5月14日のニュース
タイ1部リーグ第30節-ディオン・コールズは3試合ぶりの先発も、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールはベンチ外で今季終了

マレーシアは男女とも既に敗退した東南アジア競技大会のサッカーは、準決勝が行われ、U22代表が対戦する男子はフィリップ・トルシエ元日本代表監督が率いるベトナムがインドネシアに2-3で敗れて大会3連覇を逃しています。ウィタン・スレイマン、リスキ・リド(いずれもプルシジャ・ジャカルタ)、ラマダン・サナンタ(PSMマカッサル)、プラタマ・アルハン(東京ヴェルディ)、マルセリーノ・フェルディナン(ベルギー2部KMSKダインゼ)といったA代表でもプレーする選手を揃えたインドネシアは1991年大会以来32年ぶりの優勝を目指して、ミャンマーを3-0で下したタイと対戦します。
 女子は、カンボジアを4-0で下して4連覇に王手をかけたベトナムと、タイを4-2で破ったミャンマーが大会初優勝をかけて対戦します。

タイ1部リーグ第30節-ディオン・コールズは3試合ぶりの先発も、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールはベンチ外で今季終了

5月12にタイ1部リーグの今季最終節となる第30節が行われています。既に今季の優勝を決めたブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズは3試合ぶりに先発しましたが、PTプラチュワップFC所属のジュニオール・エルドストールと、ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドはいずれもベンチ外で今季最終戦を終えています。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第30節
2023年5月12日@チャンアリーナ
ブリーラム・ユナイテッド 4-0 ナコーンラーチャシーマーFC
 既にリーグ戦とFAカップの優勝を決めているブリーラム・ユナイテッドが最終戦に勝利し、来週土曜日5月20日のリーグカップ決勝に弾みをつけてました。
 ブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズは先発してフル出場しています。

2023年5月12日@サーン・アーオスタジアム
PTプラチュワップ 2-0 スコータイFC
 前節では降格圏と勝点差3だったPTプラチュワップFCは無事に1部残留を決めています。
 PTプラチュワップのジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)はベンチ外でした。

2023年5月12日@サンダー・ドームスタジアム
ムアントン・ユナイテッド 4-0 ラーチャブリーFC
 5試合続けて勝ち星がなかったラーチャブリーFCは、この試合でも敗れて最終順位が8位に転落しています。
 韓国やインドネシアへ移籍の噂が出ているラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドはベンチ外でした。

タイ1部リーグ最終順位表(第30節終時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU30235275274874
2バンコクU30195655223362
3ポート301410652381452
8ラーチャブリー30101193229341
11プラチュワップ3098134451-735

*****

いずれも今年1月に移籍しながら、ディオン・コールズはブリーラム・ユナイテッドで主力選手となり、チームの国内二冠達成に貢献した一方で、サファウィ・ラシドはラーチャブリーFCでは途中交代と途中出場を繰り返し、ジュニオール・エルドストールに至ってはベンチ外となった試合数が出場試合数を上回るなど、マレーシア代表選手の間で明暗が分かれています。

このままではサファウィ、エルドストール両選手は、アジアカップの対戦相手が決まったことで強化がいよいよ本格化する代表チームに招集されるかどうかも危うくなってしまうため、出場機会を求める両選手の今後の動向が気になります。

5月12日のニュース
アジアカップの組み合わせ決定-16年ぶり出場のマレーシアは韓国、ヨルダン、バーレーンと同じE組に
東南アジア競技大会-予選敗退決定のマレーシアは最終戦のシンガポール戦で大勝
給料未払いのクランタンFCオーナー「給料を全額受け取りたければ、試合に勝て」

アジアカップの組み合わせ決定-16年ぶりに出場のマレーシアは韓国、ヨルダン、バーレーンと同じE組に

来年1月12日から2月10日にカタールで開催されるAFC選手権アジアカップ2023の組み合わせ抽選会が11日にカタールのドーハで行わ、直近のFIFAランキング138位のマレーシアは、E組に入り同27位の韓国、同84位のヨルダン、同85位のバーレーンと1次リーグを戦うことが決まっています。

アジアカップは、東南アジア4ヵ国での共催となった2007年大会に開催国枠での出場が最後ですが、予選を突破して本大会出場を決めたのは1980年以来43年ぶりというマレーシアのキム・パンゴン監督は、この組み合わせ抽選会後にオンラインでメディアに対応し、母国監督との対戦について「韓国はアジアのトップチームの一つであり、サポーターがマレーシア代表を誇りに思えるよう、全力で立ち向かいたい」と述べています。

アジアカップは出場24チームが6組に分かれて1次リーグを実施し、各組2位までと3位のうち成績上位4チームが決勝トーナメントに進みます。試合は昨年のW杯で日本がドイツ、スペインを破ったドーハのハリファ国際競技場など6つのW杯スタジアムを含む8会場を使用します。なお、以下が抽選の結果決まった、アジアカップ2023の1次リーグの組み合わせです。

グループ所属国
Aカタール、中国、タジキスタン、レバノン
Bオーストラリア、ウズベキスタン、シリア、インド
Cイラン、アラブ首長国連邦、香港、パレスチナ
D日本、インドネシア、イラク、ベトナム
E韓国、マレーシア、ヨルダン、バーレーン
Fサウジアラビア、タイ、キルギス、オマーン
東南アジア競技大会-予選敗退決定のマレーシアは最終戦のシンガポール戦で大勝

いまさら大勝してもなぁ。

東南アジア競技大会通称シーゲームズ男子サッカーB組最終節が11日に行われ、いずれもグループステージ敗退が決まっているマレーシアとシンガポールの対戦は、マレーシアがシンガポールを7-0と無駄に一蹴しています。既にグループステージ敗退が決まったからか、今大会これまでマレーシアの試合を全て放送してきた国営放送局のRTMは、この試合が予定されていた時間に、金メダルがかかる男子バドミントンの試合に急遽差し替えられる仕打ちも受けた(笑、いや泣)マレーシアの先発XIは以下の通りです。なお前節のベトナム戦でナジムディン・カマル(ジョホール・ダルル・タジムII)とアザム・アズミ(トレンガヌ)はレッドカードをもらっているため、この試合は出場停止になっています。


14分にT・サラヴァナン(KLシティ)のゴールで先制したマレーシアは、そのサラヴァナン選手のクロスにハキミ・アジム(KLシティ)が頭で合わせて2点目を決め、前半を終了します。後半に入るとサラヴァナン選手は48分、54分とゴールを決めてハットトリックを達成すると、63分にはゴール前でのこぼれ球を押し込んでこの試合4得点目を挙げます。さらに88分にはキャプテンのムカイリ・アジマル(スランゴール)、そして途中出場のアイマン・アフィフ(クダ)が追加点を挙げて、7-0と圧勝しています。

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重要なベトナム戦で先発させてもらえなかったサラヴァナン選手がその鬱憤を晴らすかのようにこの試合では4ゴール1アシストの大活躍。この結果に一番喜んでいるのはサラヴァナン、ハキミ両選手が所属するKLシティのボヤン・ホダック監督でしょう。この両選手がこのシーゲームズをきっかけにブレークすれば、今季はここまで9試合で14得点とリーグ7位の得点力不足に悩むKLシティの救世主になるかもしれません。

2023年5月11日@プリンススタジアム
シンガポール 0-7 マレーシア
⚽️マレーシア:T・サラヴァナン4(14分、43分、58分、62分)、ハキミ・アジム(45+2分)、ムカイリ・アジマル(87分)、アイマン・アフィフ(90+3分)

https://youtu.be/O7yZzmF3Mjc
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

また、マレーシアに開催されたB組のもう1試合は準決勝進出を決めているとタイとベトナムが1-1で引き分け、得失差でタイがB組1位、ベトナムが同2位となり、タイはA組2位のミャンマーと、ベトナムはA組1位インドネシアとの準決勝に臨みます。

