像(1)-鈴木ブルーノの値千金のゴールでPDRMがクダ撃破、クランタンUはペラと引き分け、クランタンもペナンを破り今季初勝利

3月4日と5日に2023マレーシアスーパーリーグ第3節の5試合が行われています。4日の試合では今季スーパーリーグに昇格したPDRM FCが、復帰した鈴木ブルーノ選手のゴールで開幕2連勝中だったクダ・ダルル・アマンFCを破り、今季初勝利を記録するとともに、昇格組の中で初めて既存のスーパーリーグクラブを破っています。一方、昇格組同士の試合となったクランタン・ユナイテッドFC対ペラFCは0-0で終わっています、
 5日の試合では、やはり昇格組のクランタンFCが昨季のスーパーリーグで最下位だったペナンFCを2ー0で破り今季初勝利を挙げた他、途中から豪雨に見舞われたスランゴールFC対スリ・パハンFCは1-1の引き分け、トレンガヌFC対KLシティFCも0-0の引き分けとなっています。

3月4日@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:964人
クランタン・ユナイテッドFC 0-0 ペラFC
🟨クランタン:アスラフ・アリフディン・ヤシン、ラティフ・スハイミ
🟨ペラ:ファドリ・シャス、ハディ・ファイヤド、シヴァン・ピレイ
MOM:ラティフ・スハイミ(クランタン・ユナイテッドFC)

リーグ改編によって1部スーパーリーグに昇格した両チームの対戦となったこの試合はスコアレスドローに終わっています。
 開幕戦ではスランゴールFCに0-1と惜敗したクランタン・ユナイテッドは、前節第2節ではサバに3-1と敗れて開幕2連敗。一方のペラは開幕戦でクダに1-4と大敗したものの、第2節では同じ昇格組のPDRMと0-0と引き分けるなど、スーパーリーグでは未だ勝ち星がない両チームでしたが、この試合はともにゴールを破れず0-0の引き分けに終わっています。クランタン・ユナイテッドFCは3試合目にして初の勝点1を挙げています。

3月4日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:12, 792人
クダ・ダルル・アマンFC 0-1 PDRM FC
⚽️PDRM:鈴木ブルーノ(75分)
🟨クダ:アリフ・ファルハン、ファイヤド・ズルキフリ、ファズルル・ダネル
🟨PDRM:サフィー・アフマド、ファディ・アワド、アリフ・アンワル、ノーフィクリ・タリブ
🟥クダ:マヌエル・オット、ナフジ・ザイン監督
MOM:ノーフィクリ・タリブ(PDRM FC)

 開幕戦ではペラを4-1、次戦ではトレンガヌを1-0で下し、開幕から2連勝中だったクダが、第2節を終えたところで0勝1分1敗、得点0失点4のPDRMをホームに迎えた試合は、クダ有利の試合かと思われましたが、PDRMはGKラマダーン・ハミドの奮闘もあり前半は0-0で折り返します。
 後半に入ると、守備的な布陣を引いたPDRMは露骨な時間稼ぎのプレーなども目立ち始め、クダは突破口を開けない中、58分にはMFマヌエル・オットがすぐにボールを渡さなかったPDRMのMFファディ・アワドを突き倒して一発レッドで退場。さらに第4審判に手をかけたナフジ監督もやはり一発レッドで退場となってしまいます。
  数的に有利となったPDRMは75分に鈴木ブルーノ選手がゴール前で粘ってからのシュート!これが決まり、この1点リードを最後まで守り切ったPDRMが今季昇格組では初となるスーパーリーグ既存チーム撃破を達成しています。
 ホームということもあり試合開始から積極的なプレーを見せたクダですが、それが空回りした結果の退場劇は高い代償となりました。

