マレーシアFAカップ決勝やFIFA国際マッチカレンダーなどで、およそ1ヶ月中断していたマレーシアスーパーリーグが再開されています。先月8月26日から開いている今季2度目のトランスファーウィンドウで加入した選手が早速、出場しているチームもあり、後半戦に向けてチーム強化や立て直しが行われています。なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成となっており、今節はクランタン・ダルル・ナイムFCの試合がありません。
リーグ首位のジョホールが開幕から10連勝
MSL2024/25 第10節
2024年9月12日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 5-0 ペナンFC
⚽️ジョホール:オスカル・アリバス(3分)、ホルヘ・オブレゴン2(41分、49分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(66分PK)、アリフ・アイマン(90+4分)
🟨ジョホール(0)、🟨ペナン(3)
MOM:ホルヘ・オブレゴン(ジョホール・ダルル・タジムFC)
9月18日にACLエリート2024/25の初戦となるアウェイの上海海港戦が控えるジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、現在開いているマレーシアリーグ今季2度目のトラランスファーウィンドウで加入したMFエンツォ・ロンバルド、MFイケル・ウンダバレナ、MFエディ・イスラフィロフ、FWホルヘ・オブレゴンと4名の新戦力を早速、先発で起用しています。
マレーシアリーグの登録はフィリピン国籍に基づく東南アジア枠にもかかわらず、先日のムルデカ大会に出場したフィリピン代表ではなぜかプレーしなかったオスカル・アリバスが開始3分でゴールを決めると、新戦力のホルヘ・オブレゴンが41分に加入後初ゴールを決めて、JDTが2点のリードで前半を終えます。
後半開始早々の49分にもオブレゴン選手がこの試合2点目のゴールを決めると、現在のリーグ得点王ながらベンチスタートとなったベルグソン・ダ・シルヴァが今季10得点目となるPKを決めると、ロスタイムにはアリフ・アイマンがダメ押しとなる5点目をやはりPKで決めています。
昨季は同じカードで0−8と大敗しているペナンは、前半は2点で凌いだものの、後半の二つのPKはなんとも微妙な判定に泣かされた結果でした。トランスファーウィンドウで加入したオーストラリア出身のFWディラン・ウェンゼル・ホールズが今後期待できそうなプレーを見せたのはせめてもの救いでしょうか。
2位スランゴールも新戦力の活躍でホーム6連勝
MSL2024/25 第10節
2024年9月13日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 4-0 クチンシティFC
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(11分)、アリ・オルワン(67分)、ウマルベク・エシュムロドフ(75分)、アルヴィン・フォルテス(80分)
🟨スランゴール(1)、🟨クチンシティ(1)
MOM:ノー・アル=ラワブデ(スランゴールFC)
先日クアラ・ルンプールで開催されたW杯アジア3次予選のパレスチナ対ヨルダン戦で、ヨルダン代表のメンバーとしてマレーシアデビューを果たしていたスランゴールFCのアリ・オルワンがチームの先制ゴールをアシストしています。ロニー・フェルナンデスの先制ゴールは映像ではゴール前にフェルナンデス選手の手にも当たっているように見えますが、VARが入った結果、ゴールが認められています。
後半に入ると、1点目をアシストしたアリ選手が67分に自身でもゴールを決めています。サラに74分にウズベキスタン代表ウマルベク・エシュムロドフがスランゴールFC加入後初ゴールを決め、80分にはアルヴィン・フォルテスが4点目を決めるなど開所したスランゴールはこれでホーム6連勝となりました。
6試合負けなしだったクチンシティでしたが、スランゴールの前にリーグ戦では5月26日以来の負けを喫しています。
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。
ヌグリスンビランは今季ホーム初勝利ならず
MSL2024/25 第10節
2024年9月14日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 0-1 ペラFC
⚽️ペラ:クレイトン(48分)
