8月30日のニュース・サッカー協会会長-前ベトナム代表監督のパク氏も代表監督の候補者・いまさら何を?キム前代表監督の突然の辞任をサッカー協会会長が批判・W杯予選を「中立地」マレーシアで行うパレスチナ代表が合宿入り・マレーシア代表の医療チームに元バルサのチームドクターと理学療法士が加わる

サッカー協会会長-前ベトナム代表監督のパク氏も代表監督の候補者

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、前ベトナム代表監督のパク・ハンソ氏が、現在空席となっているマレーシア代表の監督候補の1人であると述べています。

FAMの本部で行われた記者会見の席上で、1年5ヶ月の契約期間を残しながら先月7月に辞任したキム・パンゴン前代表監督の後任として、メディアなどでも報じれていたパク前ベトナム代表監督も候補者の1人であると、メディアの質問に答える形で認めています。

来月9月4日に開幕するムルデカ大会では、マレーシア代表はパウ・パルディ代表チームコーチを監督代行に大会に臨みますが、ハミディン会長は「キム前監督に勝る」後任を探すために全力を注いでいる最中だと説明し、その中で出てきたのがパク前ベトナム代表監督の名前でした。

ハミディン会長は、FAMが代表監督に求めるものとして代表選手の「質」を理解していることに加え、マレーシア代表がW杯予選やアジアカップ予選で対戦する東南アジアを含むアジア各国の対戦相手の「質」も正しく理解していることであると話しています。

その上でFAMは複数の候補者の中から、現在絞り込みを行なっている最中だと説明しています。

いまさら何を?キム前代表監督の突然の辞任をサッカー協会会長が批判

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、先月、突然辞任し、その後は蔚山HDの監督に就任したキム・パンゴン前代表監督の姿勢を「プロフェッショナルでない」とFAM本部で開かれた記者会見という公の場で批判しています。

マレーシア代表サッカーチームが出場しないにもかかわらず、パリオリンピックに出場したマレーシア選手団の団長を務めていたハミディン氏は、ほぼ1ヶ月近くマレーシアを離れていました。オリンピックも終わりひと段落といったとこのなのか、いまさらになってキム前監督の話を蒸し返し、その辞任の状況を明らかにしています。

ハミディン会長は、キム前監督が辞任する数日前まで、家族の問題を理由に代表チームを離れたいと何度も主張していたとのことです。しかし、その一方でハミディン会長が知らぬ間に、キム前監督は韓国の蔚山HD FCと交渉し、監督就任に合意していたことが明らかになりました。

「私が失望したのは、キム前監督が記者会見を開き、様々な辞任理由の一つとして、代表選手の招集が自身の望むようにできなかったことを挙げたことだ。私はキム前監督がそれを辞任する好機と捉えたのではないかと考えている。結果的に蔚山HD FCと交渉していたわけで、私はこの行為にはプロ意識が欠落していると感じている。」

「FAMはキム前監督の辞任による被害者である。キム前監督は(蔚山HDから)良いオファーを受けたことにより代表監督を辞任したにもかかわらず、、事実とは異なる辞任理由を述べた。FAMはキム前監督の要望にできる限り応じていたため、そういった(辞任理由として挙げた)非難には当たらない。」と述べて、ハミディンFAM会長はキム前監督を批判をしています。

その一方でさらにコメントを求められたハミディン会長は、FAMがキム前監督に対して法的措置を取らなかったのは、在任中の代表チームへの貢献を評価してのことだと説明しました。

「我々は彼の貢献を評価しており、(残りの契約期間の)1年半分の補償を求めることができたが、それはあえて行わなかった。私が唯一失望しているのは、彼が真実を明かさなかったことだ、そこは正直に話して欲しかったと思っている。と述べた、ハミディン会長は、わずか数ヶ月前まではキム前監督が監督としての契約を2025年末まで守ると誓っていたことも明らかにしています。

先月、キム前監督は個人的な理由を挙げて、マレーシア代表監督を2年4ヶ月務めた後に辞任し、その後わずか2週間足らずで、蔚山HD FCの監督に就任しました。

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パリオリンピック選手団の団長となったことで、本当にキム前監督の動向を把握できていたのか、と正直、疑問が残ります。キム前監督への蔚山HDからの監督オファーは、前任者の洪明甫氏が韓国代表監督に就任したことで監督不在となったことによるもので、そういった事態はハミディン会長がFAMのトップとしてサッカーのことだけを考えていれば、何か手を打てたのではないかと思ってしまいます。サッカーがパリオリンピックに出場しないにもかかわらずハミディン会長に選手団団長就任を要請したマレーシアオリンピック協会もなんですが、それを受けたハミディン会長に対しても、それが自身のやるべき仕事だったのかと感じてしまいます。

W杯予選を「中立地」マレーシアで行うパレスチナ代表が合宿入り

「パレスチナ代表を受け入れてくれたマレーシアに心から感謝している。」

2026年W杯アジア3次予選に残っているパレスチナ代表は、第1節では韓国代表とアウェイで、そして続く第2節ではホームでヨルダン代表と対戦します。パレスチナとイスラエルとの紛争が続く中で、現在、パレスチナ代表は韓国戦に向けての合宿をマレーシアで行っています。第2節のヨルダン代表戦を中立地のマレーシアで行うこともあり、マレーシアが合宿地に選ばれたわけですが、冒頭の言葉は、マレーシアでの合宿に参加しているパレスチナ代表のMFモハメド・バシム・アハメド・ラシド(インドネシア1部プルセバヤ・スラバヤ)によるものです。

W杯初出場を目指すパレスチナ代表は、8月27日からKLフットボールスタジアムを使用した合宿を行っていますが、9月5日にソウルのW杯スタジアムで行われる韓国代表戦後には、マレーシアに戻って9月10日にヨルダン代表とこのKLフットボールスタジアムで対戦します。

イスラム教徒が多いマレーシアはパレスチナ支援の姿勢を表明し、アンワル・イブラヒム首相は先月末にイスラエルにより訪問先のイランのテヘランで暗殺されたイスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者とも会談しています。また国内ではイスラエルを支援しているとされる欧米企業に対する不買運動も起こっており、その影響を受けたケンタッキーフライドチキン(KFC)は100店舗以上を一時的に閉鎖、また数日前にはスターバックスのフランチャイズを運営する企業が今年6月までの通年決済では9000万リンギ(およそ30億円)の赤字に転落したことを発表、さらにマレーシア政府は対イスラエル直接投資を全会一致で閣議決定するなど徹底しています。

そういった親パレスチナの姿勢からFAMはパレスチナ代表に合宿に必要な施設の提供を申し出ていました。

マレーシアの隣国インドネシアのリーグでプレーする代表戦46試合出場経験があるモハメド・バシム選手は、マレーシア国内でパレスチナの人々との連帯を示す姿勢をこれまで何度も見てきたと話し、マレーシアは単なる「中立地」ではなく、多くのマレーシア人がパレスチナを支援していることから、マレーシアを「ホーム」としてW杯3次予選に臨みたいと、ニューストレイツタイムズの取材に対して話しています。

さらに29歳のモハメド・バシム選手は、チームとして初となるW杯アジア最終予選出場については様々な制約がある中でも周りを驚かせるような結果を出したいとも話しています。

パレスチナは、韓国、ヨルダン、イラク、オマーン、クウェートと同じ予選B組に入っています。今回の予選ではA組からC組までの上位2チームがアメリカ、カナダ、メキシコが共同開催する2026年W杯の出場権を獲得し、各組3位と4地のチームは残る2枠をかけて4次予選で対戦します。

マレーシア代表の医療チームに元バルサのチームドクターと理学療法士が加わる

マレーシア代表の医療チームに元FCバルセロナのスタッフが加わったことをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

今日のニュースでも取り上げたように、先月7月にキム・パンゴン代表監督が辞任し、その後任にはパウ・マルティ コーチが監督代行に就任し、来月9月4日に開幕するムルデカ大会では指揮を取ることになっています。

そんな中、かつてはFCバルセロナのU18のコーチでもあったマルティ監督代行との縁があったのかも知れませんが、マレーシアサッカー協会(FAM)は、バルセロナのトップチームで豊富な経験を持つザビエル・バジェ医師と、エドゥ・マルティネス理学療法士が医療チームに参加することを発表しています。

2021/22シーズンから昨季2023/24シーズンまでバルセロナのトップチームの医師を務めたバジェ氏は、マレーシア代表のコンサルティングドクターとして、代表チームの医療スタッフと密接に協力し、専門知識や指導を提供するということです。。

また、バルセロナででは過去12年間にわたり理学療法士として勤務し、2022年12月から2024年6月までトップチームの理学療法士を務めたマルティネスも既にマレーシア入りしており、代表チームでの仕事に取り掛かっているということです。