3月5日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:8,504人
スランゴールFC 1-1 スリ・パハンFC
⚽️スランゴール:ブレンダン・ガン(74分)
⚽️パハン:ステファノ・ブルンド(88分PK)
🟨スランゴール:ヤザン・アル=アラブ
🟨パハン:ファドリ・シャス、バキウディン・シャムスディン、アズワン・アリピン、ザリフ・イルファン・ハシムディン、マヌエル・イダルゴ
MOM:カイルルアズハン・カリド(スランゴールFC)

 スーパーリーグの試合はマレー半島部では大半の試合が午後9時キックオフですが、午後5時30分キックオフという異例の時間に行われたこの試合は、早い時間ということもあり家族連れも多く詰めかけ、ホーム開幕戦と比べると観客数はほぼ4倍となりました。
 前半を0-0で折り返すと、後半の60分あたりが雨が激しく降り始め、ボールが転がりにくくなる中、この試合の先手を取ったのはアウェイのパハンでした。74分にスランゴールのシャルル・ナジームがペナルティエリア内でパハンのバキウディン・シャムスディンを倒し、PKを与えてしまいます。ステファノ・ブルンドが蹴ったPKをGKのカイルルアズアハン・カリドが一度はセーブしたものの、そのボールに詰めていたブルンド選手が蹴り込んでゴール!パハンが先制しました。
 雨はさらに激しさを増し、ピッチに浮いた水のせいでグランダーのパスがほとんど止まってしまう中、試合はこう着状態となり、このままパハンが逃げ切るかと思われた88分にスランゴールが得たコーナーキックからキャプテンのブレンダン・ガンがヘディングシュートを決め、土壇場でスランゴールが追いつきましたが、その後は両チームとも得点がなく1-1の引き分けに終わり、スランゴールの開幕からの連勝は2でストップ。一方のパハンは開幕から3試合で既に2引き分けとなっています。

3月5日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:6,011人
クランタンFC 2-0 ペナンFC
⚽️クランタン:イスマヒル・アキネード(22分)、ファズルル・アミル(36分)
🟨クランタン:クリスティアン・ロンティーニ、ガファー・アブドル・ラーマン、アフザル・アクバル
🟨ペナン:ジオヴァネ・ゴメス、A・ナマテヴァン、ファリス・シャー・ロスリ
🟥クランタン:クリスティアン・ロンティーニ(🟨x2)
🟥ペナン:ハサン・サアド
MOM:マリオ・アルケス(クランタンFC)

 昇格組のクランタンが昨季もスーパーリーグでプレーしたペナンを破り、今季初勝利を挙げています。ここまで開幕から2連敗中だったクランタンですが、この日はMOMとなったマリオ・アルケスがペナン守備陣を翻弄しました。ペナンDFラインの裏へ効果的なボールをおくり、ラインが下がり気味になる中、右サイドのガファー・アブドル・ラーマンが正確なクロスをゴール前にあげることができ、そこからイスマイル・アキネード、そしてファズルル・アズミのゴールが生まれています。
 開幕戦では土壇場で引き分けに持ち込んだペナンはこの日もクランタンゴールに迫りますが、アドリアーノのフリーキックがポストに当たるなど不運もありました。66分にはクランタンのクリスティアン・ロンティーニがこの試合2枚目のイエローで退場なり、ペナンが数的有利となったものの、その直後の68分に今度は途中出場のハサン・サアドが肘打ちで一発レッドとな李、ペナンも10人となるなど、もらったチャンスを活かせませんでした。

3月5日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:11,560人
トレンガヌFC 0-0 KLシティFC
🟨トレンガヌ:サルドール・クルマトフ
🟨KLシティ:デクラン・ランバート、セバスチャン・アヴァンジーニ、ケニー・パッラジ・アクラム・マヒナン
MOM:ラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌFC)

 前節では昨季までトレンガヌを率いたナフジ監督のクダに敗れ、開幕から2連敗中のトレンガヌがホーム2戦目で今季初勝ち点を挙げています。
 この試合のMOMとなったラーディアズリ・ラハリム、そしてKLシティのケヴィン・メンドーザの両GKがいずれも素晴らしいセーブを連発し試合は0-0に終わっています。

