11月12日のニュース<br>・ラオス戦とインド戦に向けたマレーシア代表26名が発表-38歳のナチョ・インサが選ばれるも「ケガ」を理由に途中離脱

 マレーシア気象局は長期予報を発表し、その中で北東モンスーン期が始まり。来年3月までに大雨が5回から7回発生することを予想しています。この大雨が発生する可能性が高い地域として、11月から12月にかけてはマレー半島東海岸沿いのクランタン、トレンガヌ、パハン、そしてジョホールの各州とボルネオ島にあるサバ、サラワクの両州を挙げています。また年明けの1月から北東モンスーン期の終盤となる3月にかけては、引き続きパハン、ジョホール、サバ、サラワクで大雨となる可能性がある一方で、マレー半島北部で降雨量が減少し、暑く乾燥した天候となり熱波が発生する可能性を挙げています。

 春秋制を採用していたマレーシアリーグは、これまで年末から年始にかけてはシーズンオフでしたが、今季2024/25シーズンから2シーズンかけて秋春制の移行するため、今季は5月開幕、来年4月閉幕となっており、この北東モンスーン期にも試合が予定されています。マレーシアでは多くのスタジアムで採用されているカウグラス(アカツメクサ)のピッチは水捌けが悪い上、ピッチの排水設備が不十分であるスタジアムもあり、今月から来年の初頭にかけては、国内リーグでは豪雨のため延期になる試合が頻発する可能性があります。

ラオス戦とインド戦に向けたマレーシア代表26名が発表-38歳のナチョ・インサも選ばれるるも「ケガ」を理由に途中離脱

11月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)で明後日14日にラオス代表、そしてその4日後の18日にはインド代表と対戦するマレーシア代表の合宿が11月10日から始まっています。今回の合宿参加者26名中、先月10月のFIFAデイズではニュージーランド代表戦で招集された26名中20名を再び招集したパウ・マルティ監督は、残る6名にGKハジク・ナズリ(ペラFC)、DFウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)、MFムカイリ・アジマル(セランゴールFC)、MFエセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)、MFナチョ・インサ(ジョホール・ダルル・タジムFC、JDT)、そして先月は「家庭の事情」で招集を辞退したキャプテンのディオン・クールス(タイ1部ブリラム・ユナイテッドFC)を選びました。

今回注目されたのは、今年1月以来の代表招集となったナチョ・インサでした。2018年3月を最後に代表に招集されることがなかったインサ選手をキム・パンゴン前監督は、今年1月のアジアカップ20223年大会メンバーに選出し、グループステージのバーレーン代表戦で、JDTのチームメートでもあるMFシャマー・クティに代えて後半から起用しました。しかし前半で良いプレーを見せていたシャマー選手とは対照的なプレーを見せたインサ選手、そして「謎の」交代を行なったキム監督にも批判が集まりました。

今回、インサ選手が選出されたのは、今季のACLエリートで見せている安定したプレーが理由です。今季加入した同じDMFのイケル・ウンダバレナとのコンビで中盤をコントロールし、ここまでのACLエリート4試合で4失点は、ヴィッセル神戸の1失点、川崎フロンターレの4失点に次ぐ少ない失点に推させており、38歳と言う年齢を感じさせないプレーを見せていました。

と一昨日この記事を書いたところで、マレーシアサッカー協会(FAM)がこのインサ選手とムカイリ・アジマル両選手がケガのため代表合宿を離脱することを発表しました。インサ選手は11月5日のACLエリート、蔚山HD FC戦、ムカイリ選手は11月7日のACL2、全北現代モーターズFC戦でそれぞれケガを負ったと言うことです。またFAMはこの両選手に代わりMFザフリ・ヤーヤ(KLシティFC)とFWファズルル・アミル(クランタン・ダルル・ナイムFC)が代表チームに合流することも発表しています。ファズルル選手にとっては、今回が初の代表入りとなっています。

マレーシア代表は本日11月12日にはラオス代表戦が行われるPATスタジアムがあるバンコクへ向けて出発します。

氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ28JDT
アズリ・アブドル・ガニ25KLC
ハジク・ナズリ26PRK
DFマシュー・デイヴィーズ29JDT
フェロズ・バハルディン24JDT
サフワン・マズラン22TER
アザム・アズミ23TER
ウバイドラー・シャムスル21TER
ハリス・ハイカル22SEL
ドミニク・タン27SAB
ダニエル・ティン32SAB
ディオン・28BRU
MFアリフ・アイマン22JDT
^ナチョ・インサ38JDT
ノーア・レイン22SEL
^ムカイリ・アジマル23SEL
スチュアート・ウィルキン26SAB
シャマー・クティ27PEN
エゼキエル・アグエロ30SRP
*ザフリ・ヤーヤ30KLC
FWロメル・モラレス27JDT
サファウィ・ラシド27TER
アキヤ・ラシド25TER
パウロ・35KLC
ハキミ・アジム21KLC
アディブ・ラオプ 25PEN
シャフィク・アフマド29KDA
ディオン・クールズ28BRU
*ファズルル・アミル24KDN

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第9節の結果とハイライト映像(2)<br>・ベルグソンの今季4度目のハットトリックなどでジョホールがペラに大勝

既に第15節まで終えているマレーシアスーパーリーグ(MSL)ですが、未消化だった第9節の1試合が行われ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がベルグソン・ダ・シルヴァの今季4度目のハットトリックなどで5ゴールを挙げてペラFCに大勝しています。

この試合は、もともと8月17日にペラのホーム、ペラ・スタジアム(ペラ州イポー)で予定されていましたが、豪雨によるピッチコンデション悪化のため、10月5日に延期されていました。ペラ・スタジアムの排水設備改修のため10月5日の試合は同じペラ州のマンジュンにあるMBMスタジアムで行われるはずでしたが、この日もまた大雨により延期となりました。さらに人気チームJDTの試合ということで多くのサポーターが駆けつけ、雨天による延期が発表された際には混乱状態となったことから、MSLを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、ペラFCに対してMBMスタジアム以外の試合会場を用意するよう求めました。

このMFLの要求に対してペラFCは、代替会場が用意できないとしてJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催を対案し、MFL、JDTともこれを受け入れ、この日の試合開催にこぎ着けました。

試合はロメル・モラレスが21分にゴールを決めてJDTが先制します。さらにその2分後にはベルグソン・ダ・シルヴァが、そして36分にはモラレス選手がこの試合2点目のゴールを決めると、アディショナルタイムにはベルグソン選手もこの試合2点目のゴールとなるPKを決め、前半だけでJDTが4点をリードします。ベルグソン選手は後半の89分にもゴールを決めて、7月26日の第6節トレンガヌFC戦、8月9日の第8節クダ・ダルル・アマンFC戦、9月22日の第11節クランタン・ダルル・ナイムFC戦に続く今季4度目のハットトリックを記録しています。

ACLエリートでは、エクトル・ビドリオ監督が今季から加入したホルへ・オブレゴンを先発で起用し続けているため、側からは不遇な扱いを受けているように見えるベルグソン選手ですが、今季のMSLでは無双しており、この日の3ゴールで今季通算ゴールを19とし、得点王争い2位のパウロ・ジョズエ(KLシティFC)に9ゴール差をつけて独走しています。また、この試合の2ゴールで、今期通算5ゴールとなったマレーシア代表FWnoロメル・モラレスに至ってはACLエリートではここまで全試合ベンチ入りも出場がありません。ACLエリートの鬱憤を晴らすかのような活躍を見せた両選手が、ACLエリートでも是非、活躍してほしいです。

なお本来はペラFCのホーム開催だった試合が、対戦相手であるJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催となったことから、ペラFCは500キロ以上の移動を強いられる観戦希望のサポーターのために無料の送迎バスを運行するなどの対応を行いました。しかし中立地での開催ではなく、JDTのホームでの開催を自ら求めたペラFCの経営陣に対しては、「チームの尊厳を蔑ろにした」としてペラFCサポーターグループは当初、試合観戦ボイコットを呼びかける声が挙がりました。

しかもペラFCが公式声明を発表する前にスルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催決定のニュースが報じられると、サポーターグループは経営陣に対してさらに不信感を持つ事態となりました。サポーターグループは、チームの応援が最優先として、結局、ボイコットは行われませんでしたが、そういったサポーター感情を理解しない人々がペラFCを運営していることが図らずも明らかになった形となりました。

2024年11月10日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ペラFC 0−5 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ロメル・モラレス2(21分、36分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(23分、45+3分PK、89分)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。


2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節終了)

順位チーム勝点
1JDT1440131053647
2SEL1429923231211
3SAB1426824302010
4TRE142156318153
5KCH131846318180
6PDRM14184641519-4
7PRK14175272025-5
8SRP13153641619-3
9#KLC131462523176
10*KDA14134461226-14
11PEN14112571325-12
12KDN14721111135-24
13NSE1361391330-17
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第15節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT19
2パウロ・ジョズエKLC10
3ロニー・フェルナンデスSEL8
ルシアーノ・ゴイコチェアPRK8
5ヘベルチ・フェルナンデスJDT6
ジョアン・ペドロSAB6
7ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ロドリゴ・ディアスPEN5
ロメル・モラレスJDT5
11アリフ・アイマン他7名JDT4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC

11月8日のニュース<br>・ACL2第4節-スランゴールは敵地で全北現代に惜敗<br>・全北現代戦でスランゴールサポーターが抗議の横断幕を掲げる

2024/25シーズンACL2のH組第4節が行われ、マレーシアから出場しているスランゴールFCはアウェイで全北現代モーターズFCと対戦し、0−1で敗れています。

この試合の両チームの先発XIは以下の通り。先月末に突如、辞任したニザム・ジャミル監督に代わり指揮を取るアブディ・ハサン監督代行にとっては初のACL2の試合になります。スランゴールはホームで行われた同じカードとなった前節第3節の終了間際にレッドカードで退場となった司令塔MFヨハンドリ・オロスコがこの試合は出場停止となっている他、キャプテンのDFサフワン・バハルディンがインフルエンザ、アフロことDFシャルル・ナジームが大腿四頭筋を痛めてベンチ外となっています。またニザム・ジャミル前監督が指揮を取った前節ではベンチ外だったロニー・フェルナンデスが先発に復帰しています。一方の全北現代も第3節のスランゴール戦では「Bチーム」で望んだものの、ホーム開催となった今節はチーム得点王で「韓国のメッシ」ことFWイ・スンウや、MFビスマルク・アジェイ・ボアテング、FWティアゴ・オロボら外国籍選手が先発するなど前節とは本気度が違うメンバーです。


2週間前の対戦では1−2と敗れている全北限代ですが、この試合では先制します。22分にクォン・チャンフンが蹴った右コーナーキックをティアゴ・オロボが頭で押し込んで、全北現代が1-0とリードします。この場面はハイライト映像で見ましたが、ゴール前ではオロボ選手だけでなく、ク・ジャリョンもフリーで飛んでおり、スランゴールはマーキングが全く機能していませんでした。(試合のインタビューでは、GKのアジム・アル=アミンもセットピース対策が不十分だったことは認める発言をしていました。)それでもセランゴールは35分に相手DFをかわしたアリ・オルワンがシュートを放ちますが、GKキム・ジョンフンに弾かれるなど、全くチャンスがなかったわけではありませんが、前半はこのまま全北現代が1点リードで終了します。

後半にはスランゴールも徐々にペースを掴み始め、60分にロニー・フェルナンデスが同点ゴールを決めるチャンスがありましたが、ゴールポスト直撃で好機を逃すなど、優勢になりかけた流れを生かすことができずに無得点で終了し、全北限代が1−0で逃げ切っています。

この勝利により、全北現代は4試合を終えて勝点9でスランゴールと入れ替わりでH組の首位に浮上し、スランゴールは勝点7のまま2位に後退しています。ACL2の次節第5節は11月28日にスランゴールのホーム、MBPJスタジアムでムアントン・ユナイテッド(タイ)との対戦が予定されています。勝点差2でスランゴールを追うムアントンとの対戦に勝利すれば、ノックアウトステージ進出が決まるだけに、アブディ監督代行がどのようにチームを仕上げるかに注目です。

2024年11月7日@全州ワールドカップ・スタジアム(韓国、全州市)
全北現代モーターズFC 1-0 スランゴールFC
⚽️全北現代:ティアゴ・オロボ(22分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

なおH組第4節のもう1試合は、アウェイのムアントン・ユナイテッドFCがダイナミック・ハーブ・セブFCを相手に9−2と大勝しています。

2024年11月7日@リザル・メモリアル・スタジアム(フィリピン、マニラ)
ダイナミック・ハーブ・セブFC 2-9 ムアントン・ユナイテッドFC
⚽️セブ:ガイトー・マイランド2(20分、23分)
⚽️ムアントン:フェリシオ・ブラウン2(7分、45分)、ポラメット・アヴィライ3(13分、45+5分、51分)、カカナ・カミョク2(37分、39分)、プラチェット・トサニット(65分)、ソンウット・クライクルアン(82分)
ダイナミック・ハーブ・セブFCの冨樫凌央選手は先発してフル出場、小林雅弥選手は41分から交代出場し、最後までプレーしています。また濱琳太郎選手はベンチ外でした。

2024/25ACL2 H組順位表(第4節終了)

得点失点得失差
全北現代430112399
スランゴール42114317
ムアントンU412113945
セブ4013418-141

H組の今後の試合日程(左側のチームがホーム)
第5節(11月28日)
 全北現代モーターズFC対ダイナミック・ハーブ・セブFC
 スランゴールFC対ムアントン・ユナイテッドFC
第6節(12月5日)
 ムアントン・ユナイテッドFC対全北現代モーターズFC
 ダイナミック・ハーブ・セブFC対スランゴールFC

全北現代戦でスランゴールサポーターが抗議の横断幕を掲げる

全北現代戦に駆けつけたスランゴールサポーターが掲げた横断幕の内容が注目を集めています。

これを報じたスポーツメディアのスタジアム・アストロの記事によると「6シーズンで5人の監督。で、この後は?」と書かれたこの横断幕は、全北現代モーターズFC対スランゴールFCの試合が行われた全州ワールドカップ・スタジアムでスランゴールサポーターによって掲げられたものです。

今季開幕から指揮を取ったニザム・ジャミル監督が、先月末に突如、辞任したスタンゴールは、この試合では前スランゴールU23監督のアブディ・ハサン監督代行が指揮をとっています。

2018年から2020年まで監督を務め、8位、3位、5位という成績を残したB・サティアナタン氏が解任されると、浦和レッズでもコーチを務めたドイツ出身のカルステン・ナイチェル氏が2021年シーズンには指揮を取りますが、このシーズンも5位に終わると、翌2022年シーズンは当時のテクニカル・ディレクターだったやはりドイツ出身のミヒャエル・ファイヒテンバイナー氏が新監督に就任します。しかしこのシーズン途中には、ファイヒテンバイナー氏に代わり、前マレーシア代表監督のタン・チェンホー氏が監督に就任します。2022年シーズンはまたも5位に終わったものの、開幕からタン監督が指揮をとった昨季2023年は2位にとなりました。しかし今期開幕前にタン氏がタイ2部のポリス・テロFC監督就任のために辞任し、すでにプレシーズンが始まっていた中、コーチだったニザム・ジャミル氏が急遽監督に就任するという事態になっていました。 

この間、監督が目まぐるしく代わる一方で、任命責任を果たすべき経営陣は誰1人として交代していないことがサポーターの間では不満となっており、その責任の所在を求めて抗議活動に出たようです。実際に選手獲得についてもスタッツ的には良いものの、スランゴールというチーム内での役割が明確になっていないという指摘もあり、リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFCに追いつくどころからさらに離されていっている現状は、現場だけの責任とは言い切れないという批判もあります。今回のニザム氏の辞任についても、戦術的な問題や選手起用の問題などから辞任は当然というサポーターの声がある一方で、ニザム監督との対話不足や不十分な支援など無能なフロントの犠牲になったと擁護する声もあり、今回の横断幕は現状に対する経営陣の回答を求めているものと思われます。

掲げられた横断幕。musimはシーズン、jurulatihは監督の意味のマレーシア語。(写真はアストロ・アリーナのウェブサイトより)

11月6日のニュース<br>・ACLエリート東地区第4節:ジョホールがKリーグ王者蔚山HDに完勝

ACLエリート(ACLE)東地区グループリーグA組は第4節が行われ、マレーシアリーグで10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が、11月1日にKリーグ3連覇を果たしたばかりの蔚山HD(韓国)をホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムに迎えています。

今季のACLEで蔚山HDは、第1節(H)では川崎フロンターレに0−1、第2節(A)では横浜Fマリノスに0−4、第3節(H)ではヴィッセル神戸に0-2とJリーグクラブ相手に0勝3敗、得点0失点7と見事な負けっぷり。しかしこれはKリーグ終盤の優勝争いの最中だったこともあり、ACLEよりも国内タイトルを優先したことによるものでしょう。となると、蔚山HDがACLEに集中できるのが今節のJDT戦からということになります。

なおJDTと蔚山HDは、2022年、23023年と過去2シーズンいずれもACLグループリーグで同組になっており(当時は前身の蔚山現代)、コロナ禍の影響からマレーシアでの集中開催となった2022年シーズンは2度の対戦でいずれも2−1でJDTが勝利しています。また昨季2023年シーズンは蔚山がホームで3-1、JDTがホームで2−1とそれぞれ勝利し、通算成績はJDTの3勝、蔚山HDの1勝、得点はJDT7に対して蔚山6となっています。

3シーズンで5度目となる今季の対戦ですが、今回はさらに「因縁」がありました。2021年シーズンから蔚山HDの指揮をとっていたホン・ミョンボ氏は、今年2月のアジアカップ後に解任されたユルゲン・クリンスマン氏に代わる韓国代表監督とし7月に韓国サッカー協会に引き抜かれました。シーズン途中でチームを投げ出したホン前監督には批判の声も多かったと聞いていますが、空席となった監督の座には、チームOBでもあるキム・パンゴン氏が就任しました。そのキム氏は2022年1月からマレーシア代表の監督を務めていましたが、今年7月に「個人的な理由」から2025年12月まで残っていた契約を破棄して突如辞任し、そのおよそ2週間後に蔚山HDの監督就任が発表されました。就任時にはFIFAランキング147位だったマレーシア代表を一時は16年ぶりとなる130位まで押し上げたキム監督が、その契約期間を17ヶ月も残してチームを投げ出したことに対して、マレーシア国内では大いに失望されました。しかし就任当時は4位だった蔚山HDを今季のKリーグ優勝に導いたキム監督にとって、今回のJDTとの対戦はいわば「凱旋」と考えられていました。

試合前日に行われた公式会見でも、4ヶ月ぶりにマレーシアの地を踏んだキム監督は終始笑顔を絶やさず、その口調も滑らかでした。マレーシア代表の主力選手の大半がJDTの選手であることもあり、勝手知ったる他人の家とも言わんばかりの余裕で、アリフ・アイマンの名前を出して称賛するなどのリップサービスを見せた一方で、ここまでのACLEでは0勝3敗、しかも3試合連続0封負けのチームに初勝利を期待していると話しました。

「私はマレーシアに戻ってこられたことにワクワクしている。また久しぶりにマレーシア代表で一緒だった大好きな選手たちとも再会できた。しかし今回は勝利を目指してここにいる。皆さんにエキサイティングなシアを披露できるよう、チームはホームのJDTに対して引き下がることなく、激しくプレーするだろう。」と試合前の抱負を語ったキム監督はさらに「JDTがどれほど強いチームかということは十分知っている。しかもJDTのホームでの試合はどのアウェイチームにとっても容易ではない。厳しい試合になることは十分承知している。」と話しています。

下はこの試合の両チームの先発XI。国内リーグ日程にも選手層にも余裕があるJDTですが、前節第3節で1−3と敗れた光州FC戦からは3バックの左で失点につながるミスを犯したDFフェロズ・バハルディンに代わりDFシェーン・ローリーが入った以外は変更はありません。一方の蔚山現代は4日前の江原FCとの試合の先発XIからFWカン・ユング、MFコ・スンボム、Dイ・ミョンジェがベンチ外、MFイ・チョンヨンがベンチスタートと、ケガ人を抱える中で選択された布陣でした。


試合はホームのJDTが開始から積極的に攻め、早くも4分には蔚山HDのGKチョ・ヒョヌのクリアミスからペナルティエリアでアリフ・アイマンがボールを奪うとホルヘ・おブレゴンへパス。しかしこれを決めることができず、JDTは先制の機会を逃します。しかしその3分後には、再びアリフ・アイマンが相手DFキム・ヨングォンからボールを奪うと、そのままドリブルでペナルティエリアに入り右足を一閃。シュートがゴール左隅に決まり、あっという間にJDTがリードを奪います。これに呼応するようにペースを上げた蔚山HDは、21分にはペナルティエリア内でダリヤン・ボヤニッチががシュートを放つも、これをエディ・イスラフィロフがブロックしてことなきを得ます。

後半に入ると蔚山HDは50分にキム・ミヌのクロスが途中出場のイ・チョンヨンに直接わたりますが、そのシュートはJDTのGKアンドニ・ズビウーレが反応できなかったものの、ゴールポストを超えてしまいます。逆にJDTは68分、右サイドを上がったオスカル・アリバスがペナルティーエリアの外からシュートを放ち、これがボヤニッチの足に当たって高く上がると、GKチョ・ヒョヌの頭絵の上を超えてゴールインし、JDTはリードを広げます。

そして88分には、途中出場のアフィク・ファザイルが中央でフリーになっていたやはり途中出場のベルクソン・ダ・シルバへ絶妙なパスを送ると、ベルグソンは強烈なボールを蹴り込み、自身の今季ACLE初ゴールを決めます。この3点目で蔚山HDを突き放したJDTが勝利し、チームは2勝1分で勝点7となり東地区3位に浮上しています。一方の蔚山はACLE4連敗、しかも全て0封負け、総失点は10で12チーム中の12位のままです。

中国リーグ王者の上海海港と引き分けていたJDTは、韓国リーグ王者の蔚山HDも撃破したことになります。残念ながらグループリーグではJリーグのクラブとの対戦はありませんが、ノックアウトステージでの対戦も期待できることから、まずは次戦となる11月26日の山東泰山で勝点を積み重ねて、グループリーグ突破に近づきたいところです。

2024年11月5日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-0 蔚山HD FC
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン(8分)、オスカル・アリバス(67分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(88分)
蔚山HDの江坂任選手は先発してフル出場しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第15節の結果とハイライト映像<br>・ジョホールが今季7度目のクリーンシートでヌグリスンビランに快勝<br>・監督交代のスランゴールはクダに辛勝<br>・3位のサバは4連勝で2位スランゴールを追走

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第15節が11月1日から3日にかけて行われています。前節の首位攻防戦を制したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、今節は佐々木匠選手が所属するヌグリスンビランFCに完勝、一方、その首位攻防戦に敗れたスランゴールFCはニザム・ジャミル監督辞任後、初の試合でクダ・ダルル・アマンFCに辛勝も2位を維持しています。

また今節予定されていたスリ・パハンFC対クチンシティFCは、開始から30分で豪雨によるピッチコンディション悪化のため中止となっています。この時期のパハン州やトレンガヌ州、クアンタン州などがあるマレー半島東海岸はモンスーンの季節となり、毎年、各地で洪水の被害が報告され、沿岸のリゾートなどは閉鎖になるような気候です。これまで春秋制だったマレーシアスーパーリーグは、この時期にはほぼリーグ戦が終わっており、モンスーンの影響を受けることはありませんでしたが、秋春制以降を目指す今季は今月、そして来月12月もリーグ戦やマレーシアカップが開催されることから、今後も悪天候による試合日程の混乱が起こりそうです。

なお次節第16節以降の日程は、今週はACLエリートに出場しているJDTはKリーグ1部優勝を決めたばかりのHD蔚山と、ACL2に出場しているスランゴールが全北現代それぞれホームとアウェイで試合があるためか、未だ発表されておらず、これまで既に2度順延されている第9節のペラ対JDTが11月10日に予定されているのみです。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。)

首位JDTが今季7度目のクリーンシートでヌグリスンビランに快勝

前半戦ではアウェイながらJDTを相手に1−3と接戦を繰り広げたヌグリスンビラン。今季2度目の対戦となった今節は、ホームにJDTを迎えて行われましたが、試合開始からJDTが圧倒し、15分には相手ゴール正面で得たフリーキックを3試合振りに先発となったヘベルチ・フェルナンデスが直接ゴールして先制すると、その6分後には再びヘベルチが今度は豪快にミドルシュートを決めて、JDTがリードを2点に広げます。

後半に入ってもJDT主導で試合が進み、アリフ・アイマンのゴールや途中出場のホルヘ・オブレゴンのPKなどで追加点を挙げたJDTが、その後も危なげない試合運びで完勝しています。

2024年11月1日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 0-4 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ヘベルチ・フェルナンデス2(15分、21分)、アリフ・アイマン(48分)、ホルヘ・オブレゴン(90分PK)
MOM:ヘベルチ・フェルナンデス(サバFC)
ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。

監督交代チーム同士の対戦はトレンガヌに軍配

6試合勝利がないトレンガヌと4連敗中のペナンは、いずれも今季既に監督が交代しており、現在はいずれも暫定監督が指揮を取るチーム。そんなチーム同士の対戦は、トミスラフ・シュタインブリュックナー監督交代から4試合目のトレンガヌが、先週正式にアクマル・リザル監督の「休養」を発表したペナンを破って7試合ぶりの勝利を挙げています。この試合唯一のゴールは、昨季のU23リーグのMFLカップで最優秀選手賞を獲得し、マレーシアU23代表でもプレーする21歳のウバイドラー・シャムスルの今季初ゴールでした。

2024年11月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 1-0 ペナンFC
⚽️ウバイドラー・シャムスル(27分)
MOM:ウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)

スリ・パハン対クチンシティ戦は開始30分で中断し延期決定

前述した通り、この試合は開始30分で豪雨によるピッチコンディション悪化のため試合続行不可能となり、別日へ延期となっています。この試合では谷川由来選手が今季2点目となるゴールを14分にヘディングで決めていました。さらに試合中の発表が遅れたことからサポーターからはリーグに対して不満の声が出ています。(以下は非公式の試合記録です。またこの試合のハイライト映像はありません。)

2024年11月2日@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 0-1 クチンシティFC
⚽️クチンシティ:谷川由来(14分)
MOM:なし

PDRMは4試合連続引き分け

前節は2位スランゴールを相手にロスタイムの同点ゴールで引き分けに持ち込んだ6位のPDRMでしたが、今節は7位のペラとも引き分けています。PDRMはこれでトレンガヌやスランゴールなど上位チームとの対戦が続いたこともあり3試合連続引き分け、しかも全て1−1というスコアです。

エースのイフェダヨ・オルセグンやミャンマー代表DMFチョー・ミンー・ウーら主力を欠いたPDRMは、第13節スランゴール戦で劇的な同点ゴールを決め、前節第14節クダ戦でもゴールを決めているアレム・ティモシーが3試合連続となるゴールを決めて、PDRMが4試合ぶりに先制します。明らからにPDRMより多くのチャンスを得ていたものの、得点に至らなかったペラは68分にゴールほぼ正面でフリーキックを得ると、これをルチアーノ・ゴイコチェアがゴール左隅を狙いすましたキックでゴールを挙げ、ペラが同点に追いつきます。その後は両チームとも得点なく、PDRMは4試合連続、ペラは2試合連続の引き分けで終了しています。

2024年11月2日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 1-1 ペラFC
⚽️PDRM:アレム・ティモシー(56分)
⚽️ペラ:ルチアーノ・ゴイコチェア(68分)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、90+3分に交代しています。

監督交代の2位スランゴールはクダに辛勝

ニザム・ジャミル監督が辞任し、この試合からアバディ・ハッサン監督代行が指揮を取るスランゴールは、ファイサル・ハリムが今季初先発、またケガから復帰のムカイリ・アジマル、サフワン・バハルディンらも先発に名を連ねる一方で、チーム得点王のロニー・フェルナンデスが前節に続きベンチ外でした。

前半を0−0で終えると、アバディ監督代行はファイサル・ハリムに代わり20歳のアリフ・イズワンを投入。すると47分には左サイドのジクリ・カリリからのクロスをアリフ選手が押し込み、22歳と20歳のコンビの連携でスランゴールが先制します。この後、クダはキャプテンのソニー・ノルデを中心に反撃を試み、63分にはそのソニー・ノルデのシュートを23歳のGKアジム・アル=アミンが反応良く防ぐなど、ニザム前監督が起用し続けた若い選手らの活躍で、前節のJDT戦での配線を払拭する貴重な勝利を挙げています。

2024年11月2日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-1 スランゴールFC
⚽️スランゴール:アリフ・イズワン(47分)
MOM:ジクリ・カリリ(スランゴールFC)

3位のサバは4連勝でスランゴールを追走

ジョアン・ペドロが前節のクダ戦に続き2戦連続2ゴールを挙げ、サバが4連勝を飾っています。退団したラモン・マチャド(アゼルバイジャン1部アラズ・ナシュシュバンPFKへ移籍)と入れ替わる形で後半戦から加入し、前節までの5試合では3ゴールを挙げていたジョアン・ペドロは、17分にヘディングシュートを決めると、さらに45分にはスチュアート・ウィルキンのフリーキックを再び頭で合わせてこの試合2点目のゴールを挙げています。1度はミスから同点に追いつかれたサバでしたが、12位のクランタンを相手に実力の差を見せつけるようにあっさり逆転すると、ガブリエル・ペレスのゴールなどで完勝しています。

2024年11月3日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 4-1 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️サバ:ジョアン・ペドロ2(17分、45分)、ファルハン・ロスラン(28分)、ガブリエル・ペレス(60分)
⚽️クランタン:ファズルル・アミル(27分)
MOM:ジョアン・ペドロ(サバFC)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節終了)
順位チーム勝点
1JDT1337121048642
2SEL1429923231211
3SAB1426824302010
4TRE142156318153
5KCH131846318180
6PDRM14184641519-4
7PRK131752620200
8SRP13153641619-3
9#KLC131462523176
10*KDA14134461226-14
11PEN14112571325-12
12KDN14721111135-24
13NSE1361391330-17
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第15節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT16
2パウロ・ジョズエKLC10
3ロニー・フェルナンデスSEL8
ルシアーノ・ゴイコチェアPRK8
5ヘベルチ・フェルナンデスJDT6
ジョアン・ペドロSAB6
7ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ロドリゴ・ディアスPEN5
11アリフ・アイマン他7名JDT4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC

11月1日のニュース<br>・今月のFIFAデイズでマレーシアはラオス、インドと対戦<br>・U17アジアカップ予選:ラオスと引き分けたマレーシアは未勝利のまま予選敗退<br>・リーグ2位スランゴールのニザム・ジャミル監督が辞任

今月のFIFAデイズでマレーシアはラオス、インドと対戦

マレーシアサッカー協会(FAM)は今月11月10日から18日までのFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)で、マレーシア代表が既に発表されていたインド代表戦に加え、ラオス代表とも対戦することを発表しています。

10月のFIFAデイズでは、ニュージーランド代表との対戦の他は、他のオセアニア連盟所属の他国代表とは試合を組むことができず、結局、前浦和レッズの酒井宏樹選手が所属するオーストラリア1部リーグに所属するオークランドFCと練習試合を行なっています。

11月のFIFAデイズは、インドとの対戦は9月下旬に発表されるなど早々と決まっていたものの、年末に控える東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」前の最後の代表戦実施機会は、モルディブ、アフガニスタン、ブータンなどの代表チームが対戦相手して名前が挙がっては消え、結局、同じAFF所属のラオスとの対戦に落ち着いています。

なお、この試合は11月14日にラオスサッカー協会主催で行われますが、ラオスの首都ビエンチャンにあるニュー・ラオス国立競技場ではその日に2026W杯アジア3次予選の朝鮮民主主義人民共和国対イランの会場として使用されること、またラオスは11月17日にタイのタマサート・スタジアムでタイ代表との対戦が控えていることから、試合会場はタイのバンコクにあるPATスタジアムで行われます。

またインド戦は当初は11月19日に予定されていましたが、FAMは1日早まり11月18日にテランガーナ州ハイデラバードのガンティ・モハナ・チャンドラ・バラヨギ・アスレチック・スタジアム(長い!)で開催されることも発表されています。マレーシア代表はタイでのラオス戦後、直接、インド入りするということです。

先週の10月24日に発表された最新のFIFAランキングでは、マレーシアが133位であるのに対し、インドは125位、ラオスは187位となっています。

U17アジアカップ予選:ラオスと引き分けたマレーシアは未勝利で予選敗退

AFC U17アジアカップ2025年大会予選H組の最終節がラオスのビエンチェンにあるニュー・ラオス国立競技場で行われ、マレーシアU16代表はラオスU16代表と対戦して2−2で引き分けて、通算成績を1分1敗とし、予選敗退が決まっています。

レバノンU16代表が出場を辞退し、アラブ首長国連邦(UAE)、マレーシア、ラオスの3ヵ国の対戦となったH組は、初戦でUAEがマレーシアを2−0で破り首位に立つと、続くラオス戦でも5−2と勝利して、早々と予選突破を決めていました。そしていずれも1敗同士の対戦となったマレーシア対ラオス戦は、各組の2位チームのうち、成績上位5チームに与えられる出場資格を賭けての争いとなるはずでした。

試合は11分にアラヤン・ハキーム(ジョホール・ダルル・タジムFC U19)のゴールでマレーシアが先制するも、21分にはPalindeth Phettakounh(ラオス1部マスター7FC U18)、33分にはPhayak Siphanom(タイ2部チャイナート・ホーンビルFC U18)にそれぞれゴールを許して逆転されてしまいます。そして後半の66分にナキフ・フィルハド(モクタル・ダハリ・アカデミー)のゴールで追いつくのが精一杯。ラオスと勝点1を分け合ったマレーシアは予選敗退が決定しています。

*****

マレーシアの直近の年代別大会の予選および本選の結果は以下の通りです。
U23アジアカップ2024年大会:本大会出場(0勝3敗でグループステージ敗退)
U20アジアカップ2025年大会:予選敗退(最終戦でスリランカと引き分けで出場を逃す)
U17アジアカップ2025年大会:予選敗退
なお、同じ東南アジアサッカー連盟(AFF)所属のタイ、インドネシアは上記の3大会全てで本選に出場、ベトナムはU23とU17アジアカップに出場を決めています。年代別代表がなかなか結果を出せない中で、A代表に帰化選手を増やして強化しようというFAMは、マレーシア以上に帰化選手でA代表を強化しているインドネシア代表が年代別代表でも全て本選出場を果たしている事実から学ぶことが大いにありそうです。

リーグ2位スランゴールのニザム・ジャミル監督が辞任

スランゴールFCは10月30日にクラブ公式SNS上でニザム・ジャミル監督の即時辞任を発表しています。後任にはアブディ・ハサン コーチが暫定監督となることも発表されています。

44歳のニザム前監督は今季開幕前にタイのクラブ監督就任を理由に辞任したタン・チェンホー氏の後任として、今季からスランゴールの指揮を取り、11勝1分で首位を走るジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に次ぐ8勝2分3敗のリーグ2位に付けています。また今季最初のカップ戦、マレーシアFAカップでは決勝に進出し、そこではJDTに0−5で大敗しています。また今季出場しているACL2では、ここまで2勝1分で予選グループ首位となってます。

その一方で10月27日に行われたマレーシアスーパーリーグ第14節では首位のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と対戦して0−3で敗れ勝点差が8と開き、FAカップ決勝と合わせて2敗している他、第13節ではPDRM FCと引き分けるなど、不安定な戦いから、一部サポーターからは退陣要求の声も出ており、ニザム・ジャミル監督のイニシャルを使った「ハッシュタグ#NJOUT」も拡散し始めていました。

なおその後任には外国籍監督の招聘が有力とされており、一部では前ベトナム代表監督のパク・ハンソ氏も候補に上がっているとの報道もあります。

*****

マレーシアスーパーリーグ第13節では、アディショナルタイムに失点してPDRM FCと引き分ける一方で、主力組ではないとしながらも、ムアントン・ユナイテッド(タイ)とセブFC(フィリピン)に大勝した全北現代モーターズを破り、その後はまたJDTに乾杯するなど、アップダウンの激しいシーズンを送っているスランゴールFC。タン前監督の突然の辞任を受け、開幕前に急遽就任したニザム氏は、若い選手を育てながらも、リーグ2位を維持している点はもっと評価されても良かったはず。もしスランゴールFCの経営陣が2位に満足せず、今季優勝を狙うつもりでいたのだとしたら、それは明らかに人選ミス。ニザム氏にそもそも監督をさせるべきではなかったし、監督として実績のある人物を据えれば良かった。しかし敢えてニザム氏に監督要請し、しかも4シーズン連続でキャプテンを務めていたブレンダン・ガンまで放出したということは、今季は若いチームへと刷新し、来季以降にJDTにチャレンジできるチームづくりをする方針と私は捉えていました。そしてこの仮定が正しいとすれば、ニザム氏への批判の声が上がっても、クラブが矢面に立って擁護すれば、ニザム氏は辞任しなかったでしょう。しかし。おそらくはクラブにはニザム監督を支援する姿勢がなかった、少なくともニザム監督にはそれが感じられなかったことからの辞任、ということなのでしょう。

方針を明確に示せないトップでは万が一、パク・ハンソ氏が監督になったとしても、何も変わらないでしょう。これがスランゴールFCを暗黒時代に引き戻すきっかけにならないことを祈りたいです。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第14節の結果とハイライト映像<br>・ジョホールがスランゴールとの首位攻防戦を制し独走体制に<br>・4試合ぶりの勝利でクチンシティが5位浮上<br>・アクマル監督更迭も効果なし-ペナンはサバに大敗

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第14節の3試合が10月25日から27日かけて行われています。今節注目のマッチアップは、2位スランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムで開催される首位ジョホール・ダルル・アマンFC(JDT)との首位攻防戦でした。試合数日前には、アウェイチームに当たられた700枚も含めてチケットが完売したことが発表されるなど、サポーターの期待が高かったこの試合は、JDTのホーム開催だった第1節の試合がファイサル・ハリムへの酸攻撃の直後だったこともあり、スランゴールが試合の延期を求めるもリーグを主催するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)がこれを拒否、その結果、JDTの不戦勝となっていました。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。)

アクマル監督更迭も効果なしーペナンはサバに大敗

今季のマレーシアスーパーリーグでは、ヌグリスンビランFCのアズミ・アジズ、トレンガヌFCのトミスラフ・シュタインブリュックナーに続く、3人目の監督交代となったアクマル・リザル氏のU23チーム監督就任という降格人事が試合前に報じられたペナンFCは、監督交代の効果もなく、サバFCに0−4で敗れています。

開始2分にサディル・ラムダニがペナルティエリアの外から豪快に蹴り込んだ今季初ゴールでリードしたサバは、その4分後、ガブリエル・ペレスのフリーキックが壁の下を遠て直接ゴールインし、あっという間にサバが2点をリードします。さらに35分には、スチュアート・ウィルキンがまたもペナルティーエリアの外からシュートを決めて、サバのリードは3点となると、後半50分にはキャプテンのドミニク・タンがやはり今季初ゴールをまたもペナルティエリアの外から決めて、サバが完勝で3位に浮上しています。

直近の5試合で0勝2分3敗のペナンは、58分には4失点を喫したシーク・イズハンを後退させましたが、焼け石に水。攻守の要、ラファエル・ヴィトール不在では何もできなかったペナンFCは、この試合の指揮を取ったアブデラザク・メルザグア監督代行まさかの大敗で、13チーム中11位となっています。

2024年10月25日@シティー・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0-4 サバFC
⚽️サバ:サディル・ラムダニ(2分)、ガブリエル・ペレス(6分)、スチュアート・ウィルキン(35分)、ドミニク・タン(50分)
MOM:ドミニク・タン(サバFC)

クダはホームでPDRMと引き分ける

前節第13節では試合終了間際のゴールで追いつき、リーグ2位のスランゴールFCと引き分けたPDRM FCと、同じく前節第13節ではリーグ3位のトレンガヌを破ったクダ・ダルル・アマンFC戦の対戦となったこの試合は、引き分けに終わっています。

給料未払い問題が続いているクダのホーム、ダルル・アマン・スタジアムで行われたこの試合は、16分にソニー・ノルデのクロスをシャフィク・アフマドがゴールしたように見えましたが、VARの介入により、得点は認められませんでした。しかし30分にはゴール前の混戦から最後はホセ・クレイトンが押し込んで2試合連続ゴールを挙げたクダが先制します。一方、PDRMも後半の56分にサフィー・アフマドがゴール前にボールを送るとこれをクダGKのイフワット・アクマルが補給しきれず、そのこぼれ球をアレム・ティモシーが押し込み、こちらも2試合連続ゴールを決めて1-1で引き分け、両チームが勝点1を獲得しています。

MSL2024/25 第14節
2024年10月25日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 1-1 PDRM FC
⚽️クダ:クレイトン(30分)
⚽️PDRM:アレム・ティモシー(56分)
MOM:ソニー・ノルデ(クダ・ダルル・アマンFC)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、87分に交代しています。


クランタンとスリ・パハンは引き分け

本拠地のスルタン・モハマド4世スタジアムが改修工事中で使えないクランタン・ダルル・ナイムFCは、スリ・パハンFCのホーム(といってもこちらも本拠地のダルル・マクモル・スタジアムが改修工事中で、間借り中の)MPTスタジアムで主催試合を行い、パレスチナ代表のオデイ・アロウブのフリーキックが直接ゴールインした先制ゴールでリードするも、60分にGKフィクリ・チェ・ソーの捕球ミスからのこぼれ球を押し込んだアダム・ノー・アズリンに同点ゴールを決められて引き分けています。なお、この試合のアディショナルタイムにオデイ・アロウブの兄で、今季からクランタンでプレーするレイス・カロウブが2枚目のイエローで退場処分となっています。

2024年10月25日@MPTスタジアム(パハン州テメルロー)
クランタン・ダルル・ナイムFC 1-1 スリ・パハンFC
⚽️クランタン:オデイ・カロウブ(22分)
⚽️スリ・パハン:アダム・ノー・アズリン(60分)
MOM:アダム・ノー・アズリン(スリ・パハンFC)


4試合ぶりの勝利でクチンシティが5位浮上

開始1分のゴールで先制したクチンシティが4試合ぶりの勝利を挙げ、2連勝中だったKLシティを破り、順位を2つ挙げて5位に浮上しています。

開始早々に右サイドでフリーキックを得たクチンシティは、ペトラス・シテムビがゴール前へ蹴り込むと、これをKLシティのジャンカルロ・ガリフオコがクリアしますが、そのクリアが不十分で、ジェイムズ・オクゥオサがこのボールをディングシュートすると、ガリフオコ選手が再びこれをクリアしようとしますが、そのクリアがオウンゴールとなり、開始1分も経たずにクチンシティが先制します。さらに前半終了間際位には、チェチェ・キプレが頭で落としたボールをペトラス・シテムビがゴール右隅に狙い澄ましたゴールを決め、前半はクチンシティがリードして終了します。

後半に入ってもクチンシティ優勢で試合が進む中、60分にはゴール前の競り合いからジェイムズ・オクゥオサがブレンダン・ガンを肘打ちして1発レッドで退場となり、そこで得たPKをパウロ・ジョズエが決めて、KLシティは1点差に迫ります。しかしその7分後には今度はクチンシティがPKを得ると、チェチェ・キプレがこのPKを決めて、クチンはリードを再び広げます。しかしさらにここでKLのGKアズリ・ガニと接触したキプレ選手が1発レッドで退場となり、クチンシティは9名となりますが、それでもKLシティの反撃を許さずに逃げ切り、4試合ぶりの勝利で順位を5位に上げています。

この試合のMOMはペトラス・シテムビですが、GKのワン・アザレイは好セーブを連発し、2試合ぶりの先発となったボラセパ・マレーシアが推す「未完の大器」ダニエル・アミルとこの試合が2試合目となるJDTからローン移籍中のラマダン・サイフラー、そしてウィングのシャミー・イスズワンと、ここのポジションでもKLシティに引を取らないメンバーのクチンシティは、やはり侮れない存在として今季のリーグに旋風を起こしそうです。

2024年10月26日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 3-1 KLシティFC
⚽️クチンシティ:ジャンカルロ・ガリフオコ(1分OG)、ペトラス・シテムビ(45+2分)、チェチェ・キプレ(68分PK)
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(62分PK)
MOM:ペトラス・シテムビ(クチンシティFC)
クチンシティFCの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

ペラとトレンガヌも引き分けで、3位以下は大混戦に

2024年10月26日@MPMスタジアム(ペラ州マンジュン)
ペラFC 2-2 トレンガヌFC
⚽️ペラ:ルカ・ミルノヴィッチ(9分PK)、ルチアーノ・ゴイコチェア(57分PK)
⚽️トレンガヌ:ネルソン・ボニーヤ(44分)、シャリフィ・ハセッフィ(90+4分PK)
MOM:ルチアーノ・ゴイコチェア(ペラFC)

ジョホールがスランゴールとの首位攻防戦を制し独走体制に

今季ここまで10勝1分0敗で首位を快走するジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と、同じく8勝2分2敗で試合数は1試合多く紹介しているものの勝点差5につけるスランゴールFCが対戦しましたが、結果はJDTが3−0と力の差を見せて完勝しています。

8月に行われた今季のマレーシアFAカップ決勝では、JDTに1−6と惨敗していたスランゴールは、この首位攻防戦の4日前にはACL2で全北現代モーターズFCに勝利するなど、チーム内のモチベーションも上がっていました。スランゴールのニザム・ジャミル監督は全北現代戦の1-4-5から従来の3−4−3にシステムを戻した他、12試合で8ゴールを挙げているチーム得点王ながら、ここ数試合は効果的なプレーを見せられていなかったエースのロニー・フェルナンデスに代えて、20歳のアリフ・ユズランを今季初先発に起用する大胆采配を見せています。

試合からペースを上げるJDTに対して、スランゴールはその攻撃に耐え、逆にカウンターから好機を作るなどともにせめぎ合う拮抗した展開でした。主導権を握るためにも先制点が欲しいスランゴールでしたが、30分に右コーナーからロメル・モラレスのヘディングシュートが決まり、JDTが先制します。さらに前半終了間際の44分には右サイドを上ったアリフ・アイマンからのクロスをリーグ得点王を独走するベルグソン・ダ・シルヴァが押し込んでリードを広げます。1点目はロメル・モラレス2マークを外され、オフサイドにも見えた2点目はベルグソンへの対応が遅れるなど、いずれもスランゴールDF陣がJDTのプレーに対応できずに許した失点でした。

後半の56分には、ペナルティエリアにドリブルで切り込んだアリフ・アイマンをモハマド・アブアルナディが倒してPKを与え、これをベルグソンが自身2点目となるゴールを決めると、万事休す。ACLエリートの光州戦での敗戦を全く引きずらなかったJDTが、3連勝を含む7試合無敗記録を続けていたスランゴールを止めたJDTが、リーグ11連覇にまた一歩近づいています。

試合後の会見でスランゴールのニザム・ジャミル監督は、昨季に比べてスランゴールとJDTの差は縮まっているものの、両チームの差はまだ歴然と存在していると話していますが、まさにその通りでした。スランゴールにとって惜しかったのは、試合開始早々に、数少ないJDTの弱点に見えた左サイドからの攻撃、特にフェロズ・バハルディンの裏を突く攻撃を徹底できなかったこと。またこの試合では全北現代戦でベンチ外だったアルヴィン・フォルテス、サフワン・バハルディンがベンチ入りしたものの、ケガが完治していないのか、この2枚のカードを切る前に2失点したことも敗戦につながった要因でした。

2024年10月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 0-3 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ロメル・モラレス(30分)ベルグソン・ダ・シルヴァ2(42分、54分)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第14節終了)
順位チーム勝点
1JDT1234111044638
2SEL1326823221210
3SAB122062421174
4TRE131846317152
5KCH131746318180
5PDRM13164541418-4
6PRK121551619190
7KCH12153631517-2
8SRP13153641619-3
9#KLC131462523176
10*KDA12134441220-8
11PEN13112561324-11
12KDN13721101031-21
13NSE1261381326-13
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第14節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT16
2パウロ・ジョズエKLC10
3ロニー・フェルナンデスSEL8
4ルシアーノ・ゴイコチェアPRK7
5ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ロドリゴ・ディアスPEN5
9ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
ステファノ・ブルンドSRP4
ジャック・フェイNSE4
ジョヴァン・モティカKLC4
アルヴィン・フォルテスSEL4
チェチェ・キプレKLC4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC

10月25日のニュース<br>・最新のFIFAランキング発表:マレーシアは1つ順位を下げて133位に10月25日のニュース<br>・ペナンFCのアクマル監督の去就は今日決定か

最新のFIFAランキング発表:マレーシアは1つ順位を下げて133位に

FIFAの最新ランキングが発表され、マレーシアは前回9月19日に発表された132位から順位を1つ下げて133位となっています。

前回のランキング発表以降では、132位のマレーシア代表は、今月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)で同95位(当時)のニュージーランド代表と対戦し、0−4で敗れていました。

次回のランキング発表は11月28日となっていますが、その前にある11月10日から18日までとなっている11月のFIFデイズでは。125位のインドとのアウェイでの対戦が発表されています。

なお来年3月から始まるAFCアジアカップ2027年大会3次予選を前に、今年12月にはこの3次予選組分け抽選が行われますが、マレーシアサッカー協会(FAM)は、この3次予選での強豪との対戦を避けるため、予選参加チーム中の上位6位が入るポッド1入りを目指しています。そのためにはFiFAランキングをできるだけ上げておく必要がありますが、3次予選参加チームの中でマレーシアは、シリア(93位)、タイ(96位)、タジキスタン(105位)、レバノン(115位)、ベトナム(119位)、インド(125位)に次ぐ7場面目のチームとなっています。(ランキングはいずれも10月発表分)

10月のFIFAデイズでは2試合できるところで、ニュージーランド戦1試合しか組むことができなかったFAMに対し、FIFAランキングを上げるための努力が不十分との批判の声も出ていました。なおFAMはニュージーランド遠征の際に他のオセアニアサッカー連盟所属(OFC)のフィジーやタヒチ、ソロモン諸島などとの試合を組もうとしたようですが、この時期のOFC加盟国はW杯予選で忙しく、FAMからの申し出が断られていたことが明らかになっています。

なお11月のFIFAデイズでは、確定しているインド戦の他、アフガニスタン(同151位)、モルジブ(同163位)などがもう1試合の対戦相手候補に上がっているとされています。

ペナンFCのアクマル監督の去就は今日決定か

2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグは今週末に第14節を迎えますが、今季はここまでで既に2チームで監督が交代しています。現在13チーム中12位のヌグリスンビランFCは、アズミ・アジズ監督がテクニカル・ディレクターに転身し、コーチだったN・ナンタクマル氏が新監督に就任しています。また現在3位のトレンガヌFCはトミスラフ・シュタインブリュックナー監督が更迭され、コーチだったバイドゥル・アフザン・ラザリ氏が暫定監督になっています。

そして今季3チーム目の監督交代がペナンFCで起こりそうだと、複数のメディアが報じています。

今季開幕前にU23チームの監督からトップチームの監督に就任したアクマル・リザル監督が率いるペナンFCは、12試合を終えた時点で2勝5分5敗で現在11位となっています。特に直近の5試合では、0勝2分3敗で得点6失点14という成績です。10月20日に行われた第13節、ホームのシティ・スタジアムでのスリ・パハンFC戦では、公式発表によれば入場者数がおよそ1,100名と、今季のホーム初戦の4,500名からは観客数もチーム成績に呼応するように減ってきています。

ペナンFCは10月20日の試合後に緊急の理事会を開き、アクマル監督の去就について話し合いが行われたようですが、理事会後の公式声明では、「ペナンFCの好ましくないここまでの成績を考慮し、チームの今後のために『重要かつ抜本的な』決断を近々下す予定である」ことが発表されました。

一部報道では、現在はペナンFCのテクニカル・ディレクターを務め、ペナンFCでの現役時代は」グレート・メルツ」の愛称で親しまれていたモロッコ出身のメルザグア・アブデラザク氏が本日開催のマレーシアスーパーリーグ第14節、ホームでのサバFC戦から監督代行を務めるのでは、といったことも報じられています。

10月24日のニュース<br>・ACL2第3節:スランゴールが全勝の全北現代との首位攻防戦を制す

スランゴールFCがかつてはACL(現ACLエリート)で二度の優勝を果たしている「韓国の強豪」全北現代モーターズを破っています。ACL2のH組首位攻防戦となったこのカードの勝利は、先週末のマレーシアスーパーリーグではPDRM FCと引き分けて、嫌な雰囲気となっていたチームを活気づけ、さらに今週末のビッグマッチ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)戦へ向けて士気が上がる勝利となっています。ホームサポーターの前でスランゴールがJDTを破るようなことがあれば、スランゴールサポーターの溜飲も下がるはずですが、JDTもACLエリートの光州FC戦に続く連敗はプライドが許さないはず。果たして両チームがどのような試合を見せてくれるのか。間違いなく今季最注目の試合は10月27日20時15分(マレーシア時間)キックオフです。

ACL2第3節:スランゴールが全勝の全北現代との首位攻防戦を制す

ACL2グループステージH組の第3節が行われ、ここまで2連勝の全北現代モーターズFCを1勝1分のスランゴールFCがホームのMBPJスタジアムへ迎えた一戦は、大方の予想を覆してスランゴールが2−1で全北限代を破り、H組首位に浮上しています。

全北現代は韓国国内リーグのKリーグではリーグ優勝回数最多を誇るだけでなく、旧ACL(現ACLエリート)では2006年、2016年と優勝を果たしているアジアトップクラスの強豪です。しかし今季は成績が低迷、しかもKリーグが採用した「スプリット方式」により、下位6チームが出場する降格プレーオフに回っています。このため、主力はこの降格プレーオフに専念し、ACL2には若手中心の言わば「リザーブチーム」が出場。4日前に行われた降格プレーオフの大田ハナシチズン戦に先発した選手は1人もおらず、ベンチ入りした選手も2名と全く別のチームです。ちなみに全北現代は2018年シーズンにマレーシアリーグのヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)でプレーしたこともあるキム・ドゥヒョン監督が率いています。

それでもACL2H組の第1節ではダイナミック・ハーブ・セブFC(フィリピン)を5−0、同第2節のムアントン・ユナイテッドFC(タイ)戦を4-1といずれも大勝しており、H組を1位通過するだけの実力を見せています。一方のスランゴールは国内リーグのマレーシアスーパーリーグでは現在2位につけるものの、4日前のリーグ戦では6位のPDRMにロスタイムのゴールで引き分けて連勝が止まっていました。またスランゴールはいずれもケガでリーグ戦を欠場中のキャプテンのCBサフワン・バハルディン、マレーシアU23代表ではキャプテンを務めるMFムカイリ・アジマルに加え、PDRM戦では負傷退場したヨルダン代表MFノー・アル=ラワブデが膝前十字靱帯を痛めて長期離脱することが発表されたほか、今季チーム2位の4ゴールを挙げているウィングのアルヴィン・フォルテスも膝の調子が思わしくないとして、この試合ではベンチ外となっています。

そんな満身創痍のチームを率いるニザム・ジャミル監督が3連勝を目論む全北現代相手に採用したのが、なんとリーグ戦でも使ったことがない5バックでした。左右サイドバックにジクリ・カリリとクエンティエン・チェン、中央にはヨルダン代表のムハマド・アブアルナディ、この試合のキャプテンとなった22歳のハリス・ハイカル、そしてウズベキスタン代表のウマル・エシュムラドフの3人を配置、中盤はノーア・レインとニコラ・ジャンボルがディフェンシブハーフ、ヨルダン代表アリ・オルワンとヨハンドリ・オロスコがサイドハーフで、ロニー・フェルナンデスがワントップという5−4−1は、守備に重きを置いた窮余の一策だったのかも知れません。


しかしこの策はこの試合では見事にハマりました。試合の立ち上がりこそ、全北現代に押し込まれる場面があったものの、途中からは特に右サイドバックのクエンティン・チャンが攻守で機能し始めると、スランゴールが徐々に優勢に試合を進めます。何度かあった好機を活かせなかったものの31分には中央付近で得ます。ヨハンドリ・オロスコの蹴ったボールをウマル・エシュムラドフがゴール前で落とすと、そこに走り込んできたハリス・ハイカルがこのボールを蹴り込んでゴール!スランゴールが先制します。さらにその2分後には、中央をドリブルで上がったノーア・レインからのパスをアリ・オルワンが相手DFを交わしてゴールを決めて、スランゴールがリードを2点に広げます。

一方の全北現代はスランゴールDF陣が中央を固めるように守るのを見計らうようにサイド攻撃を繰り返し、40分には右サイドのチョン・ウジェに簡単にクロスを上げさせてしまうと、このボールをクォン・チャンフンが頭で押し込んで、全北現代が1点差に爪より前半を終了します。

後半は一進一退を繰り返しながらも、最後はヨハンドリ・オロスコが後ろからのタックルで2枚のイエローをもらい、10人になったスランゴールでしたが、逃げ切って勝点3を獲得、H組の首位に浮上しています。

2024/25 ACL2 H組第3節
2024年10月23日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 2-1 全北現代モーターズFC
⚽️スランゴール:ハリス・ハイカル(30分)、アリ・オリワン(32分)
⚽️全北現代:クォン・チャンフン(40分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

H組のもう1試合は、ここまで未勝利同士の対戦で、ムアントン・ユナイテッドがこの大会ではホームとしているバンコクのラジャマンガラ・スタジアムに、日本人選手3名を擁するダイナミック・ハーブ・セブFCを迎えての対戦でした。セブFCが1−0とリードして前半を終えると、後半に2ゴールを挙げたムアントン・ユナイテッドが逆転して逃げ切りを図りますが、途中出場の濱 琳太郎選手がアディショナルタイムに劇的な同点ゴールを決め、セブFCに今大会初の勝点をもたらしています。

2024/25 ACL2 H組第3節
2024年10月23日@ラジャマンガラ・スタジアム(タイ、バンコク)
ムアントン・ユナイテッドFC 2-2 ダイナミック・ハーブ・セブFC
⚽️ムアントン:フェリシオ・ブラウン・フォルベス(53分)、エミル・ロバック(79分)
⚽️セブ:ライノ・グーティエ(16分)、濱琳太郎(90+3分)
セブFCのDF小林 雅弥、MF冨樫 凌央の両選手は先発し、小林選手はフル出場しています。また富樫選手は59分に交代しています。また濱 琳太郎選手は、富樫選手と交代で59分から出場し、同点ゴールを決めるなど試合終了までプレーしています。

ACL2 H組の次節第4節は、11月7日に第3節と同じカードがホームとアウェイを入れ替える形で行われ、全北現代モーターズFC対スランゴールFCが韓国、全州市の全州ワールドカップスタジアムで、またダイナミック・ハーブ・セブFC対ムアントン・ユナイテッドFCがフィリピン、マニラのリザル・メモリアル・スタジアムで行われる予定になっています。

2024/25 ACL2 H組順位表(第3節終了)
勝点
スランゴール32104227
全北現代320111386
ムアントンU302147-32
DHセブ301229-71

10月23日のニュース<br>・ACLエリート:開始6分で2失点のジョホールが光州FCとの「首位攻防戦」に敗れる

インドネシア国内リーグを運営するリガ・インドネシア・バル社は、12月に開幕する東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」期間中にはトップリーグのリガ1を中断しないことを発表しています。FIFA国際マッチカレンダー期間外で行われるこの大会には、各クラブに代表選手招集に応じる義務が発生しないことから、マレーシアでもA代表ではなく、U23代表を参加させるのではといった憶測も出ており、これまでのような東南アジアNO.1決定戦になるのかどうかが危惧されています。

開始6分で2失点のジョホールが光州FCとの「首位攻防戦」に敗れる

ACエリート東地区の第3節が行われ、ここまで2連勝中で首位の光州FC(韓国)と1勝1分で2位のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が対戦し、ホームの光州FCがJDTを3−1で破り「首位攻防戦」を制しています。

国内リーグのマレーシアスーパーリーグ第13節は試合がなく、その前に予定されていたペラFC戦がピッチコンデション不良のため順延となったJDTにとっては、9月27日の第11節クチンシティFC戦以来の試合でした。10月14日に隣国シンガポールリーグのバレスティア・カルサFCとの練習試合も行っていましたが、よく言えば休養十分、悪く言えば試合間隔がかなり空いた状況でした。

この日の両チームの先発XIは以下の通り。JDTは前節の上海申花戦からはシェーン・ローリーに代わって、フェロズ・バハルディンがCBに入った以外は変更なしでした。光州FCのイ・ジョンヒョ監督が、この試合を前にJDTにはマレーシア生まれの選手が1人しかいないのは驚きだ、と発言したことが報じられており、まさかとは思いますが、JDTのエクトル・ビドリオ監督がこれに反応した結果、マレーシア代表でもプレーするフェロズ・バハルディン先発だったのかも知れません。なお、ローリー選手はこの試合ではベンチ外でした。


しかし試合はそのフェロズ・バハルディンがいくつものプレーに関わる形で進みます。雨の中で始まった試合は開始3分、は中央のオ・フソンからペナルティエリアに走り込んだアルバニア代表FWヤシル・アサニにボールが渡ると、対峙したフェロズ選手はいとも簡単にかわされて先制ゴールを決められてしまいます。さらにその3分後には、センターサークル付近でトラップミスをしたフェロズ選手の後ろからボールを奪ったヤシル選手が一気にJDTのペナルティエリアへドリブルで持ち込み、最後はGKアンドニ・スビアウレを交わしてゴールを決め、開始6分で光州FCがリードを2点に広げます。

今季のACLエリートの横浜Fマリノス戦ではハットトリックを、続く川崎フロンターレ戦でもPKでゴールを挙げているヤシル選手の2ゴールで光州FCは優位に立ちますが、JDTもアリフ・アイマンやナチョ・インサが積極的にゴールを狙います。しかし光州FCのGKキム・ギョンミンの好セーブもあり、得点には至りません。しかし28分、フアン・ムニスの左コーナーキックに反応したフェロズ選手が完全にフリーでヘディングシュートを決め、ついにJDTは1点差に詰め寄ります。

光州FCの1点リードで前半を終えると、後半はJDTが優勢に試合を進めますが、87分に右サイドのヤシル選手がマークについたフェロズ選手をまたも巧みに交わしてファーサイドへクロスを上げると、ホ・ユルがこれをヘディングシュート。このシュートがJDTのパク・ジュンホンに当たってオウンゴールとなり、再び点差を広げた光州FCが勝って3連勝で首位を堅持、JDTは今季のACLエリートで初黒星を喫しています。

AFCの公式サイトでは、ボール保持率が光州FCの43%に対してJDTは57%、シュート数は光州FC6本(枠内2本)に対してJDT18本(同5本)、そしてコーナーキックは光州FC2本、JDT13本と、データ的には両チームの間に差がないどころか、JDTが勝ってもおかしくない数字ですが、これが勝負ということなのでしょう。特に文字通り全てのゴールに絡んだフェロズ・バハルディンについては、この試合の経験をもとに、JDTのマレーシア人選手はアリフ・アイマンだけではないことを示すような選手になってほしいです。

2024年10月22日@龍仁弥勒スタジアム(韓国、龍仁市)
光州FC 3-1 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️光州:ヤシル・アサニ2(3分、6分)、パク・ジュンホン(87分)
⚽️ジョホール:フェロズ・バハルディン(28分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。