2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ試合結果とハイライト映像<br>・ジョホール、サバ、クチン、スランゴールといずれもアウェイチームが先勝

10月17日から18日にかけて、2025/26マレーシアFAカップの準々決勝1stレグの4試合が行われ、1stレグでは、勝利したのはいずれもアウェイチームというハプニングが起きています。またこの4試合中、日本人選手4名が3試合に出場しています。なお2ndレグは10月28日と29日に予定されています。

試合のハイライト映像はいずれもマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。


ジョホールはペナン相手に辛勝

FAカップ4連覇がかかるジョホールは、1回戦では3部のマレーシア大学相手に3失点を喫するなど「らしくない」試合を経て準々決勝に進出しています。この試合でもリーグ戦では今季1勝のペナンに一度は同点とされるなど、ジョホールにとっては「らしくない」試合展開でしたが、AFCアウォーズに出席したアリフ・アイマンを欠く中、MFアヘル・アケチェのFAカップ初ゴールで逆転して逃げ切っています。

この試合では、今季はケガで出遅れていたマシュー・ディヴィーズが今季初出場を果たしています。昨季はジョホールで29試合、マレーシア代表でも6試合に出場したディヴィーズ選手は、6月のアジア杯予選ベトナム戦を最後に試合出場がなく、8月に開幕した今季リーグ戦でもこれまで出場がありませんでした。しかしこの試合では先発してフル出場するなど完全復活を果たしています。

ペナンFCの鈴木ブルーノ選手は90+3分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月17日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 1-2 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ペナン:アディブ・ラオプ(36分)
⚽️ジョホール:オスカー・アリバス(6分)、アヘル・アケチェ(55分)
MOM:アヘル・アケチェ(ジョホール・ダルル・タジムFC)


今季未勝利のサバが先勝

過去3シーズン連続3位のサバは、リーグ戦では6試合を終えて3分3敗の12位と絶不調。いずれもマレーシア代表選手のFWダレン・ロック、DFドミニク・タンを筆頭に主力選手がケガによる長期離脱しており苦しいシーズンが続いています。一方のクランタンは昨季は最下位ながら、今季は既に昨季の勝星と同じ2勝を挙げて7位につけ、勢いづいています。

しかしこの試合では代表DFダニエル・ティンが8月以来となる先発に復帰したサバが、この試合のMOMに輝いたGKダミエン・リムの好セーブを連発して僅差の試合に勝利しています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月17日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC 1-2 サバFC
⚽️クランタン:アブドゥル・シセイ(18分)
⚽️サバ:ジェフリ・フィルダウス・チュウ(13分)、アイディン・ムヤギッチ(45分)
MOM:ダミエン・リム(サバFC)


スランゴールが今季ホーム無敗のヌグリ・スンビランを撃破

今季のリーグ戦では常安澪選手の2発でスランゴールに逆転勝ちするなど、ホームでは3勝1分と今季無敗のヌグリ・スンビラン。チームの好調は観客動員にも現れており、この試合もほぼ満員の2万5000人を集めています。

これに対し、今季の監督解任リーグ第1号となる喜熨斗勝史監督を9月下旬に解任し、クリストフ・ギャメル氏を暫定監督に据えたスランゴールは、リーグ上位6チームの中では、唯一、既に3敗を記録するなど不安定な戦いが続いています。

そんな両チームの対戦は、10月9日のアジア杯予選ラオス戦では、ピーター・クラモフスキー監督就任以来初となるゴールを挙げ、続く10月14日の同じくアジア杯ラオス戦でも2試合連続ゴールを挙げたファイサル・ハリムがその勢いのまま、この試合でも躍動、2ゴールを挙げる活躍を見せ、スランゴールを勝利に導いています。

ヌグリ・スンビランFCの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。また常安澪選手は60分から出場し、試合終了までプレーしています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月18日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ
ヌグリ・スンビランFC 0-4 スランゴールFC
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム2(34分、63分)、クリゴール・モラエス(46分)、ザック・クラフ(56分)
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴールFC)


ロナルド・ンガの2発などでクチン・シティが快勝

リーグ戦3位のトレンガヌと同4位クチン・シティは、この試合が今季初顔合わせ。好調チーム同士の対戦ということもあり、接戦が予想されましたが思いの外大差がついてしまいました。

ホームのトレンガヌは好機は作るもののシュートまで結びつけることができず、逆にクチン・シティは少ないチャンスを生かし、また相手のミスにも乗じて得点を重ねました。クチン・シティは、エースのロナルド・ンガはPKを含む2ゴール、また前所属のスランゴールでは5シーズンで5ゴールのダニアル・アスリが、この日のゴールで今季通算6ゴールと覚醒しています。

クチン・シティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月182日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 1-4 クチン・シティFC
⚽️トレンガヌ:ヤン・マベラ(68分PK)
⚽️クチン:ロナルド・ンガ3(9分、13分PK、53分)、ヤン・マベラ(82分OG)
MOM:ロナルド・ンガ(クチン・シティ FC)

10月17日のニュース:<br>・マレーシアサッカー協会が出場停止処分のヘリテイジ帰化選手7名についてFIFAに正式控訴<br>国籍偽装疑惑関連-ネパールがアジア杯マレーシア戦の無効化をFIFAに要請<br>・国籍偽装疑惑関連-かつて東南アジアを揺るがした「東ティモール事件」との類似点<br>・クラモフスキー監督の協会批判発言を巡り処分の可能性が浮上

マレーシアサッカー協会が出場停止処分のヘリテイジ帰化選手7名についてFIFAに正式控訴

マレーシアサッカー協会(FAM)は、7人のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)に関する書類問題について、FIFAに正式な控訴手続きに必要な書類をを提出したことを明らかにしています。

FAMのユソフ・マハディ会長代行によると、FAMの法務部門が提出した書類はFAMが任命したマレーシア国外の弁護士らによる「専門家チーム」によって作成されたということです。

「マレーシア代表チームの運営陣はプロフェッショナルな組織であり、世界的なレベルでサッカーに関する規定に詳しい国際的な弁護士ともつながりを持っている。経験豊富な法律専門家のネットワークが、FAMの控訴手続きを支援してくれている。控訴については慎重かつ丁寧に準備を進めている。拙速に進めたわけでも、圧力の下で行ったわけでもなく、我々は有利な判断を得るために万全を期しています」と述べています。

今回の控訴手続きは、10月6日にFIFAがその処分決定理由を公表した、FAMおよび7人のヘリテイジ帰化選手に対する懲戒処分に関するものです。FIFAの規律委員会は9月26日に、ガブリエル・パルメロ、ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、イマノル・マチュカ、ジョアン・フィゲイレド、ジョン・イラサバル、エクトル・ヘヴェルの7選手に対し、公式文書の偽造および改ざんに関する規定(FIFA規律規定第22条)違反で処分を科したことを発表し、FAMに35万スイスフラン(およそ6600万円)の罰金を、7選手にはそれぞれ2,000スイスフラン(およそ38万円)の罰金と、12か月間に及ぶサッカーに関連するあらゆる活動の禁止処分を命じています。

FAMはこれまで、登録時の書類不備は、FIFAに書類を提出した事務職員による「軽微なミス」によるもので、意図的な改ざんではないと主張しています。


国籍偽装疑惑関連-ネパールがアジア杯マレーシア戦の無効化をFIFAに要請

ネパールサッカー協会(ANFA)は、対戦相手が資格のない選手を起用したとして、今年3月25日に行われたアジア杯2027年大会3次予選でマレーシアに0対2で敗れた試合を無効にするようFIFAに正式に要請したというニュースを、AFP通信社が配信しています。

AFP通信社配信の記事によると、マレーシアのジョホールで行われたこの試合では、国籍偽装疑惑で処分を受けた7名のヘリテイジ帰化選手の一人、MFエクトル・ヘヴェルがマレーシア代表としてプレーし、しかも先制ゴールを決めており、マレーシア代表としての出場資格を持たないへヴェル選手が出場したことをネパールサッカー協会が問題視した結果だということです。

「試合に出場資格のない選手が出場していた件についてFIFAに連絡を取った。したがって、結果は覆される必要がある」と、ネパールサッカー協会のインドラ・マン・トゥラダールCEOと発言しています。

FAMは故意に不正行為をしたことを否定していますが、FIFAはその調査の結果として、7選手誰一人ともその親や祖父母がマレーシア出身でないと発表しています。

ネパールは現在、アジア杯予選F組第4節を終えて勝点0で最下位となっています。


国籍偽装疑惑関連-かつて東南アジアを揺るがした「東ティモール事件」との類似点

マレーシアのヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑問題は、東南アジアサッカー界でかつて起こった、いわゆる「東ティモール事件」との類似が指摘されています。

この「東ティモール事件」の発端は、2015年10月8日に行われたW杯2015年大会アジア2次予選のパレスチナ戦で、かつてはボルトガルの植民地だった東ティモールの先発11人のうち7人が同じポルトガルの植民地だったブラジル出身のヘリテイジ帰化選手(東ティモールにルーツを持つ帰化選手)だったことでした。

