マレーシアFAカップ準決勝結果とハイライト映像
PK戦を制したKLシティが24年ぶりに決勝進出、ジョホールはアリフ・アイマンのハットトリックでスランゴールを粉砕し2連覇に王手

 6月24日と26日にマレーシアFAカップ準決勝の2試合が行われ、スーパーリーグで現在6位のKLシティが同8位のトレンガヌをPK戦で破り、この大会で最後に優勝した1999年以来24年ぶりとなる決勝進出を決めた一方で、昨季の王者でリーグ1位にジョホール・ダルル・タジムは若きエース、アリフ・アイマンのハットトリックなど、同2位のスランゴールを一蹴して2連覇に大手をかけています。
 FAカップの決勝は来月7月22日にジョホールのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムで開催されます。
 (試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアFAカップ2023 準決勝
2023年6月24日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:26,540人
トレンガヌ 0-0 KLシティ
(PK戦:トレンガヌ 2-4 KLシティ) 
🟨トレンガヌ:アザム・アズミ、リリドン・クラスニキ、サフワン・マズラン
🟨KLシティ:カマル・アジズ、ザフリ・ヤハヤ、パウロ・ジョズエ
MOM:アズミン・アル=アミン(KLシティ)

 いずれもクロアチア出身のトミスラフ・シュタインブリュックナー(トレンガヌ)、ボヤン・ホダック(KLシティ)両監督が率いるチームの対戦となったこの試合は、ホームサポーターの声援を受けて積極的に攻撃を仕掛けるトレンガヌにKLシティが組織的な守備で対抗する形の試合となりました。互いに好機を作りながら、ゴールを挙げられなかった両チームは90分内に決着をつけることができず、試合は延長戦に入りましたが、ここでも両チーム無得点だったことから、PK戦に突入しました。
 このPK戦では、KLシティはマットコ・ジルダムがPKを外したものの、U23代表候補のGKアズミン・アル=アミンが、トレンガヌのニック・シャリフ・ハセフィとリリドン・クラスニキのシュートを止め、KLシティがPK戦4-2でFAカップ決勝進出を決めています。
 KLシティはこの試合の前にブラジル出身のFWカイオンの退団を発表しました。KLシティのスタンリー・バーナードCEOは、カイオン選手がベトナム1部のハノイFCに移籍すること、またハノイFCが過去数週間に渡り、カイオン選手獲得に熱心だったことも明らかにしています。カイオン選手は昨季在籍したスランゴールでは、リーグ2位となる14ゴールを挙げたものの、スランゴールとは契約を延長せず、今季はKLシティと契約していました。しかし今季リーグ戦では14試合中、FWチェチェ・キプレ(コートジボワール)、MFロメル・モラレス(コロンビア)、DFセバスチャン・アヴァンジーニ(イタリア)、DFマットコ・ジルダム(クロアチア)ら他の外国籍選手との先発争いに敗れ、先発したのは7試合でしかもわずか1ゴールと期待外れに終わっていました。

マレーシアFAカップ2023 準決勝
2023年6月26日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:32,257人
ジョホール・ダルル・タジム 4-0 スランゴール
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン3(20分、33分、38分)・フェルナンド・フォレスティエリ(47分)
🟨ジョホール:アリフ・アイマン
🟨スランゴール:ヤザン・アル=アラブ、クザイミ・ピー、ムカイリ・アジマル、ブレンダン・ガン
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)

 リーグ戦では首位のジョホールと2位ののスランゴールの対戦となったもう1試合の準決勝は、スルタン・イブラヒムスタジアムに今季最多の3万2000人を超える大観衆を集める注目のカードでしたが、改めてジョホールの強さが思い知らされた試合結果となりました。
 先日のFIFA国際マッチデーでは、ソロモン諸島戦で代表初ゴールを挙げ、続くパプアニューギニア戦では4ゴールを挙げた21歳のアリフ・アイマンが、この試合でも躍動。前半38分でハットトリックを達成する活躍で、ジョホールを2年連続の決勝へ導いています。本来は右ウィングながら、今季のアリフ選手はクロスをあげるだけでなく、時には自身で中へ持ち込んでシュートを打つ場面も多く見せていますが、この試合でも詰められればパス、シュートを打つスペースがあればゴールを狙うなど、積極的なプレーが印象に残りました。
 リーグ戦での対戦では、今季チーム最多の4失点でジョホールに敗れていたスランゴールは、立ち上がりこそ両サイドに大きく展開し、また効果的なカウンターを見せるなどジョホールと渡り合ったものの、ジョホールGKシーハン・ハズミの好守に得点を阻まれ、早い段階で失点を重ねたことで徐々に劣勢に回り、2017年以来となるジョホール戦勝利も、2018年以来のFAカップ決勝進出も実現しませんでした。

6月25日のニュース
クランタンに今季3人目の監督が就任
上位チームに連勝中のPDRMがアズミ・アジズ監督を「休養」に
M3リーグ-BRM FCがシーズン半ばでリーグ

今日6月25日はマレーシアFAカップ準決勝、ジョホール・ダルル・タジム対スランゴール、トレンガヌ対KLシティの2試合が予定されています。特に注目はリーグ9連覇中の王者ジョホールと、このジョホールが台頭するまでは王者としてリーグに君臨してきたスランゴールとの一戦です。近年はジョホールが圧倒的な力を見せ、今季もリーグ戦ではジョホールがスランゴールを4-0と一蹴してはいるものの、両チームの選手はもちろん、お互いのサポーターもプライドを賭けた激しい試合になることが予想されています。
 またもう1試合のトレンガヌ対KLシティはトレンガヌのホームであるスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで開催されますが、トレンガヌ州警察はこの試合に400名の警官を動員して不測の事態に備えると発表しています。

クランタンに今季3人目の監督が就任

今季ここまで1勝1分12敗で最下位となっているクランタンが、アルゼンチン出身のアンヘル・アルフレッド・ベラ新監督の就任をチーム公式SNSで発表しています。ベラ新監督はインドネシアリーグの現役時代はインドネシアリーグでもプレーし、引退後はインドネシアの複数のクラブで監督を務め、昨季は1部リーグのペルシタ・タンゲランを指揮して9位(18チーム中)の成績を収めています。

プルシプラ・ジャヤプラやペルスバヤ・スラバヤなどでの監督経験もあるベラ監督は、元大分で韓国出身のチェ・ムンシク、元マレーシアU23代表監督でドイツ出身のフランク・バーンハート両氏の解任を受けて、クランタンの今季3人目の監督に就任しました。

上位チームに連勝中のPDRMがアズミ・アジズ監督を「休養」に

最下位に沈むクランタンの監督交代は理解できますが、こちらは全く理解不可能な監督人事が行われています。リーグ前半戦はスランゴール、クダ、サバのリーグ上位チームを破り、リーグの台風の目となっているPDRMが6勝1分7敗の成績を収めたアジズ・アズミ監督を休養させています。なお、英字紙ニューストレイトタイムズによると、アジズ氏自身もその理由を説明されないまま、突然「休養」を言い渡されたということです。なお後任にはコーチのエディ・ガピルが監督代行として指名されています。

昨季は2部プレミアリーグで6位だったPDRMはマレーシア王立警察を母体とするチームで、今季のリーグ改編に伴い1部スーパーリーグへ昇格しています。鈴木ブルーノ選手がチームトップの4ゴールを挙げているPDRMですが、これまでの6勝には現在2位のスランゴール、4位のクダ・ダルル・アマン、5位のサバといった上位チーム相手の勝利も含まれており、この成績を残している監督「休養」については全く疑問ですが、同じ時期にマレーシア王立警察の警察庁長官も交代していることから、これと関連する監督交代などもSNS上では指摘されていますが、真偽は全く不明です。

M3リーグ-BRM FCがシーズン半ばでリーグ脱退

マレーシアリーグ(Mリーグ)3部に当たるM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)はリーグ公式Facebookで、BRM FCがM3リーグへの残り試合について出場を辞退したことを発表しています。

AFLはユソフ・マハディ会長名でおこなれた投稿で、6月19日にから出場辞退する旨を伝える連絡を書面で受け取った一方で、事態を思いとどまるようチームと交渉を重ねたものの、チームの意思は変わらなかったことから、これを了承したと説明しています。またこの結果、BRM FCと他のチームとの対戦成績は勝点、得失点など全て無効とし、残るチームでM3リーグを続けることも発表しています。