2023マレーシアスーパーリーグ 第2節結果とハイライト映像(3)スランゴールとパハンが昇格組相手に圧勝

3月2日にスーパーリーグ第2節の残り2試合が行われ、スランゴールFCは昇格組のクチンシティFC相手に5ゴールを挙げ、スリ・パハンFCはやはり昇格組のクランタンFCから4ゴールを挙げ、いずれも快勝しています。
 今季のリーグ改編により、昨季は2部プレミアリーグでプレーした5チームが1部スーパーリーグに昇格していますが、この5チームの第2節までの通算成績は1勝1分8敗で、唯一の勝利はともに昨季はプレミアリーグでプレーしたクチンシティFCがクランタンFCを破って挙げた1勝で、唯一の引き分けもやはり昨季プレミアリーグでプレしたチーム同士の対戦となったPDRM FC対ペラFCによるもので、昇格組対昨季スーパーリーグ在籍クラブの結果は0勝8敗となっています。(ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより。)

2023年3月2日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:18,000人
クチンシティFC 0-5 スランゴールFC
⚽️スランゴール:ヌール・アル=ラワブデ2(4分、48分)、エイロン・デル・ヴァイエ(9分)、ブレンダン・ガン(65分)、ダニアル・アスリ(73分)
🟨クチンシティ:アダム・シリーン・タムビ
🟨スランゴール:シャルル・ナジーム
MOM:ブレンダン・ガン(スランゴールFC)

 スランゴールFCが(昇格組相手ながら)開幕2連勝
 1-0と辛勝した開幕戦のクランタン・ユナイテッドFCに開幕戦で先発した新外国籍選手のMFヨハンドリ・オロスコ(ベネズエラ)に代えて、この試合ではMFアレックス・アギャルワ(ガーナ)を起用した以外は、開幕戦と同じメンバーが先発したスランゴールが今度は一転して圧勝しています。
 この試合がチーム50試合目の出場となったハイン・テット・アウンのパスをゴール前で受けたヌール・アル=ラワブデがこれを押し込んで移籍後初ゴール!開始4分でスランゴールが先制しました。さらに9分にエイロン・デル・ヴァイエがやはり移籍後初ゴールを挙げ、開始10分で早くもリー5を広げます。後半に入ると、ヌール・アル=ラワブデがこの試合2ゴール目を48分に決めて3-0。そしてこちらもこの試合がスランゴールでの50試合目となったキャプテンのブレンダン・ガンがゴール前でファイサル・ハリムからの折り返しに合わせてゴール!最後は途中交代のダニアル・アスリもゴールを決め、今季リーグ最多となる5得点を挙げたスランゴールが圧勝しています。

2023年3月2日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:6,040人
スリ・パハンFC 4-1 クランタンFC
⚽️パハン:クパー・シャーマン(12分)、ケヴィン・イングレッソ(38分)、エゼキエル・アグエロ(43分)、ステファノ・ブルンド(45+1分)
⚽️クランタン:ミゲル・シフエンテス(90+5分)
🟨パハン:アズワン・アリピン
🟨クランタン:クリスティアン・ロンティーニ
MOM:エゼキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)

 開幕戦では、ヌグリスンビランFCと引き分けたスリ・パハンFCが今季初勝利を挙げています。
 パハンにはホーム開幕戦となったこの試合は、ゴール前のこぼれ球をクパー・シャーマンが押し込んで先制しました。その後はケヴィン・イングレッソ、エゼキエル・アグエロ、ステファノ・ブルンドがいずれも前半でゴールを決め、前半だけで4-0としたパハンが、相手の反撃を1点に抑えて今季初勝利を飾っています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第2節終了時)

PosTeamPWDLGFGA+/-Pts
1SAB22007166
2SEL22005056
2JDT22005056
4KDA22005146
5SRP21105234
6KCH210125-33
7PEN20202202
8NSE20201102
9KLC201125-31
10PRK201114-31
11PDRM201104-41
12KLU200214-30
13TRE200203-30
14KEL200226-40
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ
第2節結果とハイライト映像(2)-JDT・サバ・クダは開幕2連勝、昨季2位のトレンガヌは2連敗

2023スーパーリーグ第2節の4試合が行われ、第1節で勝利していたジョホール・ダルル・タジム(JDT)とサバFCは開幕から2連勝を飾る一方で、クランタン・ユナイテッドは2連敗となりました。

3月1日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:12558人
サバFC 3-1 クランタン・ユナイテッドFC
⚽️サバ:ダレン・ロック(22分PK)、パク・テス(26分)、テルモ・カスタニェイラ(46分)
⚽️クランタン:インドラ・プトラ(90+2分)
🟨サバ:サディル・ラムダニ
🟨クランタン:ラティフ・スハイミ、ヤン・ヴィクトル、
MOM:テルモ・カスタニェイラ(サバFC)

昨季スーパーリーグ3位のサバFCがいずれもホームの試合で開幕2連勝。
試合開始とともにクランタン・ユナイテッドを圧倒したサバは、22分にダニエル・ティングが倒されて得たPKをダレン・ロックが決めて先制すると、その直後の26分には今季はDFではなくMFとして登録されている昨季のチーム得点王パク・テスがゴール前の混戦からこぼれ球を押し込みゴール!サバが2-0としました。
後半に入っても攻撃の手を緩めないサバは開始早々の46分にダニエル・ティングのクロスをテルモ・カスタニェイラが頭で合わせゴール!新加入コンビの連携でリードを3点に広げたサバがクランタン・ユナイテッドの反撃を1点に抑え、いずれも2部プレミアリーグからの昇格組との対戦ではあったものの開幕2連勝とし、得失差でジョホール・ダルル・タジムを押さえて首位を維持しています。
前節第1節ではスランゴールに0-1と惜敗したクランタン・ユナイテッドでしたが、この試合では3失点で敗れ、41歳のインドラ・プトラの素晴らしいフリーキックによるゴールで2戦連続完封負けは逃れたものの、スーパーリーグの壁に跳ね返されて2連敗となっています。

3月1日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
観衆:6847人
KLシティFC 0-3 ジョホール・ダルル・タジム(JDT)
⚽️JDT:ロメル・モラレス(41分OG)、エンドリック(52分)、アリフ・アイマン(90分)
🟨KLシティ:セバスチャン・アヴァンジニ、ケニー・パッラジ、ハキミ・アジム
🟨JDT:オスカル・アリバス、エンドリック、レアンドロ
MOM:フアン・ムニス(JDT)

王者JDTは2戦連続完封勝利
この日のJDTは、ブラジル出身ながらマレーシア国籍を取得したばかりのエンドリックが先発し、先発11名の内、マレーシア生まれはGKシーハン・ハズミ、DFフェロズ・バハルディン、FWアリフ・アイマンの3名だけしたが、一方のKLシティも外国籍選手5名に加えてエンドリック同様、ブルジル出身の帰化選手MFパウロ・ジョズエや、クアラルンプール生まれながらその後は外国育ちのDFデクラン・ランバートなどがおり、やはりマレーシアで生まれ育った選手は先発11名中4名という布陣でした。
試合は開始からJDTが優勢に進め、何度もあった好機を活かせなかったものの 41分には左サイドのフアン・ムニスのクロスをクリアしようとしたKLシティのロメル・モラレスがオウンゴールを決めJDTが先制しました。
JDTの2点目は1点目同様、左サイドから今度はフェルナンド・フォレスティエリの低く速いクロスにエンドリックがバックヘッドで合わせてゴール!エンドリックのJDT移籍後初ゴールで2-0とすると、90分には右サイドを上がったラマダン・サイフラーのパスを受けたアリフ・アイマンがシュート!これが決まってダメ押しの3点を挙げたJDTがKLシティに完勝しています。
ちなみに先週末の開幕戦もホームで迎えたKLシティでしたが、その試合の観衆は1291名でした。その一方で水曜日に行われたこの日の試合では、初戦の5倍以上となる6847名の観衆を集めており、JDTの人気いや、集客力にはおそり入ります。