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第7節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1タイ4310103710
2ベトナム431086510
3マレーシア420213586
4ラオス4013211-91
5シンガポール4012213−111
給料未払いのクランタンFCオーナー「給料を全額受け取りたければ、試合に勝て」

クランタンFCの選手とされる数名がSNS上で給料が未払いとなっていることを明らかにしたことに対し、そのオーナーが、試合に勝てば未払い給料を支払う用意があると述べていると、マレーシア語紙のシナル・ハリアンが報じています。

今季はここまで1勝1分10敗でリーグ13位に低迷するクランタンFCのオーナー、ノリザム・トゥキマン氏は、選手はチームが求めるKPI(重要業績評価指標)を達成していないとして、給料を50パーセントカットしていることを認めた上で、KPIを達成すればカットした50パーセントの給料を支払う予定があるとして、選手は未払い給料を受け取るためには、チームがあと2勝しなければならないと、自身のSNSに投稿しています。

シナル・ハリアンの記事とほぼ同時期に、サッカー専門サイトのヴォケットFCは「マレー半島東海岸の州に本拠地を持つチームが、新規選手獲得禁止処分を受けるという噂を報じています。国内で選手代理人を務めるジョー・ベルバトフ氏が公表した声明によると、ベルバトフ氏はマレーシアスーパーリーグのチームに関して、そのチームだけでなく、マレーシアサッカー協会FAM、アジアサッカー連盟AFC、国際サッカー連盟FIFAに対しても苦情申し立てを行なったということです。

そしてそのチーム名は伏せられているものの、上で取り上げたようにクランタンFCでは給料が50パーセントカット、つまり契約書で約束された給料全額が支払われていないことが明らかになっていることから、ベルバトフ氏が苦情申し立てを行ったのがクランタンFCではないかとされています。マレーシアの今季2度目のトランスファーウィンドウは7月5日から8月1日までですが、もし新規選手獲得禁止処分を受けることになれば、リーグ13位のチームにとって大きな痛手になりそうです。

5月11日のニュース
東南アジア競技大会-サッカー女子代表は3連敗で男子に続きグループステージ敗退が決定
サファウィ・ラシドに韓国やインドネシアのチームが関心?
フットサル-ジョホールはフットサルでもあくなき補強でリーグ加入初年度で優勝を目指す

東南アジア競技大会-サッカー女子代表は3連敗で男子に続きグループステージ敗退が決定

カンボジアで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズで5月9日にサッカー女子のグループステージA組最終節が行われ、ここまで2連敗中だったマレーシアは、ミャンマーに1-5で敗れて3連敗となり、勝点0でグループステージ敗退となりました。昨日はU22代表が対戦するサッカー男子でマレーシアはベトナムに敗れてグループステージ敗退を決めており、男女とも準決勝に進むことなく大会を終えています。また、昨年12月にマレーシア女子代表監督に就任したソリーン・アル=ゾウビ氏にとっては残念なA代表デビューとなりました。

初戦のベトナム戦では0-3、前節のフィリピン戦ではロスタイムの失点で0-1と惜敗したマレーシア女子代表は、女子ワールドカップに出場する両チームに善戦したことから、この日のミャンマー戦では大会初勝利も期待されました。しかし、ミャンマーはこの試合に大量得点で勝利すれば、準決勝進出の可能性が残されていただけに、試合開始からマレーシアゴールに襲いかかり、開始3分でジュライ・チョーが、さらにはキン・マーラー・トゥンが26分、39分と立て続けにゴールを決め、マレーシアは前半だけで0-3とリードを広げられます。

しかし後半に入ると、マレーシアは途中出場のインタン・サラーが58分に今大会チーム初得点となるゴールを決め、点差を縮めます。しかし62分、82分とサン・トー・トーがゴールを決めたミャンマーがマレーシアに圧勝しています。なお、ミャンマーはこの大量得点が功を奏し、この日ベトナムを破り勝点で並んだフィリピンを得失点差で上回り、準決勝進出を決めています。

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グループステージ敗退後、女子代表のソリーン・アル=ゾウビ監督は、今回の結果について、初戦のベトナム、2戦目のフィリピンと強豪との対戦が続き、3戦目となったミャンマー戦は消耗した選手たちにとって最も難しい試合だったと述べた上で、今回は若い選手や国際試合の経験がない選手が多いチームだったことも勝点0に終わった理由の一つと分析する一方で、国内リーグのレベルアップと新戦力の発掘が今後の課題となると説明しています。

2023年5月9日@RCAFオールドスタジアム
ミャンマー 5-1 マレーシア
⚽️ミャンマー: ジュライ・チョー(3分)、キン・マーラー・トゥン2(26分、39分)、サン・トー・トー2(62分、82分)
⚽️マレーシア:インタン・サラー(58分)

東南アジア競技大会2023 女子サッカーA組順位表(最終結果)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム32017346
2ミャンマー32017436
3フィリピン32013216
4マレーシア300304-40
サファウィ・ラシドに韓国やインドネシアのチームが関心?

成績不振からクランタンの監督を更迭されたチェ・ムンシク氏の代理人が、自身のSNSにタイでプレーするサファウィ・ラシドと撮った写真を投稿したことから、サファウィ選手が韓国でプレーするのでは、という期待が国内サッカーファンの間で高まっています。サファウィ選手との写真を投稿したのは代理人のレオ・ジョン氏で、この投稿にはジョン氏がサファウィ選手を韓国に連れていくのでは、といったコメントもついています。

所属するジョホール・ダルル・タジム(JDT)では出場機会に恵まれず、今年1月からタイ1部のラーチャブリーFCへ期限付き移籍しているサファウィ選手ですが、同じくタイ1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーするディオン・コールズとは違い、レギュラーポジションが掴めていません。以前このブログでも取り上げましたが、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下はサファウィ選手と直接連絡を取った際に、サファウィ選手がチームに「馴染めておらず、JDTに戻りたがっている」と話したと明かしましたが、チーム関係者がそれを否定しています。

またサファウィ選手がマレーシアリーグに戻るのであれば、是非、獲得したいと出身地のトレンガヌ州を本拠地とするトレンガヌのCEOが名乗りを上げるなど、一時はマレーシアリーグ復帰が濃厚に見えていましたが、今回の一件でマレーシア以外、という選択肢も浮上しているのかも知れません。

またTwitter上では、サファウィ選手はインドネシア1部で来季はプレーするのでは、といった噂も出ています。そしてサファウィ選手クラスであれば、国内トップクラブのプルシジャ・ジャカルタやプルシブ・バンドンの名が上がっています。特にプルシブ・バンドンは終了したばかりの2022/23シーズンでは右ウィングのフェブリ・ハリヤディが大不調だったこともあり、同じポジションのサファウィ選手ならそこにそのまま当てはまる、ということのようです。

フットサル-ジョホールはフットサルでもあくなき補強でリーグ加入初年度で優勝を目指す

国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグは、先週末で前半戦が終了し、今週末から後半戦が始まります。後半戦開幕を前に5月1日から開いているトランスファウィンドウでは、Fリーグの名古屋オーシャンズから日本代表の平田ネトアントニオマサノリ選手がスランゴールTOTユナイテッドに7月までの限定期間ながら移籍することを、このブログでも取り上げました。

前半戦を3勝3敗のB組4位で終えたスランゴールTOTユナイテッドは、準決勝進出がかかる2位以内を目指しての補強ですが、前半戦をB組首位で折り返すジョホール・ダルル・タジム(JDT)も、リーグ加入初年度から優勝を目指して積極的な補強を行っています。サッカーでは国内トップリーグのスーパーリーグで昨季まで9連覇を達成し、今季は第10節を終えた時点で既に10連覇が濃厚のJDTですが、フットサルでも開幕前には他のチームからマレーシア代表クラスを次々と獲得し、その結果が昨季のリーグ覇者スランゴールMACを得失差で抑えての前半戦首位折り返しとなっています。