一方、BRM FCもチーム公式Facebookで声明を発表しています。ペラ州の都市クアラ・カンサーにホームを持つBRM FCは、ガファール・ナシルCEO名で投稿された声明で、契約したチームスポンサーから契約内容通りの資金提供がなかったことから、チームの運営に支障をきたしたことが出場辞退の理由であると説明し、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている給料については全額を保証する一方で、分割して支払う予定であることも明らかにしています。

*****

今季は9試合を終えて2勝7敗で12位に低迷していたBRM FCは、開幕前にもリーグ出場辞退を発表するなどトラブル続きのクラブでした。ユニフォームの胸スポンサーとして契約した企業が電子タバコ販売の企業でしたが、タバコ会社がスポンサーとなることを認めていないAFLが問題視したことから、このメインスポンサーとの契約を解除したことで、BRM FCは一旦は今季のM3リーグ参加辞退を発表しましたが、その後は新たな胸スポンサーとして名乗りをあげたイスラム教の教育機関Raudhah Islamic Schoolと契約していました。

2023マレーシアスーパーリーグ
第15節結果とハイライト映像(1)-監督休養のPDRMは4連勝で7位浮上、クランタンは今季5度目の5失点大敗

 FIFA国際マッチデーが終了し、中断していたマレーシアスーパーリーグが再開し、6月24日には第15節の2試合が行われています。今週末はマレーシアFAカップ準決勝も開催されるため、この準決勝に出場するジョホール・ダルル・タジム、スランゴール、トレンガヌ、KLシティについては第15節の試合は来週7月3日に順延されています。
 (試合にハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年6月23日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:1,313人
ペラ 1-2 PDRM
⚽️ペラ:ジェームズ・オクウォサ(73分OG)
⚽️PDRM:ウチェ・アグバ(49分)、ナビル・ラトピ(56分)
🟨ペラ:アリフ・シャキリン・スハイミ、カイルル・アシュラフ・ラムリ
🟨PDRM:アミル・サイフル、ナビル・ラトピ
MOM:ウチェ・アグバ(PDRM)

 リーグ戦上位のスランゴール、サバを破って3連勝中だったにも関わらず、アズミ・アジズ監督が突然「休養」となったPDRMは、やはり監督を交代したペラを2-1で破って連勝を4に伸ばしています。一方、敗れたペラは5連敗となり、ユスリ・チェ・ラー監督代行は就任以来3試合未勝利のままとなっています。
 両チームが拮抗しながら進んだ試合は、PDRMが徐々にペースを掴むものの、FW陣が決定機を決めきれず、またペラGKのT・シャーイスワランの好セーブもあり前半は0-0で折り返します。後半に入ってもPDRMは好機を作るものの、その前にシャーイスワランが立ちはだかりますが、49分にウチェ・アグバのゴールで先制すると、56分にはコーナーキックからのこぼれ球をナビル・ラトピが押し込んでリードを2点に広げます。72分にはジェームズ・オクウォサがクリアミスからOGとするも、ペラの反撃をこの1点に抑えてPDRMが4連勝を飾っています。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は84分から出場し、最後まで出場しています。

2023年6月23日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:3,528人
クランタン 0-5 スリ・パハン
⚽️パハン:エゼキエル・アグエロ(7分)、ファドリ・シャス2(48分、61分)、クパー・シャーマン2(58分、86分)
🟨クランタン:アリプ・アミルディン
🟨パハン:ヌル・シャミー・イスズハン、ケヴィン・イングレッソ、アズワン・アリピン
MOM:ファドリ・シャス(スリ・パハン)

 前半戦では1-4で敗れているスリ・パハンをホームに迎えたクランタンはここまで8連敗中ですが、この日は先発に外国籍選手が1人もいない上、今季初出場となった若手選手4名を含む布陣で臨んでいます。そんなクランタンに対してスリ・パハンは容赦なく、ケガから3試合ぶりに先発に復帰したエゼキセル・アグエロが試合開始7分にゴールを決めて先制します。クランタンも数少ないながらも好機を作りますが、シュートの精度が低く得点に至らず、前半はスリ・パハンが1-0とリードして折り返します。
 後半に入ると48分にファドリ・シャスが、さらに58分にはクパー・シャーマンがそれぞれゴールを決めてリードを広げたスリ・パハンが、その後もファドリ、シャーマン両選手がそれぞれこの試合2得点目となるゴールを決めて、終わってみれば5-0で大勝しています。スリ・パハンはこの勝利で勝ち点31となり2位のスランゴールと並びましたが、勝点差で3位となっています。
 一方のクランタンはこの日の大敗で1勝1分12敗、得点14失点52と、リーグ最下位から抜け出せそうな気配がありません。クランタンは今季開幕時に監督を務めた元大分のチェ・ムンシク監督を1勝1分4敗となったところで解任し、さらにその後任として起用した元マレーシアU23代表監督のフランク・バーンハート監督も就任後7試合を全敗すると、この試合前にはアルゼンチン出身でインドネシアリーグでの監督経験もあるアンヘル・アルフレッド・ベラ新監督の就任を発表しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節途中)

順位チーム勝点
1JDT1414005425242
2SEL14101337152231
3SRP1594228141431
4KDA1491429181128
5SAB1473430201024
6KLC146532218423
7PDRM157171619-322
8TRE146262018220
9NSE144642227-518
10PEN1443717210-415
11PRK1523101034-249
12KLU1413101435-216
13KCH13139726-196
14KEL1411121452-384
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第15節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)155628714
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)133224314
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)94218110
クパー・シャーマン(SRP)92816315
4ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ステファノ・ブルンド(SRP)82914014
6ファイサル・ハリム(SEL)72217614
8パク・テス(SAB)6188013
パウロ・ジョズエ(KLC)63318314
チェチェ・キプレ(KLC)6167113
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

6月24日のニュース
国際親善試合-パプアニューギニアに大勝で国際Aマッチ4連勝もマッチメークに問題はなかったのか
AFCアジアカップ-U17代表は最終戦でラオスに勝利でグループ最下位を逃れる
東南アジアサッカー連盟U23選手権の組み合わせと日程が発表

ニュースというには古いネタばかりになってしまいましたが、A代表と年代別代表関連のニュースをまとめました。

国際親善試合-パプアニューギニアに大勝で国際Aマッチ6連勝もマッチメークに問題はなかったのか。

マレーシア代表にとっては6月のFIFA国際マッチカレンダー最終戦となるパプアニューギニア代表戦が6月20日に行われ、マレーシアは10−0(!)でパプアニューギニアを破っています。

先週6月14日のソロモン諸島代表戦からは、いずれもブラジル出身の帰化選手MFパウロ・ジョズエ(KLシティ)、エンドリック・ドス・サントス(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてレガシー帰化選手(国外生まれながら親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を選択した選手)のスチュアート・ウィルキン(サバ)の3選手以外の8名を入れ替えたキム・パンゴン監督は、GKにA代表戦初出場のシーク・イズハン(ヌグリスンビラン)を先発起用し、センターバックのシャールル・サアド(ジョホール)をキャプテンに初指名しています。(以下がこの日の先発XI)

数日前にシンガポール代表と2-2で引き分けていたパプアニューギニア代表でしたが、この日は前半からマレーシア代表が一方的に支配する展開となりました、好機を活かしきれないマレーシアFW陣のおかげもあり、前半はロスタイムに喫したサファウィ・ラシドのゴールでの失点のみで1-0で折り返します。後半に入ると、マレーシアは59分にジョズエ選手のゴールを皮切りに、57分にアリフ・アイマン(ジョホール)、59分にファイサル・ハリム(スランゴール)が立て続けにゴールを決めると、パプアニューギニアは完全に戦意喪失。ジョズエ選手がハットトリック、アリフ選手は4ゴールを決めるなど、後半だけで10ゴールを挙げたマレーシアが圧勝しています。

