6月15日のニュース・アンワル首相:ファイサル・ハリムの事件捜査には警察に十分な時間を与えるべき・FAM:キム監督は2025年末までの契約期間を全うする・FAM:ムルデカ大会ではFIFAランキングを上げるためにアジアの格上と対戦

アンワル首相:ファイサル・ハリムの事件捜査には警察に十分な時間を与えるべき

昨日のこのブログでは、酸をかけられ4度の手術を受けたファイサル・ハリムの記者会見についてのニュースを取り上げましたが、5月5日に起こったこの事件の捜査状況などはほぼ報じられていません。既に事件から1ヶ月以上経過しており、サッカーファンはもとより、一般市民の間でも警察の捜査能力に疑問の声も上がっています。

そんな中、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は連邦直轄地プトラジャで行われた集会で演説し、ファイサル選手への酸による攻撃、そして現在、同様の注目を集めている6歳の自閉症の少年ザイン・レイヤンの虐待死事件など、関心を集めている事件について、警察に徹底的に調査するよう命じていると説明しています。

「私は首相だが、人間でもある。私もなぜこのようなことが起きたのか、どうして子供を虐待し殺害することができるのか知りたい。」

「もし私だけの判断であれば、明日にでも警察に答えを出して欲しいが、調査は適切な手続きを経なければならない。」

「国民が怒っていることも理解している。だからこそ、警察には調査を迅速に進めるよう命じる一方で、適切に行うようにとも伝えている。誤解を避けるためです。誰かが有罪だと感じている人もいるかもしれないが、そのような思い込みや誤解を避けるために慎重な操作が必要だ」と述べたアンワル首相は、警察に時間を与えることを求めています。

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またファイサル選手の事件については、多くの政治家が発言していますが、マハティール・モハマド元首相も言及しています。マレーシア語メディアの番組に出演者したマハティール元首相は、ファイサル選手への酸による攻撃について警察は速やかに捜査するよう求めています。これまで起きたことがないようなスポーツへの冒涜だと述べたマハティール元首相は、誰がこの事件の背景にいるのかも徹底的に捜査すべきと述べる一方で、インタビュアーからこの事件がヘイトクライムの可能性を問われると、その可能性も否定できないと述べています。

「残念なことだが(ヘイトクライムは)それほど一般的ではないが、最近、そういった犯罪が起きているのは事実である。また今回の攻撃が卑劣な手段を使って勝利を得ようというものであれば、それは糾弾されなければならない。」ともマハティール首相は述べています。

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マハティール元首相がサッカーに興味があるのかどうかはわかりませんが、今回のファイサル選手への攻撃は、元首相クラスが発言を求められるほどの事件であるのは事実です。国内サッカーのファンの大半が人種で言えば、国民の半数以上を占めるマレー人であることも、票欲しさからいっちょ噛みしたい政治家の舌を滑らかにさせているのかも知れません。

FAM:キム監督は2025年末までの契約期間を全うする

マレーシアサッカー協会(FAM)は、キム・パンゴン監督が今後も監督を続けることに全く異議ないことを明らかにしています。なおキム監督は、2026W杯アジア2次予選で敗退した後の記者会見で、まだチームに貢献できるとして、2027AFCアジアカップ3次予選に向けて、今後もマレーシア代表の指揮を取り続けたいと話していました。

第11回FAM総会後に会見したユソフ・マハディFAM副会長は、キム監督との契約がまだ1年残っており、FAM は両当事者間で合意された契約期間を尊重したいと考えていることから、キム氏の代表監督としての地位は依然として保証されていると発表しています。

「これまでのところ、我々(FAM理事会)は代表チーム管理委員会やキム監督本人と監督継続以外の選択について話し合いを行っていない。我々はまずキム監督との契約を来年末まで維持する。」

「言い換えれば、キム監督との契約満了前に行われるあらゆる大会は、キム監督の下で行われることになる」とユソフ・マハディ副会長は述べています。

今後の代表チームは、今年9月のムルデカ大会、同11月の東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」、そして来年3月から始まる2027AFCアジアカップ3次予選が控えています。

FAM:ムルデカ大会ではFIFAランキング上げるためにアジアの格上と対戦

マレーシアサッカー協会(FAM)のノー・アズマン・ラーマン事務局長は、9月に開催を予定しているムルデカ大会について、マレーシアのFIFAランキングを上げるために強豪国を招いて開催したいと述べています。

第11回FAM総会後に記者会見したノー・アズマン事務局長は、先日の2026W杯では2次予選で敗退したマレーシアは、2027AFCアジアカップ3次予選の組み合わせ抽選で現時点ではポット2に入っていることから、ポット1あるいはポット2のチームを招待したいと話しています。なお、マレーシアを含め4チームで争うムルデカ大会に招待するチームは現時点では決定していないと話したノー・アズマン事務局長は、招待状の発送は来月行う予定であるとしています。

現時点でのポット1にはシリア、タジキスタン、タイ、ベトナム、レバノン、インド、またポット2にはマレーシアの他、フィリピン、トルクメニスタン、アフガニスタン、シンガポール、イエメンが入っています。またポット3には香港、台湾、モルジブ、ミャンマー、ネパール、バングラデシュ、ポット4にはブータン、ラオス、パキスタンとプレーオフによる3カ国の枠が割り当てられています。なおこのプレーオフ3枠はカンボジア、スリランカ、マカオ、モンゴル、東ティモール、ブルネイの6カ国の間で争われます。

2027AFCアジアカップ3次予選ではこれらを6組に分けて行われ、各組の1位が2027年1月にサウジアラビアで行われる本戦に出場します。なおこの3次予選は来年3月から再来年2026年3月まで予定されています。

ポット1とポット2に入っているチームでは、昨年2023年10月に行われた前回のムルデカ大会にはタジキスタンとインドが招待されており、この時はマレーシアはインドを破り決勝に進んだものの、タジキスタンに決勝で敗れています。

また同じ記者会見の席上では、ユソフ・マハディ副会長が10月のFIFA国際マッチカレンダーで、上記のポット1あるいはポット2のチームと試合を行う予定であることも明らかにしています。

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先日のW杯2次予選の台湾戦後の記者会見で、キム・パンゴン代表監督は2027AFCアジアカップ3次予選の組み合わせ抽選前にポット1に入りたいと話していましたが、それを受けてFIFAランクが上のチームとの対戦し、ポイントを獲得してFIFAランキングを上げることをFAMは計画しているようです。しかしポット1のFIFAランキングが最も低いチームはインドで直近の4月の発表では121位ですが、マレーシアは同138位とまだまだ大きく話されています。今年12月に行われる予定のアジアカップ3次予選までにこの差が果たして詰められるのでしょうか。

6月14日のニュース・酸をかけられた代表FWファイサル・ハリムが事件後初の会見:「サッカー選手引退も考えた」・スランゴールのヨルダンU23代表FWが長期離脱へ・トレンガヌはサポーターが反対する5000万円超のスポンサー契約を破棄

いよいよ今週末からユーロ2024が始まりますが、それに関連してマレーシアの通信社ブルナマが興味深いニュースを報じています。その見出しは「45万リンギ相当のサッカーユニフォームのコピー商品がユーロ2024を前にプタリン・ストリートで押収された」というものです。プタリン・ストリートとは、クアラ・ルンプールにあるチャイナタウンの通りの名ですが、その両側に露店が並び、グッチやルイヴィトンのブランドバッグや、ロレックスやタグホイヤーの時計からナイキやアディダスのジャージや靴など、様々なコピー商品を売ってることで有名な場所です。この記事では、日本で言えば消費者庁にあたる国内取引・生活費省の取締局が様々なブランドのサッカーユニフォームのコピー商品6,230着、価格にして45万リンギ(およそ1500万円)分を押収したというもので、そのユニフォームはユーロ2024に出場するチームのものだったということです。またこれらのユニフォームはユーロ2024を前に需要が高まったことから国外から持ち込まれ、1着あたり120リンギ(およそ4,000円)ほどで売られることになっていたようです。

ユニフォームのコピー商品は、マレーシア対台湾のW杯予選が行われたブキ・ジャリル国立競技場の周りでも人目を憚ることなく売られており、そこではマレーシア代表のユニフォームが30リンギから50リンギ(およそ1,000円から1,700円)で売られており、購入しているサポーターも目につきました。14,000人以上集まった観客の多くが黄色い代表ユニフォームを着ていましたが、コピー商品でない純正のユニフォームが300リンギ(およそ10.000円)する中、果たして何人が純正ユニフォームを着ていたのでしょう。

ちなみに下は本日6月14日の英字紙スターです。(筆者撮影)裏一面のスポーツ欄は、どこの国の新聞?と思えるくらいユーロ2024一色ですが、表一面は他のニュースを押しのけて、酸をかけられ、手術、治療、療養を経て初めて公の場に姿を表し、記者会見を行った代表FWファイサル・ハリムの記事になっています。見出しの”Mickey will not be a mouse.”は、ファイサル選手の愛称”Mickey”に掛けられています。

酸をかけられた代表FWファイサル・ハリムが事件後初の会見:「サッカー選手引退も考えた」

上でも書いたように昨日6月12日には、先月5月5日に不審者から酸をかけられ、4度の手術を経て療養中の代表FWファイサル・ハリムが事件後初めて公の場に姿を表し、所属するスランゴールFCの練習施設で記者会見を行いました。その席でファイサル選手はいつピッチに戻れるかはわからないが、身体がサッカーを欲していると話しています。

「担当医からは、少なくとも3ヶ月は療養が必要と言われており、その後はチームの練習に復帰できるだろうとも言われている。」と述べる一方で、「自分の感覚では回復状態も早いので、1ヶ月もすれば練習に戻れるのではないかと思っている。」とも述べ、早い回復は多くのファンが祈ってくれたおかげだと感謝の意を表しています。

また今回の事件については、自分も家族も命に関わるケガを負わなかったことが幸いだったと述べる一方で、これまでのどのような相手にも敬意を失わずに接してきた自分が被害者となった理由がいまだにわからないと話しています。

「皆が私の性格を知っているはずだ。自分は相手が誰であれ、どのような相手にも礼を失するようなことや、高慢であったことはないと思っている。これまでは誰にでも常に笑顔であろうとしてきたが、その生き方を変える必要があるのかも知れないとも思っている。」と述べたファイサル選手は、一部の人々にとっては自分「ナイスガイ」過ぎたのかも知れないので、今後はいつでもフレンドリーある自分の姿勢も改めたいと述べています。

会見中に涙ぐむ場面もあったファイサル選手ですが、家族が精神的な支えとなってくれた一方で、その家族のことを考え、一時はサッカー選手を引退しで故郷で家族と静かに暮らすことも考えたことも明らかにしています。

「(サッカー選手を引退して)数万リンギの給料を失うことは、家族と安心して暮らせることに比べれば重要なことではない。しかしスランゴールFCは自分が入院中も、また今後も家族の安全、安心を保証するといってくれたので、早く回復してピッチに戻ろうという決断をした。」とファイサル選手は話しています。

また今回一番辛かったことを問われたファイサル選手は、4歳になる一人息子を1ヶ月以上もハグできなかったことだと答えています。

「自分は息子とはとても仲が良いが、事件の後は手術や治療などもあり、父親としてはそんな簡単なハグすらしてあげられなかった。そのため息子は自分の愛情が感じられなかったのではないかと苦しんだ。また退院後も傷のせいでしばらくはハグできず、やっと数日前にハグすることができたばかりだ。」とも話しています。

会見の最後には改めて、早く元気になって、またサッカーをしたいという強い決意も表明しています。

ファイサル選手の記者会見の様子。英字紙スターの公式YouTubeより。映像の大半はマレーシア語です。

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ファイサル選手の事件から1ヶ月以上経過しているにもかかわらず、事件の捜査状況は明らかになっていません。ファイサル選手が襲われたショッピングモールのセキュリティーカメラの映像なども公開されていますが、警察からは捜査の進展は発表されておらず、多くのサッカーファンはもちろん、一般市民もその捜査能力にフラストレーションが溜まっています。

スランゴールのヨルダンU23代表FWが長期離脱へ

ファイサル・ハリムを欠くスランゴールFCは、開幕前には特にFW陣を積極的に補強しましたが、その一人がヨルダンU23代表FWのラジク・バニハニです。しかしこのラジク選手は、代表戦でリーグが中断した期間中に行ったインドネシア遠征で足首を痛め、最低でも6週間離脱しそうだと、スポーツ専門サイトのアストロ・アリーナが報じています。

スランゴールFCは、サバFCとともに先月5月にジャカルタで開催されたRCTIアルティメイトスポーツ国際親善大会に参加しましたが、決勝のプルシブ・ジャカルタ戦でラジク選手はハードタックルを受け、ラジク選手は足首を痛めて途中交代を余儀なくされました。タックルをした選手が退場処分となるほどの激しさでしたが、その後の検査の結果、少なくとも6週間はプレーができないことが明らかになりマイ啓明学院他。

酸を浴びせられて療養中のファイサル選手に代わる左ウィングの選手として、開幕直前に獲得が決まったラジク選手が長期離脱となったことで、スランゴールFCはチーム内からその代わりを見つける必要があります。現状では、マレーシアU23代表のシャヒル・バシャー、ムカイリ・アジマルが有力候補ですが、ニザム・ジャミル監督が明日のFAカップ1回戦ヌグリスンビランFC戦では誰を左ウィングで起用するかに注目です。

トレンガヌはサポーターが反対する5000万円超のスポンサー契約を破棄

トレンガヌFCは、金融関連のサービスを提供するXFOX社との間で結んだ150万リンギ(およそ5000万円)のスポンサー契約を破棄することを公式SNSで発表しています。

6月9日に結ばれたばかりのスポンサー契約でしたが、XFOX社がマレーシア国立銀行から認可をうけていない金融関連サービス企業ではないことが明らかになり、そのスポンサー契約の有効性についてトレンガヌFCサポーターを中心に多くの疑問の声が上がっていました。

トレンガヌFCのサブリ・アバスCEOは、スポンサー契約の破棄について、クラブを支えるサポーターの意見を考慮した上での決断だったとしています。また契約破棄に関して、トレンガヌFC、XFOX社ともに同意した上で、これ以上この問題を長引かせたくないとして解決が図られたとしています。この結果、トレンガヌFCは既に受け取っていた150万リンギをXFOX社に返却されるということです。

またサブリCEOは、来月7月17日から始まる東南アジアサッカー連盟(AFF)クラブ選手権ショピーカップ(Shopee Cup)に出場するトレンガヌFCにはさらにスポンサーが必要だとして、新たなスポンサー獲得を目指すとしています。

6月13日のニュース・W杯予選:台湾に勝利もマレーシアは2次予選で敗退決定

6月11日の試合結果をニュースという名目で挙げるのも何ですが、試合後の様々な報道に目を通してから書きたいと思ったのでこのタイミングで、しかも長文になってしまいました。では、まずは試合の結果から紹介します。

6月6日のアウェイマッチ、キルギス戦では1−1で引き分け、D組2位のキルギスとの勝点差3を詰めることができなかたマレーシア。最終節となる第6節でキルギスが敗れて、マレーシアが勝てば勝点では並ぶものの、第5節を終えた段階で得失差はキルギスが6、マレーシアが-2と大きく離されていました。この第6節で台湾を相手に最低でも7点差をつけて勝利し、なおかつ試合が遅れて始まるキルギスが敗れることが、マレーシアがアジア最終予選に進出となります。W杯予選が現在の仕組みになってからは2次予選を突破したことがないマレーシアにとって、悲願の最終予選進出には「奇跡」が必要でした。

試合前の会見でマレーシア代表のキム・パンゴン監督はその「奇跡」を起こす自信はあると語る一方で、出身国である韓国の記者から外国人監督として指揮を取ることの難しさを問われると、高い期待に応えなければならないことがプレッシャーになることを吐露していました。一方、英国人ギャリー・ホワイト台湾代表監督は、キム監督が8−0で台湾を下すとの発言が出ていることを問われると、これを馬鹿げていると一蹴し、今回の予選でマレーシアは台湾を破っているものの、その時のスコアが1−0であったことを強調しました。さらにメディアがその発言を取り上げて、この試合が注目を浴びるのであれば喜ばしいとも述べたホワイト監督は「どうせ試合をするのであれば、20,000人程度の観客ではなく、満員の観衆の前で試合をしたい。」と述べていました。なおマレーシアサッカー協会は公式SNSで、連日、この試合のチケットの売り上げ枚数を報じていましたが、試合前日までのチケット売り上げは、試合会場のブキ・ジャリル国立競技場の収容人数85,500人に対して10,000枚弱という事実をホワイト監督が皮肉ったものでした。

試合当日の先発XIは、1−1で引き分けたキルギス戦からはMFスチュアート・ウィルキン(サバFC)が外れ、代わりにMFサファウィ・ラシド(トレンガヌFC)が入り、より攻撃的な布陣をキム監督は選択しました。一方の台湾も、昨年11月の対戦ではベンチ入りしていなかった、カナダ生まれのFWツァイ・リチン(蔡立靖)ことエミリオ・エステベス(香港1部香港レンジャーズFC)や、スウェーデン生まれのユエ・ミンフェン(岳明峰)ことMFミゲル・サンドバーグらが先発XIに名を連ねています。

最終的には14,731人と発表された観衆が見守る中、試合開始からマレーシアは大量得点を狙って積極的に攻めますが、シュートは放つものの、ゴールを捉えることができないまま時間が進みます。まずは早い時間帯に先制点を挙げて、勢いをつけたいマレーシアでしたが、逆に先制したのは台湾でした。それまでも何度かカウンターで好機を作っていた台湾は、19分にコートジボアール出身のアン・イーエン(安以恩)ことFWアンジュ・クアメが前がかり気味になるマレーシアDF陣の裏に絶妙のパスを出すと、これを受けたユー・ヤオシン(游耀興)が代表デビューから2戦目となったマレーシアDFサフワン・マズランをかわしてゴール!まさかの失点で、ブキ・ジャリル国立競技場全体から大きなため息に包まれます。

25分には右コーナーキックにサファウィ・ラシドが頭で合わせますが、台湾GKパン・ウェンチェ(潘文傑)が反応よくこれをパンチングします。この後もチャンスは作るものの得点に至らないマレーシアが台湾を0−1と追う展開で前半が終了します。

後半に入ってもアキヤ・ラシド(トレンガヌFC )のゴールがオフサイドとなるなど、嫌な雰囲気が漂う中、51分にマレーシアが追いつきます。センターサークル付近でアキヤ・ラシドがボールを奪うと、左サイドのエゼキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)へパス。アグエロ選手は中央でフリーとなっていたサファウィ・ラシドヘパスを出すと、サファウィ選手はこれをノートラップでシュート。台湾GKが一旦は止めたものの、こぼれたボールがゴールインして、マレーシアは何とか1−1とします。その後は69分にパウロ・ジョズエのゴールで2−1、ロスタイムの90+6分には代表デビュー2試合のFWアディブ・ラオプが代表初ゴールを決めて3−1としたものの、試合はこのまま終了し、マレーシアのW杯最終予選の進出はほぼ絶望となりました。

そして、この試合後に行われたD組1位のオマーン対2位キルギスの試合は、オマーンが7点差以上をつけて勝利すれば、マレーシアが2位、キルギスが3位となるところでしたが、結局、1-1で終わり、マレーシアの2次予選敗退が決定しました。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第6節
2024年6月11日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
マレーシア 3-1 台湾
⚽️マレーシア:サファウィ・ラシド(分)、パウロ・ジョズエ(分)、アディブ・ラオプ(24分)
⚽️台湾:アディルジョン・アブドゥラフマノフ(38分OG)
🟨マレーシア(2):ノーア・レイン、キム・パンゴン監督
🟨台湾(3):ワン・チェンミン、チェン・ティンヤン、ギャリー・ホワイト監督

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

D組のもう1試合は、グループ1位のオマーンと2位キルギスが対戦し、1−1で引き分けています。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第6節
2024年6月11日@スルタン・カーブース・スポーツコンプレックス(マスカット、オマーン)
オマーン 1-1キルギス
⚽️オマーン:アリマルドン・シュクロフ(57分OG)
⚽️キルギス:エルディヤル・ザリプベコフ(20分)
🟨オマーン(0)
🟨キルギス(0)

W杯2026アジア2次予選予選D組順位表(第6節終了)

順位勝点
1オマーン6411112913
2キルギス6321137611
3マレーシア631299010
4台湾6006217-150

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今回の予選を振り返れば、開幕から台湾、キルギスに連勝してスタートしながら、1月のアジアカップでグループステージ敗退の嫌なイメージを引きずったまま対戦したオーマンに2連敗したことで、厳しい状況に追い込まれました。6試合で勝点10という数字は決して悪くはないと思いますが、オマーンに連敗しなければ、最終戦でこのような状況に陥らなかったでしょう。では今後、同じ轍を踏まないためにどうすれば良いのでしょうか。

各地でアジア2次予選が終わり、東南アジアからはタイ、ベトナムといった地域のトップチームが敗退する一方で、インドネシアが唯一のチームとして最終予選進出を決めています。実業家でインドネシア政府国営企業相でもあるエリック・トヒル氏が昨年3月にインドネシアサッカー協会会長に就任して以降は、インドネシアにルーツを持ちヨーロッパでプレーする選手を帰化させる戦略で代表を強化し続けるインドネシア。自身もかつてはセリエAの名門インテル・ミラノを買収し、現在は先日終わったばかりの2023/24シーズンのインドネシア1部で優勝したプルシス・バンドンを所有し、さらにメジャーリーグサッカー(MLS)のDC・ユナイテッドの筆頭株主でもあるトヒル氏の強烈なリーダーシップのもと、着々と東南アジアトップに近づいています。それは昨日行われたW杯2次予選第6節のフィリピン戦でもあからさまで、インドネシアの先発XIの内、国内組はわずか2名となりふり構わない帰化戦略がまさに結果をもたらしています

では、マレーシアもかつての宗主国である英国やその周辺でプレーする、マレーシアにルーツを持つ選手を積極的に帰化させるべきなのか。ちなみに台湾戦のマレーシア先発XIを顔ぶれを見ると、マレーシアで生まれ育った選手はGKアズリ・ガニ、DFサフワン・マズラン、FWアキヤ・ラシド、FWサファウィ・ラシドの4名だけで、残る7名は国内リーグでで5年以上連続でプレーした後にマレーシア国籍を取得したいずれもブラジル出身のFWパウロ・ジョズエとエンドリック・ドス・サントス、そしてDFラヴェル・コービン=オング、DFマシュー・ディヴィーズ、DFドミニク・タン、MFノーア・レイン、MFディオン・コールズの5名はいずれもマレーシアにルーツを持つ国外育ちの選手たちで、インドネシアの強化に繋がった帰化選手たちと基本的には同じです。

しかし、インドネシアで言えば、DFジャスティン・ハブナー(セレッソ大阪)が20歳、フィリピン戦で先発したFWラファエル・ストライク(オランダ2部ADOデン・ハーグ)が21歳、MFネイサン・チョエ・ア・オン(英国2部スウォンジー・シティ)が22歳、MFジェイ・イツェス(イタリア2部ヴェネツィアFC)が24歳と、20代前半の帰化選手が主力にいる一方で、マレーシアはラヴェル・コービン=オングが33歳、マシュー・ディヴィーズが29歳、ディオン・コールズが28歳、ドミニク・タンが27歳と、年齢的には今が旬の帰化選手が主力にいながら、2次予選の壁が破れませんでした。だとすれば帰化選手の「質」の問題なのかも知れません。

最近のSNSを見ていると、前述のインドネシアサッカー協会のエリック・トヒル会長や、タイサッカー協会会長の「マダム・パン」ことヌアンパン・ラムサム氏が、自国にルーツを持つ選手に会いに自身がヨーロッパで出かけたという投稿がされるたびに、国内サッカーファンからは、マレーシアサッカー協会(FAM)やFAM会長は何もしないのか、自分からマレーシア国籍を取得したいと申し出てくる選手を待つだけなのか、という批判や不満も多く目にします。実業家でもあり、自身の財力もあるトヒル氏やマダム・パンと違い、そういったフットワークの軽さや実行力は期待できないFAMのハミディン・アミン会長ですが、それ以上にかつてFAMが主導する形で行っていた帰化選手プログラムの失敗も影響していそうです。

FAMは2021年に代表チーム強化を目的として、マレーシアにはルーツを持たないものの、マレーシア国内で5年以上プレーしたブラジル出身のFWギリェルメ・デ・パウラ、コソボ出身のMFリリドン・クラスニキの帰化支援プログラムを進めていたことがありました。マレーシア国籍を得た両選手でしたが、デ・パウラ選手は12試合(先発5試合)で1ゴール、クラスニキ選手は5試合(先発1試合)で出場時間192分、といずれも代表チームでは思うような結果を残せず、最後はマレーシア人選手以上の成績を残さないなら、マレーシア人選手を使うべきで、両帰化選手は代表には不要との声がサポーターから上がり、これを受けたFAMは帰化支援プログラムは無期限凍結を発表せざるを得なくなりました。そして、FAMは各クラブが外国籍選手の帰化支援を行うことは自由だが、FAMはこれを支援しないことを発表しています。

しかし上でも書いたように当時のFAMが帰化支援したのはマレーシアにルーツを持たない外国籍選手でしたので、全面的に帰化支援を行わない、というのは言わば「羹に懲りて膾を吹く」ようなものです。もちろん、帰化選手を増やすことだけで代表強化の方法ではないので、これに拘る必要はありませんが、だとすればユース育成など年代別代表が少なくとも東南アジアトップ3のタイ、ベトナム、インドネシアと渡り合えるようになる必要があります。

ちなみに台湾戦では、代表戦6試合目の出場となる21歳のハキミ・アジム(KLシティ)、そしてキルギス戦で代表デビューを飾ったばかりの25歳のアディブ・ラオプ(ペナンFC)がビブスを脱ぎ、交代で出場する素振りを見せるとスタジアム全体から歓声が上がり、サファウィ・ラシド、アキヤ・ラシドに代わってピッチに入ると割れんばかりの拍手が起こりましたが、この拍手はキム監督の耳にも入ったはず。またキルギス戦に続き、CBには22歳のサフワン・マズラン(トレンガヌFC)を、MFには21歳のノーア・レイン(スランゴールFC)をフル出場させたキム監督は、次の公式戦となる今年11月の東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」を見据えていたのかも知れません。

またキム・パンゴン代表監督自身の去就も今後は話題になりそうです。昨年末に2年契約を更新し、来年末まで契約が残るキム監督ですが、W杯アジア2次予選で敗退したことで、代表の次の公式戦は11月の三菱電機カップ、その後は来年3月のAFCアジアカップ2027の3次予選と間隔が空きます。台湾戦後の会見では、国内各クラブに対してFIFAデイズより前に選手をリリースするなど協力を求めたいと話し、さらにはアジアカップ2027の3次予選組み合わせ抽選までに、マレーシアのFIFAランキングを上げてポット1に入れるようにしたいと話すなど、今後にも意欲を見せてたキム監督は、去就について聞かれると”I want to stay.”を何度も繰り返していましたが、アジアカップでは未勝利でグループステージ敗退、そしてW杯予選も2次予選の壁を破れなかった現状をFAMがどう判断するのかにも注目です。

6月10日のニュース<br>・W杯アジア2次予選:台湾戦2日前にキム監督がエゼキエル・アグエロを緊急召集<br>・アセアンU16選手権代表候補合宿参加の29名が発表<br>・タイ1部ボリス・テロ監督のタン前代表監督の去就は未だ不明<br>・アジア大学サッカートーナメント:日本が韓国を破り連覇達成

W杯アジア2次予選:台湾戦2日前にキム監督がエゼキエル・アグエロを緊急召集

マレーシアサッカー協会(FAM)は公式Facebookで、スリ・パハンFCのAMFエゼキエル・アグエロが6月9日から代表合宿に参加していることを明らかにしています。マレーシアは、6月11日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で2026年W杯アジア2次予選の最終第6節で台湾と対戦します。

W杯アジア2次予選でD組のマレーシアは現在勝点7の3位で、勝点10で2位のキルギスを追っています。3次予選進出の可能性はわずかながら残っていますが、その条件は最終第6節でキルギスが首位のオマーンに敗れ、マレーシアが8点差以上の差をつけて台湾を破ること。実際はこんな極まりないですが、もし実現できれば、マレーシアはキルギスと勝点で並ぶものの、得失差で逆転することからマレーシアが2位となり、アジア3次予選進出となります。

アグエロ選手はアルゼンチン出身の帰化選手で攻撃的MF、代表戦では10試合に出場して2ゴールを挙げており、直近の3試合でわずか1得点と得点力不足に苦しむマレーシアの救いになってくれることを期待していです。

アセアンU16選手権代表候補合宿参加の29名が発表

マレーシアサッカー協会(FAM)は公式サイトで、今月21日に開幕する東南アジアサッカー連盟(AFF)U16選手権に先立って行われるマレーシアU16代表候補合宿の参加メンバー29名を発表しています。この合宿はすでに6月9日からパハン州ガンバンのモクタル・ダハリ・アカデミーで始まっており、6月17日までの第1次合宿を終了後は、スランゴール州プタリンジャヤのFAMの練習施設で6月19日まで第2次合宿を行い、翌6月20日には試合会場となるインドネシアの中部ジャワ州スラカルタへ向けて出発するということです。

今年5月にマレーシアスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のU21チームの監督からマレーシアU16代表監督に就任したハヴィエル・ホルダ・リベラ監督は、国内エリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミーから15名、 JDTのU16チームから13名、そしてプルリス州のヤングライオンズから1名の合計29名を召集しています。なおJDTの13名にはサバ州クニンガウ出身で、「クニンガウの(アーリング・)ハーランド」ことジェレミー・ダトゥーンも含まれています。なおこの29名のリストはこちらです。

この合宿はすでに6月9日からパハン州ガンバンのモクタル・ダハリ・アカデミーで始まっており、6月17日までの第1次合宿を終了後は、スランゴール州プタリンジャヤのFAMの練習施設で6月19日まで第2次合宿を行い、翌6月20日には試合会場となるインドネシアの中部ジャワ州スラカルタへ向けて出発するということです。

今回のAFF U16選手権でマレーシアはC組に入り、6月23日の初戦では東ティモールと対戦し、その後は6月26日にはオーストラリア、6月29日にはタイと対戦します。その後はグループステージ各組の1位3チームと最も成績の良い2位1チームの合計4チームが7月1日の準決勝へ進み、決勝と3位決定戦は7月3日に予定されています。

同じインドネシアで開催された2022年の前回大会では、マレーシアはグループステージで敗退していますが、その前の2019年大会では、先日インドネシアリーグで優勝を果たしたプルシブ・バンドン監督のボヤン・ホダック氏が監督を務めたマレーシアが初優勝を果たしています。

タイ1部ボリス・テロ監督のタン前代表監督の去就は未だ不明

2023/24シーズンが先月終了したタイ1部リーグ。ブリーラム・ユナイテッドがリーグ3連覇を達成した一方で、トラートFC、ポリス・テロFC、チョンブリーFCの3チームが2部降格となっています。今年2月末にマレーシアスーパーリーグのスランゴールFC監督を辞任し、3月からポリス・テロの監督に就任したのは、前マレーシア代表監督のタン・チェンホー氏でした。

今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ開幕まであと2ヶ月というタイミングでの辞任は驚きをもって迎えられました。しかし、昨シーズンはリーグ2位となり、今シーズンはACL2への出場が決まっていたスランゴールFCの監督の座を捨てたタン氏が、既に2部降格危機の状態にあったタイ1部のポリス・テロFCの監督に就任したことはさらに大きな驚きでした。

しかしタン氏が就任した後も2勝3分6敗という成績で、給料未払い問題などが明らかになったポリス・テロFCの状況は改善せず、通算成績は7勝7分16敗で16チーム中15位となり、2部に降格することが決まっています。

そのタン氏は現在、マレーシアに戻っており、英字紙ニューストレイツタイムズの取材に応じ、現在はポリス・テロFCの今後の計画についての連絡を待っていると説明しています。一部では2部降格となったポリス・テロFCは、タン氏との契約を延長しないことを決めたという報道もありますが、タン氏は現時点では何も確定しておらず、ポリス・テロFCからは予算の削減については知らされており、それを元に現在は監督として来季に向けてのチーム編成を検討しているところであると述べています。

タン氏はタイ1部の他のクラブとも話し合いを持っていることも明らかにし、新たな経験を積むためにも来季もタイで指導したいという気持ちを持っているとも話しています。さらにSNSなどで流布しているマレーシアサッカー協会(FAM)やジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)で指導することは考えていないとも話しています。

アジア大学サッカートーナメント:日本が韓国を破り連覇達成

クアラ・ルンプール郊外のバンギにあるマレーシア国民大学(UKM)を会場に行われていた第6回アジア大学サッカートーナメントは6月8日に決勝(1位/2位決定戦)が行われ、U20全日本大学選抜が韓国を1−0で破り、優勝しています。

初戦の台湾戦を3−0、続くベトナム戦も同じく3−0、そしてグループリーグ最終戦となったタイ戦では5−0と圧勝してグループ1位となった日本は、今大会ここまで2得点のFW前澤拓城選手(明治大2年、大宮U18)のダイビングヘッドで挙げた1点を守り切って、今大会無失点で大会2連覇を果たしています。なおマレーシアの新聞では6大会連続優勝とも報じられています。また決勝の詳しい内容はゲキサカさんで詳しく報じられています。(下は優勝した日本(右)と韓国(左)両チームのメンバー)

また3位/4位決定戦ではオマーンと台湾が対戦し、試合は0−0と両チームとも得点を挙げられず、最後はPK戦となり、オマーンが台湾を6−5で破っています。その他、5位/6位決定戦ではマレーシアがベトナムを2−1で破り、7位/8位決定戦ではタイがフィリピンを4−3で破っています。

個人表彰では、1位/2位決定戦で決勝ゴールを挙げた前澤拓城選手が通算3ゴールで大会得点王となり、さらに大会最優秀選手賞も受賞しています。また田村聡佑選手(中京大2年、神戸U18)が大会最優秀GK、松岡響祈選手(環太平洋大2年、鳥栖U18)が最多アシスト賞、そして今回チームを率いた福士徳文(慶応義塾大)が最優秀監督賞をそれぞれ、受賞しています。また年間最優秀監督には韓国のイ・サンファン氏が選ばれています。(以下は個人表彰の受賞者の集合写真)

6月7日のニュース<br>・W杯アジア2次予選:マレーシアはキルギスと引き分けで最終節に予選突破の可能性を僅かに残す

6月6日に2026年W杯アジア2次予選D組第5節が行われ、マレーシアはキルギスと対戦し、1−1で引き分けています。この結果、3位のマレーシアは2位のキルギスとの勝点差3を詰めることができませんでした。最終節となる6月11日の第6節でマレーシアはグループ4位の台湾と、キルギスは首位のオマーンと対戦しますが、マレーシアが台湾に大勝し、キルギスがオマーンに敗れた場合にのみ、マレーシアは3次予選進出となります。

W杯アジア2次予選-マレーシアはキルギスと引き分けで最終節に予選突破の可能性を残す

3月に行われた2試合で連敗したマレーシアは、この試合で負ければ予選敗退が決まる厳しい状況ですが、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、アリフ・アイマン、ロメル・モラレス(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC-JDT)、シャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)、ダレン・ロック(サバFC)とこれまでの代表を支えてきたFW陣がケガなどで軒並み代表を辞退、さらにこの試合直前には正GKシーハン・ハズミもケガで辞退するなど、チームは文字通り満身創痍の中、キム・パンゴン監督は前節のオマーン戦から思い切ったメンバー変更を行いました。

4-4-2のトップにアキヤ・ラシド(トレンガヌFC)とパウロ・ジョズエ(KLシティFC)、中盤はスチュアート・ウィルキン(サバFC)とエンドリック・ドス・サントス(JDT)のレギュラーコンビに、U23代表のノーア・レイン(スランゴールFC)と本来はCBのディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)、そして最終ラインは左右のSBがラヴェル・コービン=オングとマシュー・デイヴィーズ(いずれもJDT)、CBはドミニク・タン(サバFC)とU23代表のサフワン・マズラン、GKはアズリ・アブドル・ガニ(KLシティFC)という11名がこの日の先発でした。なお、ノーア・レイン、サフワン・マズラン、アズリ・アブドル・ガニはいずれもW杯予選初先発です。


FIFAランキングではマレーシアの138位に対して、キルギスは100位と格上の相手ですが、昨年11月16日にブキ・ジャリル国立競技場で行われた同じカードでは、ロスタイムにファイサル・ハリムの劇的なゴールでマレーシアが4−3と勝利しており、決して圧倒される相手ではありません。

敵地キルギスの首都ビシュケクにあるドレン・オムルザコフ・スタジアムで行われたこの試合の前には、酸をかけられて療養中のファイサル・ハリムのユニフォームを持ってチームフォトを撮る場面も見られました。(写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)


試合の主導権を握るためにも先制点が欲しいマレーシアでしたが、24分にキルギスはガーナ出身の帰化選手FWジョエル・コジョがマレーシアDF陣を十分に引きつけてから走り込んできたグルシジット・アリクロフにパス。このボールを落ち着いてDFをかわしたグルシジット・アリクロフがゴールを決め、キルギスが先制します

しかし38分には左サイドのペナルティエリア脇で得たPKをエンドリック・ドス・サントスがゴール前へ。これを相手DFと競ったディオン・コールズがバックヘッドのような形で合わせると、そのままゴールイン。その後、記録は最終的にはアディルジョン・アブドゥラフマノフのオウンゴールとなりましたが、前半でマレーシアが1−1と追いつきます。

前半をこのまま1−1で折り返すと、後半はギアを上げたキルギスが優勢のまま試合が進みますが、DF陣が耐え、さらにGKアズリ・アブドル・ガニの好セーブもあり、失点を許しません。キム監督は残り5分というところでサファウィ・ラシド(トレンガヌFC)、ハキミ・アジム(KLシティFC)、そして代表デビューとなったアディブ・ラオプ(ペナンFC)のFW3人を投入して勝負をかけますが、キルギスもGKを中心に必死に防戦し、逆転することはできず、試合は1−1のまま引き分けに終わっています。