そのJDTは、ケガが噂されるアブドル・ラーマン・サラニ(イラン)に代わり、ニノことタナトゥル・タダヴィロット(タイ)をアジア枠の外国籍選手として6ヶ月の期限付き移籍で獲得したことを発表しています。タイの強豪チョンブリー・ブルーウェーブ出身で、2021/22シーズンはスペイン1部のショタFSでプレーした23歳のタナトゥル選手は、この移籍ニュースを取り上げたサッカー専門サイトのヴォケットFCによれば、タナトゥル選手はスペイン語と英語も堪能で、JDTのフアン・アントニオ・ミゲル・ガルシア監督やチームメートとのコミュニケーションには全く問題がないだろうとしています。

5月9日のニュース
東南アジア競技大会-最後は9人となったマレーシアはグループステージ敗退決定
KLシティのオーナーは国外クラブと提携を模索
AFFフットサルクラブ選手権-パハンレンジャーズは4位、ブラックスティールFCパプアが初優勝

東南アジア競技大会-最後は9人となったマレーシアはグループステージ敗退決定

東南アジア競技大会通称シーゲームズ男子サッカーのグループステージB組第4節が5月8日に行われ、フィリップ・トルシエ元日本代表監督が率いるベトナムU22代表と対戦したマレーシアU22代表は、1-2で敗れて、2大会ぶりに準決勝進出を逃しています。完敗だったシンガポール戦から中1日という日程で臨んだこの試合で、マレーシアU22代表のE・エラヴァラサン監督はMFナジムディン・アクマル(ジョホール・ダルル・タジム-JDT II)を今大会初先発で起用、またタイ戦では先発を外れたFWハキミ・アジム(KLシティ)とMFムカイリ・アジマル(スランゴール)が再び先発XIに復帰するなど、エラヴァラサン監督が絶対的エース不在の中、選手起用に悩んでいることが見て取れます。(以下はこの日の先発XI)

試合は開始7分でいきなり動きました。ベトナムのヴォ・ミン・チョンが放ったミドルシュートが、ペナルティーエリア内でハリス・ハイカル(スランゴール)の手に当たり理ます。ハリス選手は手が自然な位置にあったと抗議しますが、日本人の飯田淳平主審はこれを受け入れず、ベトナムにPKを与えます。グエン・ヴァン・トゥンの放ったシュートはシーク・イズハン(ヌグリスンビラン)が一旦、止めたものの、詰めていたヴァン・トゥン選手がこれを押し込み、ベトナムが先制します。このゴールで勢い付いたベトナムは、試合を優位に進め、33分にはファン・トゥアン・タイがマレーシアDFラインの裏へロングボールを挙げると、これを受けた左サイドのミン・チョン選手がゴール前にクロスを上げ、ヴァン・トゥン選手がマレーシアDFと競ることなく頭で合わせてゴールし、ベトナムがリードを2点に広げます。

この試合で負ければグループステージ敗退が決まるマレーシアは、ここからギアを上げて反攻に転じますが、それが実ったのが43分でした。ペナルティエリアすぐ外でフリーキックを得たマレーシアはアリフ・イズワンがゴール前へ蹴り込みます。このボールは一旦はベトナムGKクアン・ヴァン・チュアンが触れながらも捕球しそこね、それをアイマン・アフィフ(クダ)が押し込んで、マレーシアが1点を返し、後半に望みを託します。

後半に入るとマレーシアは、ラインを押し上げて同点ゴールを狙いますが、ブレーにも荒さが現れ始めました。78分には途中出場のサフワン・マズラン(トレンガヌ)がベトナム選手に手を挙げて一発レッド、さらに前線で機能していたナジムディン・アクマル(ジョホール・ダルル・タジム-JDT II)が84分にレイトタックルで2枚目のイエローをもらうなど、押し気味に進めながらも最後は9人となったマレーシアではそれ以上の反撃はできず、1-2で大会3連覇を狙うベトナムに敗れてグループステージ敗退が決まりました。マレーシアはB組最終戦となるシンガポール戦が

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今大会のマレーシアU22代表は、リーグ2年連続MVPのアリフ・アイマン、ACLでもプレーするなどチームの主力となっているナサニエル・シオ(いずれもジョホール・ダルル・タジム-JDT)といったA代表クラスの選手を、この大会がFIFAカレンダー外だったことから招集できなかった点を差し置いても、最終的には個々の選手の能力に依存し、戦術、戦略ともに準備不足な印象だけが残りました。「目標は決勝進出、最低でも準決勝進出」という目標を公言しながら、先発メンバーを試合ごとに変更した上、公言した通りの結果が残せなかったE・エラヴァラサン監督以下首脳陣が今後もこのチームを率いるべきなのか、の再考が必要です。またベトナムやタイの若い選手が活躍する様子を見ると、今年から始まったU23リーグのMFLカップの外国籍選手枠の見直しなど、マレーシアサッカー協会としての育成方針の見直しも必要かも知れません。

2023年5月8日@プリンススタジアム
ベトナム 2-1 マレーシア
⚽️ベトナム:グエン・ヴァン・トゥン2(7分PK、33分)
⚽️マレーシア:アリフ・イズハン(43分)

https://youtu.be/LTkZQQJGqJI
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第7節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1タイ33009279
2ベトナム33007259
3マレーシア31026513
4シンガポール301226−41
5ラオス4013211−91
KLシティのオーナーは国外クラブと提携を模索

今年からスーパーリーグに所属するKLシティのオーナーとなったアズリ・アゼライ氏が、先日、韓国1部の光州FCとFCソウルを表敬訪問したことを自身のSNSに投稿し、さらにKLシティと外国クラブとの提携を模索していると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

今年3月にKLシティの51パーセントの株式を510万リンギ(およそ1億6000万円)で購入した財務コンサルティング企業リナニ・グループ社のトップであるアズリ氏は、英国のプレミアリーグやスペインのラ・リガ、イタリアのセリエAの他、KリーグやJリーグといった各国のリーグのクラブと提携し、KLシティの強化に繋げたいと話しています。

「(表敬訪問した)韓国の両クラブはそれぞれの「雰囲気」を持っていた。光州FCは「落ち着いて家庭的な」雰囲気で、FCソウルはKLシティの本拠地、クアラルンプールと同様の「都会的な」雰囲気を持っていた。」と話したアズリ氏は、今後数ヶ月の内に複数の外国クラブとの具体的な提携関係が正式に調印されることになるだろうと話しています。

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別の記事では、こういった外国のクラブと提携関係が確立された場合、KLシティは海外でプレシーズンのトレーニングを行う可能性があるなどとも報じられています。2022年AFCカップ準優勝のKLシティですが、現在はクラブ専用の練習施設がないことから、アズリ氏は以前のインタビューで、チームに自前の施設を持たせ、選手たちがトレーニンググラウンドを移動する必要がなくなるようにするという、クラブの短期的および長期的な計画を述べ、チーム専用の練習施設を建設するために、土地購入なども検討していることを明らかにしています。

AFFフットサルクラブ選手権-パハンレンジャーズは4位、ブラックスティールFCパプアが初優勝

タイで開催されていた東南アジアサッカー連盟AFFフットサルクラブ選手権に出場していたマレーシアのパハン・レンジャーズは、3位/4位決定戦でタイ・ソンナム(ベトナム)に0-3で敗れて4位に終わっています。

準決勝ではブラックスティールFCパプア(インドネシア)に0-7で敗れていたパハン・レンジャーズは19分にベトナム代表グエン・アイン・ズインのゴールで先制されて前半を0-1で折り返すと、後半開始2分にはトゥ・ミン・クアンのゴール、さらには34分にリズワン・バクリのオウンゴールで0-3となり万事休す。2021年大会のスランゴールMAC以来の3位を狙ったパハン・レンジャーズは4位に終わっています。