FIFAランキング138位のマレーシアが同159位のパプアニューギニアを順当に破った試合となりましたが、翌日の新聞では「ハリマウ・マラヤ(代表の愛称、マレーシア語で「マラヤの虎」)がついに鋭い爪を見せた」「アジアカップに向けて自信が高まる試合」などの見出しが踊りましたが、果たしてこんな試合がこの時期に必要だったのか、というのがテレビ観戦しての印象でした。当初対戦を予定していたイエメン(FIFAランキング157位)が直前になって対戦を取りやめた結果、6月16日にシンガポールで試合が組まれていたパプアニューギニアに急遽、対戦を求めたことから実現した試合でしたが、今月のFIFAカレンダーは1試合目がプロ選手が1人だけのソロモン諸島、2試合目がこの10-0のパプアニューギニアと、来年1月のアジアカップの準備としては、残念ながら何のメリットもない試合だったように感じました。

国際親善試合
2023年6月20日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バタ)
マレーシア 10-0 パプアニューギニア
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(45+1分)、パウロ・ジョズエ3(52分、63分、69分)、アリフ・アイマン4 (56分、 60分、 87分、88分)、ファイサル・ハリム(59分)、ダニエル・ティン(76分)

パプアニューギニア戦のハイライト映像。マレーシアサッカー協会FAMの公式YouTubeチャンネルより
AFCアジアカップ-U17代表は最終戦でラオスに勝利でグループ最下位を逃れる

タイで開催中のAFC U17アジアカップに出場中のマレーシアU17代表は、グループステージ最終戦となるラオスU17代表戦に勝利しています。

既に2敗でグループステージ敗退が決まっている両チームの対戦は、得失差で3位のラオスが Sayfon Keohanamのゴールで12分に先制します。年代別代表戦では昨季もU23代表が敗れるなどラオスとは相性の悪いマレーシアでしたが、前半終了間際の43分にダニエル・マット・ディサ(モクタル・ダハリアカデミー)が今大会チーム初のゴールで同点に追いつくと、77分には再びダニエル選手がゴールを決めて、ラオスを逆転するとそのまま逃げ切っています。

グループステージA組のもう1試合は、タイがイエメンを1−0で下してグループ1位となり、2位のイエメンと共にノックアウトステージ進出を決めています。

AFC U17アジアカップ2023
グループステージA組第3節
2023年6月21日@タマサートスタジアム(タイ)
マレーシアU17 2-1 ラオスU17
⚽️マレーシア:ダニエル・マット・ディサ2(43分、77分)
⚽️ラオス:Sayfon Keohanam(12分)

ラオスU17戦のハイライト映像。アストロアリーナの公式YouTubeチャンネルより

グループステージA組順位表(第1節終了)

順位チーム得失差勝点
1タイ33006069
2イエメン32016246
3マレーシア310228-63
4ラオス300336-30
東南アジアサッカー連盟U23選手権の組み合わせと日程が発表

8月17日からタイのチョンブリーで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23のグループステージの組み合わせと日程が発表になっています。E・エラヴァラサン監督率いるマレーシアU23代表は、インドネシア、東ティモールと同じB組となり、インドネシアとは8月18日に、東ティモールとは8月20日に対戦します。

今大会は東南アジア11カ国中、シンガポールが出場せず10カ国が3つのグールプに分かれてグループステージを戦い、各組の1位チームと3つのグループで最も成績の良い2位チームが準決勝のノックアウトステージに進出します。グループステージの組み分けはA組がタイ、ミャンマー、カンボジア、ブルネイの4カ国、C組はベトナム、フィリピン、ラオスは3カ国となっています。

マレーシアU23代表候補合宿は既に第1次合宿を今月19日に終了していますが、この合宿の参加者は以下の通りです。東南アジア競技大会通称シーゲームズのグループステージで敗退したメンバーからは15名が残っています。

U23代表候補合宿参加メンバー

ポジション氏名年齢所属
MFアリフ・イズワン19SEL
DFV・ルヴェンティラン22SEL
DFアブドル・カリリ18SEL
DFハリス・ハイカル21SEL
DFジクリ・カリリ21SEL
MFナジムディン・アクマル19JDTII
MFファーガス・ティアニー20JDTII
FW ダリル・シャム21JDTII
MF アダム・ファルハン19JDTII
FWアイマン・アフィフ22KDA
DFアズリン・アフィク21KDA
DFアイマン・ファルハン21KDA
DFハリズ・マンソール21KDA
MF T・サラヴァナン22KLC
MFナズウィン・サレー22KLC
GK アジム・アル=アミン22KLC
DF サファウィ・マズラン21TRE
GKラーディアズリ・ラハリム22TRE
DF ウバイドラー・シャムスル20TREII
FWムスリフディン・アティク22TREII
MF ハジック・クティ・アバ19PEN
MF イズルズワン・ダウド22PEN
DF アリフ・ジクリ21PRKII
MF フィルダウス・ハスノディン21KEL
GKフィルダウス・イルマン22NSE
チーム名:JDTII-ジョホール・ダルル・タジムII、TRE-トレンガヌFC、TREII-トレンガヌFCII、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、PRKII-ペラFCII

なおこの他にアイスランド2部ニャルズヴィークFCに所属するFWルクマン・ハキムもU23代表候補合宿参加メンバーとなっていましたが、このAFF U23選手権がFIFA国際マッチカレンダー外のため、その後、チームからリリースされなかったとして合宿不参加がマレーシアサッカー協会FAMから発表されています。なおU23代表は、9月にやはりタイのバンコクで開催されるAFC U23アジアカップ予選が控えていますが、ルクマン選手はアイスランドリーグが春秋制であることから、アジアカップ予選には招集される可能性が高そうです。

6月20日のニュース
U17代表はタイに敗れて2試合目でU17アジアカップ敗退決定
マレーシアカップ1回戦のカードが決定
サッカー協会会長-来年のアジアカップを多くのサポーターが現地観戦できるよう尽力することを約束

今日6月20日にはFIFAランキング138位のマレーシア代表はFIFA国際マッチカレンダーに開催される国際親善試合の2戦目となるパプアニューギニア代表戦をトレンガヌ州ゴン・バダのスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで午後9時(マレーシア時間)から行います。6月16日にはシンガポールと対戦し2-2と引き分けたFIFAランキング159位のパプアニューギニアとは、これまでに4回対戦し、3勝1敗の記録が残っており、直近では2016年に対戦しており、その時は2-1で勝利しています。

U17代表はタイに敗れて2試合目でU17アジアカップ敗退決定

タイで開催中のAFC U17アジアカップに出場中のマレーシアU17代表はグループステージ第2節でタイU17代表と対戦し、0-3で敗れて2回戦進出を前に敗退が決まっています。

初戦のイエメンU17代表戦を0-4で落としていたマレーシアU17代表は、この日、BGパトゥム・ユナイテッドのホーム、パトゥム・ターニースタジアムで行われるタイ戦に勝ってグループステージ突破の可能性を残したいところでした。この試合では、マレーシアは粘ってタイの得点を防ぎ続けましたが、前半終了間際のロスタイムにタイのキャプテンPacharaphol Lekkunにゴールを許し、前半を0-1で折り返します。後半に入ると54分にはChanasorn Choklap、そしては78分にはChanothai Kongmengのゴールで0-3となり、そのまま試合は終了し、マレーシアは2試合連続無得点で敗れています。

この試合の前に行われたラオスU17代表対イエメンU17代表の試合は、イエメンが2-1でラオスを下してタイと勝点6で並んだもののの、得失差で首位をキープ、以下2位タイ、3位ラオス、そして4位マレーシアとなっています。マレーシアはグループステージ最終節の第3節となる6月21日に2敗同士のラオスと対戦します。

AFC U17アジアカップ2023
グループステージA組第2節
2023年6月18日@パトゥム・ターニースタジアム(タイ)
マレーシアU17 0-3 タイU17
⚽️タイ:Pacharaphol Lekkun(45+2分)、Chanasorn Choklap(54分)、Chanothai Kongmeng(78分)

グループステージA組順位表(第1節終了)

順位チーム得失差勝点
1イエメン22006156
2タイ22005146
3ラオス200224-20
4マレーシア200207-70
マレーシアカップ1回戦のカードが決定

国内カップ戦の一つマレーシアカップは、1921年(大正10年)に第1回大会が開催された伝統ある大会で、今年の大会は第97回大会と日本の天皇杯と並ぶアジア最古のカップ戦です。マレーシアカップ(第1回当時はマラヤカップ)は各州の代表チームが対戦する形で始まった歴史もあり、日本で言えば高校野球の甲子園大会のような強度の誇りをかけた大会で、国内ではリーグ戦以上に盛り上がります。

