2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第3節の結果とハイライト映像<br>・東海岸ダービーはトレンガヌに、ボルネオダービーはサバに軍配<br>・ペラが今季初勝利で今季未勝利は残り3チームに<br>・ジョホールは開幕から3連勝で首位を固める

 5月24日から26日にかけて、今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ(MSL)第3節が開催されています。今節はペラFCが今季初勝利を挙げ、今季未勝利のチームは谷川由来選手所属のクチンシティFCや佐々木匠選手所属のヌグリスンビランFCなど5チームとなりました。なお今季のMSLは13チームで編成されており、第3節はスリ・パハンFCの試合はありません。 
 また6月に入ると2026FIFAW杯アジア2次予選兼2027AFCアジアカップ予選やマレーシアFAカップ1回戦が予定されており、MSLは1ヶ月ほどの中断期間に入り、第4節は6月21日(金)から23日(日)に予定されています。

MSL2024/25第3節
2024年5月24日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 3-0 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️トレンガヌ:イスマヒル・アキナデ(36分PK)、ヌリーロ・トゥクタシノフ(45分)、マヌエル・オット(48分)
🟨トレンガヌ(0)、🟨クランタン(0)
MOM:ヌリーロ・トゥクタシノフ(トレンガヌFC)

 いずれもマレー半島東海岸に面したトレンガヌ州とクランタン州に本拠地を持つ両チームの「東海岸ダービー」は、トレンガヌFCが快勝しています。
 13,000人を超えるホームサポーターの声援を背に、トレンガヌFCは試合開始から積極的に攻め、36分にサファウィ・ラシドがペナルティエリア内で倒され、VARが入りPKを獲得。昨季はクランタン・ダルル・ナイムFC(KDN FC)の前身、クランタン・ユナイテッドFCでプレーしたイスマヒル・アキナデがこれを決めてトレンガヌFCが先制します。
 一方のKDN FCもバルデマール・アウグストを中心に攻め、好機を作るものの得点には至らず、逆にトレンガヌは45分にイスマヒル・アキナデのクロスをマヌエル・オットが合わせ、これをKDN FCのGKカトゥル・アヌアルが弾くと、そのこぼれ球をヌリーロ・トゥクタシノフが押し込んでリードを2点に広げます。
  試合前には正GKスハイミ・フシンが父親の訃報でベンチ外となったトレンガヌは後半開始早々にも、GKカトゥル・アヌアルの中途半端なパンチからのボールを拾ったマヌエル・オットがペナルティエリアの外からダイレクトで蹴り込み、3−0とするとKDN FCの反撃を抑えて、トレンガヌFCはホーム2連勝、一方のKDN FCは開幕から3連敗となっています。

この試合のハイライト映像。Astro Areanの公式YouTubeより

MSL2024/25第3節
2024年5月24日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-2 ペラFC
⚽️ペラ:イ・テミン2(17分、76分)
🟨クダ(2)、🟨ペラ(4)
MOM:イ・テミン(ペラFC)

 開幕から2連敗中のペラFCがイ・テミンが2ゴールで今季初勝利を挙げています。 
 ペラFCは17分にルチアーノ・グアイコチェアが自陣から蹴ったロングゴールがクダFCの最終ラインの裏側へ。これにイ・テミンが反応し、クダ・ダルル・アマンFC(クダFC)のGKカラムラー・アル=ハフィズを交わしてゴール。VARが入ったものの、判定は変わらずペラFCが先制します。
 それまでも押し気味に試合を進めていたクダFCはギアを上げて、ソニー・ノルデ、シュクロブ・ヌルロエフ、そして久しぶりの代表合宿参加となったシャフィク・アフマドらが次々とシュート放つも、ゴールに足らず、前半はビジターのペラFCが1−0とリードして終了します。
 前半途中から足を気にしている素振りを見せていシャフィク・アフマドが後半開始早々に負傷したクダFCでしたが、攻撃の手は緩まず、さらには70分にFWエベネゼル・アシフア、MFファイズ・ナシル、MFファズルル・ダネルを一気に投入し同点を狙いますが、逆にペラFCはこの試合のMOMイ・テミンがカウンターからの2点目のゴールを挙げて、クダFCを突き放しています。
 ホームのクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)はペラFCのシュート数の3倍以上の26本(枠内19本)と圧倒しながら、ゴールを奪えず敗れています。

この試合のハイライト映像。Astro Areanの公式YouTubeより

MSL2024/25第3節
2024年5月25日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 1-5 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(45+8分)
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ2、(43分、61分)、フアン・ムニス2(45+5分、71分)、シャーミ・サファリ(88分)
🟨KLシティ(3)、🟨ジョホール(4)
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

 2021年のスーパーリーグ昇格以来、過去3シーズンは、ホームでのJDT戦を1分2敗、得点1失点7と相性が悪い全てKLシティFCですが、この試合でも大敗しています。
 JDTから期限付き移籍中のランバート兄弟が先発メンバーに名を連ねたKLシティFCは開始からJDTの猛攻を受けるもなんとか耐え凌ぎます。33分にはクアラルンプール市内を襲った激しい雷雨で一時中断した試合は、JDTが42分に先制しました。フアン・ムニスからのクロスを頭で押し込んだフェルナンド・フォレスティエリのゴールはVARのチェックを経て認められると、その3分後には今度はフアン・ムニスがゴール正面からフリーキックを決めて、JDTがリードを広げます。
 しかしKLシティFCも前半ロスタイムにハキミ・アジムがJDTのオスカル・アリバスに倒されて得たPKをキャプテンのパウロ・ジョズエが決めて1点差に詰め寄って前半を終了します。
 後半は完全にJDTペースとなった試合は、61分にフォレスティエリ選手ががヘディングで2点目を決め、 ムニス選手もこの試合2点目のゴールを71分に決めると。 そして終了2分前にシャーミ・サファリがダメ押しの5点目を決めています。JDTはこれで国内63試合無敗、アウェイマッチでも62試合無敗となりました。

この試合のハイライト映像。Astro Areanの公式YouTubeより

MSL2024/25第3節
2024年5月25日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 2-1 クチンシティFC
⚽️サバ:ダレン・ロック(75分PK)、ジャフリ・フィルダウス・チュウ(85分)
⚽️クチンシティ:ペドロ・エンリケ(64分)
🟨サバ(2)、🟨クチンシティ(4)
MOM:ダレン・ロック(サバFC)

 いずれも東マレーシアのボルネオ島に本拠地を持つチームの対戦となった「ボルネオダービー」は、自力に勝るサバFCが逆転勝利を収めています。
 先制したのはクチンシティFCでした。0-0で折り返した試合は63分にペドロ・エンリケがサバFCのGKカイルル・ファーミをかわしてゴールを決めています。
 しかしサバFCは75分にコ・グァンミンが倒されていたPKをダレン・ロックが決めて胴に追いつくと、そのダレン・ロックに代わって投入されたジャフリ・フィルダウス・チュウが左サイドで粘ったサディル・ラムダニから出たボールを経験でゴール。これが決勝点となり、サバFCは開幕からの無敗記録を3に伸ばしました。
 一方のクチンシティFCは今季初勝利とはなりませんでした。
 クチンシティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

この試合のハイライト映像。Astro Areanの公式YouTubeより

MSL2024/25第3節
2024年5月25日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 1~1 ペナンFC
⚽️PDRM:イフェダヨ・オモスイ(32分)
⚽️ペナン:ロドリゴ・ディアス(52分)
🟨PDRM(3)、🟨ペナン(2)
MOM:イフェダヨ・オモスイ(PDRM FC)

 ここまで1勝1敗のPDRM FCが2試合連続スコアレスドローで今季未勝利のペナンFCをホームに迎えた試合は、1−1の引き分けに終わっています。
 イフェダヨ・オモスイがリーグトップとなる今季3ゴール目を決めてPDRM FCが前半にリードすると、後半にはペナンFCのロドリゴ・ディアスが今季チーム初ゴールを決めて追いつきます。ペナンFCは代表初招集となったウィングのアディブ・ラオプの活躍などもありましたが、追加点奪えず、開幕から3試合連続引き分けとなりました。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して85分に交代しています。

この試合のハイライト映像。Astro Areanの公式YouTubeより

MSL2024/25第3節
2024年5月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 4-0 ヌグリスンビランFC
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(57分)、ノー・アル=ラワブデ(67分)、ヨハンドリ・オロスコ(76分)、レジク・バニ・ハニ(90+1分)
🟨スランゴール(1)、🟨ヌグリスンビラン(1)
MOM:ヨハンドリ・オロスコ(スランゴールFC)

 スランゴールFCがホーム2連勝で順位を8位から4位に上げています。
 本来はヌグリスンビランFCのホーム、トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアムで予定されていたこの試合は、ピッチの排水システム改善のための工事が終わっていないため、スランゴールFCのホームゲームとなっています。
 試合は開始からほぼ一方的なスランゴールFCのペースで進みますが、FW陣のフィニッシュの精度の低さと、ヌグリスンビランFCのGKアキル・アブドル・ラザクとDF陣の頑張りで、前半はヌグリスンビランFCがスランゴールFCの猛攻に耐えて0-0で折り返します。
 前節のジョホール・ダルル・タジムFC戦でゴールを決めたミャンマー代表ハイン・テット・アウンがスランゴールFCからのレンタルということで、この試合はベンチ外、さらにこの試合先発したミカことミゲル・アンヘル・フンコ・マルティネスと佐々木匠の前線が孤立する場面も多かったヌグリスンビランFCに対して、得点は時間の問題と思われたスランゴールFCは57分にロニー・フェルナンデスが今季初ゴールを決めると、そこから怒涛の攻撃が始まります。このゴールを含めて4ゴールを挙げたスランゴールFCはシュート数29本(枠内11本)とヌグリスンビランFCの6本(同3本)を圧倒して快勝しています。
インドネシアで開催される 代表戦などで試合がない期間が1ヶ月続くマレーシアスーパーリーグですが、スランゴールFCとサバFCは今月末からインドネシアのジャカルタで開催される国際招待大会に出場し、インドネシア1部のプルシジャ・ジャカルタ、PSISスマランと対戦します。
 スランゴールFCがホーム2連勝で順位を8位から4位に上げています。
 本来はヌグリスンビランFCのホーム、トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアムで予定されていたこの試合は、ピッチの排水システム改善のための工事が終わっていないため、スランゴールFCのホームゲームとなっています。
 試合は開始からほぼ一方的なスランゴールFCのペースで進みますが、FW陣のフィニッシュの精度の低さと、ヌグリスンビランFCのGKアキル・アブドル・ラザクとDF陣の頑張りで、前半はヌグリスンビランFCがスランゴールFCの猛攻に耐えて0-0で折り返します。
 前節のジョホール・ダルル・タジムFC戦でゴールを決めたミャンマー代表ハイン・テット・アウンがスランゴールFCからのレンタルということで、この試合はベンチ外、さらにこの試合先発したミカことミゲル・アンヘル・フンコ・マルティネスと佐々木匠の前線が孤立する場面も多かったヌグリスンビランFCに対して、得点は時間の問題と思われたスランゴールFCは57分にロニー・フェルナンデスが今季初ゴールを決めると、そこから怒涛の攻撃が始まります。このゴールを含めて4ゴールを挙げたスランゴールFCはシュート数29本(枠内11本)とヌグリスンビランFCの6本(同3本)を圧倒して快勝しています。
 ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。

 代表戦などで試合がない期間が1ヶ月続くマレーシアスーパーリーグですが、スランゴールFCとサバFCは今月末からインドネシアのジャカルタで開催される国際招待大会に出場し、インドネシア1部のプルシジャ・ジャカルタ、PSISスマランと対戦します。

この試合のハイライト映像。Astro Areanの公式YouTubeより

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第3節終了)

順位チーム勝点
1JDT393001129
2TRE37210615
3SAB37210532
4SEL36201532
5SRP24110321
6PDRM34111440
7PEN33030110
8PRK3310256-1
9KCH3202145-1
10KLC2101126-4
11KDA*3010213-2
12KDN3000327-5
13NSE2000217-6
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。

5月24日のニュース<br>・6月のW杯予選に向けた代表候補合宿参加メンバー発表:アリフ・アイマンやファイサル・ハリムはメンバー外<br>・今度はスランゴールDFが押し込み強盗被害に

6月のW杯予選に向けた代表候補合宿参加メンバー発表

マレーシアサッカー協会(FAM)は、2026年FIFAワールドカップアジア予選兼2027年アジアカップ予選D組の第5節と第6節の試合に向けて、5月27日から始まる代表候補合宿参加メンバー26名を発表しています。マレーシア代表は残るアジア2次予選の第5節では6月6日にキルギス代表とキルギスのビシュケクで、第6節では6月11日に台湾代表とブキ・ジャリル国立競技場で対戦します。

今回の代表候補合宿に参加する26名中、第3節(3月21日)と第4節(3月26日)に行われたオマーン代表との連戦に招集されたメンバー24名中、酸をかけられて入院中のファイサル・ハリム(スランゴールFC)の他、ケガのため今季開幕2節までで出場がないアリフ・アイマン、ロメル・モラレス(いずれものジョホール・ダルル・タジムFC)、アザム・アズミ(トレンガヌFC)らが外れる一方で、16名が再び招集されています。

また今回が初の代表合宿参加となるのは、DFアディブ・ラオプ(ペナンFC)、DFフェロズ・バハルディン(ジョホール・ダルル・タジムFC-JDT)、DFデクラン・ランバート(KLシティFC)、FW、エンク・シャキル(トレンガヌFC)の4名で、GKカラムラ・アル=ハフィズ、FWシャフィク・アハマド(いずれもケダ・ダルル・アマンFC)は久しぶりの代表合宿参加となります。

今回のメンバーでボラセパマレーシアJPが個人的に注目したいのは、フェロズ・バハルディンと久しぶりの招集となったシャフィク・アフマドです。強豪JDTで昨季は21試合に先発するなど24歳ながら主力としてセンターバックに定着しているフェロズ選手はチームメートのシャールル・サアド、さらにはドミニク・タン、ディオン・コールズとのポジション争いに挑みます。またシャフィク選手は期限付き移籍したクダ・ダルル・アマンFCでは開幕戦でゴールを決めるなど、かつての輝きを取り戻しつつあります。代表戦36試合で10ゴール5アシストながら、近年は所属するJDTで出場機会を得られず、代表からも遠ざかっていましたが、今回はファイサル・ハリムやロメル・モラレスらライバル不在ということもあり、自慢の運動力でゴールを挙げてほしいところです。あとはJDTのホン・ワンも見てみたい選手でしたが、今回はサブメンバーにとどまっています。

2024年5月代表候補合宿参加
*は代表初招集、#はU23アジアカップ出場メンバー

ポジション氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ28JDT
GKアズリ・アブドル・ガニ25KLC
GK#シーク・イズハン22PEN
GKカラムラー・アル=ハフィズ29KDA
DFマシュー・デイヴィーズ29JDT
DF*フェロズ・バハルディン24JDT
DFシャールル・サアド31JDT
DFラヴェル・コービン=オング33JDT
DF*デクラン・ランバート26KLC
DFドミニク・タン27SAB
DFダニエル・ティン32SAB
DF#サフワン・マズラン22TRE
DF*アディブ・ラオプ25PEN
DFディオン・コールズ28BUR
MFエンドリック・ドス・サントス29JDT
MFブレンダン・ガン36KLC
MFパウロ・ジョズエ35KLC
MFスチュアート・ウィルキン26SAB
MFシャミル・クティ27PEN
MF*ノーア・レイン22SEL
FW#ハキミ・アジム21KLC
FWダレン・ロック34SAB
FWサファウィ・ラシド27TRE
FWアキヤ・ラシド25TRE
FWエンク・シャキル26TRE
FWシャフィク・アフマド29KDA
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、KLC-KLシティFC、PEN-ペナンFC
KDA-クダ・ダルル・アマンFC、BUR-タイ1部ブリーラム・ユナイテッド

また、上記の26名に何かあった場合のサブメンバー 22 人は以下の通りです。
#はU23アジアカップ出場メンバー

ポジション氏名AGE
GKサミュエル・サマヴィル30SEL
GKスハイミ・フシン30TRE
GKザリフ・イルファン29SRP
DFシャーミ・サファリ26JDT
DFジュニオール・エルドストール33JDT
DFシャルル・ナジーム25SEL
DFファズリー・マズラン31SEL
DFシャールル・ニザム26TRE
DF#ウバイドラー・シャムスル21TRE
DFアズワン・アリピン28SRP
MFアフィク・ファザイル30JDT
MFホン・ワン24JDT
MFモハマドゥ・スマレ30JDT
MF アリフ・ハイカル24SEL
MF.#ムカイリ・アジマル23SEL
MF.ノー・ハキム・ハサン33TRE
MF.アザム・アジー29SRP
MF.エゼキエル・アグエロ30SRP
MF.ダニエル・アミル27KCH
MFザフリ・ヤハヤ30KLC
FW.ヌル・シャミル・イスズアン29KCH
FW.#ルクマン・ハキム22YSCC
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC、KLC-KLシティFC
KDA-クダ・ダルル・アマンFC、KCH-クチンシティFC、YSCCー横浜Y.S.C.C
今度はスランゴールDFが空き巣被害に

セランゴールFCのセンターバック、クザイミ・ピーの自宅が空き巣の被害にあったことを英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

5月22日の夕方にクザイミ選手のスランゴール州シャー・アラムにある自宅が空き巣被害に遭い、パスポートなどが盗まれた他、自宅に停めてあったバイクなども盗まれたということです。空き巣が起こったと考えられている時間には、クザイミ選手はクラブの練習施設で練習中でした。

「午後2時頃、練習に行くために自宅を出た。夜9時に帰宅すると家のドアが開いていることに気づいた。「確認したところ、パスポートやブランドバッグなどいくつかの持ち物がなくなっていた。またヤマハのバイクも盗まれた。」と警察に報告したということです。

マラッカ州出身のクザイミ選手は、スランゴールでは一人暮らしをしていおり、妻子など家族はマラッカに住んでおり、盗まれたパスポートからマラッカにある自宅の住所が明らかになることで、家族への危害が及ぶことも心配しているということです。

セランゴールFCは、酸をかけられて現在も入院中のファイサル・ハリムや、その後,ジョハン・ハミドンCEOへの脅迫などがあったことから選手のためにボディガードを雇ったとことを発表していた最中の事件でした。

5月22日のニュース<br>・東南アジア選手権三菱電機カップ:マレーシアは前回優勝のタイと同組に<br>・東南アジア選手権三菱電機カップ:ACLとの日程丸かぶりでマレーシアは「B代表」で参戦濃厚<br>・シーズン開幕直後にCEOらが辞任もクランタン・ダルル・ナイムFC会長は問題なしと明言<br>・帰化審査が長引くアルグジム・レゾヴィッチ:いつまで待たされるのか?

 11季振りにUEFAチャンピオンズリーグ決勝進出を決めているボルシア・ドルトムントがクラブ公式Facebookでファイサル・ハリムの支援と暴力撲滅のメッセージを投稿しています。
 この投稿はファイサル選手の略歴、そして襲われた事件とその後の経過を紹介し、”STOP the volence. We stand with Faisal Halim”というメッセージで締め括られています。サッカー界の連帯の強さを感じさせるメッセージです。


東南アジア選手権三菱電機カップ:マレーシアは前回優勝のタイと同組に

東南アジアサッカー連盟(AFF)が主催する東南アジア選手権、三菱電機カップのグループステージの組み合わせ抽選が5月21日にベトナムのハノイで行われ、マレーシアは前回覇者のタイと同じA組に入ることが決まりました。

マレーシアが入ったA組は過去7回優勝のタイの他、過去4回優勝のシンガポール、カンボジア、そしてブルネイと東ティモールによるプレーオフの勝者の5チームとなっています。一方のB組は東南アジアのFIFAランク1位で前回大会準優勝のベトナム、最近の躍進が目覚ましいインドネシア、フィリピン、ミャンマー、ラオスの5チームとなっています。

組み合わせ抽選が決定後、マレーシアサッカー協会(FAM)はマレーシア代表のキム・パンゴン監督のビデオメッセージを公開し、その中でキム監督は「前回チャンピオンのタイと同じ組になったことを興味深い。隣国シンガポールも侮れない。この三菱電機カップで戦うためのベストメンバーを揃えられるようにしたい。」と話しています。

東南アジアサッカー選手権三菱電機カップは、11月23日に開幕し、決勝は12月21日に予定されています。

東南アジア選手権三菱電機カップ:ACLとの日程丸かぶりでマレーシアは「B代表」で参戦濃厚

組み合わせが決まった三菱電機カップですが、この時期にはACLエリートやACL2といったAFC主催の大会も開催されます。マレーシアからはACLエリートには昨季のリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が、ACL2には昨季2位のスランゴールFCがそれぞれ出場します。現時点ではACLエリートの第5節が11月25日から27日、第6節が12月2日から4日、ACL2は第5節が11月26日から28日、第6節が12月3日から5日に予定されていることから、JDTとスランゴールFCの選手をこの三菱電機カップに出場するマレーシア代表に招集することは難しそうです。

直近の代表戦だった3月21日と26日の2026W杯アジア2次予選、オマーン戦のメンバーを例にすると、3月21日の試合では先発XIの内、JDTからはFWロメル・モラレス、MFアリフ・アイマン、DFラベル・コービン=オング、DFシャルル・サアド、GKシーハン・ハズミの5名、スランゴールFCからはFWファイサル・ハリムと合計で6名おり、3月26日の試合でもJDT5名、スランゴールFC1名が先発しています。また、その前に行われた代表候補合宿でも33名のメンバー中、JDTとスランゴールFCで半数以上の17名を占めており、この両チームから選手を招集できないとなると、A代表と呼ぶには心許ないメンバーでのチーム編成となます。またマレーシア代表DFディオン・コールズが所属するブリーラム・ユナイテッド(タイ)もACLエリートに出場することから、コールズ選手の招集もおそらく無理で、そうなると準決勝進出どころか、グループステージ突破すら怪しくなります。

前回2022年大会でマレーシアは、グループステージをベトナムに次ぐ2位で突破し、ホームアンドアウェイ方式の準決勝ではタイと対戦しました。ホームのブキ・ジャリル国立競技場での試合は1−0と勝利したものの、舞台をタイに移したアウェイ戦では0−3と返り討ちに合い、通算成績を1−3としたマレーシアは決勝進出を逃しています。なおこの2022年大会は国内リーグのマレーシアスーパーリーグが終了していましたが、JDTはこの大会がFIFA国際マッチカレンダーではないことを理由に選手の招集を拒否しています。

シーズン開幕直後にCEOらが辞任もクランタン・ダルル・ナイムFC会長は問題なしと明言

今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ(MSL)は第2節まで終えていますが、ここまで2連敗で13チーム中11位のクランタン・ダルル・ナイムFC(KDN FC)は、ワン・モハマド・ズル・イクマンCEOとザムリ・イスマイル副会長の辞任を発表しています。

KDN FCは3部リーグのM3リーグ時代から1部スーパーリーグ昇格までの6年間に渡り、クラブ運営に貢献してきた両氏に感謝の意を表すメッセージもクラブSNSに投稿していますが、これが開幕間もない時期の辞任であることから、SNS上では様々な憶測が飛び交っています

これについてマレーシアの通信社ブルナマは、KDN FCのロジ・ムハマド会長が、両氏の辞任は選手への未払い給料や開幕から2連敗した責任といった理由での辞任であるという噂や憶測を否定していると報じています。

ロジ会長は、両氏が自身の都合でクラブに関わる時間が取れなくなっているとして、数ヶ月前から辞職を求めていた一方で、昨年までのクランタン・ユナイテッドFCからクランタン・ダルル・ナイムFCへのリブランディングを進める際に両氏の協力が必要なことからロジ会長自身が辞任を引き止めていたと説明しています。

その上で、選手や監督、コーチへの給料未払いや遅配といった問題は全くなく、開幕2連敗も長いシーズンで見れば、それだけが辞任の理由にはなり得ないとした上で、両氏の貢献を考えると、いつまでの引き止めておくわけにはいかず辞任を了承したということです。またロジ会長は両氏の辞任はKDN FCの今後には大きく影響することはないだろうと話しているということです。

帰化審査が長引くアルグジム・レゾヴィッチーいったいいつまで待たされるのか?

トレンガヌFCに所属する長身DFアルグジム・レゾヴィッチはモンテネグロ出身で、2018年にPDRM FCに加入以降はマレーシア国内リーグでプレーを続けています。マレーシア人女性と結婚しているレゾヴィッチ選手は、国内で5年以上プレーを続けていることから、帰化することができれば外国籍選手枠を気にせず、マレーシア人選手としてプレーできますが、その帰化審査に手間取っているようです。

マレーシア語紙ブリタハリアンは、2020年からレゾヴィッチ選手が在籍しているトレンガヌFCのサポーターが「(帰化審査に)いったいいつまで待たされるのか?」という疑問を持っていると報じています。

このブログでもレゾヴィッチ選手の帰化申請のニュースは何度か取り上げおり、昨年12月にマレーシア国籍を取得したFWロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジムFC)とほぼ同じ時期に帰化申請の書類を提出したとされています。しかしモラレス選手は既にマレーシア代表入りしてAFCアジアカップ2023や2026W杯アジア予選に出場している一方で、レゾヴィッチ選手は外国籍選手枠の都合から、今季2024/25シーズンはトップチームでの出場は未だありません。

この状況についてトレンガヌFCのモハマド・サブリ・アバスCEOは、関係省庁からの連絡を待っている状態であると説明し、審査状況についても何も伝えられていないと話しています。「情報が全くないので、レゾヴィッチ選手の審査がどこまで進んでいるのかについて私が話すことはできない」と述べたサブリCEOは、すでに6年以上マレーシアでプレーしているレゾヴィッチ選手がマレーシア国籍を取得できることを強く願っている。」とも話しています。

5月21日のニュース<br>・酸をかけられたファイサル・ハリムは今週中にも退院<br>・代表選手襲撃捜査は警察に任せるべき-FAM<br>・常設のU22代表チーム、ハリマウ・ムダ復活をFAMが検討

 今季2024/25シーズンからマレーシアスーパーリーグ(MSL)にもVARが導入されていますが、第1節では5試合中2試合で「機材トラブル」を理由にVARが使えませんでした。そして先週末に行われた第2節でも、ペナンFC対トレンガヌFCの試合でVARが機能しませんでした。英字紙ニューストレイツタイムズによると、この試合が行われたペナンFCのホーム、シティ・スタジアムの設備に問題があったことがその理由のようです。
 なお、この試合でVARが使用できないことがトレンガヌFCのトミスラフ・シュタインブルックナー監督に伝えられたのは、キックオフから20分以上経ってからでした。これについてシュタインブルックナー監督は、試合前にVARが使えないことが伝えられなかったことに不満をあらわにしています。特にこの日は38分にマヌエル・オットのゴールがオフサイド判定されるなどVARが入れば判定が異なった可能性がある場面もあっただけに、悔やんでも悔やみきれないと言ったところでしょうか。

酸をかけられたファイサル・ハリムは今週中にも退院

5月5日に酸をかけられ第4度の火傷を負って入院治療中の代表FWファイサル・ハリムは今週中にも退院する可能性があると、英字紙スターが報じています。この記事の中でスランゴールFCのチームドクター、ハズワン・カイル医師は、ファイサル選手は昨日5月20日(月)の朝に入院後4回目となる手術を受け、数日間医師の観察を受けた後、退院する予定だと話しています。

ハズワン医師はさらに、ファイサル選手が今回受けた「分割皮膚移植」の手術がおそらく最後の手術になるだろうと話す一方で、術後の経過を見るために48時間から72時間待たなければならないと説明し、その経過によって退院の時期が決まるだろうと述べています。また退院後には「筋骨格リハビリテーション」というリハビリを受ける予定だとも説明し、退院後もメンタル面も含めてファイサル選手の具合をを継続的に監視するとしています。

上は5月18日にセランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムで行われたセランゴールFC対クダ・ダルル・アマンFCの試合中に、スランゴールFCのウルトラスが掲げたティフォ。モチーフはファイサル選手がゴールを挙げた際に行うパフォーマンス「シウ」のポーズです。(英字紙スターより)

代表選手襲撃捜査は警察に任せるべき-FAM

 5月3日にはトレンガヌFCのアキヤ・ラシドが強盗傷害事件で、5月5日にはスランゴールFCのファイサル・ハリムが突然、酸をかけられ、5月7日にはジョホール・ダルル・タジムFCのサフィク・ラヒムが車のリアウィンドウをハンマーで粉砕される、と言った代表選手が被害者となる事件が連続して発生しています。これらの事件については、2週間近く経った現在も犯人逮捕のニュースが流れず、国内サッカーファンからは警察に対する不満がSNS上でも見られますが、マレーシアサッカー協会(MFL)のノー・アズマン事務局長は、3人の元現代表選手が襲われた事件について、事件の捜査するための猶予を警察に与えるべきと述べています。

FAMのノー・アズマン事務局長は、警察の捜査に影響を及ぼすような発言を控え、捜査を静観すべきだと述べています。「警察が捜査を進めている中、例えばスランゴールFCの関係者が次々と脅迫を受けたことを明らかにしたり、ファイサル選手へ酸をかけた行為が選手生命を奪う目的だった、といった声明を発表して、サポーターや一般市民を惑わせるべきではない。」と述べたノー・アズマン事務局長は、こう言った声明は警察の捜査を妨げたり、誤解を招きかねないという懸念を示しています。

警察からは定期的に捜査の状況に関して情報提供を受けていることも明らかにしたノー・アズマン事務局長は、いずれの事件も公共の場で起こったこともあり、FAM、そしてリーグを運営するマレーシアン・フットボール・リーグ(MFL)とも独自の捜査を行うことはできないことを説明した上で、警察が捜査を進める妨げになるような行動や発言は控えることを求めています。

常設のU22代表チーム、ハリマウ・ムダ復活をFAMが検討

ハリマウ・ムダ(ハリマウは「虎」、ムダは「若い」の意味のマレーシア語)は、マレーシアサッカー協会(FAM)が2007年から2015年まで運営していた常設のU23代表チームの愛称ですが、FAMは若手育成プログラムの一環として、このハリマウ・ムダを再び編成することを検討していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

マレーシア代表の愛称がハリマウ・マラヤ(意味は「マラヤの虎」)であることからU23以下の各年代代表の総称として付けられた愛称がハリマウ・ムダですが、FAMのハミディン・アミン会長は、このハリマウ・ムダを復活させた場合の運営費用などについてマレーシア政府の青年スポーツ省のハンナ・ヨー大臣と話し合いを持つ予定があると述べています。

「ハリマウ・ムダに参加する選手、監督およびコーチの給料はFAMから出るため、FAMはヨー青年スポーツ相とハリマウ・ムダの運営費用について話し合いを行う必要がある。もしハリマウ・ムダが復活すれば、以前と同じように海外への遠征なども行う予定だ。なおハリマウ・ムダに参加する選手は、所属するクラブから期限付き移籍という形で集めることになるだろう。」

ハリマウ・ムダ復活は結果的には代表チーム強化にもつながると考えており、その資金については青年スポーツ省からの支援が必要だと述べたハミディンFAM会長は、2028年オリンピックを筆頭に、FIFA U17W杯やU20W杯、2026年アジア競技大会、2027年東南アジア競技大会などを念頭に置きながら、FAMはユース年代からの育成に注力したいと話しています

*****

2007年に創設されたハリマウ・ムダは、当初はU21チームとしてプロクラブに所属しない選手を集めて、国内2部リーグのプレミアリーグに参戦しました。参加初年度2007/08シーズンは7勝5分12敗で14チーム中8位という成績でしたが、翌年2009シーズンは、現在はサバFC監督のオン・キムスイ氏が監督を務め、20勝2分2敗でリーグ優勝を果たしました。

このチームはそのまま2009年の東南アジア競技大会通称シーゲームズでは、大会がU23代表の対戦となった2001年大会以降では初優勝を果たすと、さらに2011年のシーゲームズでも優勝して2連覇を果たしています。また2009年のシーゲームズ中小チームのメンバーが加わったA代表は、2010年の東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権スズキカップ(現三菱電機カップ)でも初優勝を果たしています。

これに気を良くしたFAMはハリマウ・ムダをU22のハリマウ・ムダAとU20のハリマウ・ムダBに分け、さらにその後はU17のハリマウ・ムダCまで創設しています。この後、ハリマウ・ムダAは2011年シーズンは国内1部リーグのスーパーリーグに参戦して12勝7分7敗で14チーム中5位の成績を残すと、翌2012年には国外のチームに門戸を開いていたシンガポール1部リーグに参戦し、13勝3分8敗で13チーム中4位となりました。

2013年には、シーゲームズ3連覇を目指して8ヶ月に及ぶスロバキアでの海外合宿を行ったものの、2013年末のシーゲームズでは3位決定戦にも敗れて4位に終わりました。さらに2014年にはFAMはオーストラリアのクイーンズランド州サッカー協会と提携して、ハリマウ・ムダAは同州リーグに参戦し、9勝6分9敗で13チーム中9位でシーズンを終えた翌2015年には前FAM副会長でもあったカイリー・ジャマルディン青年スポーツ相(当時)がユース年代育成はFAM主導ではなく、各州サッカー協会が行うべきとして、FAMにハリマウ・ムダを解散を命じたという経緯があります。

なお、ハリマウ・ムダBとCについても、機会があればこのブログで取り上げようと思います。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第2節の結果とハイライト映像(3)・強盗傷害事件被害のアキヤ・ラシドが今季初出場

5月17日から19日にかけて、今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ(MSL)第2節が開催されています。
 なお今季のMSLは13チームで編成されており、第2節はKLシティFCの試合はありませんでした。

MSL2024/25第2節
2024年5月19日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 2-2 スリ・パハンFC
⚽️クチンシティ:チェチェ・キプレ(19分)、ジョーダン・ミンター(45+1分)
⚽️パハン:アダム・ノー・アズリン(64分)、マヌエル・イダルゴ(78分)
🟨クチンシティ(0)、🟨パハン(4)
MOM:マヌエル・イダルゴ(スリ・パハンFC)

 第1節ではKLシティFCと1−1で引き分けていたクチンシティFCは、ホーム初戦で2点のリードを守れず、2試合連続の引き分けに。
 昨季5位のスリ・パハンをホームに迎えた同13位のクチンシティFCは、19分に左コーナーキックをファーサイドの谷川由来選手が折り返し、これをジョーダン・ミンターがオーバーヘッドでシュート!このボールは味方のペドロ・エンリケに当たりますが、そのこぼれ球をチェチェ・キプレが蹴り込んでゴール!リVARのチェックでもゴールが認められて、クチンシティFCが先制します。さらに前半終了間際には、ショートコーナーからアラウディン・ファリドのクロスにジョーダン・ミンターが頭で合わせてゴール。新加入FWコンビが期待通りの働きを見せたクチンシティFCが2-0として前半を折り返します。
 後半に入っても押し気味に試合を進めたクチンシティFCが追加点を奪えずにいた54分にはルジエフ・クヴォンディク、56分にはステファノ・ブルンドがシュートを放つなど、スリ・パハンFCも反撃に転じます。そして64分には左サイドで得たFKをマヌエル・イダルゴがゴール前へ挙げると、これをアダム・ノー・アズリンがヘディングシュートでゴールを決めて、スリ・パハンFCが1点差に詰め寄ります。66分のステファノ・ブルンドのシュートはVARによりオフサイドとなりますが、74分にはゴール前の混戦から出たボールをマヌエル・イダルゴが蹴り込んで、これが同点ゴールとなります。その後は両チームとも好機を得ながらゴールにはつながらず、12分のロスタイムを経て、2−2のまま試合終了。1ゴール1アシストのマヌエル・イダルゴがMOMに選ばれています。
 クチンシティFCは次節では同じボルネオ島に本拠地を持つサバFCとの「ボルネオダービー」が控えており、スリ・パハンFCは今季のリーグが13チーム編成のため、試合がありません。
 クチンシティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

この試合のハイライト映像。Astro ArenaのYouTubeチャンネルより

MSL2024/25第2節
2024年5月19日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0-0 トレンガヌFC
🟨ペナン(2)、🟨トレンガヌ(3)
MOM:ネト・オリヴェイラ(ペナンFC)

 開幕戦でサバFCと0−0で引き分けたペナンFCは、この試合でもスコアレスドローで2試合を終わって、リーグで唯一ゴールのないチームになっています。
 両チームとも試合開始から積極的なプレーを見せる中、38分にペナルティエリア外でトレンガヌFCがFKを得ると、この試合ではキャプテンマークをつけたサファウィ・ラシドが左足から強烈なシュートを放ちます。ペナンGKシーク・イズハンがこれを弾くと詰めていたマヌエル・オットがそのこぼれ球を押し込みますが、VARのチェックがないままオフサイドと判定されます。
 0-0で前半折り返すと、68分には新加入のナビル・ラトピのヘディングシュートがやはりVARのチェックで認められないなど、両チームとも無得点のままロスタイムに入り、試合終了直前のサイゴンプレーではアリフ・イクマルリザルのヘディングシュートをトレンガヌGKサイド・ナスルルハクがスーパーセーブで防ぎ、試合は0−0のまま終了しています。
 トレンガヌFCは、5月3日に強盗傷害事件に遭い、頭などを4針縫うケガを負ったアキヤ・ラシドが先発して77分までプレーしています。前節はベンチ外だったものの、この試合ではヘディングシュートを放つなど、元気な様子を見せていました。

この試合のハイライト映像。Astro Arenaの公式YouTubeチャンネルより。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第2節終了)

順位チーム勝点
1JDT26200615
2TRE24110312
3SAB24110321
4SRP24110321
5PDRM23101330
6SEL2310113-2
7KCH22022330
8PEN22020000
9KLC110101 10
10KDA*20101110
11KDN2000224-2
12NSE1000113-2
12PRK2000236-3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第2節の結果とハイライト映像(2)<br>・ジョホールが開幕2連勝で早くも単独首位に<br>・スランゴールとPDRMは今季初勝利を挙げる

5月17日から19日にかけて、今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ(MSL)第2節が開催されています。
 なお今季のMSLは13チームで編成されており、第2節はKLシティFCの試合はありません。

MSL2024/25第2節
2024年5月18日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-1 ヌグリスンビランFC
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ2(12分、17分)、ジョルディ・アマト(71分)
⚽️ヌグリスンビラン:ハイン・テット・アウン(28分)
🟨ジョホール(1)、🟨ヌグリスンビラン(4)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

 開幕戦はスランゴールFCが対戦を辞退したために不戦勝となり、この試合が今季初のリーグ戦となったジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)はエースのベルグソン・ダ・シルヴァの2発などで快勝しています。新戦力のシリア代表MFジャリル・エリアスも加わり、選手層がさらに厚くなったJDTは、シャルル・サアド、エンドリック・ドス・サントス、モハマドゥ・スマレらマレーシア代表にも出番がありませんでした。
 またこの試合ではマレーシアの至宝(敢えてこう呼びたい)アリフ・アイマンがベンチ外で、右ウィングにはオスカル・アリバスが入りました。私の記憶では、アリバス選手はJDTでは左サイドでのプレーしか見たことがなかったので、この起用は意外でしたが、ハイライト映像を見る限りでは問題なくプレーしたようです。一方のアリフ選手は試合後の会見でJDTのエクトル・ビドリオ監督がケガのため欠場したと説明していますが、ケガの程度については言及していないようです。なおこの試合では新戦力のフランシスコ・ジェラウデス、ニコラオ・カルドーソもやはりベンチ外でした。
 一方のヌグリスンビランFCはゴール前で粘った佐々木匠選手とJDTのDFが交錯してこぼれたボールをハイン・テット・アウンが決めて一時は1点差まで迫り、その他にも佐々木選手が起点で好機を作っていたようです。プレシーズンマッチでヌグリスンビランFCの試合を見た際には、佐々木選手と他の選手の連携が上手くいっていない場面が見られましたが、この試合のハイライト映像を見た限りでは、その点は改善されている印象でした。
 ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は先発して90+3分に交代しています。

この試合のハイライト映像。JDTの公式YouTubeチャンネルJDTTVより。

MSL2024/25第2節
2024年5月19日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 1-0 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️スランゴール:アリフ・ハイカル(85分)
🟨スランゴール(1)、🟨クダ(2)
MOM:シャルール・ナジーム(スランゴールFC)

 今節最も注目のカードは、こう着状態が続き、このまま引き分けかと思われた試合終盤に、途中出場のアリフ・ハイカルが値千金のゴールを決めて、スランゴールFCがクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)を破り今季初勝利を挙げています。
 初戦のJDT戦を「安全上の理由」で辞退し、0−3の不戦敗でスタートしたスランゴールFCは、ホーム開幕戦となったこの試合は、酸をかけられて現在も入院中のファイサル・ハリムのためにも勝たねばならない試合でした。サポーターも、ファイサル選手の背番号7にちなんで、キックオフから7分ではサポーターが立ち上がって拍手をし、ファイサル選手を支援する団結力を見せるなど、スランゴールFCの勝利への期待が高まりました。しかし新加入のロニー・フェルナンデス、アルヴィン・フォルテスらが好機を作るもののゴールには至らず、前半は0-0で終了します。
 後半に入ってもヨハンドリ・オロスコ、ノー・アル=ラワブデらのシュートも枠内を捉えられず、残り時間が少なくなった中、81分に投入されたアリフ・ハイカルが85分にゴール前の混戦からこぼれたボールを蹴り込んで、これが決勝点となりスランゴールが今季初勝利を挙げています。
 クダFCは第1節のPDRM FCで勝利し、連勝を目指してMBPJスタジアムに乗り込み、スランゴールFCと互角に戦いました。しかしロスタイムにシャフィク・アフマドがソニー・ノルデのクロスに合わせるもシュートがバーを超えるなど、好機を作りながらであと1点が取れませんでした。

この試合のハイライト映像。スランゴールFCの公式YouTubeチャンネルSelangorFC+ より

SL2024/25第2節
2024年5月18日@イポー・スタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 2-3 PDRM FC
⚽️ペラ:トミー・マワト(9分)、ワン・ザック・ハイカル
(87分)
⚽️PDRM:イフェダヨ・オモスイ2(24分、90+12分)、鈴木ブルーノ(72分
🟨ペラ(1)、🟨PDRM(1)
MOM:イフェダヨ・オモスイ(PDRM FC)

 ロスタイムの劇的ゴールでPDRM FCが敵地でペラFCを破り、今季初勝利を挙げています。
 第1節ではホーム開催となった雨中の接戦でクダ・ダルル・アマンFCに0−1で敗れていたPDRM FCのP・マニアム監督は、初戦で先発したチディ・オスチュクウに代わり、プリンス・アンゲを起用した以外はメンバーを変えず、やはり初戦を1-3で落としているペラFCのユスリ・チェ・ラー監督は、初戦でレッドカードをもらったルイス・エンリケ・モッタに代わりイェスペル・ニホルムを起用した以外は、初戦のトレンガヌFC戦とは同じメンバーを起用しています。
 先制したのホームのペラFCでした。その前にも惜しいシュートを放っていたトミー・マワトが、ゴール前の混戦からイ・テミンが外へ流したボールを豪快に蹴り込んでゴール!ペラが8分に1−0とリードします。しかしPDRM FCも、この試合ではペラFCのDF陣が手を焼いたプリンス・アグレーのクロスをイフェダヨ・オモスイがヘディングで合わせて同点ゴールを決めます。VARのチェックなどもあった前半はロスタイムが11分ありましたが、スコアは1-1のまま終了します。
 後半の72分にはPDRM FCのGKブライアン・シーが元FC琉球のワン・ザック・ハイカルのシュートを弾くと、そこからのカウンターで右サイドを上がったイズルル・アシュラフがゴール前へクロス。このボールをアレム・ティモシーがスルーし、これに飛び出したペラGKハジク・ナズリのいないゴールに鈴木ブルーノ選手が押し込んで、PDRM FCが逆転します。しかしペラFCもその89分にGKブライアン・シーがゴール前のボールへのパンチングを空振りし、ワン・ザック・ハイカルの足元に転がると、これをそのまま蹴り込んだワン・ザック選手のゴールで試合は2-2となります。しかし最後に笑ったのはPDRM FCでした。90+12分には、ロングパスを受けたイズルル・アシュラフとペラDFが交錯して流れたボールをイフェダヨ・オモスイがペナルテイーエリアの外から豪快に蹴り込んで決勝点を挙げ、二転三転した試合はPDRM FCが勝利し、今季初勝利。一方のペラFCは開幕から2連敗となっています。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して85分に交代しています。

この試合のハイライト映像。Astro Arena公式YouTubeチャンネルより。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第2節途中)

順位チーム勝点
1JDT26200615
2SAB24110321
3TRE13100312
4SRP13100101
5PDRM23101330
6SEL2310113-2
7KLC110101 10
8KCH11010110
9PEN11010000
10KDA*20101110
11KDN2000224-2
12NSE1000113-2
13PRK2000236-3
13SEL2310113-2
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第2節の結果とハイライト映像(1)<br>・サバFCがクランタン・ダルル・ナイムFCを破って今季初勝利と勝点3獲得

 5月17日に今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ(MSL)第2節の1試合が開催されています。
 なお今季のMSLは13チームで編成されており、第2節はKLシティFCの試合はありませんでした。
(試合のハイライト映像は全てMFLの公式YouTubeチャンネルから)

 またMSLとは関係ないですが、昨日5月17日にはジョホール州ジョホール・バルで刃物で武装した男が警察署を襲撃し、警察官2名が死亡する事件が起こりました。警察の発表では、インドネシア、マレーシア、シンガポールそしてイスラム教徒が多いフィリピン南部などで活動しているイスラム系テロ組織、ジェマ・イスラミアが襲撃に関与しているとみられています。ジェマ・イスラミアはインドネシアのバリ島で2002年、2005年と2度の爆弾テロを起こした他、ジャカルタなどでも同様の爆弾テロを起こしおよそ250名が命を奪われています。
 さらに同じ日の午後にはマレーシア国王の住む王宮に刃物を持って押し入ろうした2人組が拘束されています。
 5月3日に強盗傷害事件でケガをしたアキヤ・ラシド、5月5日に酸を浴びせられたファイサル・ハリム、5月7日に暴漢に車のリアウィンドウをハンマーで粉砕されたサフィク・ラヒムとサッカー選手を狙う事件が続きましたが、現在のマレーシアは我々一般市民も呑気ではいられなくなりそうな雰囲気になっています。

MSL2024/25第2節
2024年5月17日@スルタン・ムハンマド4世・スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ダルル・ナイムFC 2-3 サバFC
⚽️クランタン:キム・リクワン(55分)、ペ・ギョンファン(90+2分)
⚽️サバ:ガブリエル・ペレス(25分)、スチュアート・ウィルキン(63分)、ラモン・マチャド(69分)、
🟨クランタン(1)、🟨サバ(1)
MOM:カイルル・ファーミ

 サバFCがクランタン・ダルル・ナイムFC(KDN FC)の猛追から逃げ切って開幕2連勝を挙げています。サバFC1点リードの31分、VARのチェックによりKDN FCにPKが与えられますが、チャドラック・ムズングのシュートをGKカイルル・ファーミが好セーブ。このプレーがこの試合の分岐点でした。両チームが拮抗する中、前半を1-0で折り返したサバFCは、後半に入ってKND FCに追いつかれると、途中出場の代表MFスチュアート・ウィルキンのミドルシュートで再びリードを奪い、その3分後には左サイドのテルモ・カスタネイラからのクロスをエースのラモン・マチャドが角度を変えてゴールし、追加点を奪ってそのまま逃げ切っています。
 昨季は4勝5分17敗の12位に終わったクランタン・ユナイテッドFCは、昨季終了後にクランタン・ダルル・ナイムFCと名称を変えてリブランディングを行いました。同じクランタン州を本拠地とするクランタンFCが給料未払い問題により下部リーグに降格したこともあり、熱狂的なサポーターが多いクランタン州のサッカーファンを惹きつけたいところですが、この試合ではバックスタンドの入場料を大人10リンギ(およそ330円)としたことで、公式発表では7,778人の観衆を集めています。昨季の1試合平均入場者数は777人、最大入場者数はクランタンダービーとなったクランタンFCとの試合で2,910人だったことを考えると、この試合の観客動員はリブランディングが功を奏しているようにも見えます。
 この試合はストリーム配信されていたので、私も観戦しました。チームは集客だけでなくピッチ上でも昨季と比べて大きく改善されています。この試合でゴールを挙げた新加入の韓国人コンビDFキム・リクワン(21)、FWペ・ギョンファン(22)、そしてPKは外したもののサバFCのDF陣を翻弄する場面を何度も見せたコンゴ民主共和国出身のウィング、チャドラック・ムズングらを中心に最後まで粘りを見せるなど、昨季とは全く違うチームになっています。昨季のクランタン・ユナイテッドFCのつもりで対戦して油断すると、上位のチームでも足元を掬われかねないチームになっている印象で、個人的には今季、注目したいチームです。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第2節途中)

順位チーム勝点
1SAB24110321
2JDT13100303
3TRE13100312
4SRP13100101
5KLC110101 10
6KCH11010110
7PEN11010000
8KDA*10100101
9NSE00000000
10PDRM1000101-1
11KDN2000224-2
12PRK1000131-2
13SEL1000103-3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。

5月17日のニュース<br>・FAカップの組み合わせ決まる-今回は史上最小の16チーム出場<br>・ベトナム、インドネシアに続け?マレーシアも代表とU23代表監督の兼任を検討

FAカップの組み合わせ決まる-今回は史上最小の16チーム出場

今季2024/25シーズンのマレーシアFAカップの抽選会が5月16日に行われました。今大会で第33回を迎えるこの大会には合計16チームが出場します。。

スーパーリーグの13チームに加えて、3部リーグのA1セミプロリーグの16チームからKLローヴァーズFC、ブキット・タンブンFC、マレーシア大学FTの3チームが今季のFAカップに出場します。

組み合わせ抽選は、昨季2023年シーズンでマレーシアスーパーリーグ(MSL)で下位5チーム(ヌグリスンビランFC、ペナンFC、ペラFC、クランタン・ダルル・ナイムFC、クチン・シティFC)と、A1セミプロリーグの3チームの計8チームが、昨季のMSLで1位から8位にランクされた8つの「シード」チームのホームで試合を行う形で行われました。

8つの「シード」チームは、ジョホール・ダルル・タクジム(JDT)、セランゴールFC、サバFC、ケダ・ダルル・アマンFC、スリ・パハンFC、トレンガヌFC、KLシティFC、PDRM FCで、1回戦ではこの8チームのホームで試合が行われます。

1990年から始まったFAカップは、2020年と2021年は新型コロナの影響で中止となりましたが、過去32回の歴史の中で、セランゴールFCとケダ・ダルル・アマンFCが最多の5回優勝を誇り、続いてJDT、スリ・パハン、KLシティがそれぞれ優勝3回で続いています。

2024/25年FAカップの1回戦8試合は2024年6月13日に開始され、決勝戦は8月に予定されています。

*****

マレーシアFAカップは日本で言えば天皇杯に当たる大会ですが、今年はマレーシアン・フットボール・リーグ(MFL)が運営する1部スーパーリーグ13チームと、アマチュア・フットボール・リーグ(AFL)が運営する3部リーグ(2部リーグのプレミアリーグは現在休止中のため実質2部)の3チームの全16チームが参加するささやかな大会になっています。

サッカーサイトのスムアナニャ・ボラによると2015年には34チームが、2016年には35チームがこのFAカップに出場しています。さらに2017年は37チーム、2018年には40チーム、そして2019年には59チームが出場する国内最大のサッカー大会になりました。

しかしコロナ禍の2020年と2021年にはFAカップは中止となりました。下部リーグのクラブの中にはスタジアムではなく外周を柵などで囲まれたサッカー場が本拠地のクラブもあり、そう言った試合会場では入場者の制限など新型コロナ対策が十分に行えないことを理由にしての2年連続中止でした

そして2022年に再開されるとこの大会こそ34チームが参加したものの、昨季2023年は20チーム、そして今回は16チーム参加と規模が縮小されています。国内のもう一つのカップ戦、マレーシアカップは1921年に第1回が開催された伝統ある大会で、後発のFAカップはその影に隠れた格好になっています。しかし、マレーシアカップは国内のトップリーグMSLのクラブのみ出場できる大会である一方で、FAカップはこれまで下部リーグのクラブにもその門戸を開いており、AFLが運営する3部に当たるA1セミプロリーグ以下には、4部に当たるA2リーグ、5部に当たるA3コミュニティリーグもあることから、こう言ったリーグのクラブにまで門戸を開き、自分たちもマレーシアサッカー界の一員であること感じてもらうことこそがFAカップを開催する意義だと思うのですが、MFLはそう言った発想はなさそうです。

またカップ戦の醍醐味はいわゆる「ジャイキリ」、下部リーグのクラブが上部リーグのクラブを破るジャイアントキリングですが、MFLは準々決勝、準決勝をホームアンドアウェイ方式で開催することで、そう言ったハプニングが起こる可能性を潰しています。ビジネスという観点からは1試合よりも2試合行うほうが実入りも良くなるのは理解できますが、規模の縮小と言い、ワンチャンの機会を奪うホームアンドアウェイ制の導入と言い、MFLによるFAカップの運営には個人的にはかなり不満が残ります。

ベトナム、インドネシアに続け?マレーシアも代表とU23代表監督の兼任を検討

マレーシア語紙のブリタハリアンは、マレーシアサッカー協会(FAM)がキム・パンゴン代表監督にU23代表監督を兼任させることを検討していると報じています。

U23アジアカップではベスト4に進み、大陸間プレーオフで敗れたもののの、あと1勝すればオリンピック出場というところまで手が届いていたインドネシアU23代表の監督は、韓国出身のシン・テヨン監督ですが、シン監督はインドネシア代表の監督でもあります。

昨年3月の2026年W杯予選兼2027年アジアカップ予選でシン監督が代表チームで起用した選手の内11名はU23代表にも招集され、U23アジアカップでは同国代表としては最高位の4位となりました。

またベトナムはパク・ハンソ氏がやはり2017年から代表とU23代表の監督を兼任し、2018年のU23アジアカップではU23代表が準優勝を果たすと、代表チームでも2020年W杯アジアでは最終予選までチームを導くと、最終予選では日本と1分1敗の記録を残しています。

ベトナムは、パク監督の後任のフィリップ・トルシエ元日本代表監督、そしてその後任のキム・サンシク氏も代表とU23代表の監督を兼任しています。(ベトナム監督としては良い結果が出せなかったトルシエ氏も日本代表では代表とU23代表監督を兼ねていた時期もあります。)

こう言った状況受けて、マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、この監督兼任につい、今後FAM内で議論される予定であり、この仕組みがマレーシア代表に適しているかどうかについては詳細な調査が必要であると説明しています。またそうなれば契約内容の変更にも及び、キム監督との協議も必要になるだろうと述べています。

「他国にとっては適切であっても、我々(マレーシア)にとっては適切ではないこともある。しかし、代表とU23代表に同じ監督を任命することについては既にこれまでもFAM内でも議論されており、おそらくそれが適切かどうかもう一度議論することになるだろう」と話したハミディンFAM会長はその一方で、「(監督兼任をFAMが要請した場合)キム監督が同意しなければ、この案は実現しないことは理解しておくべきだ。」と話しています。

5月16日のニュース<br>・酸をかけられたファイサル・ハリムはICUから普通病棟に移る<br>・強盗傷害事件にあったアキヤ・ラシドは練習に復帰<br>・破格!クランタン・ダルル・ナイムFCのホーム開幕戦チケットは300円<br>・

酸をかけられたファイサル・ハリム(スランゴールFC)と強盗傷害事件にあったアキヤ・ラシド(トレンガヌFC)の良いニュースが報じられています。しかし、その一方で、アキヤ選手の事件からはおよそ2週間、ファイサル選手の事件からは10日が経ちますが、この事件の捜査状況については、警察からはほとんど発表がありません。捜査にはこんなに時間がかかるのか、という印象ですが、どちらの事件も早く犯人が逮捕されることが両選手の心の平穏にもつながると思いますので、警察には迅速に動いて捜査を頑張って欲しいところです。

酸をかけられたファイサル・ハリムはICUから普通病棟に移る

5月5日に不審者から酸をかけられた代表FWファイサル・ハリムは、先週木曜日に行われた皮膚移植手術を含む3度の手術を受けましたが、術後の経過は良好で、9日間を過ごした集中治療室(ICU)から普通病棟へ移ったとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ファイサル選手と面会したスランゴールFCのシャーリル・モクタル理事は、はっきりとした口調で話ができるようになっている他、歩くこともできるようになり、食欲が出てきており、出身地ペナンで有名なマレーシア風カレーの「ナシ・カンダー」が食べたいと話しているということです。

「容態は安定しているものの、未だ最新の注意が必要な状況であり、一般の見舞客との面会はまだ許可されてはいない。予定されている次の皮膚移植手術はおそらく最後の手術で、ファイサル選手自身の身体の一部の皮膚を火傷した箇所に移植する手術だと聞いている。」と説明したシャーリル理事は、術後は最低でも2週間は入院が続くと話しています。

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なおファイサル選手が所属するスランゴールFCは、クアラルンプールとスランゴール州をつなぐ幹線道路である連邦高速道路や、ダマンサラ・プチョン高速道路(LDP)に近いデジタル・サイネージを使って「ファイサル・ハリムとともに立ち、暴力を阻止せよ」というキャンペーンも展開しています。

強盗傷害事件にあったアキヤ・ラシドは既に練習に復帰

ファイサル・ハリムが酸をかけられる事件の3日前には、ジョホール・ダルル・タジムFCからトレンガヌFCに期限付き移籍中の代表FWアキヤ・ラシドが練習から帰宅した際に強盗傷害事件の被害を受け、頭や足などを4針縫うケガを負っています。

今季チームの開幕戦となった5月11日の試合にはベンチ入りもできませんでしたが、そのアキヤ選手は既に練習に復帰していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。この報道によると、アキヤ選手はチームとともにウォーミングアップを行った後、軽めの練習メニューをこなしたということです。

練習後にはメディアの問いかけに応じたアキヤ選手は、事件のトラウマがあることは認める一方で、「足の縫合箇所は一両日中には抜糸が終わるので、試合に向けてフィットネスレベルを上げていきたい」と話し、今週末に予定されている今季のマレーシアスーパーリーグ第2節のペナンFC戦への出場意欲を未沙汰ということです。

破格!クランタン・ダルル・ナイムFCのホーム開幕戦チケットは300円

今週末に今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ(MSL)第2節が開催されますが、5月17日に今季のホーム開幕戦を戦うクランタン・ダルル・ナイムFCは、この試合のバックスタンドのチケットを10リンギ(およそ330円)とすることを発表しています。なおメインスタンドは当初の予定通り25リンギ(およそ830円)のままということです。

ホームのスルタン・ムハンマド4世スタジアムにサバFCを迎えて行われるこの試合について、クランタン・ダルル・ナイムFCはクラブ公式SNS上で声明を発表し、昨季までのクランタン・ユナイテッドFCからのりブランディングを支援する多くのサポーターに感謝の意を表すことが目的だと話し、クランタン・ダルル・ナイムFCのサポーターはもとより、サッカーの人気が高いクランタン州のサッカーファンにも、入手しやすい価格のチケットを買ってスタジアムに足を運んで欲しいと呼びかけています。

5月15日のニュース<br>・皮膚移植手術を受けた代表FWファイサル・ハリムの経過は良好<br>・代表チームメートのパウロ・ジョズエがファイサル選手と自身の故郷にメッセージを送る<br>・VARが使えれば勝っていたかもしれない-サバFC監督

皮膚移植手術を受けた代表FWファイサル・ハリムの経過は良好

5月9日に3度目の手術となる皮膚移植手術を受けた代表FWファイサル・ハリムの術後の経過をマレーシア語紙ブリタハリアンが報じ、細菌感染などの症状も示さず、住ん町に定着しているようだと伝えています。

5月5日に酸をかけられたファイサル選手を見舞ったスランゴールFCのシャーリル・モクタル理事は、皮膚移植手術を受けた腹部と左腕の状態は良いと話しています。、また皮膚移植治療は複数の段階に分けて行われるとして、さらに数日間経過を見た後、次の手術を受けることができるだろうと話しています。

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これまで一部のメディアからはファイサル選手が早期引退危機、といった無責任な報道も出ていましたが、回復は順調なようです。またチームのフィジオセラピストとも今後のリハリビ開始について相談を始めたという報道もあります。

代表チームメートのパウロ・ジョズエがファイサル選手と自身の故郷にメッセージを送る

5月12日に行われたマレーシアスーパーリーグ(MSL)第1節のKLシティFC対クチンシティFCでゴールを決めたパウロ・ジョズエが珍しくゴールパフォーマンスを見せましたが、これは入院中のファイサル・ハリム(スランゴールFC)と。

この試合では12分にKLシティFCの先制ゴールを決めたジョズエ選手は、得点後、スタンドに向かってアピールしながら、マレーシア代表でチームメートのファイサル・ハリム選手が得点後に行う”Siuuu”というパフォーマンスを見せました。国内サッカーファンなら誰でもわかるこのパフォーマンスでスタンドが湧くと、今度はカメラに駆け寄りユニフォームを捲り上げるとその下にはまた別のメッセージが書かれていました。

ゴール後のパフォーマンスでメッセージを披露するパウロ・ジョズエ(Supporter of Kuala Lumpur UnitedのXより)

そこに書かれていたのは”FORCA RS. BE STRONG”の文字でした。最初の1文はポルトガル語で「頑張れRS」、2文目は英語で「強くあれ」とでも訳せるでしょうか。試合後の会見ではこの”BE STRONG”が代表チームメートのファイサル選手に向けられたことを説明しています。

そして1文目はジョズエ選手の出身地、ブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州に向けてのものだと考えられています。ブラジル出身のジョズエ選手は、MSLで5年以上プレーしたため、一昨年マレーシア国籍を取得していますが出身地はリオグランデ・ド・スル州で、RSはその通称です。このリオグランデ・ド・スル州ではおよそ2週間前から始まった雨による大洪水が発生し、5月13日の時点で死者143名、行方不明者125名という大変な被害が起き、同州の人口約1090万人のうち53万8000人以上が避難を余儀なくされていると報じられています。”FORCA RS”は苦境にある故郷へ向けての応援メッセージなわけです。

VARが使えれば勝っていたかもしれない-サバFC監督

マレーシアスーパーリーグ(MSL)は今季2024/25シーズンからVARを導入しましたが、先日終了した今季第1節では開催された5試合中、2試合で機材トラブルなどを理由にVARを使うことができませんでした。

その内の1試合が5月12日にサバFCのホームで開催されたサバFC対ペナンFCの試合でした。試合は0−0の引き分けに終わりましたが、試合後の会見で、サバFCのオン・キムスイ監督は、VARが使用できていれば、試合結果は違ったものになっていたのではないかと話しています。

問題の場面は77分に起こったプレーでした。ペナンFCのペナルティーエリア内でサバFCのサディル・ラムダニとペナンFCのDFが交錯した際、ハンドの反則が映像で確認できたと話しています。この場面では、主審はサバFCからの抗議を退け、コーナーキックを指示しました。

オン監督は「もしVARでチェックすることができれば、PKが与えられていたはずだが、このような重要な場面でVARが使えないという事実を受け入れなければならなかった。」と述べる一方で、次の機会では、審判が正しく判定できる役に立つことを切に願っていると話しています。