8月29日のニュース・ACLとの衝突を避けるために年末のアセアン選手権の日程が変更に・代表とクラブがマッチアップ:シンガポール代表は9月のFIFAデイズでマレーシア王者ジョホールなどと対戦・FAカップ決勝でジョホールに削られ続けたアギャルカワが長期離脱へ・AFC女子チャンピオンズリーグ:サバは初戦引き分け

ACLとの衝突を避けるために年末のアセアン選手権の日程が変更に

東南アジアサッカー連盟(AFF)は、今年11月に開幕予定だった東南アジアサッカー連盟選手権「三菱電機カップ」について、その日程を一部変更することを発表しています。AFF選手権は隔年で開催される東南アジアNo. 1を決める大会で、当初は11月23日から12月21日の決勝までの日程が発表されていました。

AFFは声明の中で、「複数の加盟協会からの提案を受け、大会での各国代表チームの最適な強さとパフォーマンスを確保するため」として、大会本戦の日程が11月23日から12月21日ではなく、12月8日から1月5日に変更されることを発表ししています。

当初発表された日程がアジアサッカー連盟(AFC)主催のACLエリートとACL2のいずれも第5節と第6節と重なっていたため、ACLを優先し、この大会に東南アジア各国代表の主力選手が揃わないことが心配されていました。

11月26日から27日に第5節が、12月3日から4日に第6節が行われるACLエリートには、東南アジアからはマレーシアスーパーリーグの優勝チーム、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と、タイリーグ1のチャンピオン、ブリーラム・ユナイテッドが出場します。

また11月26日から28日に第5節、12月3日から5日に第6節が開催されるACL2には、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールのクラブが出場します。

なお三菱電機カップに出場する各国の内、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイ、東ティモールのクラブはAFCが今季新設したACL3番目のリーグであるAFCチャレンジリーグに出場しますが、その日程は三菱電機カップとは重ならないため、ブルネイと東ティモールが出場する10月5日から15日までの本戦出場をかけた予選の日程は変更されません。

その一方で、この三菱電機カップが開催される期間はFIFA国際マッチカレンダー外となっていることから、各国のクラブは選手をこの大会に出場する代表の招集に応じる義務はなく、今回の日程調整を行ってもなお、各国代表チームの主力選手が出場しない可能性も残ります。実際に前回2022年の大会では、マレーシアでは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が主力選手の代表招集を拒否しています。

また、12月8日の開幕戦直前に代表チームが合宿を行う場合も、ACLエリートやACL2の第6節と重なるため、ここでも代表選手の招集に問題が生じる可能性があります。さらにAFFが今季から新設したのASEANクラブ選手権「ショッピーカップ」のグループステージの第3節は、三菱電機カップ決勝の3日後である1月8日に予定されており、AFF自身が生み出した過密日程による影響が現れる可能性もあります。

代表とクラブがマッチアップ:シンガポール代表は9月のFIFAデイズでマレーシア王者ジョホールなどと対戦

シンガポールの英字紙ストレイツタイムズによると、9月2日から10日にかけてのFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)で、シンガポール代表はマレーシアリーグの昨季王者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と自然試合を行うということです。

日本代表のコーチやJリーグ大宮や千葉、川崎などのコーチなども務めた小倉勉氏が今年2月1日に監督に就任したシンガポール代表は、適切な対戦相手が見つからなかったことなどを理由に、9月のFIFAデイズでは国際試合を行わないことになりました。

その代わりに、9月6日と7日にマレーシアスーパーリーグ(MSL)で昨季まで10連覇中のJDT、そしてシンガポール1部のプレミアリーグのBGタンピネス・ローバーズと対戦し、さらに10月のFIFAデイズ(10月7日から15日まで)では日本に遠征し、J1リーグのチームと3試合の親善試合を行うということです。なお、9月の親善試合はいずれも非公開で行われるということです。

また今年年末に開催される東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」に向けては、11月のFIFAデイズでは11月15日にミャンマーと、11月19日には台湾といずれもシンガポール代表のホーム、シンガポール国立競技場で対戦することも発表されています。

9月と10月のFIFAデイズでは国際親善試合を行わないことが発表された席上にいた小倉シンガポール代表監督は、9月には新しい選手を招集して試し、10月には日本での試合間の移動の厳しさに慣れさせ、11月には国際親善試合を行って、これら3回のFIFAデイズを使ってチームのプレー強度を徐々に高めていくと述べています。なお、2月に就任した小倉監督はW杯予選では0勝3敗1引分という記録を残しています。

なおシンガポールが国際親善試合を行わない9月のFIFAデイズで、マレーシアは、フィリピン、タジキスタン、レバノンを招いてムルデカ大会を、またベトナムはタイとロシアを招いて3カ国対抗戦を行います。

FAカップ決勝でジョホールに削られ続けたアギャルカワが長期離脱へ

8月24日に行われたマレーシアFAカップ決勝では、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に何度も削られて倒れる場面があったスランゴールFCのMFアレクサンダー・アギャルカワは、前半終了間際の44分という異例の時間帯に交代していましたが、精密検査の結果、ケガの状況は深刻さから数ヶ月間はチームを離脱することが明らかになっています。

スランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOが明らかにしたところによると、ガーナ出身のアギャルカワ選手は、ケガの完治のために安静1ヶ月、さらリハビリと試合出場のためのフィットネスレベルに戻すため少なくとも2ヶ月は必要になるだろうということです。

アギャルカワ選手は試合後に診察を受け、その際のレントゲン写真を自身のSNSに写真のみを投稿しましたが、そこには骨の一部に明らかな亀裂が写っていたことから亀裂骨折、あるいは骨折の疑いが浮上し、サポーターからは心配する声が上がっていました。

FAカップ決勝ではボランチとして出場したアギャルカワ選手が0-2のビハインドとなった前半で退くと、アギャルカワ選手に代えてFWのレジク・バニハニを起用したニザム・ジャミル監督の采配も疑問ではありましたが、後半はスランゴールの連携は明らかに悪くなり、結果的に後半だけでJDTに4失点し、最終的には1−6で敗れています。

来月には8年ぶりのアジアの舞台となるACL2でムアントン・ユナイテッド(タイ)との対戦も控えるスランゴールにとって、今季開幕前の酸攻撃で欠場していたファイサル・ハリムが復帰しチームに勢いがついていた中で、アギャルカワ選手の長期離脱は大きな痛手になりそうです。

AFC女子チャンピオンズリーグ予選:サバは初戦引き分け

第1回となるAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)の予選ステージのC組がマレーシアのサバ州で開幕し、マレーシアから出場するサバFAは初戦でネパールのAPF FCと0-0の引き分けに終わっています。

2019年にAFC女子クラブ選手権として始まったこの大会は、今季2024/25シーズンからAFC女子チャンピオンズリーグと改編されています。今季から秋春制となったこの大会は、今季から2027/28シーズンまでの4季は、AFCに22加盟協会(FA)にそれぞれ1つの出場枠が与えられることになっています。また2028/29シーズンからは、大会出場国の決定はAFC女子クラブ競技ランキングに基づいて行われます。

今大会は今年3月のFIFA女子ランキングに基づいて上位8位までのFA(*実際にはランキング2位の北朝鮮が出場辞退したため、1位の日本以下、オーストラリア、中国、韓国、ベトナム、フィリピン、台湾、タイ)のクラブがグループステージに出場し、残る13FAのクラブはまず予選に出場し、そこからグループステージの残り4枠が決定されます。

予選ステージC組の集中開催地となったマレーシアからは2023年国内リーグで優勝したサバFAが出場し、PFCナサフ(ウズベキスタン)、APF FCとともにグループ1位に与えられる本戦出場枠を争います。

APF FCは、8月25日に行われたPFCナサフとの対戦で0−1と敗れており、敗退が決定しています。8月31日の最終戦で対戦するPFCナサフとサバFAは、その結果が引き分け以上であればPFCナサフがグループ1位となり、サバFAが予選を突破するためには勝利が必要となります。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第9節の結果とハイライト映像(2)・最下位のクランタンを破ったクチンシティが今季初の4位浮上

8月17日にクランタン・ダルル・ナイムFCのホーム、クランタン州コタ・バルのスルタン・ムハマド4世スタジアムで開催予定だったマレーシアスーパーリーグ第9節のクランタン・ダルル・ナイムFC対クチンシティFCの試合は、現在このスタジアムで排水設備の改修工事が行われていることから延期となり、この日クチンシティFCのホーム、サラワク州立スタジアムでの開催となりました。なおマレーシアスーパーリーグ(MSL)は今季から2シーズンかけて秋春制へ以降しますが、従来の春秋制ではシーズンオフとなっていた11月から2月にかけては、クランタン州を含むマレー半島東海岸がモンスーンの季節です。この時期のマレー半島東海岸は平均降水量が400mmから440mmとなり、豪雨や洪水のリスクが高まります。またレダン島やティオマン島と言った東海岸にある有名なリゾートの島へフェリーが運休、ホテルが閉鎖されることもあります。10月終了予定となっているクランタン・ダルル・ナイムFCのホームでの大規模な改修工事はこの時期の豪雨に備えてものとなっています。

最下位のクランタンを破ったクチンシティが今季初の4位浮上

MSL2024/25 第9節
2024年8月26日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 1-0 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️クチンシティ:ジョーダン・ミンター(37分)
🟨サバ(0)、🟨スランゴール(2)
MOM:カトゥル・アヌアル(クランタン・ダルル・ナイムFC)

この日の試合は5位クチンシティと最下位13位のクランタンの対戦でした。雨でピッチの状態が悪い中、試合開始から主導権を握りながらも得点がなかったクチンシティですが、37分に左サイドを上がったアミル・アムリ・サレーが相手DFをかわしてクロスを上げると、これをエースのジョーダン・ミンターがゴール正面で頭で合わせてゴール!ついにクチンシティが先制します。その後もクチンシティは好機を作るものの、クランタンのGKカトゥル・アヌアルが好セーブを連発して、前半は1−0で終了します。

後半はクランタンもペースを上げ、両チームが激しくせめぎあいますが、両チームのGKの奮闘もあり、いずれも得点を挙げることができず、試合はこのまま終了しています。敗れたクランタンのGKカトゥル・アヌアルがこの試合のMOMに選ばれていますが、彼の好セーブがなければ、クランタンの失点は1点では済まなかったでしょう。

今季2度目のトランスファーウィンドウが開いたこの日、クランタンはこの試合でもキャプテンを務めたパレスチナ代表MFオディ・ハロウブの兄でやはり代表でのプレー経験がある33歳のFWレイス・カロウブをシャバブ・アル=ダヒリヤ SC(パレスチナ)が加入し、早速、この試合でも先発しましたが、MSLのデビュー戦を飾ることはできませんでした。

この日の勝利で、クチンシティは今季3勝目を挙げるとともに、第9節を終えて無敗記録を6にまで伸ばしています。一方のクランタンはこの日の敗戦で5連敗となり、今季通算で8敗目となりました。

クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。


2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第9節途中)
順位チーム勝点
1JDT82271028424
2SEL9196121688
3TRE8154311394
4KCH91435113103
5SAB8134131213-1
6PDRM811323910-1
7PEN810242981
8*KDA88323812-4
9SRP87143712-5
10PRK762051013-3
11#KLC8532310100
12NSE84116819-11
13KDN93108419-15
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第9節途中)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT9
2ロニー・フェルナンデスSEL6
3ジョーダン・ミンターKCH5
4ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
パウロ・ジョズエKLC4
イフェダヨ・オルセグンPDRM4
6チェチェ・キプレ他4名KCH3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC

マレーシアFAカップ2024/25決勝-王者ジョホールがスランゴールを粉砕して大会3連覇達成-国内三冠へ向けてまず一冠

5月10日の今季開幕戦で対戦する予定だったジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とスランゴールFCは、5月5日に代表でもプレーするスランゴールFWファイサル・サリムが酸をかけられる事件が発生し、スランゴールが試合延期を求めるもリーグを主催するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)これを認めず、JDTの不戦勝となりました。このため、このFAカップ決勝が両チームの今季初対戦となりました。今季2024/25シーズンの第9節を終えて首位を独走するJDTと2位のスランゴールの対決は、JDT有利の下馬評でしたが、蓋を開けてみれば予想を遥かに超える強さを見せたJDTがスランゴールを完膚なきまでに叩き、全身のジョホールFA時代を含め、3季連続、通算5度目の優勝を果たしています。

2024年8月24日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
ジョホール・ダルル・タジムFC 6-1 セランゴールFC
⚽️ジョホール:フアン・ムニス3(26分、67分、90分)、アリフ・アイマン(42分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(62分)、ヘベルチ・フェルナンデス(76分)
⚽️スランゴール:アルヴィン・フォルテス(59分)
🟨ジョホール(2)、🟨スランゴール(4)
MOM:フアン・ムニス(ジョホール・ダルル・タジムFC)

大会3連覇を狙うジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とスランゴールFCの顔合わせとなったFAカップ決勝は、試合前日の記者会見から国内サッカーファンをざわつかせました。ニザム・ジャミル監督とキャプテンのサフワン・バハルディンが出席したスランゴールに対して、JDTからはエクトル・ビドリオ監督の代理としてホセ・ロペス コーチ、そしてキャプテンのジョルディ・アマトの代理として控え選手のジュニオール・エルドストールが出席しました。(実際の試合ではロペス コーチ、エルドストール選手ともベンチ入りはしませんでした。)

その記者会見でJDTのロペス コーチはメディアの質問に対して”I don’t know.”「私にはわからない」、”No comment”「何も話すことはない」を繰り返し、一方のエルドストール選手は試合に向けたチームの準備の状況を聞かれると、一言”Good”と答えた以外は、やはり”No comment”を繰り返すなどの「塩対応」を続けた結果、JDTの記者会見はわずか2分で終了し、終始和やかなムードで行われたスランゴールの記者会見とは対照的でした。JDTの記者会見については、「あまりにも礼を欠いている」、「もう二度と記者会見に来るな」と言った批判もSNS上に多く上がりました。

この試合の両チームの先発XIは以下の通り。JDTではキャプテンのインドネシア代表のキャプテン、ジョルディ・アマトやマレーシア代表DFラヴェル・コービン=オングがベンチ外、スランゴールは控えGKカイルルアズハン・カリドに代わり、今季ここまで公式戦出場がないGKアジム・アル=アミンをベンチ入りさせています。

しかし、ピッチ外で何を言われようと、ピッチ上での決着が全て、とばかりにJDTは試合開始からスランゴールに襲いかかります。そして試合が動いたのは26分でした。ジョホールがペナルティエリアの外、正面やや右でPKを得ると、フアン・ムニスの蹴ったボールはゴール右のポストとスランゴールGKサミュエル・サマーヴィルの間の狭いスペースを通ってゴールインし、JDTが1点をリードします。その後はアリフ・アイマンのヘディングシュートが決まり、2-0としてJDTは前半をリードして折り返します。

後半に入ると59分にアルヴィン・フォルテスがゴールを決めたスランゴールが1点差に迫り、試合が一気に白熱するかと思われた試合ですが、ここからJDTが一気にギアを上げてわずか3分後にベルグソン・ダ・シルヴァがゴールを決めると、試合は一気に一方的なものになってしまいます。67分にはこの試合2ゴール目をフアン・ムニスが決めると、76分にはヘベルチ・フェルナンデス、そしてとどめは90分にフアン・ムニスがハットトリック達成となるゴールを決めたJDTが大会最多ゴール新記録となる6ゴールを挙げてスランゴールに圧勝し、国内初となる3季連続の三冠達成に向けてまず一つ目のタイトルを獲得しています。

試合後の会見に応じたJDTのエクトル・ビドリオ監督は、一人一人の選手の技量の高さと、ディフェンスではリスクを冒しても積極的にボールを奪いにいく戦術が功を奏したと述べています。

「チームの哲学でもある攻撃的な姿勢を維持するためにはリスクを冒す必要があった。チームがボールを保持するため、守備では選手が1対1となる場面が多くなったが、日々の練習にしっかり取り組んでくれたおかげで個々の選手の技術が高まり、守備については「個」ではなくチームとして機能することができた。」と選手を称賛しています。

一方、大差で敗れた事に失望していると話したスランゴールのニザム・ジャミル監督は、この惨敗が多くのサポーターも失望させたことは理解していると話した上で、この試合で露呈した弱点を改善するためにさらに必要な努力をし、次の試合に繋げたいと話しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

*****

この試合はストリーミングで観戦しました。前半ではJDTの執拗なまでのセランゴールDMFアレクサンダー・アギャルカワ潰しが非常に効果的でした。豊富な運動量であちこちに姿を表し、中盤では相手の攻撃のリズムを遮り、またボールを持つとプレーを落ち着け、さらに攻撃の起点にもなれる役割が持ち味のアギャルカワ選手に対し、JDTは露骨なまでのファウルやファウルスレスレのプレーを仕掛け、アギャルカワ選手は何度も倒される場面がありましたが、結局、前半で交代しています。スランゴールのニザム・ジャミル監督もアギャルカワ選手の交代によって、チームの攻撃のリズムが崩れたことを認めています。

試合開始から高い位置でプレスをかけるJDTにとって、アギャルカワ選手は嫌な選手でしたが、そのアギャルカワ選手を徹底的に削ることで、前半の終盤からはJDTの攻撃の自由度が遥かに良くなりました。しかも後半に交代で入ったレジク・バニハニはFWでもあり、前線ではゴールに絡むプレーは見せたものの、スランゴールは自陣に押し込まれる場面が明らかに増えました。

またもう一つ気になったのは68分のGKサミュエル・サマーヴィルの交代でした。1-4と劣勢の中、ケガをしたわけでもないGKを貴重な交代カードを1枚切ってまで交代させたニザム監督の判断は、画面を見ながら「なぜ?」と思いました。そして、これについても当然、試合後の記者会見で質問が挙がりました。これについてジャミル監督はGKコーチとも相談した結果、サマヴィル選手に何かが起こり、その結果、集中力を失っていると判断し、サマヴィル選手を「守る」ために交代させたと説明しています。

JDTが3点目を入れた時点で交代を考えたと話したジャミル監督でしたが、リーグ戦での控えGKであるカイルルアズハン・カリドはベンチ外で、残っていたのはU23代表ながら、今季リーグ戦では出場が一度もない22歳のアジム・アル=アミンでした。アジム選手は20分の出場でさらに2失点を喫しました。

今シーズンをかけて、スランゴールがニザム監督を「育てる」覚悟ならそれも良いですが、今後のリーグ戦や来月開幕するACL2で結果を残すことを考えるのであれば、マレーシアリーグで経験のある監督を新たに採用するという選択肢もアリという気がした試合観戦でした。

8月23日のニュース・東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:トレンガヌはカンボジア王者に苦杯・KLシティはフィリピン王者に辛勝・ジョホール州がFAカップ決勝翌日を州の祝日とすることを発表

東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:トレンガヌはカンボジア王者に苦杯、KLシティはフィリピン王者に辛勝

2005年以来19年ぶりに再開されるアセアン東南アジアクラブ選手権(ACC)は、東南アジア最大のECサイトがスポンサーとなり「ショッピーカップ」とし第3回大会が開催されています。マレーシアからは昨季のマレーシアカップ準優勝チームのトレンガヌFCとFAカップ準優勝チームのKLシティFCが参加します。トレンガヌはグループステージのA組、KLシティはB組に入り、今週から始まった大会に臨んでいます。(試合のハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

トレンガヌはカンボジア王者に苦杯

2024年8月21日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 2-3 プリヤ・カーン・リーチ・スヴァイ・リエンFC
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(55分)、サファウィ・ラシド(90+1分PK)
⚽️スヴァイ・リエン:ガブリエル・シルヴァ(12分)、パブロ(16分)、ミン・ラタナック(86分)
🟨トレンガヌ(2)、🟨スヴァイ・リエン(3)

開幕戦で昨季のカンボジア1部リーグチャンピオンをホームに迎えたトレンガヌは、開始16分で立て続けにゴールを決められてリードを許すと、そのまま一度も追いつくことなく敗れています。

小田原貴、藤井亮の2名の日本人選手が先発したPKRスヴァイ・リエンは、12分にガブリエル・シルヴァのゴールで先制すると、その4分後には、FC琉球やカターレ富山でのプレー経験があるパブロがゴールを決めて、前半を2-0とリードして折り返します。

後半の55分にはマヌエル・オットのゴールでトレンガヌが1点差まで迫りますが、終了間際に失点して再び点差を広げられると、ロスタイムにサファウィ・ラシドのPKで1点を返すも時すでに遅く、トレンガヌが2−3で敗れています。
PKRスヴァイ・リエンの小田原貴選手はフル出場し、藤井亮選手は64分に交代しています。

A組の他の試合結果は、トレンガヌが次節第2節で対戦するタインホアFC(ベトナム)が3−1でシャン・ユナイテッド(ミャンマー)に勝利し、PSMマカッサル(インドネシア)対BGパトゥム・ユナイテッド(タイ)はスコアレスドローに終わっています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

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なお、この試合前にはトレンガヌのトミスラフ・シュタインブリュックナー監督がマレーシアの通信社ブルナマの取材に応え、自身が必要とされていないのであればチームをさる用意があると発言しています。

これまでトレンガヌがマレーシアスーパーリーグのトップチームの一つでいるために全力で関わってきたと話したシュタインブリュックナー監督は、他のプロクラブの監督同様、必要とされていなければ、いつでもチームを去ると話しています。

2022年にチームのテクニカルディレクターから転身し、今季が監督2シーズン目となるシュタインブリュックナー監督について、ジョホール・ダルル・タジムFCからローンで代表選手のサファウィ・ラシドやアキヤ・ラシドを獲得するなどチーム力が上がっていると考えられていることから、SNSを中心に不安定な戦いぶりを見せているチームの責任を問う声がトレンガヌサポーターから上がっており、FAカップ準決勝敗退に続き、このショッピーカップの敗戦で、その声はさらに大きくなりそうです。


東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:KLシティはフィリピン王者に辛勝

2024年8月22日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 1-0 カヤFCイロイロ
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム(12分)
🟨KLシティ(1)、🟨カヤFC(3)

カップ戦に強いKLシティが前半に挙げた1点を守り切り、3名の日本人選手を擁する昨季のフィリピン王者を破って開幕戦での勝利を挙げています。

来週のFIFA国際マッチカレンダーで開催されるムルデカ大会に出場するマレーシア代表にはチーム最年少の21歳で招集されているFWハキミ・アジムがこの試合でも躍動し、12分には左サイドを上がったパウロ・ジョズエからのクロスをファーサイドで受けるとこれを落ち着いて決めると、これがこの試合唯一のゴールとなりました。

日本人の星出悠監督が指揮を取るカヤFCイロイロは、先月7月14日に終了したフィリピン1部リーグを制して2連覇を果たした強豪ということで、マレーシアスーパーリーグでは中堅のKLシティに対してどのような試合を見せてくれるのかを楽しみに現地観戦しました。

左ウィングに駒木秀人、MFには東南アジアでのプレー経験が豊富な山崎海秀、そして最終ラインの要に斎藤彰人の日本人3選手を要するカヤFCイロイロは、この試合ではボールの保持率は高かったもの、試合前から降り続く雨で滑りやすくなったピッチのせいもあったのか、決定機を作ることがほとんどありませんでした。

いわゆるボックストゥボックスタイプのMF山崎選手の運動量は素晴らしかったですが、昨季のフィリピンリーグでは11試合で10ゴール8アシストという記録を残した駒木選手も自陣に戻って守備をする機会も多く、ウィング的な活躍の機会がほとんどありませんでした。素人目では、KLシティ守備陣が戦術的に崩される場面がほとんどなく、ゴール前などでつまらないミスをしない限りは失点しそうな気配も正直ありませんでした。もしかしたらカヤFC色々にとっては、シーズン終了後の疲労が溜まっていた時期のいわば「罰ゲーム」的な大会になってしまっていたのかもしれません。
カヤFCイロイロの駒木秀人、山崎海舟、斎藤彰人の3選手はこの試合でフル出場しています。

B組の他の試合は、ハノイ公安FC(ベトナム)が対1部リーグ3連覇中のブリーラム・ユナイテッドに2-1と勝利し、KLシティが来月9月の第2節に対戦するボルネオFCサマリンダ(インドネシア)がライオン・シティ・セイラーズ(シンガポール)に3-0と圧勝しています。なおグループステージでは各組の上位2チームが来年4月にホームアンドアウェイ方式で行われる準決勝に進出します。

しかし、ACLエリートにも出場するブリーラム・ユナイテッドがこの大会にも出場しているのはちょっと驚きです。

ジョホール州がFAカップ決勝翌日を州の祝日とすることを発表

明日8月24日には今季の初タイトルマッチとなるFAカップ決勝が開催され、大会3連覇を目指すジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と、最後に優勝した2009年以来の決勝進出を果たしたスランゴールFCが対戦します。このFAカップ決勝を前に、ジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ州首相は、決勝翌日の8月25日を州の祝日とすることを発表しています。

8月25日を祝日とする理由として、FAカップ決勝に進出を果たしたJDTを応援するジョホール州民に対する感謝の気持ちの表明であると説明したオン・ハフィズ州首相は、今回の州祝日は、父君のスルタン・イブラヒム殿下がマレーシア国王を務めている間はジョホール州摂政となっているトゥンク・イスマイル殿下の了承を得た上での発表であるとしています。なお、トゥンク・イスマイル殿下はJDTのオーナーでもあります。

オン・ハフィズ州首相は、ジョホール州民に向けて400km以上離れたクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されるマレーシアFAカップ決勝に足を運んで「12番目の選手」としてJDTを応援して欲しいと話しています。

2012年2月16日にジョホール州サッカー協会の会長にトゥンク・イスマイル殿下が就任して以来、ジョホール州のサッカーは成功へ向かって大きな変革を進めているとし、2013年のJDT創設がこの変革の中心になっていると説明しています。さらに現在のリーグ10連覇を含めたこれ以降のJDTの素晴らしい成績はジョホール州民の誇りであるとも述べています。

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日本に例えれば、ヴィッセル神戸が天皇杯決勝に進出するので、兵庫県知事が急遽、天皇杯決勝翌日を県民の日に制定するので、兵庫県民に国立競技場まで応援に行ってください!と言っているような内容です。まぁこれが罷り通るのがマレーシアだとも言えますが、これはJDTがFAカップ決勝でスランゴールを破るだろうという自信の表れでもあると言えます。実際に過去8シーズンはリーグ戦、カップ戦問わずスランゴールはJDTを破った経験がなく、この自身は根拠がないものではありませんが、今回は「ファイサル・ハリム」という要素がスランゴールのモチベーションにどのくらい火をつけるかで、この根拠すらひっくり返す可能性もあります。

8月22日のニュース・ムルデカ大会に向けた代表候補合宿参加の26名が発表に・今季2度目のトランスファーウィンドウでスランゴールはヨルダン代表FWを獲得へ・サバにはベトナムリーグからブラジル出身FWが加入・トレンガヌはタイリーグの経験豊富なエルサルバドル代表FW獲得

今週末は国内リーグのマレーシアスーパーリーグ(MSL)はありませんが、東南アジアクラブ選手権ショッピーカップ、そして今季1つ目の国内タイトルとなるFAカップ決勝が開催されます。また来週月曜日8月26日には今季2度目のトランスファーウィンドウが開くなど、いくつかのクラブに動きがありそうです。

ムルデカ大会に向けた代表候補合宿参加の26名が発表に

マレーシアサッカー協会(FAM)は公式サイトで来週8月29日から始まる代表候補合宿に参加する代表候補26名を発表しています。今回の代表候補合宿は先月、突然辞任したキム・バンゴン監督に代わってポー・マルティ監督代行が行う初めての合宿で、来月9月4日に開幕する第43回ムルデカ大会に向けた合宿となります。

今回の合宿参加者の顔ぶれですが、キム前監督が指揮を取った6月のW杯アジア2次予選、キルギス戦と台湾戦のメンバー26名からは18名が残り、GKシーハン・ハズミ、MFアフィク・ファザイル、FWアリフ・アイマン、FWロメル・モラレス(以上ジョホール・ダルル・タジムFC)、DFハリス・ハイカル(スランゴールFC)、DFアザム・アズミ(トレンガヌFC)、FWダレン・ロック(サバFC)、FWシャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)の8名が復帰しています。

ポー・マルティ監督代行が率いるマレーシアは、ムルデカ大会では、9月4日の準決勝ではフィリピンと対戦し、勝てばもう一つの準決勝、レバノン対タジキスタン戦の勝者と決勝で、また敗れれば同じ試合の敗者と3位決定戦を戦います。

2024年8月開催代表候補合宿参加メンバー
P氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ28JDT
アズリ・ガニ25KLC
アラムラー・アル=ハフィズ29KDA
DFマシュー・デイヴィーズ29JDT
フェロズ・バハルディン24JDT
ラヴェル・コービン=オング33JDT
サフワン・マズラン22TRE
アザム・アズミ23TRE
ドミニク・タン27SAB
ダニエル・ティン32SAB
ハリス・ハイカル22SEL
ディオン・コールズ28BUR
MFアフィク・ファザイル30JDT
ザフリ・ヤーヤ30KLC
ノーア・レイン22SEL
シャミル・クティ27PEN
エンドリック・ドス・サントス29HOM
FWアリフ・アイマン22JDT
ロメル・モラレス27JDT
サファウィ・ラシド27TRE
アキヤ・ラシド25TRE
パウロ・ジョズエ35KLC
ハキミ・アジム21KLC
ダレン・ロック34SAB
シャフィク・アフマド29KDA
アディブ・ラオプ25PEN
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC、SAB-サバFC
TREートレンガヌFC、KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC。PEN-ペナンFC
BUR-タイ1部ブリーラム・ユナイテッドFC、HCM-ベトナム1部ホーチミン・シティFC
今季2度目のトランスファーウィンドウでスランゴールはヨルダン代表FWを獲得か

国内複数のサッカー系メディアは、現在MSL2位のスランゴールFCがヨルダン代表FWのヤザン・アル=ナイマットの獲得を狙っていると報じています。なおスランゴールFCには既にヨルダン代表のMFノー・アル=ラワブデ、ヨルダンU23代表のFWレジク・バニハニが在籍しています。また今回のトランスファーウィンドウでやはりヨルダン代表のFWアリ・オルワンをカタール1部のアル・シャマルSCから加入することを発表しており、このヤザン選手を実際に獲得することになれば、この「ヨルダン・コネクション」がさらに強化されることになりそうです。なお、昨季まではこの他にヨルダン代表DFヤザン・アル=アラブ(現在は韓国1部FCソウル)も所属していましたが、試合中の判定に不服だったことで審判を「蹴って」しまい無期限の出場停止処分を受けて退団しています。)

25歳のヤザン選手は、今年1月AFCアジアカップで準優勝したヨルダン代表で主力選手として活躍し、グループステージの韓国戦でゴールを挙げると、ベスト16のイラク戦、準決勝で再び対戦した韓国戦、そして決勝のカタール戦でも得点し、7試合で4ゴール3アシストの記録を残しています。

このヤザン選手は、カタール1部で3シーズンプレーし、47試合で15ゴール14アシストの記録を残していますが、最後に所属していたカタール1部の強豪アル・アハリSCを8月11日に退団しています。

今季国内リーグでは9試合で16ゴールと、首位のジョホールの8試合で28ゴールと比べると火力がやや心許ないところもあることから、このヤザン選手に是非とも加入してもらいたいところです。またスランゴールFCは来月開幕するACL2にも出場しますが、同組には韓国の全北現代、タイのムアントン・ユナイテッド、フィリピンのセブFCなど強豪もいることから、積極的な補強が期待されます。

サバにはベトナムリーグからブラジル出身FWが加入

現在リーグ4位のサバFCはブラジル出身FWジョアン・ペドロ・ボイエア・ドゥアルテの加入を発表しています。24歳のジョアン・ペドロ選手は昨季はベトナム1部のベトテルFCでプレーし、12試合で2ゴールという成績を残しています。

リーグ中断前の直近の3試合では4得点7失点、今季通算でも8試合で12得点13失点という成績のサバは、昨季9ゴールを挙げたラモン・マチャド(アゼルバイジャン1部アラズ・ナクチヴァンへ移籍)との契約を先月解除し、さらに5月25日に行なわれたMSL第4節クチンシティFC戦以降ベンチ入りすらしていない前インドネシア代表FWサディル・ラムダニにも退団や移籍の噂もあり、頼りになるのはマレーシア代表FWダレン・ロック1人という状況です。

サバのオン・キムスイ監督は、ジョアン・ペドロ選手がチーム合流後すぐにでもその影響が出ると良いと話す一方で、サポーターにはこのジョアン・ペドロ選手が昨季とチーム得点王だったラモン選手は違うタイプの選手であり、単純に両者を比較しないで欲しいいと話しています。

さらにオン監督は次節第10節のホーム開催のトレンガヌ戦(9月15日)までにはチームのプレースタイルなどに適応させたいと話しています。

トレンガヌはタイリーグの経験豊富なエルサルバドル代表FW獲得

昨季は11ゴールを挙げたトレンガヌFCのチーム得点王のイヴァン・マムートは開幕前のプレシーズンマッチで踵を痛め、その後は治療と回復が長引き、今季はここまで出場がなく、現在は手術を受けるためにフィンランドに滞在中です。現在4勝3分1敗でリーグ3位ではあるものの、昨季は26試合で45ゴールを挙げた攻撃陣がり今季は8試合で13ゴールとエース不在の影響が表れています。そんな得点力不足に悩むトレンガヌFCですが、クラブ公式SNSでエルサルバドル代表FWで33歳のネルソン・ボニーヤの加入を発表しています。

ルーマニアやポルトガル、アゼルバイジャンやトルコなどでもプレー経験があるボニーヤ選手は。タイ1部では合計6シーズン在籍し、ポートFCやバンコク・ユナイテッド、チェンライ・ユナイテッドなどでプレーした他、昨季はスコータイFCで25試合に出場して8ゴール5アシストという記録を残しています

