5月29日のニュース<br>・マレーシア対カーボベルデ戦前日会見<br>・マンUはアセアンオールスターズに惜敗<br>・マンUはアセアンオールスターズに惜敗

マレーシア対カーボベルデ戦前日会見

左からライアン・メンデス選手、ペドロ・ブリト監督(以上カーボベルデ代表)、ピーター・クラモフスキー監督、パウロ・ジョズエ選手(以上マレーシア代表)

5月29日にクアラルンプールのKLフットボールスタジアムで行われるマレーシア代表対カーボベルデ代表戦を前に、5月28日に前日会見が行われています。直近のFIFAランキングでは131位のマレーシア代表が同72位のカーボベルデ代表に挑む図式となるこの試合は、6月10日に行われるAFCアジア杯2027年大会3次予選のベトナム代表戦に向けての準備となる重要な試合です。この会見にはマレーシア代表からはピーター・クラモフスキー監督とKLフットボールスタジアムをホームとするクアラルンプールシティFC(KLシティFC)のパウロ・ジョズエ、カーボベルデ代表からはペドロ・ブリト監督、そしてFWライアン・メンデス(トルコ2部コジャエリスポル)が出席しています。

マレーシア代表のクラモフスキー監督は対戦するカーボベルデ代表を「フィジカルに強苦」「スピードが速く」「ダイレクトプレーが特徴の」チームであると分析し、このようなチームと対戦できる機会が得られたことに興奮していると話し、6月10日のベトナム代表戦に向けて、相手が誰でに、試合地がどこでも、またどんなコンデションであっても自分たちのサッカーができるような精神力の強さを身につけ、チームをレベルアップさせる貴重な試合だとしています。

しかしクラモフスキー監督の意思とは別に、今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグが終了してから1ヶ月以上経過しており、選手の試合感やフィットネスレベルに懸念の声もあります。また初戦のネパール代表戦と比べて明らかに格上の相手との対戦はクラモフスキー監督の評価にも直結する試合でもあり、少なくともサポーターに希望を持たせるような試合を見せることが望まれます。

マレーシア代表とは初対戦となるカーボベルデ代表の通称ブビスタことブリト監督は、今回の代表メンバーにマレーシアスーパーリーグのスランゴールFCでプレーするアルヴィン・フォルテスがいることから、マレーシア代表選手については様々な情報を得ていると述べる一方で、現在は2026W杯予選D組でカメルーンを抑えて首位を守っているものの、マレーシア代表戦は決して易しい試合にはならないだろうとも話しています。

一方、今回初代表入りとなる若い選手も数名いることを明らかにしたブビスタ監督は、人口が52万人ほどの小国カーボベルデでは、さまざまな試合を行なって多くの経験を選手に積ませることが欠かせないと話し、5月29日、そして非公開で行われる6月3日の試合は選手に経験を積ませることができる貴重な機会となると述べています。

マレーシア代表は5月29日にカーボベルデ代表と対戦したのち、6月3日に同じ相手と今度は非公開試合を行い、6月10日のベトナム代表戦に臨みます。

マンUはアセアンオールスターズに惜敗

ポストシーズンツアーでアジアを訪れている英国1部プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドは5月28日にクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場でアセアンオールスターズと対戦し、0-1で敗れています。

アセアンオールスターズの最初のチャンスは16分でした。来季1部スーパーリーグ昇格を果たしたマラッカFCへの加入が噂されるフィリピン代表のアマニ・アギナルド(タイ1部ラヨーンFC)がシュートを放ちますが、バーの上を超えてきます。一方、マンUモモとイングランド代表のハリー・マグワイアがヘディングシュートを放つも、タイ代表GKパティワット・カマイ(タイ1部バンコク・ユナイテッド)がこれをセーブします。

その直後にはこの試合で最も歓声を浴びることが多かったマンUのGKアンドレ・オナナがフィリピン代表のサンドロ・レイエス(ドイツ4部FCギュータースロー)の近距離からのシュートを防ぎ、スタジアムが大盛り上がりを見せました。

前半を0-0で折り返した試合は、後半に入るとルベン・アモリム監督がキャプテンのブルーノ・フェルナンデス、アレハンドロ・ガルナチョ、アマド・ディアロを投入して先制点を狙います。しかし、アセアンオールスターズはカウンターから、オーストラリア代表エイドリアン・セゲチッチ(オーストラリア1部シドニーFC)から右サイドのマウン・マウン・ルウィンと繋いだボールを落ち着いて流し込んで、71分にリードを奪いました。

このゴールで7万を超える観客は盛り上がり、マンUもギアを上げますが、最後まで粘り強くプレーしたアセアンオールスターズが逃げ切っています。

試合前には先発イレブンと握手を交わしたマレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、試合後もピッチに降りて、自身がファンと公言しているマンチェスター・ユナイテッドを破ったアセアンオールスターズのキャプテンを務めたマレーシア代表のセルヒオ・アグエロ(もちろんマンCのアグエロとは別人物)とともに勝利を祝っていました。ちなみにこのアグエロ選手について、アモリム監督は試合後に最も印象に残った選手に挙げていました。


試合後はブーイングも聞こえましたが、マンUにとっては、5月25日のリーグ最終戦から休む間もなく長時間の移動を強いられ26日の夜にはマレーシア入りし、さらにこの試合の後には香港へ移動して香港代表と対戦するなどポストシーズンツアーというには過酷だったのも事実です。一方のアセアンオールスターも、6月2日から10日かけてのFIFAデイズで2027アジア杯予選が控えており、各国代表の主力はこの試合に出場しておらず、「オールスターズ」というにはやや寂しいメンバー構成でした。

5月28日のニュース<br>・ベトナム戦に臨むマレーシア代表にスペイン出身のパルメロは正式合流もアルゼンチン出身のホルガドの合流は未定<br>・FIFAデイズでマレーシアと対戦するカーボベルデがメンバー36名を発表-スランゴールでプレーするFWも招集<br>・マレーシア代表はCBタンがケガで離脱-ベトナム戦も出場不可に

クアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われるマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズ戦を控え、地元のスポーツメディアはこの試合に関する報道一色ですが、同じクアラルンプールでは東南アジア諸国連合(ASEAN)の2025年の議長国がマレーシアであることから、5月26日よりASEAN首脳会議が始まっています。ASEAN首脳会議と言っても、サウジアラビア、クウェート、カタールなどペルシャ湾岸6カ国で作る湾岸協力会議(GCC)や中国首脳との会談なども行われ、会場のクアラルンプール市内はあちこちで交通規制が敷かれており、私も含めて市民はこの期間中は不便な生活を強いられています。

そんなASEAN首脳会議が開催される中、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相がベトナムのファム・ミン・チン首相にサッカーの話題を振ったことが報じられています。マレーシア代表はベトナム代表との試合は現在5連敗中と分が悪いのですが、6月10日にクアラルンプールで開催される2027アジア杯予選、マレーシア代表対ベトナム代表の試合を前に、アンワル首相は今回のマレーシア代表には注意するよう、冗談まじりに警告したということです。「ファン首相には、今回の対戦に向けて我々は本当に全力を尽くして準備しているので、あまり自信過剰にならないように伝えた。ベトナムは非常に強いチームで、マレーシアにとっては今回の試合も厳しい試合になるだろうが、現在のチームは情熱と粘り強さに満ちている。」と自信をのぞかせる発言をしたアンワル首相は、試合に勝った場合はチン首相に電話し、負けたら電話せずそのまま寝るとチン首相に話してメディアの笑いを誘ったということです。

ベトナム戦に臨むマレーシア代表にスペイン出身のパルメロは正式合流もアルゼンチン出身のホルガドの合流は未定

6月10日のAFCアジア杯2027年大会3次予選ベトナム代表戦に向けた合宿中のマレーシア代表には、スペイン生まれのガブリエル・パルメロ選手が参加しています。23歳の左SBのパルメロ選手はスペイン1部のUDラス・パルマスのユースチームやBチームを経て、現在、4部のCDテネリフェBにローン移籍中です。パルメロ選手は今年3月のアジア杯予選ネパール代表戦前の代表合宿にも参加していましたが、このときはまだ帰化手続きが終了しておらず、合宿だけの参加となっていました。

その一方で、コロンビア1部のアメリカ・デ・カリに所属するFWロドリゴ・ホルガドが6月1日に行われる南米サッカー協会(CONMELBOL)が主催するクラブチームによる国際大会、コパ・スダメリカーナのグループステージ、ホームでのラシン・クラブ・デ・モンテビデオ(ウルグアイ)戦の出場メンバーに入っていることが明らかになっています。

マレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督がアルゼンチン出身のホルガド選手のマレーシア代表入りを認め、、所属するアメリカ・デ・カリのホルヘ・ダ・シルヴァ監督もクラブに代表招集の知らせが来たことを認めていますが、代表入りに必要な手続きが全て済んでいるかどうかはわからないと述べる一方で、代表に招集される場合にはクラブや監督がそれを止めることはできないとも話しています。

コロンビアでの6月1日の試合に出場した場合、6月3日に非公開で行われるカーボベルデ代表との国際親善試合に出場できるのかどうかが気になります。もしカーボベルデとの試合に間に合わなければ、6月10日のAFCアジアカップ2027年大会3次予選がいきなり代表デビュー本番となりますが、今予選では絶対に負けられないベトナム代表が相手なだけに、クラモフスキー監督も難しい判断を迫られそうです。

FIFAデイズでマレーシアと対戦するカーボベルデがメンバー36名を発表-スランゴールでプレーするFWも招集

今年最初のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)でマレーシア代表は5月29日にアフリカのカーボベルデ代表と対戦します。この試合に先立ちカーボベルデサッカー連盟は5月29日と非公開で行われる6月3日の両試合のために招集された36名のリストを発表しています。

直近のFIFAランキングでは、6月10日にアジアカップ2027年大会予選で対戦するベトナム代表(109位)よりも上の72位のカーボベルデ代表には、セリエAのエラス・ヴェローナFCでプレーする24歳のFWダイロン・リブラメントや、オランダ1部PECズヴォレでプレーするMFジャミロ・モンテイロらが含まれる一方で、当初はメンバーに含まれていたラ・リガ、ビジャレアルのDFローガン・コスタがメンバー発表後のセビージャ戦で負傷したということで、今回の遠征メンバーから外れました。また2020年1月からカーボベルデ代表の監督を務めるブビスタことペドロ・レイトン・ブリト監督は、スランゴールFCでプレーし、今季チームトップタイの10ゴールを挙げたFWアルヴィン・フォルテス、そして同じ東南アジア組でインドネシア1部PSMマカッサルのCBユラン・フェルナンデスも今回の36名のメンバーに招集しています。

マレーシア代表はCBタンがケガで離脱-ベトナム戦も出場不可に

スポーツ専門サイトのアストロアリーナは、マレーシア代表合宿に参加中のCBドミニク・タンが合宿中に鼠径部を負傷したため、カーボベルデ代表との2試合、そして6月10日のベトナム代表戦も出場を見送ったと報じています。。

サバFCでプレーするタン選手は、2日目のトレーニングの後、戦列を離れなければならなかったと伝えられる一方で、現在はチームのハイパフォーマンス・スポーツ医学部長のクレイグ・ダンカン医師のリハビルプログラムに沿って回復に勤めているということです。

スランゴールはジョホールとの「マレーシアのパトリック・ヴィエラ」の争奪戦に敗れたか

今シーズン文字通り彗星のように現れたスリ・パハンFCのMFイブラヒム・マヌシは、そのプレースタイルや風貌から英国1部のアーセナルFCやフランス代表でも活躍した名選手に因んで「マレーシアのパトリック・ヴィエラ」などとも呼ばれるなど、多くの注目を集めました。今シーズン最終戦となったマレーシアカップ決勝でも、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)を相手に中盤の攻守を豊富な運動量で担い、国内三冠の王者の手を焼かせました。6月10日のAFCアジア杯2027年大会3次予選のベトナム代表戦では代表合宿に呼ばれてないないのは謎ですが、このイブラヒム選手の来季所属先についても謎が深まっています。

マレーシアカップ決勝後にスリ・パハンFCのオーナーで、パハン州王子のトゥンク・アブドル・ラーマン・イブニ・スルタン・ハジ・アフマド・シャー殿下が、来季についてはクラブから手を引くと宣言したころから、多くの選手が放出されることが予想されています。このイブラヒム選手もその1人で、その去就が注目されていますが、当初は中盤の強化を望むスランゴールFC入りが噂されていました。

しかし、ここ数日はその雲行きが怪しくなり、多くの国内若手有力選手と同様にこの23歳のイブラヒム選手も方向転換してJDT入りが濃厚という報道が出始めています。それどころか、一部のメディアはイブラヒム選手はすでに新たな移籍先となるJDTと契約済みであるとも伝えています。

6月10日のベトナム代表戦がクアラルンプールで行われる中、5月18日から始まっている代表合宿が400キロ以上離れたジョホール・バルで行っているのは、兎にも角にもその練習環境が充実しているからに他なりません。そんな環境を提供しているのがJDTで、JDTの充実した練習施設を見れば誰でもそこでプレーしたくなると言われています。さらに選手の待遇も良いことで知られるJDTに誘われたのであれば、今季が初めてフルシーズンの出場となったイブラヒム選手もスランゴールFCではなくJDTを選んでしまったのかも知れません。

5月27日のニュース<br>・マンUと対戦のアセアンオールスターズはインドネシア選手不在で急遽オーストラリアから4選手が参加<br>・東南アジア選手権はスポンサー変更で「三菱電機カップ」から「現代カップ」へ<br>・1921年(大正10年)に創設されたペラFCが運営資金不足を理由に解散<br>・ペラ州サッカー協会がチームを新たに編成して3部リーグに参戦か<br>・クダFCオーナーは給料未払いがライセンス不交付の原因と認める

マンUと対戦のアセアンオールスターズはインドネシア選手不在で急遽オーストラリアから4選手が参加

5月28日に行われるアセアンオールスターズを前に、マンチェスター・ユナイテッドが5月26日にマレーシア入りしています。ルベン・アモリム監督以下32名は、東南アジア各国から選抜された選手たちで構成されたチームと対戦します。

しかし、この試合に出場予定だったタイ代表MFピーラドル・チャムラツァミーとインドネシア代表DFアスナウィ・マンクアラム(いずれもタイ1部ポートFC)の出場辞退が直前に発表されています。ピーラドル選手は夫人の出産に立ち会うため、またアスナウィ選手は現在、バリ島で行われている2026W杯予選に向けたインドネシア代表合宿からの離脱をパトリック・クライファート監督が認めなかったからだと報じられています。また、インドネシア1部リーグ2連覇を果たしたプルシブ・バンドンに所属していた(現在は対談)ムハマド・フェラーリも当初の出場予定が取り消されており、アセアンオールスターズはインドネシア出身選手不在となってしまいました。

その代わりということかどうかは分かりませんが、急遽、DFハリソン・デルブリッジ(韓国1部仁川ユナイテッド)、FWエイドリアン・セゲチッチ(オーストラリア1部シドニーFC)、FWヤヤ・デュクリー(アデレード・ユナイテッド)、DFキーリー・アダムソン(マッカーサーFC)のオーストラリア出身4選手がアセアンオールスターズに合流することが発表されています。


オーストラリアサッカー連盟「フットボール・オーストラリア」は実は東南アジアサッカー連盟に加盟しているので、アセアンオールスターズに加わること自体は間違いではないのですが、ここに来て突然、オーストラリア出身選手が合流するのは数合わせというか、なんというか…。

東南アジア選手権はスポンサー変更で「三菱電機カップ」から「現代カップ」へ

東南アジア王者を決めるASEANチャンピオンシップ(旧AFFチャンピオンシップ)の次回大会(2026年大会)のスポンサーが韓国の現代自動車となることを東南アジアサッカー連盟(AFF)が発表しています。

2022年の第14回大会と2024年第15回大会の過去2大会は三菱電機が、また2008年の第8回大会から2020年の第13回大会まではスズキ自動車がスポンサーとなり、それぞれ「三菱電機カップ」、「スズキカップ」の愛称で親しまれてきました。

1996年に第1回大会が開かれたこの大会は、シンガポールのタイガービールがスポンサーとなり、2004年の第6回大会までは「タイガーカップ」と呼ばれたこともありました。

1921年(大正10年)に創設されたクラブが運営資金不足を理由に解散を発表

その前身が1921年(大正10年)に創設されたペラFCがクラブの解散を正式に発表しています。5月26日の夜に発表された公式声明では、手元に残された資金は外国籍選手の帰国費用を支払った後、選手や監督、コーチを含めたスタッフ全員に分配されるということです。

「全ての選手やスタッフには、ペラFCが来季はどのレベルのリーグにも参加しないことを通告した。これにより選手やスタッフは他のクラブと自由に契約交渉を行うことができる。」といった内容が書かれた声明には、前経営陣による負債800万リンギ(およそ2億7000万円)を抱えてスタートした現在の経営陣は、年間1000万リンギ(およそ3億4000万円)をクラブの運営に投入し、その全てがU18、U21、U23そしてトップチームの選手やスタッフ、そして事務方の職員の給料にのみ使われたこと、そして過去3シーズンで総額4000万リンギ(およそ13億5000万円)が投入されたが、残念ながら現在は手元に現金がほとんど残っていないことが説明されています。

また現経営陣はクラブが所有するトレーニング器具や売れ残っているグッズなどの管理をしている他、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)からの分配金の支給を待っており、この分配金で未払い給料などについてできる限り支払いたいとしています。

またこの声明の最後では、選手やスタッフへの感謝とともに、受け入れ難い事実ではあるものの、クラブを解散せざるを得ない状況への理解を求めています。


5月22日に第一審機関(FIB)が来季2025/26シーズンの1部スーパーリーグ参加に必要なクラブライセンスが交付されたクラブを発表した際に、このペラFCはライセンス交付が受けられなかったことを発表していましたが、それ以降、ペラFCからは何も声明が発表されていませんでした。一部では下部リーグからの再スタートなども噂されていましたが、今回の声明によって、100年を超える歴史を持つクラブの解散が決定しています。

負債の額が巨大ではあるものの、長い伝統を持つクラブをこのように解散させてしまうのであれば、一部のサポーターが唱えるほどにはサッカーはこの国の文化ではなく、単なる娯楽の一環だったのかと残念な気持ちになります。スズ鉱脈が豊富なペラ州は、それに目をつけた英国が19世紀にマレー半島の植民地化を始めた地域です。英国はそれまでマレー半島にはなかった郵便や鉄道、博物館や動物園などを持ち込みましたが、サッカーもその一つでした。ペラFCの前身となったペラアマチュアサッカー協会(PAFA)は、マレー半島では最古のサッカー協会で、同じマレー半島西海岸側のペナンやスランゴール、ヌグリスンビランがこれに続く形でサッカー協会を設立しています。

国内スポーツ人気No. 1のサッカーは政治的にも利用されてきた歴史があり、1957年のマラヤ連邦独立後は各州の州首相(日本で言えば知事にあたります)が州サッカー協会(州FA)の会長を兼務し、この州FAが運営するプロクラブ(マレーシアサッカーの資料を見ると、FAがついたクラブ名がありますが、これは州サッカー協会、州FAが運営するプロクラブだったためです。)に州政府の予算から資金提供することでチームを強化しました。おらがチームを優勝させた州首相は、選挙の際には州民からは大変な支持が集まりますが、その一方で政権交代が起これば、州サッカー協会の方針が一変し、監督やコーチが総入れ替えとなる、といったことも常態化していました。

そういった状況を変革しようとしたのが2019年にマレーシアサッカー協会が導入した「FAからFCへ」というクラブの民営化方針でした。州政府による資金提供に頼る運営ではなく、クラブ運営会社を設立して企業や個人をオーナーとする運営へと変革させるのがこの民営化方針ですが、協会の会長は州首相、役員も州議会議員が兼務し、クラブは公金頼みで運営していたところにこの変革は急すぎました。資金が足りなければ州予算を回すという無謀な経営が長年続いてきた中では、プロの経営者もいなければ、スポンサー獲得のノウハウすらない上、新型コロナ禍により、各州政府がクラブ運営資金をコロナ対策に回す状況などあり、多くのクラブがこの時期、資金難に陥りました。さらにコロナ禍でリーグ戦は強行するも、試合は無観客試合となったことで、費用はかかるが入場料収入すら入ってこない状況では、多くのクラブが財務状況を悪化させ、それまでも度々起こっていた給料未払い問題が複数のクラブで頻発するようになっていきました。

今回のペラFCの解散は、こういった様々な経緯の結果でもありますが、これを契機に溜まった膿を全て出し切ることができるのか、それともこのままジョホールやスランゴールといった資金に問題のない幾つかのクラブだけが生き残るのか。マレーシアサッカーは転換期に来ています。

ペラ州サッカー協会がチームを新たに編成して3部リーグに参戦か

ペラFCがクラブの解散を発表した5月26日と同じ日の遅い時間には、ペラ州サッカー協会(PAFA)が声明を発表し、PAFAが新たなチームを編成して来季2025/26シーズンの3部のA1セミプロリーグに参戦する計画があることを明らかにしています。

PAFAが公式SNSに行った投稿では、マレーシアの国体にあたるマレーシアゲーム(Sukma)の2024年大会に出場したU21チームのメンバーを中心にチームを編成し、将来のプレジデントカップ(U21チームのリーグ)やユースカップ(U18チームのリーグ)参加なども視野に入れて、ペラFCの再興を目指すものにしていく予定だということです。

「チーム編成はすでに始まっており、アマチュアフットボールリーグ(AFL)が主催するリーグに参戦を予定している。また2026年をめどにプレジデントカップやユースカップにも参戦を考えている。今回のプログラムは、ペラ州のサアラニ・モハマド州首相と州政府の支援(!)によるもので、PAFAが行う州内のサッカー振興を継続的に支援してくれていることにも合わせて感謝の意を表明したい。」とも声明では述べられています。

この声明の最後には「われわれ(PAFA)は奇跡を起こすことは約束できないが、(週内にプロサッカークラブがなくなったという)異常事態を解決しようという決意は持っている。州内のサポーターには協力して、ペラFC再興のための希望を持ってもらいたい。」と結ばれています。


結局は州政府の資金頼りである点や、ペラFCではなく全く実績がない新たなクラブが5部や4部などもある下部リーグを一気に飛び越えて、実質2部リーグにあたる3部A1セミプロリーグに参入を目論んでいる点など、ツッコミどころは満載ですがそこはマレーシア。2022年にやはり資金不足や未払い給料問題などでマラッカ・ユナイテッドが解散した時も、その負債は無視して新たにマラッカFCというクラブを新設して、やはりシラっとA1セミプロリーグに参入した既成事実もあるだけに、今後は困ったら解散して、新たにクラブを作り、問題解決は後回しという手法が流行るかもしれません。

クダFCオーナーは給料未払いがライセンス不交付の原因と認める

前述のペラFC同様、来季20255/26のクラブライセンスの交付を受けられなかったのがクダ・ダルル・アマンFCでした。2006/07と2007/08シーズンに国内クラブとして初めて2季連続の国内三冠を達成した名門の凋落は、ここ数年間に渡り起こっていた給料未払い問題などで明らかでしたが、いざスーパーリーグからその姿が見られなくなるとなると残念でしかありません。

そのクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)は、第一審機関(FIB)によるライセンス不交付発表後初めて声明を発表し、クラブライセンス申請書類提出期限までに運営資金に関する規定違反状態を改善できなかったことが、ライセンス不交付の理由であったことを明らかにしています。

クダFCのオーナーの1人で主要株主であるダウド・バカル氏は、未払いとなっている給料問題が未解決であり、現在もその支払い方法について支払い対象者からの了承を得ていないことを明らかにし、これがライセンス交付に至らなかった主要原因の一つであるとして、サポーターやスポンサー、さらには選手やスタッフに謝罪したいと述べてます。

ダウド氏は、現在がクダFCの「冬眠」期間だとして、財務基盤の強化などの財政状況の改善などを行って、クラブ再建に備えたいと述べてます。さらに今回のライセンス不交付がクラブの終焉ではなく、クラブ運営を強化するための機会と考えていると述べたダウド氏は、今後もサポーターの指示を求めるとともにクラブの再興を約束しています。

5月26日のニュース<br>・マンU対アセアンオールスターズの試合にマレーシアから出場する選手5名が発表<br>・国内無敗もACLで結果を出せなかったジョホール監督が退団-後任は英国プレミアリーグ監督経験者か<br>・スーパーリーグ不参加決定のペラとクダでも無条件での下部リーグ受け入れはしない-AFL会長

来月のアジアカップ2027年大会3次予選のベトナム代表戦に向けてマレー半島南端のジョホール州で合宿中のマレーシア代表をアンワル・イブラヒム首相が訪問し、自身のSNSには「全てのマレーシア国民は代表チームに揺るぎない支援を送るだろう」と激励の言葉を添えた投稿を行っています。6月10日にホームのブキ・ジャリル国立競技場で行われるベトナム代表戦は、両チームが属する予選F組の首位攻防戦ですが、対ベトナム代表戦ではマレーシア代表は現在5連敗中、しかもこの5試合では1得点10失点と明らかに分が悪い相手です。この試合に負ければアジアカップ2大会連続出場が遠のくだけに、代表強化に公金1500万リンギ(およそ5億円)を注ぎ込んでいるマレーシア政府のトップとしてアンワル首相も気が気でないかもしれません。

マンU対アセアンオールスターズの試合にマレーシアから出場する選手5名が発表

今週5月28日に行われるマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズ戦にマレーシアから出場する5名の選手が発表になっています。

翌日5月29日には前述のベトナム代表戦に向けてのウォームアップとなる国際親善試合マレーシア代表対カーボベルデ代表戦があるため、当然ながら主力代表選手は出場せず、今回発表になったのは代表合宿参加中のGKハジク・ナズリ(ペラFC)、DFアザム・アズミ(トレンガヌFC)、DFデクラン・ランバート(クアラルンプールシティFC)、DFアディブ・ラオプ(ペナンFC)、そしてアルゼンチン出身の帰化選手MFセルヒオ・アグエロ(スリ・パハンFC)の5名です。この内、ハジク選手は代表合宿参加メンバーで、アザム、アディブ、アグエロの3選手は代表合宿のサブメンバーとなっています。またハジク、アザム、ランバートの3選手はジョホール・ダルル・タジムFCからローン移籍中の選手です。

2009年のプレシーズンツアー以来のマレーシア来訪となるマンチェスター・ユナイテッドは5月21日のUEFAヨーロッパリーグ決勝で同じプレミアリーグのトットナム・ホットスパーズに惜敗したばかりですが、今回のツアーにはブルーノ・フェルナンデス、カゼミーロ、アレハンドロ・ガルナチョ、マタイス・デ・リスト、ラスムス・ホイルンドら主力が帯同すると報じられています。このマンチェスター・ユナイテッドと対戦するアセアン・オールスターズは、東南アジア選手権2024年大会優勝のベトナム代表を率いるキム・サンシク監督が指揮を取流ことが発表されています。

マレーシアからは当初、いずれもマレーシア代表でプレーするDFドミニク・タン、MFスチュアート・ウィルキン(いずれもサバFC)が参加すると発表されましたが、両選手は今オフでの国外移籍が噂されており、最終的には上記の5選手に落ち着いたという経緯があります。他国でも当初は出場が発表されていたベトナム代表のエース、グエン・クアン・ハイが過密日程を理由に出場を辞退している他、タイ代表のニコラス・ミケルソンは所属するデンマーク1部オデンセBKが招集を拒否した結果、出場取りやめとなっています。


この親善試合が5月28日にマレーシア代表のホーム、ブキ・ジャリル国立競技場で行われ、翌日5月29日のマレーシア代表対カーボベルデ代表戦が収容人員1万8000人のKLフットボールスタジアムで行われるのは個人的には釈然としませんが、観客動員力という点ではマンチェスター・ユナイテッドの方が上なのは事実ですので、致し方ありません。なおマンチェスター・ユナイテッド戦の方は一番安い席が50リンギ(およそ1700円)、一番高い席が1500リンギ(およそ5万円)なのに対し、マレーシア代表対カーボベルデ代表戦は一律40リンギ(およそ1400円)となっています。

国内無敗もACLで結果を出せなかったジョホール監督が退団-後任は英国プレミアリーグ監督経験者か

5月23日にジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は公式SNS上で過去3シーズンに渡り監督を務めたエクトル・ビドリオ監督の退任を発表しています。2022年シーズンに監督に就任したベネズエラ出身のビドリオ監督は、途中テクニカル・ディレクターなども務めながら、2022シーズンと2024/25シーズンにはリーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠を達成しています。しかも監督在籍時には、JDTは国内で無敗と無双し続けました。しかし国外に目を転じると、2022年のACL、そして今季のACLエリートでは、いずれもグループステージを突破しながら、ノックアウトステージ1回戦の壁に跳ね返された結果、今回、その責任を取る形で退任します。英字紙スターは、このビドリオ監督の後任として、スペイン出身で44歳のシスコ・ムニョス氏の名前が上がっていると報じています。

JDTのCEOに就任したやはりスペイン出身のルイス・ガルシア氏とも近いことからも監督就任が有力視されているムニョス氏は、現役時代はバレンシアやレアル・ベティスなどでウィングとして活躍しました。晩年にプレーしたジョージアのディナモ・トビリシで指導者生活を始めたムニョス氏は、2020年に前年のコーチから監督に昇格するとその年のリーグ優勝を果たしました。翌2021年には英国2部のワトフォードで監督に就任するとリーグ2位の成績を残し、クラブを1部プレミアリーグへ昇格させました。しかし、翌年2021/22シーズンのプレミアリーグでは開幕からの7試合を2勝1分4敗として14位に沈むと解任されてしまいました。その後の2021/22シーズンはスペイン2部のSDウエスカで9勝12分9敗の成績で退団し、2022/23シーズンはキプロス1部のアノルトシス・ファマグスタで3勝2分7敗としました。、2023/24シーズンは再び英国に戻り、3部のシェフィールド・ウエンズデーで監督となりますが、10試合で0勝2分8敗の最下位となると解任され、スロバキア1部リーグのドゥナイスカー・ストレダで2023年11月監督に就任しました。当初は2023/24シーズン終了までの契約でしたが、就任10試合で6勝3分1敗の成績を上げると、契約が2年間延長されました。しかし今季2024/25シーズンは開幕からの15試合を6勝4分5敗とすると、2026年6月までの契約を解除されて昨年11月に退団しています。

英字紙スターは、ムニョス氏がスペイン国内メディアとのインタビューで自信を冒険好きと評し、さまざまな国のサッカーを見たり、新しい環境に挑戦することも好きだと述べたことがJDT監督就任を示唆する発言ではないかと報じています。

またJDTにはスペイン出身のFWサム・カスティジェホ、MFフアン・ムニョス、DFオスカル・アリバス(登録はフィリピン=東南アジア枠)、DFエディ・イスラフィロフ(登録はアゼルバイジャン)らがいることからチームに入って行きやすく、監督就任の際には同胞のセットピースコーチのロベルト・ケスト、アナリストのトニー・ヴァジェの両氏を連れてくるだろうと予想しています。

スーパーリーグ不参加決定のペラとクダでも無条件での下部リーグ受け入れはしない-AFL会長

来季2025/26シーズンのマレーシアスーパーリーグ参加に必要な国内クラブライセンスが交付されなかったケダ・ダルル・アマン(KDA)FCとペラFCは、代わりに3部にあたるA1セミプロリーグへ参戦する可能性がありますが、リーグやカップ戦で優勝経験のある両名門クラブであっても、このA1セミプロリーグへ無条件で参加することはできないようです。

A1セミプロリーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)のユソフ・マハディ会長は、両クラブとも依然としてAFLの規定の対象であり、登録選手が20人以上いることなど、リーグ参加の基本基準を満たさなければならないと述べていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。。

その一方でユソフAFL会長は、両クラブが財政問題に直面していることを理解した上で、AFLが求める財政的義務を果たすことができれば、リーグ参加については特に問題はないと述べた。

「選手や監督、コーチに給与を払い、チームをうまく運営できれば、両クラブともA1リーグへの参加に何の障害もない」と語ったユソフ会長は、「A1セミプロリーグの運営コストはスーパーリーグでのプレーに比べてそれほど高くなく、300万から400万リンギ(およそ1億から1億4000万円)あれば、シーズンを通してチームを運営するには十分である」と述べています。

リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠を初めて2季連続で達成したクダ・ダルル・アマンFC、そして創設100年を超えるペラFCの両名門クラブは、クラブ経営状況に問題ありとして第一審機関(FIB)が今季の国内クラブライセンス交付を行わないことを発表された直後に、ユソフAFL会長は、両クラブがA1セミプロリーグでプレーしながら、財政再建を続けていくことで、将来のスーパーリーグ復帰に向けた「生き残る」を図ることができると、A1セミプロリーグへの参入を歓迎する発言をしていました。

5月25日のニュース(2)<br>来季のリーグ規約が発表:秋春制以降により開幕は8月初旬・外国籍選手は1クラブ最大15名が登録可能、ピッチ上では同時7名の出場が可能に・ブルネイDPMM FCの正式参入が決定・ファイナンシャルフェアプレーを導入

マレーシア1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が来季2025/26シーズンの規約を発表しています。主な変更点としては来季の開幕が8月初旬となること、外国籍選手登録の上限が15名となったこと、ブルネイのDPMM FCの参戦が正式発表されたこと、そしてクラブ収入に基づく給料の上限を決めるファイナンシャルフェアプレー(FFP)が正式に導入さることなどが挙げられます。

来季2025/26シーズンの開幕は8月初旬に決

AFCの秋春制導入に伴い、2025/26シーズンの開幕は8月初旬となることが発表されています。例年、開幕戦は英国のチャリティーシールド(現コミュニティーシールド)を模し、前年度のリーグ覇者とマレーシアカップ優勝チームが対戦するスンバンシーカップですが、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がリーグ戦、マレーシアカップ、FAカップの国内三冠を達成しているため、2024/25シーズンに続き、JDTはリーグ2位のスランゴールFCが対戦します。

英国のチャリティーシールドと大きく異なるのは、この試合がリーグ戦の一環として行われ、さらにリーグチャンピオンのホームで行われること。昨年のスンバンシーカップもJDTとスランゴールFCの顔合わせとなりましたが、試合の5日前にスランゴールFCのファイサル・ハリムが酸攻撃を受け事件が起こりました。スランゴールFCは安全上の懸念を理由に試合の延期を求めましたが、MFLはこれを拒否。スランゴールFCは後見者でもあるスランゴール州スルタンの同意を得て出場を辞退した結果、MFLはJDTに勝点3を与えることを決定しています。

リーグ覇者とマレーシアカップ王者の対戦という試合の性格から、本家がウェンブリーアリーナで開催されるのと同様に、このスンバンシーカップもブキ・ジャリル国立競技場のような中立地で、しかもリーグ戦の一環ではなく単なるカップ戦として開催するべきだと思うのですが、主催するMFLはそうは考えていないようです。

トランスファーウィンドウは6月と来年1月オープン

年2回のトランスファーウィンドウ(移籍期間)は、1度目が開幕前の6月9日から8月31日まで、シーズン途中の2度目は2026年1月5日から2月1日となっています。

FAカップは8月、マレーシアカップは来年1月開催

FAカップは8月に予定されており、マレーシアカップとその敗者が出場するチャレンジカップはいずれも2026年1月に予定されています。マレーシアカップは昨年と同じであれば、1部スーパーリーグの14チームにおそらく3部A1セミプロリーグの2チームが加わった16チームで1回戦がスタートすることになりそうです。またFAカップはトップリーグ以外のカブリーグでプレーするのクラブに門戸が開かれる大会ですが、2024/25シーズンは16クラブと、前年2023年の20、2022年の34、2021年の59から毎年減少しています。国内サッカー人気の低迷が危ぶまれる中で、日本の天皇杯サッカーのようなアマチュアレベルから出場できる唯一の国内大会はサッカー振興という観点からも重要なので、是非とも出場チーム数の拡大を検討してもらいたいところです。

出場登録選手の半数に当たる最大15名の外国籍選手の登録が可能に

各クラブは登録選手の上限が今季2024/25シーズンの32名(ACLエリートに出場のJDTとACL2出場のスランゴールは例外措置で34名)から30名に減る一方で、外国籍選手枠についてはAFC大会出場の有無に関係なく何と15名まで登録できるようになりました。今季は各クラブの外国籍選手登録は最大9名、ACLエリートに出場したJDTとACL2に出場したスランゴールに限って12名となっていました。

ピッチ上では同時に7名の外国籍選手のプレーが可能に

ベンチ入り可能な外国籍選手数も今季の最大7名から8名となり、ピッチ上の外国籍選手数も今季の6名から東南アジア枠が1名増えて7名(無条件4名、アジア枠1名、東南アジア枠2名)が同時に出場することが可能になっています。

外国籍選手枠の増加により、これまで以上にクラブ格差が広がりそうです。このブログでも何度も取り上げているように多くのスーパーリーグクラブは給料未払い問題を抱えるなど運営資金の捻出に苦労しています。一方で、今季ACLエリートに出場したJDTとACL2に出場したスランゴールについてはそういった問題が起こっていないことから、15名に拡大した外国籍選手枠をフル活用するクラブがあるとすれば、おそらくこの2クラブしか考えられません。(後は可能性があるとすれば、世界屈指の産油国ブルネイからスーパーリーグに参加するDPMM FCでしょうか。)

ACLエリートやACL2での上位進出を目指すクラブにしてみれば、この外国籍枠拡大は大きなメリットですし、試合そのもののレベルアップやエンタメ性がますという利点はある位一方で、資金的にも苦しい中位から下位のクラブには全く関係ない話です。しかも既にJDTが圧倒的な強さを誇るスーパーリーグで、今後さらにクラブ間格差が広がれば、大味な試合が増え、リーグそのものに魅力がなくなってしまう恐れがあります。またピッチ上で同時に最大7名の外国籍選手がいるということはマレーシア人選手は4名飲みの出場となり、これが各選手の出場時間減少につながり、ひいては代表チーム教科にに及ぼす影響も少なくなさそうです。

    ブルネイのDPMM FCのスーパーリーグ参加が正式に発表で今季参加の全14クラブが決定

    MFLからはこれまで何の発表もなかったブルネイのクラブであるDPMM FCの今季スーパーリーグ参入についても正式に発表しています。2008年以来のマレーシアリーグ復帰となるDPMM FCの参戦は、FIFAによる「招待クラブ」との承認を受けたことで実現しています。この結果、2025/26シーズンのスーパーリーグは、ジョホール・ダルル・タジムFC、スランゴールFC、サバFC、クチンシティFC、トレンガヌFC、クアラルンプールシティFC、スリ・パハンFC、PDRM FC、ペナンFC、ヌグリスンビランFC、クランタン・ダルル・ナイムFCに加え、昇格組のマラッカFC、イミグレセン(入国管理局)FC、DPMM FCの14クラブに決定しています。ただし、クアラルンプールシティFC、PDRM FC、クランタン・ダルル・ナイムFCの3クラブについては条件付きでのクラブライセンス交付となっており、今月末までにクラブの財政状況についての詳細をライセンス交付を担う第一審期間(FIB)に提出することが求められています。これが行われない場合、この3つのクラブのクラブライセンス交付は取り消しとなり、今季のスーパーリーグ出場ができなくなります。

    ファイナンシャルフェアプレーの正式導入

    これまで導入が検討されてきたファイナンシャルフェアプレー(FFP)が導入されます。これにより、各クラブはFIBに提出した2025/25シーズンのクラブ運営予算額の80%が選手への給料支払いの上限となります。

    5月25日のニュース(1)<br>・ベトナム戦に向けたマレーシアの秘密兵器はコロンビアリーグのストライカー<br>・スランゴールFCは来季のチーム強化へ積極補強も<br>・6シーズン在籍も帰化選手になれなかったレゾヴィッチがトレンガヌFC退団<br>プルシスの1部残留を果たしたオン監督はマレーシア出身選手の獲得も視野

    5月21日の東南アジアクラブ選手権「ショッピーカップ」決勝2ndレグでは、タイの王者ブリーラム・ユナイテッドがベトナムのハノイ公安FCを通算成績5-5、PK戦3−2という大接戦の末に破り、ショッピーカップ初代王者に輝いています。そのブリーラム・ユナイテッドではシーズンを通して安定したプレーを見せたのが、マレーシア代表でもプレーするディオン・クールズです。ベルギー出身の父とマレーシア出身の母を持つクールズ選手はベルギーの年代別代表でもプレー経験がある選手ですが、、そのコールズ選手がJリーグのセレッソ大阪移籍が濃厚だとマレーシアやタイのメディアが報じています。マレーシア人選手として初めてJ1でプレーする選手となれるのでしょうか。

    ベトナム戦に向けたマレーシアの秘密兵器はコロンビアリーグのストライカー

    しかしよくこんな人材を地球の反対側から見つけてきたなぁ。

    6月10日のAFCアジアカップ2027年大会第3次予選でベトナム代表と対戦するマレーシア代表に強力な秘密兵器が加わりそうです。アルゼンチン出身で今季はコロンビア1部のアメリカ・デ・カリでプレーするFWロドリゴ・オルガドが、マレーシア人の血を引くとして「ハリマウ・マラヤ(マレーの虎)」の愛称を持つマレーシア代表に招集されたと国内外のメディアが報じています。

    直近の10試合で5勝3分2敗の成績を残しているマレーシア代表ですが、FW陣はブラジル出身のパウロ・ジョズエ(KLシティFC、代表通算25試合出場8ゴール)やアルゼンチン出身のセルヒオ・アグエロ(スリ・パハンFC17試合出場3ゴール)、コロンビア出身のロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジムFC、同9試合2ゴール)、ら帰化選手たちに依存しています。そんな南米コネクションに新たに加わることが期待されているのがオルガド選手です。

    29歳のオルガド選手は2024年にアメリカ・デ・カリに移籍以来、44試合で17ゴールを挙げているFWですが、いずれも元々は所属クラブではMFだったものの代表チームの得点力不足からFWにコンバートされたジョズエ、モラエスの両選手、そしてやはり本来はMFであるアグエロ選手らとは違った、いわゆる「アウトアンドアウト」ストライカーならではプレーが6月の試合では見られるのではとの期待が高まります。


    スランゴールは来季のチーム強化へ積極補強も

    2シーズン連続で王者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の後塵を拝することになったスランゴールFCは、FAカップでは決勝に進出するも同じJDTに1-6と惨敗し、マレーシアカップではまさかの1回戦敗退、そして8年ぶりとなったAFC主催大会出場もACL2ではグループステージ敗退と、2024/25シーズンは思うような結果を残すことができませんでした。そんなスランゴールFCが来季に向けて、国内外の選手を積極的に補強しそうだと英字紙スターが報じています。

    今季のメンバーからはキャプテンを務めたシンガポール代表のDFサフワン・バハルディンが契約を1年残して退団することが明らかになっている他、チーム最多の10ゴールを挙げたチリ出身のFWロニー・フェルナンデス、チーム最多先発出場を記録したベネズエラ出身のMFヨハンドリ・オロスコ、そしてヨルダン代表FWアリ・オルワンらがチームを去ることが発表されています。

    この記事の中でスランゴールFCのシャーリル・モクタル理事は、サフワン選手についてクラブとの関係は良好で、サフワン選手が「新たな挑戦」を求めていることから、退団を希望したと説明しており、現在はローン移籍先を探している最中だと説明しています。

    サフワン選手に代わるキャプテン候補としてはマレーシア代表MFノーア・ライネや同じく代表選手のFWファイサル・ハリムを挙げたシャーリル理事は、来月6月17日から始まる予定のプレーシーズンに向けて、喜熨斗勝史監督と来季に向けたチームの補強策について検討中とも話しています。

    「現在はヨーロッパ、南米、東南アジア、日本出身の数名の候補選手の名が上がっており、プレシーズン前には新加入の選手が確定できるだろう。」と話したシャーリル理事は具体的な名前は挙げなかったものの、SNS上では2023年シーズンにクダ・ダルル・アマンFCでプレーした経験もある元Jリーグ甲府のFWウィリアン・リラ、元ベネズエラ代表MFフアンピこと、フアン・パブロ・アニョル・アコスタ(現ギリシャ1部ヴォロスFC)のいずれも31歳の両選手の名前が挙がっています。

    また獲得を目論んでいたとされるインドネシア代表DFエリアノ・ラインデルス(オランダ1部PECズヴォレ)との交渉は破談となったものの、シャーリル理事はさらに東南アジアの「大物」獲得を続けていくと話していることもスターは報じています。

    6シーズン在籍も帰化選手になれなかったレゾヴィッチがトレンガヌFC退団

    2019年からトレンガヌFCに在籍してきたモンテネグロ出身のDFアルグジム・レゾヴィッチが自身のSNSで対談することを明らかにしています。33歳のレゾヴィッチ選手は190cmのセンターバックで2018年にPDRM FCに移籍してマレーシアリーグでプレーを始めると翌2019年からはトレンガヌFCに移籍しトップチームとセカンドチームのトレンガヌFC IIでプレーを続けてきました。

    トレンガヌ州の隣のパハン州出身のマレーシア人女性と結婚し、子供も生まれていたレゾヴィッチ選手は、マレーシアでのプレーが5年目を過ぎてからはマレーシア国籍取得を目指していることが報じられていました。しかし、今年3月の英字紙ニューストレイツタイムズの報道では、クラブが国籍取得の審査を行う内務省に積極的に働きかけ、マレーシアサッカー協会(FAM)からも推薦状を得ているものの、契約満了となる4月30日を前に国籍の取得はできていませんでした。

    退団を伝えるSNSへの投稿でレゾヴィッチ選手は、自身のキャリアの中で最も長く所属したクラブであるトレンガヌFCとチームメート、そしてサポーターへの感謝を伝えています。

    今季5位に終わったトレンガヌFCは、シーズン途中でトミスラフ・シュタインブリュックナー監督(現ベトナム1部タインホアFC監督)を解任し、バドルル・アフザン・ラザリを暫定監督に据えましたが、来季はこのバドルル暫定監督を正式監督として迎えることをすでに発表しており、バドルル監督の元でチーム再建の一環として大幅なメンバーの入れ替えを行うとされています。

    プルシスの1部残留を果たしたオン監督はマレーシア出身選手の獲得も視野

    マレーシアの隣、インドネシアの1部リーグ「リガ1」は昨日5月24日に最終第34節を終えて2024/25シーズンが終了しましたが、そのリガ1で2連覇を達成したのが、クアラルンプールシティFC前監督のボヤン・ホダック監督が指揮するプルシブ・バンドンでした。そして最終節にこのプルシブと対戦したのが、マレーシア出身でサバFC前監督のオン・キムスウィー監督率いるプルシス・ソロでした。マレーシア国内でも対戦経験のある両氏が舞台をインドネシアリーグに変えて対峙した結果は、プルシブがかつてJ2金沢やトレンガヌFCでもプレーしたダビ・アパレシド・ダ・シルバのゴールなどで一時は3点差をつけてリードするも、プルシスもMF山本奨選手のゴールなどで追い上げましたが、3-2と逃げ切ったプルシブがシーズン最終戦を勝利で飾っています。

    プルシブ・バンドンに敗れたペルシス・ソロですが、5月11日に行われたリーガ1第32節のPSBSビアク戦で2-0と勝利し、今季の1部残留を既に決めています。 このプルシブのオン監督はマレーシアでは代表監督やU23代表監督、またマレーシアサッカー協会(FAM)のテクニカルディレクターなどを歴任し、2011年の東南アジア競技大会通称シーゲームズではマレーシアを優勝に導いています。このオン監督はマレーシアスーパーリーグの2024/25シーズン途中の昨年11月にリーグ3位にいたサバFCからの契約延長オファーを断り、当時降格圏の16位にいたプルシスの監督に就任しました。

    好成績を残しているクラブから2部降格危機に直面するクラブへの転身したオン監督でしたが、プルシスは、オン監督就任以降の7試合では0勝3分4敗の成績で、一時は最下位の18位に転落してしまいました。しかし年が明けた今年1月20日の第19節PSISスマラン戦でオン監督が初勝利を挙げると、チームもそこからの15試合を7勝5分3敗とし、第25節で15位に浮上してついに降格圏を脱すると、その後は2度と降格圏内に落ちることなく最終成績を14位とし、オン監督は課せられていた1部残留というミッションを果たしました。

    今季最終戦となったプルシブ戦を前にオン監督はインドネシアのメディアとのインタビューで、「ペルシス・ソロに来た時の目標は明確で、降格を回避することができたことは喜ばしい。プルシスがリガ1で6か月近く降格争いを続けなければならなかったことが、この国のサッカーリーグがいかに競争が厳しいかを示しているだろう。」と話しています。さらに、負けても立ち上がる先進的な強さを持つ選手たちに加え、クダ・ダルル・アマンFCから移籍したCBクレイトンをはじめ、MFラウタロ・ベレッジャ、FWジョン・クレイ、DFジョーディ・トゥトゥアリマのシーズン途中に加入した4選手の影響も大きかったとオン監督は話したということです。

    プルシスとの契約は今月末で切れることから、オン監督はクラブ側との契約延長についての話し合いを始めたいしていますが、個人的には来季もプルシスで指揮を取りたいと話し、クラブの予算次第ではあるもののマレーシア出身選手数名との契約も視野に入れているとも話しています。

    5月23日のニュース:<br>・FIBが来季のスーパーリーグ参戦に必要なライセンス交付クラブを発表-クダとペラはリーグ不参加が決定<br>・ブルネイDPMM FCが来季のスーパーリーグ参戦を公式発表もリーグからは発表なし

    FIBが来季の国内クラブライセンス交付クラブを発表-クダとペラには交付されずリーグ不参加が決定

    5月22日に国内クラブライセンス交付の可否決定を行う第一審機関(FIB)が来季2025/26シーズンのクラブライセンス審査の結果を発表し、今季2024/25シーズンに国内1部スーパーリーグに参加した13チーム中、8チームに来季の国内クラブライセンスが交付されたことを発表しています。

    国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式ホームページで発表された審査結果によると、来季のクラブライセンス交付条件となるクラブ運営のための資金基準を満たしていないことから、今季のスーパーリーグで8勝6分10敗で7位に終わったペラFCと、6勝6分12敗の11位に終わったクダ・ダルル・アマンFCの2クラブには来季の国内クラブライセンスが交付されず、このまま不服申し立てと再審査が行われない限り、この両クラブは2025/26シーズンのスーパーリーグへの参戦が不可能となりました。