このマレーシアカップは、昨季まではリーグ戦終了後に行われ、1部スーパーリーグの11位までと、2部プレミアリーグの5位までの合計16チームが参加する大会でしたが、スーパーリーグとプレミアリーグ合併など今季の大幅なリーグ改編により、開催時期が8月に前倒しとなり、さらに改編後のスーパーリーグが14チーム編成となったことで、3部リーグのM3リーグの上位2チームにも門戸が開かれることになりました。そしてこの新装なったマレーシアカップの1回戦組み合わせ抽選が、6月15日にオンラインで開催されました。

昨季2022年シーズンのマレーシアカップ決勝はジョホール・ダルル・タジムとスランゴールが対戦し、ジョホールが2−1で勝利しましたが、現在リーグ首位のジョホールと2位のスランゴールは抽選の結果、それぞれ別の山となり、この両チームが顔を合わせるとすれば再び決勝戦となります。

連覇を目指すジョホールのベスト16での相手は、現在リーグ最下位のクランタンに決まっています。この試合に勝つと、ベスト8では同13位のクランタン・ユナイテッドと同9位のヌグリスンビランの勝者と対戦し、ベスト4では順当に行けば同3位のクダ・ダルル・アマンあるいは同5位のサバと顔を合わせることになりそうです。

一方のスランゴールは、リーグ戦では0−1で敗れているリーグ8位のPDRMがベスト16の相手で、この試合に勝てば、ベスト8では同7位のトレンガヌとM3リーグ1位チームの試合の勝者と、そしてベスト4ではスリ・パハン、ペナン、KLシティのいずれかとの対戦となりそうです。

マレーシアカップは1回戦から準決勝までは全てホームアンドアウェイ形式で開催され、8月に予定されている1回戦から12月に予定されている決勝までおよそ4ヶ月間続きます。

<マレーシアカップ1回戦組み合わせ>
ジョホール・ダルル・タジム対クランタン
スランゴール対PDRM
スリ・パハン対M3リーグ2位チーム
クダ・ダルル・アマン対ペラ
サバ対クチンシティ
KLシティ対ペナン
トレンガヌ対M3リーグ1位チーム
ヌグリスンビラン対クランタン・ユナイテッド

協会会長-来年のアジアカップを多くのサポーターが現地観戦できるよう尽力することを約束

来年1月にカタールで開催されるAFCアジアカップ2023年大会に出場するマレーシアは、2007年にタイ、ベトナム、インドネシアとの共同開催の際には開催国枠でのアジアカップ出場はあるものの、予選突破による出場となると1980年のクウェート大会以来43年ぶりとな李ます。この大会についてマレーシアサッカー協会FAMは、できるだけ多くのサポーターが現地観戦できるよう、内外の関係機関と協議を行う予定があると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

先日開かれた、およそ150人のサポーターと2時間を超える質疑応答の際に、マレーシア代表のサポーターグループ「ウルトラス・マラヤ」の代表者から、現地での応援について航空券、試合のチケット入手、そして宿泊手配について問われたFAMのハミディン・アミン会長は、在カタールのマレーシア大使に既に連絡を入れて、これらの試合に向けてサポーターの宿泊手配の支援を求めたことを明らかにした他、現地までの移動については、観戦希望のサポーターの数にもよるとしながらも、代表の公式スポンサーの一つであるマレーシア航空とチャーター便の手配について協議したいと話しています。

「マレーシア、カタール間の往復航空券は通常は4500リンギから5000リンギ(およそ14万円から15万円)するが、これを少しでも下げられるようにしたい。またカタールにはマレーシア企業所有の宿泊施設もあり、適切な価格を提供してもらえるよう交渉する予定である。試合のチケットの入手と適切な費用が提供されれば、多くのサポーターがカタールまで応援に来てくれることを期待している。」とハミディン会長は話しています。

アジアカップではグループステージE組に入ったマレーシアは1月15日のヨルダン戦を皮切りに、バーレーン戦(1月20日)、韓国戦(1月25日)と対戦します。



6月18日のニュース
元甲府のウィリアン・リラがクダをシーズン半ばで退団
協会会長が代表に新たな帰化選手が参加する可能性を示唆

元甲府のウィリアン・リラがクダをシーズン半ばで退団

来月2日から開く今年2度目のトレンスファーウィンドウに向けて、マレーシアスーパーリーグの各チームの動向がSNSを賑わせていますが、第14節を終えて9勝1分4敗でリーグ3位のクダ・ダルル・アマンFCは、クラブ公式SNSでFWウィリアン・リラの退団を発表しています。

2022年天皇杯で優勝したJ2甲府で天皇杯決勝でもプレーし、今季からクダに加入していたリラ選手は、今季開幕当初はゴールを挙げられず、サポーターから非難されることもありましたが、FIFAカレンダーによるリーグ中断前の直近5試合で5ゴールを挙げるなど徐々に調子を上げてきていました。第14節を終えて出場した14試合中13試合に先発し、チームトップ、リーグでも4位の8ゴールを挙げるなど活躍していたリラ選手のシーズン途中での退団は、双方合意の上での退団とされていますが、クダにとっては痛い損失です。

協会会長が代表に新たな帰化選手が参加する可能性を示唆

6月14日の国際親善試合でマレーシア代表はソロモン諸島を4-1で破りましたが、その4点は国内リーグ9連覇中のジョホールに所属するアリフ・アイマンとサファウィ・ラシドが挙げた2点と、ブラジル出身の帰化選手パウロ・ジョズエ(KLシティ)と英国出身の帰化選手リー・タック(クダ・ダルル・アマン)が挙げた2点でした。

現在の代表は帰化選手なしで語ることができず、今回の代表メンバー27名を見ても、上記の他の帰化選手にはブラジル出身のエンドリック・ドス・サントスがいます。またマレーシア国外生まれながら片親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得した、マレーシア国内ではレガシー帰化選手ともハイブリッド帰化選手と呼ばれる選手も6名おり、いずれも英国生まれのDFラヴェル・コービン=オング(ジョホール)、MFスチュアート・ウィルキン(サバ)、そしてオーストラリア生まれのDFマシュー・デイヴィーズ(ジョホール)の3選手はソロモン諸島戦でも先発メンバーに名を連ねています。

スーパーリーグでも上位を占めるチームはいずれも、帰化選手あるいはレガシー帰化選手が主力としてプレーしており、彼らが代表チームにも欠かせない戦力となっていることから、現在のマレーシアサッカーは彼ら帰化選手をを抜きにして語ることはできなくなっています。そんな中、英字紙スターは、代表チームにさらに帰化選手が加わる可能性を取り上げています。

この記事で取り上げられているのはいずれも英国でプレーする20歳のMFリチャード・チンと、21歳のMFコービー・ジェイ・チョンの両選手です。マレーシア人の父とセイシェルジンの母を持つチン選手は、英国3部のチャールトン・アスレティックでプレーするチン選手は昨年9月にリーグ戦デビュヲーを果たし、マレーシア人として初めて英国3部でプレーした選手となっています。一方、マレーシア人の父とジャマイカ人の母を持つチョン選手は2019年にプロデビューして以来英国6部の複数のチームでプレーし、現在はフリーエージェントとなっており、先月はマレーシアスーパーリーグのスリ・パハンを訪れている様子が自身のSNSに投稿されていました。

マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、この両選手がマレーシアパスポート申請のための書類を既に提出し、(パスポート発行を行う)内務省が書類を審査中であることを明らかにした上で、1、2ヶ月以内にはパスポートを取得して、年代別代表でのプレーが可能になるだろうと話しています。さらにハミディン会長は帰化選手には代表を強化するだけの実力を求めると話す一方で、帰化選手の増加はマレーシアで生まれ育った選手のポジションを奪うものではないことも強調しています。

このブログでも取り上げましたが、トレンガヌのDFでモンテネグロ出身のアルグジム・レゾヴィッチとKLシティFWでコロンビア出身のロメル・モラレスの両選手は、既にマレーシアで5年間以上プレーしたことで、マレーシア代表となる資格があることから、やはり帰化選手となるための手続きを進めており、今後はより多くの帰化選手が代表に呼ばれ可能性が高まっています。