3月1日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:21700人
クダ・ダルル・アマンFC 1-0 トレンガヌFC
⚽️クダ:ファズルル・ダネル(90分)
🟨クダ(0)
🟨トレンガヌ:リリドン・クラスニキ、イヴァン・マムート
MOM:リー・タック(クダ・ダルル・アマンFC)

クダのナフジ監督が5年間在籍した古巣に勝利
クダ・ダルル・アマンFCに今季就任したナフジ・ザイン監督は、昨季までコーチ、そして監督としてトレンガヌFCを指揮していました。経営陣との意見の相違から契約延長を断り、「涙の退団会見」を開いた後、クダの監督に就任しています。そういった経緯もあり、今節のクダとトレンガヌの対戦は最も注目のカードでした。
前半は両チームとも少ないながらも好機を得るものの、いずれもシュートが枠を捉えられないまま、試合が進みます。前半終了間際にはJリーグの甲府からクダへ移籍したウィリアン・レラがシュートを放つも大きく吹かしてしまい、またトレンガヌはソニー・ノルデがロングレンジのシュートを放つもゴールには至りませんでした。
後半に入っても膠着した状態が続く中、ナフジ監督は、80分にFWジョナタン・バロテッリ、そして84分にはMFファズル・ダネルを次々と投入し、流れを変えようとしますが、時計は90分を過ぎてロスタイムにはいります。そして、このまま0-0かと思われたところでトレンガヌにミスが出ました。DFドマゴイ・プシッチからバックパスへGKシャーミ・フシンの反応が遅れたところをレラ選手がカットし、そのボールをファズル選手が押し込み、これが決勝点となってクダがホーム開幕戦に勝利するとともに、開幕から2連勝、一方のトレンガヌは開幕から2連敗となりました。

3月1日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:3754人
ペナンFC 0-0 ヌグリスンビランFC
🟨ペナン:ラーマット・マカサフ
🟨ヌグリスンビラン:エラルド・グロン
MOM:ラファエル・ヴィトール(ペナンFC)

ともに開幕から2試合連続引き分け
ペナンはアウェイのKLシティ戦では試合終盤に追いついて3-3、一方、ヌグリスンビランはリードを追い付かれの1-1と、いずれも開幕戦を引き分けで終えていた両チーム。ペナンは開幕戦でレッドをもらったA・ナマテヴァンがこの試合は出場停止のため、代わってファウジ・ザカリアを起用した以外は開幕戦と同じメンバーで、またヌグリスンビランのK・デヴァン監督は開幕戦と全く同じ先発XIを起用しています。
試合はペナンが前半のチャンスを生かせず、0-0で迎えた後半の47分に、ペナンのラーマット・マカサフがヌグリスンビランのGKシーク・イズハン・ナズレルが接触し、シーク・イズハン先取が救急車で運ばれる事態となったものの(その後の報道では、シーク・イズハン選手の状況は案しているとのこと)、代わって入ったムハイミン・モハマド、そしてペナンGKシャフィク・アフィフィの好セーブなどもあり、そのまま0-0の引き分けで終了しました。

3月2日のニュース
今月のFIFAカレンダーは23日がトルクメニスタン戦、28日が香港戦に決定マレーシア
クチンシティはクラブ史上初となるホームでのスーパーリーグ公式戦で無料チケット配布

3月のFIFAカレンダーは23日がトルクメニスタン戦、28日が香港戦に決定

マレーシアサッカー協会(FAM)は、公式サイトで今月3月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAカレンダー)の日程を発表しています。対戦相手は既に香港とトルクメニスタンとなることが発表されていましたが、試合日は3月23日がトルクメニスタン戦、3月28日が香港戦と決定しています。なおこの2試合は通常、代表戦が開催されるブキ・ジャリル国立競技場が改修中のため、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)で開催されます。