この試合後、パレスチナサッカー協会はFIFAに対し、この試合に出場した東ティモールのヘリテイジ帰化選手が代表戦に出場する資格がないとして不服申し立てをおこないました。これを受けたアジアサッカー連盟(AFC)が調査を行った結果、ブラジル出身の12名のヘリテイジ帰化選手が偽造された東ティモールの出生証明書または洗礼証明書で登録されていたことが判明しました。「不正選手の出場に対してはゼロ容認政策を取る」ことを明言していたAFCは、W杯2015年大会予選での不正選手が出場した東ティモールの全29試合の結果を無効にするとともに、アジア杯2023年大会予選からの追放も発表しました。

東ティモールサッカー協会は当初、この処分に反発しましたが、最終的にAFCとFIFAの処分を受け入れ、東ティモールサッカー連盟には2万米ドルの罰金とのアマンディオ・サルメント事務局長(当時)は9000米ドルの罰金と3年間のサッカー活動関与停止処分を受けました。


今回のマレーシアの国籍偽装疑惑については、マレーシアサッカー協会(FAM)も同様の試練に直面しています。ユソフ・マハディFAM会長代行はFIFAへの控訴を行った際には、「FIFAの決定には驚いたが、国内法のもとで帰化が認められた選手であり、控訴で誤解が解かれると信じている」と述べています。なお、東ティモールの例では制裁確定までに2年近くを要した上、その後、長期間に渡り国際大会から遠ざかることになり、信頼回復に数年を要したことを考えると、FAMの控訴の行方が気になります。


クラモフスキー監督の協会批判発言を巡り処分の可能性が浮上

マレーシアサッカー協会(FAM)は、ピーター・クラモフスキー監督の最近の発言が協会への批判と見なされたことを受け、FAMの懲戒委員会に対応を委ねると発表しています。

クラモフスキー監督本人から謝罪を受け入れたと述べたユソフ・マハディFAM会長代行は、「クラモフスキー監督は、もしかしたら、口を滑らせたか、あるいは意図しないミスだったのかも知れない。しかしFAMは明確な規約のもとで運営されており、全員がそれを尊重すべきだ」と強調し、適正な手続きを踏む必要があるとして、懲戒委員会に審議と決定を委ねると述べています。

クラモフスキー監督は10月9日にラオスのヴィエンチャンで行われたアジア杯2027年大会3次予選ラオス対マレーシア戦の試合後、「FIFAで起こっている全ての混乱は事務的なミスが原因であり、それは全てFAMのせいだ」と述べて、今回のヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑の根源をFAMと非難していました。

しかし10月14日のアジア杯3次予選マレーシア対ラオス戦の試合前の会見では、FAMを軽視する意図は全くなかったと述べて、自身の発言で不快感を与えたことを謝罪していました。

ユソフ・マハディFAM会長代行は、「「クラモフスキー監督の発言後、迅速な対応を求める声もあったが、FAMは代表チームの利益を何よりも優先しました。(ラオスとの)試合が控えており、監督や選手たちに不必要な緊張や不快感を与えず、チームの調和を保ち、準備がスムーズに進むようにしたいと考えていた」とも述べて、FAMがクラモフスキー監督の非難に直ちに反応しなかったのは、代表チームの集中を優先したと説明しています。

アジア杯予選2027予選:ラオスに逆転勝ちのマレーシアは連勝記録を4に伸ばす

10月14日にAFCアジア杯2027年大会3次予選F組の第4節が行われています。なお10月9日に行われた前節第3節では、主力選手のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)7名が国籍詐称疑惑でFIFAから12ヶ月間の出場停止処分を受けてから初の試合でしたが、苦しみながらもホームのラオスを3-1で破って予選3試合全勝としています。

マレーシアのピーター・クラモフスキー監督は、前節のラオス戦の先発XIからナズミ・ファイズ(ジョホール・ダルル・タジム)に代えてファイサル・ハリム(スランゴール)を左WGに起用した以外は変化なし。なおファイサル・ハリムはクラモフスキー監督就任以来、初の先発となっています。以下がこの試合の先発XIですが、一緒に写っているファイサル選手は前回のアジア杯本大会の韓国戦では引き分けとなる同点ゴールを決めるなど、代表の主力として活躍していましたが、昨年5月に顔や手足に酸攻撃を受け、皮膚の移植手術を受けて以来の先発復帰となっています。

7名のヘリテイジ帰化選手に対する出場停止処分発表後、初のホーム開催となったこの試合は私も現地観戦しましたが、試合会場となったブキ・ジャリル競技場のあるクアラ・ルンプール市内が豪雨に見舞われたためか客足も悪く、試合開始時点ではスタンドの半分どころか三分の一程度しか埋まっていませんでした。

この試合も5日前の試合同様、開始からマレーシアが優勢に試合を進めますが、ラオスは全員が自陣に戻る守備的な布陣で応じます。ボールを保持しながら、シュートまでには至らないマレーシアは、前の試合でも先発しながら無得点に終わったロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジム)が数少ない好機ではなったシュートがいずれも枠外となるなど嫌な雰囲気となります。所属するジョホールでは今季出場2試合、出場時間37分のモラレスを先発起用しなければならない現在の代表チーム状況は、まさにヘリテイジ帰化選手の出場停止処分の影響が出ています。

そうする内に、チャンターウィサイ・クトーンフォンが放ったミドルシュートが、それをクリアしようとしたDFシャールル・サアドの頭に当たって角度が変わり、意表をつかれる形になったGKシーハン・ハズミが反応できずゴール。ラオスがチャンターウィサイ・クトーンフォンの代表初ゴールでリードします。

まさかの後手に回る形になったマレーシアは26分にはアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)のコーナーからラヴェル・コービン=オング(ジョホール・ダルル・タジム)がヘディングシュートを放つもラオスGKコブ・ロックパティフの正面となり、さらに前半終了間際にはモラレスがGKと1対1となるもシュートはまたも枠外に外れ、前半はラオスが1点リードで終了します。

後半に入ってもクラモフスキー監督は動かず、ラオス側ハーフで進むも得点が取れないまま試合が進む中、59分にマレーシアはラオスペナルティエリアのすぐ外でファイサル・ハリムが倒されてフリーキックを得ます。これをファイサル選手自身が直接決めて、ついにマレーシアが追いつきます。そしてその6分後にはペナルティエリア内でアリフ・アイマンとのパス交換からロメル・モラレスが身体を反転させてシュート。モラレスの2024年9月以来となる代表戦8試合ぶりのゴールでついにマレーシアがラオスを逆転します。

さらに70分には、アリフ・アイマンのコーナーキックをディオン・クールズ(セレッソ大阪)が落としたボールを再びモラレス選手が押し込み、さらにリードを広げると、79分にはゴール前に上がったボールをラオスの17歳DFカムナン・タンパスットがクリアしようとしたボールがオウンゴールとなってしまいます。

その後はファイサル選手と交代で出場のパウロ・ジョズエ(クアラ・ルンプール)がゴール前のこぼれ球を押し込んでダメ押しの5点目を決めるなど、この日の試合は終わってみれば大勝、F組で唯一全勝を守ったマレーシアが首位を守っています。


AFCアジア杯3次予選F組第4節
2025年10月14日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
マレーシア 5-1 ラオス
⚽️マレーシア: ファイサル・ハリム(59分)、ロメル・モラレス2(65分、70分)、 カムナン・タンパスット(79分OG)、パウロ・ジョズエPaulo Josue
⚽️ラオス:チャンターウィサイ・クトーンフォン(19分)


なおF組のもう一試合はベトナムのホーチミンで行われ、ベトナムとネパールが対戦しています。悪天候により試合開始が30分ほど遅れて始まった試合は、開始5分にネパールDFスマン・シュレスタのオウンゴールでベトナムがリードすると、結局これが決勝点となり、ベトナムがそのまま逃げ切っています。

なおこの試合はネパールのホームマッチですが、ネパールが試合の開催を予定していたダサラス・スタジアムがAFCの求める国際試合開催開催基準に合わないことから、ベトナムでの開催となっています。

AFCアジア杯3次予選F組第4節
2025年10月14日@トンニャット・スタジアム(ホーチミン、ベトナム)
ネパール 0-1 ベトナム
⚽️ベトナム:スマン・シュレスタ(5分オウンゴール)

F組の次節第5節は11月18日に行われ、マレーシアはネパールとブキ・ジャリル国立競技場で(ただし前述のベトナム戦同様ネパールのホームゲームとして開催)、またベトナムはラオスとのアウェイマッチでそれぞれ対戦します。

アジア杯2027年大会3次予選F組順位(第4節終了)

順位チーム勝点
1マレーシア44001411312
2ベトナム43019549
3ラオス4103314-123
4ネパール400428-60

10月14日のニュース:<br>・クラモフスキー代表監督が自身の発言をマレーシアサッカー協会に謝罪-協会軽視の意図は否定<br>・マハティール元首相-「国籍偽装疑惑は『法を超越する』」権力者によって引き起こされたスキャンダル」