なお決勝は延長戦を含む50分の試合でも1-1と決着がつかず、PK戦となりましたが、スティールFCパプアが、ホンイエン・タカム(タイ)を4-3で破り、AFFクラブフットサル選手権優勝を果たしています。

決勝は開始1分でターサック・チャロンポンのゴールでホンイエン・タカムが先制するも、32分にエヴァン・サモレナがボレーシュートを決めて同点に追いつきます。ブラックスティールFCパプアのラクフォル・サイネットン 監督とホンイエン・タカムのコーチ1人にレッドカードが出されるほどの激しい試合は延長に入っても決着がつかずPK戦へ。

4人全員がPKを決めたブラックスティールに対し、ホンイエン・タカムは2名が外し、この結果ブラックスティールFCパプアが初優勝を飾るとともに、前回2022年大会のビンタン・ティムール・スラバヤに続くインドネシア勢による2連覇を果たしています。またホンイエン・タカムにとっては前回大会に続き2大会連続の準優勝となりました。

5月8日のニュース
東南アジア競技大会-男子はタイに敗れて準決勝進出は絶望、女子はW杯出場のフィリピンに惜敗も2連敗
タイ1部リーグ第29節-ディオン・コールズはベンチ外、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールは途中出場
アイディル・シャリン氏はクランタンのチームの監督に就任か

東南アジア競技大会-男子はタイに敗れて準決勝進出は絶望、女子はW杯出場のフィリピンに惜敗も2連敗

カンボジアで開催中の東南アジア大会通称シーゲームズは、男女のサッカーが行われ、U22代表が争う男子サッカーでグループステージB組に入るマレーシアは、大会最多の16回の優勝を誇るタイと対戦し、0-2で敗れて通算成績を1勝1敗としています。本日5月8日に対戦するベトナム戦で敗れれば、グループステージ敗退が決まります。一方の女子はFIFA女子ワールドカップに出場するフィリピンと対戦し、0-1と惜敗したものの初戦のベトナム戦に続いて2連敗となり、自力での準決勝進出の可能性がなくなっています。

初戦のラオス戦に5-1で勝利していたマレーシアのE・エラヴァラサン監督は、初戦で途中出場ながらゴールを挙げたファーガス・ティネリー(ジョホール・ダルル・タジムII)、シャヒール・バシャー(スランゴール)らを先発から起用し、先手必勝の布陣を洗濯しています。(以下はこの日の先発XI)

この日は39度という暑さの中、両チームとも好機は少なく、タイが押し気味に進めながらも前半は0-0で終了しました。後半に入ると、好機は作るもののフィニッシュまで辿り着かないなど、徐々に動きが悪くなったマレーシアがゴールを目指して前掛かり気味になる一方で、タイはそれを見計らったかのようにカウンターで最終ラインにパスを通し始めます。特にGKシーク・イズハン(ヌグリスンビラン)との間が開き始めた73分に、パスを受けたタイFWアナン・ヨッドサンワルがマレーシアのセンターバック2人をかわしてシュート。これが決まってタイがリードすると、84分にもやはりマレーシア最終ラインの間を縫うようなパスを受けた17歳のFWヨッツアコン・ブラパがGKをかわしてゴールを決め、これで万事休す。この日の敗戦でマレーシアははB組3位に転落し、いずれも無敗のベトナムとタイが勝点6で同率首位となっています2位となっています。、

2023年5月6日@プリンススタジアム
タイ 2-0 マレーシア
⚽️タイ:アナン・ヨッドサンワル(73分)、ヨッツアコン・ブラパ(84分)

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第3節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム22005146
1タイ22005146
3マレーシア21015323
4シンガポール301226−41
5ラオス301217−61
https://youtu.be/pBYYB0NFrpI
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

一方の女子は初戦のベトナム戦に続きFIFA女子ワールカップに出場するチームとの対戦になりましたが、超守備的な布陣を引いたマレーシアはロスタイムまで0-0と善戦したものの、試合終了間際にWEリーグのちふれASエルフェン埼玉で2021/22年シーズンから2季プレーしたサリナ・ボールデンに決勝ゴールを許して惜敗しています。

2023年5月6日@RCAFオールドスタジアム
マレーシア 0-1 フィリピン
⚽️フィリピン: サリナ・ボールデン(90+6分)

東南アジア競技大会2023 女子サッカーA組順位表(第2節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム22006156
2フィリピン21011103
3ミャンマー210123-13
4マレーシア200204-40
タイ1部リーグ第29節-ディオン・コールズはベンチ外、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストールは途中出場

5月6日と7日にタイ1部リーグ第29節が行われています。既に今季の優勝を決めたブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズはベンチ外、PTプラチュワップFC所属のジュニオール・エルドストールとラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドはいずれも途中出場しています。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第29節
2023年5月6日@ラムパーン県立スタジアム
ラムパーンFC 4-3 PTプラチュワップFC
 前節では2位のバンコク・ユナイテッドを破るなど、引き分けを挟んで3連勝中だったPTプラチュワップFCが、15位で馬場悠企選手が所属するラムパーンFCに敗れ、1部残留を確定できず、また順位を一つ下げて12位となっています。最終節を前に降格圏とは勝点差3ですが、次節30節で大量失点で破れない限りは1部残留が濃厚です。
 PTプラチュワップのジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)は85分から出場して、最後までプレーしています。

2023年5月7日@ドラゴン・ソーラー・パークスタジアム
ラーチャブリーFC 1-1 ブリーラム・ユナイテッド
 4試合続けて勝ち星がないラーチャブリーFCが、今季既にリーグ戦とFAカップの二冠を獲得しているブリーラム・ユナイテッドをホームに迎えたこの試合は、マレーシア代表選手同士の対決も期待されましたが、ブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズはベンチ外で実現しませんでした。
一方、ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドは78分から出場しています。

タイ1部リーグ順位表(第29節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU29225271274471
2バンコクU29194654213361
3ポート291410551351652
7ラーチャブリー29101183225741
12プラチュワップ2988134251-932
アイディル・シャリン氏はクランタンのチームの監督に就任か

現在8位と低迷するトレンガヌの監督就任が噂されたアイディル・シャリン氏ですが、トレンガヌのCEOがこの噂を否定する正式声明を発表して、この噂は噂で終わりましたが、トレンガヌ州に隣接するクランタン州にある2つのスーパーリーグのチームはいずれも今季開幕時に指揮を取っていた監督を更迭しており、今度はこのどちらかのクラブにアイディル氏が就任するのでは、という噂が流れています。

今季はインドネシア1部のプルシカボ1973の監督を務めたアイディル氏ですが、そのプルシカボ1973から出されている監督契約延長のオファーに対し、昨日を期限に考慮する時間を求めたとされています。「来季も契約を望んでいるプルシカボ1973のオファーを優先して考える必要があ理、その回答は今週末(5月7日)が起源となっている。それまでに今後の方針を決めたい。」と話したアイディル氏は、プルシカボ1973のサポーターの熱意が素晴らしく、それはとても素晴らしい経験だった。」と話す一方で、最終戦では、サポーターが暴走し、昨年10月の「カンジュルハンの悲劇」と似たような事故が起こりそうな状況となったことについても触れるなど、来季もインドネシアリーグに残るかどうかを思案している様子が窺えます。

インドネシアに渡る前には、クダの監督として4年間指揮を取ったアイディル氏ですが、就任1年目の2019年にはFAカップで優勝、マレーシアカップで準優勝し、翌2020年、2021年には2シーズン続けてリーグ2位の好成績を挙げるなど、マレーシアスーパーリーグでの実績は確かなアイディル氏は、「トレンガヌからは正式にオファーは受けていないが、代理人には契約内容に関する連絡が入っていると聞いている。また(マレー半島)東海岸」のチームからは正式に監督就任オファーを受けている」と既に交渉する用意があるチームがあることを明らかにしています。、