キム・パンゴン代表監督が2012年から2017年まで代表監督を務めていた香港は、協会公式サイトで早々と遠征日程とメンバーを発表しており、その中でマレーシア戦が3月28日と明記されていたことから、FAMが成績に発表する前からサポーターの間では既に知られていましたが、今回、トルクメニスタン戦の日程も正式に発表されたことで、FIFAカレンダーの日程が確定しました。

直近(2022年12月)のFIFAランキングが145位のマレーシアが今回の対戦するトルクメニスタンは135位、香港は同146位ですが、このレベルのチームと対戦するのは今年10月から始まるFIFAワールドカップ2026年大会予選を見込んでのことです。ワールドカップ2026年大会アジア一次予選は10月から始まりますが、この一次予選の組み合わせ抽選までにアジア内で上位25位までに入っていれば、この一次予選ではなく11月から始まる二次予選から出場となることから、現在まさにその25位にいるマレーシアはこのランキングを死守する必要があるわけです。

なおマレーシアは昨年2022年もトルクメニスタン、香港と対戦しており、AFCアジアカップ2022年大会最終予選で対戦したトルクメニスタンには、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、ラヴェル・コービン=オング、サファウィ・ラシド(いずれもジョホール・ダルル・タジム)のゴールで3-1、国際親善試合で対戦した香港にはサファウィ・ラシドとサフィク・ラヒム(いずれもジョホール・ダルル・タジム)のゴールで2-0でそれぞれ勝利しています。

クチンシティはクラブ史上初となるホームでのスーパーリーグ公式戦で無料チケット配布

昨季はMリーグ2部のプレミアリーグで3位となったクチンシティは、プレミアリーグと1部スーパーリーグを統合するリーグ再編に伴い、今季からスーパーリーグに昇格しています。クラブ史上初のスーパーリーグ参戦となった第1節では、アウェイながら同じプレミアリーグから昇格したクランタンFCを逆転で破って、歴史的なスーパーリーグ初勝利を挙げています。

クチンシティFCは本日3月2日に開催される第2節で、スーパーリーグ公式戦ホーム初開催となるスランゴールFC戦を戦いますが、この歴史的な試合をできるだけ多くのサポーターとともに祝いたいと、この試合のチケットが無料で配布されることをクラブ公式SNSで発表しています。

クラブ公式SNSでは、「これまでクラブを応援してきたサポーターへの感謝の気持ちを示すもの」として、試合会場となるサラワク州クチンのサラワク州立スタジアムで午前10時から午後3時までの予定で、スランゴールFC戦のチケットが無料で配布されることが告知されています。

*****

サラワク州には、サラワク州サッカー協会が運営していたサラワク・ユナイテッドFCもありますが、こちらは昨季途中に起こった選手らへの給料未払いが解決しなかったことから、今季のクラブライセンスが交付されず、スーパーリーグへの参戦の道が絶たれ、今季はアマチュアリーグのM3リーグへ参戦します。サラワク州サッカー協会が運営するサラワク・ユナイテッドFCが3部でプレーする一方で、サラワク州の一都市であるクチン市サッカー協会(クチンFA)が母体だったクチンシティFCが1部リーグのスーパーリーグでプレーする図式はなんとも皮肉です。前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ監督と前UKM FC(既に解散)監督のスライマン・ハッサン コーチのコンビが就任以降は着実に進歩を遂げているクチンシティFCが州内のサッカーファンの期待を背負う一方で、外国籍選手を高額で獲得しながらその給料が払えず、結果的に3部へ降格したサラワク・ユナイテッドFCに失望したサポーターも多そうです。

2023マレーシアスーパーリーグ
第2節結果とハイライト映像(1)-PDRMはホーム開幕戦でスコアレスドロー

先週末に開幕した2023マレーシアスーパーリーグは3月1日から第2節に入りました。この日は、第1節ではいずれも4失点で大敗したPDRM FCとペラFCが対戦し、試合は0-0に終わり、両チームとも今季初勝利はなりませんでした。