クラモフスキー代表監督が自身の発言をマレーシアサッカー協会に謝罪-協会軽視の意図は否定

国籍偽装疑惑によりFIFAから処分を受けたのはマレーシアサッカー協会(FAM)の落ち度であると、FAMを公の場で批判していたマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督が一転、FAMに謝罪しています。

10月9日に行われたアジア杯2027年3次予選のラオス対マレーシア戦後の会見で、「FIFAとの間で生じている全ての混乱の原因はマレーシアサッカー協会(FAM)であり、イスマイル殿下ではない。私はマレーシア国民に明確なメッセージを送りたい。殿下なしではこの国のサッカーは『終わってしまう』。」と述べるなど、自身の雇用主が誰なのかを忘れた物言いのクラモフスキー監督に対し、その発言があまりにも無礼であるとの指摘がメディアやSNSで上がっていました。

クラモフスキー監督は、本日10月14日に行われるアジア杯2027年3次予選のマレーシア対ラオス戦前の会見の席上で、10月8日の自身の発言についてFAMを非難する意図はなかったと謝罪しています。さらに自身が集中するべきはサッカーであり、代表チームを揺るがしている事務方の混乱ではないとも述べています。

その一方で「実際のところ、FAM自体が事務手続き上のミスがあったこと発表しており、自分はそのことについて触れただけである。」と述べるなど謝罪が本意でないことも仄めかしています。

さらに現在の代表チームはピッチ外の「雑音」を遮断して、10月14日の試合に向けて集中していると述べ、自身の発言によって自分が嫌われても、自分のなすべき仕事を続け、この国のサッカーを少しでも前に進めたいと話しています。


マハティール元首相-「国籍偽装疑惑は『法を超越する』」権力者によって引き起こされたスキャンダル」

国籍偽装疑惑についてはマレーシアの多くの政治家がさまざまな発言をしていますが、元首相のマハティール・モハマド氏は「ヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)の国籍偽装疑惑の裏には『法を超越する』権力者が存在する」という自説を展開しています。

マレーシア語紙シナル・ハリアンのポッドキャスト番組に出演したマハティール元首相は、その根拠が疑わしい状況にもかかわらず7名の選手に国籍が付与された事件には当惑していると述べています。

「(ヘリテイジ帰化選手の祖父母の一人の)本当の出生地はアルゼンチンであるにもかかわらず、(マレーシアの)ペナンと書いた書類を提出したが、それは全くの嘘である。」と述べたマハティール元首相は、それは故意に不正を働いた行為であり、マレーシアには、そういった不正行為などの悪事を働いたとしても、その責任を回避できるほどの権力を持つ人物がいると断言しています。

マハティール元首相は、一部の人物に特定して法が執行されているパターンがあるとして、悪事を働いていないにもかかわらず、捜査対象となる人物がいる一方で、悪事を働いても何も問われない人物もいる。つまりその人物が悪事を働いても、その人物が持つ権力は強大なので決して捕まることはない。(国籍偽装の調査をFIFAに求めたとされる)ベトナムサッカー協会が指摘しているのもおそらくこの点だろう。」

「(FIFAのような)国際的な組織を相手に嘘をつき、文書を偽造するような行為は非常に強い影響力を持つ人物、つまり権力を持つ人物にしかできない。そしてその影響力のせいで、今回のようなことをしても逃げ切れると考えているに違いない。しかし残念ながら、その人物が誰かを特定することはできない。」とも話しています。


「残念ながら、その人物が誰かを特定することはできない」としているマハティール元首相ですが、首相在任時代にはマレーシア国王やスルタンに対する批判を繰り返し、最終的には憲法を改正して国王やスルタンの政治的権利の縮小に成功しています。その際には特にジョホール州のスルタン(現国王スルタン・イブラヒムの父君)とは対立したことが知られていることから、この記事でマハティール元首相が「法を超越している」権力者と読んでいるのは、現在のヘリテイジ帰化選手による代表強化方針の中心的人物でもある「あの方」を指しているに違いないと、多くのマレーシア人は推測しています。

10月13日のニュース:<br>・国籍偽装疑惑問題-この問題に関わった「代理人」の役割とは?<br>・帰化選手ジョーダン・ミンターの代表デビューは14日のラオス戦?<br>・サッカー協会を管轄する青年スポーツ相は自身の過去の投稿に反論

シン・テヨン監督続投だったら結果はどうだったのだろう。

東南アジア勢最後の砦として2026W杯アジア4次予選まで駒を進めていたインドネシアは、初戦のサウジアラビア戦、そして昨日のイラク戦に連敗して敗退が決まりました。

前回の2022年W杯予選では2次予選でマレーシアに2戦2敗、しかもグループ最下位で敗退したインドネシアを指揮していたシン・テヨン監督。しかしかつての宗主国オランダ出身のヘリテイジ帰化選手(インドネシアにルーツを持つ帰化選手)による積極的な代表強化策もあり、その後は東南アジアの強豪に成長し、地域2強のタイやベトナムを脅かす存在になりました。シン監督率いるインドネシアは、2026年W杯3次予選では初戦でサウジアラビア、第2節ではオーストラリア、第3節ではバーレーンといずれも格上相手に引き分けると、中国、日本には敗れたもの、その後はサウジとの再戦で勝利するなど、4次予選進出が見えかけてきたところで、インドネシアサッカー協会のエリック・トヒル会長は「欧州出身のヘリテイジ帰化選手とのコミュニケーションに難あり」との理由から今年1月にシン監督を突如解任し、カリブ海の小国キュラソー代表監督として1年ほどしか経験のないオランダ出身のパトリック・クライファート氏を監督に据えました。

その後クライファート監督は3次予選の残り4試合を2勝2敗で終え、通算成績3勝3分4敗として4次予選へと駒を進めました。しかし4次予選ではサウジアラビアに2−3、イラクにも0−1と破れて予選敗退が決まっています。なおイラクのグラハム・アーノルド監督は、3次予選ではインドネシアが引き分けたオーストラリアの監督で、インドネシアとの引き分け後に6年以上勤めた監督を辞任し、今年5月からはイラクの監督に就任しており、いわばジャカルタの仇をジェッダで取られた形となりました。

それでも東南アジアのどの国も経験していないほどW杯本大会に近づいたインドネシア代表は、現在のヘリテイジ帰化選手による強化策を続けていくのか、クライファート監督の去就はどうなるか、などまだまだ話題を提供してくれそうです。


国籍偽装疑惑問題:この問題に関わった「代理人」の役割とは?

FIFAによって国籍偽装と認定されたマレーシア代表でプレーする7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)についてマレーシアサッカー協会(FAM)は、FIFAに書類を提出する際に職人による「軽微なミス」があったと発表しました。そのミスとは、FAMの職員がFIFAに提出した書類は「代理人」から提供された書類であり、本来提出するべき書類とは別の書類を提出したことだったと説明しています。

英字紙スターがこの「代理人」について深掘りする記事を掲載し、記事の中では、FAMの一件とは無関係のマレーシア国内で「代理人」業務を勤めている人物が匿名を条件にインタビューに答えています。

この人物によると代理人は、帰化の条件を満たす選手を探し出すスカウティングや、その選手とマレーシアサッカー協会をつなげることが主な業務で、代理人自身が帰化に関する書類作成を行ったり、帰化申請を代理人自身で行うといった煩雑な事務仕事は行わないと話しています。

「以前、自分が代理人を務めていた選手が帰化申請を行った際には、選手の代理人である自分ではなく、その選手が所属していたクラブが最初から最後まで手続きを進め、自分が関与する余地はなかった。」

「今回の7選手に関しては、どこかの代理人がまずこの7選手に声をかけた可能性がある。そしてその代理人が選手らとFAMを繋ぎ、その際にこの代理人がFAMに対して何かの書類を提出したか、帰化申請についての協議を始めた可能性がある。しかし、FIFAへの書類提出は代理人ではなく、マレーシアサッカー協会が行なっているはずだ。」

「選手がある国の代表としてプレー際には、選手とその国との「明確なつながり」を示す要件として、1)その国に少なくとも5年の居住歴を有していること2)その国生まれの親もしくは祖父母がいることのいずれかをFIFAは挙げている。なお選手に国籍を与える権利自体は当該国にあり、FIFAが介入するのはその選手がFIFAが規定する代表選手としての要件を満たしているかどうかを審査するときだけだ」とこの代理人は説明しています。


この記事もそうですが、問題になっているのはヘリテイジ帰化選手7名がマレーシア国籍を持っているかどうかではなく、FIFAに提出された書類がこの7選手とマレーシアとの明確なつながりを示すことができなかったということ。そうなるとこの7選手はマレーシア国籍は得たものの、マレーシア代表としてプレーできないことになります。その一方で今回処分を受けたヘリテイジ帰化選手の母国であるアルゼンチンやブラジル、スペインは二重国籍を認めていたり、元の国籍への回復が不可能ではないようなので、用がなくなればマレーシア国籍を放棄してしまうかも知れません。

帰化選手ジョーダン・ミンターの代表デビューは14日のラオス戦?