自分自身としては3季に亘り良い結果を残せたと自負している一方で、まだやり残したこともあると感じていると話したアイディル氏は、出身地のシンガポールに近いこともあり、マレーシアスーパーリーグで再び指揮を取りたいという希望があるとも話しています。

*****

「(マレー半島)東海岸」には北からクランタン州、トレンガヌ州、パハン州がありますが、これらの州に本拠地を持つチームのうち、公式声明で噂を否定したトレンガヌと現在リーグ3位と好調のスリ・パハンは、監督交代の可能性が低いことから、ここで言われている東海岸のチームはいずれもクランタン州に本拠地を持つクランタンとクランタン・ユナイテッドを指すと思われます。この両チームはそれぞれ13位と最下位の14位となっており、クランタンはチェ・ムンシク監督を、クランタン・ユナイテッドはトマス・トルチェ監督をいずれも解任しており、アイディル監督がマレーシアに戻るとすれば、このどちらかになる可能性が濃厚です。

5月5日のニュース
MFLと選手会が選手保護のための仕組み構築で合意
AFFフットサルクラブ選手権-パハン・レンジャーズが準決勝進出を決める
昨季パハンを実質クビになったギャメル氏がベトナムU22代表のコーチに

MFLと選手会が選手保護のための仕組み構築で合意

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLとマレーシアプロサッカー選手会PFAMは、プロサッカー選手を保護し、またプロサッカーチームの利益も守るための仕組みづくり構築に関する相互協力協定に署名したことを、マレー氏の通信社ブルナマが報じています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、スーパーリーグクラブの運営や選手のキャリアップといった面を含めた国内プロリーグの質の向上につながるとし、PFAMとの協力を歓迎すると述べています。またPFAMのイズハン・イスマイルCEOは、PFAMはスーパーリーグの商業価値を維持することに協力する一方で、選手の権利が確実に守られるようMFLと協力体制を取ると述べています。

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毎年のように起こる国内リーグでの給料未払い問題ですが、被害にあった選手はPFAMを通じてマレーシアサッカー協会FAMに報告し、FAMの紛争調停委員会が審査を行なった上で、選手とチーム間での話し合いを仲介し、それでも問題が解決しない場合にはチームに処分を与える、というのが現行の仕組みで、これまではMFLはこの問題解決には直接関わることはありませんでした。この協力関係が構築されることで、給料未払い問題を起こすチームが減ることに期待したいです。

AFFフットサルクラブ選手権-パハン・レンジャーズが準決勝進出を決める

タイで開催中の東南アジアサッカー連盟AFFフットサルクラブ選手権に出場しているパハン・レンジャーズは、グループステージを1勝1敗の2位として準決勝進出を決めています。

グループステージA組に入ったパハン・レンジャーズは、初戦のホンイェン・タカム(タイ)戦では1-3と敗れたものの、2戦目となったヴィクトリア・ユニヴァーシティ・カレッジ(ミャンマー)戦は一時は4点あったリードを最後は4-3と迫られながらも勝利し、A組2位となり準決勝進出を決めています。

今日5月5日に予定されている準決勝では、B組1位のブラック・スチール・パプア(インドネシア)と決勝進出をかけて対戦します。

昨季パハンを実質クビになったギャメル氏がベトナムU22代表のコーチに

2021年シーズンにスーパーリーグのスリ・パハンの監督に就任した元アメリカ代表キャプテンのトーマス・ドゥーリー監督の元でコーチを務めていた、フランス出身のクリストファー・ギャメル コーチは、ドゥーリー監督が開幕からわずか2試合で「休養」となると同時に、スリ・パハンのU21チームのコーチへと配置転換されます。しかし翌2022年シーズンには、今度はスリ・パハンの監督に就任しますが、シーズン半ばで合意の上契約解除となりました。

そのギャメル氏が同じフランス人のフィリップ・トルシェ監督率いるベトナムU23代表とA代表のコーチを務めていると、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。マレーシアは活躍できなかったギャメルコーチが指導するベトナムU22代表とマレーシアU22代表は、現在開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズのグループステージでは同組となっており、両チームは5月8日に対戦します。

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スリ・パハン監督時代には11試合で2勝しか挙げられず、シーズン途中で契約解除になったギャメルコーチですが、その当時に知ったマレーシア人選手の情報をトルシェ監督と共有していることでしょう。いや、大会3連覇を狙うベトナムにはそんな情報は不要かも知れませんが。


5月4日のニュース
東南アジア競技大会-男子はラオスに勝利で好発進、女子は強豪ベトナムに完敗
サッカー協会はスーパーリーグに外国人審判採用を検討
トレンガヌはスタインブリュックナー監督交代を否定する公式声明を発表

東南アジア競技大会-男子はラオスに勝利で好発進、女子は強豪ベトナムに完敗

昨日5月3日に東南アジア競技大会通称シーゲームズの男女サッカーでマレーシアが初戦に臨んでいます。U22代表が対戦する男子サッカーでグループステージB組のマレーシアは第1節に試合がなく、この日のラオス戦が初戦となりました。昨年の東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権ではラオスにまさかの2連敗を喫したマレーシアですが、その試合でもプレーしたV・ルヴェンティランやウバイドラー・シャムスルらがこの試合でも先発XIに入っています。(以下はこの日の先発XI)

この試合で先制したのはマレーシアでした。カウンターから開いて陣内に攻め込み、アリフ・イズワンのシュートは相手GKにブロックされたものの、そのこぼれ球に詰めていたウバイドラー・シャムスルがシュート。これが決まって、開始4分でマレーシアがリードを奪います。しかしラオスもその後反撃に転じ、マレーシアは防戦一方となった20分には右サイドからのクロスを、マレーシアの先制ゴールを決めたウバイドラー選手がクリアミスからオウンゴールし、試合は1-1となります。その後もラオスが押し気味に試合を進める中、マレーシアのサフワン・マズランのクロスを今度はラオスDFがオウンゴールし、28分に再びマレーシアが2-1とリードを奪い、前半はそのまま終了します。

ベトナム、タイとの対戦の前に負けるわけにはいかないマレーシアのE・エラヴァラサン監督は後半に入ると次々と交代カードを切りますが、これが見事なほどハマります。、75分には右サイドからのスローインをファーガス・ティエニーがゴール前に流すとこれを受けたシャヒール・バシャーのシュートが決まり、途中出場の2人の連携が決まり3-1とします。さらにリードを広げると、ロスタイムにはシャヒール選手のロングシュートがクロスバーに当たって跳ね返ったところを、やはり途中出場のナジムディン・アクマルが押し込んで4-1、さらにラオスDFのオウンゴールで5-1としたマレーシアが終わってみれば圧勝で試合を終えています。

5-1の勝利とは言え、そのうち2点は相手のオウンゴールであり、試合展開でも序盤ではラオスに押し込まれ、ディフェンスラインとGKシーク・イズハンの連携が撮れていない場面も見られるなど、ベトナム、タイとの対戦までには多くの修正が必要な印象を残した試合でした。

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組第2節
2023年5月3日@ヴィサカスタジアム(プノンペン、カンボジア)
マレーシア 5-1 ラオス
⚽️マレーシア:ウバイドラー・シャムスル(4分)、アナタンザ・シーポンファン(20分OG)、シャヒール・バシャー(75分)、ナジムディン・アクマル(90+2分)、フォウタウォン・サンウィライ(90+4分)
⚽️ラオス:ウバイドラー・シャムスル(20分OG)

東南アジア競技大会2023 男子サッカーB組順位表(第6節終了時)

順位チーム得点失点得失差勝点
1ベトナム220051+46
2マレーシア110051+43
3タイ110031+23
4シンガポール200226−40
5ラオス200217−60
https://youtu.be/Sa_Mf12xfTk
この試合のハイライト映像。シンガポールのメディア、メディアコープの公式YouTubeチャンネルより