6月17日のニュース
A代表はソロモン諸島に快勝、U17代表はAFCカップ初戦はイエメンに大敗スタート

A代表はソロモン諸島に快勝

6月のFIFA国際マッチーデーの初戦となるマレーシア代表対ソロモン諸島代表戦が6月14日に開催され、FIFAランク138位のマレーシアは同134位のソロモン諸島に先制を許したものの、逆転で快勝しています。

ホームのブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)が改修工事中のため、今月の国際親善試合はいずれもマレー半島東海岸にあるトレンガヌ州のゴン・バダにあるスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで開催されます。マレー半島東海岸での代表戦が開催されるのは、2013年3月26日にトレンガヌ州の隣のパハン州クアンタンにあるダルル・マクモルスタジアムでパレスチナ戦が開催されて以来、およそ10年振りのことです。クアラ・ルンプールやペナンなどがあるマレー半島西海岸に比べると人口も少ないことから、観客がどのくらい集まるのかにちゅもくが集まりましたが、マレーシアサッカー協会FAMもスタジアム周辺で様々な集客イベントを開催し、試合前には10,470枚のチケットが売れたことを発表しています。

この試合の先発はMFパウロ・ジョズエ(KLシティ)、MFスチュアート・ウィルキン(サバ)、FWファイサル・ハリム(スランゴール)の3名以外は、残る8名全員がジョホール・ダルル・タジムパスの選手という布陣でした。

試合開始からマレーシアが相手を圧倒する展開の中、先制したのはソロモン諸島でした。自陣からの素早いカウンターでマレーシアペナルティーエリアの右に出たボールに、GKシーハン・ハズミ(ジョホール)が飛び出してスライディングするもこれがなんと空振り。このボールを今回のソロモン諸島代表で唯一のプロ選手ラファエル・レアイ(ボスニア1部FKヴェレジュ・モスタル)が無人のゴールに蹴り込んで、ソロモン諸島が11分に1点をリードします。

この1発でマレーシアの動きが変わりました。厳しくプレスをかけてボールを奪うスタイルで、ボールの支配率を高めていった40分、中盤のシャマール・クティ・アバ(ジョホール)からソロモン諸島DFラインの裏へ抜け出した右サイドのマシュー・デイビーズ(ジョホール)へボールが渡ると、ディヴィーズはゴール前へ走り込んだファイサル・ハリム(スランゴール)へクロス。しかしソロモン諸島GKフィリップ・マンゴがパンチングで防ぐものの、それに詰めていたパウロ・ジョズエがこぼれ球をゴール。ブラジル出身ながら、今年2月にマレーシア国籍を取得したばかりのジョズエ選手の代表初ゴールで、マレーシアが同点に追いつきます。さらに前半ロスタイムには、右サイドでボールを受けたアリフ・アイマン(ジョホール)が自らドリブルでペナルティエリアへ持ち込むも、相手DFに倒されてマレーシアはPKを獲得します。このPKをアリフ選手自身が代表戦16試合目にして自身初得点となるゴールを決め、マレーシアが逆転して前半を終了します。

後半に入ってもマレーシア優位で試合は進むものの追加点が奪えず、キム・パンゴン監督は状況を打開しようとファイサル・ハリム、アリフ・アイマン、エンドリック・ドス・サントス(ジョホール)に代えて、リー・タック(クダ)、アキヤ・ラシド(ジョホール)、サファウィ・ラシド(タイ1部ラーチャブリーFC退団)の3選手を60分に投入します。これが功を奏した77分、右サイドのタック選手がゴール前のサファウィ選手へとボールが出ると、これをトラップしてから反転してシュート。タイでは爪痕を残せなかったサファウィ選手が3点目のゴールを決めて、マレーシアはリードを広げます。

3点目をアシストしたタック選手はロスタイムに入ると、ゴール前でシャーミ・サファリ(ジョホール)がスルーしたボールを自身がゴールに叩き込み4点目を挙げ、マレーシアが3月のFIFAカレンダーでのトルクメニスタン戦と香港戦に続き3連勝を飾っています。なお今回のFIFAカレンダーでは、イエメン(FIFAランキング157位)とも対戦予定でしたが、これがドタキャンとなり、来週6月20日にパプアニューギニア(FIFAランキング159位)とやはりトレンガヌ州のスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで対戦します。

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ソロモン諸島戦から2日経った昨日6月16日にマレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookで、いずれもジョホール・ダルル・タジム所属のMFナチョ・インサとDFフェロズ・バハルディンの代表チーム離脱が発表されました。およそ5年ぶりの代表招集に応じたインサ選手は、候補合宿に参加したものの試合に出場するだけの体調ではないと代表チームドクターから判断されたということです。37歳のインサ選手は第14節までで出場4試合が全て途中出場、出場時間も合計で66分となっていたので、インサ選手の状況についてジョホールのチームドクターなどと情報交換がなかったのかどうかに疑問が残ります。

一方のフェロズ選手はソロモン諸島戦でA代表2戦目で初先発を果たしましたが、44分にハムストリングを痛め、途中退場していました。なおキム代表監督名で出されたFacebookの投稿では、代替選手は招集しないことも発表されています。代表合宿では20歳のFWハキミ・アジム(KLシティ)が体調不良で合宿初日に離脱しており、当初の27名から24名となっています。

国際親善試合
2023年6月14日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
マレーシア 4-1 ソロモン諸島
⚽️マレーシア:パウロ・ジョズエ(40分)、アリフ・アイマン(45+2分PK)、サファウィ・ラシド(77分)、リー・タック(90+1分)
⚽️ソロモン諸島:ラファエル・レアイ(11分)

試合のハイライト映像はFAMの公式YouTubeチャンネルより
U17代表はAFCカップ初戦はイエメンに大敗スタート

タイで開催中のAFC U17アジアカップ2023年大会に出場中のマレーシアU17代表は、6月15日にイエメンU17代表とグループステージ初戦で対戦し、オウンゴールを含む4失点で敗れ、大会を黒星でスタートしています。

グループステージA組でイエメン、ラオス、タイと同組のマレーシアは、バンコクのタマサートスタジアムで行われたこの試合は、開始からマレーシアが劣勢となる中で、21分にアブドゥルラーマン・アル・カダールのゴールで先制を許すと、その10分後にはアデル・カセムのゴールでリードを広げられて前半を終了します。

後半に入ると48分にはマレーシアペナルティエリア内で相手シュートがファリス・ダニシュ(モクタル・ダハリアカデミー)の手に当たってハンドの反則を取られ、このPKをアンワル・アル・トゥライキが決めて、イエメンは3-0とリードを広げます。さらにロスタイムにはペナルティエリア内でアディブ・イブラヒムがクリアミスした結果、オウンゴールとなり、最後はイエメンが4-0で勝利しています。

A組のもう1試合はタイがラオスに2-1と勝利しており、マレーシアは大会初勝利をかけてこのタイと6月18日に対戦し、グループステージ最終戦となるラオス戦は来週水曜日6月21日に行われます。

AFC U17アジアカップ2023
グループステージA組第1節
イエメンU17 4-0 マレーシアU17
⚽️イエメン:アブドゥルラーマン・アル・カダール(21分)、アデル・カセム(31分)、アンワル・アル・トゥライキ(48分PK)、アディブ・イブラヒム(88分OG)

グループステージA組順位表(第1節終了)

順位チーム得失差勝点
1イエメン11004043
2タイ11002113
3ラオス100112-10
4マレーシア100104-40
試合のハイライト映像はスタジアム・アストロの公式YouTubeチャンネルより

6月12日のニュース
今月のFIFAカレンダー出場の代表候補27名が発表
ラダメル・ファルカオがジョホールオーナーを訪問-獲得へ一歩前進か

今月のFIFAカレンダー出場の代表候補27名が発表

6月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAカレンダー)で、マレーシア代表は6月14日にソロモン諸島代表、6月20日にパプアニューギニア代表とそれぞれ対戦しますが、マレーシアサッカー協会FAMは、この試合に先立って行われる代表候補合宿に参加する27名を公式サイトで発表しています。

ハリマウ・マラヤ(日本語では「マレーの虎」)の愛称で知られるマレーシア代表は、クアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場がホームですが、年初から始まっているピッチ張り替えを含めた改修工事が続いています。このため3月のFIFAカレンダーはジョホール・ダルル・タジムのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)で開催されましたが、今月の代表戦はいずれもトレンガヌFCのホーム、スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)で開催されます。なお一昨日6月10日から始まっている代表候補合宿もトレンガヌ州のクアラ・トレンガヌで行われています。

今回の代表合宿に招集されたメンバーですが、今年3月のFIFAカレンダー前に行われた代表候補合宿参加27名中、17名が再び招集されています。今回招集されていないメンバーには、タイ1部で今季国内三冠を達成したブリーラム・ユナイテッドでプレーするDFディオン・コールズがいますが、今回は自身の結婚式を理由に合宿参加を辞退しています。

また、前回3月の合宿には招集されず、今回の合宿に招集されている10名は、昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップに出場したFWサファウィ・ラシド(タイ1部ラーチャブリーFC退団)、MFムカイリ・アジマル(スランゴールFC)、FWハキミ・アジム(KLシティFC)、DFアザム・アズミ(トレンガヌFC)、MFリー・タック(クダ・ダルル・アマンFC)の5名の他、実に2018年3月以来の招集となったMFナチョ・インサ(ジョホール・ダルル・タジム)、DFジュニオール・エルドストール(タイ1部プラチュワップFC退団)、FWシャーレル・フィクリ(ヌグリスンビランFC)、GKアズリ・アブドル・ガニ(KLシティFC)、そして今回が初招集となるMFシャヒール・バシャー(スランゴールFC)となっています。

ポジション氏名年齢所属
GK シーハン・ハズミ27JDT
DF シャールル・サアド30JDT
DFラヴェル・コービン=オング32JDT
MFアリフ・アイマン21JDT
FWアキヤ・ラシド24JDT
DFマシュー・デイヴィーズ28JDT
DFシャーミ・サファリ25JDT
MFシャマー・クティ・アッバ26JDT
DFフェロズ・バハルディン23JDT
MFエンドリック・ドス・サントス28JDT
MFナチョ・インサ37JDT
FWサファウィ・ラシド26JDT
DFジュニオール・エルドストル32JDT
FWファイサル・ハリム25SEL
MFムカイリ・アジマル22SEL
MFシャヒール・バシャー22SEL
DFドミニク・タン26SAB
MFスチュアート・ウィルキン25SAB
DFダニエル・ティン31SAB
MFパウロ・ジョズエ34KLC
FW.ハキミ・アジム20KLC
GKアズリ・アブドル・ガニ24KLC
GKシーク・イズハン21NSE
FWシャーレル・フィクリ29NSE
DFアザム・アズミ22TRE
MFリー・タック35KDA
MF. ノーア・レイン21SJK
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、SJK-セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ(フィンランド2部)

ラダメル・ファルカオがジョホールオーナーを訪問-獲得へ一歩前進か

マレーシア語紙ブリタハリアンは、元コロンビア代表のラダメル・ファルカオがマレーシアスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムのオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下を訪問したと報じています。

マレーシアスーパーリーグで前半を終えて2位に勝点差11をつけて首位を独走するジョホールには、アトレティコ・マドリードやモナコなどでプレーしたファルカオ選手については、これまでもジョホール加入が噂されており、今回の訪問もイスマイル殿下自身がインスタグラムへの投稿で明らかにしています。

マレーシアスーパーリーグのトランスファーウィンドウは来月7月5日から8月1日までとなっていることから、ACLでは昨季のベスト16を上回る結果を目指すジョホールが37歳とピークは超えたとはいえ、実績抜群のストライカーを獲得することは大いに考えられます。

2023マレーシアスーパーリーグ第14節
結果とハイライト映像-ジョホールは14連勝で首位堅持、PDRMはサバを破り3連勝、前節初勝利のクランタンUはスランゴールに大敗

マレーシアスーパーリーグは6月7日から9日に今季第14節が開催されています。今季は14チームでスタートしたスーパーリーグは今節より後半戦に突入しますが、開幕からの13試合で得点51失点1という驚異的な成績で前半戦を13連勝で終えたジョホール・ダルル・タジムの強さは際立っており、2位スランゴールとの勝点差は既に11と開き、今季の興味は優勝争いからAFCカップ出場権のかかる2位争いへと移っています。なお、今節予定されていたクチンシティ対クランタンの試合は、7月21日に変更になっています。
 また今月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAカレンダー)でソロモン諸島、パプアニューギニアの両代表と対戦するマレーシア代表候補27名も発表されており、今節はこの27名のプレーの様子なども併せて書いていきます。
 なおこのFIFAカレンダーにより、スーパーリーグはおよそ2週間中断し、6月23日の第15節から再開します。
(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年6月7日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:1,242人
クランタン・ユナイテッド 1-7 スランゴール
⚽️クランタン:デヴィッド・シルヴァ(75分PK)
⚽️スランゴール:ムカイリ・アジマル(4分)、エイロン・デル・ヴァイエ3(10分、45分、79分)、ファイサル・ハリム(29分)、ヨハンドリ・オロスコ(51分)、アリフ・イズワン(78分)
🟨クランタン:インドラ・プトラ、S・シャーヴィン、
🟨スランゴール:なし
MOM:エイロン・デル・ヴァイエ(スランゴール)

 前半戦最後となった前節第13節で待望の今季初勝利を挙げたクランタン・ユナイテッドがホームにスランゴールを迎えた試合は、やはり前節にPDRMにまさかの敗戦を喫したスランゴールがその鬱憤を晴らすかのように、今季リーグ最多タイとなる7ゴールを挙げて圧勝しています。
 今月のFIFAカレンダーを前に10日から始まるマレーシア代表候補合宿にも招集されているU23代表のキャプテン、ムカイリ・アジマルが開始4分でスランゴールの先制ゴールを決めると、10分には1点目をアシストしたエイロン・デル・ヴァイエがペナルティエリアの外から放ったシュートが決まり、スランゴールはリードを広げます。さらに28分にはやはり代表合宿に招集されているファイサル・ハリムのゴール、そして45分には再びエイロン・デル・ヴァイエがロングシュートを決め、前半はスランゴールが4-0として折り返しました。
 後半もスランゴールは手を抜かず、チームに欠かせない存在になりつつあるヨハンドリ・オロスコが51分にゴールを挙げて5-0としますが、クランタン・ユナイテッドは78分に得たPKを決めてその差を4点とします。ちなみにペナルティエリア内でクランタン・ユナイテッドのヤン・ヴィクトルを倒してこのPKを与えたのは、これまた代表候補のシャヒール・バシャーでした。しかしその後もスランゴールはU19代表のアリフ・イズワンが今季初ゴール、そしてその1分後にはエイロン・デル・ヴァイエがハットトリック達成となるこの試合3点目を決め、終わってみればスランゴールが7-1と圧勝しています。

2023年6月7日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:7,320人
クダ・ダルル・アマン 3-0 ペラ
⚽️クダ:アミルベク・ジュラバエフ2(26分、54分)、ウィリアン・リラ(67分)
🟨クダ:アミルル・アフィク、リー・タック、アリフ・ファルハン
🟨ペラ:サンディ・アフォラビ
MOM:アミルベク・ジュラバエフ(クダ・ダルル・アマン)

 クダは唯一の代表候補に選ばれたリー・タックからのクロスをウィリアン・リラがゴール前に落とすと、それをアミルベク・ジェルバエフが押しこんで25分に先制すると、後半の54分には再びタック選手からのクロスをこの度はアミルベク選手が頭で合わせてゴール!さらに67分には、タック選手のコーナーキックをリラ選手がヘディングシュート。これも決まってクダが3-0で快勝しています。

2023年6月8日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:人
ペナン 1-1 KLシティ
⚽️ペナン:ジオバネ・ゴメス(45+1分)
⚽️KLシティ:チェチェ・キプレ(7分)
🟨ペナン:ザーリル・アズリ、アディブ・ラオプ、ラフマット・マカスフ
🟨KLシティ:ケニー・パッラジ、ザフリ・ヤハヤ、セバスチャン・アヴァンジーニ、ライアン・ランバート
🟥ペナン:ラフマット・マカスフ(🟨x2)
🟥KLシティ:ジャンカルロ・ガリフオコ
MOM:アディブ・ラオプ(ペナン)