国籍偽装疑惑により12ヶ月の出場停止処分を受けている7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツがある帰化選手)とは別に、今年に入ってマレーシア国籍を取得したのがクチン・シティでプレーするガーナ出身FWジョーダン・ミンターです。

今年8月29日にマレーシア国籍を取得したミンター選手は、2020年からマレーシアリーグでプレーしており、ヘリテイジ帰化選手としてではなく、マレーシアでの5年の居住歴を有することでマレーシア代表としてプレーする資格を得たはずでした。

マレーシア国籍を取得したことで、今月のFIFA国際マッチカレンダーで行われているアジア杯2027年大会予選に向けたマレーシア代表にも召集されているミンター選手ですが、10月9日に行われたラオスとの試合ではベンチ外でした。前述のヘリテイジ帰化選手7名を欠くマレーシアにとっては、国内リーグ51試合で27ゴール4アシストの成績を残しているミンター選手は貴重な戦力ですが、ベンチ外だった理由はマレーシア代表として試合に出場するための書類の手続きが終わっていないことだったことが明らかになっています。

マレーシアのピーター・クラモフスキー監督は詳しい状況は把握していないとしながらも、明日10月14日の試合前までに書類の手続きが終われば、ラオス戦ではベンチ入りだろうと説明しています。


サッカー協会を管轄する青年スポーツ相は自身の過去の投稿に反論

マレーシアサッカー協会(FAM)を管轄するマレーシア政府青年スポーツ省のハンナ・ヨー大臣は、かつて自身が行なった帰化選手に関する投稿の内容を批判する一部の声に対して反論しています。

ヨー青年スポーツ相は、野党議員時代の2022年に英国生まれのリー・タックがマレーシアリーグで5年間プレーしたことを受けてマレーシア国籍を取得した際、マレーシア国内に住む「国籍を持たない子供」による国籍申請がなかなか認められない点を挙げて当時のマレーシア政府を批判。「国籍を持たない子供たちは自分たちの存在に注目されるために全員がサッカーをしなければならないのか」といった皮肉も交えて政府の対応が不公平であり不誠実であるという批判を展開していました。

しかしヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑に対してFAMを擁護するヨー青年スポーツ相に対して、SNS上ではこの3年前の投稿を引き合いに出し、その変遷を非難する声が上がっています。

これに対してヨー青年スポーツ相は、現在のアンワル・イブラヒム首相率いる政府となってからは、投稿を行った当時と状況は全く変わっていると説明しています。現在の政府が発足した2023年以来、現在までにそれまで未対応となっていた5万件近くの国籍申請手続きを処理していると説明、かつての政府がこれほど多くの国籍申請手続きに対応してきたことはないとしています。

さらにアンワル政権下では憲法も改正され、マレーシア国外でマレーシア人の母親に生まれた子どもにはマレーシア国籍が自動的に付与されるようになった(注:憲法改正以前までは父親がマレーシア人の場合のみ、その子どもにマレーシア国籍が自動的に付与されていた)ことも説明したヨー青年スポーツ相は、事実が何かを見極めることが現代のデジタル社会では重要だと述べ、過去の投稿を元に現政権批判を行う一部のネットの声に対し、それを鵜呑みしないようなリテラシーが必要であると、自身のSNSで反論しています。

アジア杯2027予選:ラオスに苦戦も3連勝でグループ首位堅守

10月9日にアジア杯2027年大会3次予選F組第3節が行われ、グループ首位でFIFAランキング123位のマレーシアはアウェイで同185位のラオスと対戦しています。

9月26日にFIFAが発表した国籍偽装疑惑による出場停止処分により主力のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)7名を欠くマレーシアは、前節のベトナム戦からは大幅なメンバー変更を余儀なくされています。(左は今年6月のベトナム戦の先発XI、右はこの試合の先発XI)11年ぶりに勝利を挙げたベトナム戦の先発XIの内、この日のラオス戦にも先発しているのはGKシーハン・ハズミ、MFアリフ・アイマン、DFラヴェル・コービン=オング(いずれもジョホール・ダルル・タジム)、MFノーア・ライネ(スランゴール)、DFディオン・クールズ(セレッソ大阪)の5名です。

特にベトナム戦で代表デビューし、いきなり先制ゴールを挙げたジョアン・フィゲイレド(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてやはりこの試合が初の代表戦ながら2点目を挙げたロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)のFW2名を欠くこの日の布陣は火力不足となることが予想されました。

ピーター・クラモフスキー監督は、出場停止となっているオルガドに代えてロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジム)を起用、ジョホールではチームメートのアリフ・アイマンとともに2トップとし適用しています。中盤は出場停止となっているフィゲイレドに代わりにMFを一人増やし、出場停止のエクトル・へヴェルに代えてナズミ・ファイズ、アフィク・ファザイル(いずれもジョホール・ダルル・タジム)とライネの3選手が先発し、両SHはベトナム戦と同じコービン=オングとキャプテンのクールズを左右に配置しています。DF陣はこれまた出場停止のファクンド・ガルセス(スペイン1部アウベス)とジョン・イラザバル(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてケガで離脱中のマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジム)とベトナム戦の3バック全員が不在のため、シャールル・サアド(ジョホール・ダルル・タジム)、U23キャプテンのウバイドラー・シャムスル(トレンガヌ)、ハリス・ハイカル(スランゴール)の3選手が先発しています。

またこの試合はクラモフスキー監督にとっては今年加入した7名のヘリテイジ帰化選手不在で指揮を取る最初の試合でもありました。そしてこの7名の不在は予想通り攻撃面で明らかに影響が出ており、試合開始からマレーシアが圧倒的なボール保持率を維持しながらも、映像で見るからに劣悪なピッチ状況もあり、ラオスのゴールを破ることができないまま試合が進みます。

11分にはロメル・モラレスとのパス交換からアリフ・アイマンがこの試合初のシュートを放ちますが枠を捉えられません。さらにベトナム戦では全く出番がなかったモラレス自身も16分にヘディングシュートを試みますがやはり枠内に飛ばず、さらにその後も優勢に試合を進めるマレーシアに対して、ラオスはGKコップ・ロクパティップを中心に文字通り身体を張ってゴールを防ぎ、結局、前半は0−0で終了します。

試合が動いたのは後半の54分、そしてこの苦境を救ったのはやはりあの選手でした。ペナルティエリア前でラオスDF数人を得意のドリブルでかわしたアリフ・アイマンが左足を一閃するとそのボールはラオスゴールへ。GKコップ・ロクパティップが伸ばしたて指先を掠めるようにゴールインし、マレーシアに待望の先制点が入ります。

ストリーム配信では何度も映像が中断され、はっきりとは移りませんでしたが、68分にキャプテンのディオン・クールズが2点目を、そしてアディショナルタイムには途中出場のファイサル・ハリム(スランゴール)が3点目を決め、ボール支配率71パーセント対29パーセント、シュート数26本(枠内11本)対4本(枠内2本)と数字的にはラオスを圧倒したマレーシアがこの予選3連勝を飾り、首位を守っています。

AFCアジア杯2027年大会3次予選F組第3節
2025年10月9日@ラオス新国立競技場(ヴィエンチャン、ラオス)
ラオス 0-3 マレーシア
⚽️マレーシア:アリフ・アイマン(54分)、ディオン・クールズ(68分)、ファイサル・ハリム(90+8分)

またF組のもう一試合は、ベトナムがネパールに一度は追いつかれるも、ネパールが前半終了間際に退場者を出すと、後半に2ゴールを挙げて勝利し、マレーシアとの勝点差3のまま追随しています。

AFCアジア杯2027年大会3次予選F組第3節
2025年10月9日@ビンズオン・スタジアム(ビンズオン、ベトナム)
ベトナム 3-1 ネパール
⚽️ベトナム:グエン・ティエン・リン(7分)、ファム・スアン・マイン(67分)、グエン・ヴァン・ヴィ(72分)
⚽️ネパール:サニッシュ・シュレスタ(17分)

アジア杯2027年大会3次予選F組順位(第3節終了)

順位チーム勝点
1マレーシア33009099
2ベトナム32018536
3ラオス310229-73
4ネパール300327-50

試合後の会見では、ピーター・クラモフスキー監督がマレーシアサッカー協会(FAM)を批判しています。FAMは12ヶ月間の出場停止処分を受けている7名のヘリテイジ帰化選手についてFIFAへ出場資格申請を行う際に「軽微なミス」があったことを認めています。

クラモフスキー監督は「ピッチ外が喧騒に包まれている中で、我々自身がコントールできることをコントールできた。(ヘリテイジ帰化選手による代表チーム強化の中心人物であるジョホール州摂政の)トゥンク・イスマイル殿下には多くの否定的な意見が出ているが、それは公平ではなく、根拠がないものだ。殿下は先見の明があるリーダーであり、殿下がいなければ、マレーシアサッカーはとうの昔にだめになっていただろう。」と述べています。

「マレーシアの首相から資金提供を引き出したり、政府からの支援を引き出したの一体誰なのか。イスマイル殿下その人であり、マレーシアサッカー協会ではない。国内サッカーのレベルを上げてきたのは誰なのか、代表戦のためにチャーター便で快適に移動できるような仕組みを持ち込んだのは誰なのか。それもイスマイル殿下である。殿下の支援により、代表チームは最善の環境が提供され、代表チームはプロの集団によって機能するようになっている。これは全て殿下の功績である。」

「FIFAとの間で生じている全ての混乱の原因はマレーシアサッカー協会であり、イスマイル殿下ではない。私はマレーシア国民に明確なメッセージを送りたい。殿下なしではこの国のサッカーは『終わってしまう』。この件についてはこれ以上言うことはない。」

またクラモフスキー監督は、「今日の勝利をマレーシア国民に捧げたい。代表チームのプレーが皆に希望と励みを与え、我々は特別なことを成し遂げるだけの力があることが示したいと思っていた。そしてそれを成し遂げた選手たちを誇りに思う。」とも述べています。


またこの試合で先制ゴールを決めたアリフ・アイマンはこの日の勝利はチーム全員の力を合わせた結果がであることを強調しています。

「今日の試合は決して楽な試合ではなかった。ラオスは果敢に立ち向かってきたので、我々も勝つためには全力を尽くさねばならなかった。プレーシア選手全員に今日の勝利をおめでとうと言いたい。そして出場停止処分を受けた7名のヘリテイジ帰化選手のことも忘れてはいけない。彼らは皆、マレーシア代表選手であり、マレーシア国民だ。我々は彼らのために祈りを捧げる。そして代表チームの最大の支援者であるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下にも感謝したい。」

10月9日のニュース<br>・国籍偽装疑惑の喧騒の中でマレーシアは本日、アジア杯予選ラオス戦<br>・国籍偽装疑惑:FIFAの裁定に対する異議申し立てのハードルは高い-スポーツ専門弁護士<br>・主力不参加のウルグアイ戦主催者が高額チケット払い戻しととチケット価格改定を発表

10月8日から始まったW杯予選アジア4次予選は、3次予選で3位と4位だった6チームが3チームずつ2組に分かれて1回戦総当たり方式で対戦し、各組の1位が2026年W杯に出場します。この4次予選にはアラブ首長国連邦(3次予選A組3位)、カタール(同4位)、イラク(B組3位)、オマーン(同4位)、サウジアラビア(C組3位)、インドネシア(同4位)の6チームが出場します。集中開催方式行われるこの4次予選の開催地については、当初は中立地でもありAFC本部もあるマレーシアが候補に上がりましたが、最終的にAFCがこの4次予選に出場するサウジアラビアとカタールでの開催を発表すると、開催地決定までの経緯の不透明に加え、予選の「中立性」が損なわれるとして残る4チーム全てがAFCに再考を求めました。しかし近年はカタールを中心とした謎の「中東押し」が顕著なAFCはこれを無視、サウジアラビアとカタールにとっては全試合「ホーム」での予選が決定しています。

さらに4次予選B組初戦のインドネシア対サウジアラビア戦の主審として、AFCがクウェートのアフメド・アル=アリ氏を指名したことに今度はインドネシアサッカー協会が「中東の笛」への懸念から猛反発し、東アジアやオーストラリアからの審判への交代をAFCに求めるも再びAFCはこれを無視。ちなみにオマーンが属するA組の3試合は日本、オーストラリア、カザフスタンと中東以外の国が主審を務めることが発表されています。

そんな中で迎えた10月8日のインドネシア対サウジアラビア戦は、東南アジア最後の砦としてボラセパマレーシアJPもインドネシアを応援しながらストリーム配信を観戦しましたが、サウジにレッド1枚、さらに3つのPKとなんとも大荒れの試合となりました。さらにインドネシアが心配した「中東の笛」は、アフメド主審が前後半ともアディショナルタイムを表示の9分以上も取るなど、追いかける立場のインドネシアにとっては有利に機能し、まるで12番目の選手のような振る舞いでした。

結局、インドネシアは先制するも、自力で勝るサウジアラビアに敗れてしまいましたが、終了間際にサウジアラビアを2−3まで追い込んだことで、この4次予選の2位2チームが大陸間プレーオフ出場権をかけて対戦する5次予選にも望みを繋いでいます。


国籍偽装疑惑の喧騒の中でマレーシアは本日、アジア杯予選ラオス戦

マレーシアサッカー協会(FAM)とヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)に関する国籍偽装疑惑がマレーシアサッカー界を揺るがす中、本日はアジア杯2027年大会予選のマレーシア対ラオス戦がラオスの首都ヴィエンチャンにあるラオス新国立競技場で行われます。10月8日にはこの試合に先立って両チームの監督とキャプテンが出席して試合前会見が行われています。

​直近のFIFAランキングではマレーシアが123位、ラオスが189位と一見するとマレーシア有利ですが、試合前会見でマレーシアのピーター・クラモフスキー監督は、ピッチ外の「騒音」に気を取られることなく、最高のパフォーマンスで勝点3を獲得することにチーム全員が集中していると述べています。

FIFAランキングでは大きな差があるラオスを与し易い相手だとは思っていないと述べたクラモフスキー監督は、「自分たちが何もコントロールできないことに煩わされてもしょうがない。ピッチ外で起こっていることについては、このチームとは関係がないので何も気にならない。我々は無事にラオスに着き、全力で試合に臨むために準備してきた。ラオスとの試合以外のことを考えているとしたら、それは自分たちがすべきことをしてないことになる。」と述べ、チームの結束と一人一人が練習に取り組む姿勢によって全員が集中力を維持できている説明しています。

なおマレーシアは9月26日にFIFAが国籍偽装が疑われるヘリテイジ帰化選手に12ヶ月の出場停止処分を科しており、歴史的なベトナム戦勝利に貢献したFWジョアン・フィゲイレド、MFエクトル・へヴェル、DFジョン・イラザバル(いずれもジョホール・ダルル・タジム)、FWロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)、FWイマノル・マチュカ(アルゼンチン1部ベレス・サルスフィエルド)、DFファクンド・ガルセス(スペイン1部アラべス)、DFガブリエル・パルメロ(スペイン3部ウニオニスタス・デ・サラマンカ)の7選手は今回は代表に招集されていません。

ちなみにマレーシアとラオスの通算対戦成績は、マレーシアの13勝5分1敗で、マレーシアが最後にラオスに敗れたのは2015年10月と、過去の対戦ではマレーシアに圧倒的有利な結果ですが、クラモフスキー監督はラオスに対して敬意は払いつつも、自身も含めてこの試合に向けては準備万端と語り、試合のあらゆる局面で強いサッカーを見せ、クリーンシートでの勝利を宣言しています。

一方、ラオスの韓国人指揮官ハ・ヒョクジュン監督は、7名のヘリテイジ帰化選手の欠場により自チームが大いに有利になるとは考えていないと語り、前節のネパール戦での2-1の勝利に続く勝点3を取りに行きたいと話しています。


国籍偽装疑惑:FIFAの裁定に対する異議申し立てのハードルは高い-スポーツ専門弁護士

FIFAは9月26日に国籍偽装が疑われる7名のヘリテイジ帰化選手とマレーシアサッカー協会(FAM)に対して、FAMには罰金、また7選手には罰金に加えて12ヶ月の出場停止という厳罰処分を下し、10月6日にはその裁定の根拠となる調査内容を公表しています。これに対してFAMは書類提出の際に「軽微なミス」があったことを認める一方で、FIFAが公表した調査内容には不正確な内容が含まれるとして、処分に対する異議申し立てを行うことを表明しています。

これに対してスポーツ専門の弁護士のニック・エルマン・ニック・ロスリ氏は英字紙ニューストレイツタイムズの取材に対し、以下のように述べています。

「FIFAの制裁に対する異議申し立てにおいては、FAMはその厳格な責任と、ヘリテイジ帰化選手の資格確認の義務を果たしたかどうかが争点となるため、非常に厳しい状況にあると分析できる。その上で、異議申し立てでは、FIFAの規定の理解不足や「軽微なミス」といった言わば「言い訳」的なものではなく、FIFAの調査内容の誤りや、デューデリジェンス(相当の注意義務)を尽くしたことを証明する必要がある。」

エルマン氏は、FIFAによる制裁はFAMが追うべき厳格な責任の原則と、自国代表選手の資格を確認するFAMの独立した義務に基づいていることから、マレーシア政府下の国民登録局の交付した書類を根拠とするFAMの異議申し立てが受け入れられる余地はほとんどないと説明しています。

さらにエルマン氏は、FAMまたは7名のヘリテイジ帰化選手が書類の偽造を知っていたかどうかは法的に無関係であり、「知らなかった」あるいは「その意図がなかった」という異議申し立ては無効になるとも述べ、7名のヘリテイジ帰化選手がマレーシア代表としてプレーする資格を有することを確認するのは、FAMの独立した義務でり、その責任を(出生届を再交付した)国家登録局に転嫁することはできない。」

エルマン氏はまた、ヘリテイジ帰化選手は既に合法的なマレーシア国民であるため、違反は「軽微なミス」であるというFAMの説明についてはこれを否定し、問題は「合法的なマレーシア国民である」という資格を証明するために使用された手段にあるとも述べています。

「これは、7名のヘリテイジ帰化選手が国内法上マレーシア人であるかどうかの問題ではない。FIFAは国民登録局が国籍を付与したことを問題視しているのではなく、『FIFAの規定に基づき』7選手がマレーシア代表としてプレーする資格があるかどうかを問題視している。」

「このため、選手たちが他の正当な手段でマレーシアにルーツがあることであることを証明できたとしても、FIFAの決定は当初提出された捏造された書類に基づいているため、裁定処分はおそらく有効になるだろう。」

しかもFIFAは、出生届の原本を「支障なく」入手できたと述べており、FAMの検証プロセスに大きな疑問が生じています。この点についてエルマン氏は、なぜFIFAは原本を入手できたのに、(原本が入手できないとして出生届を「再交付」した)国民登録局は入手できなかったのかには疑問が残るとした上で、FAMはどのような手順を踏み、どのような独立した調査を行い、そして書類が選手たちに直接要求されたのかどうかを示す必要があるとし、「努力したが入手できなかった」という説明では不十分であると述べた。

このようにさまざまな点からも異議申し立てを行うのは困難であるものの、これは国益に関わる問題なので、控訴すべきであると述べたエルマン氏は、FAMが、事務的な誤りに関する一般的な陳述ではなく、FIFAの調査結果について詳細かつ信憑性のある弁明を提示しなければならないだろうとも述べています。


主力不参加のウルグアイ戦主催者が高額チケット払い戻しととチケット価格改定を発表

明日10月10日と10月13日にマレーシアで開催されるウルグアイ・スター・グローバル・フレンドリーマッチは、MFフェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリード)、DFロナルド・アラウホ(バルセロナ)、MFマヌエル・ウガルテ(マンチェスター・ユナイテッド)を含む複数のスター選手の欠場を受け、主催者がチケットの払い戻しと、新たに割引価格によるチケット販売が発表されています。なおこれらの試合は、FIFAによって国際Aマッチとして公式認定されています。

主催者は10月7日に発表した声明で、バルベルデ、、アラウホ、ウガルテの3選手は10月10日のドミニカ共和国戦(ブキット・ジャリル国立競技場)と10月13日のウズベキスタン戦(マラッカ、ハン・ジェバ・スタジアム)に出場しないことが明らかになったとしています。

さらにGKセルヒオ・ロシェ(インテルナシオナル)、DFホセマ・ヒメネス(アトレティコ・マドリード)、FWダルウィン・ヌニェス(アル・ヒラル)、MFジョージアン・デ・アラスカエタ、DFギジェルモ・バレラ(いずれもフラメンゴ)らの主力選手もマレーシアでの試合には出場しないということです。

主催者のコヒージョン・プリマ社は、「予期せぬ事態により数名の選手が欠場となるが、両試合はFIFAの国際Aマッチとして認められており、トップレベルの競技とスポーツとしての価値を保証する。」と述べています。

その上で「ファンの支援は、常に我々のイベントの原動力となっている」として、「善意と感謝の気持ちとして」チケット価格を引き下げると発表しています。

またこの発表以前にチケットを購入したファンの希望者全員に全額払い戻しを約束すると同時に、価格を調整した新しいチケットを用意するとしています。

ちなみにチケット価格は以下のようになっています。
左側がウルグアイ対ドミニカ戦で、25リンギから299リンギまでとなっています。参考までに右側は来週、同じブキ・ジャリル国立競技場で行われるアジア杯2027年大会予選のラオス戦のチケット価格で、40リンギから70リンギとなっています。(1リンギはおよそ35円。)


個人的にはドミニカ共和国戦よりも、再びアジアに戻ってきたファビオ・カンナバーロ新監督の就任が発表されたウズベキスタン戦が見たかった。しかし初のW杯出場を決めたチームの試合は筆者の住むクアラルンプールから150キロ以上離れたマラッカで行われ、それも月曜日の夜ということで断念しました。

10月8日のニュース<br>・FIFAが国籍偽装疑惑のヘリテイジ帰化選手7名についてマレーシアにルーツなしと発表<br>・マレーシアサッカー協会はFIFAの発表内容が不正確だと指摘し、不服申し立ての準備を進める

マレーシアサッカー協会(FAM)の公式記録サイトCMSがハッキングの被害を受けていることを複数のメディアが報じています。この記事を書いている10月8日現在も閲覧できません。このCMSサイトは試合結果だけでなく、各クラブの登録選手やマレーシアリーグの試合記録などの情報が現在のシーズンだけでなく、過去に遡って閲覧もできるので、ボラセパマレーシアJPもほぼ毎日お世話になっているサイトです。しかし10月6日からアクセスできず、ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑問題関連で修正中なのかと思っていたのですが、報道によるとハッキングされており、しかも身代金が請求されおり、支払いがなければデータを全て消去すると脅されているということです。しかしこんなときに…。


FIFAが国籍偽装疑惑のヘリテイジ帰化選手7名についてマレーシアにルーツなしと発表

9月26日にFIFAがマレーシアサッカー協会(FAM)と7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)に対して国籍偽装を理由に制裁措置を発表しました。FAMには35万スイスフラン(およそ6700万円)の罰金、7選手には2000スイスフラン(およそ38万円)罰金に加えて12ヶ月間に及ぶあらゆるサッカー活動の停止という非常に厳しい処分が科されました。

そして10月6日にはFIFAは処分の根拠となった詳細を発表しています。この発表によると、その祖父母がマレーシア生まれであることからマレーシア国籍を得て代表入りした7名のヘリテイジ帰化選手について、マレーシア国籍取得の根拠となった祖父母の出生地がいずれもマレーシア国外であると指摘し、FIFAに提出された書類はいずれも捏造されたものであるとしています。

以下はFIFA規律委員会のホルヘ・パラシオ副委員長名で発表した裁定の根拠を説明する書類ですが、この中でFIFAは、FAMが提出した書類に書かれていた内容とFIFAが独自で行った調査の結果との間に明らかな相違があることを指摘しています。書類からの抜粋である上の表は今回、国籍偽装が指摘された7名の選手の氏名と出生地が記載されています。下の表はそれぞれの選手の祖父あるいは祖母の出生地についてのFIFAの調査結果です。表の一番右はFIFAが入手した出生届に記載されている出生地で、その隣はマレーシアサッカー協会FAMが提出した「捏造されたとされる出征届」に記載されていた出生地です。例えばPlayer 1のガブリエル・フェリペ・アロチャ(通称ガブリエル・パルメロ)は、FAMが提出した出生届では祖母のマリア・ベレン・コンセプシオン・マルティン氏の出生地がマラッカとされていますが、FIFAが「発見」した出生届の原本によるとスペインのカナリア諸島、サンタ・クルズ・デ・ラ・パルマとなっています。他の6選手も同様で、出生地がペナンやジョホール、クチンなどとされていた祖母/祖父がいずれもマレーシア生まれでないことがFIFAの発表で明らかになっています。

またFIFAが発表した書類の中では、この7選手の祖父母の出生届を「再交付」したマレーシア内務省下の国民登記局にも言及しています。この国民登記局は国内の出生、死亡、結婚、離婚などの登録事務を行なっている役所でが、FAMがFIFAに提出した7選手の祖父母の出生届については、各選手の母国の関係機関に問い合わせた結果「原本が発見できなかった」として、「再交付」を行ったことを国民登記局のトップが認めています。

FIFAはマレーシアの国民登記局について、「7選手の祖父母の出生届の原本を入手できなかったことから、第三者の情報と外国からの非公式な書類をもとにして、マレーシアで出生したことを公式に証明する出生届を『再交付』した」と指摘し、「この手続きはマレーシア政府による法的有効性の審査が本来の原本の記載内容に基づいていないことを示しており、再交付書類の内容に基づくマレーシアサッカー協会による法的有効性の審査そのものを疑わざるを得ない。」と述べて正当な手続きによるものではないと批判しています。


マレーシアサッカー協会はFIFAの発表内容が不正確だと指摘し、不服申し立ての準備を進める

FIFAによる裁定の根拠が明らかになったことを受け、マレーシアサッカー協会(FAM)は、裁定の根拠として挙げられてる内容に誤りがあるとしています。

FAMは10月7日に声明を発表し、7名のヘリテイジ帰化選手について、捏造された書類を入手したことや、そもそもその書類が捏造されたものであることを知っていたことなど、FIFAが指摘している点については、確たる証拠がないとした上で、7選手全員が正当なマレーシア国籍保持者であると主張しています。

「これまで繰り返して説明してきたように、FAMからFIFAへの書類提出の時点で『軽微なミス』があった。具体的には、FAMの職員が国民登記局が交付した公式書類ではなく、「代理人」経由で入手した書類を誤ってFIFAに提出するというミスを犯してしまった。FAMはマレーシア政府によってその法的有効性が認められている出生届の「原本」とともに不服申し立てのための書類を正式に提出する予定である。これによりFAMはマレーシアサッカーの誠実さも証明できるだろう。」という声明を発表しています。


反論しなければ、不正を認めることになるので、不正がないのであればFIFAに誤った裁定を取り消させるためにも徹底的に争うのは当然です。その一方で言及されている「代理人」とは誰なのか、またそもそもFIFAが指摘している「再交付された出生届」に正当性はあるのか、さらに言えば、そのような公的書類を国民登記局という公的機関に再交付させるだけの影響力を持つ人物と、それに従ってしまう政府職員は違法行為をしていないのか、などツッコミどころはまだたくさんあるこの国籍偽装疑惑問題はその真実が明らかになるまでには時間がかかりそうです。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第7節 試合結果とハイライト映像(1)<br>・ジョホールが大勝で開幕から7連勝<br>・ペナンが6試合目で今季初勝利<br>・昇格組2チームは未勝利が続く

2025/26年シーズンのマレーシアスーパーリーグ第7節の5試合が10月3日から5日にかけて行われています。第6節を終えて未勝利だった4チームの内、ペナンが今季初勝利を記録し、今季未勝利のチームは、サバ、マラッカ、イミグレセンの3チームとなっています。いずれも今季初めてスーパーリーグに昇格したマラッカとイミグレセンが1部の壁に跳ね返されているのは理解できますが、その一方で過去3シーズン連続3位と安定した成績だったサバが開幕から3分3敗の12位に沈んでいるのは意外です。
なお、今節のマラッカFC対クアラ・ルンプール・シティFCの試合は、10月13日にウルグアイ代表対カザフスタン代表の試合がマラッカFCのホーム、ハン・ジェバ・スタジアムで行われるため、ピッチ補修が理由で両チーム合意の上、日程が11月30日への変更されています。また今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節はブルネイのDPMMの試合がありません。
*この記事を執筆している時点でマレーシアサッカー協会(FAM)の公式記録サイトがハッキングの被害にあっていることが報じられています。このブログではこのサイトに掲載されている試合結果をこのサイトからリンクで貼っていますが、今回はそのリンクがありません。またこのサイトが発表しているMOM(Man of the Match)についても今回は記載しません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第7節
2025年10月3日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ FC 4-1 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC
⚽️トレンガヌ:ディエゴ・ルイス(23分)、ヌリロ・トゥクタシノフ(30分)、ヤン・マベラ2(40分、73分)
⚽️クランタン:T・サラヴァナン(51分)

マレー半島東海岸沿いのトレンガヌ州とクランタン州は、いずれもサッカー人気が高いことで知られており、この2州を本拠地にする両チームの対戦は「東海岸ダービー」と呼ばれて注目が集まる試合となります。この試合では、前節はクアラ・ルンプール・シティとの2位争いに敗れたトレンガヌが、いずれも外国籍選手による前半の3ゴールで試合の主導権を握るとそのまま快勝し、3位を守っています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第7節
2025年10月4日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 2-1 ヌグリ・スンビランFC
⚽️ペナン:チェチェ・キプレ2(13分、49分)
⚽️ヌグリ・スンビラン:フライデイ・オビロル(90+9分)

ペナンが今季初勝利を挙げています。この試合の立役者はマレーシアリーグでのプレーが8年目ながら今季加入したペナンが5チーム目となるチェチェ・キプレでした。37歳のキプレ選手はペナン移籍後の初ゴールを含む2発で勝利に貢献するとともに、自身のリーグ通算ゴール数を56(試合数124)まで伸ばしています。

4試合負けなしと好調で、上位を狙える位置にいるヌグリ・スンビランでしたが、3試合ぶりとなる2失点で敗れています。

ペナンの鈴木ブルーノ選手はベンチ入りしましたが、出場はありませんでした。
ヌグリ・スンビランの佐々木匠選手はこの試合もキャプテンとして先発し、60分に交代しています。また常安澪選手は60分に交代出場し、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第7節
2025年10月4日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 2-1 クチン・シティFC
⚽️クチン:ジョーダン・ミンター(75分)

いずれもボルネオ島にあるサバ州とサラワク州に本拠地を持つ両チームの「ボルネオダービー」は、ジョーダン・ミンターの「代表選出お礼弾」でクチン・シティが3連勝を飾るとともに無敗記録を4試合と伸ばしています。

この試合の前日に発表された今月のアジアカップ2027年大会予選に向けた代表合宿のメンバーにラマダン・サイフラーとジョーダン・ミンターが選ばれクチン・シティ。ジョホールでは飼い殺し状態だったラマダン選手は、クチン移籍後には出場機会を増やして実力を証明し、今季ここまで3ゴールと活躍しています。またガーナ出身ながらマレーシアリーグで5年間のプレーを経て帰化したミンター選手は、昨季は14ゴールでチーム得点王でした。両選手は今回が代表初選出ですが、国籍詐称で主力7名が出場停止となる中、今月の代表戦では両選手の活躍が期待されます。

一方のサバはチームが絶不調。こちらもマレーシア代表にはMFスチュアート・ウィルキン、DFドミニク・タン、DFダニエル・ティンと3名が召集されていますが、今季は6試合を終えて未勝利。深刻なのは攻撃陣でこの試合も含めた6試合中、4試合が零封負け、残る2試合もそれぞれ1ゴールずつと6試合で2得点では勝てません。さらに新加入のU23代表FWファーガス・ティアニーもここまで不発。さらに代表FWダレン・ロックや、今季チーム2得点のうちの1点を挙げているFWガブリエル・ペレス、さらにMFミゲル・シフエンテスら攻撃の中心選手たちがいずれもケガでベンチ外となっています。頼りの外国籍選手もこの試合でも先発したのはDFデイン・イングラム1人と、サバはまだ苦しい状況が続きそうです。

クチン・シティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第7節
2025年10月5日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン)
イミグレセンFC 1-3 スランゴールFC
⚽️イミグレセン:エドゥアルド・ソーサ(66分)
⚽️スランゴール:アルヴィン・フォルテス(56分)、クリゴール・モラエス(67分)、ファイサル・ハリム(71分)

喜熨斗勝史監督解任後初の試合となったスランゴールが、今季未勝利のイミグレセンに快勝してクリストファー・ギャメル監督代行に初勝利をプレゼントしています。先制点をアシストしたキャプテンのファイサル・ハリムが自身もゴールを決め、今季から加入のクリゴールが6試合で5ゴール目となる逆転弾を決めています。

前半は全員が身体を張ったスランゴールの攻撃に耐えたイミグレセンは、後半にはエドゥアルド・ソーサの今季2得点目となるゴールで一度は追いついたものの、その直後に逆転を許して敗れています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ第7節
2025年10月5日@MBSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 0-7 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン2(28分、33分)、ベルグソン・ダ・シウバ(54分)、エディ・イスラフィロフ(67分)、ジャイロ・ダ・シウバ2(77分、85分)、ロメル・モラレス(83分)

所属するDFジョン・イラザバル、MFエクトル・へヴェル、FWジョアン・フィゲイレドの3選手が国籍偽装疑惑を理由にFIFAから12ヶ月の出場停止処分を受けている首位のジョホール。しかし選手層の厚さを見せつけ、前節のサバ戦の8ゴールに続き、この試合でも7ゴールで圧勝しています。

なおこの試合で2ゴールを決めた23歳のアリフ・アイマンは、この試合がジョホールでの170試合目(リーグ戦、カップ戦、ACLなど全て含む)の出場となった他、それまで並んでいた元キャプテンのサフィク・ラヒムを抜いてマレーシア人選手としてクラブ最多の61ゴールも記録しています。61ゴールの内訳は、リーグ戦30、カップ戦22、ACL8、そしてアセアン(東南アジア)クラブ選手権1となっています。なお外国籍選手では、やはりこの試合でゴールを挙げたベルグソン・ダ・シウバが166ゴールのクラブ記録を保持しています。

この試合は現地で観戦しましたが、PDRMはジョホールFW陣の圧倒的な数のシュートを浴びながらもゴール前を固めて、カウンター狙いの戦術が前半は功を奏しており、狙いは間違えていないように見えました。不運なミスとジョホールの執拗なボール回しに崩されて前半で2失点で前半を耐えましたが、後半にベルグソンによる3点目が入ったあたりから、徐々に連携が崩れ始めました。さらに点差が広がり始めたことで、カウンターの戦術から果敢な攻めに切り替えたところで逆に失点を重ねてしまいました。

なおボラセパマレーシアJP的には2ゴール2アシストのアリフ・アイマンがMOMでした。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第7節途中)

チーム勝点
1ジョホール77003333021
2クアラ・ルンプール65101431116
3トレンガヌ74122091113
4クチン6411123913
5スランゴール630312939
6ヌグリ・スンビラン6222121118
7クランタン7223613-78
8PDRM6132815-76
9ペナン6114414-104
10DPMM6114416-124
11マラッカ503227-53
12サバ6033214-123
13イミグレセン6024315-122

2025/26マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第7節途中)

得点選手名所属
16ジャイロ・ダ・シウバジョホール
6アリフ・アイマンジョホール
6ヤン・マベラトレンガヌ
45ベルグソン・ダ・シウバジョホール
5ジョアン・フィゲイレドジョホール
5クリゴール・モラエススランゴール
74ジョン・イラザバルジョホール
4ヘンリ・ドゥンビアPDRM
4ジョヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
4サファウィ・ラシドクアラ・ルンプール
113ワンジャ・ンガ他クチン

10月6日のニュース<br>・今月のアジア杯予選2試合に向けた代表候補29名が発表-国籍詐称疑惑7選手はメンバー外<br>・出場停止処分の4選手全員が所属クラブを離れてマレーシアへ<br>・マレーシアサッカー協会はいまだ不服申し立てを行わず-FIFAによる裁定詳細の入手待ち

今月のアジア杯予選2試合に向けた代表候補29名が発表-国籍詐称疑惑7選手はメンバー外

マレーシアサッカー協会(FAM)は10月9日と10月14日に行われるAFCアジアカップ2027年大会予選に向けた代表候補29名を発表しています。今月の2試合はいずれもラオスが相手で、9日の試合はヴィエンチャンのラオス新国立競技場で、14日の試合はクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われます。

ラオスのヴィエンチャンで10月6日から始まる合宿のメンバーは、先月9月のシンガポール戦とパレスチナ戦に招集された29名から22名が残り、ここにU23代表からキャプテンのDFウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)とFWアリフ・イズワン(スランゴールFC)が招集された他、DFデクラン・ランバート(クアラ・ルンプール・シティFC)、MFラマダン・サイフラー(クチン・シティFC)、そしてマレーシアリーグで5年間プレーした結果、今年8月29日にマレーシア国籍を取得したガーナ出身の帰化選手FWジョーダン・ミンターの3選手が嬉しい代表初招集を果たしています。

今回の合宿は本日10月6日から8日までラオスのヴィエンチャンで行われ、9日にラオスとの試合を行った後、10月10日から13日はマレーシアに戻って合宿を続け、14日に行われるホームでのラオス戦まで続く日程になっています。

以下が10月3日に発表された代表合宿参加の29名です。

氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ29ジョホール
ハジク・ナズリ27クチン・シティ
アズリ・ガニ26ヌグリ・スンビラン
DFラヴェル・コービン=オング34ジョホール
シャールル・サアド32ジョホール
ジュニオール・エルドストル34ジョホール
ハリス・ハイカル23スランゴール
クエンティン・チェン26スランゴール
デクラン・ランバート27KLシティ
ダニエル・ティン33サバ
ドミニク・タン28サバ
アザム・アズミ24トレンガヌ
ウバイドラー・シャムスル22トレンガヌ
ディオン・クールズ29セレッソ大阪
リチャード・チン23レイス・ローヴァーズ
MFアフィク・ファザイル31ジョホール
ナズミ・ファイズ31ジョホール
ノーア・ライネ23スランゴール  
スチュアート・ウィルキン27サバ
エンドリック・ドス・サントス30ホーチミンシティ公安
エゼキエル・アグエロ31カーンチャナブリ・パワー
FWアリフ・アイマン23ジョホール
ロメル・モラレス28ジョホール
ファイサル・ハリム27スランゴール
アリフ・イズワン21スランゴール
サファウィ・ラシド28KLシティ
パウロ・ジョズエ36KLシティ
ジョーダン・ミンター30クチン・シティ
ラマダン・サイフラー25クチン・シティ
レイス・ローヴァーズはスコットランド2部、ホーチミンシティ公安はベトナム1部、カーンチャナブリ・パラーはタイ1部のクラブ

なお以下は、代表合宿の予備参加者リストですが、10月6日にはGKハジク・ナズリとGKアズリ・ガニがケガにより合宿不参加が発表され、このリストからGKスハイミ・フシンとGKシーク・イズハンの代表合宿参加が発表されています。

氏名年齢所属
GKカラムラー・アル=ハフィズ30スランゴール
シーク・イズハン23スランゴール
スハイミ・フシン23トレンガヌ
DFイブラヒム・マヌシ24ジョホール
アダム・ノー・アズリン29KLシティ
サフワン・マズラン23トレンガヌ
シャールル・ニザム27トレンガヌ
アディブ・ラオプ26ペナン
MFナサニエル・シオ・ホンワン25ジョホール
シャミル・クティ28KLシティ
ライアン・ランバート27KLシティ
ワン・クザイン26セントルイス・シティ2
FWモハマドゥ・スマレ31ジョホール
セントルイス・シティ2はアメリカ合衆国3部相当のMLSネクスト・プロのクラブ

その一方で、国籍詐称疑惑によりFIFAから12ヶ月の出場停止処分が発表されている以下の7選手は、今回の代表合宿には招集されていません。

氏名年齢所属
DFガブリエル・パルメロ23ウニオニスタス
(スペイン3部) 
ファクンド・ガルセス26デポルティーボ・アラヴェス
(スペイン1部) 
ジョン・イラザバル28ジョホール
MFエクトル・へヴェル29ジョホール
FWロドリゴ・オルガド30アメリカ・デ・カリ
(コロンビア1部) 
イマノル・マチュカ25ベレス・サルスフィエルド
(アルゼンチン1部)
ジョアン・フィゲレイド29ジョホール

出場停止処分の4選手全員が所属クラブを離れてマレーシアへ

FIFAは9月26日に国籍詐称疑惑からマレーシア代表でプレーするヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名に対して罰金処分に加えて12ヶ月の出場停止処分を、さらにマレーシアサッカー協会(FAM)にも罰金処分を科すことを発表しています。さらにFIFAはこの処分についての不服申し立ての期限を発表から10日以内としていますが、この処分を受けたヘリテイジ帰化選手のロドリゴ・オルガドが所属するコロンビア1部のアメリカ・デ・カリを離れ、出場停止処分解除について話し合うためにマレーシア入りしていると、複数のメディアが報じています。

所属するアメリカ・デ・カリもクラブ公式サイトでデルガド選手が、FAM理事と面会して、不服申し立てを行う際の協力を申し出るために無休休暇を申請してチームを離れることを了承したことを発表しています。

この数日前にはスペインメディアがデポルティーボ・アラヴェス(スペイン1部)に所属するファクンド・ガルセスがマレーシア入りしたことを報じた他、マレーシアの英字紙ニューストレイツタイムズはイマノル・マチュカ(アルゼンチン1部ベレス・サルスフィエルド)とガブリエル・パルメロ(スペイン3部ウニオニスタス)も既にマレーシア入りしていると報じており、マレーシアリーグのジョホールでプレーするジョアン・フィゲレイド、エクトル・へヴェル、ジョン・イラザバルの3選手とともに、選手生命を脅かしかねない12ヶ月にも及ぶ出場停止処分に対する不服申し立てをFAMとともに行うことが予想されています。

*****

またこのような状況下で、ファクンド・ガルセスのインスタグラムのプロフィールからマレーシア国旗のアイコンが無くなっていることが報じられています。国籍詐称疑惑により処分を受けた選手7名の内、他の6名はいまだにマレーシア国旗がプロフィールに残っており、ガルセス選手の行動にマレーシアサッカーファンの注目が集まっています。

アルゼンチン出身のガルセス選手は今年8月には祖母がマレーシア出身であることから自分がマレーシア国籍を取得したと説明し、「母国」のためにプレーできることを誇りに思っているとメディアのインタビューに答えていました。


マレーシアサッカー協会はいまだ不服申し立てを行わず-FIFAによる裁定詳細の入手待ち

前述の通り、国籍詐称疑惑により出場停止処分を受けた7選手はマレーシアサッカー協会(FAM)とともにFIFAの裁定に対する不服申し立てを行う準備に入っているとされていますが、FAMのノー・アズマン事務局長は、FIFAの裁定に関する詳細が入手できていないとして、その詳細が明らかになり次第、不服申し立てを行うとしています。

FIFAは7名のヘリテイジ帰化選手がマレーシア代表の試合に出場するために必要な資格に関する書類が提出された際に、その一部が捏造されていたとして、FIFAの懲罰委員会による処分を発表しています。

なおFAMは、FIFAがその内容を精査した上で既に承認をされたはずの書類が今になって「捏造」だとされた理由が不明だとする一方で、FIFAの裁定発表後には提出した書類には「軽微な間違い」があったことは認めたものの、不服申し立てを行う意思を表明した上で、不服申し立てによりFIFAの裁定が変わらない場合には、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に仲裁を求める用意があるともしています。