この日は女子サッカーでもマレーシアが登場し、ワールドカップ出場のベトナムと対戦しましたが、こちらはオウンゴールを含む0-3で敗れています。この試合は見ていませんが、報道では試合開始から自陣に押し込まれたマレーシアは4分、23分、34分と前半だけで3失点し、後半に入っても状況は変わらず、反撃どころか無失点に抑えるのが精一杯だったようです。次戦もワールドカップ出場国のフィリピンと対戦するマレーシアにとっては、2大会ぶりのシーゲームズ出場は経験を積む場となりそうです。

サッカー協会はスーパーリーグに外国人審判採用を検討

マレーシアサッカー協会FAMは今季のマレーシアスーパーリーグに外国人審判を採用する予定があることを明らかにしています。今季は3月17日のペナン対サバ戦で3つの「疑惑の」PKを与えたズルカルナイン・ザカリア主審が無期限の職務停止処分を受けていますが、これまでも国内審判の「質」はスーパーリーグのチームだけでなく、サポーターからの批判の対象になっていました。

FAMのハミディン会長は、マレーシア人審判の質が低いと考えているわけではないことを強調する一方で、外国人審判を採用することによって、彼らとの意見交換により’審判技術の向上が図れると考えていると説明し、既にスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサン会長と外国人審判採用についての協議を進めていることを明らかにしています。

FAMは、2019年のマレーシアFAカップ決勝ペラ対クダ戦の審判に岡部拓人、八木あかね、野村修の三氏を招いた前歴がありますが、この試合を担当した日本人審判三氏には両チームからだけでなく、メディアなどからも高く評価された実績があります。

トレンガヌはスタインブリュックナー監督交代を否定する公式声明を発表

このブログでも取り上げたトレンガヌのトミスラフ・スタインブリュックナー監督の更迭の噂について、トレンガヌが公式SNSでこれを全面的に否定する声明を発表しています。

昨季は2位のトレンガヌは、今季開幕からの10試合で4勝1分5敗の8位と低迷し、今季から就任したスタインブリュックナー監督が、クランタンのチェ・ムンシク監督、クランタン・ユナイテッドのトマス・トルチェ監督に続く今季スーパーリーグで3人目となる監督交代となるのではという噂が広まっており、その後任にはマレーシアリーグを熟知し、AFCカップ出場経験もあるアイディル・シャリン前クダ監督が新監督に就任するという実しやかな噂まで出ています。

しかしトレンガヌはチーム公式SNSで声明を発表し、この噂を否定するとともに、スタインブリュックナー監督の評価を早急には行う予定はないとしています。「トレンガヌは監督交代の噂を全面的に否定する。監督交代についてはチームの技術委員会が精査し、チームを運営するTFC社取締役員会の承認を得る必要がある。現時点ではこういった手続きは行われておらず、監督交代の噂はチーム対して悪意があるものだと考えられる。現在はリーグ再開となる5月19日の試合に向けてチーム一丸で準備している段階であり、また今年2回目のトランスファーウィンドウで獲得を希望する選手のリストアップを行なっている段階であり、性急な行動を起こす時期ではないと考えている。」として、サポーターに落ち着きを求めています。


5月3日のニュース
東南アジア競技大会出場のU22代表20名が発表-初戦は今日のラオス戦
東南アジア競技大会出場のU22代表からケガでラーディアズリが落選
MFLはジョホールオーナーに対する負債があることを認める

東南アジア競技大会出場のU22代表20名が発表-初戦は今日のラオス戦

既にカンボジアで開幕している東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するマレーシアU22代表の最終メンバー20名がマレーシアサッカー協会FAMの公式サイトで発表されています。チームの顔ぶれは、今年3月にシンガポールで開催されたマーライオンカップの優勝メンバーが大半を占める中、この大会には体調不良のため出場できなかったムカイリ・アジマル(スランゴール)が加わった20名となっています。

5月1日終了した代表候補合宿には25名が召集されていましたが、この中からシャキミ・カリム(ヌグリスンビラン)、ザルミエン・アシュラフ・イスマイル(クダ)、ファクルル・ファリーズ(スランゴール2)、ナズウィン・サレー(KLシティ)とラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)が外れています。

既にカンボジア入りしているU22代表はグループステージB組に入っており、今日のラオス戦を皮切りに、5月6日にはタイ、8日にはベトナム、そして11日にはシンガポールとの対戦が続きます。またB組の上位2チームに入った場合にはノックアウトステージ進出となり、5月13日の準決勝、そして5月16日に3/4位決定戦、あるいは決勝へと進むことになります。

金メダルは2011年インドネシア大会を最後に、またメダル獲得そのものも2017年マレーシア大会を最後に遠ざかっているマレーシア。とは言え、この東南アジア競技大会でのメダル獲得に固執するのは、マレーシアサッカー協会FAMが単に思い入れが強いからだけにも思えますが、それでもここでメダルを取れないということは東南アジアのトップ3にマレーシアが入っていないことにもなるわけで、思い入れというよりはプライドをかけて、今回もメダルを取りに行くのでしょう。前回は準決勝には進出したものの、そこでベトナムに敗れ、さらに3/4位決定戦ではインドネシアに敗れたマレーシアですが、今回のメンバーには、昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップでプレーしたムカイリ・アジマル、V・ルヴェンティラン(以上スランゴール)、ハキミ・アジム(KLシティ)、アザム・アズミ(トレンガヌ)らもおり、メンバー的には他国に引けは取らないと思いますが、果たしてその結果はどうなるでしょう。

東南アジア競技大会2023年カンボジア大会 男子サッカー代表(U22代表)メンバー

氏名年齢所属
GKシーク・イズハン21NSE
GKアジム・アル・アミン22KLC
DF V・ルヴェンティラン22SEL
DF ハリス・ハイカル21SEL
DF ジクリ・カリリ21SEL
DFアザム・アズミ・ムラド22TRE
DFサフワン・マズラン21TRE
DFウバイドラー・シャムスル20TRE
DFアズリン・アフィク21KDA
MFシャヒール・バシャー22SEL
MFムカイリ・アジマル22SEL
MFアイマン・アフィフ22KDA
MFナジムディン・アクマル19JDT II
MFダリル・シャム21JDT II
MFアダム・ファルハン19JDT II
MFムスリフディン・アティク22TRE II
MFT・サラヴァナン22KLC
FWアリフ・イズワン19SEL
FWファーガス・ティアニー20JDT II
FWハキミ・アジム20KLC
所属はSEL-スランゴール、SEL II-スランゴール2、TRE-トレンガヌ、TRE II-トレンガヌII、JDT II~ジョホールII、KLC-KLシティ、KDA-クダ、NSE-ヌグリスンビラン。
東南アジア競技大会出場のU22代表からラーディアズリが落選したのは手のケガが原因

東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するマレーシアU22代表の最終メンバー20名が発表されましたが、スーパーリーグのトレンガヌではこれまで4試合にフル出場し、今季から背番号1をつけるラーディアズリ・ラハリムが落選しました。マレーシアサッカー協会はラーディアズリ選手の落選について、手のケガによるものだと発表していますが、このケガについてはラーディアズリ選手が自身のSNSに指の形が変形しているレントゲン写真とともに、シーゲームズに出場するU22代表を応援するコメントを投稿しています。

MFLはジョホールオーナーに対する負債があることを認める

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジム(JDT)のオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下に対する負債があることを認めています。MFLのアブドル・ガニ・ハサン会長は、2020年シーズンの優勝チームに贈られる賞金が不足したことから、イスマイル殿下にその賞金の支払いを待ってもらったと説明し、今年の8月と10月に分割して支払う予定があることも明らかにしています。しかし、具体的な負債の金額は明らかにしていないと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

当時はMFLのCEOだったアブドル・ガニ会長は、ジョホールのオーナーであるイスマイル殿下に対して、賞金の支払いを分割で行わせてもらうよう依頼し、これをイスマイル殿下が受け入れたと説明しています。

「コロナ禍により当時3000万リンギ(およそ9億2000万円)のスポンサー料を失っていたMFLは、優勝賞金を分割で支払うことを提案し、これまで支払いを続けてきたが年内には完済する予定になっている。」と説明したアブドル・ガニ会長は、ジョホール以外のチームに対しては負債はないと話しています。

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今回の件の発端は、リーグ戦やカップ戦数試合でジョホールのサポーターが試合後に発煙筒を焚き、これが国内リーグ規定に違反していることからマレーシアサッカー協会FAMがジョホールに対して罰金処分を課したところ、ジョホールのオーナーのイスマイル殿下が、この罰金をジョホールに対してる負債の一部と相殺したいと発言したことでした。その後、FAMのハミディン・アミン会長がFAMはジョホールに対する負債がないことを明言し、続いてMFLがその負債を抱えていることを明らかにした、という展開です。それにしてもリーグの運営母体がそのリーグに所属するチームのオーナーに対して負債を抱えるというのは、なかなか他国では聞かない話ですが、リーグとチームの間に貸し借りがあることの影響について、ブルナマの記事だけでなく、他の新聞やサッカー専門サイトも何も言及せず、ただ事実のみを伝えているだけで、何か腫れ物に触るような扱いとなっています。かく言うボラセパマレーシアJPも、調子に乗って批判的な論調になれば、王室に対する侮辱罪に問われかねないので、この辺りにしておきます。


5月2日のニュース
タイ1部リーグ第28節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストール全員が出場
フットサル-日本代表の平田ネトアントニオマサノリ選手がマレーシアリーグ参戦
次の監督交代はトレンガヌ?-今季AFCカップ初出場チームの次監督候補にアイディル・シャリン前クダ監督の名も

タイ1部リーグ第28節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシド、ジュニオール・エルドストール全員が出場

4月29日と30日にタイ1部リーグ第28節が行われています。既に今季の優勝を決めたブリーラム・ユナイテッドのディオン・コールズはと、PTプラチュワップFC所属のジュニオール・エルドストールは途中出場、ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドは先発出場しています。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ第28節
2023年4月30日@サームアーオイスタジアム
PTプラチュワップFC 2-1 バンコク・ユナイテッド
 11位のPTプラチュワップFCが2位のバンコク・ユナイテッドに勝利し、引き分けを挟んで3連勝。この勝利でPTプラチュワップは降格権から勝点差3となりました。
 PTプラチュワップのジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)は66分から出場して、最後までプレーしています。

2023年4月30日@BGスタジアム
BGパトゥム・ユナイテッド 4-2 ラーチャブリーFC
 4日前の4月26日のリーグカップ準決勝と同じカードとなったこの試合では、ラーチャブリーFCのサファウィ・ラシドは、リーグカップ準決勝には先発してフル出場しましたが、この試合では先発したものの、46分に交代しています。またチームは順位を一つ下げて7位となっています。

*****

ジョホールから期限付き移籍中のサファウィ・ラシドについては、このブログでも取り上げましたが、ジョホールのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が「本人からラーチャブリーFCに『馴染めていない』と聞いている」と発言し、マレーシアリーグ復帰が取り沙汰されていますが、ラーチャブリーFCのソムチャイ・マイウィライ コーチがそれを否定しています。サファウィ選手は父親の体調が悪く、手術が必要とされていたことから、精神的に不安定になっていたものの、結局、手術が必要ないとわかり、落ち着きを取り戻していると説明し、サファウィ選手がチームに「馴染めない」と話していると、マレーシアのサッカー専門サイトヴォケットFCが伝えています。

2023年4月30日@チャン・アリーナ
ブリーラム・ユナイテッド 2-3 ポートFC
 既にリーグ2連覇を決めているブリーラム・ユナイテッドが今季2敗目。4月26日のリーグカップ準決勝のPTプラチュワップFC戦に勝利し、2年連続の国内三冠に王手をかけているブリーラム・ユナイテッドは、5月20日のリーグカップ決勝に備えてか、リーグカップ準決勝では先発してフル出場したディオン・コールズを、この試合では60分から起用しています。

タイ1部リーグ順位表(第28節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU28224270264470
2バンコクU28184652213158
3ポート281310548341449
7ラーチャブリー28101083124740
11プラチュワップ2878123947-832
フットサル-日本代表の平田ネトアントニオマサノリ選手がマレーシアリーグ参戦

国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLで、現在B組5位煮付けているスランゴールTOTユナイテッドは、フットサル日本代表の平田ネトアントニオマサノリ選手の加入をチーム公式SNSで発表しています。また平田選手自身も既にチームに合流し、練習を始めていることを自身のSNSで明らかにしています。

2022年のAFCフットサル選手権では、前回王者イランを破って優勝した日本代表のメンバーでもある平田選手は、今年3月まで所属していた名古屋オーシャンズでも、2019年AFCフットサルクラブ選手権に出場し、決勝ではイランのメス・スングンを相手にゴールを挙げ、3年ぶり4度目の優勝にも貢献しています。

MPFLはA、Bの2組に別れた14チームがそれぞれリーグ戦を戦い、各組の上位2チームが準決勝に進みますが、前半戦の1試合を残して、スランゴールTOTユナイテッドは現在、B組の5位で、首位のスランゴールMACとは勝点差9、2位のジョホール・ダルル・タジム(JDT)とは勝点差6となっています。

スランゴールTOTユナイテッドはここまで5試合で12ゴールを挙げていますが、首位のスランゴールMACの29ゴール、2位JDTの33ゴールには遠く及ばす、B組7チーム中でワースト3と、得点力不足に苦しんでいることから、平田選手にはゴール量産が期待されています。

なお平田選手とスランゴールTOTユナイテッドのとの契約は7月までと報じられておりその後はスペインフットサルリーグのクラブへ移籍する模様です。JDTの参入で、これまではスランゴールMACとパハンレンジャーズの2強時代に風穴が開いたMPFLですが、リーグ後半戦の開幕戦となる5月14日のKLシティ戦から出場可能となる平田選手が、スランゴールTOTユナイテッドの救世主となれるのかに注目が集まります。

次の監督交代はトレンガヌ?-今季AFCカップ初出場チームの次監督候補にアイディル・シャリン前クダ監督の名も

スーパーリーグ第10節を終えて8位と、開幕前の予想を大きく下回る成績となっているトレンガヌですが、昨季のテクニカル・ディレクターから今季は監督に就任したトミスラフ・スタインブリュックナー監督が、今季3人目となる監督更迭となるのではという噂が上がっています。

昨季は現クダ監督のナフジ・ザイン氏が監督を務め、14勝2分6敗の成績でジョホール・ダルル・タジム(JDT)に次ぐ2位となり、AFCカップ出場権を獲得したトレンガヌですが、そのナフジ監督率いるクダが6勝1分3敗の5位となる一方で、トレンガヌは4勝1分5敗と負け越しています。アディサック・クライソーン(タイ)、イヴァン・マムート(クロアチア)といった新加入の外国籍選手FW陣が期待通りの働きを見せられず、チーム総得点もリーグ8位とその成績に則した順位ではありますが、サポーターからは残留を望んでいたナフジ監督に代わって就任したスタインブリュックナー監督への批判も多く、サポーターの批判を交わすために経営陣が監督交代に踏み切る可能性もあります。

そんな中で後任監督の候補として名前が上がっているのが、シンガポール出身のアイディル・シャリン氏です。昨季までクダで4季監督を務め、2019年シーズンの6位から、2位、2位、8位という成績で、昨季はAFCカップでもチームをグループリーグ突破に導いています。マレーシアのスポーツサイトのアストロ・アリーナは既にトレンガヌがこのアイディル氏に監督就任オファーを出したと報じていますが、チームからの成績発表はまだありません。

クダ監督退任後、アイディル氏はインドネシア1部のペルシカボ1973の監督に2022/23シーズン途中で就任し、今月16日に最終節が行われた今季は、チームは14位(18チーム中)に終わっています。また今年7月に開幕する2023/2024シーズンでは、このプルシカボ1973や、今季9位のペルシタ・タンゲランからも監督就任オファーが出されているようですが、アイディル氏自身はマレーシアリーグに戻りたい希望があるようで、トレンガヌの他、アストロ・アリーナによると既にトマス・トルチェ監督を更迭したクランタン・ユナイテッドなどと交渉中だという報道もあります。

*****

2021年は3位、昨季は2位と好成績を収めながら、契約延長オファーをギリギリまで出さなかったトレンガヌ経営陣に嫌気がさしたナフジ氏を引き止めることなく、また「ナフジ色」一掃を図って、外国籍選手をほぼ全員入れ替える決断を下したアブドル・ジュソーCEOらトレンガヌ経営陣の責任問題に発展しないのが、マレーシアらしいと言えばそれまでですが、ナフジ監督就任前のクダ監督だったアイディル監督の招聘となれば、トレンガヌとクダの間で監督が交換されたことになります

5月1日のニュース
サッカー協会会長-協会は前会長のジョホールオーナーに借金はない
U17女子アジアカップ1次予選-マレーシアは初戦の北マリアナ諸島戦に快勝もタイに大敗で敗退
クランタンの迷走は続く-今度はサポーターにあらゆる横断幕の持ち込みを禁じ、選手が試合後にスタンドのサポーターに挨拶に行くことも禁じる
ジョホール入りが噂されるラダメル・ファルカオに母国のファンは複雑

ACL決勝の第1戦が行われ、浦和が興梠慎三選手の貴重なアウェイゴールでアル・ヒラルと引き分け、3度目のアジア王者に近づきました。マレーシア王者のジョホール・ダルル・タジムは東地区予選ではこの浦和に敗れており、このままアジア王者になってくれれば、ジョホールの溜飲も下がるので、是非とも優勝して欲しいです。
 マレーシアに目を転じると、昨日のインドネシア対フィリピン戦で幕を開けた東南アジア競技大会通称シーゲームズ、カンボジア大会にU22代表が出場するため、マレーシアスーパーリーグは5月下旬まで中断となります。2011年以来優勝から遠ざかっているマレーシアU22代表男子の初戦は5月3日のラオス戦、また2大会ぶりの参加となる女子はやはり5月3日のベトナム戦が初戦となります。

サッカー協会会長-協会は前会長のジョホールオーナーに借金はない

マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、前FAM会長でスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムのオーナーでもあるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下に対してFAMは借金がないと発言したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

これは先日、イスマイル殿下がテレビ局とのインタビューで、自身がFAM会長を勤めていた2017年から2018年の間、FAMが抱える負債を完済するために、自分のポケットから1200万リンギ(およそ3億7000万円)を貸与したと発言したことに対しての反論として述べられたものです。

ハミディン会長は、FAMがイスマイル殿下に金銭貸与されたことはないと話す一方で、イスマイル殿下はMFLが各チームへの賞金提供の資金に困っていた際に貸与されたものではないかと指摘しています。FAM会長就任前には、MFL会長を務めていたハミディン会長は、賞金提供のための資金が不足していた時期があったことを認めた上で、メディアに対してアブドル・ガニ・ハサンMFL現会長に事実関係を確認するべきだと述べています。

U17女子アジアカップ1次予選-マレーシアは初戦の北マリアナ諸島戦に快勝もタイに大敗で敗退

タイで開催中のAFC U17女子アジアカップ1次予選に出場中のU17女子代表は、4月28日に初戦となる北マリアナ諸島戦に臨み、サバ出身で15歳のロシリエカ・ロレの4ゴールなどで5-1で快勝しましたが、昨日4月30日のタイ戦では0-11と破れ、1次予選での敗退が決まっています。

1次予選は、各組1位のみが2次予選に進出しますが、A組ではタイ2勝、マレーシア1勝1敗、北マリアナ諸島2敗で、タイがA組1位となり、2次予選進出を決めています。

クランタンの迷走は続く-今度はサポーターにあらゆる横断幕の持ち込みを禁じ、選手が試合後にスタンドのサポーターに挨拶に行くことも禁じる

スーパーリーグ第10節を終えて1勝1分8敗で13位に沈むクランタンは、チェ・ムンシク監督を更迭し、外国籍選手2名を含む3名の選手と契約解除するなど、現行の打開に必死ですが、新たに発表したチーム方針が波紋を呼んでいます。

チームの「保安担当」のハズリ・トゥアン・ママト氏名義で今回発表されたチーム方針6箇条の中は、「ピッチ上で相手選手に笑顔を見せない、また話をしないこと」「相手選手や審判に挑発的な態度を取らないこと」「相手チームとユニフォーム交換をしないこと」「試合後に相手チームの監督、コーチを握手をしないこと」などが挙げられていますが、最も注目を集めているのが「試合終了後にチームの許可が出るまではスタンドのサポーターに挨拶に行かないこと」で、原則として、選手は試合終了後速やかに控え室に戻ることが求められています。

またクランタンはサポーターに対しては横断幕やドラムのスタンドへの持ち込み禁止も発表しており、チームのSNSには「ホームチームのサポーターが横断幕やドラムを持ち込めないクラブなど聞いたことがない」といった批判的なコメントや、「否定的あるいは挑発的な内容の横断幕だけを持ち込み禁止とするべき」といったこの方針の再考を求めるコメントで溢れています。

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今季開幕後から不振が続き、その矛先が地震に向いたことから、一時は希望者がいればチームの株式をすべて売却する用意があると発言したオーナーのノリザム・トゥキマン氏ですが(発言はその後撤回)、実業家として選手獲得だけでなく、練習場の整備など多額の投資に見合話ないチームの成績と、国内でも特にサッカー人気が高いクランタンのサポーターからのその成績に対する厳しい批判とで判断を誤っているのかもしれませんが、サポーターとの一体感をあえて否定するチーム方針を貫き通せば、チームは空のスタジアムで試合をすることにもなりかねません。

ジョホール入りが噂されるラダメル・ファルカオに母国のファンは複雑

コロンビア出身のFWラダメル・ファルカオのジョホール・ダルル・タジム移籍が濃厚と報じられています。現在はスペイン1部ラ・リーガのラージョ・バジェカーノに所属する現役のコロンビア代表のストライカーは、UEFAヨーロッパリーグで得点王を2度獲得した他、コロンビア代表の歴代通算最多得点記録を保持しているスーパースターは、今年3月28日行われたキリンチャレンジカップ2023では日本戦にも途中出場しています。

正式な発表は未だないものの、ジョホールのオーナーで、ジョホール州皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下は、自身のインスタグラムで「会えるのを楽しみにしている」とメッセージを送り、背番号が31となることも仄めかしており、また現在のジョホールの外国籍選手枠も一つ空いていることなどから、エル・ティグレ「虎」のニックネームを持つファルカオ選手は、7月5日から8月1日までの今季2度目のトランスファーウィンドウでジョホール加入が決定的で、一部では既に2年契約を結んでいるとされています。

このようないわゆる「マーキープレイヤー」がマレーシアスーパーリーグで見られるのは、マレーシアのサッカーファンにとっては喜ばしいことですが、ファルカオ選手の母国、コロンビアでは今回のマレーシア移籍が歓迎されていないと、サッカー専門サイトのスムアニャボラが伝えています。

様々なボーナスも含めて年棒100万米ドル(およそ1億3700万円)とスペインのメディアが報じるなど、ジョホールには三顧の礼を持って迎えられるファルカオ選手ですが、コロンビアのファンは、マレーシアリーグへの移籍が選手としての「格を下げる」行為であり、マレーシアリーグでプレーすることは自身のプレーレベルを遥かに下回るリーグでプレーすることになるといった声も上がっているということです。