この試合の結果、D組3位のマレーシアはホームのブキ・ジャリル国立競技場に同4位の台湾を迎え、2位のキルギスは1位のオマーンと敵地マスカットで対戦します。マレーシアとは勝点差3のキルギスがオマーンに敗れ、マレーシアが台湾に勝てば勝点差では並びますが、得失差はキルギスの+6に対してマレーシアは−2のため、マレーシアは台湾に7点差以上をつける大差で勝つことができれば、D組2位となりW杯3次予選進出となります。なおこの予選の第2節ではマレーシアは台湾に1−0の辛勝でした。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第5節
2024年6月6日@ドレン・オムルザコフ・スタジアム(ビシュケク、キルギス)
キルギス 1-1 マレーシア
⚽️キルギス:グルシジット・アリクロフ(24分)
⚽️マレーシア:アディルジョン・アブドゥラフマノフ(38分OG)
🟨キルギス(1):ヴァレリー・キチン
🟨マレーシア(1):アキヤ・ラシド

またD組のもう1試合は、既に予選敗退が決まっている台湾がホームでオマーンに0−3で敗れています。この試合ではオマーンのアブドルラーマン・アル=ムシャイフリがハットトリックを達成しています。

FIFAワールドカップ2026アジア2次予選兼AFCアジアカップ2027予選D組第5節
2024年6月6日@台北陸上競技場(台北、台湾)
台湾 0-3 オマーン
⚽️オマーン:アブドルラーマン・アル=ムシャイフリ3(31分、55分、75分)
🟨台湾(2):ウェン・チーハオ(温智豪)、チェン・ポーリャン(陳柏良)
🟨オマーン(1):ハリブ・アル=サアディ

W杯2026アジア2次予選予選D組順位表(第5節終了)

順位勝点
1オマーン5401101912
2キルギス5311126610
3マレーシア521268-27
4台湾5005114-130

6月3日のニュース<br>・インドネシアリーグ制覇の前KLシティ監督が両国の違いを語る<br>・2026W杯予選:今度は正GKがケガで代表辞退<br>・アジア大学サッカートーナメントがマレーシアで開幕

今日は国王誕生日で祝日のマレーシア。ちなみにマレーシアの国王は、マレー半島部にある9つの州のスルタンが5年の任期で持ち回りで行う仕組みになっています。現在の国王は今年1月31日に就任したジョホール州のスルタン・イブラヒム殿下。サッカーファンなら気づいたかもしれませんが、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムは殿下の名に因んでいます。スルタン・イブラヒム殿下が国王となったことで、スルタン・イブラヒム殿下の長男でJDTのオーナーでもあるジョホール州皇太子のトゥンク・イブラヒム殿下は、現在は「摂政」となっています。

インドネシアリーグ制覇の前KLシティ監督が両国の違いを語る

5月31日に行われた2023/24シーズンのインドネシア1部リーグのチャンピオンシップシリーズ決勝セカンドレグでは、レギュラーシーズン2位のプルシブが同4位のマドゥーラ・ユナイテッドを3−1で破り、通算成績6-1で今季の優勝を果たしています。インドネシアスーパーリーグで2014年に優勝を果たして以来、10年ぶり3度の優勝は、クラブ初となる外国籍監督でクロアチア出身のボヤン・ホダック監督の手腕によるものが大きですが、そのホダック監督が優勝を決めた後、インドネシアとマレーシアのサッカーの違いについて語っている記事を英字紙スターが掲載しています。

2011年にカンボジア1部のプノンペン・クラウンで監督として優勝を経験したホダック氏は、マレーシアスーパーリーグでは、クランタンFA(現クランタンFC)監督時の2012年にリーグ、マレーシアカップ、FAカップ全てで優勝し国内三冠を達成し、さらに2013年にはFAカップを連覇しています。翌2014年にジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)監督に就任すると、現在まで続くリーグ10連覇の1年目となるリーグ優勝を果たしています。さらに2018年にはマレーシアU19代表監督となり、東南アジアサッカー連盟(AFF)U19選手権で初優勝を飾ります。

2020年にはインドネシア1部のPSMマカッサル監督に就任しますが、新型コロナの影響でこのシーズンのインドネシアリーグは中止となり、2021年にはマレーシアに戻りKLシティFC監督に就任すると、同年マレーシアカップ優勝、翌2022年はAFCカップ準優勝、そして2023年はJDTに敗れたもののFAカップ準優勝を果たしています。

そして2023年シーズン途中の7月には給料未払い問題が起こっていたKLシティ監督を辞任し、開幕ダッシュに失敗したインドネシア1部のプルシブ・バンドン監督に就任しています。ホダック氏が監督に就任した際は1勝3分1敗の16位だったプルシブ・バンドンですが、そこからは順位を上げ、レギュラーシーズンは16勝14分4敗として2位で終え、リーグ上位4チームが出場するチャンピオンシップシリーズに進出しています。

ホームアンドアウェイ方式で行われた準決勝ではレギュラーシーズン3位のバリ・ユナイテッドと対戦し、アウェイでは1−1と引き分けたものの、ホームでは3−0で勝利し、決勝進出を決めると、決勝はホーム、アウェイとも連勝して優勝を決めています。

優勝決定直後に今シーズンを振り返ったホダック監督は「(プルシブ・バンドンの)監督を引き分けたときは18チーム中16位で、あまり期待はしていなかった。しかし、チームが良い結果を出し始めると、期待は高まり、チームが目標としていたチャンピオンシップシリーズ出場を果たすことができた。チャンピオンシップシリーズでは、チームの調子も良く、優勝できた。この優勝でバンドンの街は間違いなく熱狂していることは確信できる。」と述べています。

今季の最優秀監督としても表彰され、その賞金として1億5000万ルピア(およそ145万円)を受け取ったホダック氏は、インドネシアとマレーシアのリーグ違いを尋ねられると以下のように答えています。

「サッカーはインドネシアでは最大のスポーツであることに加えて、代表チームが好成績を収めていることもあり、各クラブもチーム強化に力を入れていることから、全体としてレベルが上がってきている。(2020年に)PSMマカッサルの監督に就任した際には、外国籍選手がより多く登録できることもあり、マレーシアリーグのクラブの方がインドネシアのクラブより強いと思っていた。しかし現在は(マレーシアリーグと同じ)6名の外国籍選手が登録でき、さらに来季はそれが8名となる。またインドネシア人選手の多くは恵まれない生活環境が背景にあり、ハングリーさはマレーシア人選手に比べると高いため、ここでは選手に練習を「やらせる」必要がない。選手自身がこちらの指示通りに練習してくれるからだ。」

「リーグの運営などは、インドネシア、マレーシア両国では大きな違いがないが、マレーシアは1チームが他を圧倒しているが、ここは多くのクラブが健全に投資を行なっている結果、競争が起こっているので、リーグ自体はこちらの方が遥かに面白い。その一方で、インドネシアは国土が広いため移動が大変であったり、代表戦などによりリーグ日程の変更が頻繁に行われるのは欠点と言える。」とも話しています。

最後にホダック監督は、この日(5月31日の決勝セカンドレグ)で契約が切れることを明らかにしましたが、既に契約更新の話し合いは行われており、おそらく来季もプルシブ・バンドンで指揮を取るだろうと話しています。

2026W杯予選:今度は正GKがケガで代表辞退

6月6日と11日に2026年W杯アジア2次予選を控えるマレーシア代表は、5月27日から代表合宿を行っています。6月2日にはこれまで合流していなかったジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の6名が参加するはずでしたが、実際に合宿に姿を表したのは5名で、GKシーハン・ハズミがケガのため、代表合宿参加を辞退したことが明らかになりました。

マレーシア代表は、酸をかけられて治療を受け、現在療養中のFWファイサル・ハリム(スランゴールFC)に加え、FWアリフ・アイマン、FWロメル・モラレス(いずれもJDT)、FWダレン・ロック(サバFC)、FWシャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)と大量の不参加が出ており、このシーハン選手で当初のメンバーから6名が不参加となっています。

これまでのW杯予選4試合、そして1月のAFCアジアカップ全てでゴールを守った正GKのシーハン選手が代表参加を辞退した影響は大きいですが、キム・パンゴン代表監督は代替選手を招集せず、現在合宿に参加しているアズリ・ガニ(KLシティFC)、シーク・イズハン(ペナンFC)、カラムラー・アル=ハフィズ(クダ・ダルル・アマンFC)を起用するとしています。

アジア大学サッカートーナメントがマレーシアで開幕

本日6月3日からアジア大学サッカートーナメントがクアラ・ルンプール郊外のマレーシア国民大学(UKM)で開催されています。昨日6月2日に行われた組み合わせ抽選でA組に入ったマレーシアは、前回大会準優勝の韓国、フィリピン、オマーンと同組に、またU20全日本大学選抜が参加する前回チャンピオンの日本は台湾、ベトナム、タイと同じB組となっています。

B組の日本は本日3日の午前9次からの試合で台湾と対戦し3−0と快勝、明日4日にはやはり本日タイを1−0で破ったベトナムと対戦します。またグループリーグ最終日の5日にタイとも対戦します。A組のマレーシアは本日3日にオマーン、明日4日はフィリピン、5日にオマーンと対戦します。なお順位決定戦は7/8位決定戦と5/6位決定戦が7日、3/4位決定戦と1/2位決定戦が8日にそれぞれ予定されています。

以下は本日の試合の各チームの先発XI です。(左上から時計回りに台湾、日本、タイ、ベトナム)


マレーシア大学チームのリズアン・アブ・シャー監督は、今回のチームにはアリフ・ナジミ・シャアイニ(PDRM FC)、ハリズ・マンソル(クチンシティFC)らマレーシアスーパーリーグの選手に加えて、クランタンFC U23、ヌグリスンビランFC U23、3部のマラッカFCからもそれぞれ選手が参加していることを明らかにしています。

リズワン氏は4強入りが目標の今大会では守備が重要と考えており、上記の大学生でない選手はDFであると説明しています。なお昨年9月に韓国で行われた前回大会で、マレーシアは6位に終わり、2019年の台湾での大会は5位に終わっています。

この大会はマレーシア高等教育機関スポーツ(Sukan IPT)のFacebookから試合の写真や映像などを見ることができます。

6月2日のニュース<br>・U19代表合宿参加メンバー発表:ジョホールとスランゴールの選手が半数以上を占める<br>・名将ホダック監督がまた一つ勲章:インドネシアリーグ優勝で3か国でリーグ制覇<br>・ペラFC本拠地の高麗芝への張り替えは前半戦終了後の11月に予定

U19代表合宿参加メンバー発表:ジョホールとスランゴールの選手が半数以上を占める

マレーシアサッカー協会(FAM)は、7月にインドネシアで開催される東南アジアサッカー連盟(AFF)U19選手権に向けた代表候補合宿参加メンバー36名を発表しています。

この36名中、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とセランゴールFCからはそれぞれ10名が選ばれています。その他はFAMと国家スポーツ評議会(NSC)が共同運営するエリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミーとトレンガヌFCから3名、ヌグリスンビランFC、ペナンFC、サバFCからそれぞれ2名、クダ・ダルル・アマンFC、クランタン・ダルル・ナイムFC、ペラFC、そしてマラッカ州サッカー協会からは各1名が選ばれています。詳しいメンバーはこちらです。

フアン・トーレス・ガリド監督率いるU19代表は、今日6月2日から8日までパハン州ガンバンのモクタル・ダハリ・アカデミーで合宿を行い、6月9日から11日まではブキ・ジャリル国立競技場に隣接するNSCの練習施設に場所を移して合宿を続けます。なお今年のAFF U19選手権は 7月17日から29日までインドネシアのスラバヤで開催される予定です。前回2022年大会では、マレーシアは決勝でラオスを破り、2018年大会に次ぐ2度目の優勝を果たしています。

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なお、このAFF U19選手権の組み合わせ抽選は既に行われており、マレーシアは、過去5度優勝のタイの他、シンガポール、ブルネイと同じC組に入ることが決定しています。この他、前回大会準優勝のラオスは、過去5回優勝のオーストラリア、同2回優勝のミャンマー、同1回優勝のベトナムと同じB組に、今大会ホストで過去1回優勝のインドネシアはいずれも優勝経験がないフィリピン、カンボジア、東ティモールと同じA組となっています。

U19代表以外の年代別代表については、JDT III(U21)監督やJDTアカデミー責任者を歴任したハビエル・リベラ監督が率いるU16代表が今月21日にインドネシアで開幕するAFF U16選手権に出場します。こちらも既に組み合わせ抽選が、グループステージではC組に入り6月23日には東ティモールと、6月26日にはオーストラリアと、そして6月29日にはタイと対戦します。先月5月3日に就任したばかりのリベラ監督は、このAFF U16選手権の他、10月に予定されているAFC U17アジアカップ予選でも指揮を取ることになっています。

また4月のAFC U23アジアカップ2024ではグループステージ未勝利で敗退したU23代表は、次の公式戦は9月のU23アジアカップ2026の予選と時間があることから、今回のFIFAデイズでは合宿などは行わず、U23代表のフアン・トーレス・ガリド監督は、U19代表のサポートに回っています。

名将ホダック監督がまた一つ勲章:インドネシアリーグ優勝で3か国でリーグ制覇

5月31日にインドネシア1部リガ1のチャンピオンシップシリーズ決勝セカンドレグが行われ、5月26日にホームのシ・ジャラク・ハルパット・スタジアムで行われた決勝ファーストレグを3-0で勝利していたペルシブ・バンドンは、この試合でもマドゥーラ・ユナイテッドを3−1と破り、通算成績を6−1として、2023/24シーズンの優勝を果たしています。またプルシブ・バンドンのボヤン・ホダック監督はこの優勝で、カンボジア、マレーシアに次いで東南アジア3カ国目となるリーグ優勝を果たしています。

クロチア生まれのホダック監督は、2011年にカンボジアリーグでプノンペン・クラウンクラブをリーグ優勝に導くと、翌2012年にはマレーシアスーパーリーグ(MSL)でクランタンFA(現クランタンFC)を、さらにその2年後にはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)を率いてリーグ優勝を果たしています。2018年にはマレーシアU19代表を率いて東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権で優勝を果たすと、インドネシア1部PSMマカッサル監督を経て、2021年にマレーシアに戻りKLシティFC監督に就任しています。その2021年には決勝でJDTを破りクラブ32年ぶりとなるマレーシアカップ優勝を果たすと、2022年にはAFCカップ(現ACL2)決勝進出を果たしています。2023年シーズンもFAカップ決勝を果たしていましたが、シーズン途中の7月にKLシティFC監督を辞任し、プルシブ・バンドン監督に就任しました。

ホダック監督は、開幕ダッシュに失敗し、1勝3分1敗、得点10失点11でリーグ10位に低迷していたチームに合流すると、そこから15勝11分3敗、得点55失点27とチームを立て直し、レギュラーシリーズ2位でチャンピオンシップシリーズ進出を決めています。チャンピオンシップシリーズでは、準決勝でレギュラーシリーズ3位のバリ・ユナイテッドを通算成績4−1で破ると、前述の通り決勝は6−1と解消しています。マレーシアでプレー経験がある選手では、ホダック監督がKLシティFCから引き抜いたフィリピン代表GKケヴィン・メンドーザは、優勝の懸ったチャンピオンシップシリーズ準決勝2試合、決勝2試合の計4試合でで2失点と活躍し、またトレンガヌFCでプレー経験がある(Jリーグではツェーゲン金沢でも)ダビ・ダ・シルヴァがリーグ最多の30ゴール(34試合)を挙げ、決勝2試合でも3ゴールを決めて、プルシブ・バンドンの優勝に貢献しています。

現在のリーグになってからは2014年以来3度目の優勝となったプルシブ・バンドンに外国籍監督としては初めてタイトルをもたらしたホダック監督は、自身も今季のインドネシアリーグ最優秀監督を受賞しています。

決勝セカンドレグのハイライト映像。プルシブ・バンドンの公式YouTubeチャンネルより
ペラFC本拠地の高麗芝への張り替えは前半戦終了後の11月に予定

ペラ州イポーにあるペラ・スタジアムはペラFCのホームですが、このペラ・スタジアムの芝張り替え工事を11月から始める予定であることをペラ・スタジアムを管理するイポー市のルマイジ・バハリン市長が明らかにしています

これを伝えたマレーシアの通信社ブルナマによると、ルマイジ市長は今季2024/25シーズンのマレーシアアスーパーリーグの前半戦最終節の第13節が10月18日から20日に予定されていることから、この前半戦終了を待ってからピッチの排水システムを改善した上で、現在のカウグラス(アカツメクサ)から高麗芝の一種のゼオン・ゾイシア芝に張り替え、来季2025/26シーズンの開幕に間に合わせたいとしています。

ペラ・スタジアムの芝張り替えは、マレーシア政府青年スポーツ省からの補助金を使って行われ、作業終了までには3から4ヶ月程度かかるとしています。今年1月に青年スポーツ省は、国内のスタジアムのピッチ改善のために700万リンギ(およそ2億4000万円)の支援を行うことを発表しており、今回のペラ・スタジアムの芝張り替えはこの支援を使って行われます。具体的にはピッチ下の排水システムのアップグレードに30万リンギ、芝の張り替えに20万リンギが各州に補助されます。

ルマイジ市長は、世界基準のピッチとなることで将来はペラ・スタジアムでも国際大会が開けるようになることを歓迎すると話す一方で、芝張り替え工事期間中のペラFCの公式戦については、ペラFCとリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)との間で相談の上、開催地が決定されるだろうと話しています。


6月1日のニュース<br>・AFCクラブ大会ランキングが発表:マレーシアは2025/26シーズンACLエリートとACLの本選出場枠各1を守る<br>・ジョホールがACLエリートに向けてクラブ初となる韓国出身CBを獲得へ<br>・2026W杯予選:マレーシア代表が練習試合でペラFCに辛勝

スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロは、マレーシアスーパーリーグのペラFCのU17チーム、ペラFC IVのキャプテン、ナスルディン・アフマドが、2023年度の「中等教育修了認定試験」SPM試験でオールAの成績を取得したことを報じています。

これがどのくらい凄いことかを説明するために、まずはマレーシアの教育制度を説明しましょう。マレーシアはその前身のマラヤ連邦が英国植民地だった経緯もあり、教育制度は英国に倣い、義務教育となっている小学校6年間を終えた子どもたちの大半が、5年制の中等学校へ進学します。この中等学校5年生修了が日本でいう高卒に該当しますが、マレーシアの教育制度が日本と異なるのは、17歳の5年生全員に「中等教育修了認定試験」の受験が義務付けられていることです。

中等教育修了証の名前をとってSPM試験と呼ばれるこの試験は、マレーシア語、英語、数学、歴史、イスラム学(イスラム教徒の生徒のみ)/道徳(イスラム教徒以外の生徒)、理科(文系の生徒のみ)の必須6科目と、選択科目を進路などに合わせて3科目から6科目選び、合計9科目から12科目を受験します。そして試験の結果が80%以上の成績にはAが、60%以上はB、50%以上はCがそれぞれ与えられ、C以上の成績が合格となります。

2023年度は37万人の17歳が受験したSPM試験の結果が数日前に発表されましたが、それを受けての冒頭のナスルディン選手の成績の話とつながります。なお、ナスルディン選手は9教科受験でオールAの成績でしたが、これは受験生全体の上位3%に入る成績であったことからニュースとなったわけです。

AFCクラブ大会ランキングが発表:マレーシアは2025/26シーズンACLエリートとACLの本選出場枠各1を守る

アジアサッカー連盟(AFC)は2025/26シーズンAFC主催のクラブ出場大会の各国出場枠を発表し、マレーシアは今季2024/25シーズンと変わらず、ACLからリブランドされたACLエリートと、AFCカップからリブランドされたACL2にそれぞれ1チームが本戦から出場することが確定しています。なおACL2に次ぐ大会のAFCチャレンジリーグの出場枠はありません。

AFC主催のクラブ出場大会の出場枠は、各国クラブがこれまで獲得したポイントをもとにしたAFCクラブコンペティションランキングによって決定します。東西各地区の1位は2025/26シーズンのACLエリート本選に3チーム、ACL2本選に1チームが出場、同2位はACLエリート本選に2チームと予選に1チーム、ACL2本選に1チームが出場するといった割り当てとなっています。

マレーシアは2019年から5年連続本選出場を果たしているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)や、2022年AFCカップ準優勝のKLシティFCなどが貢献し、横浜F・マリノスが今季のACLで準優勝したことなどにより、31.331ポイントで東地区の6位となっています。例年通りであれば、2025/26のACLEにはマレーシアスーパーリーグ(MSL)の1位がが、またACL2にはFAカップの優勝チームが出場します。なお今季2024/25で言えば、JDTがMSL1位、FAカップ優勝だったことから、MSL2位のスランゴールFCがACL2に出場します。

東地区ではマレーシアと3.372ポイント差の5位がオーストラリアで、7位には2.674ポイント差でベトナムとなっています。5位のオーストラリアは、マレーシアと同じACLエリート本選1チーム出場、ACL2本選1チーム出場となっている一方で、7位ベトナムはACLは本選、予選とも出場枠なし、ACL2は本選1チーム出場、予選1チーム出場となっています。以下は東地区上位12チームと各大会出場枠です。数字は左からACLエリート本選出場チーム数/同予選出場チーム数/ACL2本本選出場チーム数/同予選出場チーム数です。(なお、この記事はゲキサカさんの記事を参考にしました。)

順位国名ポイントAFC大会出場枠
1日本96.9993/0/1/0
2韓国93.6002/1/1/0
3中国57.7642/1/1/0
4タイ49.5461/1/1/0
5オーストラリア34.7031/0/1/0
6マレーシア31.3311/0/1/0
7ベトナム28.6570/0/1/1
8香港26.8880/0/1/1
9シンガポール17.3500/0/1/1
10フィリピン16.2300/0/1/1
11インドネシア14.8160/0/0/1
12北朝鮮13.9230/0/0/1
ジョホールがACLエリートに向けてクラブ初となる韓国出身CBを獲得へ

マレーシアの複数のメディアがタイの報道を引用する形で韓国出身のCBパク・ジュンホンが、国内リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に加入すると報じています。パク選手はドイツやポルトガルリーグでプレーした経験がある他、水原三星ブルーウィングス(韓国)とキッチーFC(香港)などでプレーし、2021/22シーズンからタイ1部ラーチャブリーFCでプレーしています。タイ1部リーグは今季2023/24シーズンが今月26日に終了したことから、パク選手は6月30日の契約満了後にJDTに加入する予定だということです。31歳のパク選手は身長192cmで、CBの他に守備的MFとしてもプレーするということですが、実際に加入となれば、クラブ史上初の韓国出身選手となります。

今月開幕したばかりの2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグは、今季2度目のトランスファーウインドウが8月1日から8月30日までとなっており、JDTに加入するのは8月1日以降になりそうですが、そのJDTにはマレーシアスーパーリーグの規定で認められている外国籍選手登録上限となる9名が在籍しています。

しかも現在のJDTには、CBにジョルディ・アマト(インドネシア)とシェーン・ローリー(オーストラリア)の2名の外国籍選手が君臨しているだけでなく、その他にも先日発表された2026年W杯アジア2次予選出場のマレーシア代表にそろって選出されたフェロズ・バハルディンとシャールル・サアド、さらにジュニオール・エルドストールなどマレーシア人選手も十分おり、人材的にも不足していません。

このままだと国内リーグには出場することができないパク選手との契約を、敢えてJDTが進めるとすれば、その理由はJDTが出場する2024/25シーズンのACLエリートにあると考えられます。従来のACLからリブランディングされたACLエリートのグループステージ第1節は9月16日から18日にかけて予定されていますが、アジアサッカー連盟(AFC)は今季2024/25シーズンからACLエリートを含めたACL主催大会から外国人選手枠を撤廃するのではとの噂があります。JDTが国内リーグでは起用できないパク選手を獲得する理由は、このACLエリートに向けたチーム強化だと考えられます。

実は同じようなことが過去にもマレーシアスーパーリーグでもありました。2012年当時のスーパーリーグは1チーム最大2名の外国籍選手登録が可能でしたが、この年にAFCカップに出場したスランゴールFA(当時、現スランゴールFC)とクランタンFA(同クランタンFC)は、このAFCカップ出場を理由に、特例としてさらに2名の外国籍選手登録を認められたという事例があります。

2026W杯予選:マレーシア代表が練習試合でペラFCに辛勝

今月のFIFAワールドカップ2026年大会アジア2次予選に向けて合宿中のマレーシア代表は、昨日、ブキ・ジャリル国立競技場でマレーシアスーパーリーグのペラFCと非公開の練習試合を行い、1-0で勝利したとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

マレーシア代表は6月6日にキルギス代表とアウェイで、また6月11日にはホームで台湾代表と対戦しますが、試合まであと5日しか残されていない中、練習試合自体は17分にDFダニエル・ティン(サバFC)がゴールを決めて勝ったものの、現在国内リーグ8位のペラFC相手に辛勝だったことで、改めてFW陣の問題点が明らかになった形です。

このブログでも何度か取り上げましたが、今回の代表チームはケガなどを理由に、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、アリフ・アイマン・ハナピ、ロメル・モラレス(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)、ダレン・ロック(サバFC)、シャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)と5名のFWが参加していません。このため、パウロ・ジョズエ(KLシティFC)、アキヤ・ラシド、サファウィ・ラシド(いずれもトレンガヌFC)に期待がかかっていますが、昨夜の試合ではこれらの選手の名がスコアシートに載ることはありませんでした。

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ペラFCと対戦したマレーシア代表ですが、代表合宿は今週月曜日の5月27日から始まっていますが、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とスランゴールFCの選手が参加しておらず、サポーターの間で様々な意見が飛び交っています。

JDTからは、Gkシハン・ハズミ、DFマット・デイヴィーズ、DFフェロズ・バハルディン、DFシャール・サアド、DFラヴェル・コービン=オン、MFエンドリック・ドス・サントス、そしてスランゴールFCからはノーア・レインと、合計7名が招集されていますが、この7名全員が未だ合宿に参加していません。タイ1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーするDFディオン・コールズも参加しておらず、前述のペラFC戦も合宿参加メンバー26名中18名で臨んだとことになります。

マレーシア語紙のブリタハリアンは、代表合宿に参加させるためにFIFA国際マッチカレンダー期間より前に、クラブに選手のリリースを強制する規定はないことから、JDT、スランゴールFCともに間違えたことはしていないと説明しています。

「FIFA国際マッチデーには 2 つのタイプがあり、一つは、月曜日の朝に始まり、翌週の水曜日の夜に終わる 10 日間の期間として設定され、もう一つは、日曜日に始まり翌週水曜日の夜に終わる4日間の期間として定義されている。今回に関して言えば6月3日(月)から6月11日(水)に終わる前者であり、FIFAの規定に照らせば、各クラブは遅くとも6月3日の朝までに代表チームに合流できるようにリリースすれば良く、代表チームは6月12日の朝までにクラブに選手を戻る必要がある。」と説明する記事は、JDTやセランゴールFCがFIFAの規則に従っているので、現時点で選手をリリースしていないのは間違いではない、と結んでいます。

5月29日のニュース<br>・代表合宿からまた1人FWが離脱-残ったストライカーはついに1人に<br>・KLシティ監督は主力が大量に代表合宿参加で悲鳴<br>・クダFCは今季のメインスポンサーを7月に発表予定

代表合宿からまた1人FWが離脱-残ったストライカーはついに1人に

昨日のこのブログでは、ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、アリフ・アイマン、ロメル・モラレス(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC)が5月27日から始まっている代表候補合宿には参加してない中、シャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)がケガのため、合宿参加を辞退したというニュースを取り上げました。シャフィク選手の辞退により、ストライカーは34歳のダレン・ロック(サバFC)と21歳のハキミ・アジムの2人しかおらず、しかもロック選手はハムストリングに問題を抱えていることも合わせて取り上げましたが、そのロック選手が合宿を離脱したことをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

6月6日にはアウェイのキルギス戦、6月11日にはホームの台湾戦と2試合の2026W杯予選を控えるマレーシアのストライカーは、ついにハキミ選手1人となってしまいました。なおキム・バンゴン代表監督は、昨日辞退が発表されたシャフィク選手に代わりMFザフリ・ヤハヤ(KLシティFC)を、そして今回離脱したロック選手に代わってクチン・シティFCでは右ウィングのヌル・シャミー・イスズアンを招集しています。今季からクチンシティFCでプレーするヌル・シャミー選手は、クラブ史上初の代表合宿招集選手にもなっています。

今回の合宿に参加しているメンバーの中でFWはハキミ、ヌル・シャミー両選手を除くとサファウィ・ラシド、アキヤ・ラシド(いずれもトレンガヌFC)の2名ですが、センターフォワードというよりはウィングの選手で、このままだと、キム監督はアジアカップと同様に、所属するKLシティFCでは司令塔を務めるMFパウロ・ジョズエをセンターフォワードとして起用する可能性も出てきました。

キム監督からすれば、誰か他のストライカータイプの選手を招集したいと思っても、どのチームも外国籍選手がセンターフォワードに起用されていることから、そもそもマレーシア人ストライカーがいない、という現実もあります。なお、ヌル・シャミー選手はは、2022年東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権三菱電機カップではマレー際代表としててラオス、ベトナムとのグループステージ2試合と準決勝第1戦でプレーしており、キム監督による戦術の理解への心配はなさそうです。

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今季2024/25シーズンが開幕してまだ第3節までしか終わっていないのに、ケガが理由だとは言え、これだけ多くの選手が代表招集を辞退しているのを見ると、果たして本当にケガなのか、と勘ぐりたくなります。昨季は昨年12月に終わっており、今月5月の開幕までの5ヶ月間、一体何をすれば(あるいはしなければ)そんな簡単にケガをしてしまうのかが不思議で仕方ありません。代表選手は1月のAFCアジアカップ2023や3月のW杯予選があったとは言え、その間、身体のケアのための時間が取れなかったのだろうかと訝しく思います。

KLシティ監督は主力が大量に代表合宿参加で悲鳴

KLシティFCのミロスラフ・クリヤナツ監督は、昨日5月28日のチーム練習に参加した選手がわずか数名しかいなかったことに唖然とした、とスポーツ専門サイトのスタジアム・アストロが報じています。

5月27日から始まった代表候補合宿にはGKアズリ・ガニ、DFデクラン・ランバート、MFブレンダン・ガン、MFパウロ・ジョズエ、FWハキミ・アジムの5人が参加していますが、既報の通り、ケガで合宿参加を辞退したシャフィク・アフマドに代わってMFザフリ・ヤハヤも新たに追加招集されており、今回の代表候補合宿では、ジョホール・ダルル・ダジムFCと同じ6名が招集されたことになります。

なおクロアチア出身のクリヤナツ監督は、ケガのために練習に参加していない選手が6名いることを明らかにした上で、代表候補合宿に参加する6人の選手が練習に不参加だったことで、チーム練習がままならなくなっているという悲鳴をあげた上で、W杯予選後の日程にも不満を述べているようです。

今回のW杯予選の日程は6月6日にアウェイのキルギス戦、6月11日にホームのブキ・ジャリル国立競技場で台湾戦が予定されていますが、この予選後に再開するマレーシアスーパーリーグ(MSL)第4節では、KLシティFCは6月13日にクチンシティFC戦が組まれています。台湾戦との試合感覚が近すぎると考えるクリヤナツ監督は、代表戦の2日後に組まれているリーグ戦の日程は延期されるべきだとも話していますが、この延期については、KLシティFCは正式に要請するかどうかを検討中だということです。

クダFCは今季のメインスポンサーを7月に発表予定

開幕戦ではPDRM FCに勝利したものの、その後はスランゴールFC。ペラFC相手に2連敗しているケダ・ダルル・アマンFC(クダFC)。そのKDA FCは7月初旬に予定されるチームの新ユニフォーム発表会で、今季のメインスポンサーも発表する予定だと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

クダFCオーナーのモハド・ダウド・バカル氏は、複数の個人や企業がスポンサーとなり、クラブと緊密に協力することに前向きな反応と関心を示していると述べています。「私は彼ら(スポンサー)と常に連絡を取っている。さらにメインスポンサーだけでなく、第二、第三、第四のスポンサー候補者とも連絡を取り合っている。彼らは全てクダFCにとって、クラブの安定と安定を支援する上で重要だ」と話しています。

クダFCは、給料未払い問題の解決が遅れたため、今季開幕前の段階でリーグ戦の勝点3の剥奪処分を受けています。またメインスポンサーが決まっていないことから、ここまでのマレーシアスーパーリーグ第3節までは、プレシーズンのために作ったユニフォームを着用して試合に臨んでいます。

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また英字紙スターは、クラブは残りあと2ヶ月しか維持できず、大口のスポンサーが見つからなければ、シーズンを通して財政的に苦しむことになる、というクダFCオーナーのモハド・ダウド・バカル氏の発言を紹介していますが、上の記事のメインスポンサー次第では、シーズン途中でクダFCがリーグ撤退という可能性も残っています。

5月28日のニュース<br>・W杯アジア2次予選:シャフィク・アフマドがケガで代表辞退-残るストライカーは2人だけに<br>・W杯アジア2次予選:6月のキルギス戦を前に代表は国内クラブと練習試合<br>・スランゴールはチケット価格据え置きで満員のスタジアムを目指す

5月26日のスーパーリーグ、セランゴールFC対ヌグリスンビランFC戦後、セランゴールFCのサポーターがMBPJスタジアム周辺のゴミ拾いをする姿が報じられ、これが「日本人的メンタリティー」だとされています。カタールW杯でも試合後にゴミを集めるなどした日本代表サポーターがいたことからこのような記事になったのだろうと思います。

マクドナルドやケンタッキーなどのファーストフード店でも、食事を終えるとトレーから何からテーブルに置きっぱなしで席を立つのが一般的なマレーシアですので、このゴミ片付けはニュースバリューがそれなりにあるのだろうな、という感じです。まあこの試合は4−0と快勝してサポーターも気分が良かったであろうこともあります。同じことが大敗したときにもできるのか、さらに試合後のゴミ片付けがが当たり前になって、ニュース価値がなくなるまで続けられるかどうかですが、今季のスランゴールFCの試合で観察していこうと思います。

W杯アジア2次予選:シャフィク・アフマドがケガで代表辞退-残るストライカーは2人だけに

昨日5月27日から始まった代表候補合宿からFWシャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)がケガで離脱したことが明らかになっています。飼い殺し状態だったジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)から期限付き移籍した今季開幕戦では、開始1分でゴールを挙げたシャフィク選手は第1節、第2節と先発してフル出場していましたが、5月24日の第3節ペラFC戦では後半開始直後に交代していました。久しぶりの代表復帰で活躍が期待されていただけに、今回ハムストリングのケガでの代表を辞退は残念としか言いようがありません。

酸をかけられ、4回手術を受けた後に退院し、現在は自宅療養中のファイサル・ハリム(スランゴールFC)、脳震盪の影響とされて今季はまだリーグ戦出場がないアリフ・アイマン、足首を痛めてやはり今季まだ出場がないロメル・モラレス(いずれもJDT)と、いずれもこれまでのW杯予選やアジアカップに出場したFW陣が不在のマレーシア代表ですが、今回のシャフィク選手離脱で、いわゆるストライカーは34歳のダレン・ロック(サバFC)と21歳のハキミ・アジム(KLシティFC)の2人だけになってしまいました。なおロック選手もハムストリングに問題を抱えており、残るハキミ選手も昨季リーグ戦では16試合で1ゴール1アシストと、代表FWと呼ぶにはやや心許ない経験しかありません。

なおキム・パンゴン代表監督は、離脱したシャフィク選手の代わりにMFザフリ・ヤハヤ(KLシティFC)を代替選手に指名しています。

マレーシアは、2026W杯アジア2次予選ではここまで2勝2敗、グループ1位のキルギス、同2位オマーンとは勝点差3の3位となっています。第5節の6月6日にキルギスのビシュケクにあるドレン・オムルザコフ・スタジアムでキルギス代表と対戦し、その5日後の6月11日にはブキ・ジャリル国立競技場でグループDの最終第6節の台湾戦に臨みます。

W杯アジア2次予選:6月のキルギス戦を前に代表は国内クラブと練習試合

6月6日にはキルギスと、また6月11日は台湾とのW杯予選が控えるマレーシアですが、昨日から代表候補合宿が始まってはいるものの、他国代表との試合が難しくなっていることから、マレーシアスーパーリーグのクラブとの対戦案が浮上していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

今回のFIFA国際マッチデーカレンダーは6月3日から11日までとなっており、この期間練他国代表と実戦の機会を設けようとすれば、試合日程が過密になってしまうとして、マレーシアサッカー協会(FAM)のヌール・アズマン・ラーマン事務総長は、マレーシア代表はキルギスと台湾と対戦するための準備として国内で親善試合を開催することになったと述べています。

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「スパーリングパートナー」には、無駄な試合を嫌うオーナーが同意すれば国内最強のジョホール・ダルル・タジムFCなどが候補に上がりそうですが、以前、タイ代表が国内リーグでプレーする外国籍選手を集めた「外国籍選手オールスター」と対戦したことがあったような気がするので、FAMはそんなことを考えてみても良いのではないかと思います。

スランゴールはチケット価格据え置きで満員のスタジアムを目指す

今季のACL2に出場することが決まっているスランゴールFCは、開幕前に本拠地のMBPJスタジアムを「アジア仕様」に模様替えしています。これによりMBPJスタジアムの収容人数は減少しましたが、スランゴールFCはスーパーリーグ戦のチケット価格を据え置きにすることを発表しています。

スランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOによると、スランゴールFCの経営陣が今季の全試合でサポーターを引き付け、全試合を「満員」で開催したいことがその理由だと説明しています。なおMBPJスタジアムは、昨年12月からの改修工事の結果、収容人数は25,000席から半数以下の10,661席に減少しています。

「スタジアムの収容人数は減少しているが、チケット価格を昨季から据え置きにし、全試合でスタジアムに満員の観客を集めるように努めたい」と述べたジョハンCEOは、 昨年の1試合当たりの平均観客動員は7,000人から8,000人だった一方で、今季の目標は、30パーセント増の10,000人から11,000人とすることだ」と、5月26日にMBPJスタジアムで行われたヌグリスンビランFCとの試合後に語っています。

スランゴール FC は、対戦チームによってチケットの価格帯を2段階にしており、ジョホール・ダルル・タジムFC、クダ・ダルル・アマンFC、トレンガヌFC、サバFC、スリ・パハンFCを対象したティア 1 のチケット料金は子どもが5リンギ(1リンギはおよそ33円) 、バックスタンドが25リンギ、メインスタンドが30リンギとなっている一方で、他の7チームを対象としたティア 2 のチケット価格は子ども5リンギ、バックスタンド25リンギ、メンスタンド25リンギとなっています。