 3連敗中のペナンが2連勝中のKLシティをホームに迎えた試合は、最後は共に10人となった両チームが引き分けています。
 途中1部と2部に分かれるなど対戦がなかった時期があるものの、KLシティが最後にペナンのホームで勝利したのは1987年と36年前のことでした。しかしこの試合は、代表候補に選ばれたパウロ・ジョズエからのパスを受けたチェチェ・キプレがペナンDF2人を振り切って、自身のMリーグ通算100得点目となるゴールを決め、開始7分でKLシティが先制しました。一方のペナンはソニー・サアドを中心にKLゴールを狙いますが、代表候補のGKアズリ・アブドル・ガニに代わってこの試合に先発したU23代表GKアジム・アル=アミンが好守を見せて得点には至りません。しかし前半終了間際のロスタイムにアディブ・ラオプのシュートがKLシティDFに当たって跳ね返ったボールをジオバネ・ゴメスが押し込み、ペナンが同点に追いつきます。
 後半に入ると74分にはKLシティのジャンカルロ・ガリフオコがプロフェッショナルファウルで1発退場となり、ペナンが数的有利になったもののそれを活かせず、後半ロスタイムにはKLシティのライアン・ランバートと揉めたラフマット・マカサフが2枚目のイエローで退場となってしまいます。このプレーでペナンはフリーキックを得ますが、ゴメス選手のシュートは枠内に飛んだもののGKアジム選手が反応よくこれを防ぎ、試合は1-1で終了しています。なおKLシティで代表候補に選ばれたもう1人のザフリ・ヤハヤは前半で後退しています。

2023年6月8日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:986人
PDRM 1-0 サバ
⚽️PDRM:ナビル・ラトピ(26分)
🟨PDRM:アミルル・サイフル、アリフ・ナジミ・シャアイニ
🟨サバ:ダニエル・ティン、ガリー・スティーヴン・ラバト、ラウイルソン・バトゥイル
MOM:アリフ・ナジミ・シャアイニ(PDRM)

 PDRMがホームでサバも撃破し今季初の3連勝。一方のサバは2連敗となっています。
 前節は2位のスランゴールを破ったPDRMは、現在3位のクダにも勝利していますが、この試合でも上位チームキラーぶりを発揮しています。
 試合はサバが優勢にするめるものの、前節は総得点リーグ2位のスランゴールを完封した守備陣がこの試合でも選手たちが身体を張ってボールを止め、バドロル・バクティアルやパク・テスらにシュートを打たれながらも失点を許しません。そして試合が動いたのが25分でした。PDRMはカウンターからサフィー・アフマドがサバDFの裏へ出したパスにナビル・ラトピが反応し、サバDFに競り勝って蹴り込みゴール!PDRMに先制を許したサバは、相手ゴールを目指しますが、PDRMの守備陣が最後まで守り切って3連勝を果たしています。一方のサバは代表候補のドミニク・タン、ダニエル・ティン、スチュアート・ウィルキンの3選手がいずれも目立った活躍ができず、この日の敗戦で今季のアウェイ通算成績が1勝2分4敗となっています。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は60分から交代出場し、最後までプレーしています。

2023年6月9日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:2,877人
スリ・パハン 4-3 ヌグリスンビラン
⚽️パハン:ステファノ・ブルンド2(24分PK、90分)、デヴィッド・ローリー(80分)、クパー・シャーマン(90+4分)
⚽️ヌグリスンビラン:エラルド・グロン(8分)、シャーレル・フィクリ(15分)、カサグランデ(24分)
🟨パハン:ズハイル・アイザット
🟨ヌグリスンビラン:シーク・イズハン、ハリズ・カマルディン、ナスルラー・ハニフ、カサグランデ、ハスブラー・アブ・バカル
MOM:ステファノ・ブルンド(スリ・パハン)

 両チーム合わせて7ゴールの試合はパハンが2点差を逆転して連敗を2で止めています。
 第11節までは今季無敗だったパハンは、第12節でジョホールに敗れると、第13節ではKLシティににも敗れて2連敗。一方のヌグリスンビランは直近の4試合を2勝2分と調子を上げています。この試合は序盤は両チームの勢いの差が現れ、原因不明の体調不良による欠場から5試合ぶりに復帰したエラルド・グロンのヘディングシュートでアウェイのヌグリスンビランが8分に先制しました。さらに15分にはこのグロン選手のパスをゴール前でカサグランデが落としたところを代表候補のシャーレル・フィクリが蹴り込んで、ヌグリスンビランがリードを広げます。パハンもステファノ・ブルンドのPKで1点を返しますが、ヌグリはすぐさまカサグランデのゴールで再びリードを広げて前半を終えます。
 後半もパハンは好機を作りながらゴールを破れず、このままヌグリスンビランが逃げ切るかとお話割れましたが、攻守でチームを支えていたエラルド・グロンが69分にケガで退場すると、状況は一変しました。80分にデヴィッド・ローリーのゴールで1点差に迫ったパハンは、90分にブルーノ選手がペナルティエリアの外からフリーキックを決めて同点に追いつくと、ロスタイムにはゴール前へのロングスローにクパー・シャーマンが頭で合わせて逆転ゴールを決めています。代表候補のシーク・イズハンは試合終了前の10分で3ゴールを許し、ヌグリスンビランは手中にしていた勝利を逃しています。

2023年6月9日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:10,819人
トレンガヌ 1-3 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️トレンガヌ:ソニー・ノルデ(28分)
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ(21分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(45+2分)、エンドリック・ドス・サントス(90+4分)
🟨トレンガヌ:アルグジム・レゾヴィッチ
🟨ジョホール:アフィク・ファザイル
🟥トレンガヌ:アルグジム・レゾヴィッチ(🟨x2)、イヴァン・マムート
MOM:ハビブ・ハルーン(トレンガヌ)

 先日発表された代表候補13名(!)を擁するジョホールが一度は追い付かれながらも、審判の力を借りて開幕からの連勝を14に伸ばしています。
 ジョホールはGKシーハン・ハズミを筆頭に、ラヴェル・コービン=オング、マシュー・デイヴィーズの左右サイドバック、センターバックのフェロズ・バハルディン、右ウィングのアリフ・アイマンの5名の代表候補が先発、一方のトレンガヌもU23代表と兼任の右サイドバック、アザム・アズミが先発しています。
 試合は21分にリーグ得点王のフェルナンド・フォレスティエリがペナルティエリアの外から見事なバイシクルキックでゴールを決め、ジョホールが先制しますが、トレンガヌも28分にソニー・ノルデのフリーキックが決まり、すぐさま同点に追いつきます。しかしこのまま前半終了かと思われたロスタイムに自陣ペナルティエリア内でノルデ選手がアリフ・アイマンを後ろから引っ掛けてPKを与えると、これをベルグソン・ダ・シルヴァが決めて、ジョホールが2-1とリードして折り返します。
 後半に入るとジョホールは、ナチョ・インサとシャマー・クティ・アッバの両代表候補を投入、トレンガヌを突き放しにかかります。一方のトレンガヌは52分に長身センターバックのアルグジム・レゾヴィッチが2枚目のイエローで退場となりますが、パハンのファンディ・アフマド監督は、逆に攻撃的な選手交代を次々と行なって勝負をかけます。しかし審判の判定が全てを台無しにしてしまいました。68分に投入されたFWイヴァン・マムートがマークについたジョホールDFフェロズ・バハルディンを振り払う際に暴力行為があったとして、75分に1発レッドで退場となります。この試合はテレビで見ていましたが、1発レッドは明らかに厳しすぎる判定で、マムート選手にイエロー、あるいは両選手にイエローあたりが妥当なプレーに見えました。この退場劇で9人となったトレンガヌは流石に防戦一方となり、ロスタイムには、途中出場で代表候補のエンドリックにもゴールを決められて万事休す。審判の判定により後味の悪い試合となりましたが、ジョホールは開幕から14連勝、トレンガヌの連勝は2で止まっています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第14節途中)

順位チーム勝点
1JDT1414005425242
2SEL14101337152231
3KDA1491429181128
4SRP148422314928
5SAB1473430201024
6KLC146532218423
7TRE146262018220
8PDRM146171418-419
9NSE144642227-518
10PEN1443717210-415
11PRK142311932-229
12KLU1413101435-216
13KCH13139726-196
14KEL1311111551-364
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第14節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)155628714
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)133224314
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)94218110
4ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ステファノ・ブルンド(SRP)82713013
6ファイサル・ハリム(SEL)72217614
クパー・シャーマン(SRP)72213314
8パク・テス(SAB)6188013
パウロ・ジョズエ(KLC)63318314
チェチェ・キプレ(KLC)6167113
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ
第13節結果とハイライト映像(2)-首位ジョホールが開幕から13連勝で独走体制に、PDRMは鈴木ブルーノのゴールで2位スランゴールを撃破、3位パハンもKLシティに敗れる

 今季のマレーシアスーパーリーグ前半戦最後となる第13節の5試合が6月3日と4日に行われています。首位のジョホール・ダルル・タジムは前半戦を全勝の首位で折り返す一方で、2位のスランゴールは10位のPDRMに0-1で、さらに3位のスリ・パハンも7位のKLシティに1-2といずれも敗れ、首位ジョホールと2位スランゴールとの勝点差が今季最大の11まで開き、ジョホールのリーグ10連覇が早くもちらついています。
 なおマレーシアスーパーリーグは次節第14節を終えると、FIFA国際マッチカレンダーとなるため、2週間の中断期間に入ります。
(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年6月3日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:1,917人
ペラ 0-3 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:アディサック・クライソーン(6分)、ソニー・ノルデ(16分)、ジョーダン・ミンター(74分)
🟨ペラ:スハイミ・チェ・ハリム
🟨トレンガヌ:リリドン・クラスニキ
MOM:ソニー・ノルデ(トレンガヌ)

 複数年かけての若手育成を理由に、昨季終盤に元マレーシアU16代表監督で、ドイツ1部バイエルン・ミュンヘンではユースコーチを長年務めたリム・ティオンキム氏を監督に据えたペラは、2勝3分9敗となったところで、突然その方針を変更してリム監督を解任、昨季監督を務めながら結果を出せなかったユスリ・チェ・ラーU21監督を昇格させる愚行を改革を行ったペラ。入れ替え戦のない今季こそ、目の前の結果に拘らず育成をする良い機会を自ら手放しています。そんなペラが相手では、今季は安定した戦いができていないトレンガヌですが、背中を痛めて欠場が続いていたアディサック・クライソーンが復帰初戦でゴールを決めるなど、難なく勝利しています。
 ペラのホームで行われたこの試合の観衆は1,917人と今季のホーム7試合中でイスラム教の断食月ラマダン中に開催されたヌグリスンビラン戦の1,147人に次ぐ少なさでした。開幕戦では15,000人以上を集めたペラですが、チームの迷走状態にサポーターも困惑しているのかも知れません。

2023年6月3日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:4,115人
PDRM 1-0 スランゴール
⚽️PDRM:鈴木ブルーノ(61分)
🟨PDRM:サフィー・アフマド、ナビル・ラトピ、チョー・ミン・ウー、マーカス・マコーレー、ファクルル・アジム
🟨スランゴール:ファイサル・ハリム
MOM:鈴木ブルーノ(PDRM)

 10位のPDRMが2位のスランゴールを破り9位に浮上
 ともにMBPJスタジアムを本拠地とする両チームの対戦は、この試合まで2連勝中のリーグ2位スランゴールが有利というのが戦前の予想でした。蓋を開けてみると、その予想通り、試合開始からスランゴールがPDRMを圧倒し、前半の多くの時間はPDRMサイドでプレーされました。しかしPDRMは190cmを超えるDFジェイムズ・オクウォサを中心に、リーグ得点2位の10ゴールを挙げているスランゴールのエイロン・デル・ヴァイエにシュートをわずか1本しか打たせないなど、勝負どころでは厳しい守備でスランゴールに得点を与えません。しかし、その一方で前線にいる鈴木ブルーノ選手は孤立する場面が多く見られ、PDRMは好機がほとんどないまま前半を終了しました。
 後半に入ってもスランゴール優勢な展開は変わらなかったものの、PDRMは前半以上に厳しい守備とボールを奪ってからのカウンターを見せるなど、前半程は押し込まれる展開とはなりませんでした。そして61分、マーカス・マコーレーからのパスを受けた鈴木選手がそのボールを胸で落としてそのままシュート!これが決まってPDRMが先制します。その後はスランゴールが焦り始める中、時計を進めたいPDRMの選手があちこちで倒れるなどする内に試合終了。PDRMが今季5勝目を挙げると共に順位を一つ上げて9位に浮上。一方のスランゴールは2位のままも、この日も勝利した首位ジョホールとは勝点差11となりました。 

2023年6月3日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:4,115人
ペナン 0-2 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:ラヴェル・コービン=オング(19分)、フェルナンド・フォレスティエリ(85分)
🟨ペナン:ザーリル・アズリ、ラファエル・ヴィトール、ソニー・サアド、A・ナマテヴァン、アズミール・アリス
🟨ジョホール:レアンドロ・ヴァレスケス、アフィク・ファザイル、ベルグソン・ダ・シルヴァ、ナサニエル・シオ、フアン・ムニス
MOM:マシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジム)

 首位ジョホールはこの試合もクリーンシートで勝利し、前半戦13試合の失点がわずか1。その一方で得点は51で1試合平均がおよそ4点で得失差がなんと50点、アマチュアの中に1チームだけプロがあるような状況です。なお敗れたペナンは3試合連続の零封負けで、PDRMと代わって10位に後退しています。

2023年6月4日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
観衆:325人
クチンシティ 1-1 ヌグリスンビラン
⚽️クチンシティ:ザールル・ニズワン(8分)
⚽️ヌグリスンビラン:カサグランデ(34分)
🟨クチンシティ:ラメシュ・ライ、イスカンダル・シャー、
🟨ヌグリスンビラン:なし
MOM:ミハイロ・ヨヴァノヴィッチ(クチンシティ)

 チーム今季7得点目となるザールル・ニズワンの今季初ゴールでホームのクチンシティが1-0とリードしますが、ヌグリスンビランはエースのカサグランデがクチンシティのDF2人に挟まれながらも同点ゴールを決めて前半は1-1で終了します。後半はヌグリスンビランが押し気味に試合を進めるも、両チームともゴールを破れず、試合は引き分けに終わっています。
 クチンシティは前節のKLシティ戦に続く勝点1を挙げています。
 クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

2023年6月4日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:4,804人
スリ・パハン 1-2 KLシティ
⚽️パハン:ステファノ・ブルンド(58分PK)
⚽️KLシティ:チェチェ・キプレ(5分)、パウロ・ジョズエ(76分)
🟨パハン:デヴィッド・ローリー、ファドリ・シャス、
🟨KLシティ:ライアン・ランバート、セバスチャン・アヴァンジーニ
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティ)

 前節の今季無敗チーム同士の対戦となったジョホール戦に敗れて今季初黒星を喫したパハンがこの試合でも敗れて2連敗しています。
 開始5分にチェチェ・キプレのゴールで先制したKLシティが1-0でリードして前半を終えると、アザム・アジー、エゼキエル・アグエロの両司令塔を欠くスリ・パハンは決めてを欠くものの、58分にトップチームデビューとなったKLシティのGKアジム・アル=アミンがゴール前へのクロスを捕球ミスし、さらにそのボールに詰めていたパハンのアズリフ・ナスルルハクを倒してしまい、パハンがPKを得ます。このPKをステファノ・ブルーノが決めて、パハンが同点に追いつきます。しかし、最後に笑ったのはKLシティでした。75分にパハンのペナルティエリアの外で得たフリーキックをキャプテンのパウロ・ジョズエが直接ゴール!この1点を守り切ったKLシティが勝利し、順位をひとつ上げて6位となっています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第13節終了)

順位チーム勝点
1JDT1313005115039
2SEL1391330141628
3SRP137421911825
4KDA138142618825
5SAB1373330191124
6KLC136432117422
7TRE136251915420
8NSE134631923-418
9PDRM135171318-516
10PEN134271620-414
11PRK132310929-209
12KLU131391328-156
13KCH13139726-196
14KEL1311111551-364
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第13節終了-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)145126713
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)102519113
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)8371619
4ウィリアン・リラ(KDA)73410213
5クパー・シャーマン(SRP)61910213
ステファノ・ブルンド(SRP)62211012
ファイサル・ハリム(SEL)62116413
パク・テス(SAB)6168012
パウロ・ジョズエ(KLC)63117213
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC