2025/26アセアンクラブ選手権グループステージ第3節<br>・スランゴールは引き分けで準決勝進出に黄信号<br>・ジョホールはアディショナルタイムの2発でカンボジア王者に追いつき引き分けに

11月18日のアジア杯2027年大会予選ネパール戦で、開始からわずか8分で負傷退場していたアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム・フットボール)が、その後、検査・治療のため渡航したことはこのブログでも取り上げました。その後の経過について、ジョホールのクラブ公式SNSが明らかにしています。

それによるとアリフ選手はフィンランドに渡り、著名なスポーツ整形外科医のレンパイネン・ラッセ医師の執刀によりハムストリングの手術を受け、その主日が無事に成功したことが明らかになっています。

ラッセ医師は2025年バロンドール受賞者のウスマン・デンベレ(フランス代表/パリ・サンジェルマン)、リース・ジェームズ(イングランド代表/チェルシー)、ルベン・ネヴェス(ポルトガル代表/アル・ヒラル)らを含む多くのアスリートを治療してきた経歴があるということです。


アセアンクラブ選手権グループステージA組第3節:スランゴールは引き分けで準決勝進出に黄信号

国内リーグ第10節を終え、スランゴールは首位のジョホールと勝点差14と離されています。また2位のクチンとも勝点差7の4位と不本意な成績です。また11月30日に行われたマレーシアFAカップ準決勝ではPK戦の末にサバに敗れ、プルシブ・バンドン(インドネシア)、バンコク・ユナイテッド(タイ)、ライオンシティー・セイラーズ(シンガポール)と同組となったACL2でも0勝1分4敗と2季連続のグループステージ敗退が決まっています。

今季のスランゴールは、開幕からの5試合で2勝3敗とスタートダッシュに失敗すると、昨季途中から指揮を取っていた喜熨斗勝史監督をあっさりと解任し、元スリ・パハン監督のクリストファー・ギャメル氏を監督代行に据えました。しかしこの監督交代は2020年からの5年間で8人目とあまりにも節操のない人事でサポーターからも非難を浴びています。さらにクラブにはテクニカル・ディレクター(TA)がおらず、監督交代が誰の責任で行われたのかが曖昧な上、このTA不在の状況を放置している経営陣への批判の声は日に日に大きくなっています。

そんな中でスランゴールが未だ優勝争いに加わる可能性を残しているのがアセアンクラブ選手「ショピーカップ」です。主催する東南アジアサッカー連盟(AFF)が今季から規約を変更し、各国のトップクラブのみの出場となったこの大会へは、マレーシアからは昨季優勝のジョホール・ダルル・タジムと2位のスランゴールが出場しています。

初戦のACLエリートにも出場するブリーラム・ユナイテッド(タイ)戦をアウェイながら1−1と引き分けたスランゴールは、喜熨斗監督が指揮を取る最後の試合となった続くタンピネス・ローヴァーズ(シンガポール)戦を4−2と勝利し、同じ1勝1分のBGパトゥム・ユナイテッド(タイ)と勝ち点で並びならも得失差で上回り、A組の首位に浮上しました。

そして迎えて第3節はプレーオフを勝ち上がって本戦出場を果たしたダイナミック・ハーブ・セブFC(DHセブFC)が相手です。なおDHセブFCは、昨季2024/25のACL2ではスランゴールと同じH組で、その際にはスランゴールがホームで1−0、アウェイで4−0といずれも勝利しています。

下は12月3日に行われたこの試合の両チームの先発XIです。スランゴールはサバと対戦した11月30日のFAカップ準決勝から中2日ということもあってか、先発XIはMFノーア・ライネ以外の10名がサバ戦から入れ替わっています。

試合はスランゴール優位で進んだのは予想通りで、好機を何度か作り出すものの得点を上げることはできず、前半0-0で終了します。

後半開始早々にセブはエスロム・パウロスが強烈なシュートを放ちますが、スランゴールGKカラムラー・アル=ハフィズが反応よくこれを防ぎます。しかし47分にパウロス選手のコーナーキックからのボールをアブー・シーが頭で合わせてゴール!ホームのセブが先制します。

しかしスランゴールも54分、フリーキックからのピチャ・アウトラのシュートをゴール前で元J甲府のウィリアン・リラがうまく角度を変えて押し込み、同点に追いつきます。

クリストファー・ギャメル監督代行はその後、クリゴール・モラエス、ファイサル・ハリムを投入し一気に逆転を狙いますが、スランゴールは追加点を奪えず、結局、試合はこのまま終了。

ここまで未勝利だったDHセブと引き分けたスランゴールは順位を一つ下げて2位に交代しています。残り試合の相手がタイとベトナムの強豪クラブであることを考えると、この試合は勝っておきたかった…。

2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ グループステージA組第3節
2025年12月3日@リザル・メモリアル・スタジアム(マニラ、フィリピン)
ダイナミック・ハーブ・セブ 1-1 スランゴール
⚽️セブ:アブー・シー(47分)
⚽️スランゴール:ウィリアン・リラ(54分)
MOM:オミド・ムサウィ(スランゴール)

A組の他の2試合は、タンピネスが東川続選手のハットトリックでBGパトゥム・ユナイテッドに逆転勝利しグループ首位に浮上、またはアディショナルタイムのゴールでハノイ公安(ベトナム)に追いついたブリーラム・ユナイテッドは3試合連続の引き分けとしてます。

2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ グループステージA組第3節
2025年12月3日@ジャラン・ブサル・スタジアム(シンガポール)
タンピネス・ローヴァーズ 3-2 BGパトゥム・ユナイテッド
⚽️タンピネス:東山続3(45+3分、61分、78分)
⚽️BGパトゥム:土井智之(7分)、ラニエル((27分)
MOM:東山続(タンピネス・ローヴァーズ)

2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ グループステージA組第3節
2025年12月3日@ブリーラム・スタジアム(ブリーラム、タイ)
ブリーラム・ユナイテッド 1-1 ハノイ公安
⚽️ブリーラム:ギリェルメ・ビソリ(90+1分)
⚽️ハノイ:レオ・アルトゥール(10分)
MOM:チャン・ディン・チョン(ハノイ公安)

2025/26アセアンクラブ選手権A組順位表(第3節終了)

順位チーム勝点
1タンピネス32018716
2スランゴール312064 25
3BGパトゥムU31116604
4ハノイ公安31213304
5ブリーラムU30304403
6セブ301225-31

ジョホールはアディショナルタイムの2発でカンボジア王者に追いつき引き分けに

第2節を終えてB組首位のジョホール・ダルル・タジムは、プノンペンでカンボジア王者のPKRスバイリエンと対戦しています。11月25日にはACLエリートのメルボルン・シティ戦、同30日にはFAカップ準決勝クチン・シティ戦と続き、10日間で3試合目となったこの試合の先発XIは以下の通りです。11月30日のクチン・シティ戦からはラヴェル・コービン=オング以外の10名が変わっています。またこの記事の最初に書いた通り、アリフ・アイマンが現在、ケガの治療でチームを離れています。一方のPKRスヴァイ・リエンは、小田原貴、藤井亮の両日本人選手が先発しています。

試合はホームのスヴァイ・リエンがニーン・ソシダンが開始1分でシュートを放つなど開始早々から積極的に攻め続けると、これが功を奏します。

29分にはスヴァイ・リエンがパトリックのパスを受けたクリスチャン・ロケがジョホールGKアンドニ・ズビアウレの逆をつく素晴らしいシュートを決めて1-0とリードします。これで勢いづいたスヴァイ・リエンは、さらに37分に国内リーグでは10試合で10ゴール4アシストの成績でジョホールも警戒していたクワメ・ペプラからのパスを受けたニーン・ソシダンが今度は至近距離からのシュートを確実に決め、リードを2点に広げます。

ジョホールはムサ・シディベ、ラヴェル・コービン=オング、ジャイロ・ダ・シウバらが果敢に攻め込みますが、カンボジア代表GKでもあるGKビレアク・ダラを脅かすには至らず、前半は2-0のまま終了します。

後半に入っても、ジョホールはチャンスを何度か作るものの、決定力に欠け、さらにスヴァイ・リエンの強力な守備に阻まれます。GKビレアク・ダラは73分、ケガから1年ぶりに復帰したシャーミ・サファリのシュートを見事にセーブ、そして80分にはハイロのシュートも枠を捉えられず、マレーシアスーパーリーグの得点王争いを独走するベルグソン・ダ・シウバをベンチ外としてことが悔やまれる展開となります。

試合はアディショナルタイムが8分となる中、90+2分にヘベルチ・フェルナンデスのコーナーからシェーン・ローリーが頭で合わせて同点ゴールを決めると、そこから連続攻撃を続けます。すると90+6分にはシャーミ・サファリが右サイドでフリーとなっていたシェーン・ローリーへボールを送ると、これをローリーがゴール前へ折り返し、最後コービン・オンが頭で押し込み土壇場で同点に追いつきます。このまま試合は終了し、怒涛の攻撃で勝点1をもぎ取ったジョホールがB組首位を守っています。

2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ グループステージB組第3節
2025年12月4日@モロドク・テコ国立競技場(プノンペン、カンボジア)
PKRスヴァイ・リエン 2-2 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️スヴァイ・リエン:クリスティアン(29分)、ニーン・ソシダン(37分)
⚽️ジョホール:シェーン・ローリー(90+2分)、ラヴェル・コービン=オング(90+6分)
MOM:クリスティアン(PKRスヴァイ・リエン)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

B組の他の2試合は、1月29日の次節第4節にジョホールと対戦するシャン・ユナイテッド(ミャンマー)が、元J仙台のラファエルソンこと、ベトナム代表グエン・スアン・ソンのハットトリックでムディン(ベトナム)に敗れ、仲村京雅、久乗聖亜両選手を擁するバンコク・ユナイテッド(タイ)はライオンシティ・セイラーズ(シンガポール)と引き分けています。

2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ グループステージB組第3節
2025年12月4日@トゥウンナ・スタジアム(ヤンゴン、ミャンマー)
シャン・ユナイテッド 0-3 ナム・ディン
⚽️ナム・ディン:グエン・スアン・ソン3(45+2分、51分、87分)
MOM:グエン・スアン・ソン(ナムディン)

2025/26アセアンクラブ選手権ショピーカップ グループステージB組第3節
2025年12月4日@パトゥムターニー・スタジアム(パトゥムターニー、タイ)
バンコク・ユナイテッド 2-2 ライオンシティ・セイラーズ
⚽️バンコク:ジャカパン・プレイスワン(24分)、久乗聖亜(76分)
⚽️ライオンシティ:マクシム・レスティエンヌ(11分)、アンデルソン・ロペス(20分)
MOM:久乗聖亜(バンコク・ユナイテッド)

2025/26アセアンクラブ選手権B組順位表(第3節終了)

順位チーム勝点
1ジョホール32109367
2ナムディン32005146
3スヴァイリエン31116424
4ライオンシティ301135-21
5バンコクU301126-41
6シャンU300206-60

12月2日のニュース<br>・2025/26マレーシアFAカップ準決勝2ndレグ試合結果とハイライト映像:決勝の組み合わせは4連覇を狙うジョホール対27年ぶり決勝進出のサバに決定<br>・U17アジア杯予選:全勝対決もベトナムに大敗のマレーシアは本戦出場を逃す<br>・国際プロサッカー選手会が、FIFAによる国籍偽装が疑われるマレーシア代表7選手へ処分を批判

決勝の組み合わせは4連覇を狙うジョホール対27年ぶりの決勝進出のサバに決定

11月30日にマレーシアFAカップの準決勝2ndレグが行われ、ジョホール・ダルル・タジムとサバが決勝進出を決めています。

ジョホールがクチンを完封で4連覇に王手

この試合のジョホールの先発XIでは、11月18日のアジア杯2027年大会予選ネパール戦では、開始9分でケガのため途中退場したアリフ・アイマンはこの試合でもベンチ外でした。(ちなみにアリフ選手は自身のSNSに検査・治療のため出国したことを投稿しています)。一方のクチンは、カップ戦6ゴール、そしてリーグ戦7ゴールといずれもチーム最多ゴールを挙げているロナルド・ンガが警告累積のため出場停止となっています。

11月9日にクチンのホームで行われた準決勝1stレグでは。ジョホールが2−1と勝利しており、ジョホールは引き分け以上で決勝進出が決まります。またこの試合はマレーシア代表でも正GKのジョホールGKシーハン・ハズミと、代表の第二GKハジク・ナズリの対戦でもあります。ちなみに27歳のハジク選手は昨季までの8シーズンはジョホールに所属していましたが、29歳のシーハン選手とのポジション争いに敗れ、今季からはクチンに所属しています。

試合は守備的布陣のクチンに手を焼いたジョホールが26分、クチンDFが一瞬、隙を見せたところをベルグソン・ダ・シウバがゴールを決めて先制します。このゴールで通算成績が2ゴール差となったクチンは反撃を仕掛けたいところでしたが、この試合最初のシュートが40分過ぎと、チャンスを作ることができません。

後半に入ってもクチンはこの試合のMOMとなったGKハジク・ナズリが好セーブを連発しますが、83分に失点して万事休す。通算成績を4−1としたジョホールが12月14日のFAカップ決勝進出を決めるとともに、4季連続通算5度目のFAカップ優勝に王手をかけています。

2025/26マレーシアFAカップ準決勝2ndレグ
2025年11月30日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ・スタジアム)
ジョホール・ダルル・タジム 2-0 クチン・シティ(通算成績4-1)
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シウバ(26分)、エディ・イスラフィロフ(83分)
MOM:ハジク・ナズリ(クチン・シティ)


サバがスランゴールとのPK戦を制して27年ぶりの決勝進出

11月9日にサバのホームで行われた準決勝1stレグでは0−0で終わっています。スランゴールのホームで行われたこの日の試合は無観客で行われています。理由は10月29日に同じMBPJスタジアムで行われたヌグリ・スンビランとのFAカップ準々決勝2ndレグでの観客への迷惑行為と警備措置違反です。サポーターによる観客席破壊や爆竹の投げ込みなどがあり、マレーシアサッカー協会(FAM)の規律委員会は主催義務を遵守していないとして、罰金と10万リンギ(およそ380万円)とFAカップ2試合を無観客で行う処分を下しています。スランゴールはこれに対して異議申し立てを行いましたが、FAMの控訴委員会はこれを却下しています。(スランゴールはこれを不服として、さらにアジア国際仲裁センターに控訴しています。)

試合はホームのスランゴールがリードを奪えば、すかさずサバが追いつく展開となりました。スランゴールに悔いが残るとすれば73分にファイサル・ハリムがこの試合2点目となるゴールを決めて逆転してからの展開でした。とにかく逃げ切るでもなく、かと言って追加点を奪って引き離しにかかるでもないものでした。

その一方でスランゴールに明らかに不利な判定に思えるものもありました。その一つがスランゴールDFライミ・シャムスルが自陣ペナルティエリア内でファルハン・ロスランを倒した場面でした。サバの同点ゴールにつながるPKとなったこのプレーはVARも介入しませんでした。さらにアディショナルタイムで出されたママドゥ・ディアラへのレッドカードはVARのチェックがありましたが、1発レッドほどの反則には見えませんでした。

PK戦に入った試合は、サバGKダミアン・リムがスランゴールのハリス・ハイカル、モハメド・アブアルナディの2本のPKを止めてサバに勝利をもたらし、27年ぶりの決勝進出に導いています。

2025/26マレーシアFAカップ準決勝2ndレグ
2025年11月30日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 3-3 サバ(通算成績5-5、PK戦4-5)
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム2(33分、73分)、クリゴール・モラレス(51分)
⚽️サバ:デイン・インガム(47分)、アジディン・ムヤギッチ2(62分、88分PK)
MOM:ダミエン・リム(サバ)


U17アジア杯予選:全勝対決もベトナムに大敗のマレーシアは本戦出場を逃す

U17アジア杯2026年大会予選C組の最終節が行われ、いずれもここまで全勝のマレーシアとベトナムが対戦し、マレーシアはベトナムに0-4で敗れて、来年2026年にサウジアラビアで開かれる本大会出場を逃すとともに、前回2023年大会まで続いていた連続出場記録が4で途絶えました。

この予選の前に行ったクロアチアでの合宿では、クロアチアU16代表と対戦して0−11で敗れるなど、ジョホール・ダルル・タジムのユースチームのコーチから転身したスペイン出身のハビエル・リベラ監督に批判が集まっていましたが、それでも予選が始まると、イマン・ダニシュ・シュコールのハットトリックなどで北マリアナ諸島に13-0と勝利、やはりイマン・ダニシュのゴールで香港を1−0で破りました。続くマカオ戦、そしてシンガポール戦でもイマン・ダニシュがそれぞれゴールを決めるなどして5−0、2−1で勝利していました。

最終節でのベトナムとの対戦は、同じ全勝とは言え、勝点差で6話されていたマレーシアは、予選突破のためには勝利が必要でした。しかし、開始4分でベトナムにリードを許すと、前半終了間際にも失点し、後半にも2点を失い0−4と完敗しています。

U17アジア杯2026年大会には東南アジアからは、ベトナムの他、タイ、インドネシア、ミャンマーが出場します。

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このU17代表の予選敗退により、マレーシアは今年行われたU19アジア杯をはじめ、U23アジア杯2026年大会、U17アジア杯2026年大会と年代別代表は全ての大会で予選は致しています。問題を起こしているヘリテイジ帰化選手による強化策によってFIFAランキングを上昇させ、ベトナムやタイに追いつけ追い越せの勢いのA代表とは違い、ヘリテイジ帰化選手なしの年代別代表では、地域内ではまだまだ太刀打ちできていないことを思い知らされます。またヘリテイジ帰化選手による強化策の負の側面が、年代別代表やそもそもの育成年代に表れていそうです。


国際プロサッカー選手会が、FIFAによる国籍偽装が疑われるマレーシア代表7選手へ処分を批判

国際プロサッカー選手会(FIFPRO)が、国籍偽装が疑われるマレーシア代表のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツがある帰化選手)7名にFIFAが科した12ヶ月間の出場停止処分について批判しています。

これを報じている英字紙スターの記事によると、FIFPROはこの処分を非常に不適切だとし、選手は自身の誤った行いではなく、事務方の手違いの「犠牲者」となっていると主張しています。

「実際のところ、該当選手たちはこの問題では被害者であるのは明らかだ。FIFAによる裁定の説明でも、マレーシア代表としてプレーする資格を得る目的で選手たち自身が書類を直接偽装したのではないこと、また、代表資格取得のために提出された書類が本物であるとも述べられている。」

「7名もの選手が同じ状況に置かれていることからも、書類偽装は選手一人一人が個人的に行った行為ではないことの証拠でもある。」

「さらに選手たちには自分たちが代表選手としてプレーする資格があるかどうかをFIFAに確認する方法さえない。なぜならばこれは現行の規則のもとでは義務化されていないからだ。」

といった声明を発表したFIFPROは、各国のサッカー協会がFIFAに提出した書類の内容に関して責任を持つのは困難だとも説明し、選手自身が発行、あるいは提出したわけではない書類の内容が正しいことを証明することも同様に困難だ、としています。

FIFFPROの声明では、該当選手たちは、1)個人文書を提出、2)マレーシア当局に出頭、3)国籍取得のための宣誓手続きを完了、4)政府発行のパスポートを取得、そして5)マレーシアサッカー協会(FAM)からの資格承認を待つ、という必要な手続きを踏んでいるともしています。そして全ての手続きは選手自身が管理できない組織によって行われたものであるにもかかわらず、選手たちは所属クラブから出場停止や契約解除といった深刻な影響を受けているとしています。

その上でFIFPROは、マレーシアサッカー協会(FAM)が予定しているFIFAの裁定に対するスポーツ仲裁裁判所(CAS)への控訴を全面的に支持するとともに、CASがFIFAによる「不当な採決」を覆すと強く信じていると、声明を結んでいます。

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FIFPROは、その役割から7名の選手生命を守るための声明を発表していますが、FIFAによる調査結果云々の前に、そもそも7名全員が自身の口からマレーシアにルーツを持っていることを公的に認めていない時点で、おそらくその事実はないのだろうとない推測できます。となると7名がマレーシア代表選手としてプレーする資格を得るための書類を提出する点で、全員が自分の祖父母の出生地を証明する書類が偽装されることは理解していたはず。それを横に置いての選手の権利の主張は、話題のすり替えにしか思えないのですが、この問題まだまだ解決には時間がかかりそうです。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第10節 試合結果とハイライト映像<br>・ジョホールは8試合ぶりの失点を喫するもマラッカを粉砕し開幕から10連勝<br>・ヌグリ・スンビランはルクマン・ハキムの初ゴールを守れず10人のトレンガヌと引き分け<br>・クチンは今季初の2位、DPMMは2度のVARに泣く

今年最後のFIFA国際マッチデーも終わり、国内リーグが再開し、11月21日から24日にかけて第10節を迎えています。

今節は首位を独走するジョホールが開幕から10連勝する一方で、上位進出を狙うトレンガヌとヌグリ・スンビランが引き分けるなど、ジョホール以外のチームが互いに潰し合い、今節2位に浮上したクチン・シティとジョホールの勝点差が既に10と大きく開いてしまっています。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節はクアラルンプール・シティFCの試合はありません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。


ジョホールは8試合ぶりの失点を喫するもマラッカを粉砕し開幕から10連勝

国籍偽装が疑われているヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)3名が12ヶ月間の出場停止処分を受けたジョホール・ダルル・タジム。しかし国内での無双状態は相変わらずで、今節では今季未勝利の相手に7ゴールを挙げて大勝しています。

開始6分にDFホナタン・シウバの今季初ゴールで先制したジョホールでしたが、その後はマラッカを圧倒するも、前半はベルグソンの32分のゴールと合わせて2点のみで終了します。

しかし後半開始とともにヘベルチ・フェルナンデス、テト・マーティンが立て続けにゴールを決めると、ベルグソンもこの試合2試合目のゴールを決めて、自身の持つリーグ最多ゴール記録を116に伸ばします。

終わってみれば、ベルグソンの他にもヘベルチ、マーティンもこの試合2ゴールを挙げたジョホールがマラッカを粉砕しています。

マラッカは86分にセンターサークル付近で相手のボールを奪ったアジム・ラヒムが、ジョホールGKシーハン・ハズミが前に出ているのを見て、そのまま超ロングシュートを放つとシーハンは戻りきれず、ボールはそのままゴールイン。ジョホールにとっては8試合振りの失点となりましたが、所詮は焼け石に水でした。

この試合で気になったのは、11月18日に行われたアジア杯2027年大会予選ネパール戦で先発しながらハムストリングを痛めて10分足らずで交代したアリフ・アイマンがベンチ外だったこと。試合後の会見では、ジョホールのシスコ・ムニョス監督もアリフ選手のケガについて明言を避けていましたが、復帰までには数週間を要するとも報じられています。現在、ジョホールはACLエリートでは2勝1分1敗でヴィッセル神戸に次ぐ2位につけており、来週11月25日にアウェイのメルボルン・シティ戦が予定されています。しかしこの状況下では、勝点差1で迫るメルボルンとの試合に「マレーシアの至宝」が出場することはなさそうです。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第10節
2025年11月21日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 7-1 マラッカ
⚽️ジョホール;ホナタン・シウバ(6分)、ベルグソン・ダ・シウバ2(32分、58分)、ヘベルチ・フェルナンデス2(48分、89分)、テト・マーティン2(49分、66分)
⚽️マラッカ:アジム・ラヒム(86分)
MOM:ベルグソン・ダ・シウバ(ジョホール・ダルル・タジム)


ヌグリ・スンビランはルクマン・ハキムの初ゴールを守れず10人のトレンガヌと引き分け

2019年にマレーシアで開催されたAFC U16選手権(現AFC U17アジア杯)で得点王を取った活躍が認められ、マレーシア人オーナーのベルギー1部のKVコルトレイクと5年契約を結んだものの、昨季ローン移籍で在籍した横浜Y.S.S.Cも含め、この間は十分な出場時間を得ることができなかったルクマン・ハキム。その契約も終わり、今シーズンからマレーシアに戻っています。シーズン当初こそ試合感不足やマッチフィットネスに問題もあってか、なかなか先発出場がありませんでしたが、ここ3試合ではいずれも先発XIに名を連ねています。

この試合では開始からトレンガヌDFを翻弄したルクマン選手ですが、12分にはミャンマー代表のトレンガヌDFチョー・ミン・ウーがそのルクマン選手を自陣ペナルティエリア手前で倒してしまいます。主審はイエローを出しましたが、VARが入って1発レッドとなり、トレンガヌは10人となってしまいます。

そんなルクマン選手がスーパーリーグ初ゴールを記録したのは前半アディショナルタイムでした。右サイドのアン・サンスからのクロスを頭で合わせたシュートが決まり、このゴールでヌグリ・スンビランが先制し、そのまま前半を1-0とリードして折り返します。

しかし試合は最後にドラマが待っていました。後半の90分を過ぎたアディショナルタイムに、11月18日のアジア杯予選ネパール戦にも出場した若きDFウバイドラー・シャムスルがヌリロ・トゥカタシノフのパスに抜け出し、ヌグリ・スンビランDFを交わして同点ゴール!

土壇場の同点ゴールで引き分けたトレンガヌは貴重な勝点1を獲得、一方のヌグリ・スンビランは、数的有利を活かしきれませんでした。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第10節
2025年11月22日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリ・スンビラン 1-1 トレンガヌ
⚽️ヌグリ・スンビラン:ルクマン・ハキム(45+7分)
⚽️トレンガヌ:ウバイドラ・シャムスル(90+3分)
MOM:ウバイドラ・シャムスル(トレンガヌ)
ヌグリ・スンビランの佐々木匠選手は先発してフル出場、常安澪選手は後半開始から出場して、試合終了までプレーしています。


クチンは今季初の2位、DPMMは2度のVARに泣く

今季リーグ戦では首位のジョホール以外に敗れていないクチン。直近の6試合でも4勝2敗と好調を維持しています。一方、今季からマレーシアリーグ参戦のブルネイDPMMは今季ここまで1勝と、戦前の予想は圧倒的にクチン有利とされていました。

開始から主導権をつかんだのはクチンでしたが、10分にはDPMMのミゲル・オリベイラがゴール!しかしこれはVARが入って認められませんでした。結局、前半は両チームとも無得点で折り返します。

後半の69分には代表に招集されるなど今季好調のラマダン・サイフラーがペナルティエリアの手前から豪快に蹴り込み、それまでクチンの攻撃の前に立ちはだかっていたDPMMの196cmの巨漢GKミシェルを脇をすり抜けてゴールとなり、ついにクチンが先制します。

しかしこの試合もこのまますんなりとは終わりませんでした。アディショナルタイムにコーナーキックを得たDPMMは、アマニ・アギナルドからのボールをプロスパー・ボアキエがゴール前の混戦の中でボールを押し込み劇的な同点ゴール!DPMMが一旦は同点に追いついたかに見えましたが、ここで再びVARが介入。このゴールも取り消しとなり、逃げ切ったクチンが、今節試合のないクアラルンプールと勝点で並び、得失差で2位に浮上しています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第10節
2025年11月22日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチン・シティ 1-0 DPMM
⚽️クチン・シティ:ラマダン・サイフラー(69分)
MOM:ペトラス・シテムビ(クチン・シティ)
クチン・シティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。


スランゴールは連勝で4位浮上

スランゴールの先制ゴールは20分でした。自陣のクエンティン・チェンからの絶妙なロングフィードを受けたアルヴィン・フォルテスが落ち着いて相手GKを交わし、シュートを決めます。

後半の50分にはそのフォルテスのフリーキックがポストに当たって跳ね返ったところをエースのクリゴール・モラエスが押し込んでスランゴールに追加点が入ります。追いかけたいクランタンでしたが、60分にはアブドル・シセイがボールを競ったスランゴールDFハリス・ハイカルにファウル。いったんはイエローだったもののVARの介入でこれがリッドとなり1発で退場となってしまうと、このままスランゴールが2点のリードを守って連勝を果たしています。

この日の勝利で引き分けを挟み3連勝となり4位に浮上したスランゴールは、来週末のFAカップ準決勝1stレグ、サバ戦にも弾みをつけています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第10節
2025年11月23日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 2-0 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ
⚽️スランゴール:アルヴィン・フォルテス(20分)、クリゴール・モラエス(50分)
MOM:アルヴィン・フォルテス(スランゴール)


イミグレセンが5ゴールの大勝で今季2勝目

今季1部に初昇格を果たしたイミグレセンが前節の初勝利に続き連勝しています。

前節の「ペナンダービー」でペナン相手に昇格後初勝利を挙げ、続いてホームでの初勝利を目指すイミグレセンに対し、給料未払い問題によりリーグからの警告を受けたことが明らかになったPDRMの対戦は、モチベーションの差が現れた試合となりました。

前半の2ゴールでリードを奪ったイミグレセンは、後半に入っても先制ゴールをアシストした司令塔エルヴィス・カムソバが自身で2ゴール決めるなど絶好調で、この試合のMOMにも輝いています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第10節
2025年11月24日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン)
イミグレセン 5-0 PDRM
⚽️イミグレセン:ファズルル・ダネル(19分)、ジョアン・ペドロ(38分)、エルヴィス・カムソバ2(74分、77分)、ファイヤド・ズルキフリ(90分)
MOM:エルヴィス・カムソバ(イミグレセン)