🟨ヌグリスンビラン(1)、🟨ペラ(2)
MOM:アキル・ラザク(ヌグリスンビランFC)
今季ここまで1勝のヌグリスンビランが、今季2勝のペラを迎えた試合は、ペラが開始から試合を優勢に進め、そのまま勝利しています。敗れたヌグリスンビランは、佐々木匠選手があわやゴールというフリーキックを止められ、また、この試合のMOMとなったGKアキル・ラザクが65分にPKを止めるなど好セーブを連発して奮闘しましたが、今季ホームでの初勝利はお預けとなりました。
開幕直前に就任したアズミ・アジズ監督が1勝1分6敗という成績を残すと、FIFA国際マッチデーによるリーグ中断を待たず、8月15日にアズミ氏をテクニカル・ディレクターに「昇格」させ、N・ナンタクマル コーチを監督に据えたヌグリスンビランでしたが、1ヶ月の中断期間では大きな変化をもたらすことはできなかったようです。あまりに成績が悪いことから、給料未払いも疑われた(汗)ヌグリスンビランですが、現在はそういった問題が起こっていないと答えたN・ナンタクマル監督ですが、には現在開いているトランスファーウィンドウで2名の新外国籍選手加入の噂もあり、それがカンフル剤になることを期待したいところです。
ヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。
KLシティは給料未払いによる主力選手出場ボイコットのクダに圧勝
MSL2024/25 第10節
2024年9月14日@KLフットボール・スタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 5-0 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️KLシティ:ヨヴァン・モティカ(14分)、ハズリ・バルキエフ(23分OG)、ザフリ・ヤーヤ(26分)、パウロ・ジョズエ2(49分、58分)
🟨KLシティ(2)、🟨クダ(1)
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティFC)
パウロ・ジョズエがクラブ最多ゴール記録となるパウロ・ジョズエのゴールなどで5点を挙げたKLシティが、ほぼ全員がリザーブチームのメンバーで構成されたクダ・ダルル・アマンを破り、連敗を2で止めています。
給料未払い問題に加え、クラブによる所得税未払いなども発覚したことから勝点3を剥奪されたKLシティに対し、同様の給料未払い問題を数ヶ月にわたり抱えているクダは、主力選手が練習を1週間以上ボイコットしており、ナフジ・ザイン監督は窮余の一策として、リザーブチームのU23とU20の選手をかき集めてこの試合のメンバーを編成しています。しかし、トップリーグ初出場の選手が大半のチームはKLシティに翻弄され、しかも試合のペースにもついていけませんでした。
この試合ではあわやハットトリック達成かという活躍をしたパウロ・ジョズエはクラブ最多ゴールとなる68ゴール目と、自身の記録を更新する69ゴール目を記録し、それまで記録を持っていた現スリ・パハンFC監督でシンガポールのレジェンド、ファンディ・アフマドの記録を抜いています。
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一方、KLシティに完敗したクダは、マレーシア代表でもプレーするGKカラムラー・アル=ハフィズと双方合意による契約解除を発表しています。2022年シーズン終了後に当時のPJシティFC(現在は解散)から移籍したカラムラー選手は、クダの正GKとしてリーグ戦とカップ戦合わせて36試合に出場し、46失点とクリーンシート14試合を記録しています。このカラムラー選手の退団を皮切りに、クダは今後も主力選手の退団が予想されます。
3位トレンガヌと5位サバの対戦は引き分けに
MSL2024/25 第10節
2024年9月15日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 1-1 トレンガヌFC
⚽️サバ:ジョアン・ペドロ(11分)
⚽️トレンガヌ:イスマイル・アキナデ(45+1分)
🟨サバ(1)、🟨トレンガヌ(1)
MOM:スハイミ・フシン(トレンガヌFC)
現在開いているトランスファーウィンドウで、リーグ5位サバはベトナム1部のベトテルFCで12試合出場2ゴールという成績を残した24歳のジョアン・ペドロを、また同3位のトレンガヌはタイ1部スコータイFCからエルサルバドル代表キャプテンで32歳のネルソン・ボニーヤと、いずれもFWを補強しています。
