AFCカップ2023/24東南アジアゾーン
G組第1節-トレンガヌが相手OGで勝利
H組第1節-サバがダレン・ロックの2ゴールなどで快勝

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に続き、AFCカップの2023/24シーズンが開幕しています。ACLの下位大会に当たるAFCカップではマレーシアからは2015年にジョホール・ダルル・タジムFCが優勝、昨季2022年にはKLシティFCが準優勝しています。

ACLとは違い、決勝までの道のりは東南アジア(ASEAN)地区のチームにとっては果てしなく、まずはASEAN地区内でのグループステージで1位あるいは各組2位チームの中で最高位成績を残して、ノックアウトステージとなる地区内準決勝、さらに地区内決勝で勝ち抜けてASEAN1位とならなければなりません。続く南アジア地区代表との地区間準決勝に勝つと、もう一つの地区間準決勝である東アジア地区代表と中央アジア地区代表の勝者と対戦する地区間決勝で勝利すると決勝戦に進出します。決勝では西アジア地区代表となる中東のチームと対戦し、これに勝って初めて優勝となります。このようにASEAN地区からではノックアウトステージで4試合連続で勝利してやっと決勝進出となるのに対して、西アジア地区はノックアウトステージで2勝すれば決勝進出となります。

昨季は新型コロナ禍もあり、グループステージが集中開催方式で行われ、準優勝したKLシティFCはホームのKLフットボールスタジアムがその集中開催地の一つとなるなどアドバンテージもありましたが、今季からはグループステージの開催方法がホームアンドアウェイ方式に戻ります。また来季からはこのAFCカップはAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)とリブランドされることも決まっており、AFCカップの名称で行われる大会は今季が最後となります。

AFCカップ2023/24 東南アジアゾーンG組第1節-トレンガヌが相手OGで勝利

11年ぶりにAFCカップ出場のトレンガヌがまず1勝

AFCカップ2023/24のグループステージが開幕し、G組のトレンガヌFCは第1節でオーストラリアのセントラル・コースト・マリナーズFC(マリナーズ)とホームで対戦しています。昨季2022/23シーズンのリーグ2位としてAFCカップに出場するマリナーズは、現在のマレーシア王者ジョホール・ダルル・タジムFCの前身、ジョホールFAや当時はMリーグに所属していたシンガポールFAなどで1990年代にプレーしていたアバス・サアド氏が暫定監督として指揮を取るチームです。またオーストラリアは2013年から東南アジアサッカー連盟AFFに加盟していますが、AFCカップにオーストラリアのチームが参戦するのは今大会が初めてです。

下はこの試合の両チームの先発XIです。この試合では、トレンガヌは通常の黒白基調のユニフォームではなく、下のような白一色のAFCカップ用ユニフォームを着用。またオーストラリアリーグのセントラル・コースト・マリナーズは、マレーシアの格安航空会社エア・アジアが胸スポンサーというのも、個人的には興味深いところです。

試合は開始1分でマルコ・トゥリオがシュートを放つなどマリナーズが積極的に攻め、10分にはアルー・クオルがトレンガヌGKスハイミ・フシンと1対1になる場面もありましたが、これをスハイミ選手が好セーブでしのぎます。その後もマリナーズは好機を作るもののFW陣のシュートの精度の低さに助けられ、トレンガヌはゴールを許しません。逆にトレンガヌは前半終了間際の45分に右サイドからヌリロ・タクタシコフがゴール前のイヴァン・マムートへクロスを送ります。マムート選手をカバーしていたネイサン・ポールがこれをクリアしようとしたもののGKダニー・ヴコヴィッチが反応できずにオウンゴールとなり、トレンガヌが先制して前半を終了します。

後半に入ってもマリナーズが優勢に試合をするめる中、結局、前半のオウンゴールがが決勝点なり、これを守り切ったトレンガヌが勝点3を獲得する好スタートを切っています。ボールの保持率はマリナーズ53%、トレンガヌ47%、またシュート数がマリナーズが23本(枠内7本)、トレンガヌが11本(枠内3本)と試合を通してマリナーズがトレンガヌを圧倒しましたが、先月から今月にかけてのリーグ戦やカップ戦直近4試合を全て零封しているトレンガヌがこの試合でもマリナーズを完封しています。

ACLカップ2023/24 グループステージG組第1節
2023年9月20日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:5.996人
トレンガヌFC 1-0 セントラル・コースト・マリナーズFC(オーストラリア)
⚽️トレンガヌ:ネイサン・ポール(45+1分OG)
🟨トレンガヌ(2):ヌリロ・タクタシコフ、スハイミ・フシン、
🟨CCマリナーズ(2):ジェイコブ・ファレル、クリスティアン・セオハラス

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

G組第1節のもう一試合はインドネシアのバリ・ユナイテッドFCがフィリピンのスタリオン・ラグナFCのホームで5-2と勝利し、得失差でG組首位となっています。

ACLカップ2023/24 グループステージG組第1節
2023年9月20日@ビニャン・フットボール・スタジアム(ラグナ州ビニャン、フィリピン)
観衆:350人
スタリオン・ラグナFC 2-5 バリ・ユナイテッドFC
⚽️スタリオン:ジュニオール・ンゴン・サム(30分)、エイブラハム・プラシト(88分)
⚽️バリ:イリヤ・スパソイェヴィッチ2(27分、72分)、ハウディ・アブディラ(33分)、モハメド・バッシム(53分)、ムハマド・ラフマト(69分)
🟨スタリオン(1):フアン・トゥリオ
🟨バリ(2):アディルソン・マリンガ、エリアス・ドラ
 スタリオン・ラグナFCの野村悠太選手は57分から交代出場、中村玲央選手はベンチ外でした。

AFCカップ2023/24 グループステージG組順位(第1節終了)

順位チーム勝点
1バリ・ユナイテッド11005233
2トレンガヌ11001013
3セントラル・コースト100101-10
4スタリオン・ラグナ100125-30
AFCカップ2023/24 東南アジアゾーンH組第1節-サバがダレン・ロックの2ゴールなどで快勝

各国のカップ戦覇者が対戦したAFCカップウィナーズカップ(現在は廃止)に1995年に出場して以来、28年ぶりにアジアの舞台に戻ってきたサバ。この試合の両チーム先発XIは以下の通りです。


昨季のマレーシアスーパーリーグ3位と昨季のシンガポールカップ覇者の対戦となったこの試合は、雨が激しく降り頻る中で始まり、サバが開始5分、カブリエル・ペレスのゴールで先制します。さらに代表FWのダレン・ロックが36分にゴールを決め、サバが2点をリードして前半を終了します。

後半に入るとホウガン・ユナイテッドは髙山和真選手が61分にヘディングシュートを放ち、サバGKのダミアン・リムがゴールラインギリギリでこれを防いだように見えましたが、オーストラリア人のジョナサン・バレイロ主審はボールがラインを超えていたとしてゴールと認定、試合は1点差となりましたが、その2分後にロック選手がこの試合2点目となるゴールを決めて、サバが再びリードを広げると、試合はそのまま終了し、グループステージ初戦を制しています。

AFCカップ2023/24 グループステージH組第1節
2023年9月21日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
 サバFC 3-1 ホウガン・ユナイテッドFC 
⚽️サバ:ガブリエル・ペレス(5分)、ダレン・ロック(36分、63分)
⚽️ホウガン:髙山和真(64分)
🟨サバ(0)
🟨ホウガン(0)
ホウガン・ユナイテッドの日本人選手、髙山和真、栗山直樹両選手はいずれも先発してフル出場しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

H組第1節のもう一試合は、ベトナムのハイフォンFCがPSMマカッサルを3-0で破っています。

AFCカップ2023/24 グループステージH組第1節
2023年9月21日@ラックチャイ・スタジアム(ハイフォン、ベトナム)
ハイフォンFC 3-0 PSMマカッサル 
⚽️ハイフォン:エルウィン・グタワ(8分OG)、ルオン・ホアン・ナム(79分)、ジョセフ・ムバンデ(86分)
🟨ハイフォン(0)
🟨マカッサル(0)
PSMマカッサルの日本人選手、南部健造選手は先発してフル出場しています。

ACL2023/24 グループステージH組順位(第1節終了)

順位チーム勝点
1ハイフォン11003033
2サバ11003113
3ホウガン・ユナイテッド100113-20
4PSMマカッサル100103-30

AFCチャンピオンズリーグ2023/24
グループステージI組第1節-ジョホールはマルシーニョのゴールで川崎に敗れる

2023/24シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕し、ACL5季連続出場となったジョホール・ダルル・タジムFC(ジョホール)はグループステージI組の初戦となる川崎フロンターレ戦に臨み、0-1で敗れています。

今季のジョホール・ダルル・タジムFC(ジョホール)はリーグ戦が20勝1分、カップ戦は既にFAカップ優勝を決め、現在進行中のマレーシアカップも準々決勝進出と、年間通算成績が27勝1分0敗で得点114失点8と国内では相変わらずの無双ぶりを見せており、公式戦での敗戦は昨年8月16日のACLベスト16浦和レッドダイアモンズ戦まで遡らなければなりません。そのジョホールは今季のACLでは、奇しくも昨季のACLグループステージと同じ川崎フロンターレ、蔚山現代と同組になっており、クラブ史上初となった昨季のグループステージ突破に続く2季連続となるノックアウトステージ進出に期待がかかります。とは言え、昨季は新型コロナ禍の影響もあり、グループステージI組はジョホールの本拠地での集中開催となったアドバンテージがあったののも事実。本来のホームアンドアウェーに戻った今季のACLで、グループステージを突破して、来季から始まるACLエリート入りを果たしたいところです。

この試合の両チームの先発XIは以下の通りです。ジョホールのエステバン・ソラリ監督は、今季リーグ戦17試合先発のフェロズ・バハルディンではなく、その高さに期待してか今季先発4試合のシェーン・ローリーをCBに起用した以外は、リーグ戦とは大きく変わっていません。なお17ゴールでリーグ得点王争い2位のフェルナンド・フォレスティエリ、5ゴールのレアンドロ・ヴェラスケスはいずれもケガのためベンチ外、また今季途中から加入した邦本宜裕選手もこの試合ではベンチ外となっています。


試合開始から、両チームが激しくせめぎ合う展開となった中、11分にはフアン・ムニスのバックパスをカットしたバフェティンビ・ゴミスが抜け出そうとするところをホン・ワンが倒してPKを与えてしまいます。このPKはジョホールの壁にあたりコーナーキックになりますが、今度はこのコーナーキックからゴール前でフリーとなった家長昭博のシュートが外れるなど、ジョホールは連携の悪さが序盤から目につきました。逆にジョホールは17分、自身がマルシーニョに倒され得たFKをフアン・ムニスが蹴りますが、これを頭で合わせたベルグソン・ダ・シルヴァのシュートは大きくゴールを外れます。

21分にはペナルティエリアの中でアリフ・アイマンがGKと接触して倒れるも今季からグループリーグにも導入されたVARによりファウルとならず、さらにその直後にはムニス選手のパスにベルグソン選手が反応するも、ゴールのわずか左に外れてしまいます。さらに30分には今季のACLに出場している唯一のインドネシア人選手でCBジョルディ・アマトのミスからボールを奪ったマルシーニョがGKシーハン・ハズミと1対1となるも、シーハン選手がシュートをブロックで難を逃れると、その1分後にはベルグソン選手のミドルシュートをGKチョン・ソンリョンが弾くなど両チームの応酬が続きます。

そしてこのまま0-0で終了かと思われた前半終了間際の45分、右サイドの家長選手からのクロスはゴール前の瀬古樹へ、これにGKシーハン選手が遅れ気味に飛び出してしまうと、がら空きとなったゴールに瀬戸選手からの浮き球をファーサイドでフリーとなっていたマルシーニョがオーバーヘッドキックでシュート。これが無人のゴールにきまります。一見するとオフサイドにも見えたこのシュートにもVARが使用されますが、得点が認められた川崎が先制して前半を終了します。

後半開始で選手を入れ替えなかったジョホールは47分にアリフ選手が右サイドから得意のドリブルでペナルティエリアにボールを持ち込みます。この場面、中央にはベルグソン選手がフリーでいましたが、アリフ選手はシュートを選択。しかしGKチョン選手にブロックされて得点には至りません。60分にはジョホールDFラインの裏に抜け出した瀬古選手とGKシーハン選手が交錯するもボールが無人のゴールへ転がりますが、ローリー選手がゴールライン間際で蹴り出して失点を防ぎます。

ホームでの勝点が何としても欲しいジョホールは、FWジオゴをMFアフィク・ファザイルと、MFエンドリック・ドス・サントスをDFラヴェル・コービン=オングと入れ替えるなど攻撃モードに入り、最後まで好機を作りますが、試合終盤に向けて守備の選手を増やした川崎の牙城は崩せず、無得点で敗れていますが、昨季のACLグループステージでも川崎とのファーストレグは0-0、セカンドレグは0-5と合わせると3試合続けて無得点となっています。またこの日の敗戦でジョホールとJリーグチームとのACL通算対戦成績は2勝1分4敗、得点4失点10となりました。(途中で出場中止となった2021年のACLは除く)

この試合のスタッツを見るとボール保持率は川崎51%、ジョホール49%ほぼ互角ですが、ジョホールはパスの出しどころを封じられてDF陣の間でボールを回す場面なども見られ、また国内リーグではドリブルが売りのアリフ・アイマンが全くスペースを得られずドリブルをさせてもらえないなど、試合を見た印象では0-1という点差以上に川崎とは力が離れているように感じました。ゴール前ではマークが厳しくなるこういう試合こそ、ミドルやロングシュートを狙うフェルナンド・フォレスティエリやレアンドロ・ヴェラスケスが元気ならば…というのは恨み節になりますが、個人的には個人技で切り込んで状況を打開できるアキヤ・ラシドがセカンドレグでプレーすることを期待したいです。


ACL2023/24 グループステージI組第1節
2023年9月19日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 0-1 川崎フロンターレ
⚽️川崎:マルシーニョ(45分)
🟨ジョホール(5):ホン・ワン、ベルグソン・ダ・シルヴァ、ジオゴ、シェーン・ローリー、フアン・ムニス
🟨川崎(3):車屋紳太郎、橘田健人、ジョアン・シミッチ

試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより

なおI組のもう1試合はホームの蔚山現代がアーダーム・マルティンのハットトリックで、タイのBGパトゥム・ユナイテッドを破っています。

ACL2023/24 グループステージI組第1節
2023年9月19日@蔚山文殊サッカー競技場(蔚山広域市)
蔚山現代 3-1 BGパトゥム・ユナイテッド
⚽️蔚山:アーダーム・マルティン3(28分、73分、78分)
⚽️BGパトゥム:ライハン・スチュワート(41分)
🟨蔚山(1):チョン・スンヒョン
🟨BGパトゥム(1):チャオワット・ウィーラチャート 

ACL2023/24 グループステージI組順位(第1節終了)

順位チーム勝点
1蔚山現代11003123
2川崎F11001013
3ジョホール100101-10
4BGパトゥムU100113-20

マレーシアカップ
準々決勝ファーストレグ結果とハイライト映像(3)-KLシティがPKの1点を守って勝利

FIFA国際マッチカレンダーも終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝ファーストレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まっています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月17日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 1-0 スリ・パハン
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(73分PK)
🟨KLシティ:ケニー・パッラジ、ザフリ・ヤハヤ
🟨スリ・パハン:ケヴィン・イングレッソ、アザム・アジー
🟥KLシティ:ケニー・パッラジ(🟨x2)
MOM:ロメル・モラレス(KLシティ)

リーグ5位のスリ・パハンと同7位のKLシティの対戦となった準々決勝ファーストレグ最後のカードですが、今季両チームは第13節にスリ・パハンのホームで対戦したものの、KLシティがチェチェ・キプレとパウロ・ジョズエのゴールで2-1と勝利しています。

この試合は開始から両チームのGKが忙しくなる場面があったものの、スリ・パハンGKイズハム・タルミジ、KLシティGKケヴィン・メンドーザとも何度も好セーブを見せるなど得点を許さず、前半は0-0で終了します。

後半に入ると両チームとも積極的に攻め、KLシティがやや優勢で試合が進みますが、いずれも得点に至りません。そして試合が動いたのは74分でした。スリ・パハンDFシャズワン・アンディックがペナルティエリア内でKLシティのパウロ・ジョズエを倒してPKを与えると、このPKをロメル・モラレスが決めてKLシティが先制します。しかしKLシティは82分にクパー・シャーマンを倒してこの試合2枚目のイエローが出されたケニー・パッラジが退場となってしまいます。数的有利となったスリ・パハンですが、これを生かすことはできず、試合は1-0のまま終了しています。準々決勝セカンドレグはスリ・パハンのホーム、ダルル・マクモルスタジアムで9月24日に予定されています

マレーシアカップ 準々決勝
ファーストレグ結果とハイライト映像(2)-サバとペラは引き分け、トレンガヌはホームで快勝

FIFA国際マッチカレンダーも終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝ファーストレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まっています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月15日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:6,216人
サバ 2-2 ペラ
⚽️サバ:ダレン・ロック(4分)、ラモン・マシャド(46分)
⚽️ペラ:ルシアノ・ゴイコチェア(10分)、ワン・ザック・ハイカル(54分)
🟨サバ:ラウィルソン・バトゥイル、サディル・ラムダニ
🟨ベラ:シヴァン・ピレイ、カマル・アリフ・アズライ
MOM:ラモン・マシャド(サバ)

 リーグ4位のサバと同11位のペラは今季は既にスーパーリーグ第12節で対戦しており、そのときはダレン・ロック、パク・テス、そして州議会議員に転身するために今季途中に現役引退したバドロル・バクティアルの3ゴールでサバが勝利しています。

 そんな両チームの対戦は試合開始直後から動き、先日の FIFA国際マッチデーではシリア戦でゴールを挙げたダレン・ロックがコ・グァンミンのパスを受けルト、2人のペラDFに競り勝ってヘディングシュートが決め、4分にサバが先制します。しかしその6分後には、ペラがキャプテン、ルシアノ・ゴイコチェアがペナルティエリアの外から蹴ったフリーキックが直接ゴールとなり、すぐさま同点に追いつきます。その後はサバ、ペラ両チームとも好機を作りながら得点には至らず、前半は1-1のまま終了します。

 後半開始早々には再びサバがリードを奪います。インドネシア代表のサディル・ラムダニが右サイドで粘ってからのパスを受けたラモン・マシャドが出場8試合で7ゴール目となるヘディングシュートを決めて、46分に再びサバがリードします。しかしペラも反撃に転じ、JFL時代の琉球FCでもプレー経験があるベテランのワン・ザック・ハイカルがコーナーキックからルースボールを蹴り込んでで同点とし、試合を振り出しに戻します。その後はサバが猛攻を見せ、何度も好機を作りますが、結局ゴールを挙げることはできず、試合は2-2で終了しています。準々決勝セカンドレグは9月25日にペラのホーム、ペラスタジアムで予定されています。

 準々決勝セカンドレグの前に同じリカススタジアムでAFCカップグループステージで栗山直樹、髙山和真両選手を擁するホウガン・ユナイテッド(シンガポール)との対戦が9月21日に控えているサバにとっては、この試合に勝ってAFCカップ初戦に臨みたかったところでしたが、後半戦から調子を上げてきているペラの勢いを止めることができませんでした。

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月16日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:13,118人
トレンガヌ 2-0 スランゴール
⚽️トレンガヌ:イヴァン・マムート(45+2分)、シャーミ・ザムリ(90+4分)
🟨トレンガヌ:ヌリロ・タクタシノフ、イヴァン・マムート
🟨スランゴール:クザイミ・ピー
MOM:イヴァン・マムート(トレンガヌ)

 今季の両チームはスーパーリーグ第9節で対戦し、スランゴールがエイロン・デル・ヴァイエの2ゴールを含む5ゴールを挙げたスランゴールが5-1で圧勝していますが、この試合はホームのトレンガヌが開始直後から優勢に試合を進めます。しかし、好機を作る一方でゴールを破れない展開が続く中、前半のロスタイムにスランゴールDFクエンティン・チェンがヌリロ・タクタシノフをペナルティエリア内で倒し、トレンガヌがPKを得ると、これをイヴァン・マムートが決めてついにトレンガヌがリードを奪います。

 後半開始とともにスランゴールのタン・チェンホー監督は、FIFAデイズではヨルダン代表としてチームを離れていたノー・アル=ラワブデや、ヨハンドリ・オロスコらを投入すると、彼らが前半では見られなかった得点機を演出しますが、トレンガヌGKスハイミ・フシンの好セーブもあり、得点を奪うことができません。逆に後半ロスタイムにはFWシャーミ・ザムリが今季初ゴールでトレンガヌが2点にリードを広げ、そのまま試合が終了しています。

 リーグ2位のスランゴールは、この試合前半のシュート数2(枠内2)とトレンガヌのシュート数14(枠内5)に大きく差をつけられ、試合全体でもシュート数11(枠内4)はトレンガヌのシュート数20(枠内8)の半分ほどでした。この試合では左サイドバックのファズリ・マズランがベンチ外で、その代役として出場したクザイミ・ピー、V・ルヴェンティランが試合の中で消えてしまう場面が多かった点が気になりました。なお準々決勝セカンドレグは9月24日にスランゴールのホーム、MPBJスタジアムで予定されています。

一方のトレンガヌは、9月20日にAFCカップのセントラル・コースト・マリナーズ戦が同じスルタン・ミザン・ザイナル・アビィディンスタジアムで予定されていますが、この日の勝利でグループステージ初戦となる9月20日の試合に勢いがついたのではないでしょうか。

マレーシアカップ
準々決勝ファーストレグ結果とハイライト映像(1)-ジョホールは快勝でACL川崎フロンターレ戦に向けて準備万端

FIFA国際マッチカレンダーも終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝ファーストレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まっています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝ファーストレグ
2023年9月13日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 0-3 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン(20分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ2(31分PK、90+1分)
🟨ヌグリスンビラン:ナスルラー・ハニフ
🟨ジョホール:アフィク・ファザイル、フアン・ムニス、ナズミ・ファイズ
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム)

FIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)では、マレーシア代表に9名(!)が、またジョルディ・アマトがインドネシア代表に招集されるなど、多くの選手がチームを離れていたジョホールですが、この試合ではGKシーハン・ハズミや代表SBマシュー・デイヴィーズ、さらにジョルディ・アマトとアリフ・アイマンが先発XIに名を連ねる一方で、シリア戦でゴールを決めたアキヤ・ラシド、ラヴェル・コービン=オング、シャーミ・サファリはベンチスタート、さらにFIFAデイズ中にケガをしたシャルル・サアドの他、サファウィ・ラシドとエンドリック・ドス・サントスはベンチ外となっています。

試合開始からジョホールが圧倒する中、FIFAデイズでは目立った活躍ができず2試合とも途中交代となったアリフ選手がスーパーリーグでは相変わらずの無双ぶりを見せて、得意の右サイドから20分にゴールを決めてジョホールが先制します。さらに31分には、ヌグリスンビランDFナスルラー・ハニフがペナルティエリア内でベルグソン・ダ・シルヴァを倒し(映像では微妙でしたが)PKを与えてしまいます。ヌグリスンビランは正GKシーク・イズハンが前日9月12日にタイでマレーシアU23代表の試合に出場したため、この試合では今季4試合目の先発となったGKフィルダウス・イルマンが立ちはだかりますが、ベルグソン選手自身がこのPKを難なく蹴り込んでジョホールはリードを広げます。

後半に入ってもジョホール優位は変わらず、試合終了前にはベルグソン選手がヌグリスンビランのオフサイドトラップのミスをついて自身2点目となるゴールを決めるなど、現在のヌグリスンビラン相手では十分とも言える3点のアドバンテージをもって9月23日にホームのスルタン・イブラヒムスタジアムで予定されているセカンドレグに臨むことになりました。

FIFAデイズ前のスーパーリーグ第21節では、開幕からの20連勝がクダ・ダルル・アマンFCとの引き分けで止まったジョホールですが、代表選手複数名を欠く一方で、ベルグソン選手やヘベルチ・フェルナンデスら外国籍選手活躍による快勝で、来週9月19日のACL川崎フロンターレ戦に向けて弾みがつきました。

ジョホールの邦本宜裕選手は後半開始から出場し、試合終了までプレーしています。

9月14日のニュース
AFC U23アジアカップ予選-またもタイの壁に跳ね返されてグループ1位通過ならず
AFC U23アジアカップ予選-マレーシアは予選2位チーム中の成績上位4番目でカタール行きが決定
AFC U23アジアカップ出場決定もサポーターはエラヴァラサン監督交代を望む

来年2024年4月にカタールで開幕するAFC U23アジアカップに、すったもんだのあげく、滑り込みで出場が決まったマレーシアU23代表。タイU23代表との試合に敗れてから、カタール行きが決まるまでは20時間近く経っていました。

AFC U23アジアカップ予選-またもタイの壁に跳ね返されてグループ1位通過ならず

9月12日にはアジア各地でAFC U23アジアカップ予選が行われ、バンコクのチョンブリーではマレーシアがが入るH組の最終節となる第3節が行われました。第2節を終えていずれも2勝のマレーシアU23代表とタイU23代表が対戦したH組は、この試合の勝者がグループ1位で本戦突破、敗れた方は他の組の結果次第で本戦出場が決まるか否かという状況です。

この試合の両チームの先発XIは以下の通り。マレーシアは第2節のフィリピン戦からは2名を入れ替えています。1人はこの予選初出場となるGKシーク・イズハン、そしてフィリピン戦で2ゴールを挙げたT・サラヴァナンに代えて初戦のバングラデシュ戦でゴールを決めているアリフ・イズワンを起用ししています。なおGKは初戦、第2戦、そしてこの第3戦といずれも異なる選手が先発しています。


ちなみに下は先月8月26日に東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権の3位決定戦でこの両チームが対戦したときの先発XI。今回の予選と違いFIFA国際マッチカレンダー外だったことから、今日の試合とは大きくメンバーが異なります。なおこの試合は90分で決着がつかずにPK戦まで絡れ込み、最後はタイが4-3でマレーシアを破っています。

 

試合はマレーシアは10分にノーア・レインがゴールを狙うもわずか左に逸れるなど好機を活かせない中、タイは10分に右サイドをフリーで上がったフォンサコン・トリサットからのクロスをゴール正面で頭で合わせたヨッツァコーン・ブラファのシュートにGKシーク・イズハンが反応できず、タイが先制します。マレーシアも反撃に出ますが、アリフ・イズワンのシュートがタイGKの正面に飛ぶなどゴールを破れません。結局、この地元チョンブリーFCコンビが演出した1点を守り切ったタイがそのまま逃げ切り、1-0で勝利しH組1位となるとともに、AFC U23アジアカップ本戦出場を決めています。

AFC U23アジアカップ予選H組第3節
2023年9月12日@チョンブリースタジアム(タイ、チョンブリー)
タイ 1-0 マレーシア
⚽️タイ:ヨッツァコーン・ブラファ(20分)

AFC U23アジアカップ予選H組 最終順位

順位チーム勝点
1*タイ33009099
2マレーシア32016156
3フィリピン310219-83
4バングラデシュ300306-60
*H組1位となったタイがAFC U23アジアカップ出場決定

H組最終節のもう1試合は、フィリピンU23代表がドイツ4部の1.FCシュヴァインフルト05でプレーする18歳のギャビン・ムエンズのゴールでバングラデシュU23代表に1-0で勝利し、3位フィリピン、4位バングラデシュの順位が決定しています。

この試合のハイライト映像。(アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより)
AFC U23アジアカップ予選-マレーシアは予選2位チーム中の成績上位4番目でカタール行きが決定

東南アジアからは、ベトナム、インドネシア、そしてタイがそれぞれAFC U23アジアカップ2024予選を所属する組1位での予選突破を決める中、マレーシアが本戦に出場するためには、各組2位の中の成績上位4チームに与えられる出場権を得られるかどうかが焦点となりました。時差の関係から中東や中央アジアの国が開催地となっている組はマレーシア時間では翌9月13日早朝となりましたが、その結果で予選突破か敗退かが決まることから、マレーシアでは多くのサッカーファンが最終順位を気にしていました。

今回の予選では3チームで構成される組と4チームで構成される組があることから、各組2位チームの内の上位4チームの決定については、4チーム編成の組では最下位のチームとの対戦結果を除いた勝点、得失差が採用されることになっていました。2位のチームが1位のチームと引き分けていたF組のクウェート、I組のタジキスタン、G組の中国はいずれも勝点4で上位4チームに入ることが決まり、残る1枠をめぐる争いとなりました。

そしてこの最後の枠にはマレーシア同様、最終節で敗れたイランがいずれも勝点3、得失差4、総得点4と全く同じ成績で並びました。勝点も得失差も得点も同じチームが並んだ場合、AFCはフェアプレーポイントが少ない方を上位とすると規定しています。マレーシアは今回の予選を通じてタイ戦で3枚、フィリピン戦で1枚のイエローカードをもらっていましたが、一方のイランは最終戦となったウズベキスタン戦の4枚を含め7枚のイエローカードが出されていたことから、マレーシアのフェアプレーポイント-4に対してイランは-7となり、まさにギリギリのところで本戦出場を決めています。

フェアプレーポイントと言えば、グループステージのポーランド戦で日本が0-1と負けていながらゆっくりボール回すなどして、ブーイングの嵐の中でさらなる失点を避けた結果、やはり勝点、得失差、総得点で並んだセネガルをフェアプレーポイントの差で上回り決勝トーナメント進出を決めた、2018年ワールドカップロシア大会を思い出す方がいるかも知れません。

ちなみにSNS上では、ウズベキスタンU23代表の選手がイエローを2枚もらいながらプレーを続けたとしてイランがAFCに抗議している、などといった噂も飛び交い、最終的にAFCの公式サイトにマレーシアを含めた予選突破16チームのリストが掲載されたのは、マレーシアU23代表対タイU23代表戦が終わってから20時間近く経った9月13日の午後18時を過ぎていました。

AFC U23アジアカップ出場決定もサポーターはエラヴァラサン監督交代を望む

何はともあれ、U23アジアカップ2024年大会出場を決めたマレーシアU23代表ですが、昨年9月にA代表のコーチでもあるE・エラヴァラサン氏がU23代表監督に就任して以来、ことし5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズではタイU23代表に0-2、ベトナムU23代表に1-2、先月8月の東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権ではベトナムU23代表に1-4、タイU23代表に0-0(PK戦3-4)、そして今回の予選では再びタイU23代表に0-1と敗れており、東南アジアの2強に対しては1分4敗と白星がありません。今月のFIFA国際マッチカレンダーでは、FIFAランキングで格上のシリア、中国相手にいずれも引き分けているA代表がキム・パンゴン監督のもとで順調に強化が進んでいるのとはまさに好対照です。

上にも書いたようにベトナムとタイを相手に5試合で2得点9失点という成績は、多くのサポーターを失望させる結果となっており、また今回のU23アジアカップ予選でもタイを相手に戦術的な工夫もなく、良いところなく敗れたチームを指揮するエラヴァラサン監督の手腕には疑問の声が上がっています。

今年5月のシーゲームズではタイ、ベトナムと同組となったこともあり、最低目標とされていた準決勝進出を逃したことから、エラヴァラサン監督交代の声はその当時も上がりましたが、マレーシアサッカー協会FAMはその時点でAFF U23選手権とAFC U23アジアカップ予選が控えていることを理由にエラヴァラサン監督続投を決定した経緯があります。しかしAFF選手権では準決勝に進出したもののベトナムに1-4と一蹴され、今回のAFC U23アジアカップ予選もタイに敗れ、最後はフェアプレーポイントのおかげでなんとか本戦出場を決める事態に及ぶと、その指導力不足などを理由にエラヴァラサン監督交代論がSNS上で一気に噴出しています。

SNS上ではエラヴァラサン監督退陣を求める#ElaOutといったハッシュタグまで登場する始末で、FAMは新たな監督候補を探すべきといった提言や、元マレーシアU17監督で今季途中でペラFC監督を解任されたリム・ティオンキム氏を推す声、さらにA代表でコーチを務める元バルセロナU18コーチのポー・マルティ氏を推す声なども上がっています。

9月11日のニュース
フットサルカップ決勝-パハンレンジャーズがジョホールを破り二冠達成
フットサルカップ3位決定戦-樋口岳志選手のゴールなどでスランゴールMACがトレンガヌに勝利

フットサルカップ決勝-パハンレンジャーズがジョホールを破り二冠達成

マレーシアフットサルカップの決勝が9月10日にスランゴール州シャー・アラムで開催され、マレーシアプレミアフットサルリーグMPFLで初優勝を果たしたパハンレンジャーズFCがMPFLでも決勝で対戦したジョホール・ダルル・タジムをPK戦で破り、リーグ戦に次ぐ国内二冠を達成しています。

MPFLの決勝ではファーストレグとセカンドレグ合わせて9-6とジョホールに辛勝したパハンレンジャーズは、このフットサルカップでは樋口岳志選手が在籍するスランゴールMACを破って決勝に進出したジョホールと再び決勝で相見えています。

先制したのはジョホールでした。エクマル・シャーリンが開始2分で先制ゴールを決めると、パハンもリズワン・バクリが16分にゴールを決めて追いつき、前半はこのまま1-1で終了します。

後半に入るとジョホールは開始3分に再びエクマル選手がゴールを決めて再びリードを奪うと、35分にはアズワン・イスマイルが追加点を挙げてリードを広げます。しかしパハンもその直後に、自軍GKと交錯したジョホールのサアド・アブドル・サニのOGで点差を詰めると、さらにパワープレーからリズワン選手が38分にこの試合2点目のゴールを決めて、ついに同点に追いつきます。その後、延長戦となった試合はパハンはセルヒオ・ジャムル、ジョホールはアワルディン・マット・ナウィがそれぞれゴールを決めるものの4-4と譲らず、この試合はついにPK戦へとも連れ込みました。

PK戦では、パハンは2人目のアミン・ナスロラー以外の3人がゴールを決めたのに対し、ジョホールでゴールを決めたのは2人目のタナトル・タダヴィロットただ1人。この結果、パハンがPK戦を3-1で制してMPFLに続き、ジョホールを破ってリーグ優勝とカップ優勝の二冠を達成しています。

マレーシアフットサルカップ2023決勝
2023年9月10日@ムラワティスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
パハンレンジャーズFC 4-4 ジョホール・ダルル・タジム(PK戦3-1)

この試合のハイライト映像。(アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより)
フットサルカップ3位決定戦-樋口岳志選手のゴールなどでスランゴールMACがトレンガヌに勝利

またこの試合の前に行われた3位決定戦では、樋口岳志選手が在籍するスランゴールMACが樋口選手のゴールを含む7ゴールを挙げてトレンガヌを破り3位となっています。

マレーシアフットサルカップ2023 3位決定戦
2023年9月10日@ムラワティスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
スランゴールMAC 7-3 トレンガヌ

この試合のハイライト映像。樋口選手のゴールは4分5秒辺りから。(アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより)

9月10日のニュース
AFC U23アジアカップ予選-フィリピン戦勝利で最終戦はタイと全勝同士対決へ
国際親善試合-中国相手に14年ぶりの引き分けも43年ぶり勝利の快挙を逃す

AFC U23アジアカップ予選-フィリピン戦勝利で最終戦はタイと全勝同士対決へ

タイのチョンブリーで開催中のAFC U23アジアカップ予選H組は第2節が行われ、マレーシアU23代表はフィリピンU23代表を破って2連勝とし、同じく2連勝中のタイU23代表とH組1位をかけて第3節で対戦することが決まりました。

初戦のバングラデシュ戦では終盤のゴールで2-0と勝利したマレーシアのE・エラヴァラサン監督は、初戦から先発メンバーを大きく入れ替えています。バングラデシュ戦に続いて先発したのはV・ルヴェンティランとアザム・アズミの左右SB、CBのハリス・ハイカル、MFムカイリ・アジマル、FWのT・サラヴァナンの5名で、ここに初戦でゴールを挙げたファーガス・ティアニー、海外組のルクマン・ハキムの両FWが加わり、やはり海外組のMFノーア・レインらが加わった初戦よりも攻撃的な布陣で、タイが5点を挙げているフィリピン相手に大量得点を目論みました。(下はこの試合の両チームの先発XI)


攻撃的な布陣で積極的にゴールを狙うマレーシアは開始27秒、ファーガス・ティアニーの右からのクロスをでキャプテン、ムカイリ・アジマルが押し込んで先制すると、その5分後にはルクマン・はキムの左からのクロスをティアニーがスルー、これをT・サラヴァナンが蹴り込んであっという間に2-0とリードします。さらに23分にはハリス・ハイカルのロングシュートにフィリピンGKが反応できずゴールとなり3-0となります。マレーシアはその後も好機を作りながら前半はこのまま3-0で終了します。

後半に入ってもマレーシアがボールを支配し、62分には再びティアニーのパスをT・サラヴァナンが押し込んで4-0とすると、大量リードに安心したのか終盤はDF陣の足が止まり何度が危うい場面もありましたが、このまま逃げ切って2連勝となりました。

この後の試合ではタイU 23代表がバングラデシュU23代表を3-0で破り、マレーシアとタイはいずれも2勝となり勝点6で並びましたが、得失差でタイが1位、マレーシアが2位となっています。両チームは最終節となる9月12日の第3節でH組1位をかけて対戦します。

AFC U23アジアカップ予選H組第2節
2023年9月9日@チョンブリースタジアム(タイ、チョンブリー)
フィリピン 0-4 マレーシア
⚽️マレーシア:ムカイリ・アジマル(1分)、T・サラヴァナン2(6分、61分)、ハリス・ハイカル(23分)

AFC U23アジアカップ予選H組順位(第2節終了)

順位チーム勝点
1タイ22008086
2マレーシア22006066
3バングラデシュ200205-50
4フィリピン200290-90
この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより
国際親善試合-中国相手に14年ぶりの引き分けも43年ぶり勝利の快挙を逃す

一方、直近のFIFAランキング136位のマレーシア代表は同80位の中国と対戦しています。直近の10試合の対戦成績(とはいっても最後の対戦は2013年ですが)では、1勝2分7敗で最後の勝利は1980年、引き分けは2009年とほぼ参考にならない記録です。

今月のFIFA国際カレンダーでは、9月6日に同じ中国の成都市でFIFAランキング94位のシリアと対戦し、その際には相手が2点のリードする展開の中で追いつくなど、良い勢いでこの試合に臨んだマレーシアのキム・パンゴン監督は、そのシリア戦では1列目で持ち前の巧みなポジショニングが制限され、動きが悪かったパウロ・ジョズエを2列目に下げています。センターフォワードにダレン・ロックを起用、シリア戦では目立った動きができなかったアリフ・アイマンに代わり、シリア戦で先制ゴールをあげたアキヤ・ラシドを右ウィング、そしてファイサル・ハリムを左ウイングに配置し、パウロ・ジョズエとエンドリック・ドス・サントスを2列目、その後ろにブレンダン・ガンがボランチ的なボジションに入り、4バックのセンターバックはケガのシャールル・サアドに代わってドミニク・タンと、ディオン・クールズがコンビを組み、両サイドバックは左にラヴェル・コービン=オング、右はマシュー・デイヴィーズと不動のメンバーとなっています。(下はこの試合の先発XI。)


試合は開始1分から激しく動きます。中国DF陣をかわしたファイサル・ハリムからのクロスをダレン・ロックが押し込んだゴールがオフサイドになる一方で、5分には中国もマレーシアゴール前で好機を作るなど立ち上がりから激しくせめぎ合う試合なる中、先制したのはマレーシアでした。GKシーハン・ハズミのゴールキックからパウロ・ジョズエがつないでアキヤ・ラシドへ。このボールを持ち込んだアキヤ選手はロック選手と共に中央へ切り込むと見せかけて中国DFを惹きつけてから右サイドのファイサル選手へパス。中国DFのマークを外したファイサル選手がこのパスを直接蹴り込んで、マレーシアが1-0とリードを奪いました。さらに19分には右コーナーからディオン・コールズがヘディングシュートを放つも枠の外でした。マレーシアに押し込まれた中国は、36分にマレーシアゴール前の混戦から折り返したボールをフリーとなっていた林良銘/リン・リアンミンが落ち着いてゴールし、中国が同点に追いつき、前半は1-1で終了します。

後半開始にマシュー・デイヴィーズ、アキヤ・ラシド、パウロ・ジョズエを、それぞれシャーミ・サファリ、アリフ・アイマン、ジュニオール・エルドストールに代えて投入したキム監督は、シリア戦同様、4バックから5バックに切り替えて、ディオン・コールズを積極的に前線へ上がらせるシステム変更を行いますが、後半は中国が試合の主導権を握る場面が多く、マレーシアは自陣ゴール前で防戦一方となるものの、ゴールポストや相手シュートの精度の低さに助けられる面もあり、試合は1-1のまま進みます。

85分には右サイドでシャーミ選手と李師/リ・シュアイ選手が共にヘディングに跳んだところで衝突し、李選手はピッチに入った救急車で搬送され、ドミニク・タンやエンドリックが痛むものの、交代で入ったシャルル・ナジームやアザム・アジーもしっかりと役割を果たし、試合の終了前には「攻撃は最大の防御なり」をまさに地で行く猛攻を見せたマレーシアが格上の中国を無得点に抑えて試合は終了し、2009年8月15日にシャー・アラムスタジアムでの親善試合で0-0で引き分けて以来、14年ぶりに引き分けています。

*****

最後は観客から「金返せ」の声も飛んでいたこの試合のマンオブザマッチMOMはなんといってもファイサル・ハリムでしょう。マレーシアスーパーリーグの試合後の会見で「『審判に対する批判的な』コメントをした」ことによる1ヶ月の出場停止処分を受け、それが明けたのが8月末でしたが、このFIFAデイズ前のリーグ戦には1試合しか出場できなかったファイサル・ハリム選手を代表に選んだキム監督の期待に応えた活躍でした。ちなみに新華社通信英語版も、人民日報英語版もオンライン版には、日本がドイツを破った記事は掲載されていても、自国の代表がマレーシア代表と引き分けた記事は、この原稿執筆時点では何故か掲載されていません。

国際親善試合
2023年9月9日@フェニックス・ヒル・スポーツ・パークスタジアム/鳳凰山体育公園(中国、成都市)
中国 1-1 マレーシア
⚽️マレーシア:ファイサル・ハリム(11分)
⚽️中国:林良銘/リン・リアンミン(36分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより

9月7日のニュース
国際親善試合-格上シリア相手に2点差を追いついて引き分け
U23アジアカップ予選-終盤の2ゴールでバングラデシュに勝利
AFCフットサルアジアカップ予選出場の代表候補20名発表

国際親善試合-格上シリア相手に2点差を追いついて引き分け

今回のFIFA国際マッチカレンダーでは、中国の成都市へ遠征しているFIFAランキング136位のマレーシア代表は、現地で同94位のシリア代表と国際親善試合を行い、一時は2点差をつけられたものの、後半2得点を上げて追いつき引き分けています。

キム・パンゴン監督は以下のような先発XIを起用しています。4バックの右にマシュー・デイヴィーズ、左にラヴェル・コービン=オング、中央にはシャールル・サアドとディオン・コールズを配置し、中盤はスチュアート・ウィルキンとブランダン・ガンのダブルボランチ、その前にエンドリックとパウロ・ジョズエを縦に配置し、左にアリフ・アイマン、右にファイサル・ハリムの両ウイングという布陣でした。


ちなみにこの試合が行われたのは英語表記でEast Town Football Park Stadiumという名の場所でしたが、映像で見る限りではスタジアムと名がついている割にはフェンスで囲まれた街のサッカーグラウンドかクラブの練習場のような場所で、こんなところで国際Aマッチ!?といった感じでした。

この試合で先手を取ったのはエクトル・クーペル監督率いるシリアでした。高い位置からのプレスをかけ続けた中、ボールを持ったブレンダン・ガンが自陣ペナルティエリアのすぐ外でもたつく間にシチャージをかけてボールを奪うと、最後はFWマルディク・マルディキアンが身体を反転させて放ったシュートが決まり、12分にシリアが1-0とリードします。さらに41分に右コーナーキックから、FWヤシン・サミアがフリーでヘディングシュートを決めて、前半はシリアが2-0とリードして終了します。

直近の10試合で1勝9敗のシリアに対し、4連勝中のマレーシアのキム監督は後半から負傷したシャールル・サアドに代えてDFジュニオール・エルドストール、さらにDFシャルル・ナジームも投入して4バックから3バックに変更し、ディオン・コールズが積極的に上がり、またコービン=オング、デイヴィーズの両サイドバックもより高い位置でプレーする戦術に切り替え、シリアを押し込みます。また、キム監督は前半は目立った動きを見せられなかったアリフ・アイマンに代えてFWアキヤ・ラシドを起用しますが、これが当たりました。51分にこのアキヤ選手がシリアDFラインの裏でエンドリックからのパスを受け、そこからGKをかわしてゴールを決めて1点差に迫ります。さらに85分にはやはり途中出場のサファウィ・ラシドが右サイドでシャルル・ナジームからパスを受けると、そこからドリブルで切り込み強烈なシュートを放ちます。このシュートはシリアGKにはじかれたものの、そこに詰めていたやはり途中出場のダレン・ロック選手がこのボールを押し込み、マレーシアは85分に同点に追いつくと、そのまま試合は2-2で終了しています。

この試合が今年1月以来のアウェイマッチとなったハリマウ・マラヤ(マレーシア語で「マラヤの虎」)ことマレーシア代表は、この引き分けで今年3月からの無敗記録を5に伸ばしています。これまでの4戦は全てマレーシア国内での試合で、アウェイでの勝利は今年初となりました。またこの試合は今年初のFIFAランキング100位以内のチーム相手でしたが、格上相手に追いついて引き分け、しかも後半は明らかにマレーシア優勢で試合を進めており、この勢い続けば次戦の中国代表戦が楽しみです。マレーシア代表がFIFAランキング80位の中国代表と相手のホームで対戦する次戦は9月9日19時35分(マレーシア時間)キックオフです。

国際親善試合
2023年9月6日@East Town Football Park Stadium(中国、成都市)
マレーシア 2-2 シリア
⚽️マレーシア:アキヤ・ラシド(51分)、ダレン・ロック(85分)
⚽️シリア:マルディク・マルディキアン(12分)、FWヤシン・サミア(41分)

この試合のハイライト映像。スタジアム・アストロの公式YouTubeチャンネルより
U23アジアカップ予選-終盤の2ゴールでバングラデシュに勝利

アジア各地て始まっているAFC U23アジアカップ予選ですが、マレーシアが入るH組はタイのチョンブリーで開幕し、ハリマウ・ムダ(ハリマウはマレーシア語で「虎」、ムダは「若い」の意)ことマレーシアU23代表は、初戦となったバングラデシュ戦に2-0で勝利しています。

この日の先発XIは以下の通りでした。


試合は開始からマレーシアがバングラデシュを圧倒して進むものの、相手DFに苦しみ、またフィニッシュの精度が低くゴールを奪えない展開が続きます。この予選を突破するには最終節のタイ戦までに勝点6を積み上げ、さらに得失差争いとなった時のことを考えて格下のバングラデシュ相手にゴールを量産しておきたいところでしたが、好機を生かすこともできないまま前半は0-0で終了します。

マレーシアは後半に入るとさらにギアを上げて攻め続けるものの、18歳のバングラデシュGKメエディ・ハサン・スラボンの好セーブなどもありゴールを破れないまま時間が経過し、徐々にマレーシアに焦りがで始める中、81分にアリフ・イズワンがペナルティエリアの外から放ったミドルシュートが決まり、マレーシアは待望の先制ゴールを挙げます。さらにロスタイムにはこの試合でも途中出場のファーガス・ティアニーが2点目となるゴールを挙げると、そのまま逃げ切ったマレーシアが勝利しています。

H組のもう1試合ではタイがフィリピンに5-0と快勝しており、マレーシアは次節9月8日のフィリピン戦に勝ってタイとの最終節に勝点6で臨みたいところです。

AFC U23アジアカップ予選H組
2023年9月6日@チョンブリースタジアム(タイ、チョンブリー)
マレーシア 2-0 バングラデシュ
⚽️マレーシア:アリフ・イズワン(81分)、ファーガス・ティアニー(90+4分)

AFC U23アジアカップ予選H組(第2節終了)

順位チーム勝点
1タイ11005053
2マレーシア11002023
3バングラデシュ100102-20
4フィリピン100105-50
この試合のハイライト映像。スタジアム・アストロの公式YouTubeチャンネルより
AFCフットサルアジアカップ予選出場の代表候補20名発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、10月にウズベキスタンで開幕するAFCフットサルアジアカップ2024年大会予選に出場するフットサルマレーシア代表候補合宿の参加メンバー20名を発表しています。

先月8月7日にフットサルマレーシア代表監督に就任したタイ出身のラクポル・サイネッガム氏と元マレーシアフットサル代表のアディ・アズワン・ザイナル コーチのコンビに取って初の公式戦となるアジアカップ予選に向けて、9月11日から23日までFAMの施設で始まる合宿には、マレーシアプレミアフットサルリーグ(MPFL)で初優勝したパハンレンジャーズFCのGKザイヌルザヒン・シヌアンら代表初招集のメンバーが10名含まれています。全体ではパハンレンジャーズFCから8名、MPFL準優勝のジョホール・ダルル・タジムから6名、MPFLでベスト4に残ったスランゴールMACから3名、そしてペナン、トレンガヌ、KLシティからそれぞれ1名となっています。具体的なメンバーはこちらです。

フットサル代表は23日に第1次合宿を打ち上げた後、翌9月24日から30日までタイ遠征を行い、再びマレーシアに戻って第2次合宿を経て、10月5日にウズベキスタン入りします。

ウズベキスタンで行われる予選G組では、10月7日に開催国ウズベキスタンと、10月9日にはカンボジアと対戦します。タイで開催予定のAFCフットサルアジアカップ2024年大会に出場するには、今回の予選ではG組1位となるか、各組2位の中の成績上位7チームの一つなる必要があります。なおフットサルマレーシア代表はAFCフットサルアジアカップでは過去16回大会中12回出場していますが、いずれもグループステージで敗退しています。

9月6日のニュース
誤審により無期限出場停止処分を受けたスーパーリーグ主審がVAR研修で目撃される
「未完の大器」ルクマン・ハキムは来季はインドネシアリーグへ移籍か
ジョホールのACLエリート入りには今季AFCカップ出場のトレンガヌとサバのアシストが必要

今日9月6日は、中国遠征中のマレーシア代表は成都市でシリアとの国際親善試合が組まれています。FIFAランキングを136位まで上げてきたマレーシアにとって、同93位のシリアとの対戦は、昨年12月のベトナム戦以来となるFIFAランキング100位以内のチームとの試合となります。マレーシア代表は今年はここままで6勝1敗の成績を収めていますが、相手はいずれも同等か格下の相手との対戦ばかりで、今日のシリア戦、そして3日後の9月9日の中国戦が現在の代表の実力を図る目安となります。またU23代表はタイのチョンブリーでAFC U23アジアカップ予選の初戦となるバングラデシュとの対戦が組まれており、前回2022年大会に続き本戦出場を目指すマレーシアU23代表は、最終節のタイU23代表戦まで負けられない試合が続きます。

誤審により無期限出場停止処分を受けたスーパーリーグ主審がVAR研修で目撃される

マレーシアサッカー協会FAMは、来季からスーパーリーグで導入予定のビデオ・アシスタント・レフリーVARのための審判を対象とした研修を行っていますが、FAM本部で行われている研修に、今季のスーパーリーグでの誤審を理由に無期限の職務停止処分を受けているズルカルナイン・ザカリア審判の姿が目撃されて話題となっています。

剃り上げた頭が特徴的なことから「ハゲ審判」(失礼)と一部サポーターから呼ばれているズルカルナイン氏は、これまでも「疑惑の判定」を下していましたが、今年3月のスーパーリーグ第5節、3月17日のサバFC対ペナンFC戦で両チームそれぞれに1度ずつ与えるべきでないPKを与えた誤審があったとして、FAMの審判委員会よりスーパーリーグでの審判を含む無期限の職務停止処分を受けています。そのズルカルナイン氏がFAMのSNSに投稿された写真からVAR研修に参加していることが明らかになると、SNSやメディアはズルカルナイン氏がスーパーリーグ審判に復帰するのでは、とざわつきましたが、これに対してFAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長が説明しています。

「ズルカルナイン審判は、ほぼ1年間職務停止処分を受けており、この間、FAMはカウンセリングを複数回行っている。FAMはズルカルナイン氏がVARを担当するのに十分な経験を持つ審判であることから、職務停止処分を一旦解除し、VAR研修に参加する機会を与えることにした。またスーパーリーグ各チームのU21チームが対戦するプレジデントカップとU19チームが対戦するユースカップで現場復帰が予定されており、その際もFAMが担当試合を注意深く監視する予定である」とノー・アズマン事務局長は話す一方で、現時点では直ちにスーパーリーグやマレーシアカップなどの試合の審判に戻す予定はないことも明言しています。

「未完の大器」ルクマン・ハキムはインドネシアリーグへ移籍か

2018年にマレーシアで開催されたAFC U17アジアカップでは、チームはグループステージ敗退ながら、優勝した日本代表の唐山翔自選手(G大阪)らと大会得点王を分け合うなど将来のマレーシア代表を背負って立つと期待されてきたルクマン・ハキム。2020年にはマレーシア人のヴィンセント・タン氏がオーナーのベルギー1部KVコルトレイクと5年契約を結ぶも、KVコルトレイクでは在籍3年間でわずか3試合出場に終わり、今年2月からは出場機会を求めてアイスランド2部のUMFニャルズヴィークに期限付き移籍をしていますが、ここまで9試合出場で出場時間は171分とやはり出場機会が十分に得ることはできていません。そんな中、サッカー専門サイトのヴォケットFCは、ルクマン選手の次の移籍先はインドネシアリーグなどが候補に上がっていると、伝えています。

UMFニャルズヴィークでは1ゴールを挙げるなど、KVコルトレイクよりは出場時間が増えてはいるものの十分とは言えないことから、ヴォケットFCはさらに出場時間を増やしたいルクマン選手を獲得したい意思を表明しているクラブとの交渉が進むのではと予想しています。ルクマン選手が所属するアイスランド2部は春秋制を採用しており、今季の最終節第22節は9月16日に行われますが、現時点では大半のリーグで移籍期間は終了していることから、今季終了後はまずはKVコルトレイクに戻り、来年1月以降の移籍が考えられます。そしてヴォケットFCの記事では、マレーシアスーパーリーグのクラブの他、インドネシアやポーランドのクラブなどがルクマン選手獲得に関心を示しているとしています。

*****

今日からタイで始まるAFC U23アジアカップ予選にも出場するルクマン選手ですが、U23代表招集は昨年6月のAFC U23アジアカップ本大会以来となっています。この時は絶対的なエースという位置からは程遠く、最終節のベトナムU23代表戦では出番もありませんでしたが、代表から離れていたこの1年間でどれだけ成長したかが見ものです。、

なおヴォケットFCの記事では、ルクマン選手自身はKVコルトレイクのトップチーム入りを目指しているということですが、このKVコルトレイク移籍自体もルクマン選手が求められたというよりも、オーナーがマレーシア人であることが最大理由なのは明らかなので、まずはこのAFC U23アジアカップ予選で自身の価値を高めるような活躍を見せて欲しいです。

ジョホールのACLエリート入りには、今季AFCカップ出場のトレンガヌとサバのアシストが必要

アジアサッカー連盟(AFC)が主催するクラブチームによる国際大会は現在、合計40チームが参加するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)と、その下部大会として合計36チームが参加するAFCカップの2つがあり、今季2023/24シーズンから秋春制に移行した両大会には、マレーシアからはそれぞれ昨季のスーパーリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムFCと、同2位トレンガヌFCと同3位サバFCが出場します。

このACLとAFCカップについて、AFCは先月8月、両大会の大幅な改編を含めた新たな3つの大会を来季2024/25シーズンから開催することを発表しています。そして現行のACLに相当するトップカテゴリーはAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ADLE)の名称となり、現在の40チームが参加するACLから、参加チームを文字通りエリートチームに絞り込んだ24チームでの開催となります。

今季のACLにはマレーシアからはリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジムが出場しますが、来季から始まるACLエリートに出場するためには、チームの所属する協会がAFCのクラブコンペティションランキングで西地区あるいは東地区で上位6カ国に入っている必要があります。8月23日現在、東地区のマレーシアは現在、日本、韓国、中国、タイ、オーストラリアに次ぐ6位につけており、このままいけば2024/25年シーズンはACLEで1チーム、その下部リーグに当たるAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)で1チームの出場枠を獲得できます。

なお、AFCクラブコンペティションランキングの順位を決めるポイントは、過去8年間にAFCチャンピオンズリーグ (ACL) とAFCカップに参加したチームの成績に基づいて算出されます。このポイントを稼ぐにはACLとAFCカップに出場したチームが、そこで結果を残すことが重要になります。マレーシアで言えば、2006年から2014年まではAFC下位の協会に所属チームのための大会、AFCチャレンジカップ(2014年に廃止)に出場してポイントを稼ぎ、2015年にはAFCカップでジョホールが優勝して大量のポイントを獲得しています。その一方でそのジョホールは、2015から4年連続でACL予選出場が懸るプレーオフ出場しながら、2年連続のPK戦負けなどで敗れ続けてACL出場を逃していました。

しかし2019年からはこのジョホールが直接、グループステージ出場権を得たことで、それ以降のマレーシアのポイント獲得の中心となり、マレーシアの順位を押し上げる原動力となっています。また昨季2022年にはKLシティがAFCカップで準優勝しており、こちらもやはりポイント獲得に貢献しています。

現在、AFCクラブコンペティションランキング東地区6位のマレーシアのポイント数は29.551でこれは7位のベトナムとは0.482差、8位の香港とは2.501差と僅差になっており、順位が7以下になればACLEの出場権を失ってしまいます。このため来季以降のジョホールのACLEへの出場権を確保するには、今季のACLに出場するジョホールはもちろんのこと、AFCカップに出場するトレンガヌFCとサバFCの成績が重要となります。というのも、クラブコンペティションランキングでは、ACLとAFCカップ出場チームが獲得したポイントはその合計が各協会所属の出場チーム数で割った平均で計算されるため、マレーシアで言えば、3チームの獲得層ポイント数割る3が今季の獲得ポイントとなります。

7位ベトナムはハノイFCが、8位の香港はキッチーFC(健志体育会)が出場する一方で、AFCカップには両国とも出場チームはありません。このため、ACLグループステージでこのハノイFC、キッチーFC以上の成績を残しても、AFCカップでトレンガヌFCとサバFCがたとえばいずれも東南アジア地区プレーオフで敗退すると、獲得ポイント数がベトナム、香港を下回り、ランキングを下げることになりかねない、ということなのです。