9月25日のニュース・アセアンクラブ選手権:トレンガヌFCとドンア・タインホアFCが試合前会見

アセアンクラブ選手権ショッピーカップ- トレンガヌFCとドンア・タインホアFCが試合前会見

東南アジアサッカー連盟(AFF)クラブ選手権「ショッピーカップ』2024/25の第2節、トレンガヌFC対ドンア・タインホアFC(ベトナム)戦の前日会見が行われ、第1節で2023/24シーズンのカンボジアリーグチャンピオンのプリヤ・カーン・リーチ・スヴァイリエンFC に2−3で敗れているトレンガヌFCのキャプテン、サファウィ・ラシドは、ホームでの連敗は避けるためにも勝利を目指したいと話しています。

スヴァイリエンFC戦ではゴールを挙げているサファウィ選手は、今年7月にベトナムカップ2連覇を果たしている強豪のドンア・タインホアFCに勝つためには多くのサポーターの後押しが必要だとしてて、できれうだけ多くのサポーターに足を運んでもらいたいともの述べています。

一方でドンア・タインホアFCのヴェリザール・ポポフ監督は、主力選手4名がケガのためトレンガヌFC戦に出場できないと述べた上で、選手たちにはより攻撃的な姿勢で臨むように指示してあると話しています。なおドンア・タインホアFCは、第1節では、ミャンマーのシャン・ユナイテッドに3−1で勝利しています。

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なおこの2022年からドンア・タインホアFCを指揮するブルガリア出身のポポフ監督は、2016年シーズンにはマレーシアスーパーリーグのクランタンFC(現在は活動休止中)で監督を務めた経験もあり、この時はチームを前年の9位から4位に引き上げていますが、チームから提示された契約延長を誇示して退団しています。

またトレンガヌFCでプレーするFWイスマヒル・アキナデは2019年にはホーチミンシティFC、2020年にはダナンFC、そして2021年にはホンリン・ハティンFCと3季連続でベトナムリーグでプレーし、通算では36試合出場、12ゴール1アシストという記録を残しています。

現在、マレーシアリーグ2024/25では4勝4分1敗で3位のトレンガヌFCと、開幕したばかりのベトナムリーグ2024/25で1勝1敗で7位のドンア・タインホアFCの試合は、日本人の高崎航地主審が笛を吹き、マレーシア時間の21時キックオフです。

9月24日のニュース・U20アジアカップ予選:E組第2節でマレーシアは北朝鮮とスコアレスドロー

9月22日にマレーシアリーグの今季2度目のトランスファーウィンドウが閉じました。積極的な補強を行なったジョホール・ダルル・タジムFCを除けば、今回のトランスファーウィンドウでは大型補強もありませんでした。特にマレーシア人選手にとっては、自チームを出たくとも複数のクラブが給料未払い問題を抱える中、移籍先がない、というのが現状だったようです。給料未払い問題で主力選手が練習をボイコットしているクダ・ダルル・アマンFCからは、カラムラー・アル=ハフィズとフィクリ・チェ・ソーの両GKがそれぞれスランゴールFCとPDRM FCに移籍していますが、これはむしろ例外で、給料を払われていない多くの選手がそのまま残留せざるを得ないとう報道もあります。給料未払い問題が報道されていないチームも、例えばPDRM FCのように韓国出身で23歳のCBチャン・ジェヒョク、25歳のウィング、オム・デク両選手を獲得していてもチャン選手は延世大学を卒業したばかり、オム選手はそのプロフィールがTransfermarktで見つからない選手で、こういった選手が果たして現在リーグ6位でさらに上位進出を狙いたいチーム事情に則した補強なのかは疑問です。

U20アジアカップ予選:E組第2節でマレーシアと北朝鮮とスコアレスドロー

U20アジアカップ2025年大会の予選E組第2節がタジキスタンのドゥシャンベで行われ、2018年大会以来2大会ぶりの本戦出場を目指すマレーシアU19代表は北朝鮮U19代表と対戦し、0-0で引き分けています。

初戦のオマーン戦を2−1で勝利したマレーシアと、やはり初戦のスリランカ戦を4-0で勝利した北朝鮮の対戦は、ドゥシャンベ中央スタジアムで行われ、北朝鮮有利の下馬評を覆すようにマレーシアが健闘し、前半を0−0で折り返します。

後半の65分には思わぬ展開が待っていました。北朝鮮のDFヒョク・ジョンウンが、初戦のオマーン戦で1ゴール1アシストで勝利に貢献したMFハイカル・ダニシュ(スランゴールFC II)へのファウルで、この試合2枚のイエローが出されて退場となりました。しかし、マレーシアは数的有利となったこの好機を生かすことができませんでした。

この引き分けでファン・トーレス監督率いるマレーシアは、勝点4で北朝鮮と並んだものの、得失差で2位となっています。この後、マレーシアは9月27日に開催国タジキスタンと、そして最終戦となるスリランカ戦は9月29日に予定されています。今回の予選では、A組からJ組までの各組1位のチームと、各組2位の内の成績上位5チームが、2025年に中国で開催される本大会に出場します。マレーシアはこのAFC U20アジアカップの前身のAFC U20選手権の第1回大会(1959年)、第2回大会(1960年)で2大会連続で韓国に敗れて準優勝するなど1960年代までは、準優勝3回、3位1回、4位2回という成績を残していますが、1970年代以降はベスト4進出がありません。

AFC U20アジアカップ予選E組第2節
2024年9月23日@ドゥシャンべ中央スタジアム(タジキスタン、ドゥシャンベ)
北朝鮮U19 0-0 マレーシアU19

この日のもう1試合は、この試合が予選初戦となった開催国タジキスタンがスリランカを3-0で破っています。

AFC U20アジアカップ予選E組第2節
2024年9月23日@ドゥシャンべ中央スタジアム(タジキスタン、ドゥシャンベ)
スリランカU19 0-3 タジキスタンU19
⚽️タジキスタン:ビルロイ・ベボエフ(2分)、マスルル・ガフロフ2(45+2分、54分PK)

また9月21日に行われたE組第1節の結果は以下の通りです。

AFC U20アジアカップ予選E組第1節
2024年9月21日@ドゥシャンべ中央スタジアム(タジキスタン、ドゥシャンベ)
マレーシアU 19 2-1 オマーンU19
⚽️マレーシア:モーゼス・ラジ(30分)、ハイカル・ダニシュ(65分PK)
⚽️オマーン:マジド・アル=ファルシ(88分PK)

AFC U20アジアカップ予選E組第1節
2024年9月21日@ドゥシャンべ中央スタジアム(タジキスタン、ドゥシャンベ)
北朝鮮U19 4-0 スリランカU19
⚽️北朝鮮:イ・ジョンドク3(34分、64分、77分)、チェ・クク(46分)

AFC U20アジアカップ予選E組の日程と結果
第1節(9月21日) マレーシア 2-1 オマーン、北朝鮮 4-0 スリランカ
第2節(9月23日) 北朝鮮 0-0 マレーシア、スリランカ 0-3 タジキスタン
第3節(9月25日) オマーン対スリランカ、タジキスタン対北朝鮮
第4戦(9月27日) オマーン対北朝鮮、マレーシア対タジキスタン
第5節(9月29日) スリランカ対マレーシア、オマーン対

AFC U20アジアカップ予選E組順位表(第2節終了)

得失差勝点
1北朝鮮21104044
2マレーシア21102114
3タジキスタン11003033
4オマーン100112-10
5スリランカ200207-70

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第11節の結果とハイライト映像(1)・練習ボイコットの主力が復帰したクダはスリ・パハンと引き分け・ジョホールはベルグソンの今季3度目のハットトリックなどでクランタンを圧倒

9月20日から9月22日にかけてマレーシアスーパーリーグ(MSL)2024/25第11節が行われました。このタイミングでMSLは規約を変更し、ACLエリートやACL2に出場するチームは最大で12名の外国籍選手の登録が可能になる中、現在開いているトランスファーウィンドウでは、アジアで勝負するため量5名の外国籍選手を獲得したジョホール・ダルル・タジムFCのようなチームがあります。その一方で、給料未払いが数ヶ月に及び、主力が練習をボイコットする事態が起こったクダ・ダルル・アマンFCのように新戦力補強どころか主力選手が流出するチームもあり、リーグ内の「持つ者」と「持たざる者」の格差がさらに広がっています。

なお、今季のマレーシアスーパーリーグ(MSL)は13チーム編成で、今節第11節はクチンシティFCの試合がありません。また9月22日に予定されていたトレンガヌFC対スランゴールFCの試合は、スランゴールFCが9月19日にACL2のムアントン・ユナイテッド戦を戦ったことから、9月28日に変更されています。(各試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより)

練習ボイコットの主力が復帰したクダはスリ・パハンと引き分け

MSL2024/25 第11節
2024年9月20日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 2-2 スリ・パハンFC
⚽️クダ:ハリム・サアリ(58分)、シュクロフ・ヌルロエフ(64分)
⚽️スリ・パハン:エセキエル・アグエロ(52分)、クパー・シャーマン(80分)
🟨クダ(2)、🟨スリ・パハン(1)
MOM:シュクロフ・ヌルロエフ(クダ・ダルル・アマンFC)

数ヶ月に及ぶ給料未払いにより、主力が練習をボイコットしていたクダは、前節第10節のKLシティ戦は、リザーブチーム(U23)とプレジデントカップチーム(U21)の選手でメンバーを編成して試合に臨みました0-5と惨敗しました。そしてホーム開催は今節は、主力が先発XIに戻ったものの、スリ・パハンと引き分けに終わってます。

前半を0−0で終えた試合は、後半の52分にエセキエル・アグエロの今季初ゴールでスリ・パハンが先制しますが、その6分後にはハリム・サアリがやはり今季初ゴールを決めて同点に追いつきます。さらにクダはシュクロフ・ヌルロエフのゴールで64分に逆転しますが、スリ・パハンもエースのクパー・シャーマンが2試合連続となるゴールを決めて追いつき、試合はそのまま引き分けに終わっています

試合後の会見で自チームの選手たちが見せた「プロ意識」と「チーム愛」を称賛する発言を行ったクダのナフジ・ザイン監督は、チームはこの試合の数日前に練習を1度行っただけであることを明かし、このため出場した選手たちのフィットネスレベルが低い中で、勝点1を獲得できたことに満足しているとも話しています。またナフジ監督は、今季開幕前に既に勝点3の剥奪処分を受ける原因となった給料未払い問題が解決していない現状では、その解決が優先であり、現在開いているトランスファーウィンドウでの戦線力の補強は行わないとも述べています。

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給料未払い問題解決の目処が立っていないクダは、最悪の場合には今季途中でリーグ参加停止となる可能性も噂されています。今回はホーム開催ということで主力選手が出場しましたが、次節第12節はアウェイのサバ戦があります。飛行機でしか移動できないサバへは前節第11節のようにU23とU21の選手のみで遠征するのか、あるいは練習ボイコット中の主力が帯同するのかに注目です。

PDRMは交代出場のチーム得点王が決勝ゴールを決める

MSL2024/25 第11節
2024年9月21日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 1-0 サバFC
⚽️PDRM:イフェダヨ・オルセグン(80分)
🟨PDRM(1)、🟨サバ(3)
MOM:ブライアン・シー(PDRM FC)

前節第10節スリ・パハン戦では鈴木ブルーノ、イフェダヨ・オルセグン、シャーレル・フィクリの3トップを起用しながら、守備が崩壊して5失点で敗れたPDRM。P・マニアム監督は、チーム得点王のイフェダヨ・オルセグンをベンチスタート、代わりにチディ・オスチュクウを4試合ぶりに先発に起用しましたが、後半の65分からそのオスチュクワ選手と交代で出場したオルセグン選手が80分にこの試合唯一のゴールを決めて、PDRMを勝利に導いています

PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して85分に交代しています。

ホーム初勝利のペラは今季初の連勝

MSL2024/25 第11節
2024年9月21日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
ペラFC 1~0 KLシティFC
⚽️ペラ:ルカ・ミルノヴィッチ(62分)
🟨PDRM(3)、🟨サバ(3)
MOM:ルシアノ・ゴイゴチェア(ペラFC)

ペラがルカ・ミルノヴィッチのゴールで今季ホーム初勝利を飾っています。前節のヌグリスンビラン戦では1−0と今季初のクリーンシートで勝利したペラは、ルカ・ミルノヴィッチのゴールで挙げた1点を守り切り、2試合連続のクリーン使徒で勝利し、今季初の連勝を記録しています。

敗れたKLシティは、前節ではクダを相手に5−1と大勝していましたが、この試合ではここまで6ゴールを挙げているチーム得点王でキャプテンでもあるパウロ・ジョズエと、マレーシア代表でもプレーするハキミ・アジムの両FWをケガで欠く布陣が機能しませんでした。

新戦力がいずれもゴールのペナンとヌグリスンビランは引き分け

MSL2024/25 第11節
2024年9月22日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 2-2 ヌグリスンビランFC
⚽️ペナン:ロドリゴ・ディアス(14分)、ディラン・ヴェンツェル=ホールズ(16分)
⚽️ヌグリスンビラン:ハディン・アズマン(1分)、セバスチャン・アヴァンジニ(45+3分)
🟨ペナン(3)、🟨ヌグリスンビラン(3)
MOM:セバスチャン・アヴァンジニ(ヌグリスンビラン)

今季ここまで2勝のペナンと1勝のヌグリスンビランの対戦は、開始1分にゴール前の混戦からヌグリスンビランのハディン・アズマンが放ったシュートはゴールポストを直撃するものの、その跳ね返ったボールがペナンDFのアキル・イルファヌディンの頭に当たってそのままゴールインし、ヌグリスンビランが先制します。しかしペナンもに14分にはニック・アキフからのクロスをロドリゴ・ディアスがDF2人をかわしてゴールを決めると、その2分後には新加入のディラン・ウェンツェル=ホールズがシャミル・クティのクロスをダイレクトで蹴り込んで、ペナンが一気に逆転します。このままペナンリードで前半が終わるかと思えたロスタイムに、今度はヌグリスンビランの新戦力で、昨季はKLシティでプレーしたセバスチャン・アヴァンジニがペナルティエリアの遥か外からロングシュートを決めて同点で前半が終了します。

後半は両チームとも無得点に終わった試合は2−2で引き分けとなり、テクニカル・ディレクターに「昇格」したアズミ・アブドル・アジズ前監督に代わってヌグリスンビランの指揮を取って3試合目となったN・ナンタクマル監督はこの試合も初勝利はなりませんでした。この試合の結果、ペナンは勝点11で9位、ヌグリスンビランは同5点で12位と順位は変わっていません。

ヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発して72分に交代しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。
ジョホールはベルグソンの今季3度目のハットトリックなどでクランタンを圧倒

MSL2024/25 第11節
2024年9月22日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
クランタン・ダルル・ナイムFC 6-1 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️クランタン:レイス・カロウブ(65分)
)⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(42分、45分、71分)、アリフ・アイマン2(56分、58分)、ウマル・アズナン(75分OG
🟨クランタン(1)、🟨ジョホール(0)
MOM:アリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)

今季ここまでの9試合で33得点(4失点)と他を圧倒してリーグトップを走るジョホール・ダルル・タジム(JDT)が、これまたリーグの得点王争いをリードするベルグソン・ダ・シルヴァの今季3度目のハットトリックやアリフ・アイマンの2ゴールなどで、リーグ最下位のクランタン・ダルル・ナイムを粉砕しています。

この試合はJDTのスタジアムでの開催ながら、ホームのスルタン・ムハマド4世スタジアムが改修工事で使えないクランタンがホームチームとして行われています。この試合の前までは9試合でわずか4得点(19失点)のクランタンは、昨日終了した今季2度目のトランスファーウィンドウでは、2021年にスリ・パハンでプレー経験もあるミャンマー代表アウン・カウン・マン(タイ1部ナコーンラーチャシーマーFCから加入)、そして今季加入したパレスチナ代表オディ・カロウブの兄レイス・カロウブ、そして2019年から2020年にかけてPJシティFC(現在は解散)でプレーしたブラジル出身のワシントンと3名の外国籍FWを含め6名の新戦力を獲得しています。

試合は開始直後から「アウェイ」のJDTが猛攻を見せるも、クランタンDF陣が給料未払い問題を抱えるクダから移籍してきた地元クランタン州出身のGKフィクリ・チェ・ソーを中心に必死の防戦でこれに耐え続けます。そしてこのままクランタンがJDTを抑えて前半を終えるかと思われた42分、左サイドのナズミ・ファイズからのクロスを胸で落として落ち着いてゴールへ流し込んだベルグソン・ダ・シルヴァのゴールで均衡が破れます。さらに前半終了間際にはヘベルチ・フェルナンデス、ロメル・モラレス、再びヘベルチ、そして最後はベルグソンとショートパスを繋いでゴールを決めたJDTが2点をリードして前半を終了します。

後半には56分、58分とゴールを決めたアリフ・アイマンが71分にはベルグソンのハットトリックをアシストするなど、圧倒的な力を見せつけたJDTがクランタンをレイス・カロウブの1ゴールに抑えて快勝し、開幕からの無敗記録を10に、そして2021年から続く国内リーグの無敗記録を70へと伸ばしています。