2月28日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:2250人
PDRM FC 0-0 ペラFC
🟨PDRM:ノーフィクリ・タリブ、ズルファーミ・アブドル・ハディ、アミル・サイフル・バデリ、鈴木ブルーノ
🟨ペラ:シャフィジ・イクマル・カイルディン
MOM:ラマダーン・ハミド(PDRM FC)

今季からMPBJスタジアムをホームとするPDRM FCは、サバFCに0-4で敗れた試合の先発メンバーからキャプテンのアズミ・ムスリムや新外国籍選手のジャック・フェイやウチェ・アグバ、チョー・ミン・ウーらに代わり、鈴木ブルーノやマコーリー・マーカスら5名を入れ替えました。またクダ・ダルル・アマンFCに1-4で敗れたペラFCのリム・ティオンキム監督は初戦で退場処分を受け、この試合は出場停止となっているサンディ・アフォラビとアフマド・アフィク・プアドの両選手を除くと1名だけを入れ替えた布陣でこの試合に臨みました。
 試合は両チームとも得点のチャンスはあったものの、この試合のMOMに選ばれたラマダーン・ハミド(PDRM FC)、ブアイアン・シー(ペラFC)の両GKの活躍などもあり、0-0の引き分けに終わっています。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は今季初先発し、フル出場しています。

2月28日のニュース
今季第1節の観客数は7スタジアムでおよそ8万人
タイ1部リーグ第21節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドは揃って先発
サッカー協会主導でマレーシア国籍取得のデ・パウラは今季は3部でプレー

スーパーリーグ第1節の観客数は7スタジアムでおよそ8万人

先週末の2月24日から26日にかけて行われたマレーシアスーパーリーグの今季第1節のスタジアム入場者が発表になっています。待ちに待ったシーズン開幕!と皆が待ち焦がれていたのかと思いますが、思ったよりも少ないです…。
 ジョホール・ダルル・タジム(JDT)の昨季の1試合あたりの観客動員数ははおよそ1万6000人なので、30000人を越えたこの日は別格ですが、サバFCは昨季1試合平均およそ9000人、スランゴールFCは同およそ2000人だったので、今季の開幕戦は平均以上の観衆を集めています。またヌグリスンビランFCは昨季およそ6000人、KLシティFCは同およそ1000人をそれぞれ1試合平均で集めており、今季第1節は平均なみだったと言うことになります。
 またクランタンFC対クチンシティFCが行われたクランタン州はイスラム教の影響が強く、日曜日から木曜日までが「平日」、金曜日と土曜日が「週末」に当たります。試合は「週末」の土曜日に開催されましたが、キックオフはまだ暑さが残る午後5時30分だったことも動員数に影響しているかもしれません。
 とは言え、今回は開幕戦でしかも週末の開催だったことを考えると、今日2月28日(火)から3月2日(木)と週のど真ん中で開催される第2節はこれより少ない動員数になる可能性があります。

順位開催日カード試合会場入場者数
12/24
(金)
ジョホール対
トレンガヌ
スルタンイブラヒムスタジアム
(ジョホール州)
31, 889人
22/25
(土)
ペラ対クダペラスタジアム
(ペラ州)
15,106人
32/25
(土)
サバ対PDRMリカススタジアム
(サバ州)
12,602人
42/26
(日)
スランゴール対
クランタンU
MBPJスタジアム
(スランゴール州)
6,710人
52/26
(日)
ヌグリスンビラン
対パハン
トゥンクアブドルラーマンスタジアム
(ヌグリスンビラン州)
6,329人
62/25
(土)
クランタン対
クチンシティ
スルタンモハマド4世スタジアム
(クランタン州)
5,138人
72/25
(土)
KLシティ
対ペナン
KLフットボールスタジアム
(クアラルンプール)
1,291人
合計79,056人
タイ1部リーグ第21節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドは揃って先発

