3月9日のニュース
MFLはプルリス・ユナイテッドFCのスーパーリーグ参加を条件付きで承認
一方失意のKLローヴァーズはまさかのシンガポールリーグ入りを申請か
MFLはクダとKLシティは給料未払い問題解決の最終期限を今月29日に設定

MFLはプルリス・ユナイテッドFCのスーパーリーグ参加を条件付きで承認

昨日のこのブログで取り上げたプルリス・ユナイテッドFCのスーパーリーグ参入が条件付きで決まりました。昨季14位のクランタンFCは給料未払い問題が未解決であることを理由に今季のスーパーリーグに出場するためのクラブライセンスが交付されませんでした。これにより13クラブ編成となっていたスーパーリーグの14番目のクラブとして、マレーシア最北端のプルリス州を本拠地とするプルリス・ユナイテッドFCの参加が4つの条件付きながら決定したことを、マレーシアスパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグが公式サイトで発表しています。

クラブライセンスを交付する第一審機関(FIB)がM3リーグのイミグレセンFC、KLローヴァーズFC、ハリニ・スランゴールFTと昨季の上位3チームと8位のプルリス・ユナイテッドの4つのクラブからのライセンス申請を精査した結果、プルリス・ユナイテッドへの推薦を受けたMFL理事会は、4つの企業から合計2500万リンギ(およそ7億9000万円)のスポンサー料を集めたことを示す書類や、そのうちの一企業による額面500万リンギの小切手のコピー、さらにプルリス州政府とプルリス州サッカー協会からも支援を証明する公式レターが決め手となって、スーパーリーグ参入クラブがプルリス・ユナイテッドに決定したと、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは説明しています。しかしスチュアートCEOはプルリス・ユナイテッドに与えられた条件についての詳細は明らかにしていません。

その後のブリタハリアンの続報では、プルリス・ユナイテッドFCに与えられた4つの条件の一つが給料未払い問題(!)の解決であることが明らかになりました。プルリス・ユナイテッドFCのシュクリ・オスマン会長がブリタハリアンの取材に対して明らかにしたもので、支払いを終え、それを証明する書類をMFLへ提出する予定であると話しています。

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給料未払い問題を理由にクラブライセンスが交付されなかったクランタンFCに代わるクラブも同様の問題を抱え、それを知りながらMFLはスーパーリーグへ参入を認めるという、なんとも奇妙な状況が起きています。それでもプルリス・ユナイテッドが選ばれたのは、他のスーパーリーグ参入候補として上がっていたイミグレセン(入国管理局)FC、KLローヴァーズFC、ハリニ・スランゴールFTがいずれもクアラルンプールを中心とした首都圏のクラブであったことも影響しているのかも知れません。首都圏には既にKLシティFC、スランゴールFC、PDRM FCがあり、地域性を考えると過去5年間に渡り、スーパーリーグでプレーするクラブがなかったプルリス州のクラブが3部リーグで8位という成績にもかかわらず選ばれたと考えると辻褄が合うように感じます。

失意のKLローヴァーズはシンガポールリーグ入りを申請か

昨季は3部のM3リーグで8位のプルリス・ユナイテッドFCの1部スーパーリーグ参加がほぼ決定した一方で、直前までスーパーリーグ入りが有力視されていた昨季のM3リーグ2位のKLローヴァーズは失望していると思いますが、そのKLローヴァーズが隣国のシンガポールリーグ入りを申請したと複数のメディアが伝えています。

スポーツ専門サイトのアストロ・アリーナは、KLローヴァーズがマレーシアアッカー協会(FAM)に送ったとされる、シンガポールリーグへの参加申請に関する公式文書をX上で公開しています。

また英字紙ニューストレイトタイムズは文書の内容を紹介していますが、そこには「KLローヴァーズは2024年シーズンについてはSリーグに参加すること希望する」とされており、(シンガポール)リーグ参加に関するシンガポールサッカー協会(FAS)の公式文書も添付されているようです。また「2季連続でM3リーグで2位となった実力を持つKLローヴァーズは(シンガポールの)リーグに参加して、マレーシアの名を高めることができると確信している。」とも書かれています。

またその他のメディアによると、KLローヴァーズは、現在9チーム編成となっているシンガポールプレミアリーグに参加するため、クラブライセンス申請を既に昨年の12月20日前に行っているとうことです。シンガポール国内では、10番目のクラブとしてウッドランズ・ライオンズFCとテンガFCがやはりクラブライセンス申請をFASに対して行っていましたが、ウッドランズFCは2月29日に申請が却下されており、テンガFCについては申請そのものがFASに受け付けられたかどうかも不明ということです。

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国内リーグが未整備だったシンガポールは、元は同じ国だったこともあり、シンガポールサッカー協会(FAS)が運営するシンガポールFAというクラブが長年、マレーシアリーグ(Mリーグ)でプレーしていました。シンガポールFAが1994年に解散し、自国リーグのシンガポールリーグ(当時)が1996年に発足した後も、FASはライオンズXIIといったクラブで2015年まではMリーグでプレーし、2013年にはリーグ優勝も果たしていました。また現在もシンガポールには既にアルビレックス新潟シンガポールとDPMM FC(ブルネイ)の2つの国外クラブがリーグに参加しており、KLローヴァーズが3番目の国外クラブとなるのかどうかに注目です。

MFLはクダとKLシティは給料未払い問題解決の最終期限を今月29日に設定

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、給料未払い問題を抱えるクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)とKLシティFCに対して、問題解決の最終期限を今月29日としたことを明らかにしています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、選手や監督、コーチに対する未払い給料について、分割での支払いが双方で合意されている場合、1回目の支払いの50%を今月15日までに、残りも今月29日までに支払うことを義務付けたと述べています。さらに、今回設けられた期限までに支払いが行われない場合には、クラブに対して罰金処分やトランスファーウィンドウ期間の新規選手獲得禁止、更にはスーパーリーグ参加に必要となるクラブライセンスの取り消し処分もありうるとしています。

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といった報道もありますが、ゴリ押ししてプルリス・ユナイテッドFCをスーパーリーグに参加させてリーグのチーム数を14にした以上、クダFCとKLシティFCのどちらかがクラブライセンスを剥奪されることは考えにくいです。またチーム数を偶数にするために一気に両クラブのライセンス剥奪もあり得ないので、結局両クラブにとっては痛くも痒くもない新規選手獲得禁止処分程度に収まり、マレーシア的な誰も傷つかないその場凌ぎの決着となりそうです。

3月7日のニュース
U23代表FWルクマン・ハキムが待望のJリーグデビュー
14番目のチームに逆転でプルリス・ユナイテッドが選出か
ジョホールは代表候補合宿日程ではなくW杯アジア予選日程に合わせて選手が代表合宿に参加することを発表

U23代表FWルクマン・ハキムが待望のJリーグデビュー

マレーシアU23代表のFWルクマン・ハキム・シャムスディンは、今年1月にベルギー1部のKVコルトレイクからJ3のY.S.C.C.横浜へ1年間の期限付きで移籍しています。既に開幕した今季のJ3リーグでは第2節まではベンチ外だったルクマン選手ですが、昨日行われたJリーグYBCルヴァンカップ1回戦のJ2水戸戦で待望のJリーグ初出場をはたしています。

Y.S.C.C.が67分の松村航希選手のゴールで1-0とリードする展開の中、77分に脇坂遼平選手に代わってピッチに立ったルクマン選手は、Jリーグの公式映像を見ると巧みなドリブルや効果的なパスを見せる場面もありました。チームはルクマン選手が投入された直後の79分に柳雄太郎選手が2枚目のイエローで退場、10名となりましたが、イエロー6枚をもらいながらもJ2クラブを相手に逃げ切っています。リーグ戦では1分1敗と未だ勝利が無かったY.S.C.C.ですが、この日の勝利で今季初勝利となりました。

2024 JリーグYBCルヴァンカップ1回戦
2024年3月6日@ニッパツ三沢球技場
観客:1,192人
Y. S. C. C. 横浜 1-0 水戸ホーリーホック
⚽️Y.S.C.C:松村航希(67分)
🟨Y.S.C.C(6)
🟨水戸(1)
🟥Y.S.C.C.(1)

この試合の数日前には、マレーシアメディアとのインタビューで、日本語ができない自分と英語ができないチームメートとの間のコミュニケーションが不十分なことから、基礎的な日本語を学んでいることをルクマン選手は明らかにしていました。また同時に、監督やコーチは積極的に助けてくれるものの、試合で使う日本語を覚える必要もあることから試合出場までにはもう少し時間がかかりそうだと話していましたが、思いのほか早いデビューとなりました。

ルクマン選手は4月中旬にカタールで開催されるAFC U23アジアカップに出場するマレーシアU23代表に選出されることが濃厚です。明後日3月9日にはJ3第3節の松本山雅FCがありますが、この試合を含め、日本を離れるまでにあと何度ベンチ入りできるかが気になるところです

スーパーリーグ14番目のチームに逆転でプルリス・ユナイテッドが選出か

給料未払い問題の未解決により今季のスーパーリーグ出場に必要なクラブライセンスが交付されなかったクランタンFCは、下部リーグでプレーすることが決まっています。スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、クランタンFCに代わる新たなチームをセミプロリーグのM3リーグのクラブから募り、審査を経た上で14番目のチームとする特例措置を発表しています。

このブログでも昨季M3リーグ2位のKLローヴァーズが最も有力という記事を取り上げましたが、ここにきて大逆転劇の様相を呈してきたようだと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。昨季M3リーグ1位のイミグレセン(入国管理局)FCがスーパーリーグ参加に積極的ではないことが明らかになると、2位のKLローヴァーズが俄然注目を浴びていました。しかしニューストレイトタイムズは、昨季M3リーグで9勝5分10敗で8位に終わったプルリス・ユナイテッドが条件付きながらも、クラブライセンスの交付を受けたようだと報じています。

マレーシア最北端にあり、タイと国境を接するプルリス州を本拠地とするプルリス・ユナイテッドは2003年創設の新しいクラブです。プルリス州には、州サッカー協会が運営していたプルリスFAというプロクラブがあり、2005年にはスーパーリーグ優勝、2004年と2006年にはマレーシアカップ優勝などの実績があるチームでしたが、2019年に給料未払い問題により出場していた2部プレミアリーグでシーズン開幕後3試合でリーグ除名の重い処分を受け、チームは解散しています。さらに外国籍選手への給料未払い問題によりFIFAからも2年間の活動停止処分を受けるなど、その影響は大きく、プルリス州のクラブはマレーシアリーグに存在しませんでした。

しかしFIFAの処分が解けるとプルリスFA時代のチームの愛称にちなんだプルリス・ーザン・ライオンズFCが発足し、M3リーグへ参加しましたが、運営に元プルリスFAの関係者が関わっていることや、MFLが進めていた「民営化」に対して州政府からの資金提供があることが明らかになるとこのクラブのMリーグ参加は頓挫し、州リーグでプレーしていたプルリス・ユナイテッドFCの名称を使って、2022年より新たにM3リーグに参戦しているという経緯があります。

このブログでも何度か取り上げていますが、マレーシアのサッカーは元は州代表チームによる対抗戦、マラヤカップが元となっていることから、州政府が資金提供し、州サッカー協会がクラブを運営するというのは自然の流れでした。しかしMFLがクラブの「民営化」方針を打ち出し、州政府からの公金による支援ではなく、企業スポンサー獲得と、州サッカー協会から完全に切り離されたクラブ運営を求めたことで、資金供給元を失ったクラブが給料未払い問題を起こす状況が続いています。、

ジョホールは代表候補合宿日程ではなくW杯アジア予選日程に合わせて選手が代表合宿に参加することを発表

マレーシアスーパーリーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、1月のAFCアジアカップ2023では代表26名中、14名が所属するクラブです。また、今月1日にマレーシアサッカー協会(FAM)が発表した代表候補合宿参加者33名中、9名がJDTの選手となっています。

明日3月8日から始まるこの代表候補合宿を前に、そのJDTが声明を公式SNSで発表し、JDTの選手は3月15日から代表候補合宿に参加するとしています。JDTのアリステア・エドワーズCEOの名で出された声明では、3月22日にオマーンで行われるFIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選に向けた代表候補合宿について、JDTの選手は試合の1週間前の3月15日から合宿に参加するとしています。「他国の代表チームは、FIFA国際マッチカレンダー期間に合わせて各クラブから選手を招集するのが一般的である。(今回のFIFA国際マッチカレンダー期間は3月18日から26日までだが)JDTはFIFAの規定に則り3月18日に選手をリリースすれば良いにもかかわらず、それよりも早い3月15日に合宿参加を認める。」としています。

また、代表合宿合流が他の選手より遅れることについては「代表選手の大半がJDTの選手であり選手相互の理解は十分である。またJDTは既にプレシーズントレーニングを始めており、高強度のトレーニングを世界でもトップクラスの施設で行っているためフィットネスについても問題がない」と説明して、試合1週間前の合宿参加への理解を呼びかけています。

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今季のスーパーリーグは5月開幕ということもあり、プレシーズンのトレーニングを始めていないクラブもあることから、長期間の代表候補合宿の開催となったのだと思いますが、そこは唯我独尊と言いませんが、JDTの環境は、代表チームの練習環境よりも遥かに整っているのは事実であり、しかも規則を遵守するどころかその前に選手をリリースすることを表明するなど、FAMにとっても、キム・パンゴン監督にとっても、今回の発表内容には全く反論の余地がなさそうです。

3月6日のニュース
給料未払い問題は解決?クダが複数の元代表選手の加入を発表
元クランタンFC監督のサーティイト氏がクランタン・ユナイテッド新監督の候補に
前ヌグリスンビランFC監督は今季は3部のマラッカFC監督に就任
フットサルリーグMPFL第3節-ジョホールは開幕3連勝

給料未払い問題は解決?クダが複数の元代表選手の加入を発表

昨日のブログではクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)から外国籍選手8名を含む13名の選手が退団したニュースを取り上げましたが、今度はいずれもクダFCでのプレー経験を持つ元代表選手を含む4名の加入を発表しています。

今回発表されたのはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)から1年間の期限付きで移籍するFWシャフィク・アフマドと、いずれもサバFCから移籍するDFリザル・ガザリとDFイルファン・ザカリアの元代表組とヌグリスンビランFCから移籍するザムリ・ピンです。

28歳のシャフィク選手は2013年にクダFCでプロデビューし、2017年までプレーした後、JDTへ移籍しています。その後は代表でもプレーしW杯予選でゴールを挙げるなど活躍しましたが、近年はJDTでは出場がありませんでした。2022年に期限付きでクダFCに移籍し9試合で2ゴールを挙げたものの、半年でJDTに復帰しており、今回が3度目となるクダFC在籍中に結果を残すことができれば、代表復帰への足掛かりとなりそうです。

また31歳のリザル選手は2014年から2021年までクダFCで主に右SBとしてプレーし、マレーシアカップ優勝やFAカップ優勝も経験していおり、シャフィク選手同様、強かった時のクダを知る選手でもあります。また過去2シーズンプレーしたサバFCでは主力として2季連続の3位に貢献していすまが、今回は家族と両親の住むクダへ戻ることを優先したことが移籍の理由と話しています。

28歳のセンターバック、イルファン・ザカリアも2020年にクダFCでプレー後、出身地のKLシティFCへ復帰すると2021年にはマレーシアカップ優勝、2022年にはAFCカップ準優勝も経験しています。

また32歳のザムリ・ピンは昨季はヌグリスンビランFCで主に左SBとして14試合に出場(先発10試合)しています。

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サファウィ・ラシドやアキヤ・ラシド(いずれもトレンガヌFCに期限付き移籍)といったJDTでは出番がなくなっていた選手の移籍先が決まる中、去就がはっきりしていなかったシャフィク・アフマドのクダFC加入が決まりました。このブログで何度も取り上げているように給料未払い問題の解決が見えない中でシャフィク選手を含めた4名の加入は、リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)がクダFCのクラブライセンスを剥奪し、下部リーグへ降格させることはないという兆候と受け取ってよさそうです。

元クランタンFC監督のサーティイト氏がクランタン・ユナイテッド新監督の候補に

タイ1部リーグで低迷するポリス・テロFCに前マレーシア代表監督のタン・チェンホー氏が就任しましたが、同クラブでコーチを務めるサーティット・ベンソー氏がマレーシアスーパーリーグで昨季は12位に終わったクランタン・ユナイテッドFCの監督候補に上がっていると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。

マレーシアとの国境に近いタイ南部のハジャイ出身のサーティット氏は、タイの強豪BGパトゥム・ユナイテッドの前身バンコク・グラスや、出身地のハジャイFCやパタニFCなどのクラブで指導した後、2017年にはクランタンFCのコーチに就任しています。さらに当時のザハスミ・イスマイル監督退任後は監督代行なども務めた後、2018年シーズンは正式にクランタンFCの監督に就任しましたが、開幕から2分1敗の成績を残すと解任されています。

クランタン・ユナイテッドは、1月のアジアカップ2023 ではパレスチナ代表として全ての試合に先発したMFオディ・ハロウブの加入なども発表していますが、昨季監督を務めたアイルトン・シルヴァ氏が退任して以降はその公認が発表されていません

前ヌグリスンビランFC監督は今季は3部のマラッカFC監督に就任

昨季はスーパーリーグのヌグリスンビランFCで監督を務めたK・デヴァン氏が、今季は3部にあたるM3リーグのマラッカFCの監督に就任することが発表されています。

デヴァン氏は2021年シーズンから昨季までヌグリスンビランFCで監督を務め、80試合で35勝21分24敗という成績を残しています。スランゴールFA(現スランゴールFC)の監督時代は、2009年と2010年にスーパーリーグ連覇を果たし、2009年にはFAカップ優勝も経験しているデヴァン氏をに対して、マラッカFCのヌル・アズミ・アフマドオーナーは、来季の1部スーパーリーグ昇格のためにはデヴァン氏の経験が必要であると話しています。

フットサルリーグMPFL第3節-ジョホールは開幕3連勝

マレーシアプレミアフットサルリーグ(MPFL)の第3節が行われ、開幕から連勝していた唯一のチーム、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、シャー・アラムシティを4−1で破り3連勝を果たすとともに、リーグ首位を守っています。

スター軍団のJDTは開始わずか1分でカイオ・セザールのゴールで先制すると、前半でリードを3点に広げると、後半はGKアイマン・フィクリの攻守などもあり、シャー・アラムシティの反撃をイサイアス・フィゲイレードの1点に抑えて勝利しています。

また開幕からまさかの2連敗と苦しむスランゴールFCは若きエースシャヒル・イクバルが先制ゴールを挙げると、ウェル・ペレイラの2ゴールなどでリードを広げ、やはり開幕から2連敗中だったクアラ・ルンプールシティFCを6-1で破り、今季初勝利を挙げています。

この他、前節のサバFA戦で5ゴールを挙げる活躍を見せたゴンバックTOTのグントゥル・スリストヨ・アリウィボワが今節のトレンガヌ戦でも2ゴールを挙げて、チームの連勝に貢献するとともに通算7ゴールとして得点王争いの1位を守っています。

3月5日のニュース
新装のアセアン三菱電機カップ2024にはACL出場クラブの選手を招集できない可能性が浮上
ペラが新戦力の加入を発表
クダは外国籍選手8名全員を含む13名との契約を延長せず

タイでプレシーズンのトレーニングを行なっているスランゴールFCは、今年初となる対外試合でタイ2部のサムット・プラーカーンシティFCを0-6で破って勝利を挙げたというニュースが報じられています。前半はいずれもU23代表のハリス・ハイカルとムカイリ・アジマルのゴールで2-0とリードすると、後半は新加入のFWロニー・フェルナンデスが2ゴール決めるなど、タイ2部リーグで現在13位のチームを突き放して勝利しています。またそのスランゴールFCは先月末にタン前監督が辞任して以来、コーチのニザム・ジャミル氏が監督代行で指揮を取っていますが、クラブのジョハン・ハミドンCEOは新監督候補に「これまでマレーシアでの指導経験がない外国人監督」3名が最終候補に上がっていることを明らかにしています。その中には前タイ代表監督のアレシャンドレ・「マノ」・ポルキン氏の名前も挙がっています。またマレーシア人の候補はおらず、やはり新監督候補として噂に上がっていたクダ・ダルル・アマンFC監督のナフジ・ザイン氏が就任する可能性はなさそうです。なおこの他にもケニア代表監督でトルコ出身のエンギン・フィラット氏、元クウェート代表監督で現在はサウジアラビア2部ハジェルFCを指揮するクロアチア出身のロディオン・ガチャニン氏、カメルーンやタイ、ジャマイカで代表監督経験があるドイツ出身のヴィンフリート・シェーファー氏らからも監督就任希望があったものの最終候補には残らなかったことをハミドンCEOは明らかにしています。

新装のアセアン三菱電機カップ2024にはACL出場クラブの選手を招集できない可能性が浮上

東南アジア王者を決める東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権は、そのスポンサー名から前回大会よりAFF三菱電機カップと呼ばれています。しかし今年11月に開幕する第15回大会はアセアン(ASEAN)三菱電機カップ2024と名称が変更され、これに伴い新たな大会ロゴも発表されています。

今回は11月23日から12月21日までの予定で開催されるこの大会では、東南アジア地域の10ヵ国の代表が優勝を争い、その組み合わせ抽選は5月21日にベトナムのハノイで行われるようです。しかし秋春制以降を目指すAFCの日程では、この時期はACLエリート(ACLE)とAFCカップから名称が変更されるACL2の開催時期でもあります。ACLEは11月25日から27日にグループステージ第5節が、12月2日から4日に同第6節が予定されており、またACL2は11月26日から28日までと12月2日から4日までがそれぞれグループステージ第5節と第6節となっています。

今季のACLEには昨季のマレーシアスーパーリーグチャンピオンのジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が、ACL2に同2位のスランゴールFCが出場します。このためACLE、ACL2と日程が重なってしまっているアセアン三菱電機カップ2024に出場するマレーシア代表は、JDTとスランゴールFCの選手以外で編成する必要がありそうです。

今年1月のアジアカップ2024に出場したマレーシア代表は、26名中JDTの選手が14名、スランゴールFCの選手は3名含まれており、代表のキム・パンゴン監督にとって代表チームの編成は頭の痛い問題になりそうです。

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この問題はマレーシアのクラブだけではなく、東南アジアの他のクラブにも影響を与えそうです。ACLEには現在開催中の2023/24シーズンのタイ1部リーグのチャンピオンも出場しますし、ACL2にはタイ1部リーグ2位の他、シンガポールのライオンシティ・セイラーズFCや、ベトナムやフィリピン1部リーグのチャンピオンも出場することから、これらの国々の代表チームは少なからず戦力ダウンすることになります。

ペラFCが続々と新戦力の加入を発表

昨季は6勝4分16敗で11位に終わったペラFCは、ブラジル出身のMFルイス・モッタの加入をクラブ公式SNSで発表しています。26歳のモッタ選手はサン・パウロ州2部のコメルシアウFC から移籍し、今季は9試合に出場して5ゴールを挙げているということです。

ペラFCは昨季からプレーするMFルチアーノ・ゴイコチェア(アルゼンチン)、MFサンディ・アフォラビ(ナイジェリア)、FWルカ・ミルノヴィッチ(セルビア)、DFイェスペル・ニホルム(フィリピン)の4名に加えて、これまでに元韓国U17代表で20歳のFWイ・テミン(韓国、同国2部釜山アイパークFCより加入)、キルギスU23代表でキャプテンを務める21歳のDMFアディレト・カヌベコフ(キルギス、同国1部FKネフチ・コチコルアタより加入)の加入を発表しています。

またペラFCはマレーシア人選手も、ジョホール・ダルル・タジムFCのセカンドチーム、JDT IIから元U23代表GKハジク・ナズリ(期限付き移籍)、PDRM FCからGKラマダン・ハミド、トレンガヌFCからMFアズファル・フィクリ、ヌグリ・スンビランFCからDFトミー・マワト、クランタン・ユナイテッドからDFアリフ・アル=ラシドが新たに加入し、マレーシア語紙ハリアン・メトロは今季のペラFCは昨季と比べて70パーセント以上の選手が入れ替わるだろうと報じていました。

クダFCは外国籍選手8名全員を含む13名との契約を延長せず

一方、昨季1は7勝2分7敗で4位となったクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)は昨季在籍した外国籍選手8名全員の契約を延長しないことをクラブ公式SNSで発表しています。このブログで何度も取り上げているように、クダFCは4ヶ月分の未払い給料がある中で、その成績の如何にかかわらず、契約延長するだけの資金がないということなのかも知れません。

クダFCが退団を発表したのはスーパーリーグ通算74ゴールを挙げているFWイフェダヨ・オルセグン(ナイジェリア)、DFボヤン・シーゲル(セルビア、既にウズベキスタン1部ネフチ・フェルガナに加入)、1月のアジアカップ2024ではバーレーン代表としてプレーしたMFモーゼス・アテデ、MFアミールベク・ジュラボエフ(タジキスタン、FWエベネゼル・アシフアー(ガーナ)、DFアラン・ロバートソン(南アフリカ)、FWジョナタン・バロテッリ(ブラジル、既にマケドニア1部のFKマケドニヤ・ジョルチェ・ペトロフに加入)、そしてジョホール・ダルル・タジムFCへ移籍後、今季はスリ・パハンFCに期限付き移籍する元シェフィールド・ウエンズデイU21のマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)の8名です。

またマレーシア人選手ではクチンシティFCに加入したDFロドニー・ケルヴィンやMFミオール・ダニ・アムリン(クランタンFCからの期限付き移籍終了)、DFアズリン・アフィク(スランゴールFCからの期限付き移籍終了)、FWザルメイン・アシュラフ、MFファイザル・タリブの5名が退団することをクラブ公式SNSで発表しています。

3月3日のニュース
アジアのクラブランキング発表-ジョホールはアジア13位、東南アジアでは2位
タン前スランゴール監督が辞任の真相を語る
給料未払い問題を抱えるKLシティからまた選手流出-U23代表FWがスリ・パハンへ
前KLシティのFWチェチェ・キプレはクチンシティへ

スランゴールFCがプレシーズンのトレーニングを行うためタイのバンコク入りしています。来週3月8日から始まるW杯予選オマーン戦に向けた代表候補合宿に参加する8名も帯同しているようですが、バンコクと言えば2月28日に突然、スランゴールFCとの契約を解除したタン・チェンホー氏が監督に就任したタイ1部リーグのポリス・テロFCの本拠地もあります。タイ1部リーグの真っ只中ですが、ポリス・テロFCはスランゴールFCとの練習試合などを組むのでしょうか。

アジアのクラブランキング発表-ジョホールはアジア13位、東南アジアでは2位

国際サッカー連盟(FIFA)がクラブW杯2025に向けたクラブランキングを発表し、マレーシアスーパーリーグで10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がアジアで13位となっています。ACLの常連とも言えるJDTは通算成績が8勝2分9敗、2022年はベスト16に進出したものの、それ以外はいずれもグループステージで敗退しており、コンペティションポイント12、マッチポイント26の合計38ポイントを獲得しています。

なお東南アジアの1位(アジア9位)は2021年はACLベスト16、2022年はベスト8に進出しているBGパトゥム・ユナイテッド(タイ)でコンペティションポイント18、マッチポイント28の合計46ポイントを獲得しています。東南アジア3位以下はバンコク・ユナイテッド(タイ、通算21ポイント)、ライオンシティ・セイラーズFC(シンガポール、同19ポイント)、チェンライ・ユナイテッド(タイ、同15ポイント)と続いています。

タン前スランゴール監督が辞任の真相を語る

今季のスーパーリーグ開幕を5月に控え、プレシーズンのトレーニング中だったスランゴールFCの監督を辞任したタン・チェンホー氏は今日のニュースの先頭にも書いたようにタイ1部リーグのポリス・テロFCの監督に就任しています。その辞任があまりにも唐突だったことからSNS上では様々な憶測が飛び交う中、タン氏が英字紙ニューストレイトタイムズとのインタビューに応じています。

SNS上では、ポリス・テロFC監督就任はマレーシアスーパーリーグの「南部に本拠地を持つ」他のクラブで監督を務めるための「仮の」監督就任なのでは、といった意見も見られますが、タン氏は「マレーシア国外でクラブを指揮したい」という長年の夢を実現する機会であることからオファーを受けたと説明しています。

「SNS上の噂は正しくない、確かにポリス・テロFCは現在(対1部リーグで)14位だが、来季以降も契約が延長されるかどうかは確定していおらず、今季中に結果を出すことが求められている。今季は2016年以来となるアジアの舞台であるACL2への出場が決まっているスランゴールFCを離れることは苦渋の決断だったが。(ポリス・テロFCからの)オファーは突然舞い込み、決して楽な状況にいるクラブではないことも分かってはいたが、『マレーシア国外でクラブを指揮したい』という自分の希望をクラブの会長でもある(スランゴール州皇太子の)トゥンク・アミル・シャー殿下の承諾されたので、オファーを受けることにした。今回の自分の挑戦が他のマレーシア人指導者にも国外で指導する先鞭をつけられれば良いとも思っている。」とインタビューで答えています。

タン新監督のポリス・テロFC初戦は1-1の引き分けに

そのタン新監督は、昨日3月2日に監督初戦となるナコーンパトム・ユナイテッドFCに臨み1-1で引き分け、ちーむは連敗を4で止めています。前節はマレーシア代表のDFディオン・コールズが所属するリーグ王者で今季もリーグ首位のブリーラム・ユナイテッドに2-6と惨敗していたポリス・テロFCですが、この日は伊藤卓選手が所属するリーグ8位に先制を許したものの、今年1月に加入し、今季2試合目の先発出場となったコンゴ出身のジュベル・ツォモウが同点ゴールとなるPKを決めて引き分けに持ち込んでいます。

給料未払い問題を抱えるKLシティからまた選手流出-U23代表FWがスリ・パハンへ移籍

給料未払い問題を抱えるKLシティFCは、既にコロンビア出身の帰化選手FWロメル・モラレスや、DFデクランとMFライアンのランバート兄弟(いずれもジョホール・ダルル・タジムFCへ移籍)、MFアクラム・マヒナン(トレンガヌFCへ移籍)、U23代表GKアジム・アル=アミン(スランゴールFCへ移籍)らがチームをさっていますが。そして今度はスリ・パハンFCがKLシティFCからU23代表FWのT・サラヴァナン獲得し、2年契約を結んだことをクラブ公式SNSで発表しています。

昨季は左ウィングで起用されることが多かったサラヴァナン選手は、21試合に出場し(うち先発16試合)、2ゴール1アシストという成績を残しています。また先日発表された、今月21日と26日に行われる2026W杯アジア2次予選オマーン戦に向けた代表候補合宿にも招集されています。

スリ・パハンFCはウクライナ出身のFWミコラ・アハポフや前ジョホール・ダルル・タジムFCのDFアダム・ノー・アズリンやFWショーン・セルヴァラジ(ヌグリスンビランFCから移籍)など既に6名の加入を発表しています。

前KLシティのFWチェチェ・キプレはクチンシティへ

昨季はスーパーリーグ13位に終わったクチンシティFCは、昨季途中までKLシティFCでプレーしていたコートジボアール出身のFWチェチェ・キプレの加入をクラブ公式SNSで発表しています。

36歳のキプレ選手は2017年にトレンガヌFA(現トレンガヌFC)に加入すると2019年までプレーし、2020年にはクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)に移籍していますが、その当時のクダFCの監督は現在クチンシティFCを率いるアイディル・シャリン監督でした。その後、2022年にはトレンガヌFCに復帰し、昨季はKLシティFCでプレーしていました。

今季でマレーシアでのプレーが8年目となるキブレ選手は、2022年にはスーパーリーグ2位とFAカップ準優勝、また昨季はFAカップ準優勝を経験しています。ここ数年間のクチンシティFCは、絶対的なエースのアブ・カマラがいながらも彼の好不調がそのままチームの成績となっていただけに、スーパーリーグ通算では100試合に出場して50ゴール24アシストという成績を残しているキブレ選手の加入は大きな戦力アップになりそうです。

クチンシティFCには新たに2年契約を結んだチーム3季目となる新婚の谷川由来選手が在籍していますが、今季は長身CBのジェイムズ・オクウォサがPDRM FCから加入、またマレーシア人選手では代表経験のあるFWシャミー・イスズアン、さらにDFロドニー・ケルヴィンなどを補強しています。

3月2日のニュース
今月下旬のW杯予選に向けた代表候補合宿に大挙33名を招集
MFL-給料未払い問題のクダとKLシティのライセンス剥奪は「最後の手段」
MFLはリーグ新規参入濃厚のKLローヴァーズに投資の中国企業について情報提示を求める

今月下旬のW杯予選に向けた代表候補合宿に大挙33名を招集

今月21日にはマスカット(オマーン)で、そして26日にはクアラ・ルンプールで予定されているFIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選に向けた代表候補合宿が3月8日から始まるのを前に、その参加者33名をマレーシアサッカー協会(FAM)が公式サイトで発表しています。

氏名年齢所属
GK*#シーハン・ハズミ28JDT
スハイミ・フシン30TRE
*#アズリ・ガニ25KLC
*#シーク・イズハン22
DF*#マシュー・デイヴィーズ29JDT
*#ラヴェル・コービン=オング33JDT
*#シャールル・サアド31JDT
*#ジュニオール・エルドストール33JDT
#シャルール・ナジーム25SEL
ハリス・ハイカル22SEL
ジクリ・カリリ22SEL
V・ルヴェンティラン23SEL
#アザム・アズミ23TRE
サフワン・マズラン22TRE
*#ドミニク・タン27SAB
*#ダニエル・ティン32SAB
*#ディオン・コールズ28BRU
MF*#エンドリック・ドス・サントス29JDT
*シャミル・クティ27JDT
#ムカイリ・アジマル23SEL
#ノーア・レイン22SEL
*#スチュアート・ウィルキン26SAB
*#ブレンダン・ガン
FW*#アリフ・アイマン22JDT
*ロメル・モラレス27JDT
*#ファイサル・ハリム26SEL
アリフ・イズワン20SEL
*#サファウィ・ラシド27TRE
*#アキヤ・ラシド25TRE
*#ダレン・ロック34SAB
*#パウロ・ジョズエ35KLC
ハキミ・アジム21KLC
T・サラヴァナン27SRP
*はアジアカップ2023、#はW杯予選キルギス戦と台湾戦で代表選出された選手
所属チーム:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SEL-スランゴールFC、SAB-サバFC、SRP-スリ・パハンFC、TRE-トレンガヌFC、KLC-KLシティFC、PEN-ペナンFC、BRU-タイ1部ブリーラム・ユナイテッドFC

キム・パンゴン代表監督は、1月のアジアカップ2023出場メンバー26名中21名を再び招集しています。またアジアカップ2023出場メンバー以外では、アザム・アズミ(トレンガヌFC)、シャルル・ナジーム、ムカイリ・アジマル、ノーア・レイン(以上スランゴールFC)が昨年11月の2026W杯アジア2次予選キルギス戦と台湾戦以来、代表に復帰しています。(ただしアザム・アズミはケガにより招集辞退)

また今回初めて代表に招集された12名にはU23代表のメンバーが含まれており、これらの選手は3月15日から予定されているU23代表合宿に参加するため、いわば「経験」目的の招集だと考えられます。また、スランゴールFCを退団し、去就が決まっていないブレンダン・ガンは昨年11月のW杯予選、1月のアジアカップ2023に続いて招集されています。

なおアジアカップ2023出場メンバーからは、MFナチョ・インサ、MFアフィク・ファザイル、MFモハマドゥ・スマレ、DFシャーミ・サファリ(以上JDT)、DFクザイミ・ぴー(スランゴールFC)の5名が外れています。

この代表候補メンバー発表後、キム監督は「FIFA国際マッチカレンダーは3月18日から26日までだが、選手の中には(5月のスーパーリーグ開幕を前に)プレシーズンのトレーニングを始めたクラブ所属の選手もいれば、またトレーニングを始めていないクラブの選手もいることから、代表チームとしては早めの準備を行うために、U23代表の選手も含めて、3月8日から代表候補合宿を行うこととした。クラブと話し合いの上、今回の33名中の数名はクラブでのトレーニングを経て、1週間遅れの3月15日から合宿に参加する者もいる。」という声明を発表しています

*****

3月21日にアウェイで、26日はホームでオマーン戦を控えるわけですが、その前の練習試合の日程などは全く発表されていません。上でも書いたように5月のリーグ開幕までは時間があるため、JDTやスランゴールFCなど既にプレシーズンを始めているクラブがある一方で、給料未払い問題を抱え、できるだけ選手との契約期間を短くしたKLシティFCなどはまだプレシーズンのトレーニングを始めていません。キム監督は練習試合を行うだけのフィジカルレベルに達していないという心配があるのかも知れませんが、キルギス、台湾に連勝し予選D組の首位に立つマレーシアは、今回の2試合のどちらかで1勝すれば3次予選進出が見えてきます。それだけにアジアカップ2023の最終戦となった1月25日の韓国戦から実戦なしでこの重要な2試合に臨むのは正直、不安しかありません。

MリーグCEO-給料未払い問題のクダとKLシティのライセンス剥奪は「最後の手段」

このブログでも何度も取り上げているクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)とKLシティFCの給料未払い問題ですが、マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)のスチュアート・ラマリンガムCEOは、給料未払い問題の解決は重要だが、それを理由にクラブライセンスを剥奪するのは実践的な解決にはならないと述べています。

スチュアートCEOは両クラブの給料未払い問題を軽視しているわけではないと断った上で、(今季のスーパーリーグへの参加ができなくなる)国内クラブライセンス剥奪は、クラブとの話し合いでは問題が解決できない場合にのみ検討したいと話しています。

「もし国内クラブライセンスを剥奪すれば、クラブは解散する可能性がある。そうなると最大の被害を被るのは、未払い給料問題が解決されないまま放置される選手である。そういった事態とならないよう、ライセンス剥奪は選手への未払い給料問題が解決することが前提となる。」と述べているラマリンガムCEOは、いずれも給料未払い問題を理由に2023年シーズンのライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドFCやサラワク・ユナイテッドFC、そして今季のライセンスが交付されなかったクランタンFCを例に挙げて、MFLはこれまでも給料未払い問題に真剣に向き合っていることを強調しています。

このブログでは昨日、クダFCが未払い給料問題を解決する資金の目処がついたというニュースを紹介しましたが、MFLは問題解決の期限として新たに設けた3月5日までに資金源の詳細な情報と、4か月分とされる未払い給料支払いまでの日程などについて追加の報告を求めていることを発表しています。さらにスチュアートCEOは、これ以上の問題解決期限の延期はできないとして、クダFCが置かれている状況は非常に深刻であるとも述べています。

MFLはリーグ新規参入濃厚のKLローヴァーズに投資の中国企業について情報提示を求める

未払い給料問題未解決により昨季14位のクランタンFCは国内クラブライセンスが交付されず、スーパーリーグ撤退を余儀なくされたことから、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、新たな14番目のクラブとして、アマチュアフットボールリーグ(AFL)が運営するセミプロリーグである国内3部のM3リーグから特例として参入希望クラブを募っています。その中で昨季M3リーグ優勝のイミグレセン(入国管理局)FCは昇格を望んでいないことから、リーグ2位のKLローヴァーズFCが最有力候補とされています。(注:現在MFL傘下の国内2部リーグ、プレミアリーグは休止中のため、3部のM3リーグから1部リーグスーパーリーグへの参入が可能になっています。)

スーパーリーグ参入を求めるクラブは、財務状況や運営形態といったソフトの面や、練習施設、ホームスタジアムなどハードの面など様々な審査を経て参入の可否が決まりますが、参入クラブに対するMFLの公聴会の日程が5月4日から5月10日に延期されたことが発表されています。またこれに関連して、MFLはKLローヴァーズFCに投資している中国企業に関するより詳しい情報の提供を求めているとマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、KLローヴァーズFCから提出されている書類に中国企業がクラブの株を保有している記載があったことは認めた上で、この中国企業に関する情報が不十分だとしています。マレーシアサッカーにおいては初めてとなる国外企業によるクラブの買収ということもあり、国内クラブライセンスを交付する第一審機関(FIB)の審査も慎重になっているようです。

KLローヴァーズFC運営会社のアシュラフ・マズラン社長は、この中国企業はマレーシア国内に工場を持つ企業で、既に100万リンギ(およそ3200万円)でクラブの株式を購入しており、今後はさらに投資を行い最大株主になることを目指しているということです。

3月1日のニュース
タン前スランゴールFC監督が正式にポリス・テロFC監督に就任
スランゴールFCの新監督候補に前KLシティ監督ボヤン・ホダック氏らが浮上
給料未払い問題のクダは資金調達の目処が立つも選手への支払いは4月以降に
サッカー協会会長-U23アジアカップにアリフ・アイマン出場の可能性は低い

アジアカップ2023では決勝に進み、優勝したカタール代表に敗れて準優勝となったヨルダン代表でプレーしたMFノー・アル=ラワブデが所属するスランゴールFCのプレシーズントレーニングに参加しています。なおアル=ラワブデ選手は昨季はスランゴールFCで26試合に出場しています。

タン前スランゴールFC監督が正式にポリス・テロFC監督に就任

タイ1部リーグのポリス・テロFCは、クラブ公式SNSで前スランゴールFC監督のタン・チェンホー監督の就任を発表しています。2月29日にバンコク入りしたタン新監督は早くもクラブの練習に顔を出すなど精力的に活動しています。

ポリス・テロFCは16チームで編成されるタイ1部リーグで今季はここまで5勝4分10敗で現在14位、最下位のプラチュワップFCとは勝点差3となっていますが、残り11試合で順位をどこまで上げられるのか、前マレーシア代表監督でもあったタン新監督の手腕に注目です。

スランゴールFCの新監督候補に前KLシティ監督はボヤン・ホダック氏らが浮上

英字紙ニューストレイトタイムズは、タイ1部のポリス・テロFC監督に就任するためにスランゴールFC監督を辞任したタン・チェンホー氏の後任候補として、前KLシティFC監督で、現在はインドネシア1部リーグのプルシブ・バンドン監督のボヤン・ホダック氏と、現クダ・ダルル・アマン監督のナフジ・ザイン氏の名前を挙げています。

今季のACL2に出場するスランゴールFCには、経験と実績のある監督が必要であり、さらに今季リーグ11連覇を目指すジョホール・ダルル・タジムの牙城を崩せる能力がある監督として挙げられているのがホダック氏です。クロアチア出身のホダック氏は、KLシティFCではマレーシアカップ優勝1回、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)ではリーグ優勝1回、クランタンFCではリーグ優勝1回、マレーシアカップ優勝1回、FAカップ優勝2回と、その実績は素晴らしいものがあります。

またマレーシア国外では、2011年にカンボジアリーグのプノンペン・クラウンを率いてリーグ優勝、また現在指揮を取るブルシブ・バンドンも監督に就任した昨年7月は14位でしたが、現在はリーグ2位まで引き上げています。またマレーシアU19代表の監督としても2018年の東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権で優勝、2019年に準優勝という成績を残しています。なおこのホダック氏は、数年前にスランゴールFC監督就任の噂もありましたが、その際には実現しませんでした。

また現在クダ・ダルル・アマンFC(クダFC)監督のナフジ・ザイン氏は、評価が高いマレーシア人監督で、2019年シーズン途中から指揮したトレンガヌFCでは、2022年にリーグ2位、FAカップ準優勝という成績を残しています。昨季から就任したクダFCでは、4ヶ月にも及ぶ給料未払い問題を抱えながら、チームを前年のリーグ8位から4位へと引き上げています。.

スランゴールFCは、ニザム・ジャミルコーチを暫定的に監督代行に指名していますが、ACL2を控えるスランゴールFCがこのままニザム監督代行を監督に昇格させるとは思えず、開幕までの2ヶ月間で新監督を探す必要がありそうです。

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ホダック、ナフジ両氏やニザムコーチ以外では、大穴としてフアン・トーレス現マレーシアU23代表監督の名前も挙がっています。4月開幕のAFC U23アジアカップに出場するマレーシアU23代表監督の引き抜きは果たして起こるのでしょうか。

給料未払い問題のクダは資金調達の目処が立つも選手への支払いは4月以降に

昨季の給料未払い問題を抱えるクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)は、今週末までに問題解決の具体策を提出することをマレーシアンフットボールリーグ(MFL)に求めてられていましたが、昨日、クラブ公式SNS上で資金調達の目処がついてことを発表しています。

シャールル・サムスディンCEO代行の名前で発表された投稿によると、クラブオーナーのダウド・バカル氏とクラブの取締役会が未払い給料問題解決のための資金を「某団体」から受けとることになったということです。しかしながら、その資金は来月4月にならなければ入金されないということで、MFLと国内クラブライセンスの交付を行う第一審機関(FIB)に状況を報告したところ、問題解決の期限をMFL理事会の前日となる3月5日まで延長することを認められたことを報告しています。

資金調達先が見つかりながら、期限までに未払い給料問題が解決できない可能性が残ったクダFCがどのように対処するのか、また解決できなかった場合にMFLがどのような処分を下すのかも気になるところです。現在のMFLは2部プレミアリーグが休止中でどんなに酷い成績であっても下部リーグへの降格の心配はないため、勝点剥奪といった処分では、クダFCは来季も1部スーパーリーグ残留となり、罰則効果は皆無です。

サッカー協会会長-U23アジアカップにアリフ・アイマン出場の可能能性は低い

来月4月にカタールのドーハで開幕するAFC U23アジアカップ。2大会連続出場のマレーシアですが、マレーシアサッカー協会(FAM)の公式サイトでは、U23代表候補合宿などの予定は未だ何も告知されていません。そんなU23代表の最近の話題は、FWアリフ・アイマンが(ジョホール・ダルル・タジムFC、JDT)が招集されるのかどうかということです。

1月のアジアカップ2023に出場し1ゴールを決めるなどA代表では既に中心選手となっているアリフ選手の招集については、ネット上でも様々意見が飛び交っています。そんな中でFAMのハミディン・アミン会長は、選手の選考はフアン・トーレス監督の専権事項であると前置きをした上で、アリフ選手の招集には否定的な意見を述べています。

トーレスU23代表監督からは、パリ五輪のアジア予選を兼ねるU23アジアカップの出場候補選手のリストはまだ受け取っていないと話したハミディンFAM会長は、アジアカップ2023ではグループステージ3試合全てに先発するなどA代表でのプレーを終えたばかりのアリフ選手の招集は容易ではないだろうと話しています。「例えばヨーロッパでは、A代表でプレーする選手が年代別代表でもプレーするケースは稀である上、出場できる試合全てでアリフ選手がプレーすれば、疲労の蓄積により代表でも、また所属するJDTでもプレーの質が下がってしまう懸念がある。」と述べています。

4月15日に開幕するAFC U23アジアカップ2024では、マレーシアはウズベキスタン、ベトナム、クウェートとともに予選D組に入り、マレーシアの初戦となるウズベキスタン戦は4月17日にハリファ国際スタジアムで行われます

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21歳のアリフ選手がU23代表でプレーすれば戦力アップは明らかですが、今月3月には21日と26日にW杯アジア2次予選のオマーン戦がアウェイとホームであり、アリフ選手が両試合に出場するのは明らかです。それを考えると4月のU23アジアカップ招集はあまり現実的ではないですが、その前にFIFA国際カレンダー期間外の大会であることから、所属するJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がアリフ選手の招集にそもそも応じないでしょう。イスマイル殿下はこれまでもFIFAカレンダー外の代表チームの活動ではトップチーム選手の招集に応じておらず、今回も同様でしょう。

2月29日のニュース
衝撃!5月の開幕を前にスランゴールFCのタン監督が突如辞任
ジョホールが代表DFアザム・アズミら4名の獲得を発表も全員が国内クラブへ期限付き移籍
フットサルリーグMPFL第2節-早くも全勝はジョホールのみに

衝撃!5月の開幕を前にスランゴールFCのタン監督が突如辞任

昨季スーパーリーグ2位のスランゴールFCはクラブ公式SNSでタン・チェンホー監督の辞任を発表しています。今季末まで契約が残っていたタン監督とクラブは同意の上で違約金を支払って退団し、タイのクラブの監督に就任するということです。なお暫定監督には、かつてスーパーリーグのフェルダ・ユナイテッドFC(既に消滅)での監督経験などもある、ニザム・ジャミル コーチが就任することも発表されています。

昨季はリーグ2位となったことで、今季のACL2の出場権を獲得しているスランゴールFCは5月の開幕を控え、既にプレシーズンのトレーニングを行なっていたこともあり、今回の辞任はあまりにも急な印象です。

クダ州出身で55歳のタン氏は2001年にクダFAで現役を引退すると、2005年からはマレーシアU20代表やA代表のコーチなどを経て、2015年にはクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)の監督に就任しています。そして就任初年度で2部プレミアリーグで優勝してクラブを1部に昇格させると、2016年のマレーシアカップ優勝、2017年のFAカップ優勝に導くと、2017年に就任したポルトガル出身のネロ・ヴィンガダ マレーシア代表の監督のもとで再び代表チームのコーチに就任しています。しかし2017年5月の就任以来、マレーシア代表の戦績がが0勝7敗となり同年12月にヴィンガダ監督が辞任すると、タン氏がコーチから監督に昇格しました。

U23代表コーチとして2009年の東南アジア競技大会通称シーゲームズ優勝、またA代表コーチとして2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ(当時、現在は三菱電機カップ)優勝を経験していたタン氏は、就任後の最初の大会となった2018年のスズキカップでは、マレーシアを準優勝に導いています。続くW杯2022大会アジア2次予選では同組となったインドネシアやタイには勝利したものの、ベトナムとアラブ首長国連邦にはいずれも敗れて敗退、さらに2020年スズキカップでまさかの準決勝進出を逃すと、2022年1月に通算成績20勝4分16敗の成績を残して代表監督を辞任しています。その後は同年9月には2022年シーズンの数試合が残る中、スランゴールFC監督に就任し、昨季2023年シーズンは前年の5位から2位にへと躍進させていました。

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成績な発表はないものの、タン氏が就任するのは現在タイ1部リーグで14位(16チーム中)のポリス・テロFCだと報じられています。現在はサバFCでプレーするマレーシア代表DFドミニク・タンやJDTでプレーする帰化選手MFモハマドゥ・スマレが在籍したこともあるチームです。2023/24シーズンはランサン・ヴィワチャイチョク監督でスタートしましたが、同氏が昨年11月にポートFCの監督に就任すると、その後はテクニカルディレクターのワラウート・スリマカ氏が監督代行として指揮を取っています。しかし、もしこの報道の通りであれば、なぜ今季ACL2出場が決まっているスランゴールFC監督を辞任し、昨年11月には給料未払いで選手が練習をボイコットしたことも報じられ、現在は19試合を終えて勝点19と最下位から勝点3差と降格争いの真っ只中にあるポリス・テロFC監督就任するのかが気になります。なおポリス・テロFCは個人的にはマレーシアの指導者が国外クラブで指導することは、その手腕が評価されているわけで喜ばしいのですが、アジアの大会に出場することが決まっているクラブを去る理由は何なのかがきになります。

ジョホールが代表DFアザム・アズミら4名の獲得を発表も全員が国内クラブへ期限付き移籍

今季はチーム運営資金を30-40%削減することを発表しているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)ですが、その一方で相変わらず積極的な補強を進めています。今季もこれまでにアルゼンチン出身ながら先日のアジアカップ2023ではシリア代表としてプレーしたMFジャリル・エリアス(アルゼンチン1部サン・ロレンソから移籍)、ブラジル出身のMFムリロ・エンリケ(前韓国1部水原FC)、ポルトガル年代別代表でプレー経験があるMFフランシスコ・ジェラルデス(UAE1部バニーヤースSCから移籍)、元イタリアU19/20代表のFWニコラオ・ドゥミトル(タイ1部ブリーラム・ユナイテッドから移籍)と既に4名の新外国籍選手を獲得しています。

また国内移籍では、昨年12月にマレーシア国籍を取得し、先日のアジアカップ2023では韓国戦で引き分けに持ち込む同点ゴールを決めたコロンビア出身のロメル・モラレスも獲得、さらに一度は退団を発表した昨季のチーム得点王、FWフェルナンド・フォレスティエリとも再契約しています。

そんなJDTが昨日、マレーシアスーパーリーグの他のクラブから新たに4選手が加入することをクラブ公式SNSで発表しています。トレンガヌFCから加入する23歳のDFアザム・アズミは年代別代表から順調にA代表入りしている右サイドバックの選手で、現在代表でプレーするマシュー・ディヴィーズ(JDT)の後継者と目されています。

また昨日のこのブログでも移籍が秒読みとして取り上げたデクランとライアンのランバート兄弟はKLシティFCからの移籍です。双子の25歳はクアラ・ルンプール生まれながら父親の母国オランダで育ち、2021年途中にオランダ2部のFCデン・ボスから移籍したMFのライアン選手はKLシティでは64試合に出場して4ゴールを、2022年にやはりFCデン・ボスから移籍したDFのデクラン選手は61試合に出場して1ゴールを挙げています。

またクダ・ダルル・アマンFCから移籍する24歳のMFマヌエル・イダルゴは、アルゼンチン出身で現在は英国2部のシェフィールド・ウェンズデイU21でもプレー経験があル、リーグ屈指のAMFです。2021年に同じスーパーリーグのスリ・パハンFCに加入し、2シーズンプレーした後、昨季はクダ・ダルル・アマンFC移籍しており、スーパーリーグでは54試合で12ゴール23アシストの成績を残しています。また今季4年目を迎えるイダルゴ選手は、2026年の4月にはマレーシアでの5シーズン目が終わることから、それまはでは他のクラブでプレーし、マレーシア国籍取得後は昨季のエンドリック・ドス・サントス、今季のロメル・モラレスのようにJDTにマレーシア人選手として加わることが予想されています。

今回発表された積極補強もさることながら、さらに驚いたのはこの4名の選手の内、ライアン選手はJDTに残る一方で、アザム選手とでクラン選手はトレンガヌFCに、イダルゴ選手はスリ・パハンFCにそれぞれ期限付きで移籍することが発表されたことです。これにより今季のJDTのライバルとなる可能性があるトレンガヌFCにはいずれも代表選手のサファウィ・ラシド、アキヤ・ラシドと合わせて3名が期限付き移籍することになります。その際、このブログでも取り上げた「紳士協定」が発動すれば、この3選手はJDTとの対戦では出場できなくなります。主力となる3選手を欠くトレンガヌFCは言わば飛車角抜きでJDTに臨むことになってしまいます。積極的に補強を行ない、今季の台風の目になりそうなスリ・パハンFCも同様で、勝負所となるJDT戦でイダルゴ選手を欠くことは戦力ダウンとなってしまいます。

現在の規則では何も問題はないものの、例えばJDTが他のクラブの主力に次々に高額オファーし、その後、元のクラブに期限付き移籍させることを続けていけば、「紳士協定」が有効であれば、そのクラブとの直接対決では相手主力選手の出場を止めることができるわけです。他のクラブ同士で潰し合いをさせ、JDTとの対戦では主力抜きの相手と戦うことになりかねないこの仕組みは、リーグを運営するMFLに一考を求めたいです。

フットサルリーグMPFL第2節-早くも全勝はジョホールのみに

ひきマレーシアプレミアフットサルリーグ(MPFL)の第2節が2月25日と26日両日に行われ、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)が開幕から2連勝する一方で、昨季の覇者パハン・レンジャーズFCが今季初勝利を挙げています。

2月25日の試合では、レアル・ベティスフットサル元監督のフアン・アントニオ・ミゲル・ガルシア監督率いるスター軍団のJDTが、外国籍選手不在ながら第1節でKLシティを破っていたトレンガヌを8-1で破っています。第1節のゴンバックTOTユナイテッドFC戦に続いて連勝したJDTは、エースのサアド・サニがこの試合でも2ゴールを決めて、通算5ゴールで得点王争いのトップに立っています。

第1節でJDTに敗れていたゴンバックTOTユナイテッドFCは、昨季監督を務めたパット・スリウィジット氏と7名の選手が移籍したサバFAと対戦し、インドネシア出身のグントゥル・スリストヨ・アリウィボワが5ゴールを決める活躍で、サバFAを7-5で破り今季初勝利を挙げています。なおグントゥル選手はこの試合の5ゴールでJDTのサアド選手と得点王争いで並んでいます。

また第1節ではパハン・レンジャーズと引き分けていたシャー・アラムシティは、ケルウィン・ソアレス、イサイアス・フィゲイレードらブラジル出身選手のゴールでKLシティFCを8-3で破り、JDTに次ぐ2位に浮上、一方のKLシティは開幕から2連敗で最下位となっています。

なおパハン・レンジャーズFCは、フェリペ・デ・ソウザとハミディン・ザハリフ・マハムンがそれぞれハットトリックを決める活躍で、スランゴールFCを8-4で破り、今季初勝利を挙げています。スランゴールFCは若きエース、シャヒル・イクバル・カーンが今季初ゴールを決めたものの、反撃が及びませんでした。

2月28日のニュース
サッカー協会会長-ネット上のレガシー帰化選手候補はほとんどが「偽者」
KLサッカー協会会長-KLローヴァーズ売却はKLシティの未払い給料問題解決のためではない
KLシティのランバート兄弟はジョホール移籍秒読みか

サッカー協会-ネット上のレガシー帰化選手候補はほとんどが「偽者」、協会主導での帰化選手獲得の予定なし

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、マレーシアの血筋を持つとされるレガシー帰化選手の候補とされる海外の選手の多くが「偽者」であり、FAMはそう行った選手の動向には特に関心を払っていないと述べています。

ハミディン会長は、一部のメディアやブロガーなどが、ここ数週間の間にマレーシアの血筋を持つとして選手としてネット上で取り上げている海外選手たちの多くは「でっち上げ」や「誤情報」などによる偽者であり、またFAMがそういった選手たちに関心を持ち、帰化申請を支援する用意があるといった報道は誤りだと述べています。

「FAMがさらに若いレガシー帰化選手候補を探していると主張しているポータルサイトなどもあるが、そういったサイトで取り上げられている多くのレガシー帰化選手候補は偽者で、FAMは全く関心を持っていない。」とハミディン会長は述べています。

ここ数週間は特にヨーロッパでプレーするU23やU19などの年代で、マレーシア人の血筋を持つレガシー帰化選手候補が様々なサイトで紹介されており、その中にはMFナイム・ガルシア(21歳、スペイン、バルセロナB)、FWイーサン・ジョセフ・ウィートリー(18歳、英国、マンチェスター・ユナイテッドU18)、DFマッツ・デアイル(26歳、オランダ、ゴー・アヘッド・イーグルズ)らの名前が挙がっていました。

*****

マレーシア代表ではこれまで外国出身の8名の帰化選手と、それより多いレガシー帰化選手がプレーしており、先月のアジアカップ2023では、マレーシアは香港と並んで14名と最も多い帰化選手を出場登録したチームでした。14名の内訳は帰化選手がエンドリック、パウロ・ジョズエ(以上ブラジル)、モハマドゥ・スマレ(ガンビア)、ロメル・モラレス(コロンビア)の4名、レガシー帰化選手はマシュー・ディヴィーズ、、ラヴェル・コービン=オング、ナチョ・インサ、ダニエル・ティン、ドミニク・タン、スチュアート・ウィルキン、ダレン・ロック、ブレンダン・ガン、ジュニオール・エルドストール、ディオン・コールズの10名でした。

KLサッカー協会会長-KLローヴァーズ売却はKLシティの未払い給料問題解決のためではない

給料未払い問題が未解決のKLシティFCの運営に関わるクアラルンプールサッカー協会(KLFA)が先週、記者会見を開き、同時に所有する3部のM3リーグに所属するKL ローヴァーズの売却を検討していることが明らかになりました。その席上でKLローヴァーズの売却益は、未払いとなっているKLシティFCの選手、監督、コーチの給料に当てられることも説明されていました。

しかしスポーツ専門サイトのスタジアム・アストロによるとその後、KLFAのカリド・サマド会長は、KLローヴァーズの売却目的はKLシティFCの給料未払い問題解決のためだけではないと説明したということです。なお昨季M3リーグ準優勝のKLローヴァーズは、特別措置により1部スーパーリーグへの昇格が噂されており、カリド会長はKLローヴァーズの売却は、新たなオーナーを探すことがが目的で「KLローヴァーズはオーナーとしてクラブの株式を買い取る新たな出資者を探しており、現在、複数の候補者と話し合いを進めている」と説明しています。

KLローヴァーズCEO-クラブはKLサッカー協会のものではなく、クラブを売却する権利がない

しかし、上のような記事が出た一方で、KLローヴァーズからは、クラブはKLFAが所有しておらず、というKLローヴァーズのアズノル・ズルカルナイン・アジズCEOの発言をマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。

この記事によると2021年発足のKLローヴァーズは、2023年12月からその株式100%をある企業が所有しており、そもそもKLFAにクラブを売却することはできないということです。そして特別措置によるスーパーリーグ参加のための国内クラブライセンス申請を行う前に、所有権はKLFAからこの企業への移動が完了しているということです。さらに前述のカリド・サマドKLFA会長の発言と矛盾するこの内容について、アズノルCEOは、カリドKLFA会長の発言は、KLローヴァーズの潜在的なスポンサーを混乱させるものだとして非難しているということです。

またアズノルCEOは今週にも行われる第一審機関(FIB)による国内クラブライセンス発給のための審査について、クラブの経営能力やスポンサー、選手の福利厚生に関する取り組みなどをもとに正しい判断が下されると信じていると述べ、スーパーリーグ参入ももとにクラブをより発展させたいと述べています。

KLシティのランバート兄弟はジョホール移籍秒読みか

昨季はいずれもKLシティFCでプレーしたレガシー帰化選手のライン・ランバートとデクラン・ランバートの双子兄弟が揃ってジョホール・ダルル・タジムFCに移籍する可能性があると、サッカー専門サイトのスタジアム・アストロが報じています。

給料未払い問題を抱えるKLシティFCは、今年に入ってMFアクラム・マヒナンがトレンガヌFCに、U23代表でもプレーするGKアジム・アル=アミンがスランゴールFCにそしてマレーシア国籍を取得したFWロメル・モラレスがジョホール・ダルル・他ジムFCへ移籍するなど、主力選手の流出が続いています。

クアラ・ルンプール生まれながら父親の母国オランダで育ったランバート兄弟は、2021年途中にオランダ2部のFCデン・ボスから移籍したMFのライアン選手はKLシティでは64試合に出場して4ゴールを、2022年にやはりFCデン・ボスから移籍したDFのデクラン選手は61試合に出場して1ゴールを挙げています。

2月27日のニュース
ファイサル・ハリムの韓国戦ゴールがアジアカップ2023のベストゴールに選出
コンサートで破損のピッチが今月中に回復しなければ来月のW杯予選はブキ・ジャリル以外での開催も
ペラFCはゼオン・ゾイシア芝への張り替えを今季終了後に希望

ファイサル・ハリムの韓国戦ゴールがアジアカップ2023のベストゴールに選出

アジアサッカー連盟(AFC)は、カタールで開催されたAFCアジアカップ2023でマレーシア代表FWファイサル・ハリムがの韓国戦で決めた同点ゴールが大会ベストゴールに選ばれたことを、公式サイト上で発表しています。

アジアカップ2023のベストゴールは、今大会の全132ゴールの中から、日本代表の中村敬斗選手がグループステージのベトナム戦で決めたゴール、韓国代表のソン・フンミン(孫興民)が準決勝のオーストラリア戦で決めたゴール、ヨルダン代表のムーサ・アル=タアマリが準決勝の韓国戦で決めたゴールなど8つのゴールの中から投票で選ばれる今大会のベストゴールは、その投票締め切りが2月25日となっていました。

AFCの公式サイトによると、ファイサル選手が全投票の85%で1位、ヨルダン代表のムーサ・アル=タアマリ選手が同8%、韓国代表のソン・フンミン(孫興民)が同5%と圧勝でした。マレーシアサポーターの皆さん、お疲れさまでした。

ベストゴールを受賞したファイサル選手のゴール(4:55辺りから)-アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより
コンサートで破損のピッチが今月中に回復しなければ来月のW杯予選はブキ・ジャリル以外での開催も

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、2月24日に英国のシンガーソングライター、エド・シーランのコンサートが行われたブキ・ジャリル国立競技場について、3月上旬に視察を行うことを明らかにしています。その上で、コンサートではステージが建設されるなどして破損したピッチが視察時までに回復していない場合には、3月26日に予定されているFIFAワールドカップ2026アジア2次予選のオマーン戦を、ジョホール・ダルル・タジムFCのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムあるいはトレンガヌFCのホーム、スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアムに移して行う可能性があることに言及しています。

昨年1月から改修工事が行われていたブキ・ジャリル国立競技場は、同時にピッチを高麗芝の一種であるゼオン・ゾイシア芝に張り替える作業も行っていましたが、張り替え工事直後の11月22日に英国のロックバンド、コールドプレイがコンサートを行ったことにより、芝の一部は根付くことができなかった上、一部では土がむき出しになる事態となりました。そして12月8日に開催されたマレーシアカップ決勝では、その芝が剥がれたり捲れたりした結果、選手がその芝に滑ったりつまづいたりするなど危険な場面が見られたことから、代表チームのサポーターは、ブキ・ジャリル国立競技場の運営管理会社であるマレーシア・スタジアム社を激しく非難する事態になっていました。

また同じ会見の席上でハミディンFAM会長は、3月のオマーン戦に臨む代表メンバーは試合の1週間前の3月21日に発表される予定であることも明らかにした上で、次のように述べています。「キム・パンゴン監督は現在、最終メンバーを選抜中である。(国内リーグの)スーパーリーグは5月に開幕するため、プレシーズンのトレーニングを始めているクラブがある一方で、未だオフシーズンのクラブもある。そのため代表候補合宿を開催するの難しい状況がある。」

W杯アジア2次予選ではD組のマレーシアは、昨年行われた初戦のキルギス(ホーム)に4-3、続く台湾戦(アウェイ)は1-0と2連勝し、ここまで1勝1分のオマーンを抑えてグループ首位となっています。3月21日はオマーンのホームで、そして3月26日はホームでの対戦が控えています。

ペラFCはゼオン・ゾイシア芝への張り替えを今季終了後に希望

マレーシアスーパーリーグ所属各クラブのホームは、多くがカウグラス(アカツメクサ)と呼ばれる草のピッチが大半です。雨が降るとボールの転がりが悪くなるだけではなく、水捌けが悪句、ピッチ状に水溜りができやすくなるこのカウグラスについて、マレーシア政府の青年スポーツ省は、ジョホール・ダルル・タジムFCのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下の金銭的支援を受けて、カウグラスを高麗芝の一種であるゼオン・ゾイシア芝に張り替えるよう提案しています。

この提案に全てのMリーグクラブが同意したわけではありませんが、ペラFCはこの提案に同意しているクラブの一つです。そのペラFCは、本拠地のペラスタジアムのピッチをゼオン・ゾイシア芝へ張り替える工事を今季開幕前ではなく、今季終了後に行いたい方針であるとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ペラFCのボビー・ファリド・シャムスディンCEOは、ピッチ張り替えの提案には感謝の気持ちがあるものの、開幕前に張り替え工事を始めるにはいくつか障害があると話しています。このため開幕前にはピッチの排水設備の改善作業を行うにとど止め、ピッチの張り替え自体は今季終了後となる来年の4月以降に行いたいとしています。

「排水設備の改善作業とともにピッチの張り替えを行うと、工事は今季が開幕する5月10日までには終わらない可能性があり、たとえ工事が完了しても張り替えた芝が根付くには数ヶ月を要することから、リーグ開幕に間に合わないという懸念がある。その場合、ペラFCはペラスタジアムではなく他のスタジアムを使用する必要があるが、その場合にはペラ州マンジュンにあるMPMスタジアムが候補になるが、MPMスタジアムの照明の明るさは、(リーグを主催する)マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の基準に達してない。このため、MPMスタジアムで試合を行う場合、試合時間は日没前ということになるが、その試合時間では集客が期待できないため、ペラスタジアムで夜間に試合を行うことを優先したい。」と説明したボビー・ファリドCEOは、ペラスタジアムの芝張り替えを強行し、MPMスタジアムの照明をMFLの基準に合わせて改修しても、ペラスタジアムの芝が根付けばMPMスタジアムでの試合開催は無くなるので、照明の改修工事費用が無駄になるとも話しています。