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JDTは、代表でも26試合のプレー経験がある26歳のDFシャーミ・サファリがケガの治療のためにスペインに渡航し、今季の残り試合出場を断念したことを発表しています。前節のJDTにPKが3度与えられるという波乱があったペナンFC戦では77分から途中出場したものの、後ろからのタックルで膝を裂くひねるように倒れてタンカで運ばれていました。JDTはこれまでもマシュー・ディヴィーズがドイツで、現在はペナンFCにローン移籍中のシャミル・クティ、そしてクチンシティにやはりローン移籍中のラマダン・サイフラーがいずれもスペインで手術を受けています。また、この試合前にはJDTの選手たちが「シャーミ、我々は君と共にいる」と書かれたTシャツを着てピッチ入りしていました。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第11節途中)
順位チーム勝点
1JDT102891039534
2SEL102271220812
3TRE91644114104
4KCH10143521314-1
5SAB10144241315-2
6PDRM10144241115-4
7PRK9124051213-1
8SRP10112531415-1
9PEN10112531115-4
10#KLC101042415114
11*KDA1093341019-9
12NSE1041171022-12
13KDN103109525-20
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第11節途中)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT13
2ロニー・フェルナンデスSEL7
3パウロ・ジョズエKLC6
4ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
5ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
ステファノ・ブルンドSRP4
ロドリゴ・ディアスPEN4
6チェチェ・キプレ他10名KCH3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハン、PEN-

9月20日のニュース・ACL2:スランゴールの初戦は敵地でムアントンUと引き分け・最新のFIFAランキング発表-マレーシアは2つ順位を上げて132位も東南アジア3位のインドネシアとの差はさらに拡大

ACL2:スランゴールの初戦は敵地でムアントンUと引き分け

昨季までのAFCカップから改編されたACL2が開幕し、H組第1節でスランゴールFCはタイ1部のムアントン・ユナイテッドFCとアウェイで対戦し、1-1で引き分けて勝点1を獲得しています。

この試合は、現在、タイ1部で3位のムアントン・ユナイテッドのホーム、ノンタブリー県ムアントンターニーにあるサンダードームではなくバンコクのラジャマンガラ・スタジアムで行われましたが、これはサンダードームが別の予約で抑えられていたことによるようです。なお両チームの先発XIは以下の通りです。国内リーグ2位のスランゴールは9月13日の国内リーグ戦ではベンチ外だったキャプテンのサフワン・バハルディンが先発に復帰した以外は、変わらぬ10名が先発しています。

本来のホーム開催でないことか、あるいは現地時間で午後5時キックオフだからなのか、はたまた相手が与し易しと見られたスランゴールだからなのか、スタンドはガラガラの様子で、私が見たストリーム配信映像からは遠征したスランゴールサポーターの声だけが非常によく聴こえました。

ACL2用の、一見ペルー代表のようなデザインのユニフォームで臨んだスランゴールですが、試合はムアントン・ユナイテッドが開始から主導権を握る展開となり、スランゴールはときたまゴール前まではボールを運べても、なかなかゴールを向かせてもらえず、シュートには至りません。一方でDF陣は再三ピンチになりますが、マレーシアU23代表でもプレーするGKアジム・アル=アルミンが好セーブを見せて前半は無失点で切り抜けます。

スランゴールのニザム・ジャミル監督は後半開始とともに、ヨハンドリ・オロスコを投入するとこれが功を奏し、後半の47分にはこのオロスロ選手からのパスに抜け出したロニー・フェルナンデスがゴールを決め、スランゴールが先制します。しかしこの失点でさらにギアを上げたムアントン・ユナイテッドは、54分にはスランゴールゴールに迫り、最後は混戦からのこぼれ球をプラチェット・トサニットが蹴り込んで、試合は1−1となります。スランゴールはその後もムアントン・ユナイテッドの堅固な守備を塗って、得た数少ないチャンスをロニー・フェルナンデスが物にできず、両チームとも追加点が取れないまま、1-1で試合は終了しています。スランゴールにとっては貴重な敵地での勝点1となりました。

ACL2は各組の上位2チームがベスト16に進出しますが、このH組には唯一の東アジアのクラブで、しかもACLでは2006年、2016年と2度の優勝経験を持つ圧倒的強者の全北現代モーターズがおり、H組1位突破は間違いないため、残る1枠をスランゴール、ムアントン・ユナイテッド、そしてフィリピンのカヤFCで争うことになります。

ACL2 202/25 H組第1節
2024年9月19日@ラジャマンガラ・スタジアム(タイ、バンコク)
ムアントン・ユナイテッド 1-1 スランゴールFC
⚽️ムアントン:プラチェット・トサニット(54分)
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(47分)
🟨ムアントン(1)、🟨スランゴール(2)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

なおH組のもう1試合は、全北現代モーターズが、DF小林雅弥、MF冨樫凌央、FW濱琳太郎の3選手が所属するセブFCに6−0と大勝しています。

ACL2 202/25 H組第1節
2024年9月19日@リサル・メモリアル・スタジアム(フィリピン、マニラ)
セブFC 0-6 全北現代モーターズ
⚽️全北現代:ジン・テホ(15分)、キム・チャンフン(36分)、ムン・ソンミン(45+1分)、パク・ジェヨン(49分)、ユ・ジェホ(74分)、パク・チェジュン(77分)
🟨セブ(1)、🟨全北現代(0)

なおH組の第2節は、全北現代モーターズFC対ムアントン・ユナイテッドFCが全北現代のホーム、全州ワールドカップ・スタジアムで、スランゴールFC対セブFCはスランゴールのホーム、MBPJスタジアムで、いずれも10月3日に行われます。

ACL2 グループステージH組順位(第1節終了)

チーム得失差勝点
1全北現代11006063
2ムアントンU10101101
3スランゴール10101101
4セブ100106-60
最新のFIFAランキング発表-マレーシアは2つ順位を上げて132位も東南アジア3位のインドネシアとの差はさらに拡大

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回7月のランキングから2つ順位を上げて132位となっています。マレーシアは今月のムルデカ大会では格上のレバノンを破るなどして、合計で1,117.64ポイントを獲得しています。

とは言え、東南アジアでは4位のままで、特に今年4月のランキング発表で6年ぶりにマレーシア(当時138位)を上回ったインドネシア(同134位)は、前回7月の発表ではマレーシアの1つ上の133位でしたが、その後は2026W杯予選でサウジアラビア、オーストラリアと引き分けるなど1,124.17ポイントを積み上げた結果、4位上がって129位となり、マレーシアはその差をさらに広げられています。また東南アジアトップのタイは前回発表より1位アップの100位、同2位のベトナムは前回より1位ダウンの116位となっています。

東南アジアの他国はフィリピンが148位(前回より1位ダウン)、シンガポールが161位(前回と変わらず)、ミャンマーが167位(前回より1位ダウン)、カンボジアが180位(前回と変わらず)、ブルネイが183位(前回より7位アップ)、ラオスが187位(前回より1位アップ)そして東ティモールが196位(前回と変わらず)となっています。

9月19日のニュース・ACLエリート:ジョホールの初戦は中国王者相手に敵地で引き分け・MFLがシーズン途中の規定変更を発表-ACL出場クラブは外国枠選手が最大で12名まで登録可能に

ACLエリート:ジョホールの初戦は中国王者相手に敵地で引き分け

ACLエリート東地区第1節でマレーシア王者のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は昨季の中国王者、上海海港とアウェイで対戦し2度のリードを守りきれず、引き分けて勝点1を獲得しています。

下は上海海港(左)とJDT(右)の先発XIですが、ジョホールは現在開いているマレーシアリーグ今季2度目のトランスファーウィンドウで獲得したGKアンドニ・スビアウレ(スペイン2部CDエルデンセから加入)、DFパク・ジュンホン(タイ1部ラーチャブリーFCから加入)、MFイケル・ウンダバレナ(スペイン2部CDレガネスから加入)、MFエディ・イスラフィロフ(アゼルバイジャン1部ネフチ・バクーより加入)、FWホルヘ・オブレゴン(クロアチア1部HNKリエカから加入)が国内リーグ戦より先にACLでデビューしています。またこの他の先発メンバーではマレーシア人選手は22歳のFWアリフ・アイマンと38歳のMFナチョ・インサの2名だけ、しかもインサ選手はスペイン出身の帰化選手で、マレーシア生まれは11名中でアリフ選手ただ1名、ベンチ入り23名中でもマレーシア生まれは4名です。先発XIが発表になった際には、このチーム編成でマレーシア代表というのもモヤモヤしましたが、それを吹き飛ばしてくれたのがアリフ選手でした。


アリフ選手は、国内リーグでは2021年から3年連続でMVPと最優秀FWに選ばれている他、マレーシア代表では28試合で7ゴール9アシスト、そして昨年までのACLでは18試合に出場して3ゴール3アシストを記録しています。そんなマレーシアの若きエースがこの試合では上海海港相手に躍動し、2ゴールを挙げる活躍を見せました。

試合開始から上海海港がアリフ選手の1点目は45分でした。右サイドでパスを受けると、そのままドリブルで上海DF3名を交わして左足を一閃。このシュートが右サイドネットに決まり、敵地でJDTが先制して前半を折り返しました。