2月25日と26日タイ1部リーグ第21節が行われ、マレーシア代表のDFディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)とFWサファウィ・ラシドはいずれも先発しています。また、DFジュニオール・エルドストール(PTプラチュワプFC)は今節もベンチ外でした。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第21節
2023年2月25日@ラムパーン県立タジアム
ラムパーンFC 1-0 ラーチャブリーFC
ラーチャブリーFCは3試合連続の完封負けながら順位は変わらず5位に留まっています。
サファウイ・ラシドは先発して、84分に交代しています。

2023年2月26日@サーム・アーオスタジアム
PTプラチュワップ 0-1 ブリーラム・ユナイテッドFC
リーグ首位のブリーラム・ユナイテッドFCはリーグ再開からの6試合で5勝1分。またこの日、2位のバンコク・ユナイテッドFCが敗れたため、勝点差は12と開きました。一方のPTプラチュワップFCはこの日の敗戦で、順位を一つ下げて13位となっています。
ブリーラム・ユナイテッドFCのディオン・コールズは先発して、フル出場しています。
PTプラチュワップFCのジュニオール・エルドストールはベンチ外でした。

タイ1部リーグ順位表(第20節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU21174054173755
2バンコクU21134436112543
3チョンブリー21113735211436
5ラーチャブリー219672415933
13プラチュワップ2155112742-1520
サッカー協会主導でマレーシア国籍取得のデ・パウラは今季は3部でプレー

ブラジル出身のFWギリェルメ・デ・パウラは、2015年にスランゴールFA(当時、現スランゴールFC)でマレーシアリーグでの選手生活をスタートすると、2016年にはマレーシア王立警察が運営するPDRM FA(現PDRM FC)、2017年から2019年まではクアラルンプールFA(現KLシティFC)、そして2020年からはペラFA(現ペラFC)でプレーを続けました。マレーシア国内での連続プレー期間が5年を超え、デ・パウラ選手がFIFAが規定する帰化選手となる条件をクリアしたことから、マレーシアサッカー協会FAMは代表チーム強化を目的とした帰化支援プログラムを立ち上げ、このデ・パウラ選手と、コソボ出身でやはり5年間マレーシアでプレーしたMFリリドン・クラスニキ両選手のマレーシア国籍取得を支援し、このプログラムのおかげでデ・パウラ選手は2021年3月に、クラスニキ両選手は同年2月にマレーシア国籍を取得しました。

しかしマレーシア国籍を取得した際には既に35歳となっていたデ・パウラ選手はマレーシア代表に招集されたものの、2021年6月に行われたFIFAワールドカップカタール大会のためのアジア2次予選では目立った活躍ができず、多くの代表チームサポーターは「デ・パウラ選手(と帰化選手)不要論」を唱え、FAMの帰化支援プログラムの廃止を求める声が高まりました。そして行き場を無くしたデ・パウラ選手はジョホール・ダルル・タジム(JDT)に移籍し、帰化支援プログラムは一時中断が決まりました。

リーグ戦でもマレーシア人選手として登録が可能になったにもかかわらず、代表選手ですら控えに回るJDTでは2021年シーズンはリーグ戦出場3試合、そして昨季は出場が全くなかったデ・パウラ選手ですが、今季はJDTから3部リーグのM3リーグに初参戦するマラッカFCへ期限付き移籍したと、マレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。

「(アマチュアリーグの)M3リーグでプレーすることは自分は全く気にならない。スーパーリーグではもうプレーする能力がないとと言われていることは知っているが、M3リーグはむしろ自分の能力を証明できる最良の場だと考えている。できるだけ多くの得点を挙げて、チームの昇格に貢献することが今季の目標だ。」と話したデ・パウラ選手は、先日行われたチームの選手披露イベントの席上で、今季創設されたばかりのチームのM3リーグ優勝とスーパーリーグ昇格に貢献したい、と決意を述べています。