過去3季連続3位のサバが9試合目にして今季初勝利

過去3シーズンいずれも3位と安定して成績を残していたサバは、2021年から指揮をとっていた元マレーシアU23代表監督オン・キムスウィ氏(現インドネシア1部プルシク・クディリ監督)との契約をなぜか延長しませんでした。そして迎えた今季は8試合を終えて4分4敗とここまで未勝利で13チーム中の12位と低迷しています。

一方のペナンもここまで1勝2分5敗の成績で10位と下位に沈んでおり、両チームに共通するのは8試合で5得点という深刻な得点力不足です。

先制したのはペナンでした。17分にディラン・ウェンゼル=ホールズのゴールでリードを奪います。しかしサバもその5分後にアジディン・ムヤギッチのゴールですぐさま同点に追いつきます。しかし39分にはウェンゼル=ホールズがこの試合2点目のゴールを決め、前半はペナンがリードして終了します。

しかしサバは後半の56分にジャフリ・フィルダウス・チュウのゴールで同点に追いつくと、71分には代表DFダニエル・ティンが決勝ゴールを決めて、今季初勝利をホームのサポーターの前で果たしています。

この結果、サバは12位から9位と順位を上げるとともに、今週末のFAカップ準決勝1stレグのスランゴール戦に向けて勢いをつけています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第10節
2025年11月24日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 3-2 ペナン
⚽️サバ:アジディン・ムヤギッチ(22分)、ジャフリ・フィルダウス・チュウ(56分)、ダニエル・ティン(70分)
⚽️ペナン:ディラン・ウェンゼル=ホールズ2(17分、39分)
MOM:ジェフリ・フィルダウス・チュウ(サバ)
ペナンの鈴木ブルーノ選手は83分から出場し、試合終了までプレーしています。


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第10節終了)

チーム勝点
1ジョホール1010005545130
2クチン96211941620
3クアラ・ルンプール86201641220
4スランゴール95131610616
5トレンガヌ94232115614
6ヌグリ・スンビラン93421714313
7クランタン10325918-911
8イミグレセン92341117-69
9サバ9144820-127
10PDRM9135827-196
11ペナン9126719-125
12DPMM9126629-235
13マラッカ7034416-123

2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第10節終了)

得点選手名所属
112ベルグソン・ダ・シウバジョホール
210ジャイロ・ダ・シウバジョホール
37アリフ・アイマンジョホール
7ロナルド・ンガクチン
56ヤン・マベラトレンガヌ
6ジョアン・フィゲイレドジョホール
6ヨヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
6クリゴール・モラエススランゴール
95サファウィ・ラシドクアラルンプール
5ジョセフ・エッソヌグリ・スンビラン
5ラマダン・サイフラークチン

11月22日のニュース<br>最新FIFAランキング発表:マレーシアは20年ぶりとなる116位に上昇<br>・国籍偽装問題:FIFAは文書改ざんに関わったマレーシアサッカー協会職員の発言を公表<br>・FIFAの文書で「コンサルタント」と自称したとされた代表チームCEOはこれを否定

ウィキペディアに「マレーシアサッカー帰化スキャンダル」(原文は英語です)という記事が登場しています。しかも丁寧に英語とマレーシア語の両方が作成されるなど手が込んでいます。現在マレーシアサッカーを揺るがしているヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑問題についての資料などもまとめられていて、この問題の概要を理解するには便利な記事となっています。

この国籍偽装疑惑問題についてマレーシアのアンワル・イブラヒム首相もコメントを出しています。現在アフリカ諸国を公式訪問中のアンワル首相は訪問先の南アフリカでの会見の際にこの国籍偽装疑惑問題について問われると、FIFAによるマレーシアサッカー協会(FAM)に対する強い非難は軽視できるものではないと述べ、政府も調査しており、この事件を隠蔽しようとするつもりはないと答えています。さらに多くの人々が直ぐに結果を求めるのは理解できるが、我々(政府)が何も行動していないという批判は当たらず、通常の手続きを経て捜査を進めなければならい」と答えたということです。

またマレーシア政府青年スポーツ省も、FAMに対しては、独立調査委員会の調査終了まで、政府による金銭的支援を一時的に停止することを発表、さらにFAMがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に控訴する場合の費用については、政府からの金銭的支援は行わず、すでに提供済みの1500万リンギ(およそ5億7000万円)の政府資金をこれに流用することも禁じると発言しています。

最新FIFAランキング発表:マレーシアは20年ぶりとなる116位に上昇

11月20日に最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回10月の発表から2ランクアップした116位となっています。マレーシアが最後に116位だったのは、2005年11月でしたので、今回は実に20年ぶりの達成となります。

今年4月の時点では131位だったマレーシアは、11月18日に行われたアジア杯2027年大会予選でのネパール戦に勝利したことで、2025年は9試合で8勝1分と無敗で終えています。

なお東南アジアの他国のFIFAランキングは、タイが域内1位で95位(1ランクアップ)、2位がベトナムで111位(1ランクアップ)、3位のマレーシアに続くのは4位インドネシアが122位(変動なし)、5位フィリピンが136位(5ランクアップ)、6位シンガポールが151位(4ランクアップ)、以下ミャンマー163位(変動なし)、カンボジア179位(変動なし)、ラオス187位(1ランクアップ)、ブルネイ189位(4ランクダウン)、東ティモール198位(1ランクダウン)となっています。

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20年ぶりの116位、さらに2位ベトナムとは5ランク差とその背中も見えてきていますが、素直に喜ぶことはできません。今年4月の131位からの大躍進は、国籍偽装疑惑によりFIFAから12ヶ月間の出場停止処分を科されている7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)の活躍による部分が大きいからです。ベトナム戦11年ぶりの勝利となった今年6月のアジア杯予選では先制点をジョアン・フィゲレイド(ジョホール・ダルル・タジム)、2点目をロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリと契約解除)が挙げるなど、彼らがいなければ同じ結果とはなっていなかったはずです。AFCは、マレーシアサッカー協会(FAM)がFIFAの裁定についてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に控訴するとしていますが、後述する諸々の状況からFAMが望むような判決が出るとは考えにくく、その判決に基づき7選手が出場した試合結果をAFCが全て無効にする可能性も高いです。その試合で得たFIFAランキングポイントも消失し、マレーシアは一気にランクを下げることになりそうです。


国籍偽装問題:FIFAは文書改ざんに関わったマレーシアサッカー協会職員の発言を公表

ヘリテイジ帰化選手がマレーシアにルーツを持つことを示す証拠となる出生証明書について、マレーシアサッカー協会(FAM)の事務局職員が文書の改ざんを認める発言をしていることが明らかになりました。

国籍偽装疑惑を持たれている7名のヘリテイジ帰化選手は、いずれも祖父母がマレーシアで生まれたことを根拠にマレーシア国籍を取得し、マレーシア代表でのプレーが可能になりましたが、その根拠となったのが祖父母の出生証明書です。7名の祖父母に該当する人物の出生証明がマレーシア国内では見つからなかったことから、FAMはブラジルやアルゼンチン、スペインからその祖父母の出生証明書を取り寄せました。またマレーシア政府国民登録局は、その出生証明書の正当性に審査を行い、7選手にはマレーシア国籍が与えられました。

しかし11月18日にFIFAが裁定の根拠を説明を文書で公表しましたが、その中ではFAM事務局の職員が国民登録局の審査を待ちきれないどこかからの圧力を受けた結果、国外から取り寄せた出生証明書に「調整作業(=改ざん)」を行なったことを認める発言をしていることが公表されています。

FIFAの書類の中では、この出生証明の改ざんについては、現在FAM理事会から無期限の職務停止処分を受けているノー・アズマン事務局長が感知しないところで行われたと、FAMは主張しているということです。(ではなぜFAMはノー・アズマン事務局長を職務停止にしたのか、という疑問は湧きますが。)

またFAMは、7名のヘリテイジ帰化選手はこの出生証明の改ざんについては何も知らなかったとも主張しているということですが、FIFAはFAMと7選手への裁定には何の変更もないとしています。

またFIFAはノー・アズマン事務局長の「FAMの事務局職員が、FIFAに提出する資格審査用ファイルを作成する過程で、出生証明書や関連書類の一部コピーを扱い、形式を整え直したことは認識している」という発言や、「その中には、代理人から提供された証明書の内容が変更されたものも含まれていました。これらの作業は事務的な手続きであり、公的に認証されたコピーを置き換えたり、正式な確認手続きを代替したりする意図は決してなかった」といった発言も公開しています。

なおFAMは、FIFAの規律規定の第22条(文書の偽造および改ざんを扱う条項)は裁量的なものであり、必ずしも協会の責任を自動的に生じさせるものではないと、控訴委員会に対して弁明し、さらにこの不正行為は「協会が許可しておらず、また独立したものであり、組織的なものでもなければ、制度を不正に利用しようとする意図的な試みでもない。またマレーシアのルーツを捏造したり、資格規定を迂回するような計画もなかった」とも主張していました。

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FIFAの規定では、親または祖父母がその国で生まれていれば、選手はその国を代表できることから、FAMは国籍偽装が疑われる7選手について、その祖父母はマレーシア出身であるという文書をFIFAに提出し、FIFAは一旦はこれを認めたため、7選手はアジア杯予選などに出場しました。

その7選手とは、ガブリエル・パルメロ、ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、イマノル・マチュカ、ジョアン・フィゲイレド、ジョン・イラサバル、エクトル・ヘヴェルです。

しかし、その後のFIFAによる調査では、「選手の祖父母はマレーシア出身」というFAMが提出した文書とは異なり、原本記録から7選手の祖父母全員がマレーシア国外のスペイン、アルゼンチン、ブラジル、オランダ生まれであることを突き止められたことが公表されています。この結果、FIFAがFAMに科した35万スイスフラン(およそ6800万円)の罰金、7選手に科した2,000スイスフランの罰金と、あらゆるサッカー活動から12カ月の出場停止処分が確定しています。

さらにFIFAは、FAMが控訴委員会に対して行なった裁定の控訴を全面的に棄却しさらマレーシア代表は2027年アジア杯予選で試合結果が無効となり、勝点剥奪の可能性があると警告しています。

一方のFAMはFIFAから文書による裁定の根拠の説明を受け取った後、この件をスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ持ち込むとしています。


代表チームCEOは自身が「コンサルタント」ではないと主張

本当のことを言っているのは誰なのか。

マレーシア代表チームのCEOを務めるカナダ出身のロブ・フレンド氏は、FIFAの文書の中で自身が「コンサルタント」とされていることについて、これを否定しています。

国籍偽装が疑われている7名のヘリテイジ帰化選手とマレーシアサッカー協会(FAM)への処分について、FIFAはその根拠を詳細に述べた文書を公表していますが、その中でフレンド氏が自信を「自国カナダをベースとし、代表戦の時だけチームに合流する『コンサルタント』」と説明したという記述があり、フレンド氏はこれまで代表チームのCEOとFAMが公表していたことから、マレーシアサッカーファンの間で大きな波紋を広げています。

FIFAによる聴聞会では、自身の役職をマレーシア代表のCEOと述べた、と英字紙ニューストレイツタイムズに説明したフレンド氏は、誤解の原因は自身の代表チームとの関係性を説明した際に法律上の関係を述べたからだと説明にならない説明を述べています。

アジア杯2027予選:マレーシアはネパールに辛勝も予選5連勝で首位堅守-年間成績も7勝1分の無敗で終える

アジア杯2027年大会3次予選もいよいよ第5節。今節では予選E組のシリアと同C組のシンガポールがグループ首位を確定させて本大会出場を決めています。仲村京雅選手も先発した11月18日の香港戦に勝利したシンガポールは1984年大会以来2度目の出場となりますが、1984年大会は開催国としての出場で、予選突破による出場は初となります。


マレーシアが入る予選F組は、第4節を終えて4勝のマレーシアが首位、3勝1敗のベトナムが2位となっています。国籍偽装疑惑問題で主力のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名を欠くマレーシアは今節ではネパールと対戦しました。この試合は本来、ネパールで行われる予定でしたが、AFCの視察後に試合会場予定のスタジアムの使用が認められなかったことから、会場をクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場へ移し、ネパールのホームゲームとして行われました。

この試合の両チームの先発XIは以下の通り。いつもなら公表される先発XIとベンチ入りメンバーについて、この試合ではなぜかマレーシアサッカー協会(FAM)、マレーシア代表いずれの公式SNSでも発表はありませんでした…。

前節10月のラオス戦からは、ケガから復帰のDFマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジム)が復帰した他、FWサファウィ・ラシド(クアラルンプールシティ)とMFスチュアート・ウィルキン(サバ)が、それぞれFWロメル・モラレス、MFアフィク・ファザイル(いずれもジョホール・ダルル・タジム)に代わって先発しています。

7名のヘリテイジ帰化選手不在でも予選F組前節の3位ラオス戦では5-1と圧勝した首位マレーシアにとって、ここまで0勝4敗、得点2失点8の4位ネパールは難しい相手ではないはずでした。しかし、開始8分で若きエース、アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)がハムストリングの肉離れで途中退場するアクシデントがマレーシアを襲います。それでもマレーシアはラヴェル・コービン=オング(ジョホール・ダルル・タジム)、ディオン・クールズ(セレッソ大阪)の左右SHを中心に攻めますが、ネパールもGKゴール前にボールを送りますが、ネパールGKキラン・クマル(バングラデシュ1部バングラデシュ警察FC)の好守や、ほぼ全員が自陣ゴール前を固める戦術の前に、結局、ゴールを挙げることができず、前半は両チーム無得点で終了します。

後半に入っても膠着した展開の中、やはり頼りになるのはこの人でした。アリフ・アイマンに代わって入っていたファイサル・ハリム(スランゴール)が、サファウィ・ラシドのパスに合わせて抜け出すとDFを振り切り、一気にゴール前までドリブルで上がりシュート。これが決まって55分にマレーシアが先制します。

その後もマレーシアは徐々にペースを上げて行きますが、追加点が奪えなかった90分に、ネパールのMFラケン・リンブ(カンボジア1部キリヴォン・ソク・セン・チェイFC)が自陣ゴール前でハリス・ハイカルを倒してしまい、この日2枚目のイエローをもらい退場、マレーシアはPKを獲得します。しかしこのPKをパウロ・ジョズエ(クアラルンプール・シティ)がポストの上に大きく外してしまいます。

しかしアディショナルタイムの3分を守り切ったマレーシアが1点のリードで逃げ切って5連勝でF組の首位を守るとともに、2025年の通算成績も7勝1分と無敗で終えています。

AFCアジア杯3次予選F組第4節
2025年11月18日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
ネパール 0-1 マレーシア
⚽️マレーシア: ファイサル・ハリム(55分)

この試合のハイライト映像。スタジアム・アストロのYouTubeチャンネルより。

マレーシアを勝点差3で追うベトナムは、翌日の11月19日にラオスと対戦しています。今年1月のアセアン選手権で骨折していた元Jリーグ仙台のブラジル出身FWグエン・スアン・ソンことラファエルソンが復帰、出場した後半にはPKを挙げるなどし、ラオスを2-1で破ったベトナムは来年3月のマレーシアとの最終節での対戦に逆転でのF組首位突破の可能性を残しています。


アジア杯2027年大会3次予選F組順位(第5節終了)

順位チーム勝点
1マレーシア55001511415
2ベトナム5401115612
3ラオス5104316-133
4ネパール400429-70

*****

予選の5試合全勝のマレーシアは、最終第6節のベトナム戦で敗れても3点差以内であればF組の首位を守って、再来年2027年のアジア杯に出場が決定します。しかし、その前には国籍偽装に関するFIFAの裁定に基づく、AFCによるマレーシアサッカー協会(FAM)への処分が出される可能性があります。W杯2018年大会兼アジア杯2019年大会予選で、ブラジル出身の選手に国籍偽装をさせて試合に起用した東ティモールは、国籍偽装を行った選手が出場した試合は全てが無効試合となっただけでなく、アジア杯2023年大会予選への出場禁止処分を受けています。もしAFCが同様の処分を下せば、アジア杯2027年大会への夢が潰えるだけでなく、マレーシアサッカーにとっては100名を超える選手と監督、コーチが捜査を受け、79名が出場停止(うち21名は永久追放処分)を受けた1994年「八百長騒動」以来のスキャンダルとなります。マレーシアサッカーはこの八百長騒動から立ち直るのに多くの時間を費やし、その間にFIFAランキンは下落の一途を辿りましたが、あの悪夢が再来する可能性は否定できないだけに、ネパール戦に勝利した選手たちも心の底から喜ぶことはできていないかも知れません。

11月18日のニュース<br>・辞任の噂をクラモフスキー監督自ら否定<br>・国籍偽装問題:FIFA控訴委員会が処分決定の理由を公表<br>・国籍偽装問題:FIFAはマレーシアサッカー協会の内部運営も調査か<br>・国籍偽装疑惑:FIFAはアルゼンチンやスペイン当局に文書偽造の調査を勧告

辞任の噂をクラモフスキー監督自ら否定

昨日のこのブログでも伝えたマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督辞任の噂ですが、これをクラモフスキー監督自身が否定しています。

本日11月18日キックオフの2027アジア杯予選ネパール戦の試合前会見が行われ、その席上でこの噂を尋ねられたクラモフスキー監督は、キッパリと否定し、現在の契約が満了となる2026年末までマレーシア代表を指揮する意向を明らかにしています。

会見でクラモフスキー監督は、勝点3を獲得して予選F組首位の座を維持することでサポーターからの信用を得られるだろうと述べる一方で、アジア杯出場に向けては、一歩一歩積み上げていくことが重要であり、現在は明日(11月18日)の試合に向けて集中していると述べています。

11月10日からの代表合宿を経てネパール戦に向けてできる準備は全て行なったと述べたクラモフスキー監督は、11月13日に行なった親善試合でバングラデシュとの試合を2−2と引き分けたネパールは高いモチベーションで臨んでくるとして、楽な試合とはならないと考えていると話しています。

しかしマレーシア代表もケガから復帰のマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジム)やファイサル・ハリム(スランゴール)など全員が先発できる状態にあるとして、誰を起用するかに頭を悩ませていると話す一方で、サポーターにはこのチームを誇りに思ってもらえるようなサッカーを見せたいと意気込んでいました。


国籍偽装問題:FIFA控訴委員会が処分決定の理由を公表

FIFAの控訴委員会は、7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)の国籍偽装のための文書偽造問題に関してマレーシアサッカー協会(FAM)と7選手に対する処分を維持する決定の理由を明らかにしています。

FIFAは11月18日に公式サイトを通じて、11月3日に発表されていた控訴委員会の決定に関する64ページにわたる詳細な報告書を公開しています。

FIFAの調査によると、FAMがFIFAに提出した書類には7選手の祖父母をマレーシア生まれと記載していたが、スペイン、アルゼンチン、ブラジル、オランダから入手した記録により、彼らが関係国で生まれたことが証明された。

さらにFAMは矛盾した文書を提出、ルーツについても不当な主張をしながら、FIFAから繰り返し説明を求められたにもかかわらず適切な調査を行わなかったと告発されています。

偽造された文書は、7名の選手たちがマレーシア代表として試合に出場する上で重要な役割を果たし、その結果、6月のアジア杯予選ベトナム戦に4-0で勝利した試合では、7選手の内2選手が得点を挙げて勝利に貢献しとしています。

また控訴委員会は調査結果の中で、偽造はマレーシアに「不当な利益」を与えたと述べ、偽造は軽微なもの、あるいは単に事務上の問題であるというFAMの主張を完全に否定しいます。

控訴中、FAMはFIFAに対し、事務局長が一時的に職務停止処分を受けた他、ラウス・シャリフ元最高裁判所長官が率いる独立委員会が国内でこの問題を調査するために任命されたと伝えていましたが、FIFAの上訴委員会は、処分を覆す、あるいは軽減する根拠はないとの結論を下し、FAMの対応は誠実さを損ねるものだと主張しています。

9月にFIFAの規律委員会はFAMに35万スイスフラン(およそ6800万円)の罰金を科し、7人の選手にもそれぞれ2,000スイスフラン(およそ39万円)の罰金と12か月間のあらゆるサッカー関連活動からの出場停止処分を科しています。

今回処分を受けた7選手はスペイン出身のガブリエル・パルメロとジョン・イラサバル、アルゼンチン出身のファクンド・ガルセス、ロドリゴ・ホルガド、イマノル・マチュカ、ブラジル出身のジョアン・フィゲイレド、そしてオランダ出身のエクトル・ヘヴェルで、いずれの選手も祖父母がマレーシア国内生まれだとして、マレーシア国籍を取得した上でマレーシア代表として試合に出場しています。


国籍偽装問題:FIFAはマレーシアサッカー協会の内部運営も調査か

マレーシア語紙ブリタ・ハリアンによると、ヘリテイジ帰化選手7名が関与した文書偽造問題を受けて、FIFAはマレーシアサッカー協会(FAM)の内部運営について調査を行うようです。

FIFAの控訴委員会が11月18日に発表した64ページにおよぶ報告書では、控訴委員会は、提出された証拠と事件の審理結果に基づき、FIFA規律規定第30条、第35条、第55条(1)(f)および第55条(2)に従ってさらなる調査を開始する強力な根拠があると判断したと書かれているということです。

「この規定は控訴委員会に対して、不正行為のあらゆる側面またはその影響が十分に調査されることを保証する権限を与えている。この点に関して、控訴委員会は控訴委員会の事務局に対し、FAMの内部活動に関する正式な調査を開始するために直ちに措置を取るよう指示した。」

「この調査は、文書偽造の責任者を特定し、FAMのコンプライアンス体制と内部統制の妥当性と有効性を評価し、FAM職員に追加の懲戒処分を課すべきかどうかを判断することを目的とする。」

控訴委員会が発表した報告書の中で、「最初の調査対象として、FAMノー・アズマン事務局長(現在は職務停止処分中)と、今回の手続きで名指しされた2人の代理人、ニコラス・プッポとフレデリコ・モラエスの役割を検証する必要がある。彼らの関与は深刻な懸念を提起しており、徹底的な調査が必要だ」と新たに2名の代理人の名前が挙げられています。これはFAMによる会見では全く上がらなかった名前です。また今回の文書偽造の責任を負うべき個人あるいは団体が特定できないことにFIFAはFAM構造上の問題を指摘しています。


国籍偽装疑惑:FIFAはアルゼンチンやスペイン当局に文書偽造の調査を勧告

またFIFA控訴委員会の報告書では、マレーシア代表の7名のヘリテイジ帰化選手が関与した文書偽造疑惑は、該当国で裁判にかけられるべきだと考えており、関係5カ国にこの「犯罪」の調査を勧告しています。

「公文書の偽造という『犯罪』の性質と重大性を考慮し、控訴委員会は事務局に対し、ブラジル、アルゼンチン、オランダ、スペイン、マレーシアの管轄の刑事当局に通知するための適切な措置を講じるよう指示する。」

「偽造は刑事犯罪であり、適切な捜査と刑事訴訟が行えるよう当局に通知することが重要だ」とFIFAの報告書には記されています。

11月17日のニュース<br>・クラモフスキー監督辞任の噂もサッカー協会は否定

クラモフスキー監督辞任の噂もサッカー協会は否定

明日11月17日は2027アジア杯予選ネパール戦。2025年最後の代表戦ですが、何とこのタイミングでそのマレーシア代表を指揮するピーター・クラモフスキー監督の去就がSNSを中心に話題となっています。

このブログでも取り上げてきた通り、7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)の国籍偽装疑惑で揺れるマレーシアサッカー協会(FAM)に対して、クラモフスキー監督が辞任を検討しているのではとの憶測がSNS上で飛び交っています。その中には明日のネパール戦がクラモフスキー監督にとってマレーシアでの最後の試合になるかもしれない、と言った投稿なども流れてきます。

しかしこれを報じた英字紙ニューストレイツタイムズは、代表チーム関係者の話として、「クラモフスキー監督辞任の噂について『全く根拠がなく』『単なる雑音に過ぎない』と主張している」と伝えています。

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ネパールは11月13日に行われたバングラデシュとの国際親善試合に2−2で引き分けるなど調子は良いようですが、ヘリテイジ帰化選手7名を欠くマレーシアであっても順当に行けば勝利は間違いないでしょう。

今年1月に就任したクラモフスキー監督はこれまでの7試合を6勝1分としており、ネパール戦に勝利すれば、2025年を無敗で終えることになります。しかしその一方で2027アジア杯最終戦となる来年3月のベトナム戦は7名のヘリテイジ帰化選手不在、しかも今年6月の対戦ではケガでベンチ外だったブラジル出身の帰化選手で元J仙台のラファエルソンがベトナムのラインアップに復帰すれば、大敗する可能性があるだけでなく、最終戦に敗れることでアジア杯出場を逃しかねません。

また7選手の国籍偽装疑惑への処分について控訴予定のスポーツ仲裁裁判所(CAS)がFIFAの裁定を支持すれば、AFCはそれを理由にヘリテイジ帰化選手たちが出場したアジア杯予選3月のネパール戦と6月のベトナム戦はいずれも無効試合となり勝点6を失い、ベトナムと対戦する前に予選敗退が決定する可能性もあります。

そう考えるとクラモフスキー監督が明日のネパール戦後に代表監督して無敗のまま辞任すれば、自身のキャリアに傷がつくことも無いどころか、むしろ辞任には絶好のタイミングのようにすら思えてきます。またクラモフスキー監督は7選手へのFIFAによる裁定についてマレーシアサッカー協会(FAM)を激しく批判した一方で、マレーシア代表を「善意のサポーター」として支援するジョホール州皇太子(現在は摂政)のトゥンク・イスマイル殿下は「何も悪くない」と支持するなど、FAMとは一線を画しているようです。

もし大量のヘリテイジ帰化選手加入と自身のマレーシア代表監督就任がセットだったと仮定すると、帰化選手の代表チーム復帰の可能性が消滅した場合、クラモフスキー代表監督にとっては、当初の契約条件(明文化されているかどうかは別として)が反故になるわけです。言い換えれば、沈みつつある泥舟から逃げ出す絶好のタイミングであるとも言えますが、果たしてどうなるでしょうか。

11月15日のニュース<br>・ファイナンシャルフェアプレー違反の2クラブに罰金と選手移籍禁止処分<br>・代表合宿で甲状腺疾患が判明のジョーダン・ミンターに代わりルクマン・ハキムが合流<br>・アセアン選手権「ヒュンダイカップ」の日程発表-30周年となる大会は来年7月からおよそ1ヶ月の長丁場に

ファイナンシャルフェアプレー違反の2クラブに罰金と選手移籍禁止処分

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)はケランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFCとPDRM FCに対し、ファイナンシャルフェアプレー(FFP)規則違反により罰金とトランスファーウィンドウでの選手移籍禁止を科したことを公式サイトで発表しています。

シェイク・モハメド・ナシル第一審機関(FIB)委員長名で発表された声明によると、両クラブは財務報告書の提出義務についてMFLの指示に従わなかったことが理由と説明されています。

今季からMFLが本格的に導入したファイナンシャルフェアプレー(FFP)に基づき、スーパーリーグの全クラブに対し、2025年9月までの期間の滞納金の有無と、2025年8月および9月の財務報告書を、10月16日を提出期限として提出するよう求められていました。

MFLのFFP部門が各クラブの財務報告書を精査した結果、ケランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFCとPDRM FCは昨シーズンから給料未払い問題を抱えていることが判明。MFLのFFP部門はマレーシアプロサッカー選手協会(PFAM)の協力も得て、この問題があることが確認されたということです。

MFLのFFP部門は両クラブに対して、未払い給料の支払い済みを証明する書類、もしくは未払い給料の支払い計画を求める警告書を2通発行したが、何の解決策も得られなかったと述べた。

FFP部門の報告を受けたFIBは、規則違反を理由に両クラブに1度目の警告と共に1万リンギ(およそ36万円)の罰金を科し、未払い給料を14日以内に支払うよう命じたということですが、その後、両クラブから支払い領収書や支払い計画を受け取っていないため、FIBはさらに2度目の警告と2万リンギットの罰金を科したということです。しかし、それでも両クラブからは何の回答も得られなかったため、FIBは両クラブに対して3度目となる4万リンギットの罰金と、今季2025/26年シーズンの2度目のトランスファーウィンドウにおける選手の移籍禁止の処分が科されたということです。

なおマレーシアリーグの今季2度目のトランスファーウィンドウは、2016年1月6日から2月1日までとなっています。

クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFCとPDRM FCには、給料未払い問題を解決するために2025年12月31日までの猶予が与えられたということですが、シェイク・モハメド・ナシルFIB委員長は、両クラブが指定された期日までに遵守しない場合にはより厳しい措置が取られることを明言しています。

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今季開幕直後から未払い給料の噂が出ていたPDRMについてはやっぱりそうだったか…という感じです。一方、昨季の最下位から現在は7位、そして昨季のシーズン2勝を上回る3勝目を8試合終了時点で既に記録するなど、大躍進しているクランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFCについては、昨季の汚名をそそぐためとはいえ、身の丈以上の無謀な補強だったのかもしれません。


代表合宿で甲状腺疾患が判明のジョーダン・ミンターに代わりルクマン・ハキムが合流

ガーナ出身のジョーダン・ミンターは、2020年シーズンにトレンガヌFCに加入すると、そこからクアラルンプール・シティFCなどを経て、昨季からはクチン・シティFCでプレーしています。

今年8月29日にマレーシア国籍を取得したミンター選手は、先月10月に初めてマレーシア代表合宿に召集されましたが、マレーシア代表選手として試合に出場するための資格を証明する書類が準備できてないとして、出場はありませんでした。今月11月の代表合宿にも再び召集されたミンター選手ですが、その後、体調不良を理由に代表候補から外れ、代わりにルクマン・ハキムが召集されました。

そのミンター選手について、スポーツ専門メディアのスタジアム・アストロは、合宿での健康診断で甲状腺疾患及び心臓疾患があることが判明した結果の合宿辞退だったことを報じています。

代表チームのハイパフォーマンス・ディレクターを務めるクレイグ・ダンカン博士は、ミンター選手が当初は単なる風邪と診断されていたその数日前にウイルスが検出されたと説明しています。

「検査結果が出て、パフォーマンスを確認し、そこで何かしらの疑いがあれば調査を行う必要があるのは当然だ」と話したダンカン博士は、ミンター選手にさらに検査を行った結果、甲状腺と心臓に関わる慢性的な健康問題を抱えていることが判明したということですしかし、健康上の問題は個人情報でありそれ以上の情報開示はできないと説明したダンカン博士は、病気の詳細などは明らかにしていないということです。


ミンター選手に代わって代表合宿に加わったのは、3年ぶりの代表復帰となるルクマン・ハキム(ヌグリ・スンビランFC)です。これまで代表戦9試合に出場している23歳のルクマン選手は、2022年3月26日の国際親善試合シンガポール戦以来の代表復帰となります。

2018年9月にマレーシアで行われたU16アジア選手権(現U17アジア杯)では、開催国枠で出場したマレーシアはグループステージで敗退したものの、ルクマン選手はこの大会で優勝した日本の唐山翔自(現東京ヴェルディ)、その日本に準決勝で敗れたオーストラリアのノア・ボティッチ(オーストリア1部アウストリア・ウィーン)らと共に通算5ゴールで得点王を分け合いました。

マレーシアのサッカー界を背負って立つ存在と期待されたルクマン選手はその後、スランゴールFCを経て、マレーシア人ビジネスマンのヴィンセント・タン氏がオーナーのベルギー1部コルトレイクと2020年8月から5年契約を結びました。しかしそこでは出場機会を得ることができず、出場機会を求めてUMFニャルドヴィク(アイスランド2部)、横浜Y.S.C.C(ルクマン選手在籍時はJ3)などを転々とし、コルトレイクとの契約が切れた今年からはヌグリ・スンビランFCに加入しています。

今季のシーズン当初はケガなどで出場がなかったものの、回復後は徐々に出場時間を増やし、11月10日に行われたヌグリ・スンビランFC対東ティモール代表との練習試合では、2ゴールを挙げるなど調子を上げてきています。


アセアン選手権「ヒュンダイカップ」の日程発表-30周年となる大会は来年7月からおよそ1ヶ月の長丁場に

1996年開催の第1回大会から30周年記念となる第16回アセアン選手権は、2026年7月24日からグループステージが始まることが発表されています。東南アジアサッカー連盟(AFF)に加盟する11カ国が出場して隔年開催されるこの大会は、今回からヒュンダイモーターズが冠スポンサーとなり、大会名が「ヒュンダイカップ」となります。

タイガービールが冠スポンサーとなり「タイガーカップ」として始まった東南アジア選手権(当時)の第1回大会はシンガポールでの集中開催で、決勝ではタイがマレーシアを1−0で破り優勝しています。

2004年までスポンサーを務めたタイガービールに代わり、2008年からはスズキ自動車がスポンサーとなったことで「スズキカップ」となったこの大会は、2018年からはそれまでの集中開催からホームアンドアウェイ方式となっています。また大会名はスポンサーの変更にあわせて2022年からは「三菱電機カップ」、2026年の大会からは「ヒュンダイカップ」と変わっています。また大会の正式名称も2024年からは東南アジア選手権からアセアン選手権へと変更されています。

前回2024年大会では、ベトナムがタイをホームで2−1、アウェイでは3−2といずれも破って3大会振りに優勝しています。また総合優勝回数ではタイが7回、シンガポール4回、ベトナム3回となっており、マレーシアは2010年大会優勝の1回のみです。

2026年開催の第16回大会はグループステージの組み合わせ抽選は来年、行われます。6月2日と9日にはプレイオフが行われ、この勝者を含めた全10チームが、それぞれ5チームに分かれて、7月24日から8月8日にかけて1回戦総当たり方式のグループステージで争います。

そして各組上位2チームが、8月15日からホームアンドアウェイ方式で行われる準決勝を経て、やはりホームアンドアウェイ方式による決勝に進出し、8月26日の決勝2ndレグで大会王者が決定します。

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東南アジアサッカー連盟(AFF)のチエフ・サメス会長は公式発表の生命の中で、30周年を迎えるこの大会の歴史の長さを強調していますが、その裏には今年10月にマレーシアで行われた東南アジア首脳会議アセアンサミットの際にこの地を訪れたFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長の口から飛び出した新大会「FIFAアセアンカップ」への対抗意識がありそうです。このFIFAアセアンカップの詳細は何も明らかになっていませんが、FIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)内で行われることが発表されています。

アセアン選手権は例年、FIFAデイズ外で開催されることから、マレーシア国内リーグ11連覇中のジョホール・ダルル・タジムが選手の招集を完全に拒否する状況が続いています。代表チームの主力の多くが所属するジョホールの選手招集拒否により近年の大会には「本当の」マレーシア代表が出場できていないのが現状です。そんな状況下でFIFAアセアンカップがFIFAデイズ内で開催されるのであれば、これが真の東南アジア王者決定戦となる可能性もあります。

FIFAは2021年からAFC傘下の中東の13カ国とアフリカサッカー連盟(CAF)所属の10カ国が参加する「FIFAアラブカップ」を主催しており、こちらは4年に1度の開催となっています。このため、FIFAアセアンカップもアセアン選手権と共存する形で4年に1度の開催となる可能性もあります。

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ちなみに今季2025/26シーズンのマレーシア1部スーパーリーグは8月8日に開幕しました。来季はヒュンダイカップが7月24日に開幕することで、マレーシアスーパーリーグを主催するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、日程変更を余儀なくされそうです。またFIFAデイズ外の大会ということで、開幕前の大事なプレシーズンに選手が代表召集されることを拒否するクラブも出そうで、過去大会と同じならジョホール・ダルル・タジムの選手は召集拒否が濃厚です。2025年は無敗で終えることになりそうなピーター・クラモフスキー代表監督にとっても、このヒュンダイカップは選手選考が難しい頭の痛い大会となりそうです。

11月14日のニュース<br>・マレーシア代表選手の国籍偽装問題:ロドリゴ・オルガドは所属クラブが契約解除<br>・イマノル・マチュカの所属クラブはスポーツ仲裁裁判所の判断が出るまで給料支払いを表明<br>・アジア杯予選:対戦相手のネパールもピッチ外の問題で混乱中

マレーシア代表選手の国籍偽装問題:ロドリゴ・オルガドは所属クラブが契約解除

英字紙ニューストレイツタイムズは、国籍偽装が疑われるマレーシア代表のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名の内の1人、アルゼンチン出身のロドリゴ・オルガドが所属クラブとの契約が解除されたことを報じています。

コロンビア1部のアメリカ・デ・カリは、所属するオルガド選手がFIFAから12ヶ月間のあらゆるサッカー関連の活動禁止処分が科されたことを受け、契約を解除したということです。

マレーシアサッカー協会(FAM)は、国籍偽装疑惑に関してFIFAの規律委員会が9月26日に発表した裁定を覆そうと控訴していましたが、11月3日に同じFIFAの控訴委員会がFAMおよび7選手への処分内容を支持し、控訴は却下されていました。

FIFAはFAMに対し35万スイスフラン(およそ6830万円)の罰金、またオルガド選手の他、ガブリエル・パルメロ、ファクンド・ガルセス、イマノル・マチュカ、ジョアン・フィゲイレド、ジョン・イラサバル、エクトル・ヘヴェルの6選手に対しても、書類偽造に関するFIFA規律規程22条違反で、それぞれ12カ月の出場停止と2,000スイスフラン(およそ39万円)の罰金という裁定を下していました。

アメリカ・デ・カリはFIFA控訴委員会による控訴却下を受けて、29歳のオルガド選手との契約を11月11日に正式に解除したと、コロンビアのメディア「ElDeportivo.com.co」が伝えているということです。今年1月にアルゼンチン1部のヒムナシアから加入したオルガド選手は1年足らずでチームを去ることになりました。

なお、ElDeportivo.com.coによれば、アメリカ・デ・カリの法務チームと選手側代理人の双方が契約解除に合意に達しており、オルガド選手は契約条件に基づき、給与を全額受け取り続けるということです。

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このブログでも既報の通り、スペイン出身のガブリエル・パルメロは、期限付き移籍中であったスペイン3部のウニオニスタス・デ・サラマンカ、そしてパルメロ選手の所属元であるクルブ・デポルティーボ・テネリフェが、それぞれ期限付き移籍および契約終了を発表しており、所属クラブがなくなったのはオルガド選手で2人目となりました。

今回の国籍偽装疑惑問題でFIFAを批判している、ジョホール州摂政(皇太子)のトゥンク・イスマイル殿下がオーナーのジョホール・ダルル・タジムFCに所属するジョアン・フィゲイレド、ジョン・イラサバル、エクトル・ヘヴェルの3選手は契約解除の心配はなさそうです。そうなると残るファクンド・ガルセス、イマノル・マチュカ両選手の動向が気になりますが、次の記事はそのマチュカ選手に関連するニュースです。


マレーシア代表選手の国籍偽装問題:イマノル・マチュカの所属クラブはスポーツ仲裁裁判所の判断が出るまで給料支払いを表明

ガブリエル・パルメロ、ロドリゴ・オルガド両選手が所属クラブとの契約解除となった一方で、アルゼンチン出身のヘリテイジ帰化選手、イマノル・マチュカは所属するアルゼンチンのクラブから給与を受け取り続けることになるようです。

マチュカ選手が所属するアルゼンチン1部のベレス・サルスフィエルドは、FIFAによる処分に対してマレーシアサッカー協会(FAM)が予定しているスポーツ仲裁裁判所(CAS)への控訴の最終判断を待つ間、25歳のマチュカ選手の給与を全額支払い続けると発表しています。

アルゼンチンのメディア「Sabado Velez」によれば、ベレスはすべての控訴手続きが終わるまで、マチュカの将来に関して最終的な決定を下さないと発表したということです。ブラジル1部のフォルタレザから期限付き移籍中のマチュカ選手は、ベレス・サルスフィエルドとの契約が12月31日までとなっています。


アジア杯予選:対戦相手のネパールもピッチ外の問題で混乱中

国籍偽装疑惑問題に揺れるマレーシアは11月18日に2027アジア杯予選F組の第5節でネパールと対戦しますが、そのネパールも深刻なピッチ外の問題を抱えていると英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

来週火曜日の試合は、本来はネパールのホームゲームとしてカトマンズにあるスタジアムでの開催が予定されていましたが、そのスタジアムが試合開催要件を満たしていないと判断したアジアサッカー連盟(AFC)は、試合会場をクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場に変更しています。ネパールは今年3月に予定していたホームゲームを、マレーシアのホームゲームとして開催するよう依頼をした過去もあります。なおスルタン・イブラヒム・スタジアムで行われた3月の試合ではネパールに0−2でマレーシアに敗れています。

さらにネパール国内では、同国サッカー協会に当たる全ネパールサッカー協会(ANFA)が主催する1部リーグのAディビジョンリーグの開催が3シーズン連続で中止となるなど、ネパールのサッカー界はマレーシアに負けず劣らず混乱に揺れているようです。

今週月曜日、カトマンズの全ネパールサッカー協会(ANFA)本部で代表チーム壮行会が行われた際には、「ANFAは常に選手やサッカー関係者のために最善を尽くしている」と、ANFAのパンカジ・ビクラム・ネンバン会長は地元メディアに語ったようですが、最近リーグ再開を求めて街頭抗議を行ったネパール選手会との確執についての言及はなかったということです。

11月10日のニュース<br>・ACL2敗退のスランゴールはCEOが逃げキャプテンがサポーターに応対<br>・今月のアジア杯予選に向けた代表27名が発表-キャプテンのマシュー・ディヴィーズが復帰<br>・国籍偽装疑惑のガブリエル・パルメロは所属クラブが契約を解除

ACL2敗退のスランゴールはCEOが逃げ、試合後はベンチ外だったキャプテンが怒れるサポーターに応対

11月6日にスランゴール州のMBPJスタジアムで行われたACL2グループステージG組第4節では、ホームのスランゴールFCが前半で挙げた2点のリードを守りきれず、後半に3得点を挙げたプルシブ・バンドンが逆転で勝利しています。

これによりスランゴールは2シーズン連続となるACL2グループステージ敗退が決まりました。この試合後には怒れるスランゴールサポーター数百人がスタジアム外に集まり、クラブ経営陣との対話を求めましたが、ジョハン・ハミドンCEOらは早々とスタジアムを去っており、サポーターを落ち着かせたはこの試合では膝のケガによりベンチ外だったキャプテンのファイサル・ハリムだったと報じられています。(ちなみにこの日は現地観戦しましたが、不穏な空気を感じたので、試合後には私はすぐにスタジアムを後にしました。)

サポーターらはファイサル選手に対して、経営陣に対して今シーズン当初から続く不安定なチーム状況の改善を直ちに行うことを求める、というメッセージを託したということですが、SNS上には、暴走した一部サポーターがハミドンCEOを探してスタジアムのVIPエリアに侵入しようとして保安係に止められる映像なども上がっています。

スランゴールは今季開幕からのリーグ戦5試合を2勝3敗でスタートすると、昨年11月に就任した喜熨斗勝史監督を解任しています。なお喜熨斗氏は2020年以降にスランゴールが解任した7人目の監督です。その一方で2016年に就任したジョハン・ハミドンCEOの元では国内タイトルは1つも獲得できておらず、度々サポーターからの批判を受けてきました。過去2シーズン2位のチームは現在、4勝1分3敗で6位、しかも首位のジョホール・ダルル・タジムからは勝点差14と大きく離され、さらにACL2では4戦全敗で敗退となっています。


今月のアジア杯予選に向けた代表27名が発表-キャプテンのマシュー・ディヴィーズが復帰

11月18日にクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われる2027アジア杯予選のネパール戦に臨むマレーシア代表27名が発表されています。10月に行われた同じアジア杯予選ラオス戦で招集された29名からDFシャールル・サアド(ジョホール)、リチャード・チン(スコットランド2部レイス・ローヴァーズ)、MFアフィク・ファザイル(ジョホール)、FWロメル・モラレス(ジョホール)が外れる一方で、ケガから復帰したキャプテンでDFマシュー・デイヴィーズ(ジョホール)が復帰、さらにMFライアン・ランバート(クアラルンプール)が代表に初めて招集されています。なおマレーシア代表にはライアン選手の双子の兄弟、デクラン・ランバートも招集されていますが、代表チームで双子の兄弟が同時にプレーするのは2019年のアイディル・ザフアンとザクアン・アドハ兄弟以来2組目ということです。

直近のFIFAランキングでは2005年11月以来となる118位のマレーシアは、同180位のネパールとクアラルンプールで対戦しますが、この試合はネパールのホームゲームとして行われます。これは、試合会場となるはずだったネパール国内のスタジアムがアジアサッカー連盟(AFC)から承認を受けなかったため、自国での試合開催できなくなったことに伴う措置です。

なおネパールは2027アジア杯予選の初戦となった3月25日の試合もネパールで行う予定でしたが、このときはカトマンズのダシャラート・スタジアムが改修工事中だったため、ネパールサッカー協会(ANFA)がこの試合をマレーシアのホームゲームとするよう要請し、スルタン・イブラヒム・スタジアムに変更されていました。

ネパールへの移動が不要になったマレーシア代表は、マレーシア国内で本日11月10日から試合前日の17日まで代表合宿を行います。

2027アジア杯予選に向けた11月合宿に参加するマレーシア代表(全27名)

P氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ29ジョホール
シーク・イズハン23スランゴール
ハジク・ナズリ27クチン
DFラヴェル・コービン=オング34ジョホール
マシュー・デイヴィーズ30ジョホール
ジュニオール・エルドストル34ジョホール
ハリス・ハイカル23スランゴール
クエンティン・チェン26スランゴール
デクラン・ランバート27クアラルンプール
ダニエル・ティン33サバ
ドミニク・タン28サバ
アザム・アズミ24トレンガヌ
ウバイドラー・シャムスル22トレンガヌ
ディオン・クールズ29セレッソ大阪
MFナズミ・ファイズ31ジョホール
ノーア・ライネ23スランゴール
ライアン・ランバート27クアラルンプール
スチュアート・ウィルキン27サバ
エンドリック・ドス・サントス30ホーチミン市公安
エゼキエル・アグエロ31カーンチャナブリパワー
FWアリフ・アイマン23ジョホール
ファイサル・ハリム27スランゴール
アリフ・イズワン21スランゴール
サファウィ・ラシド28クアラルンプール
パウロ・ジョズエ36クアラルンプール
ラマダン・サイフラー25クチン
ジョーダン・ミンター30クチン

国籍偽装疑惑のガブリエル・パルメロは所属クラブが契約を解除

国籍偽装が疑われるマレーシア代表のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名に対してFIFAが罰金と12ヶ月の出場停止の裁定に対す控訴を却下した余波が現れ始めているようです。

英字紙ニューストレイツタイムズは、出場停止処分を受けたヘリテイジ帰化選手の1人でスペイン出身のDFガブリエル・パルメロが所属クラブから契約解除を発表されたと報じています。

11月3日にFIFAがパルメロ選手を含む7選手の控訴を却下したことを受け、期限付き移籍中であったスペイン3部のウニオニスタス・デ・サラマンカと、パルメロ選手の所属元であるクルブ・デポルティーボ・テネリフェが、パルメロ選手の期限付き移籍および契約を終了したと発表したということです。

ウニオニスタスによる11月7日の公式声明は以下の通りです。。
「ウニオニスタス・デ・サラマンカは、FIFAから9月25日に通知を受け、11月3日に選手の控訴が棄却されたことを受け、クルブ・デポルティーボ・テネリフェとガブリエル・パルメロのレンタル契約を解除することで合意した。この合意には、クラブ側に金銭的な負担は一切発生していません。ウニオニスタス・デ・サラマンカは、サラマンカ在籍中に示した選手の献身に感謝の意を表します。」

一方、テネリフェも声明を発表し、パルメロ選手とのとの契約が11月7日付で終了したこと発表しています。「ガブリエル・パルメロのウニオニスタス・デ・サラマンカへの期限付き移籍契約およびクルブ・デポルティーボ・テネリフェとの契約は、11月7日をもって終了した」

パルメロ選手は、マレーシア代表としてプレーするために書類を偽造したとしてFIFAから出場停止処分を受けたヘリテイジ帰化選手7名の1人です。この他に処分を受けているのは、ロドリゴ・オルガド、ファクンド・ガルセス、ジョン・イラサバル、ジョアン・フィゲイレド、ヘクトル・ヘーベル、イマノル・マチュカの6選手で、FIFAの控訴委員会は11月3日にパルメロ選手を含む7選手全員の控訴を棄却し、12か月間の出場停止と各選手に2,000スイスフラン(およそ38万円)の罰金という処分を確定させています。

なおパルメロ選手の他には、コロンビア1部のアメリカ・デ・カリが、同じく処分を受けたアルゼンチン出身のロドリゴ・オルガドとの契約を解除する手続きに入っていることをニューストレイツタイムズが報じています。