8月21日のニュース:WC二次予選の代表候補合宿メンバー発表、タン監督「ハズワン・バクリは大事な戦力」

WC二次予選の代表候補合宿メンバー発表
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページで、国際サッカー連盟FIFAワールドカップWC2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権2023年大会予選に出場するマレーシア代表候補合宿の参加メンバー27名が発表になっています。
 東ティモールと対戦した今年6月のアジア一次予選のメンバー23名からは18名が残り、DFシャズワン・アンディック(JDT)、FWシャズワン・ザイノン(スランゴールFA)、MFケニー・パッラジ・ダバラギ(ペラTBG)、GKザリフ・イルファン(PKNS FC)、FWファイサル・ハリム(パハンFA)の5名が外れた一方で、昨年2018年末のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップに出場しながら、ケガのため戦列を離れていたGKハフィズル・ハキム(ペラTBG)とMFシャミ・サファリ(スランゴールFA)は、ケガが完治したことから代表候補に復帰しています。またこのスズキカップのメンバーではDFナジルル・ナイム(ペラTBG)とFWハズワン・バクリ(JDT)も代表候補に復帰しています。またFWハディン・アズマン(フェルダ・ユナイテッド)は3月のエアマリンカップ以来の代表合宿招集となっっています。
 この他、マレーシアFAカップでペラTBGの準優勝に貢献したMFブレンダン・ガンとMFパルティバン・ジャネセカランのMFコンビは、タン・チェンホー監督となってから初の代表合宿招集、またU23代表からはMFダニアル・アミル(フェルダ・ユナイテッド)とジャフリ・チュウ(PKNS FC)が初のフル代表候補合宿招集を受けています。
 詳しい選手リストはこちらですが、27名の内、タイリーグ2部のポリス・テロFCでプレーするドミニク・タン・ジュンジン以外は全員がマレーシアフットボールリーグMFLでプレーしています。(ドミニク選手は、タイリーグ1部のタラートFCへの期限付き移籍が所属クラブのJDTから発表されていましたが、結局ポリス・テロFCでプレーしているようです。)
 各選手は今月25日(日)から始まる代表合宿に合流し、8月30日(金)にヨルダンとブキ・ジャリル国立競技場で国際親善試合を行った後、WC二次予選出場の代表23名が発表されます。その後は9月5日(木)にWC二次予選初戦となるアウェイのインドネシア戦、9月10日(火曜日)のホーム開幕戦となるアラブ首長国連邦UAE戦が控えています。
 なおマレーシアはWCアジア二次予選では、グループGに入り、アラブ首長国連邦、ベトナム、タイ、インドネシアと同組になっています。

タン監督「ハズワン・バクリは大事な戦力」
 今回のフル代表候補合宿候補メンバーの中で、ジョホール・ダルル・タクジムJDTのFWハズワン・バクリの招集について疑問の声が上がる中、タン監督はハズワン選手の招集理由をマレー語紙ブリタ・ハリアンとのインタビューの中で説明しています。
 ハズワン選手は今季のMFLで出場が2試合、しかも出場した2試合もそれぞれ68分と90分からと非常に短い時間の出場にとどまっています。このハズワン選手についてタン監督は、MFLには有力なFWがいないこと、所属するJDTにはジオゴやゴンザロ・カブレラといった強力な外国人FWが在籍しているため出番がないことなどを挙げ、今回の代表合宿でその実力を見極めたいとしています。
 また招集選手リストについてタン監督は、自分一人ではなくコーチ陣とも相談して決めているとしています。また今回は27人と通常より多い選手が招集されている点についても、ここからアジア二次予選に出場する選手となるにはさらに厳しい競争が待っていることも指摘しています。

8月18日から20日のニュース:U18代表はAFF選手権決勝に進出もオーストラリアに惜敗、U18代表はオーストラリアで話題に、トレンガヌFCのGKが死去

U18代表はAFF選手権決勝に進出もオーストラリアに惜敗
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページによると、ベトナムのホーチミンで開催中のアセアンサッカー連盟AFF U18選手権ネクストメディアカップで、マレーシアは決勝に進出しましたが、オーストラリアに0-1で敗れ、昨年に続く連覇を逃しています。
 準決勝ではフルタイムで決着がつかず、延長の末インドネシアを4-3で破ったマレーシアは、やはり準決勝でミャンマーを2-1で破ったオーストラリアとの決勝に臨みました。
 マレーシアはグループステージではオーストラリアに0-3と快勝していましたが、英字紙スターオンライン版によると、その試合でも活躍し、セレッゾ大阪の入団テスト受験が決まっているFWラクマン・ハキムも不発だったようで、試合全体を通してもマレーシアU18代表はあまりチャンスがなかったようです。
 大会前は2連覇にこだわっていないとしていたマレーシアU18代表の暫定監督を務めるブラッド・マロニーU23代表コーチは、強豪オーストラリアやタイと同組だったにも関わらず準決勝に進出できたことで選手が自信をつけてきたと話していましたが、この準優勝には胸を張って欲しいと思います。
準決勝
マレーシア4-3インドネシア
オーストラリア2-1ミャンマー
決勝
オーストラリア1-0マレーシア
3位決定戦
インドネシア5-0ミャンマー
(写真左は決勝のスタメン-FAMのFacebookより、右は優勝を喜ぶオーストラリアU18代表-Caltex SoccerroosのFacebookより)

マローニー暫定監督率いるU18代表がオーストラリアで話題に
 オーストラリアの公共放送局SBSのサッカー専門サイトThe World Gamesでは、オーストラリア出身のブラッド・マローニー暫定監督が率いるマレーシアU18代表のAFFU18選手権ネクストメディアカップでの快進撃に彼の母国で注目が集まっていると報じています。
 グループステージでは、かつてAリーグのパース・グローリーでチームメイトでもあったガリー・ヴァン・エグモンド監督率いるオーストラリアU18代表を3-0で撃破しており、この勝利でマローニー暫定監督が実績を積み上げただけでなく、東南アジアのチームのレベルが上がってきていることも示しているとこの記事では述べられています。
 このU18選手権ネクストメディアカップに先立って、タイのチョンブリで開催されたAFFU15選手権でも、マレーシアはオーストラリアを3-0で破っており、この記事では、この結果はオーストラリアサッカー協会FAAに対する警告であり、急成長する東南アジア各国代表の成長に遅れを取らぬよう、FAAに対してより積極的な取り組みを提言しています。マローニー暫定監督も、東南アジアの代表チームとオーストラリアを含めたアジアの有力チームとの差は小さくなっていることを感じていると語っています。
 さらにこの記事の中でマローニー暫定監督は、機会があれば将来は母国での指導者となることも考えたいとする一方で、マレーシアU23代表コーチとの兼務であるU18代表の暫定監督であることには何の不満もないと、インタビューに答えています。

トレンガヌFCのGKが死去
 FAMのホームページでは、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグに所属するトレンガヌFCのGKサフィアン・アブドル・ラーマンが、入院中のトレンガヌ州の病院で亡くなったことを伝えています。享年41歳でした。
 故サフィアン選手は今季のMFL最年長選手ながら、トレンガヌFCの正GKとしてMFLの13試合に出場していました。また、マレーシアカップ第1節直前の8月1日の練習中に心臓発作を起こして入院したことはこのブログでも取り上げましたが、数日前に退院して自宅に戻った後、そのまま帰らぬ人となりました。
(写真はサフィアン選手逝去を伝えるFAMのFacebookぽすと)

マレーシアカップ グループステージ第3節の結果まとめ

8月16日(金)から18日(日)にかけて行われたマレーシアカップ のグループステージ第3節の結果です。

グループA
PKNS FC1-1クダFA
得点者:PKNS FC-ロメル・モラエス(70分)、クダFA-フェルナンド・ロドリゲス(21分)
 前節のヌグリ・スンビランFA戦の勝利で、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグから続いていた勝ち星なしを8試合で止めたPKNS FCが、この試合ではマレーシアFAカップ優勝のクダFA相手に引き分け。コロンビア出身のロメロ・モラエスとスペイン出身のフェルナンド・ロドリゲスがそれぞれゴールを決めています。

トレンガヌFC3-1ヌグリ・スンビランFA
得点者:トレンガヌFC-チェチェ・キプレ3(42分、57分、86分)、ヌグリ・スンビランFA-イゴール・ルイス
 前日に心臓発作のため急逝したGKスフィアン・アブドル・ラーマンのいわば弔い合戦となったこの試合は、チェチェ・キプレのハットトリックでトレンガヌFCが快勝しています。
 ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンでフル出場しています。

順位チーム得点失点得失差勝点
1トレンガヌFC3008269
2クダFA1204405
3PKNS FC11145-14
4ヌグリ・スンビランFA00338-50

グループB
PKNP FC2-2ジョホール・ダルル・タクジムJDT
得点者:PKNP-ヤシル・ピント(35分PK)、ジャンカルロ(79分)、JDT-ゴンザロ・カブレラ2(9分、14分)
 MFL1部スーパーリーグで今季11位となり、来季の2部降格が決まっているPKNP FCがリーグ6連覇中のJDTと引き分け。前半をアルゼンチン出身のFWゴンザロ・カブレラの2ゴールで2−0とリードして折り返したJDTでしたが、パレスチナ代表のFWヤシル・ピントとブラジル出身のFWジャンカルロのゴールで同点に追いつかれています。

プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC1-0UITM FC
得点者:PJシティFC-ペドロ・エンリケ(29分)

順位チーム得点失点得失差勝点
1JDT2109547
2PJシティFC2015506
3PKNP FC1115414
4UITM FC00316-50

グループC
ペラTBG1-1ペナンFA
得点者:ペラTBG-ロナウド(12分)、ペナンFA-カサグランデ(63分)

サバFA1-2パハンFA
得点者:サバFA-アギナルド・ポリカルポ(54分)、パハンFA-ディクソン・ヌワカエメ(2分)、ラザラス・カイムビ(35分)

順位チーム得点失点得失差勝点
1パハンFA3008269
2ペラTBG1114404
3ペナンFA11145-14
4サバFA00327-50

グループD
フェルダ・ユナイテッド1-3マラッカ・ユナイテッド
得点者:フェルダU-カイルル・アムリ(74分)-、マラッカU-ディーヴァン・ラジ2(12分、62分)、ルカ・ミルノヴィッチ(31分)
 フェルダUの渡邊将基、池田圭寮選手は久しぶりの二人揃ってのスタメンフル出場です。

スランゴールFA1-1PDRM FC
得点者:スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルヴァ(52分)、PDRM FC-アルグジム・レゾヴィッチ(60分)

順位チーム得点失点得失差勝点
1マラッカU2016336
2スランゴールFA1204315
3PDRM FC11163-14
4フェルダU01269-31

8月16日のニュース:タイに敗れるもマレーシアはAFF U18選手権準決勝進出、エアアジアCEO「ブキ・ジャリルをウェンブリーにする」

タイに敗れるもマレーシアはAFF U18選手権準決勝進出
 ベトナムのホーチミンで開催中の東南アジアサッカー連盟AFF U18選手権は、グループスタージ最終戦が行われ、連覇を目指すマレーシアはタイに敗れるも準決勝進出を果たしています。
 初戦のベトナム0-1で敗れたものの、その後はシンガポール3-1カンボジア3−0、そしてオーストラリアに3−0と3連勝と立ち直り、準決勝進出には最終戦まで2分2敗と勝ち星のないタイ相手に引き分けで十分だったのですが、そのタイに0−1とまさかの敗戦を喫しました。しかしベトナムがカンボジア戦で敗れたため、棚ぼたで準決勝進出が転がり込んできました。
 以下グループステージの最終結果です。

順位グループB得点失点得失差勝点
1オーストラリア4012041612
2マレーシア3029369
3ベトナム2126607
4カンボジア203713-66
5タイ12268-25
6シンガポール113312-94
順位グループA得点失点得失差勝点
1インドネシア4102041613
2ミャンマー410113813
3ラオス3028539
4東ティモール2031213-16
5フィリピン104818-103
6ブルネイ005420-160

エアアジアCEO「ブキ・ジャリルをウェンブリーにする」
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア代表の全ての公式戦をブキ・ジャリル国立競技場で行う了解覚書を交わしたマレーシアスタジアム社の会長で、エアアジアのCEOでもある、トニー・フェルナンデスは、評判の悪いブキ・ジャリルこクルツ競技場のピッチを1年以内に世界でもトップクラスのものに改善すると述べています。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、ブキ・ジャリル国立競技場を会場として国際サッカー連盟FIFAワールドカップ2022年大会アジア一次予選を戦ったマレーシア代表のタン・チェンホー監督や、やはり先月7月にブキ・ジャリル国立競技場でFAカップ決勝を戦ったクダFAのアイディル・シャリン監督、ペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督らから酷評されたピッチについて、現在はそれほど酷いものではないとし、自らがオーナーのイギリス2部チャンピオンシップに所属するクイーンズパークレンジャーズQPRもこのくらいのピッチで試合を行うと述べる一方で、ヨルダン代表との国際親善試合が予定されている8月30日には間に合わないものの、排水、空調なども含めて様々な専門家と協議し、ピッチの改善を約束し、(イギリスの)ウェンブリー競技場のようにしたいと話しています。

8月14日から15日のニュース:JDTアカデミーは東南アジア最高のアカデミー、AMDの選手たちはリムTDの残留を希望、ソーシャルメディアでもファンがリムTDの残留を嘆願、2020年末まで代表戦はブキ・ジャリル国立競技場で開催

JDTアカデミーは東南アジア最高のアカデミー
 マレーシア政府の肝いりで建設され、マレーシアサッカー協会FAMが運営するジュニア選手養成施設モクター・ダハリアカデミーAMDとの契約が更新されないことが決まったリム・ティオンキムTD(テクニカルダイレクター)。彼によると将来プロを目指すのであれば、マレーシアサッカーリーグMFL1部スーパーリーグで6連覇を果たしたジョホール・ダルル・タクジムが運営するJDTアカデミーこそが最良の環境のようです。
 英字紙ニューストレートタイムズによると、リムTDはJDTアカデミーが最先端の設備をそろえ、系統だった指導方針で若手選手を育成する東南アジアでも最高の環境が整っているとし、将来、プロを目指す選手たち、特に自分がかつてTDを務めた国家サッカー選手養成プログラムNFDP出身者が成功する近道であるとしています。
 元マレーシア代表選手で、引退後はバイエルン・ミュンヘンのユースチームのコーチを10年以上も務めたリムTDは、2013年にNFDPのTD兼マレーシアU16代表の監督に就任しましたが、昨年、クアラ・ルンプールで開催されたアジアサッカー連盟AFC U16選手権ではグループステージで敗退したことから、NFDPのTDとU16監督を解任され、AMDのTDに降格させられていました。10月末に切れるAMDのTDの契約も、給与カットが条件で新たな契約が提示されていましたが、それを拒否して退任することが決まっています。

AMDの生徒たちはリムTDの残留を希望
 10月末で契約満了となり退任するAMDのリム・ティオンキムTDについて、AMDの生徒であるラジャ・ムハマド・ハイカル・ラジャ・ムハマド・ザハリとムハマド・ダニアル・ハイカル・モハマド・シャイポルは、リムTDが引き続きAMDで指導することを希望しているとマレー語紙ブリタ・ハリアン電子版に語っています。
 セレッゾ大阪が行なっているアセアンドリームプロジェクトADPにマレーシアから参加しているこの二人は、リムTDは難しいことでもわかりやすく教えてくれ、フィールド上での規律などヨーロッパで当たり前であることを学べる最適な指導者であると述べています。
 実際、2013年のリムTDの就任から5年で、U15代表は先ごろ行われたアセアンサッカー連盟のU15選手権で優勝し、現在開催中のU18選手権でもオーストラリアを破るなど、徐々に若手育成の結果が出てきています。

ソーシャルメディアでもファンがリムTDの残留を嘆願
 マレーシアのサッカー専門オンラインメディアVocket fcによると、マレーシアのサッカーファンの一部も、Twitterで#saveLTK(「LTKを救え」、LTKはリムTDのイニシャル)という運動を展開し、リムTDの直接の雇用主であるマレーシア政府の青年スポーツ省に契約延長を求めているようです。
 Vocket FCでは、このハッシュタグのついたいくつかのメッセージを紹介しています。「ローマは1日にしてならず。育成はすぐに結果が出るものではなく、時間がかかることを理解すべし。とは言え、(マレーシアが優勝した)AFFU15選手権やAFFU18選手権を見れば、育成は順調に進んでいることは明白。」「近年のジュニア、ユース世代の好成績が、(リムTDの)哲学は間違っていないことを示している。マレーシアには彼が必要だ。」
 なおVocket FCはTwitter上でアンケートを行い、1,465名の回答者中、70%が契約延長に賛成しています。

2020年末まで代表戦はブキ・ジャリル国立競技場で開催
 マレーシアサッカー協会FAMは、クアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場を運営するマレーシアスタジアム社PSMとの間で、マレーシア代表の公式戦は2020年末まで全試合をブキ・ジャリル国立競技場で行う契約を結んだことをホームページで告知しています。
 FAMのダト・ハジ・ハミディン・ハジ・モハマド・アミン会長と、世界でも有数の格安航空会社エアアジアのCEOでもあるPSM社のタン・スリ・トニー・フェルナンデス会長が出席して開かれた調印式では、国際サッカー連盟FIFAワールドカップ2022年大会兼アジアサッカー連盟AFC選手権2023年大会のアジア二次予選の他、東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会など全ての公式戦は全てブキ・ジャリル国立競技場が会場となることが発表された他、FAMとPSM社の双方が合意すればさらに2年間の契約延長が可能とのことです。なお国際親善試合などは、今後もブキ・ジャリル国立競技場以外で開催されるとしています。
 また今後はブキ・ジャリル国立競技場の敷地内に、マレーシア代表の博物館やオフィシャルグッズショップの開設、さらにチケットのオンライン販売化率を100%とすること両者が協力しながら目指すとし、これまでマレーシアでは行われていなかったチケット購入時の座席番号指定なども検討されているようです。
 マレーシア代表はこのブキ・ジャリル国立競技場で今月8月30日にヨルダンと国際親善試合を行った後、FIFAワールドカップのアジア二次予選を迎えます。初戦は9月5日にジャカルタで開催されるアウェイのインドネシア代表戦、そして9月10日にはホームにアラブ首長国連邦を迎えて第2戦を戦います。
(以下はFAMのFacebookより。写真左からサイド・サディック青年スポーツ相、FAMのハミディン会長、PSM社のトニー・フェルナンデス会長)


 
 

8月13日のニュース:前トレンガヌFC監督がKLFA新監督の候補に挙がる、AFC U16選手権得点王がセレッゾ大阪の入団テスト受験

前TFC監督がKLFA新監督の候補に挙がる
 オンラインスポーツニュースサイトのスタジアム・アストロによると、今季のマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグで最下位となり、来シーズンは2部プレミアリーグに降格するクアラ・ルンプール(KL)FAは、前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ・アブ・サリムを来シーズンの監督候補の一人として交渉をしているようです。
 開幕からの5試合で得点5、失点13と守備陣が崩壊したKLFAは、この5連敗後に今シーズンから指揮をとるユスリ・チェ・ラー監督が早々と辞任し、チーム立て直しを目指しましたが、アシスタントコーチから昇格したチョン・イーファット監督代行、そしてロスリ・モハマド・デルスコーチと指揮官を変えたものの、最終的には4勝2分16敗の成績でした。
  KLFAを統括するクアラ・ルンプールサッカー協会のノクマン・ムスタファ事務局長によると、2017年シーズン途中にKLFA監督に就任してMFL2部プレミアリーグでの優勝と1部昇格を勝ち取り、2018年シーズンも1部に残留させたブラジル人のファビオ・マシエウ前監督を含めた外国人指導者や、他のマレーシア人指導者も来季の監督候補としてリストアップされているということです。

AFC U16選手権得点王がセレッゾ大阪の入団テスト受験
 昨年2018年にクアラ・ルンプールで開催されたアジアサッカー連盟AFC U16選手権で得点王を獲得したFWロクマン・ハキム・シャムスディン(17)が、J1のセレッゾ大阪の入団テストを来月受験するとマレー語紙ハリアン・メトロ電子版が伝えています。
 現在、大阪訪問中のマレーシア政府サイド・サディック・サイド・アブドル・ラーマン青年スポーツ相がセレッゾ大阪関係者との会談後に明らかにしたもので、昨年のAFC U16選手権、そして今年3月にマレーシアU18代表が参加した福岡県宗像市で開催されたサニックス国際ユースサッカー大会とセレッゾ大阪がロクマン選手のパフォーマンスを評価したことから、今回の入団テストにつながったと話しています。
 ロクマン選手は現在、マレーシアU18代表のメンバーとして、ベトナムのホーチミンで開催中のアセアンサッカー連盟AFF U18選手権に出場中で、グループステージのオーストラリア戦では2得点を挙げるなど活躍しています。
 セレッゾ大阪との会談に同席したヤクルトの現地法人ヤクルト・マレーシアの濱田浩志代表取締役社長は、セレッゾの他にもロクマン選手に興味を示しているJリーグのクラブが5つあり、ロクマン選手が日本でプレーすることができるようサポートしたいと語っています。ヤクルト・マレーシアはJ2の岡山ファジアーノでプレーするハディ・ファイヤッドがマレーシアから日本へ移籍する際にもサポートを行っており、今後も若い選手が日本でプレーするための協力をしたいとも濱田社長は述べています。

8月12日のニュース:U15代表の次の目標はAFC U16選手権の予選突破, AMDテクニカルダイレクターの後任は未定

U15代表の次の目標はAFC U16選手権の予選突破
 タイで行われていた2019年アセアンサッカー連盟AFF U15選手権で、6年ぶり2度目の優勝を果たしたマレーシアU15代表が帰国しまことが英字紙スター電子版で報じられています。
 決勝で開催国タイを2-1で破ったこのチームを率いるマニアム・パチャイアパン監督は、メディアの取材に対し選手たちの保護者や関係者に感謝の意を伝えた上で、未だに発展途上のチームがアジアサッカー連盟AFCレベルでも同様の結果をすぐに出すことは期待していないと述べ、次の目標として今年9月にラオスのビエンチャンで開催されるAFC U16選手権2020年大会予選の突破を挙げています。この予選でマレーシアは予選グループJに組み込まれ、開催国ラオス、日本、カンボジアと同組になっており、予選グループ11組のトップと成績上位5チームが本戦に出場します。
 マニアム監督は技術の他に試合中の状況判断のスピードなどにもまだまだ改善の余地があるとして、9月の予選までに修正したいと述べています。

AMDテクニカルダイレクターの後任は未定
 上の記事で取り上げたAFF U15選手権優勝のマレーシアU15代表メンバー23名中21名が所属するモクター・ダハリアカデミーAMDは、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省による国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核をなすサッカー選手養成施設です。そのAMDでテクニカルダイレクターを務めるリム・ティオンキムとの契約は今年10月末に切れますが、その契約延長がされないことが決まりましたが、その後任はまだ決まっていないとスター電子版が伝えています。
 NFDP技術委員会のダト・スリ・スバハン・カマル委員長は、青年スポーツ省のサイド・サディック・サイド・アブドル・ラーマン大臣が座長を務め、マレーシアサッカー協会FAM、国家スポーツ委員会NSC、国家スポーツ研究機関NSI、教育省が名を連ねる運営委員会から具体的な指示を受けていないとし、具体的な後任はまだ決まっていないと述べています。
 リム氏は業績評価指標とされていた昨年の国際サッカー連盟FIFA U17ワールドカップ出場が果たせなかったことに加え、25万リンギ(約630万円)とされる月給がNFDPの年間予算1500万リンギ(約3億8000万円)の16.6%を占めることから、契約が延長されなかのだろうとスター電子版は分析しています。
 FCバイエルン・ミュンヘンのジュニアチーム(ユースアカデミー)で12年間こーちとして指導をしていたリム氏は、AMDとの契約満了後はミュンヘンに戻る予定であるとマレー語オンラインメディアのmstarのインタビューに答えています。また、マレーシアのクラブでの指導の可能性について問われると、「『自分の給料は高すぎる』と言われているのでオファーないだろう。」と答え、「ピーナッツ(英語で「わずかな金の意」)で雇えるのは猿だけで、自分は猿ではない。」とも答えています。
 このリム氏については、2013年に当時の与党連合、国民戦線BN時の青年スポーツ相が三顧の礼でNFDPの責任者兼U16代表監督に迎え入れましたが、今年2月にFIFA U17ワールドカップ出場を逃した際には、昨年5月の総選挙でBNの金満政策を批判して政権を奪取した現在の与党連合希望同盟PHの青年スポーツ相によってリム氏はNFDPの責任者とU16代表監督の職を解任され、AMDのテクニカルダイレクターに就いていました。

8月11日のニュース:マレーシア国内での高給が日本移籍の妨げに?、日本のクラブはスポンサーのおかげで安定している

マレーシア国内での高給が日本移籍の妨げに?
 マレーシアフットボールリーグMFLには給料未払い問題を抱えるクラブがある一方で、外国人、マレーシア人を問わず高額の給料を支給しているクラブがありますがそういったクラブでプレーするマレーシア人選手が日本へ移籍しようとする場合、その高給が障害になっている、という記事をマレー語紙ハリアン・メトロ電子版が伝えています。
 この記事の中では、Jリーグでプレーするタイ出身のMFチャナティプ・ソンクラシン(北海道コンサドーレ札幌)、DFティーラトン・ブンマタン(横浜F・マリノス)、MFティティパン・プアンチャン(大分トリニータ)、そしてJ3のFC東京U23でプレーするナッタウット・スクムらを挙げ、同じ東南アジア出身の彼らが活躍する一方で、J2やJ3も含めてなぜマレーシア人選手がハディ・ファイヤッド(ファジアーオ岡山)一人であるのかの謎を解き明かしています。
 ハリアン・メトロがJリーグ関係者に話を聞いたところ、「Jリーグ提携国」枠が適用されるタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール出身の選手は、各チームに認められている5名の外国籍選手枠に該当しないため、これらの国の選手の獲得に積極的なクラブがある一方で、マレーシアに関して言えば国内リーグで選手が得ている給料が高いため、Jリーグのクラブからの契約オファーが出しにくいという回答が返ってきたと記事では述べられています。
 「高い」とは言え、それがどのくらい高いのかが気になりますが、実は昨年2018年2月にクダFAの選手の給料がソーシャルメディアに流出するという事件が起こりました。それによるとマレーシア人選手で最高級取りはキャプテンのバドロル・バクティアル(31)で月給約7万7000リンギ(およそ195万円)、外国人ではリリドン・クラシニキ(現在はマラッカ・ユナイテッド)とサンドロ・ダ・シルバ(現在はスランゴールFA)が月給約12万9000リンギ(およそ325万円) と公表されてしまいましたが、クダFAは決して裕福なクラブではないので、この金額が他のクラブと比べて突出して高いというわけではないでしょう。
 ちなみにこのバドロル選手の給料を年俸に直して、こちらに掲載されている2019年Jリーガー年俸ランキングに当てはめてみると222位となります。この順位は現在のJ1は18チームですのでレギュラー(18チームx11名=198名)には届かないものの、J1でもトップの控え選手並みの年俸ということになります。マレーシア代表として通算キャップ数55のバドロル選手ですが、このクラスの選手でもJ1ですぐにベンチ入りできるとは考えられず、その実力にあった年俸となるとマレーシア国内で得ている年俸より低い額が提示されることになるでしょう。となると給料が下がってもJリーグでプレーしたい、と言う選手が現れない限り、今後もマレーシアからJリーガーが出る可能性は低そうです。

日本のクラブはスポンサーのおかげで安定している
 同じハリアン・メトロ電子版では、ハディ・ファイヤッドが感じている日本のクラブとマレーシアのクラブの違いを取り上げています。
 今シーズンからJ2のファジアーノ岡山でプレーするハディ選手は、マレーシアで起こっている給料未払い問題が日本では起こりにくいのは、Jリーグクラブのスポンサーが州政府や政府係機関ではなく、企業スポンサーであるからではないかと述べています。
 クラブの経営が安定し、さらに成功するクラブとなるためにはスポンサーの果たす役割が大きく、日本では各クラブが複数の企業とスポンサー契約を結んでいることが、日本では給料未払い問題について聞いたことがない理由ではないかと述べるハディ選手は、マレーシアのクラブも複数企業をスポンサーとする日本を真似ても良いのではないかと、ハリアン・メトロの取材に答えています。
 自分が日本で良い扱いを受けている一方で、マレーシアでの給料未払い問題について聞くことは悲しいことだとして、ハディ選手は速やかな問題解決を望んでいると記事は締めくくっています。
 一つ目の記事と含めて考えると、一人当たりGDPが日本の約4分の1のマレーシアで、トップクラスのサッカー選手に日本の中堅レギュラー選手並みの給料を支払うこと、しかもそれを州政府や政府系機関が負担している現状にそもそも無理があるのかも知れません。

7月28日のニュース(2):ヌグリ・スンビランFA監督は近々解任か、MFLはリーグ拡張を画策

ヌグリ・スンビランFA監督は近々解任か
 わずか勝点1の差でマレーシアフットボールMFL1部スーパーリーグへの昇格を逃したヌグリ・スンビランFA(N9)のマット・ザン・マット・アリス監督の解任が近いのではと、英字紙ニューストレイトタイムズが伝えています。
 一般的に、企業などで不正行為が行われた際、マレーシアでは当該者に対して事情説明を求めるshow-cause letter(「理由提示文書」とでも訳せばよいでしょうか)を送って、その回答を求めますが、今シーズンの昇格を逃したマット・ザン監督にもチームを運営するヌグリ・スンビラン州サッカー協会NSFAはこのshow-cause letterをマット・ザン監督に送付し、2週間以内の回答が求めているようです。またNSFAはマット・ザン監督には回答するまではチームと接しないことも伝え、今後の処遇は回答を得てから発表するとしています。
 MFL2部プレミアリーグ最終節では、どちらのチームも勝てば1部昇格の可能性があったN9対UITM FCのカードは引き分けに終わり、両チームと昇格を逃しています。なお、この試合では、試合終了直前でUITM FCの選手がペナルティボックス内でハンドの反則(結果は反則とみなされず)をしたとして、N9の選手たちは猛烈に抗議しましたが、審判は認めず、試合後もマッチコミッショナーに抗議を続けましたが、判定は変わりませんでした。
 トレンガヌFC(当時はトレンガヌFA)監督時代の2001年にはチームをマレーシアカップ優勝に導いているマット・ザン監督に代わって、現在は、N9の練習はザキ・シーク・アーマドアシスタントコーチとN9 U21のサザリ・サイドンコーチが担当しているようです。

MFLはリーグ拡張を画策
 マレーシアフットボールリーグMFLは、今シーズンが終了しましたが、MFLのケヴィン・ラマリンガムCEOは、今シーズンから導入されたアマチュアクラブの4部M4リーグの下に、さらに地域密着型のクラブによる5部リーグの開設も検討していると述べていることが英字紙ニューストレイトタイムズで報じられています。
 他国では地域密着型のクラブが住民や複数のスポンサーに支援されて大規模なクラブに成長するケースもある一方で、マレーシア国内リーグのクラブの多くは州政府など単一スポンサーに依存していることから、そのスポンサーが撤退した場合にクラブそのものの存続が危うくなる懸念があるとしています。
 マレーシア国内サッカーリーグの現状はこれまでも何度か書いてきていますが、例えば1部スーパーリーグで今シーズン9位のPKNS FCと11位のPKNP FCはいずれも州政府機関であるスランゴール州開発公社とペラ州開発公社が母体のクラブです。マレーシアでは一般的に州政府が各州のトップチームの資金援助を行っているため、スランゴール州で言えばスランゴールFAとPKNS FC、ペラ州ではペラTBGとPKNP FCとが州政府からの予算を分け合っていることから、PKNS FCはスランゴールFAの、PKNP FCはペラTBGのBチーム化、あるいはチーム解散が噂されています。なお両チームがBチームとなると、JDT IIやトレンガヌFC IIと同様に、2部プレミアリーグの所属となるだけでなく、MFLの規定がBチームの1部スーパーリーグでのプレーを禁じていることから、1部昇格が不可能になります。
 またシーズン終盤に奇跡の逆転で1部残留を決めたフェルダ・ユナイテッド(フェルダU)も母体は連邦土地開発公社という政府機関で、マレーシア政府が進める緊縮財政策の影響を受ける可能性があり、来シーズンのクラブの存続については言明されていません。マレーシア国立大学UKMが運営するUKM FCも予算の問題からリーグ脱退の可能性が取り沙汰されています。

7月27日のニュース:PKNP FC会長が2部降格の責任を取って辞任、PKNP FC監督は外国人選手への不満が爆発 、新たにマラッカUでも給料未払い問題が発覚

PKNP FC会長が2部降格の責任を取って辞任
 マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグで今シーズン3勝7分12敗の成績で11位に終わり、来シーズンは2部プレミアリーグ降格が決まったPKNP FCのザイノン・ファッジ・パハルディン会長が辞任したと、マレー語紙ウトゥサンマレーシア電子版が伝えています。
 ザイノン会長は、今シーズン開幕前にPKNP FCが2部降格となった場合は辞任すると宣言しており、その約束を守った形になります。

PKNP FC監督は外国人選手への不満が爆発
 2部降格となったPKNP FCのアブ・バカル・ファジム監督は、今シーズンを振り返って、自チームの外国人選手への不満を爆発させていると、英字紙スター電子版が伝えています。
 PKNP FCはシーズン当初、FWヤーセル・ピント(パレスチナ)、DFシヨブシュ・アスロロフ(タジキスタン)、MFトーマス・アビィ(ガーナ)、FWカリドゥ・クリバリ(セネガル)、FWジャンカルロ(ブラジル)、DFアマニ・アギナルド(フィリピン)という外国人でスタートしました。
 アブ・バカル監督が常に全力でプレーすると評価したトーマス・アビーが、シーズン中のケガにより退団となる一方、残った外国人選手に対してはチームの役に立っておらず、トランスファーウィンドウ期間に獲得した二人のブラジル人、DFペドロ・ヴィクター(ブラジル)とFWラモン・シルヴァも同様だったと述べています。
 またアブ・バカル監督は、選手と監督を含めたコーチングスタッフ全員が、今年12月までの1年契約であることも明かしています。2部降格によってチーム解散の噂もあるPKNP FC、前談の会長辞任とともにその噂が現実味を帯びてきました。
 

新たにマラッカUでも給料未払い問題が発覚
 MFLが先週発表した「経営が健全に行われている1部スーパーリーグの6クラブ」の一つ、マラッカ・ユナイテッド(マラッカU)で給料未払い問題が発覚しました。
  ジョホール・ダルル・タクジムJDT、パハンFA、スランゴールFA、クダFA、ペラTBGとともにMFLから評価されたマラッカ・ユナイテッドでは、スター選手にはきちんと給料が払われていたものの、そうでない選手たちは3ヶ月分の給料が支払われていないと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 未払い給料の総額は約300万リンギ(約7900万円)ということですが、マラッカ・ユナイテッドサッカー協会のアドリ・ザハリ会長によれば、給料未払いは複数のスポンサーが責任義務を果たしていないことによるとしていますが、選手にとってはそんなことは問題でなく、経営陣が契約を履行していない事実のみが問題でしょう。
 シーズン直後に除名処分になったプルリスFAを始め、リーグ戦での勝点を剥奪されたケランタンFAやペナンFAに続くマラッカUの給料未払い問題は、MFLが把握しきれていない問題がまだまだあることを暗示しているように思います。