ボニーヤ選手加入を報じたマレーシア語紙マジョリティは、ボニーヤ選手はマレーシアでは知られていないものの、タイリーグで138試合で117ゴールを挙げ、ジョホール・ダルル・タジムFCでもプレーしたジオゴに匹敵するレベルの選手であるとしています。なおボニーヤ選手は、タイ1部でプレーした6シーズンで130試合に出場して65ゴールを挙げています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ<br>第9節の結果とハイライト映像(1)・サバとの上位対決を制したスランゴールが引き分けを挟み3連勝・KLシティに快勝のPDRMは2連勝で6位浮上

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第9節が8月13日から8月17日にかけて開催されています。今節はペラFC対ジョホール・ダルル・タジムFC戦が豪雨によるピッチ悪化で順延となり、クランタン・ダルル・ナイムFC対クチンシティFC戦は試合会場の廃数位設備の改修が終了していないことを理由にやはり順延されています。

なお今季のMSLは13チームで編成されており、第9節はペナンFCの試合はありません。また次節第10節は、9月2日から10日までのFIFA国際マッチデーに開催されるムルデカ大会を挟んで9月13日(金)から15日(日)に予定されています。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。

サバとの上位対決を制したスランゴールが引き分けを挟み3連勝

MSL2024/25 第9節
2024年8月13日@リカス・スタジアム(サバ州イスカンダル・プテリ)
サバFC 1-2 スランゴールFC
⚽️サバ:サフワン・バハルディン(27分OG)
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(31分)、ハリス・ハイカル(87分)
🟨サバ(0)、🟨スランゴール(2)
MOM:ラウィルソン・バトゥイル(サバFC)

リーグ2位のスランゴールは同4位のサバに逆転勝ちしています。

前半の27分にサバFWダレン・ロックのシュートをブロックに行ったサフワン・バハルディンがシュートは防いだものの、身体に当たったボールがゴールに転がり込んでオウンゴールとなり、サバが先制します。しかしその4分後には、サバDFのパスミスからヨハンドリ・オロスコがボールを奪うと、ゴール前のロニー・フェルナンデスへパス。ここまでの8試合で5ゴールを挙げているロニー・フェルナンデスがこのパスをゴールし、スランゴールが同点に追いつきます。

1-1で折り返した後半は、両チームとも得点できない中、残り時間5分を切ったところで、スランゴールがコーナーキックを得ます。ヨハンドリ・オロスコからのボールをロニー・フェルナンデスが頭で合わせますが、これをサバGKカイルル・ファーミが反応よくブロックするも、補給しきれなかったボールをハリス・ハイカルが押し込みゴール!これが決勝点となり、スランゴールが2−1で勝利しています。


トレンガヌはロスタイムのゴールで痛恨の引き分け。一方のスリ・パハンは7試合勝利なし

MSL2024/25 第9節
2024年8月16日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 1-1 スリ・パハンFC
⚽️トレンガヌ:ヌリーロ・トゥクタシノフ(45+2分)
⚽️スリ・パハン:ステファノ・ブルンド(90+3分)
🟨トレンガヌ(0)、🟨スリ・パハン(2)
MOM:スハイミ・フシン(トレンガヌFC)

今季開幕戦での勝利以降、3分3杯と勝星のないスリ・パハンは、アウェイのこの試合ではトレンガヌとがっぷり四つに組み合い、先制をを許したものの、後半ロスタイムにキャプテンのステファノ・ブルンドが同点ゴールを決めて、引き分けに持ち込んでいます。

キックオフから試合を優勢に進めたのはスリ・パハンでした。32分にはミコラ・アハポフ、43分にステファノ・ブルンドがシュートを放つも、2試合ぶりに先発に復帰したトレンガヌGKスハイミ・フシンがいずれもファインセーブでゴールを許しません。そして前半終了間際にヌリロ・トゥクタシノフがペナルティエリアの外から放ったシュートが決まり、ついにトレンガヌが先制します。

後半に入るとトレンガヌがペースを上げ、このまま逃げ切るかに見えた90+3分に、スリ・パハンがコーナーキックを得ると、そのボールをファーサイドのブルンド選手が頭で合わせてゴールを決め、土壇場で引き分けに持ち込んでいます。


KLシティに快勝のPDRMは2連勝で6位浮上

MSL2024/25 第9節
2024年8月16日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 2-1 KLシティFC
⚽️PDRM:イフェダヨ・オルセグン(9分)、ファディ・アワド(65分)
⚽️KLシティ:ジョヴァン・モティカ(51分)
🟨PDRM(3)、🟨KLシティ(2)、🟥PDRM(1):サフィー・アフマド
MOM:ファディ・アワド(PDRM FC)

試合前の大雨によりステップを踏むだけで水飛沫が上がるピッチコンディションの中で行われた試合は、過去2節でJDTと引き分け、ヌグリスンビランに勝利しているPDRMがこの試合でも先制します。開始9分に相手DFからボールを奪った鈴木ブルーノから出たパスをイフェダヨ・オルセグンが落ち着いてゴールを決め、PDRMがリードします。

PDRMが1-0のリードのまま前半を折り返すと、後半の51分にKLシティが追いつきます。右サイドでボールを受けたハキミ・アジムがゴール前へ低く速いクロスを送るとそれをジョヴァン・モティカがダイレクトで押し込みゴール。試合は振り出しに戻ります。65分には左サイドの鈴木ブルーノからのパスをファーサイドのファディ・アワドがこれまたダイレクトで蹴り込んで逆転ゴールを決めます。その後のPDRMは退場者を出して10名となったものの、KLシティの反撃に耐えたPDRMが連勝し、順位を1つ上げて6位に浮上しています。

この試合2アシストを記録したPDRM FCの鈴木ブルーノ選手は、先発してフル出場しています。

引き分けもヌグリスンビランは連敗を3で止める

MSL2024/25 第9節
2024年8月17日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 2-2 ヌグリスンビランFC
⚽️クダ:ソニー・ノルデ(53分)、クレイトン(62分)
⚽️ヌグリスンビラン:ジャック・フェイ2(45+1分、64分)
🟨クダ(3)、🟨ヌグリスンビラン(2)
MOM:ジャック・フェイ(ヌグリスンビラン FC)

クダ、ヌグリスンビランともにここまでの7試合で6得点と1試合あたりの平均得点が1点を下回る両チームの対戦は、前半終了間際のロスタイムに3連敗中のヌグリスンビランが右サイドでコーナーキックを得ます。佐々木匠のキックにジャック・フェイが頭でドンピシャで合わせてゴール。前半はヌグリスンビランが1−0とリードして終了します。

先制されたクダは後半開始から積極的なプレーを見せ、53分にはDF数人をドリブルでかわしてペナルティエリア近くまでボールを持ち込んだソニー・ノルデが放ったシュートが決まり、クダが追いつきます。さらにその9分後には、今度は供給役となったソニー・ノルデが左サイドからゴール前に上げたクロスをクレイトンが頭で落としてゴール。ホームのクダが遂にリードを奪います。

しかしその2分後に今度はクダDFラインの裏に抜け出したハイン・テット・アウンからのパスを再びジャック・フェイがゴールし、ヌグリスンビランが追いつくと、試合はそのまま終了。2-2の引き分けでともに順位の変動はありませんでした。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第9節途中)
順位チーム勝点
1JDT82271028424
2SEL9196121688
3TRE8154311394
4SAB8134131213-1
5KCH81125112102
6PDRM811323910-1
7PEN810242981
8*KDA88323812-4
9SRP87143712-5
10PRK762051013-3
11#KLC8532310100
12NSE84116819-11
13KDN83107418-14
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第9節途中)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT9
2ロニー・フェルナンデスSEL6
3ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
パウロ・ジョズエKLC4
ジョーダン・ミンターKCH4
イフェダヨ・オルセグンPDRM4
6チェチェ・キプレ他4KCH3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC

8月18日のニュース・ACLエリートのリーグ戦組合せが決定:ジョホールは前マレーシア代表監督率いる蔚山HDとの対戦も・ACL2のグループ組み合わせが決定:スランゴールは韓国の強豪、全北現代と同組に・多くのクラブは財政難で今月のトランスファーウィンドウでは戦力増強見送りか

今季から大きく改編されるACLエリートとACL2の組み合わせ抽選が行われました。ボラセパマレーシアJP的には、マレーシアからACLエリートに出場するジョホール・ダルル・タジムFC、ACL2に出場するスランゴールFCは、いずれもリーグ戦とグループステージではJリーグクラブとの対戦とはならなかったのは少々残念です。特にACLエリートでは、日本以外の全ての国のクラブとは対戦するのに、3チームも出場している日本のクラブとはなぜか対戦がありません…。

ACLエリートのリーグ戦組合せが決定:ジョホールは前マレーシア代表監督率いる蔚山HDとの対戦も

2024/25シーズンのACLエリートのリーグ戦組み合わせ抽選が行われ、マレーシアから出場するジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、韓国リーグ王者の蔚山HDなどの対戦が決まっています。

8月16日にマレーシアにアジアサッカー連盟(AFC)の本部があることから、クアラ・ルンプールのインターコンチネンタルホテルで行われた組み合わせ抽選の結果、JDTはホームでの4試合の相手が蔚山HD、浦項スティーラーズ(いずれも韓国)、上海申花(中国)、ブリーラム・ユナイテッド(タイ)、アウェイでの4試合の相手が光州FC(韓国)、山東泰山(中国)、ポートFC(タイ)、セントラルコーストマリナーズ(オーストラリア)に決定しています。

この8試合の内、マレーシア国内で注目が集まっているのはJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで開催される蔚山HDとの対戦です。この試合が昨季の韓国1部リーグのチャンピオンとの対戦という好カードであることに加え、蔚山HDの監督が、先月7月16日にマレーシア代表監督を辞任したばかりのキム・パンゴン(金判坤氏であることが、関心を集めている理由です。

2022年1月にマレーシア代表監督に就任したキム氏は、昨年2023年11月に契約を更新し、AFCアジアカップ2027予選を終える2025年12月までマレーシア代表監督を務めるはずでしたが、個人的事情を理由に7月16日に突然辞任すると、ホン・ミョンボ(洪明甫)氏が韓国代表監督に就任したことにより空席となった蔚山HDの監督に7月28日に就任したことが発表されました。

マレーシアリーグ10連覇中のJDTと、韓国1部Kリーグ1で2連覇中で昨季までの蔚山現代からクラブ名を変更した蔚山HDはいずれも、ACLから改編されたACLエリートに出場することが決まっており、多くのマレーシア代表選手を抱えるJDTとかつての代表監督との対戦をマレーシアサッカーファンは期待していましたが、それが実現した形になります。

またJDTはタイ1部のタイリーグ1を3連覇中のブリーラム・ユナイテッドとも対戦しますが、このブリーラムにはマレーシア代表のDFディオン・コールズが在籍しており、こちらのカードもマレーシア代表サポーターにとっては注目の試合となります。

ACL2のグループ組み合わせが決定:スランゴールは韓国の強豪、全北現代と同組に

AFCカップから改編されたACL2の組み合わせ抽選も8月16日にクアラ・ルンプールのインターコンチネンタルホテルで行われ、マレーシアから出場するスランゴールFCは東地区H組に入り、韓国1部の強豪、全北現代モーターズ、ムアントン・ユナイテッド(タイ)、ダイナミック・ハーブ・セブFC(フィリピン)と同組となっています。

韓国リーグでは優勝回数最多の9回を誇り、本家のACLでは2006年と2016年の2度優勝している全北現代モーターズは、おそらくH組では頭ひとつ抜けた存在です。各組の上位2位がノックアウトステージ進出となることから、スランゴール、ムアントン・ユナイテッド、セブFCの3チームが9月17日に第1節が行われるグループステージでH組2位をかけて争うことになりそうです。

多くのクラブは財政難で今月のトランスファーウィンドウでは戦力増強見送りか

マレーシア1部のマレーシアスーパーリーグ(MSL)では、今月8月26日から9月22日にかけて今年2度目のトランスファーウィンドウが開きます。リーグ首位のジョホール・ダルル・タジムFCはこのトランスファーウィンドウに先立ち、来月開幕するACLエリートに向けて、既に複数の選手の獲得を発表しています。

しかし、その一方で今季のMSLでは、クダ・ダルル・アマンFC(JDT)が選手への給料未払いで勝点3を、またKLシティFCは給料未払いに加えて、クラブライセンス申請の際に税金滞納を隠す書類の改ざんを行なったことで勝点6をそれぞれ剥奪される処分を受けています。またこの両クラブ以外にも給料未払いの問題を抱えるクラブはサバFCなど複数あるとされています。そしてこの状況下では、今回のトランスファーウィンドウでも多くのMSLクラブが新規外国籍選手を積極的に獲得する動きは見せないだろうと、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

JDTは既に、タイ1部ラーチャブリーFCから韓国出身DFパク・ジュンホン(朴俊炯)、フランス出身のFWエンツォ・ロンバルド(スペイン2部SDウェスカから加入)、スペイン生まれでスペイン1部と2部もプレー経験があるアゼルバイジャン代表DMFエディ・イスラフィロフ(アゼルバイジャン1部ネフチ・バクーから加入)、スペイン出身のDMFイケル・ウンダバレナ(スペイン2部CDレガネスから加入)、そしてスペインとマレーシア両方の国籍を持つ18歳のGKクリスチャン・アバド(スペイン2部エルチェCF U19から加入)と5名の選手の加入を発表していますが、他のクラブでは、現在リーグ2位のスランゴールFCがヨルダン代表FWアリ・オルワン(カタール1部アル・シャマルSCより加入)の獲得を発表したくらいしかありません。

マレーシア国内で代理人業務を行うアクション・フットボール・アジア社のエフェンディ・ジャガン・アブドラ代表は、ニューストレイトタイムズの取材に対して、現在、マレーシア国内の多くのクラブは、新規の外国籍選手を獲得する際に発生する少なくとも3万から4万リンギ(1リンギはおよそ33円)の給料に加えて、1ヶ月分の給料にあたるサイニングフィー、代理人の手数料、マレーシアまでの航空券や、マレーシアでの住宅費など諸々の費用を支払う余裕がないと話しています。さらに新たな選手を獲得する際に、既存の選手との契約を打ち切るとなれば、最低でも給料3ヶ月分の補償金の支払いも必要になることから、今回のトランスファーウィンドウは静かなものになると予想していると話しています。

20年以上に渡り代理人業務を行なっているエフェンディ氏は、プレシーズンマッチなどで獲得候補の選手の実力を見極める時間があるシーズン前のトランスファーウィンドウと比べると、そういった時間を取ることができないシーズン途中のトランスファーウィンドウでいわゆる「はずれ」の選手を獲得するリスクがあることにも言及しています。

「シーズン中のトランスファーウィンドウでは、チームの弱点を補い、期待に応えられるような良い選手を撮らねばならないが、そのためには事前の情報収集が欠かせない。例えば実績がある選手であっても、長期間プレーしていない選手などは獲得してもリスクが大きい可能性がある」と述べたアフェンディ代表は、シーズン途中のトランスファーウィンドウが始まってから選手を探すようならば、むしろ選手獲得を検討しない方が良いとも述べてます。

8月16日のニュース・ACLのポット分けが発表:ACLE出場のジョホールはポット1、ACL2出場のスランゴールはポット2へ・エンドリックが自身のSNSでジョホールからの移籍を明らかに・クランタンは元今治FCのバルデマール・ティーとの契約を解除

ACLのポット分けが発表:ACLE出場のジョホールはポット1へ、ACL2出場のスランゴールはポット2へ

アジアサッカー連盟(AFC)は今季2024/25シーズンから、ACLをACLエリート(ACLE)へ、それに次ぐAFCカップをACL2へとそれぞれ改変し、さらに3番目のカテゴリーとしてAFCチャレンジリーグ(ACGL)を新設しています。この3大会についての組み合わせ抽選は今週金曜日8月17日に行われますが、それに先立ってポット分けが発表されています。

ACLEへマレーシアからは国内リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が出場しますが、JDTはと同じヴィッセル神戸、蔚山現代(韓国)、上海海港(中国)、 ブリーラム・ユナイテッド(タイ)、 セントラル・コースト・マリナーズ(オーストラリア)東地区ポット1に入っています。

またACL2には現在、国内リーグ2位のスランゴールFCが出場しますが、ポートFC(タイ)、 シドニーFC(オーストラリア)、ナムディンFC(ベトナム)と同じ東地区ポット2に入っています。なおACGLへのマレーシアからの出場はありません。

ACLEの組合せ抽選会では、東地区ポット1の6チームにD1、D2、E1、E2、F1、F2のいずれかに、また東地区ポット2の6チームはD3、D4、E3、E4、F3、F4のいずれかに入り、各チームは異なるアルファベットの8チームと対戦します。なお、抽選では同じ国のチーム同士は対戦しないような配慮しながら、それぞれ地区内のチームとホーム4試合、アウェイ4試合の合計8試合を実施し、上位8チームが決勝トーナメントに進出します。なおACLEの第1節は9月16日から18日にかけて行われます。

エンドリックが自身のSNSでジョホールからの移籍を明らかに

マレーシアリーグで5年以上プレーした後にマレーシア国籍を取得、マレーシア代表チームでもプレーするブラジル出身の帰化選手エンドリック・ドス・サントスは、ベトナム1部のホーチミン・シティFCへの移籍が濃厚とされていますが、所属するジョホール・ダルルFCを離れることを、自身のSNSで発表しています。

エンドリック選手は、2023年から所属するJDTのオーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イブラヒム殿下やチームメート、そしてJDTサポーターへ感謝の言葉を述べるとともに、今回はローン移籍であることから、再会を望んでいるという言葉でSNSへの投稿を締め括っています。また、この投稿にはベルグソン・ダ・シルヴァ、アリフ・アイマン、マシュー・デイヴィーズ、フランシスコ・ジェラルデスらJDTの選手たちも反応し、新天地での幸運を祈るメッセージを送っています。

今回の移籍についてJDTのアリスター・エドワーズCEOは、今回のローン移籍がエンドリック選手にとって有意義なものになり、将来はJDTにとっても良い結果をもたらすことを願っているというメッセージをクラブ公式SNSに投稿しています。

クランタンは元今治FCのバルデマール・ティーとの契約を解除

今季2024/25シーズンの第8節を終えて1勝7敗、得点4失点18で最下位の13位となっているクランタン・ダルル・ナイムFCは、ギニアビサウ出身で元今治FCのFWバルデマール・ティーとの契約解除をクラブ公式SNSで発表しています。

2022年1月に今治FCを退団後、いずれも中国の青島西海岸、延辺龍頂でプレーした後、今季からクランタンでプレーしていた26歳のティー選手は、リーグ戦8試合(7試合先発)、FAカップ1試合(1試合先発)と今季全ての試合に出場していますが、ゴールはありませんでした。なおクランタン退団後は、ティー選手はリビア1部のアル・タハディSC (ベンガジ)へ移籍しています。

クランタンは、今季、既にコンゴ民主共和国出身でU20などでプレー経験があるFWチャドラック・ムズング・ルコンベとの契約も解除しており、ティー選手はクランタンを退団する2人目の選手となっています。なおクランタンの経営陣は、今季ここまで1勝のチーム状況を打開するために大幅な選手の入れ替えを行うことを発表しています。

8月15日のニュース・Mリーグ最高価値のジャリルエリアスはジョホールからベレス・サルスフィエルドへローン移籍・ジョホールは元スペイン年代別代表MFイケル・ウンダバレナ・マルティネスを獲得・タイでプレーする代表コンビがいずれも今季開幕戦でゴールを決める・9月のFIFAデイズで「格下」のベトナム、タイと対戦するロシアを自国内のレジェンドが批判

Mリーグ最高価値のエリアスはジョホールからベレス・サルスフィエルドへローン移籍

英字紙スターは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に今季加入したばかりのシリア代表DFジャリル・エリアスが出身国アルゼンチンのべレス・サルスフィエルドへローン移籍すると報じています。契約はバイアウト条項付きで、ローン期間は6ヶ月ということです。

今季開幕前に同じアルゼンチンのサン・ロレンソから移籍したばかりのエリアス選手は、Transfermarktでは300万ユーロ(およそ4億8400万円)と評価されており、ポルトガルの年代別代表でプレー経験があるMFフランシスコ・ジェラウデスの200万ユーロ(およそ3億2300万円)、インドネシア代表でスペイン出身のDFジョルディ・アマトの80万ユーロ(およそ1億2900万円)を抑えて、チーム内では最高の価値がつけられている選手でした。

しかし28歳のエリアス選手は、チーム内では安定したプレーを見せる38歳のベテラン、ナチョ・インサ、そして23歳で英国1部ウォルバーハンプトンU23出身のホン・ワンに次ぐ3番手という評価で、今季は5月18日に行われたMSL第2節のヌグリスンビランFC戦に先発して69分間プレーしただけでした。

JDTはマレーシアU23代表でもプレーするのストライカーのファーガス・ティエニーをタイ2部のチョンブリーFCに既にローンしており、マレーシア代表のAMFエンドリック・ドス・サントスもベトナム1部の強豪ホーチミン・シティFCへローンすることが一部で報じられています。

ジョホールは元スペイン年代別代表のDMFイケル・ウンダバレナ・マルティネスを獲得

上の記事で伝えたようにDMFのジャリル・エリアスをローン移籍させたジョホール・ダルル・タジムFCは、スペインやポルトガルでプレー経験がある元スペイン年代別代表でプレー経験があるイケル・ウンダバレナ・マルティネスをスペイン2部のレガネスから獲得してます。

スペイン生まれで29歳のイケル選手は、今月下旬に開く今年2度目のトランスファーウィンドウでJDTが選手登録する5人目の選手となることが予想されています。

スペインU16やU17代表でのプレー経験もあるイケル選手はスペイン2部では170試合に出場し、2022年からは柴崎岳選手も所属したレガネスで65試合に出場しています。昨季23/24シーズンは32試合(先発26試合)に出場し、クラブの2部優勝と1部昇格にも貢献しています。

U23代表ファーガス・ティアニーが挨拶がわりの1発-開幕戦開始1分でゴールを決めてタイデビューを飾る

ジョホール・ダルル・タジムFCのU23チーム、JDT IIからタイ2部のチョンブリーFCに移籍したマレーシアU23代表FWファーガス・ティアニーがデビュー戦でゴールを決めています。

タイリーグ2部は8月9日に2024/25シーズンが開幕しましたが、チョンブリーFCにローン移籍した21歳のティアニー選手は、ホームでのスパンブリーFCとの開幕戦で先発出場すると開始からわずか1分で挨拶がわりの一発を決めて、強烈なデビューを飾っています。

ティアニー選手とタイU23代表でもプレーする19歳のヨツァコーン・ブラパとのツートップが機能したこの試合は、この後も3点を追加したチョンブリーFCが4−0で勝利し、1シーズンでの1部復帰に向けて好スタートを切っています。

チョンブリーFC対スパンブリーFCのハイライト映像。タイリーグ公式YouTubeチャンネルより。
タイ1部リーグ開幕-代表DFディオン・コールズが開幕戦でゴールを決める

タイ1部リーグは8月9日に2024/25シーズンが開幕し、リーグ4連覇を狙うブリーラム・ユナイテッドは開幕戦で今季1部に昇格したノーンブワ・ピッチャヤFCと対戦し、マレーシア代表DFディオン・コールズのゴールを含めて4-0と圧勝しています。

開始10分にディオン・コールズのヘディングシュートで先制したブリーラムでしたが、前半終了間際に相手GKがペナルティエリアの外で手でボールに触れて一発レッドとなると、数的有利になった後半には一気に3ゴールを挙げて勝利しています。

今季からブリーラムの指揮を取るオスマール・ロス・ヴィエイラ監督は、シーズン開幕戦の難しさがある中、勝利を飾ったチームに手応えを感じたのか、2年ぶりの国内三冠を達成できる「パーフェクトトチーム」であると自信を見せていました。

ノーンブワ・ピッチャヤFC対ブリーラム・ユナイテッドのハイライト映像。タイリーグ公式YouTubeチャンネルより
9月のFIFAデイズで「格下」のベトナム、タイと対戦するロシアを自国内のレジェンドが批判

ベトナムサッカー協会は、9月5日から10日にかけてのFIFA国際マッチデー期間にハノイでタイ代表、ロシア代表との3カ国対抗戦を開催することを発表しています。またロシアサッカー協会(RFU)も今年の9月と10月に東南アジアで国際親善試合を行うことを発表しています。

しかし、ロシア国内ではベトナムサッカー協会の招待を受け、「格下」と見られるタイやベトナムとの対戦を決めたRFUに対して批判的な声が出ていると、サッカー専門サイトのマカン・ボラが伝えています。

批判をしているのは元ロシア代表MFとして50試合に出場し、ストラスブルグやカーン(いずれもフランス)、ベンフィカ(ポルトガル)そしてスペイン1部セルタ・デ・ビーゴなどでプレーしたアレクサンドル・モストヴォイ氏で、FIFAランキング33位のロシア代表が同101位のタイや同115位のベトナムと対戦するのは全く相応しくないと述べています。

モストヴォイ氏は「そういった(タイやベトナムの)名前を聞くのは可笑しな気がする。そういったチームとの対戦は全く無意味だ。ロシア代表はどんな相手と試合をしても良いが、たとえFIFAによって国際大会への出場停止処分を受けているとはいえ、プライドを持つべきだ。」とソビエト・スポーツの取材に応えたということです。

ロシアのウクライナへの侵攻により2022年3月1日に、FIFAおよびUEFAは代表チームおよびクラブチームを問わず、すべてのロシアチームをFIFAおよびUEFAの両方の大会への参加を停止することを決定しています。

ベトナムでの3カ国対抗戦に出場するロシアは、9月5日にベトナムと、9月7日にはタイと対戦します。この他、ベトナムとタイは9月10日に対戦することも発表されています。