    またFIBは今季優勝のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)、同2位のスランゴールFC、以下サバFC(同3位)、谷川由来選手が所属するクチンシティFC(同4位)、トレンガヌFC(同5位)、スリ・パハンFC(同8位)、ペナンFC(同10位)、佐々木匠選手が所属するヌグリスンビランFC(同12位)の8クラブには、来季の国内クラブライセンスが交付されたことを発表しています。

    その一方でFIBライセンス委員会のシーク・ナシル・シーク・シャリフ委員長名で出された声明では、今季6位のクアラルンプールシティFC(KLシティFC)、鈴木ブルーノ選手所属の同9位PDRM FC、そして最下位13位に終わったクランタン・ダルル・ナイムFCについては暫定措置としてクラブライセンスを交付するものの、5月31日を期限として財務状況に関するさらなる書類の提出を求めており、その提出がない場合にはライセンスの取り消し措置となることも発表しています。

    また今季3部のA1セミプロリーグで優勝したマラッカFCとイミグレセン(出入国管理局)FCについては、MFLの規定に基づき国内クラブライセンスが交付され、来季のスーパーリーグ参戦が可能なったことも明らかになっています。(注:2部リーグのプレミアリーグは現在、休止中でこのセミプロリーグであるA1リーグが実質のマレーシア2部リーグとなっています。)


    今回の発表では、さまざまな憶測を読んでいた来季のスーパーリーグ参戦クラブが明らかになりました。今季最終戦となったマレーシアカップ決勝でJDTに惜敗したスリ・パハンFCは、試合後にオーナーでパハン州のトゥンク・アブドル・ラーマン・スルタン・アフマド・シャー王子がクラブから身を引くことを明らかにし、同時にクラブの来季のスーパーリーグ撤退を示唆するような発言をしていました。また今月初めにはクラブから選手や監督、コーチに対しても来季のリーグ撤退を伝える手紙が送られたと報じられており、今回このスリ・パハンFCがライセンスを交付されたことで、リーグ撤退の方針からUターンしたようです。

    その一方で、今季終了後にやはりスーパーリーグ撤退を発表していたペラFCにはライセンスが交付されませんでした。前身のペラ州サッカー協会クラブ(ペラFA)から数えるとクラブ創設100年を超える名門は数年前にも資金不足からクラブ史上初となる2部降格を経験したものの、一昨年には国内通信会社がオーナーとなり再建が始まりましたが、道半ばで断念となりました。

    また2023シーズンの給料未払い問題未解決により、今季開幕前に勝点3の剥奪処分を受けてスタートしたクダ・ダルル・アマンFCは、シーズン中には主力選手が練習をボイコットした他、アウェイの試合への帯同を拒否し、急遽U23やU19チームの選手を集めて試合を行うなどの問題を抱えており、頼みの州政府からの資金援助も得られなかったことから、やはりライセンス交付を受けるだけの金銭的な安定が示せなかったようです。今季はJDTが3季連続国内三冠を達成しましたが、マレーシアで初めて連続で国内3冠(リーグ戦、マレーシアカップ、FAカップ)を達成したのは2006/07,2007/08の2シーズン連続で国内三冠を達成したクダ・ダルル・アマンFCの前身クダFAでした。そんなかつての強豪にとって、今回のリーグ不参加は残念としか言いようがありません’。

    この他、追加書類の提出がなければライセンス取り消しとなることが発表されたKLシティFC、クランタンFCも今季中から数ヶ月に及ぶ給料未払い問題が起こっていたことがメディアでは度々報じられており、期限の5月31日までにFIBを納得させるだけの書類が用意できるかどうかは正直、疑問です。


    また来季の1部スーパーリーグ撤退が決定したペラFCとクダ・ダルル・アマンFCに対し、3部A1セミプロリーグが参戦を求めたいと報じられています。A1セミプロリーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)のユソフ・マハディ会長は、両クラブを救済し、復活のための機械を提供できると話しています。

    マレーシアサッカー協会(FAM)の副会長でもあるユソフAFL会長は「両クラブがこのまま消滅してほしくない。A1セミプロリーグは両クラブが参戦して、将来スーパーリーグに復帰するための舞台となりうるものだ。」と述べ、すでに終了した来季のA1セミプロリーグ参加の申請を再開して、両クラブの受け入れを行う用意があるとしています。

    A1セミプロリーグの下には、A2、A3と下部リーグがありますが、一昨年には新設されたマラッカFCを「マラッカ州サッカー発展を妨げないように」という謎の理由でいきなり下部リーグを経ずに参入させたり(これはユソフAFL会長がマラッカ州出身であることも影響していると言われています)、不十分な資格審査で参入させては途中離脱を許すなどゆる〜いAFLの審査であれば、ペラFC、クダ・ダルル・アマンFCとも参入の壁は高くなさそうです。


    ブルネイDPMM FCが来季のスーパーリーグ参戦を公式発表

    来季2025/26シーズンのマレーシアスーパーリーグの参加クラブ数減が危ぶまれる中、これまで噂に上がっていたブルネイのDPMM FCが、クラブ公式サイトで来季スーパーリーグへの参入と新規選手獲得を発表しています。なおスーパーリーグを運営するMFLからは現時点では何の公式発表もありません。現在、参戦中のシンガポールプレミアリーグを運営するシンガポールサッカー協会(FAS)もDPMM FCがリーグを離脱し、「他のリーグ」へ移籍することを公式サイトで発表しています。

    DPMM FCはペナンFCのDFファイズル・ザカリアの加入を発表するとともに、ブルネイ出身選手と、DPMM FCでプレーするマレーシア出身選手は、いずれも他のクラブのマレーシア出身選手と同じ扱いとなり、外国籍選手登録とはならないことも併せて発表しています。


    DPMM FCはブルネイ唯一のプロクラブで、今季2024/25シーズンはシンガポール1部のプレミアリーグに参戦中です。今季のACL2の決勝にライオンシティ・セイラーズFCが進出するなど躍進が著しいリーグですが、今年4月にシンガポールメディアが初めてDPMM FCのプレミアリーグ離脱の噂を報じました。またその際にはプレミアリーグ得点王を独走する土井智之選手(ゲイラン・ユナイテッドFC)の獲得なども同時にうわされました。今週末に最終節を迎えるプレミアリーグでは、DPMM FCは現在、11勝8分12敗で9チーム中6位につけ、また5月27日にはライオンシティ・セイラーズとのシンガポールカップ準決勝2ndレグも控えています。

    DPMM FCがマレーシアのリーグに参戦するのはこれが初めてではありません。2005/06シーズンに2部プレミアリーグ(シンガポールは1部がプレミアリーグですが、マレーシアは2部の名称がプレミアリーグです。)に参戦し、翌シーズンには1部スーパーリーグへ昇格するといきなり3位、そして翌シーズンは10位という成績を記録しています。しかしこの頃、ブルネイサッカー協会内部で問題が発生し、マレーシアリーグを離脱せざるをえませんでした。その後の2009年に今度はシンガポールリーグに参戦し、リーグカップで優勝するなどの成績を残しました。

    しかし、同年9月にはブルネイ政府によるブルネイサッカー協会人事への介入があったとしてFIFAはブルネイのサッカー活動全てを停止させる処分を科し、この結果DPMM FCはシンガポールリーグを離脱せざるを得ませんでした。FIFAの処分が解けた2012年にシンガポールリーグに復帰したDPMM FCは、同年そして2014年とリーグカップで優勝すると、2015年と2019年にはリーグ制覇も果たしています。

    その途中の2017年にはマレーシアリーグ復帰を目論んだ時期もありましたが、2015年からリーグ運営を始めたMFL(当時の名称はフットボールマレーシアLLP-有限責任パートナーシップ)がホームゲームはマレーシア国内で行うことや、ブルネイ出身選手は外国籍選手登録とし、主力をマレーシア出身選手で構成することなどを求めたため、シンガポールリーグに残ったという経緯もあります。

    しかし2020年には新型コロナの影響でブルネイ政府が国民の出国制限を設けたため、2020年から2022年までの3シーズンはシンガポールリーグに参加せず、昨季2023年に3シーズンぶりに復帰した際は9チーム中7位に終わっています。

    5月18日のニュース:<br>・マレーシア人監督率いるクラブがブルネイ国内カップ戦優勝に王手<br>・クラブライセンス申請期限を過ぎても「柔軟に」対応する第一審機関に疑問の声

    マレーシア人監督率いるクラブがブルネイ国内カップ戦優勝に王手

    来季のマレーシア1部スーパーリーグに、現在はシンガポール1部リーグに所属するブルネイのDPMM FCの参戦が噂されていますが、そのブルネイ国内ではマレーシア人監督が率いるクラブがカップ戦の決勝に進出しています。

    DPMM FCのセカンドチーム、DPMM FC IIは昨季のブルネイFAカップで優勝し、今季も決勝に駒を進めており2連覇目前です。国内リーグ2位に終わったDPMM FC IIと本日5月18日の決勝で対戦するのが同3位のインデラFCですが、その監督はマレーシア人のラジャ・イサ・ラジャ・アクラム・シャー氏で、もしこのインデラFCが優勝すれば、ラジャ・イサ監督はブルネイで初めて優勝を経験するマレーシア人指導者となります。

    インドネシアではPSMマカッサルやプルシカボ1973など全部で8クラブ、またバングラデシュでも指導経験を持つラジャ・イサ監督は、5月8日に監督に就任すると、5月11日にはFAカップ準決勝セカンドレグで国軍クラブのABDBを4-2で破り、通算成績7-3で決勝進出を決めています。

    2017/18シーズン以来のタイトルがかかるインドラFCが出場するブルネイFAカップ決勝はスルタン・ハサナル・ボルキア国立競技場で20時15分(現地時間)キックオフです。

    クラブライセンス申請期限を過ぎても「柔軟に」対応する第一審機関に疑問の声

    スーパーリーグ2025/26シーズンの国内クラブライセンス申請は5月10日に締め切られましたが、ライセンス申請を審査する第一審機関(FIB)はシーク・ナシル・シーク・シャリフ委員長名で5月16日に声明を発表し、FIBはクラブが提出した書類を受領前精査が終わっていないことを明らかにしたことが波紋を読んでいると、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

    シーク・ナシルFIB委員長の声明では、スーパーリーグ在籍クラブからの387通に加え、(3部に当たる)A1セミプロリーグ在籍クラブからの98通に及ぶ国内クラブライセンス申請書類を締切日の5月10日までに受け取っており、その受領前精査に時間がかかっていると説明しています。

    しかし、締切日の翌日の5月11日にFIBは声明を発表し、今季2024/25シーズンにスーパーリーグに在籍した23クラブとA1セミプロリーグ今季優勝のマラッカFC、同2位のイミグレセン(入国管理局)FCの 2クラブが期限までにクラブライセンス申請書類を受領したと発表しており、この内容が書類の受領前精査中というシーク・ナシルFIB委員長の声明を矛盾している点が指摘されています。

    4月26日のマレーシアカップ決勝で2024/25シーズンを終えたマレーシアスーパーリーグは、選手や監督、コーチに対する給料未払い問題を引き起こしている運営資金不足を理由に、今季7位のペラFC、同8位のスリ・パハンFC、同11位のクダ・ダルル・アマンFC、同13位のクランタン・ダルル・ナイムFCが、来季2025/26シーズンにはリーグ撤退を表明していました。しかしFIBがスーパーリーグ所属の全13クラブから国内クラブライセンス申請を受領したと発表していたことで、各チームのサポーターからは安堵の声も出ていましたが、運営資金不足が解消されたという報道がないこともあり、FIBの発表には一部からは審査の甘さを指摘する声も出ていました。

    当初の国内クラブライセンス申請書類の提出期限は4月30日でしたが、FIBは「複数のクラブからの要請を受けて、」その期限を5月10日まで延長していました。しかし、この5月10日を過ぎても、提出された書類の審査ではなく、「提出前の」書類の精査を行っていることが明らかになり、しかもこの提出前精査をFIBのライセンス発行部ではなく、FIB委員長以下総出で行っているような印象を与えていることも事態をより不明瞭にしています。

    またこれを報じているニューストレイツタイムズは、5月11日にFIBから出された声明ででは「全てのスーパーリーグクラブ」と自信に満ちて表現されていたものが、5月16日の声明では「各スーパーリーグ」と消極的な表現に変更されたことを指摘し、今季出場の13クラブの中から来季のクラブライセンス申請を行わなかったクラブがあることを示唆しているのではと分析しています。

    シーク・ナシル委員長名の声明では、全ての審査が終了した後、来季の国内クラブライセンスが発給されたクラブを発表するという内容で締めくくられていますが、4月30日の書類提出期限を5月10日まで延長した際には、再度の延長は行わないと強い調子て発表されましたが、今回の提出前精査の期限は区切られておらず、そもそも5月10日の締切日そのものに何の意味もなかったことが露呈した形になってしまっただけでなく、FIBの優柔不断な姿勢も今後の状況次第では批判を浴びることになりそうです。

    5月17日のニュース:<br>・6月のベトナム戦に向けた代表合宿参加メンバー38名を発表<br>・代表選考基準に疑問の声もクラモフスキー監督は選考に自信<br>・元エバートンの「神童」がマレーシア代表コーチに就任 

    6月のベトナム戦に向けた代表合宿参加メンバー大挙38名を発表

    マレーシアサッカー協会(FAM)は、5月15日に明日から始まる代表合宿の参加メンバー38名を発表しています。

    P氏名年齢所属
    GKシーハン・ハズミ29JDT
    アズリ・ガニ26KLC
    ハジク・ナズリ27PRK
    ラーディアズリ・ラハリム24TRE
    サイド・ナスルルハク26TRE
    DFラヴェル・コービン=オング34JDT
    マシュー・デイヴィーズ30JDT
    シャールル・サアド32JDT
    ジュニオール・エルドストル32JDT
    アリフ・アフマド22JDT II
    シャフィザン・アルシャド20JDT II
    ハリス・ハイカル23SEL
    ジクリ・カリリ23SEL
    クエンティン・チェン26SEL
    アイマン・ハキム20SEL U23
    サフワン・マズラン23TRE
    ウバイドラー・シャムスル22TRE
    ドミニク・タン28SAB
    ダニエル・ティン33SAB
    ガブリエル・パルメロ23TEN
    MFアフィク・ファザイル31JDT
    ナズミ・ファイズ31JDT
    ナサニエル・シオ・ホンワン25JDT
    シャマー・クティ31JDT
    ノーア・ライネ23SEL
    ムハマド・アブ・カリル20SEL
    ハイカル・ダニシュ20SEL U23
    スチュアート・ウィルキン27SAB
    ディオン・クールズ29BRU
    エクトル・へヴェル29POR
    FWアリフ・アイマン23JDT
    ファーガス・ティアニー22JDT
    ロメル・モラレス28JDT
    ファイサル・ハリム27SEL
    サファウィ・ラシド28TRE
    パウロ・ジョズエ36KLC
    ハキミ・アジム22KLC
    エンドリック・ドス・サントス30HMC
    チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC, SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、KLC-KLシティFC、PEN-ペナンFC、PRK-ペラFC、TEN-スペイン4部CDテネリフェB、POR-ポルトガル1部ポルティモネンセSC、BRU-タイ1部ブリーラム・ユナイテッド、HMC-ベトナム1部ホーチミンシティFC

    またこの他、以下の12名が追加招集候補として発表されています。

    P氏名年齢所属
    GKクリスチャン・アバド19JDT
    カラムラー・アル=ハフィズ30SEL
    シーク・イズハン23SEL
    DFアザム・アズミ24JDT
    シャルル・ナジーム26SEL
    シャールル・ニザム27TRE
    アディブ・ラオプ26PEN
    MFライアン・ランバート27KLC
    セルヒオ・アグエロ31SRP
    FWモハマドゥ・スマレ31JDT
    アキヤ・ラシド26TRE
    ダレン・ロック35SAB
    チーム名:PEN-ペナンFC、SRP-スリ・パハンFC、

    マレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督は、アジアカップ2027年大会3次予選の初戦となった3月25日のネパール戦から25名を引き続き召集する一方、トップリーグでは出場経験のない若い選手も複数名招集しています。

    今回の代表合宿は第1期から第3期までの3段階で行われ、5月18日から始まる第1期には28名が参加し、5月25日から始まる第2期にはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の7選手(シーハン・ハズミ、ラヴェル・コービン=オング、マシュー・ディヴィーズ、シャールル・サアド、ジュニオール・エルドストール、アフィク・ファザイル、ロメル・モラレス)と海外組のエンドリック・ドス・サントス(ベトナム1部ホーチミンシティFC)が合流し、6月1日からの第3期には、残る海外組のディオン・クールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)、エクトル・へヴェル(ポルトガル1部ポルティモネンセ)が合流して全員が揃う予定です。代表合宿は5月18日から5月26日まではジョホール州ジョホール・バルで、5月27日からはクアラ・ルンプールに場所を移して行われます。

    直近のFIFAランキングでは131位のマレーシア代表は、同72位のカーボ・ヴェルデ代表と5月29日にKLフットボールスタジアムで国際親善試合を行った後、6月3日にブキ・ジャリル国立競技場で再びカーボ・ヴェルデ代表とこちらは非公開で対戦します。

    そして6月10日には、アジアカップ2027大会3次予選の2戦目としてブキ・ジャリル国立競技場でFIFAランキング109位のベトナム代表と対戦します。この予選では各組1位のみがサウジアラビアでの本大会に出場できるため、マレーシア代表はベトナム代表に勝利しない限り、2大会連続でのアジアカップ出場の可能性はありません。なおマレーシア代表は、ベトナム代表との対戦は5連敗中で、過去8試合で見ても0勝1分7敗と明らかに分が悪く、マレーシア代表が最後にベトナム代表に勝利したのは2014年12月の東南アジア選手権まで10年以上も遡らなくてはなりません。

    代表選考基準に疑問の声もクラモフスキー監督は選考に自信

    ​マレーシアサッカー協会(FAM)が5月15日に発表した代表合宿38名について、ピーター・クラモフスキー監督が本当にベストメンバーを選んだのかどうかを疑問視する声が上がっていると、英字紙スターが報じています。

    今回発表された代表合宿参加者38名中、3シーズン連続で国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)からは12名(U23の選手を含めれば14名)が選ばれていますが、その中に含まれているDFジュニオール・エルドストールとMFナサニエル・シオ・ホンワンについて、今季の出場時間が少ないことから、他に選ぶべき選手がいるのではと言う声が上がっています。

    33歳のCBエルドスール選手は今季はリーグ戦未出場で、FAカップとマレーシアカップでそれぞれ1試合出場したのみ、一方の24歳のDMFホンワン選手はケガから復帰したこともありリーグ戦11試合カップ戦2試合で、リーグ戦の出場時間は425分となっています。

    同じポジションにはこのJDTと4月26日のマレーシアカップ決勝で対戦したスリ・パハンFCに元JDTのCBアダム・ノー・アズリン、そしてDMFイブラヒム・マヌシらもいましたが、この両選手は今回の代表合宿には招集されませんでした。そして、こう行った疑問の声が代表合宿参加者発表の記者会見で上がると、以下のように答えています。

    「私が選手に求めるものは試合での激しさと勝利への渇望だ。私はJDTや他のクラブの状況を逐一観察しており、ジュニオールは毎日、一生懸命トレーニングしており、私が求めるものを持ち合わせている。またホンワンは練習に復帰して数週間だが、動きに鋭さがあり、自分の能力を代表チームで発揮する機会を与えるために招集した。」

    3月25日のネパール代表戦の選手選考では、やはり今季のリーグ戦出場がわずか139分しかなかったJDTのFWモハマドゥ・スマレを試合前の合宿に参加させて同様の疑問が投げかけられましたが、その際にクラモフスキー監督は、選手選考は長期の計画に基づいていることや選考に漏れた選手は次に選ばれるように努力を続けて欲しいと話していました。

    「(今回招集された)ファーガス(ティアニー、JDT)を見て欲しい。ネパール代表戦では招集されなかったが、今回招集されている。私から選手たちへのメッセージは『ポジティブであり続けて自分をレベルアップさせれば、必ずチャンスは来る』だ。」と述べたクラモフスキー監督は、アダム(ノー・アズリン)とイブラヒム(マヌシ)のことは知っており、今後の代表合宿招集の可能性は大いにあるとも話しています。

    元エバートンの「神童」が代表コーチに就任

    ​エバートンの「神童」といえば2002年に16歳でトップチームデビューを果たしたウェイン・ルーニーかと思っていましたが、2008/09シーズンにそのルーニーを上回る16歳と191日でトップチームデビュを果たしたのがジョゼ・バクスターでした。しかしクラブ最年少記録でデビューしたバクスターは、その後、元アーセナル監督のミケル・アルテタや、ロシアW杯日本戦で同点ゴールを決めた元ベルギー代表のマルアン・フェライニらとのポジション争いに敗れ、さらに薬物使用などの経歴もあり大成せることはありませんでした。

    そんなバクスター氏が麻薬所持は死刑となるマレーシアで代表チームのコーチとなることが発表されています。2020年に現役を引退し、現在32歳のバクスター氏は、マレーシア代表コーチを就任からわずか3ヶ月で辞任したマーク・ミリガン(元ジェフユナイテッド)に代わるコーチとして、代表のコーチを務める他、U23代表のコーチも同時に務めることが発表されており、明日から始まるマレーシア代表合宿にも参加すると言うことです。

    バクスター氏のコーチ就任は「長期の計画に基づいたもの(!)」だと説明したピーター・クラモフスキー監督は、バクスター氏は当初はU23代表のコーチとして採用したが、ミリガン氏が辞任したことで、A代表も合わせてコーチしてもらうことにしたと説明しています。なお、これに関連しているかどうかは不明ですが、今回の代表合宿にはJDTのU23チームJDT IIからアリフ・アフマド(22)とシャフィザン・アルシャド(20)、スランゴールFCのU23チームスランゴールFC IIからはいずれも20歳のハイカル・ダニシュとアイマン・ハキムがそれぞれ選ばれています。またいずれもタイ1部で15位に終わったナコーンパトム・ユナイテッドで今季プレーしたファーガス・ティアニー(22、JDTからローン移籍)、モハマド・アブ・カリル(20、スランゴールFCからローン移籍)らも今回の代表合宿に招集されており、全参加者38名中で見ても、U23の選手は前述の6名を含めて全13名と全体の三分の一を占めています。

    4月27日のニュース:マレーシアカップ決勝<br>・ジョホールが優勝し3季連続国内三冠達成、主力を欠くパハンもあと一歩までジョホールを追い詰める

    4月27日に今シーズンの最終公式戦となる2024/25マレーシアカップの決勝が行われ、既にリーグ戦とFAカップの国内二冠を達成していたジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が、スリ・パハンFCを逆転で破り、2022年、2023年に続く3季連続の国内三冠を達成しています。

    今からおよそ104年前の1921年(大正10年)8月20日に始まったマレーシアカップは、同年9月に始まったサッカー天皇杯(天皇杯JFA全日本サッカー選手権)とともに、アジア最古のカップ戦の一つです。日本が当時の英領マラヤを占領した1942年から1945年まで、そして戦後の混乱期となった1946年から1947年までは中断されましたが、その時期を除く毎年開催された大会は今回が第98回大会となりました。

    マレーシアサッカーの歴史を簡単に紐解くと、FAカップは1990年に始まった比較的新しい大会です。また現在行われている国内リーグは、1974年からマレーシアカップの予選ラウンドとして行われていたものが独立、発展したもので、伝統という点ではマレーシアカップには遠く及びません。これに対して各州を代用するチームの対抗戦として始まったマレーシアカップは、サポーターにとっては自分の出身地のチームを応援する、いわば「甲子園」。そもそも「クラブ」という概念がなかったため、例えばスランゴール州を代表するのはスランゴール州サッカー協会チーム(スランゴールFA)の1チームのみ、ジョホール州を代表するのはジョホール州サッカー協会チーム(ジョホールFA)と各州から1チームのみの出場となっていたことも甲子園と重なります。このためマレーシアサッカーの古い記録では、このFAという名のつくチームが散見されますが、その理由にはこのような背景があります。

    話が逸れてしまいましたが、マレーシアサッカーの伝統を引き継ぐマレーシアカップの特に決勝は現在でもシーズン最大の注目を集める試合で、、昨年の決勝戦JDT対トレンガヌは公式発表80,550人、一昨年の決勝戦JDT対スランゴールは同79,98人と、どのチームが決勝に駒を進めても85,500人収容のブキ・ジャリル国立競技場は、毎回ほぼ満員となります。

    しかし今大会はリーグ覇者で今季無敗のJDTとリーグ8位のスリ・パハンの対戦ということもあってか、試合の1週間前にはおよそ60%のチケットしか売れていないと報じられていました。それでも蓋を開けて見れば、そこはマレーシアカップ、以下の通り55,000人を超える観衆が集まりました。

    ちなみにスタジアム周辺も結構な人出でした。特に今季最終戦ということもあり、ユニフォーム(大半がコピー商品)を売る屋台があちこちで今季の各チームのユニフォームを1枚20リンギ(1リンギはおよそ30円)で叩き売りしていました。


    なお試合前にJDTのサポーターグループ「ボーイズオブストレイツ」が、以下のようなコレオを披露していました。JDTにはサザン・タイガーズ「南の虎」、対するスリ・パハンにはエレファンツ「象」の愛称があることから、この図柄になっています。また書かれた文字は「いなくなっても悲しまない。絶対に。」のような意味ですが、これはスリ・パハンFCが今季をもってスーパーリーグを撤退するという話があることに関連するものです。

    以下がこの試合の両チームの先発XI。スリ・パハンは今季8ゴールでチーム得点王のFWクパー・シャーマンが警告累積により出場停止、またMFマヌエル・イダルゴはJDTからのローン移籍中のためこの試合はベンチ外と、主力の2選手を欠いています。一方のJDTは最終26節に試合がなかったため、4月16日以来の試合で休養十分です。

    試合の方は、開始からJDTが優勢に試合を進めるも、要所でのパスをスリ・パハンの選手が体を張ってことごとくカット。決定機を作らせない展開の中、なんと先制したのはスリ・パハンでした。14分にエセキエル・アグエロの左コーナーキックをアレクサンダー・ツヴェトコヴィッチが頭で合わせますが、これはマレーシア代表GKでもあるJDTのGKシーハン・ハズミがブロック。しかしそこ詰めていたT・サラヴァナンがそのこぼれ球を蹴り込んで、スリ・パハンが先制します。しかし34分にエセキエル・アグエロがこの日2枚のイエローを出されてしまい、退場となります。ちなみにハイライト映像ではヘベルチとアグエロの接触シーンが繰り返されていますが、2枚目のイエローは、そのプレー自体ではなく、その直後にベルグソン・ダ・シルヴァが倒れたアグエロを起こそうとした挑発に乗せられてしまった結果です。(同時にベルグソンにもイエローカードが出ています。)スランゴールFCとのFAカップ決勝でアレクサンダー・アギャルカワが反則覚悟で削られたように、JDTはキーになる選手を徹底的に潰しにくる戦略が得意ですが、この試合ではラズラン・ジョフリ主審の判定が一定しなかったこともあり、スリ・パハンには不利にも取れる判定が何度か見られた結果の退場劇のように見えました。ちなみに退場になったアグエロ選手はピッチを去る際に審判に向かって”How much? How much they pay?”と言っているようです。

    チームの司令塔が早い時間帯に退場となったスリ・パハンですが、前半はこの1点のリードを保って終了します。

    後半開始にJDTのエクトル・ビドリオ監督は、この日精彩を書いていたフアン・ムニスとナチョ・インサに代えて、ロメル・モラレスとイケル・ウンダバレナを投入し、より攻撃的な布陣へとシフトします。そして54分には右サイドのアリフ・アイマンのクロスにゴール前でJDTのオスカル・アリバスとスリ・パハンのアズリフ・ナスルルハクが交錯、長時間のVARが介入した後、JDTはPKを獲得します。(これも映像を見ると、アズリフが前、アリバスがその背後という位置関係で、しかもアズリフとアリバスがほぼ同時にボールに触れているように見えます。)このPKをベルグソンが決めて、JDTがついに同点に追いつきます。

    すると今度はJDTのDFパク・ジュンヒョンがミコラ・アハポフの足を狙ったタックルで2枚目のイエローで退場となり、なんと両チームが10人となる激しい試合となります。しかし自力に勝るJDTはペースを落とすことなく攻め続けると、最後はやはりこの人でした。なお先週のMリーグアウォーズで4季連続のMVPに選ばれたアリフ・アイマンが74分にヘベルチからのロングパスを右サイドで受けると、相手DFをかわして体をひねりながら狭いニアへ狙い済ましてシュート。このボールはスリ・パハンGKザリフ・イルファンが触れることはできたものの、そのままゴールイン。これが決勝点となったJDTが逆転で勝利を収め、通算5度目となるマレーシアカップ優勝を果たしています。なお決勝点を決めたアリフ選手はこの試合のMOMに選ばれています。

    2024/25マレーシアカップ決勝
    2025年4月28日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
    ジョホール・ダルル・タジムFC 2-1 スリ・パハンFC
    ⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ(54分PK)、アリフ・アイマン(74分)
    ⚽️スリ・パハン:T・サラヴァナン(14分)
    MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)

    この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

    敗れたスリ・パハンのファンディ・アフマド監督は、マレーシアカップ決勝戦における審判の質について、試合後の会見で問われるとコメントを控えています。この試合の主審をつとめたラズラン・ジョフリ主審は、昨年11月のJDT対ペラFCの試合で、JDTにPKを与えた判断と、JDTのアリフ・アイマンとペラのトミー・マワトの間の取っ組み合いを制御できなかったことで2試合の割り当て停止処分を受けた「前科」があります。ファンディ監督は、試合はチームがベストを尽くした結果であり、審判の質については試合を見たメディアが判断すべきと述べ、自身は審判にコメントはしないと述べています。その一方で試合中に退場者が出たことには失望し、それは明らかにチームのパフォーマンスに影響が出たとも話しています。なお、そのような審判をそもそもJDTの出場するこの決勝戦で起用したマレーシアサッカー協会(FAM)の意図も不明です。