しかし後半開始早々の48分に上海海港が追いつきます。オスカルからのパスをゴール右サイドのウィリアン・ポップがシュートするも、これはJDTのGKアンドニ・スビアウレがブロックしたものの、そのこぼれ球に詰めていたグスタヴォが押し込んで、1−1と試合は振り出しに戻ります。

しかしその8分後、今度は左サイドのホルヘ・オブレゴンが右サイドのスペースをボールを出すと、そこに走り込んだアリフ選手がDFをかわし、飛び出したGKと1対1になるも落ち着いてゴールを決め、JDTが再びリードを奪いました。

再びリードしたJDTでしたが、73分にやはり上海海港が追いつきます。ペナルティエリア左外で得たフリーキックをオスカルがグランダーでゴール前へ出すと、JDTのDF陣はこれをクリアしようとしますが、フェロズ・バハルディンのクリアはゴール前にいた元Jリーグ福岡のウィリアン・ポップに渡ってしまいます。ポップ選手にこれをボレーで決められて、追いつかれたJDTでしたが、7分のアディショナルタイムも上海海港の猛攻をGKアンドニ・スビアウレのスーパーセーブなどもありなんとか防ぎ、敵地で貴重な勝点1を獲得しています。

JDTの次戦は10月1日にホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムに、初戦で浦項スティーラーズに4−1で勝利した上海申花を迎えます。一方、上海海港はアウェイでその浦項スティーラーズと対戦します。

ACLエリート東地区第1節
2024年9月18日@浦東足球場(中国、上海市)
上海海港 2-2 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️上海:グスタヴォ(48分)、ウィリアン・ポップ(73分)
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン2(45分、56分)
🟨上海海港(2)、🟨ジョホール(2)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
MFLがシーズン途中の規定変更を発表-ACL出場クラブは外国枠選手が最大で12名まで登録可能に

ACLエリートの上海海港対ジョホール・ダルル・アマンFC戦が行われたその同じ日に、マレーシアンフットボールリーグ(MFL)は2024/25シーズンのリーグマニュアルの改定をひっそりと発表しています。この改定では、条件次第では外国人選手の登録が最大12名まで認められるようになります。

複数のクラブが給料未払い問題を抱える中、マレーシア・フットボールリーグ(MFL)は本日、MFL参加各クラブの過半数の同意とMFL理事会の承認を受けて、2024/25シーズンのマレーシアリーグマニュアルの改定を発表しました。

現在のMFLの規定では、1部リーグのマレーシアスーパーリーグに所属するクラブは、最大で9名の外国籍選手の登録が可能です、9名の内訳は無条件で7名、アジア枠1名、東南アジア枠1名です。また試合では6名がベンチ入り可能で、同時にピッチに立てるのは5名まで(無条件3名、アジア枠1名、東南アジア枠1名)となっています。またアジアサッカー連盟(AFC)主催大会のACLエリートとACL2に出場するクラブについては、特例でさらに1名の外国籍選手の登録が認められていました。

今回の改訂では、AFC大会出場の特例枠を持つクラブについては追加で2名、合計すると最大で12名まで外国籍選手の登録が認められるようになり、その2名はマレーシア国内リーグではU23チームが対戦するMFLカップでのみプレーすることが許されます。

この改定は、ACLエリートに出場しているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が提出した提案に基づいています。今回の改定は、AFC主催大会だけでなく、東南アジアサッカー連盟(AFF)の主催大会にも適用され、ACLエリート出場のJDT、ACL2出場のスランゴールFCだけでなく、AFFクラブ選手権「ショッピーカップ」に出場するにトレンガヌFCとKLシティFCについても、最大12名まで外国籍選手を登録することが可能となります。

この2名の追加外国籍選手枠に関する改定は、AFCによる外国人選手無制限登録の決定に基づくもので、AFCやAFF主催の国際大会でマレーシアのクラブの競争力を高めるためのものだとしています。なお、国内リーグのスーパーリーグ、国内カップ戦のマレーシアカップ、およびマレーシアカップに出場しないクラブが対戦するMFLチャレンジカップ2024/25については、トップチームの外国人選手登録枠はこれまで通り、最大7名(ベンチ入りが可能な6名+1名)です。

またまた若いマレーシア人選手の出場枠を確保するため、リザーブリーグに当たるU23チームが対戦するMFLカップの登録枠については、23歳以上のマレーシア人選手が最低5名と外国籍選手最大3名(そのうち2名が同時にピッチでプレー可能)の規定が維持されます。

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前述したように、昨日の上海海港対JDTの試合では、JDTの先発XIの内、マレーシア生まれは2ゴールを決めたアリフ・アイマン1名だけで、残りは全員が外国籍或いは外国生まれの帰化選手でした。そんなメンバーを擁しても中国リーグの昨季チャンピオンと引き分けだったことを考えると、「アジアで他国のクラブと対等に戦う」という観点からは、この外国籍選手枠増は必要なことのように思えます。

その一方で、国内リーグに目を向けると、給料未払い問題を抱えるクラブが複数あり、それにより勝点剥奪などの処分を受けているクラブすらあります。今回の改定による上限の12名まで外国籍選手を獲得できるクラブがあれば、運営資金などの理由から試合に出場できる5名の枠すら満たしていないクラブもあるマレーシア国内リーグは、既に「持つもの」が「持たないもの」を駆逐する状況になっています。現在は2部プレミアリーグが休止中で、給料未払い問題が起こらなければリーグ最下位となっても下部リーグへの降格の心配もない「異常事態」に救われているクラブもある中、今回の改定がさらにリーグ内での分断を引き起こすことは明らかです。

またJDTは国内随一の施設を持ち、選手の福利厚生も暑く、多くのマレーシア人選手がJDTでプレーすることを望んでいます。マレーシア代表の選手も多く所属していますが、昨日の上海海港戦では、GKシーハン・ハズミ、DFマシュー・デイヴィーズ、DFラヴェル・コービン=オング、DFフェロズ・バハルディン、FWロメル・モラレスといったマレーシア代表の主力選手が全員ベンチスタートでした。この内、マシュー・ディヴィーズとフェロズ・バハルディンは交代出場がありましたが、実情はマレーシア代表選手はACLEの試合以外の国内リーグでのローテーション要員に成り下がっているとも言え、MFLによる今回の改定はこの状況をさらに進めていくことにもなりそうです。

9月18日のニュース・ACLエリート初戦に臨むジョホールは上海海港のフィジカルの強さを警戒

ACLエリート初戦に臨むジョホールは上海海港のフィジカルの強さを警戒

本日9月18日にACLエリート(ACLE)2024/25の東地区第1節で対戦する上海海港対ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の試合前会見が行われ、JDTのエクトル・ビドリオ監督は、上海海港のフィジカルの強さに負けないようにしたいと語っています。

マレーシア時間で20時キックオフとなるこの試合についてビドリオ監督は、マレーシア国内リーグよりも速い試合展開の激しい試合になるだろうと予測しているが、上海海港のような強豪に対峙できるよう、チームをベストコンディションに仕上げてあると胸を張っています。

「我々は試合に向けて準備が整っている。重要なACLエリートの初戦であり、チームをノックアウトステージに進めるためにも全力で臨みたい。」

アウェイではあるものの攻撃的な布陣で臨むつもりだと話したビドリオ監督は、その一方でポゼッションサッカーを得意とする上海海港がフィジカルの強さを全面に出してくることも予想しており、選手たちにはそのつもりで対処するよう伝えてあると話しています。

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上海海港は昨季の中国1部チャンピオンで、その監督は2022年に横浜Fマリノスを優勝に導いたケヴィン・マスカットです。さらにその戦力は元ブラジル代表で前チェルシーのMFオスカルに加え、FWグスタヴォ、元福岡のFWウィリアン・ポッピ、MFレオナルド・シッタジーニ、DFマテウス・ジュッサのブラジル組や、イングランドの年代別代表の経験もある中国代表DFティアス・ブラウニングこと蒋光太、英国生まれの元台湾代表FWウィル・ドンキンら外国籍選手に加え、中国人選手も先日のW杯アジア3次予選日本戦にも出場したDFウー・レイ(武磊)を始め、DFウェイ・ゼン(魏震)、GKヤン・ジュンリン(顔駿凌)ら代表選手が顔を揃えています。

自身初のACLでもあるJDTのビドリオ監督は、JDTのメンバーに自信を持っているようですが、気になるのはこの日の会見にも出席したキャプテンでCBのジョルディ・アマトの体調です。8月4日のFAカップ準決勝クダ・ダルル・アマンFC戦でケガのため、途中退場したアマト選手ですが、その後はインドネシア代表でもいずれも引き分けに終わったサウジアラビア戦、オーストラリア戦にも出場しておらず、今日の試合には間に合うという報道があるものの、守備の要となるアマト選手がいるかいないかでは、試合結果にも影響を与えることになりますが、果たしてどうなるでしょう。

9月17日のニュース・移籍情報:給料未払い問題のクダを退団した代表GKがACL2出場のスランゴールに加入・イタリア出身の元ラ・リガのマレーシア駐在員が国内リーグCEOに就任

移籍情報:給料未払い問題のクダを退団した代表GKがACL2出場のスランゴールに加入

9月16日に開幕するACL2に出場するスランゴールFCは、クダ・ダルル・アマンFCとの契約解除を発表したGKカラムラー・アル=ハフィズの加入を公式サイトで発表しています。

29歳のカラムラー選手は、フェルダ・ユナイテッドFC(現在は解散)でプロ生活を始め、2019年からPJシティFC(現在は解散)に加入し、4年間プで54試合に出場しています。PJシティFC解散後の昨季はケダ・ダルル・アマンFCに加入し、今季途中までで通算36試合に出場し、クリーンシート14回を記録しています。

また2022年12月9日には、カンボジア代表との国際親善試合で代表デビューを果たしていますが、その後は代表には招集されているものの出場はなく、シーハン・ハズミ(ジョホール・ダルル・タジムFC、JDT)の控えとなっています。

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給料未払いにより主力選手が練習参加をボイコット中のクダの退団第1号となったカラムラー選手の加入はスランゴールFCにとっては大きな補強になりそうです。今季開幕からほとんどの試合でゴールを守っていた代表歴もあるGKサミュエル・サマヴィルが8月24日のFAカップ決勝でJDT相手に67分までに4失点すると、「『自信喪失』を防ぐために」(ニザム・ジャミル監督談)途中交代しています。その後の最初の試合となった9月13日のクチンシティFC戦にはマレーシアU23代表GKアズミ・アル=アミンが起用され、サマヴィル選手はベンチ外になっていました。

イタリア出身の元ラ・リガのマレーシア駐在員が国内リーグCEOに就任

マレーシア国内プロリーグのマレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、先月8月31日に任期満了で退任したスチュアート・ラマリンガム氏に代わる新たなCEOとして、イタリア出身のジョルジオ・ポンピリ・ロッシの就任を発表しています。

ロッシ新CEOは、2017年から2021年までスペインのラ・リガのマレーシア駐在員として勤務経験もあり、また前任者のスチュアート氏とともに仕事をした経験もあるため、マレーシアのサッカー界には馴染みがある人物だと英字紙ニューストレイツタイムズは報じています。

スポーツマネジメント、スポーツマーケティング、スポーツ&エンターテインメントマネジメンの3つの修士号を持つロッシ氏は、2017年にラ・リーガに加入し、マレーシア駐在員に任命されると、2021年にはタイ駐在となり、ラオス、カンボジア、ミャンマー各国のリーグ運営にもアドバイスなどをしてきたということです。

マレーシアリーグ新CEOがクラブライセンス発給条件厳格化とリーグの規模縮小

マレーシアンフットボールリーグ(MFL)のジョルジオ・ロッシ新CEOは、就任後最初の記者会見でリーグの財政枠組みとクラブライセンス発給城家の見直しに着手する計画があると発言しています。

複数のクラブが抱える財政困難の原因となっている問題に対処しながら、リーグの構造を徹底的に見直すつもりだとも述べたロッシCEOは、リーグの財政的安定を確保するためにも長期戦略の必要性を強調しています。

「クラブライセンス発給条件とリーグ構造の見直しは行うが、それだけが各クラブが抱える財政困窮の原因とは考えていない、私が目指すのは強靭な財務状況であり、そのためにはMFLに適した仕組みを新たに構築する必要があると考えている。」

さらにロッシCEOは、勝点剥奪や新規選手獲得禁止などの財政問題を抱えるクラブに対する処分は必要であるとしながらも、問題の解決にはなっていないとも指摘しています。

またロッシCEOは、スーパーリーグに所属するためのクラブライセンス発給条件であるトップチーム以下、リザーブチーム(U23)、プレジデントカップチーム(U21)、ユースカップチーム(U19)の保有義務についても見直しを検討していると述べただけでなく、競争力を高めながらもクラブの財政負担を軽減するためのスーパーリーグ自体の構造の見直しを行う予定があるとしています。

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今季は既にクダ・ダルル・アマンFCとKLシティFCが給料未払いなどを理由に勝点剥奪処分を受けていますが、ロッシCEOの言うとおり、クラブに対する処分は科すことができても、給料未払い問題が解決するわけではなく、むしろその処分を受け入れればクラブは存続できることにもなり、結局苦しむのは選手という図式は何も変わりません。

リーグ構造を見直すことにまで言及しているロッシCEOですが、そこで考えられるのがリーグの縮小です。2022年には1部スーパーリーグ12チーム、2部プレミアリーグ10チームで構成されていたMFLですが、2023年に行われたリーグ再編成、具体的には1部と2部の合併により、1部スーパーリーグは14チーム編成、2部プレミアリーグは休止となりました。

2022年のプレミアリーグでは3チームがリザーブチームであったことから、この3チームとマレーシアサッカー協会が運営する育成プロジェクトチームのFAM-MSNプロジェクトの4チームは、2023年に新設されたリザーブリーグのMFLカップに移っています。さらに残る6チームのうち、大学チームのUITM FCは3部アマチュアリーグへの降格を選択し、結局、5チームがスーパーリーグに合流しました。しかし2022年のスーパーリーグでプレーしたマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドはともに給料未払い問題未解決により2023年のクラブライセンスが交付されず、3部のアマチュアリーグへ降格、またPJシティFCは資金調達の目処がつかないとして解散し、9チームがスーパーリーグに残りました。この結果が14チーム編成となった2023年のスーパーリーグでした。

そして今季2024/25シーズンは、クランタンFCがやはり給料未払いによりクラブライセンスが交付されず、今季は異例の奇数チームによる13チーム編成となっています。

しかしこの13チームすら、現在のMFLでは多すぎるのかも知れません。確かに多くのチームが競うリーグは魅力的ですが、果たしてその「質」は担保されているのか。例えば、今季ここまで60試合が終わっているスーパーリーグですが、その中で3点差以上ついて試合は15試合、4点差以上ついた試合は8試合ありました。リーグが拡大しても、単に数合わせのチームが増えるだけでは、試合への興味はむしろ削がれてしまいます。となればリーグの規模縮小は一つの改革方法です。

しかしその一方で、各州対抗のカップ戦から発展したマレーシアのサッカーにおいては、各クラブは各州の代表、いわば州の「顔」であり、もしリーグの参加チーム数削減とな利、クラブがトップリーグから排除されれば、その州のサッカー選手育成にも大きな影響を与える可能性があります。

このリーグ再編についてはさまざまな観点が必要でもあるので、また別の機会に書いてみたいと思いますが、まずはロッシCEOが打ち出す改革案に注目してみたいと思います。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第10節の結果とハイライト映像・リーグ首位のジョホールが開幕から10連勝・KLシティは給料未払いによる主力選手出場ボイコットのクダに圧勝

マレーシアFAカップ決勝やFIFA国際マッチカレンダーなどで、およそ1ヶ月中断していたマレーシアスーパーリーグが再開されています。先月8月26日から開いている今季2度目のトランスファーウィンドウで加入した選手が早速、出場しているチームもあり、後半戦に向けてチーム強化や立て直しが行われています。なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成となっており、今節はクランタン・ダルル・ナイムFCの試合がありません。

リーグ首位のジョホールが開幕から10連勝

MSL2024/25 第10節
2024年9月12日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 5-0 ペナンFC
⚽️ジョホール:オスカル・アリバス(3分)、ホルヘ・オブレゴン2(41分、49分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(66分PK)、アリフ・アイマン(90+4分)
🟨ジョホール(0)、🟨ペナン(3)
MOM:ホルヘ・オブレゴン(ジョホール・ダルル・タジムFC)

9月18日にACLエリート2024/25の初戦となるアウェイの上海海港戦が控えるジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、現在開いているマレーシアリーグ今季2度目のトラランスファーウィンドウで加入したMFエンツォ・ロンバルド、MFイケル・ウンダバレナ、MFエディ・イスラフィロフ、FWホルヘ・オブレゴンと4名の新戦力を早速、先発で起用しています。

マレーシアリーグの登録はフィリピン国籍に基づく東南アジア枠にもかかわらず、先日のムルデカ大会に出場したフィリピン代表ではなぜかプレーしなかったオスカル・アリバスが開始3分でゴールを決めると、新戦力のホルヘ・オブレゴンが41分に加入後初ゴールを決めて、JDTが2点のリードで前半を終えます。

後半開始早々の49分にもオブレゴン選手がこの試合2点目のゴールを決めると、現在のリーグ得点王ながらベンチスタートとなったベルグソン・ダ・シルヴァが今季10得点目となるPKを決めると、ロスタイムにはアリフ・アイマンがダメ押しとなる5点目をやはりPKで決めています。

昨季は同じカードで0−8と大敗しているペナンは、前半は2点で凌いだものの、後半の二つのPKはなんとも微妙な判定に泣かされた結果でした。トランスファーウィンドウで加入したオーストラリア出身のFWディラン・ウェンゼル・ホールズが今後期待できそうなプレーを見せたのはせめてもの救いでしょうか。

2位スランゴールも新戦力の活躍でホーム6連勝

MSL2024/25 第10節
2024年9月13日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 4-0 クチンシティFC
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(11分)、アリ・オルワン(67分)、ウマルベク・エシュムロドフ(75分)、アルヴィン・フォルテス(80分)
🟨スランゴール(1)、🟨クチンシティ(1)
MOM:ノー・アル=ラワブデ(スランゴールFC)

先日クアラ・ルンプールで開催されたW杯アジア3次予選のパレスチナ対ヨルダン戦で、ヨルダン代表のメンバーとしてマレーシアデビューを果たしていたスランゴールFCのアリ・オルワンがチームの先制ゴールをアシストしています。ロニー・フェルナンデスの先制ゴールは映像ではゴール前にフェルナンデス選手の手にも当たっているように見えますが、VARが入った結果、ゴールが認められています。

後半に入ると、1点目をアシストしたアリ選手が67分に自身でもゴールを決めています。サラに74分にウズベキスタン代表ウマルベク・エシュムロドフがスランゴールFC加入後初ゴールを決め、80分にはアルヴィン・フォルテスが4点目を決めるなど開所したスランゴールはこれでホーム6連勝となりました。

6試合負けなしだったクチンシティでしたが、スランゴールの前にリーグ戦では5月26日以来の負けを喫しています。

クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

ヌグリスンビランは今季ホーム初勝利ならず

MSL2024/25 第10節
2024年9月14日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 0-1 ペラFC
⚽️ペラ:クレイトン(48分)
🟨ヌグリスンビラン(1)、🟨ペラ(2)
MOM:アキル・ラザク(ヌグリスンビランFC)

今季ここまで1勝のヌグリスンビランが、今季2勝のペラを迎えた試合は、ペラが開始から試合を優勢に進め、そのまま勝利しています。敗れたヌグリスンビランは、佐々木匠選手があわやゴールというフリーキックを止められ、また、この試合のMOMとなったGKアキル・ラザクが65分にPKを止めるなど好セーブを連発して奮闘しましたが、今季ホームでの初勝利はお預けとなりました。

開幕直前に就任したアズミ・アジズ監督が1勝1分6敗という成績を残すと、FIFA国際マッチデーによるリーグ中断を待たず、8月15日にアズミ氏をテクニカル・ディレクターに「昇格」させ、N・ナンタクマル コーチを監督に据えたヌグリスンビランでしたが、1ヶ月の中断期間では大きな変化をもたらすことはできなかったようです。あまりに成績が悪いことから、給料未払いも疑われた(汗)ヌグリスンビランですが、現在はそういった問題が起こっていないと答えたN・ナンタクマル監督ですが、には現在開いているトランスファーウィンドウで2名の新外国籍選手加入の噂もあり、それがカンフル剤になることを期待したいところです。

ヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。

KLシティは給料未払いによる主力選手出場ボイコットのクダに圧勝

MSL2024/25 第10節
2024年9月14日@KLフットボール・スタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 5-0 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️KLシティ:ヨヴァン・モティカ(14分)、ハズリ・バルキエフ(23分OG)、ザフリ・ヤーヤ(26分)、パウロ・ジョズエ2(49分、58分)
🟨KLシティ(2)、🟨クダ(1)
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティFC)

パウロ・ジョズエがクラブ最多ゴール記録となるパウロ・ジョズエのゴールなどで5点を挙げたKLシティが、ほぼ全員がリザーブチームのメンバーで構成されたクダ・ダルル・アマンを破り、連敗を2で止めています。

給料未払い問題に加え、クラブによる所得税未払いなども発覚したことから勝点3を剥奪されたKLシティに対し、同様の給料未払い問題を数ヶ月にわたり抱えているクダは、主力選手が練習を1週間以上ボイコットしており、ナフジ・ザイン監督は窮余の一策として、リザーブチームのU23とU20の選手をかき集めてこの試合のメンバーを編成しています。しかし、トップリーグ初出場の選手が大半のチームはKLシティに翻弄され、しかも試合のペースにもついていけませんでした。

この試合ではあわやハットトリック達成かという活躍をしたパウロ・ジョズエはクラブ最多ゴールとなる68ゴール目と、自身の記録を更新する69ゴール目を記録し、それまで記録を持っていた現スリ・パハンFC監督でシンガポールのレジェンド、ファンディ・アフマドの記録を抜いています。

*****

一方、KLシティに完敗したクダは、マレーシア代表でもプレーするGKカラムラー・アル=ハフィズと双方合意による契約解除を発表しています。2022年シーズン終了後に当時のPJシティFC(現在は解散)から移籍したカラムラー選手は、クダの正GKとしてリーグ戦とカップ戦合わせて36試合に出場し、46失点とクリーンシート14試合を記録しています。このカラムラー選手の退団を皮切りに、クダは今後も主力選手の退団が予想されます。

3位トレンガヌと5位サバの対戦は引き分けに

MSL2024/25 第10節
2024年9月15日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 1-1 トレンガヌFC
⚽️サバ:ジョアン・ペドロ(11分)
⚽️トレンガヌ:イスマイル・アキナデ(45+1分)
🟨サバ(1)、🟨トレンガヌ(1)
MOM:スハイミ・フシン(トレンガヌFC)

現在開いているトランスファーウィンドウで、リーグ5位サバはベトナム1部のベトテルFCで12試合出場2ゴールという成績を残した24歳のジョアン・ペドロを、また同3位のトレンガヌはタイ1部スコータイFCからエルサルバドル代表キャプテンで32歳のネルソン・ボニーヤと、いずれもFWを補強しています。

いずれもこの試合がマレーシアリーグデビューとなった両選手ですが、最初にゴールを挙げたのはトレンガヌのジョアン・ペドロでした。試合開始から11分、サバGKダミアン・リムからのロングフィードがトレンガヌDFの裏へ出るとこれを受けたキャプテンのパク・テスが低いクロスをゴール前へ。これにジョアン・ペドロが足で合わせ、ホームのサバがあっさりと先制します。しかしトレンガヌも、前半ロスタイムにゴール前の混戦から出たボールをイスマイル・アキナデが押し込んで、トレンガヌが同点に追いつきます。 

後半に入ると、両チームともに好機は作るものの、互いにゴールを破流ことができず、結局、1-1で引き分けています。

スリ・パハンが今季最多の5得点でPDRMに圧勝

MSL2024/25 第10節
2024年9月15日@MPTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 5-1 PDRM FC
⚽️スリ・クパー・シャーマン2(17分、47分)、ステファノ・ブルンド2(25分、34分)、マヌエル・イダルゴ(27分)
⚽️PDRM:鈴木ブルーノ(73分)
🟨スリ・パハン(2)、🟨PDRM(2)
MOM:クパー・シャーマン(スリ・パハンFC)

この試合前までは8試合で7得点と得点力不足に悩んでいたスリ・パハンが前半だけで4ゴールを挙げる圧勝で、開幕戦以来となる2勝目を挙げています。昨季は12ゴールを挙げエースのクパー・シャーマンと同じく10ゴールを挙げていたチームゴール数1位と2位の2人が今季はここまでいずれも2ゴールと苦しんでいましたが、この両選手がこの試合ではそれぞれ2ゴールを挙げて、チームを勝利に導いています。

一方のPDRMは鈴木ブルーノ、イフェダヨ・オルセグン、シャーレル・フィクリのFW3名が揃って先発するも、0-5となった後に鈴木ブルーノが今季3点目となるゴールを決めたのみに終わり、連勝も2でストップしています。

PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発してフル出場しています。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第10節終了)
順位チーム勝点
1JDT92581033429
2SEL102271220812
3TRE91644114104
4SAB9144231314-1
5KCH10143521314-1
6PDRM9113241015-5
7SRP9102431213-1
8PEN910243913-4
9PRK893051113-2
10#KLC9842315105
11*KDA98324817-9
12NSE94117820-12
13KDN93108419-15
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第10節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT10
2ロニー・フェルナンデスSEL7
3パウロ・ジョズエKLC6
4ジョーダン・ミンターKCH5
5ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
イフェダヨ・オルセグンPDRM4
クパー・シャーマンSRP4
ステファノ・SRP4
6チェチェ・キプレ他10名KCH3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハン

9月13日のニュース・クダ州サッカー協会会長-給料未払い問題が起こるのはリーグの仕組みに問題がある・移籍情報:前岡山のハディ・ファイヤッドがPDRMにローン移籍・インドネシアとマレーシアの間で帰化選手候補の争奪戦勃発!?

クダ州サッカー協会会長-給料未払い問題が起こるのはリーグの仕組みに問題がある

給料未払い問題が続いていることで、ついに主力選手が練習をボイコットしているクダ・ダルル・アマンFCの本拠地があるクダ州のサッカー協会会長が、問題の根源はリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が導入している仕組みにあり、特定のクラブにのみ有利な仕組みになっていると批判しています。

クダ州サッカー協会会長で、クダ州首相でもあるムハマド・サヌシ氏は、トップリーグに参加しているクラブがリザーブチームや年代別の州代表チームを全て運営するという仕組みは既に破綻しているとし、給料未払い問題の原因とも言えるこの仕組みの運用を直ちに止め、新たな仕組みを考える必要があると述べています。

「トップリーグでプレーする各州のプロクラブが全ての年代別州代表チームまでを運営するという現行の仕組みは破綻しており、一部は州サッカー協会が運営できるような仕組みにするべきだ。現行の仕組みが明らかに機能していないのに、なぜMFLに参加する全てのクラブが同じ仕組みで運営されるべきだと考えているのか。もし多くのクラブが経営難に陥り、一握りのクラブだけが生き残ったら、その数クラブだけでリーグを行うことが果たして可能なのだろうか。」と述べたサヌシ州サッカー協会会長は、直ちに現行の仕組みをやめるべきだと主張しています。

また州首相としては、給料未払い問題を抱えるクダ・ダルル・アマンFCについては既に民営化されたクラブであり、州の公金で支援する義務はないと述べています。

「クダ・ダルル・タジムFCは民営化されているが、それでもクダ州政府は、ラブライセンス取得への支援として、今年だけで既に200万リンギ(およそ6500万円)を運営資金として提供している。」と述べたサヌシ州首相は、過度に高給となっている選手の給料の見直しを中心にクラブの経営方針を見直す必要があるとも話しています。

「(民営化前にクラブに対して)クダ州政府系企業のクダ州開発公社が6000リンギや7000リンギといった給料しか払っていなかったにもかかわらず、マレーシアカップで優勝を果たしている。現在は何万リンギも給料をもらっている選手がいるクラブがこれほど低迷しているのはなぜか。それは現行のクラブ運営の仕組みに欠陥があるからで、各クラブがそれぞれの資金にあった運営方法で運営されるべきだ。」と述べ、クダだけでなく他の州のクラブも財政問題に直面している事態を理解するべきだとも話しています。

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各州代表チーム対抗のカップ戦「マラヤカップ」(現在のマレーシアカップ)から始まったマレーシアのサッカーは、長らく各州のサッカー協会がプロクラブを運営していたという歴史があります。2019年以前の記録では、例えばクダならばクダFAがクラブ名になっていますが、これはクダ州サッカー協会(クダFA)が運営するクラブだったからです。この2019年以前は、大半のクラブが州政府による州サッカー協会への支援や、州政府系期間がスポンサーになるという形で公金、つまり税金がクラブ運営に使われ、選手の給料なども州政府からの資金で支払われていました。

しかし2020年からFIFAの指導を受けたMFLはクラブの「民営化」、つまり各州サッカー協会はプロクラブを手放し、クラブは新たにオーナーを探すことが義務付けられるようになりました。この結果、州政府からの直接支援を失った各プロクラブの中には、新たなオーナーやスポンサーを見つけられないにもかかわらず、それまでと同じような経営を続け、さらに2020年は新型コロナ禍で無観客試合でリーグが行われた結果、入場料収入も無くなり、財政が悪化したクラブがいくつもありました。

さらにMFLは各クラブに対してU23選手主体のリザーブチームやU21、U19など年代チームの保持を義務付けましたが、これが前述のサヌシ氏が指摘していたことでした。従来は各州のサッカー協会が運営していた年代別チームをプロクラブの管理下に置いたことで、その運営費用は一気に増出する一方で、前述の通り運営資金獲得が難しくなったクラブの中には、この年代別代表チームの選手への給料支払いが滞る事態も起こっています。

移籍情報:前岡山のハディ・ファイヤドがPDRMにローン移籍

マレーシア王立警察が運営するPDRM FCは現在、マレーシアスーパーリーグで現在6位ですが、現在開いているトランスファーウィンドウで、かつてファジアーノ岡山やアスルクラロ沼津に在籍していたFWハディ・ファイヤッドを同じスーパーリーグのペラFCから期限付きで移籍で獲得したことを発表しています。ローン期間は今季2024/25シーズンいっぱいということです。

日本出身の鈴木ブルーノ選手も在籍するPDRM FCにローン移籍したハディ選手は、昨季も同じPDRM FCにやはりローン移籍しており、このときはリーグ戦とマレーシアカップを合わせて11試合に出場し、マレーシアカップのスランゴール戦で挙げたゴールが唯一のゴールでした。

24歳のハディ選手はジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のセカンドチームJDT IIに在籍していた2018年に17歳ながらマレーシアU23代表入りし、同年1月の韓国U23代表戦で代表デビューを果たすと、さらにアジア競技大会、AFC U23アジアカップ予選でもプレーしました。2019年にはマレーシア人選手として初めてJ2のクラブに移籍しましたが、移籍した岡山では出場機会を得ることができず、2021年には出場機会を求めてJ3のアスルクラロ沼津に期限付き移籍しました。しかし沼津へ移籍からわずか1ヶ月で右膝前十字靭帯(ACL)断裂の重傷を負い、このシーズンを棒に振ったものの、ケガから復帰した2022年シーズンは4月21日のヴァンラーレ八戸戦に84分から出場し、待望のJリーグデビューを果たしたものの、出場時間は合計43分、また出場した試合も含めベンチ入りは5試合の記録を残し、昨季は出身地でもあるペラ州のペラFCへ移籍し、マレーシアリーグに復帰すると、昨季途中にPDRM FCにローン移籍しました。

昨季末にローン期間を終えてペラFCに復帰したハディ選手ですが、今季はトップチームでは出場機会がなく、2シーズン連続でのPDRM FCへのローン移籍となりました。なお今季のPDRM FCには、今季の4ゴールも含めてリーグ通算74ゴールを挙げているイフェダヨ・オルセグンの他、2017年シーズンにはマレーシア人選手得点王に輝いたシャーレル・フィクリと鈴木ブルーノ選手もそれぞれ既に今季2ゴールを挙げており、昨季よりもFW陣の層が厚くなっており、そこへ割って入ることができるかどうかが注目されています。

インドネシアとマレーシアの間で帰化選手候補の争奪戦勃発!?

かつてはセリエAのインテルのオーナーでもあったリック・トーヒル氏が2023年にインドネシアサッカー協会(PSSI)会長に就任以降、インドネシアの血を引く選手を次々と帰化させる積極的な補強策によって強化されたインドネシア代表は、現在、東南アジア勢として唯一、2026W杯アジア3次予選に進出しています。

7月に発表された直近のFIFAランキングではマレーシアより一つ上の133位ながら、アジア3次予選では同56位のサウジアラビアとはアウェイで、さらに同24位のオーストラリアとはホームでそれぞれ引き分けるなど、強豪国に引けを取ることなく存在感を示しています。

このインドネシア代表は、先日のサウジアラビア戦を例にとれば先発XIの内、インドネシア生まれの選手は2名で、残りはオランダ生まれ8名、ベルギー生まれ1名と、かつての宗主国オランダ出身の選手たちを中心に帰化選手を揃えた強化策が功を奏していることから、東南アジア各国は同様の強化方針を進めており、マレーシアも例外ではありません。

マレーシアも先日終了したムルデカ大会に出場したメンバーを見ると、7名がマレーシア国外で生まれた選手ですが、そのうち2名はマレーシア人の血を引かない、国内リーグで5年間プレーしたことでマレーシア代表の資格を得た選手です。しかも、インドネシアの帰化選手と大きく異なるのは、外国生まれの選手7名のうち、マレーシア国外でプレーしているのはタイ1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーするディオン・コールズと、ベトナム1部のホーチミンシティFCにローン移籍中のエンドリック・ドス・サントスだけで、残りはマレーシア国内リーグでプレーする選手です。オランダやベルギーの1部リーグでプレーするインドネシアの帰化選手たちに比べると、その辺りも物足りないところです。

マレーシアサッカー協会(FAM)は、近年、マレーシアの血を引く選手の発掘にも積極的で、このブログでも取り上げた通り、オランダ1部ゴーアヘッドイーグルズでキャプテンを務める27歳のDFマッツ・デアイルに接触していることが明らかになっています。

そんな中でインドネシアのメディアが、やはりマレーシアの帰化選手候補となっているオランダ出身のFWフェルディ・ドゥルイフがインドネシア代表でプレーに興味を持っていると伝えています。

これを伝えているのはインドネシア最大のメディアグループ傘下のトリビューン・ニュースで、同メディアはオーストリア1部SKラピード・ウイーン所属のドゥルイフ選手がが、インドネシア国籍を取得して代表入りする予定のAMFエリアノ・レインダースのSNSにコメントを残したことが、ドゥルイフ選手がインドネシア代表でプレーすることへの関心の現れだとかなり恣意的に報じています。なおドゥルイフ、レインダースの両選手は昨季はオランダ1部PECズヴォレでチームメートでした。

ドゥルイフ選手は自身がマレーシアと関係があるという噂がSNSを通じて広まった後、「マレーシアのためにプレーしたいという気持ちはずっとあった。現在は、祖母が実際にマレーシア生まれであることを証明する書類を準備中だ」と述べています。

身長190cmで26歳のドゥルイフ選手は、AZアルクマールのアカデミー出身で、オランダU17、U18、U20など年代別代表でもプレーし、SKラピード・ウイーンに移籍する前にはNECナイメーヘンやKVメヘレンなどオランダとベルギーの複数のクラブでプレーしており、トランスファーマルクトの統計によると、キャリア通算では266試合に出場し112ゴールを記録しています。

またこのドゥルイフ選手の他、英国2部バーンリーFCのキャプテンである28歳のMFジョシュ・ブラウンヒルが、将来的のマレーシア代表入りに向けてマレーシア国籍を取得する用意に向けて、現在、マレーシアサッカー協会(FAM)と連絡を取り合っていることも明らかになっています。さらにPSVアイントホーフェンU21に所属するである19歳のFWイギー・フーベンもクアラ・ルンプール出身の祖母がおり、機会があればマレーシア代表入りしたいという発言も報じられています。

9月12日のニュース・ブキ・ジャリル国立競技場の劣悪ピッチに批判が集まる・給料未払いによる練習ボイコット発生中のクダは今週末の試合にU23チームの選手を起用か・移籍情報:スランゴールのレジク・バニハニは出場機会を求めて母国ヨルダンのACL2出場クラブに移籍

中国サッカー協会(CFA)主催の4ヵ国対抗大会に出場していたマレーシアU19代表は、最終戦となったベトナムU22代表との試合では大会初ゴールを挙げたものの、1−2で敗れています。この大会では初戦のウズベキスタンU21代表には0−2で、続く中国U21には0−1で敗れており、3戦全敗の最下位で大会を終えています。

ブキ・ジャリル国立競技場の劣悪ピッチに批判が集まる

またマレーシアが11年ぶりに優勝して幕を閉じたムルデカ大会ですが、その一方で、試合会場となったブキ・ジャリル国立競技場では芝が剥がれたり、根付いていない芝に足を取られて選手がバランスを失う場面が見られ、そのピッチ状態の悪さが目についた大会でもありました。マレーシアの初戦となったフィリピン戦ではアフィク・ファザイル(ジョホール・ダルル・タジムFC)が途中で膝を痛めて途中交代を余儀なくされ、その後はMCL(内側側副靭帯損傷)で完治までおよそ6週間と診断されています。また決勝のマレーシア対レバノン戦では、ドミニク・タンが芝に足を引っ掛けて倒れ、背中を痛めて担架で退場する場面もありました。

これについてタン選手が所属するサバFCのオン・キムスイ監督は自チームの主力選手がプレーする代表チームがケガの恐れがあるピッチで試合を行うことに疑問を呈しています。タン選手の他に代表に召集されたダニエル・ティンとダレン・ロックは、今週末に再開するマレーシアスーパーリーグの第10節トレンガヌFC戦に備えて、チームに合流していますが、タン選手についてはケガの診断結果を待っているところだということです。

「当たられたり、削られたりしてのケガは試合の一部なので理解できるが、ピッチの状態が悪いことによるケガを望んでいる選手などおらず、しかもそれが(ブキ・ジャリル)国立競技場で起こったことは見過ごすことはできない。どのコーチも自チームの選手がケガをすれば、チームの戦術を見直さねばらならない。もしそのようなひどいピッチしか用意できないのならば、マレーシアサッカー協会(FAM)はブキ・ジャリル国立競技場以外のスタジアムで国際試合を開催することも真剣に検討するべきだ。」

「選手の能力を引き出すためにも安全は最優先されるべきで、さらにブキ・ジャリル国立競技場の劣悪なピッチの問題は昨年から話題になっているにもかかわらず 、何も解決されていない。」としてブキ・ジャリル国立競技場の運営者であるマレーシア・スタジアム社を非難しています。

またこれに関して、マレーシアサッカー協会(FAM)のフィルダウス・モハメド競技委員長もブキ・ジャリル国立競技場を管理するマレーシア・スタジアム社(MSC社)から大会前にはピッチ状況は良好という説明を受けていたとして、

「ブキ・ジャリル国立競技場のピッチ状態が悪いのではないかということを我々(FAM)も心配していたが、MSC社からは大会には問題ないという話を聞かされていたが、結局、ケガをする選手が出てしまい、所属するクラブに迷惑をかけることになった。」

「MSC社は外部の専門家による評価を受けた上で、ピッチ状態が問題ないという保国すべきだった。もしピッチ状態が試合に適していなければ、それを真摯に伝えるべきだったが、残念ながらそれがなされなかった。」とやはりMSC社を批判するコメントをしています。

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これらの批判に対してMSC社のイリヤス・ジャミルCEOは、同じブキ・ジャリル国立競技次で8月24日に行われたマレーシアFAカップ決勝はその前日練習も含め、出場したジョホール・ダルル・タジムFC、スランゴールFCからも特に不満が聞かれなかったと説明しています。その一方でムルデカ大会は、前日練習に加え、中3日で2試合ずつという「過密日程」により、ピッチ状態が回復するのに十分な時間がなかったと説明しています。

またイリヤスCEOは、今年11月と12月に予定されている東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」までには、ブキ・ジャリル国立競技場のピッチは回復させられると胸を張っています。

給料未払いによる練習ボイコット発生中のクダは今週末の試合にU23チームの選手を起用か

9月の国際マッチデー期間が終わり、明後日9月13日からはマレーシアスーパーリーグが再開します。そんな中、給料未払いにより先週から主力選手の練習ボイコットが起こっているクダ・ダルル・アマンFCは、9月14日のKLシティFC戦にリザーブチームであるU23チームの選手を出場させて急場を凌ぐようだと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。

昨季の給料未払い問題が未解決であることから、クダは今季開幕前に既に勝点3剥奪処分を受けていましたが、今季が始まっても状況はあまり完全していないようで、複数の選手がSNS上で不満をぶちまける事態が続いたのち、今月に入ってからは、このブログでも貴方の通り主力選手による練習ボイコットが始まっています。

ここ数日の練習の様子を伝えるクラブ公式SNSでも、リザーブチームのU23チームの選手が映った写真のみがアップロードされていることから、ナフジ・ザイン監督はこの若い選手たちをKLシティ戦で起用する可能性が高いとブリタハリアンは伝えています。

移籍情報:スランゴールのレジク・バニハニは出場機会を求めて母国ヨルダンのACL2出場クラブに移籍

スランゴールFCは、今季開幕直前に加入したヨルダンU23代表FWレジク・バニハニがわずか5ヶ月で退団し、母国ヨルダンのアル・フセイン・イルビドSCに完全移籍することをクラブ公式SNSで発表しています。アル・フセイン・イルビドSCは昨季のヨルダン1部リーグ優勝チームで、ACL2に出場する強豪です。

22歳のレジク選手は、今季開幕前にやはりヨルダンのアンマンを本拠地と知るアル・ファイサリーSCから加入しています。スランゴールではリーグ戦7試合(先発2試合)、FAカップ3試合(先発0試合)の計10試合に出場し、2ゴール1アシストという記録を残している一方で、出場時間は343分でした。

レジク選手は今月から始まった2026W杯アジア3次予選に出場しているヨルダン代表にも選ばれており、9月6日のクウェート戦では89分に交代出場し、A代表デビューを果たしています。また9月10日にクアラ・ルンプールで行われたパレスチナ戦では出場がありませんでしたが、この試合がレジク選手のマレーシアでの最後の試合となりました。

なおこのレジク選手には移籍の噂なども出ておらず、いわば電撃移籍なのですが、マレーシア語紙のマジョリティは、出場機会を求めての移籍だったのではと分析しています。スランゴールにはこのレジク選手の他、やはりヨルダン代表のMFノー・アル=ラワブデが在籍していますが、現在開いている今年2度目のトランスファーウィンドウでこちらもヨルダン代表のセンターフォワード、24歳のアル・オルワンを獲得しており、同じセンターフォワードながら、スランゴールのニザム・ジャミル監督のもとでは左ウィングでの起用が多かったレジク選手は、同じヨルダン代表のチームメートとセンターフォワードを争えば、今季同様出場機会が増えないことを懸念して、オルワン選手加入が引き金となった移籍ではないかと分析しています。