いずれもこの試合がマレーシアリーグデビューとなった両選手ですが、最初にゴールを挙げたのはトレンガヌのジョアン・ペドロでした。試合開始から11分、サバGKダミアン・リムからのロングフィードがトレンガヌDFの裏へ出るとこれを受けたキャプテンのパク・テスが低いクロスをゴール前へ。これにジョアン・ペドロが足で合わせ、ホームのサバがあっさりと先制します。しかしトレンガヌも、前半ロスタイムにゴール前の混戦から出たボールをイスマイル・アキナデが押し込んで、トレンガヌが同点に追いつきます。
後半に入ると、両チームともに好機は作るものの、互いにゴールを破流ことができず、結局、1-1で引き分けています。
スリ・パハンが今季最多の5得点でPDRMに圧勝
MSL2024/25 第10節
2024年9月15日@MPTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 5-1 PDRM FC
⚽️スリ・クパー・シャーマン2(17分、47分)、ステファノ・ブルンド2(25分、34分)、マヌエル・イダルゴ(27分)
⚽️PDRM:鈴木ブルーノ(73分)
🟨スリ・パハン(2)、🟨PDRM(2)
MOM:クパー・シャーマン(スリ・パハンFC)
この試合前までは8試合で7得点と得点力不足に悩んでいたスリ・パハンが前半だけで4ゴールを挙げる圧勝で、開幕戦以来となる2勝目を挙げています。昨季は12ゴールを挙げエースのクパー・シャーマンと同じく10ゴールを挙げていたチームゴール数1位と2位の2人が今季はここまでいずれも2ゴールと苦しんでいましたが、この両選手がこの試合ではそれぞれ2ゴールを挙げて、チームを勝利に導いています。
一方のPDRMは鈴木ブルーノ、イフェダヨ・オルセグン、シャーレル・フィクリのFW3名が揃って先発するも、0-5となった後に鈴木ブルーノが今季3点目となるゴールを決めたのみに終わり、連勝も2でストップしています。
PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発してフル出場しています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第10節終了)
順位 | チーム | 試 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 |
1 | JDT | 9 | 25 | 8 | 1 | 0 | 33 | 4 | 29 |
2 | SEL | 10 | 22 | 7 | 1 | 2 | 20 | 8 | 12 |
3 | TRE | 9 | 16 | 4 | 4 | 1 | 14 | 10 | 4 |
4 | SAB | 9 | 14 | 4 | 2 | 3 | 13 | 14 | -1 |
5 | KCH | 10 | 14 | 3 | 5 | 2 | 13 | 14 | -1 |
6 | PDRM | 9 | 11 | 3 | 2 | 4 | 10 | 15 | -5 |
7 | SRP | 9 | 10 | 2 | 4 | 3 | 12 | 13 | -1 |
8 | PEN | 9 | 10 | 2 | 4 | 3 | 9 | 13 | -4 |
9 | PRK | 8 | 9 | 3 | 0 | 5 | 11 | 13 | -2 |
10 | #KLC | 9 | 8 | 4 | 2 | 3 | 15 | 10 | 5 |
11 | *KDA | 9 | 8 | 3 | 2 | 4 | 8 | 17 | -9 |
12 | NSE | 9 | 4 | 1 | 1 | 7 | 8 | 20 | -12 |
13 | KDN | 9 | 3 | 1 | 0 | 8 | 4 | 19 | -15 |
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第10節終了)
| 氏名 | 所属 | ゴール |
1 | ベルグソン・ダ・シルヴァ | JDT | 10 |
2 | ロニー・フェルナンデス | SEL | 7 |
3 | パウロ・ジョズエ | KLC | 6 |
4 | ジョーダン・ミンター | KCH | 5 |
5 | ヘベルチ・フェルナンデス | JDT | 4 |
| イフェダヨ・オルセグン | PDRM | 4 |
| クパー・シャーマン | SRP | 4 |
| ステファノ・ | SRP | 4 |
6 | チェチェ・キプレ他10名 | KCH | 3 |
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハン