7月20日のニュース・キム前代表監督-「危険」発言は自身の英語力の拙さによるもの・契約を破棄して辞任したキム前監督にサッカー協会は1億円超えの賠償金支払いを求める・サッカー協会会長はヴィンセント監督代行へのサポーターの支援を求める・パラリンピック協会会長のビジネスマンがKLシティ買収に名乗り

キム前代表監督-「危険」発言は自身の英語力の拙さによるもの

7月16日に突如、マレーシア代表監督を辞任したキム・パンゴン監督が、退任発表記者会見中に退任の理由を質問された際に「それをこの席で明らかにするのは『危険だ』」と発言しました。これに対して、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のオーナーで前マレーシアサッカー協会(FAM)会長のジョホール州皇太子、トゥンク・イスマイル殿下を筆頭に、その「危険」が何を指すのか真意を問う声が上がっていましたが、キム前監督は、自身の拙い英語が誤解を招いた原因であると説明しています。

XユーザーのリマウXIによると、その後、リマウXI氏も同席する中で、キム前監督は、FAMのユソフ・マハディ副会長とともにイスマイル殿下と面会したということです。そしてその席上で「危険」の意味を問われると、自身の英語力の拙さが原因であったとイスマイル殿下に説明したことを明らかにしています。キム前監督はマレーシア代表について、戦略的な部分についてはさらに調査を進める必要があるが、その詳細をメディアの前で明らかにすることは適切でないと考えた結果、「危険」という表現を使ったと、イスマイル殿下に説明したということです。

キム前監督は2025年12月まで代表監督としての契約をFAMと結んでいましたが、7月16日付で代表監督を辞任することを発表しています。

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クアラ・ルンプール市内のホテルに滞在していたイスマイル殿下は、キム前代表監督から説明を受けた後、自身のSNSに投稿しています。韓国の一部メディアがキム前代表監督は、洪明甫監督が韓国代表監督に就任したことで空席となっている韓国リーグ王者の蔚山現代監督就任の可能性を報じていることもあり、「おそらく(マレーシア代表監督よりも)魅力的なオファーがあったのだろう。もし本当に蔚山現代からのオファーであれば、幸運を祈る。これまでの貢献にも感謝したい。」と投稿しています。

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これを報じた英字紙ニューストレイツタイムズは、キム前監督がイスマイル殿下に直接説明したことでこの件は一件落着のように報じていますが、キム監督の意図したことは単なる戦略面のことではなく、マレーシアサッカーの暗部に触れるものではないかと考えるサポーターは少なくないでしょう。もちろん真相は闇の中で、キム監督の英語力の問題だっただけかも知れませんが、W杯予選前に招集したい選手が招集できない、FIFAデイズで思うような練習試合が組めない、などクラブに対して、サッカー協会に対しても少なからず不満はあったと予想されるキム前監督が、「立つ鳥跡を濁さず」(韓国にこの諺があるかどうかはわかりませんが)で、辞任の際に波風立てず、丸く収めようとしたと勘ぐりたくもなります。

契約を破棄して辞任したキム前監督にサッカー協会は1億円超えの賠償金支払いを求める

7月16日に辞任を発表したキム・パンゴン前マレーシア代表監督に対して、マレーシアサッカー協会(FAM)は賠償金316万リンギ(およそ1億700万円)を請求することが明らかになったことを、スポーツ専門サイトのアストロ・アリーナが報じています。

FAMのマハディ・ユソフ副会長は、17ヶ月の契約期間を残して辞任したキム前監督のこれまでの貢献を考慮し、請求を急くつもりはないと述べる一方で、今後はこの問題の法的解決に向けてFAM理事会が開かれると述べています。

サッカー協会会長はヴィンセント監督代行へのサポーターの支援を求める

7月16日に行われたキム前監督の辞任会見には、雇用主のマレーシアサッカー協会(FAM)のトップでもあるハミディン・アミン会長が同席していませんでした。これはハミディン会長がパリオリンピックに出場するマレーシア選手団の団長として現在、自転車チームが合宿を行なっているスペインに滞在中だからでした。英字紙ニューストレイツタイムズは、突然の辞意を伝えられたハミディン会長は何度も翻意させようと説得したものの、キム前監督の辞任の決意が固いことを知ると失望した述べる一方で、ちょうど休暇で母国スペインに戻っていたポー・マルティ・ヴィンセント監督代行と早速、スペインのマヨルカで面会して今後の予定について話し合いを行ったと報じています。ヴィンセント監督代行は、キム前監督の元で代表チームのコーチを務めていましたが、キム前監督辞任により監督代行となることがFAMから発表されています。

さらにハミディン会長は、ヴィンセント監督代行がマレーシア代表をさらなる高みへと引き上げられるよう、サポーターからの支援を求めていると話しています。

予選突破を経て43年ぶりにアジアカップ出場を果たすなど、キム前監督のもとでマレーシア代表はFIFAランキング154位から一時は130位までランクアップ(現在は134位)するなど躍進したマレーシア代表に対するキム前監督の貢献は決して忘れられないだろうと話したハミディン会長は、優秀な指導者は一箇所に長く止まらないのはサッカー界の常識であるとして、後任のヴィンセント監督代行が指揮するマレーシア代表に対してもこれまでと変わらない支援をサポーターから求めたいと話しています。

ヴィンセント監督代行の初仕事は9月に予定されているムルデカ大会で、そこで良い結果を残すことができれば、11月の東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」でも式を取る可能性があります。

ヴィンセント監督代行はキム前監督の路線を継承

新たに就任したポー・マルティ・ヴィンセント監督代行は、残ったコーチ陣とともにキム・パンゴン前監督の指導方針を今後も一貫していくことを表明しています。マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長とスペインのマヨルカで会談したヴィンセント監督代行は、自身を信じて監督代行に任命したハミディン会長に謝意を述べるとともに、自身と残ったコーチ陣がマレーシア代表を更なる高みへの引き上げる自信があるの述べています。

これを報じた英字紙ニューストレイツタイムズの記事によれば、ヴィンセント監督代行は、ハミディン会長との会談の中で、代表チームの一貫した方向性を1年や2年という単位ではなく、より長いスパンで考えることで意見が一致したと話しているということです。

バルセロナU18チームのコーチなどを務めたヴィンセント監督代行は、一緒に働く機会を与えたくれたキム前監督に感謝の言葉なども述べているということです。なおマレーシア代表のコーチ陣に加わる以前にも、ヴィンセント監督代行は、キム前代表監督が本稿代表の監督時代にコーチ陣の一人でした。

パラリンピック協会会長のビジネスマンがKLシティ買収に名乗り

このブログでも頻繁に取り上げているKLシティFCの給料未払い問題ですが、そのKLシティFCの買収に名乗り出た人物がいると英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

その人物とは、マレーシアパラリンピック委員会の委員長でもあるビジネスマンのメガット・シャーリマン・ザフルディン氏で、ニューストレイツタイムズの取材に対して、運営資金に関する問題を抱えるクラブの51%の株式を取得して、主要株主になる意思があることを表面しています。

KLシティFCは先週、発表していた5月と6月分の未払い給料の支払いについても、資金不足から実現できていません。

サッカーへの投資は初めてとなるシャーリマン氏ですが、既にKLシティFCのスタンリー・バーナードCEOと、KLシティFCを間接的に運営しているクアラルンプールサッカー協会(KLFA)のノクマン・ムスタファ事務局長へは買収条件などを文書で提出したことを明らかにしています。

FIFAやAFCが掲げる「インクルーシブフットボール」(年齢、性別、障がいの有無に関係なく、誰もが一緒に楽しむ、多様性を受け入れた包括的なサッカー)にもとづき、クラブの活性化と地域と一体化した運営を目指したいと話すシャーリマン氏は、KLシティFCを単なるサッカーチーム以上のものにするため、最終的にはマンチェスター・シティFCのエティハド・スタジアムやバイエルン・ミュンヘンFCのアリアンツ・アリーナのような地域社会が誇れるようなホームスタジアムの建設も検討しているとしています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第5節の結果とハイライト映像(1)・谷川由来選手所属のクチンシティと佐々木匠選手所属のヌグリスンビランがそれぞれ今季初勝利、佐々木選手はマレーシア初ゴールも挙げる

3週間ぶりに再開したマレーシアスーパーリーグ(MSL)の第5節が7月12日から14日にかけて開催されています。第4節を終えて今季未勝利だったチームは3チームありましたが、その3チーム、谷川由来選手所属のクチンシティ、佐々木匠選手所属のヌグリスンビラン、そしてペナンが、いずれも今季初勝利を挙げています。

なお今季のMSLは13チームで編成されており、第5節はトレンガヌFCの試合はありません。また来週はFAカップ準決勝1stレグが行われるため、第6節は7月25日(木)から27日(土)に予定されています。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。

クチンシティが今季初勝利

MSL2024/25 第5節
2024年7月12日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 2-0 PDRM FC
⚽️クチンシティ:ダニアル・アミル(分)、ジョーダン・ミンター(24分)
🟨クチンシティ(2)、🟨PDRM(3)
MOM:ジョーダン・ミンター(クチンシティFC)

開幕から3分1敗と未勝利ながらも、6月29日のFAカップではリーグ2位のスランゴールに黒星をつけるなど、徐々に調子を上げてきていたクチンシティがPDRMを下して、今季初勝利となる日本人選手対決を制しています。

クチンシティの先制点は開始2分でした。PDRMゴール近くで相手のミスからボールを奪うと、最後はジョーダン・ミンターから出たボールをダニアル・アミルが押し込んで、ホームのクチンシティがリードを奪います。しかし試合はPDRM優勢で進み、35分には、クチンシティの谷川由来選手が自陣ペナルティエリア内でファディ・アワドを足してPKを与えてしまいます。しかしエースのイフェダヨ・オルセグンのPKは冷静に反応したGKシャーリル・サアリが止めてゴールを許さず、前半は1-0のまま終了します。

後半に入っても、やはりPDRMが攻勢を強めますが、クチンシティが耐え凌ぐと、ロスタイムには、今度はPDRMのミャンマー代表DFチョー・ミン・ウーが自陣ペナルティエリア内でジョーダン・ミンターを倒して、PKとなります。このPKをジョーダン・ミンター自身が決めてリードを広げたクチンシティがそのまま勝利し、今季初勝利を飾るととともに、順位を8位から7位に上げています。

クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。またPDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、70分に交代しています。

クダは連勝で6位浮上

MSL2024/25 第5節
2024年7月12日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 3-0 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️クダ:リザル・ガザリ(10分)、シャフィク・アフマド(58分)、ソニー・ノルデ(73分)
🟨クダ(1)、🟨クランタン(2)
MOM:ソニー・ノルデ(クダ・ダルル・アマンFC)

ここまで2勝2敗ながら、開幕前に給料未払い問題による勝ち点3を剥奪され、9位に留まっているクダですが、FAカップでは準決勝進出を決めるなど、6月以降は4勝1分0敗と好調が続いています。この試合でも、その勢いそのままに、クランタンの倍以上となる16本のシュートを放つなど、終始、試合を支配して快勝しています。

ヌグリスンビランは今季初勝利に加え今季初勝点

MSL2024/25 第5節
2024年7月13日@MPTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 0-2 ヌグリスンビランFC
⚽️ヌグリスンビラン:バラトクマル・ラマルー(24分)、佐々木匠(90+3分PK)
🟨スリ・パハン(2)、🟨ヌグリスンビラン(2)
MOM:佐々木匠(ヌグリスンビランFC)

開幕直前にアズミ・アブドル・アジズ監督が新たに就任したヌグリスンビランは、開幕から3連敗で、今季未勝利のチームの中でもリーグで唯一、勝点が0でしたが、佐々木匠選手の1ゴール1アシストの活躍もあり、待望の初勝利を挙げています。

開始から両チームとも積極的に攻める展開となった試合は、ヌグリスンビランが24分に先制します。左サイドのペナルティエリアの外でフリーキックを得ると、佐々木匠選手はゴール前への速く低いクロスを蹴り込みます、これをゴール前のバラトクマル・ラマルーが押し込んで、今季リーグではチーム2点目となるゴールを決めて、ヌグリスンビランが今季初めてリードを奪います。しかしスリ・パハンも40分にPKを得ますが、これをステファノ・ブルンドがポスト上に大きく外して、同点とする好機を逃してしまいます。

ヌグリスンビランのリードで始まった後半は、スリ・パハンがギアを上げますが、ヌグリスンビランの守備陣が持ち堪えると、ロスタイムにはハイン・テット・アウンがスリ・パハンのペナルティエリアで倒され、ヌグリスンビランがPKを獲得すると、これを佐々木選手が右隅に蹴り込んで、マレーシア移籍初ゴールを決めます。リードを広げたヌグリスンビランはこのまま逃げ切って、今季初勝利を上げるとともに、今季初の勝ち点も獲得しています。なお、ヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発して、フル出場しています。

ジョホールは開幕から5連勝

MSL2024/25 第5節
2024年7月13日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 1-3 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️サバ:ガブリエル・ペレス(分)
⚽️ジョホール:ロメル・モラレス2(21分、44分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(90+3分)
🟨サバ(1)、🟨ジョホール(2)
MOM:ロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジムFC)

ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は開幕からの連勝を5に伸ばしています。これまで下位チームとの対戦が続いていたJDTは、リーグ4位のサバと対戦。20分にロメル・モラレスのゴールで先制すると、44分には再びモラレス選手がゴールを決め、前半を2−0で折り返します。

前節終了後に、エースのラモン・マチャドが退団し、得点力低下が懸念されたサバでしたが、51分には、JDTのペナルティエリア内でパク・テスがマシュー・デイヴィーズに倒されると、このPKガブリエル・ペレスがゴールし、1点差に詰め寄ります。しかしサバは、ロスタイムに今度は逆にPKを与えてしまい、ベルグソン・ダ・シルヴァが再びリードを2点に広げるゴールを決めるとそのまま試合が終了し、サバはJDTに冷や汗をかかすことはできたものの、連勝を止めることはできませんでした。

ペナンも今季初勝利

MSL2024/25 第5節
2024年7月13日@ペラ・スタジアム(ペラ州イポー)
ペナンFC 2-0 ペラFC
⚽️クチンシティ:ネト・オリヴェリア(45+3分)、アリフ・イクマル・リザル(90+7分)
🟨ペラ(2)、🟨ペナン(2)
MOM:シーク・イズハン(ペナンFC)

開幕からの4試合で3分1敗、しかもわずか1ゴールだったペナンは、この試合では2ゴールを挙げて今季初勝利を飾っています。

前半ロスタイムにペナルティエリアの外ながらゴール正面でフリーキックを得たペナンは、ネト・オリヴェリアがポスト右隅に素晴らしいキックを直接決めて、先制します。

後半に入るとペラも好機を作りますが、その前にことごとく立ちはだかったのはこの試合のMOMにも選ばれたGKシーク・イズハンでした。逆にペナンは、後半のロスタイムにも自陣ゴール前からのロングボールを繋ぐと、最後はアリフ・イクマル・リザルがこれを蹴り込んで、ペナンが決定的となる2点目を挙げて勝利しています。

クラン渓谷ダービーはKLシティに軍配-スランゴールは首位ジョホールが遠のく2敗目

MSL2024/25 第5節
2024年7月14日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 1-0 スランゴールFC
⚽️KLシティ:ヨヴァン・モティカ(63分)
🟨KLシティ(5)、🟨スランゴール(3)
MOM:ヨヴァン・モティカ(KLシティFC)

試合前には昨年12月以降の給料が支払われていないことが報じられたKLシティが、ここまで3連勝中のスランゴールを相手に互角な勝負を見せ、63分に上げた虎の子の1点を守り切って、今季2勝目を挙げています。

スランゴールのニザム・ジャミル監督はここまで全ての試合に先発していたキャプテンでシンガポール代表のCBサフワン・バハルディンをスタメンから外し、5月26日以来の先発となるウズベキスタン代表CBウマル・エシュムラドフを代わりに起用、またレギュラーが確定しない左ウィングにシャヒル・バシャーを起用するなど、好調のチームから敢えて選手の入れ替えを行なっています。この他、前節のペラ戦でのレッドカードで出場停止となったアレクサンダー・アギャルカワに代わる左サイドハーフには、レバノン代表のノー・アル=ラワブデを起用するなど、布陣を変更しています。

一方のKLシティは、帰化選手のDFニコラス・スウィラッドとフィリピン代表FWパトリック・ライヒェルトがいずれもケガでベンチ外とこちらもベストメンバーとは言えない布陣です。しかもFAカップでは1回戦で敗退しているKLシティは、前節6月21日以来、3週間以上も試合がなく、ミラスロフ・クリヤナツ監督も実戦から遠ざかっているKLシティと、試合をほぼ毎週行い、勝利しているスランゴールとではチームの勢いが違っていると、試合前会見で口にしていました。

下馬評ではスランゴール有利という試合は、いざ蓋を開けてみると、KLシティのゴール近くまでは何度もボールは運べるものの、ここまで3ゴールのロニー・フェルナンデスや、アルヴィン・フォルテスが厳しいマークにあい、シュートまでには至りません。逆にKLシティはカウンターから度々、スランゴールのゴールに迫り。試合は白熱します。

前半を0−0で折り返すと、63分にはスランゴール陣内でボールを奪ったケニー・パッラジからジョヴァン・モティカへパスが渡ると、ペナルティエリアに持ち込んだモティカ選手が飛び出してきたGKサミュエル・サマヴィルの股間を抜くシュートを決め、KLシティがこの試合で先制します。結局、この1点が決勝ゴールとなり、KLシティはリーグ戦では26年ぶり(!)となるホームでのスランゴール戦勝利となりました。

JDTとの開幕戦を辞退し、勝点3を失っているスランゴールにとっては、首位JDTとは勝点差が6となる痛い敗戦となりました。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第5節終了)

順位チーム勝点
1JDT51550017314
2SEL59302752
3TRE48220725
4SAB47211660
4KLC47211660
6*KDA56302532
7KCH56131761
8PEN56131321
9PDRM5411347-3
10SRP4411237-4
11PRK53104610-4
12KDN5310437-4
13NSE43103310-7
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。

7月18日のニュース・給料7ヶ月未払いのKLシティFCがリーグに支払減額を泣きつく・KLシティFCキャプテンは分割支払いに条件付きで合意・KLシティFCの給料未払い問題は政争が原因-前KLサッカー協会会長

給料7ヶ月未払いのKLシティがリーグに支払減額を泣きつく

昨年12月以降の7ヶ月にわたる給料未払いが報じられているKLシティFC。このKLシティFCを間接的に運営するクアラルンプールサッカー協会(KLFA)のノクマン・ムスタファ事務局長は、マレーシアスーパーリーグ(MSL)を運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)に対して、リーグが開幕していなかった今年1月から3月までの給料について、支払額を減額することを認めて欲しいと要求していると、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。なお今季のMSLは、春秋制から秋春制への移行措置として、従来の1月/2月ではなく、5月に開幕しています。

ノクマン事務局長は、リーグ開幕が遅くなったことで、入場料収入などがない1月からの数ヶ月について給料の未払いが発生し、その結果未払いの総額が膨れ上がっていると説明しています。

「今季は従来のシーズンと異なっていること、さらに例えば月給が6万リンギの選手には、リーグ開幕前の期間についてはその半分を支払うことを了承して欲しいことを、MFLがクラブに代わって選手たちに説明してくれれば、それが大きな助けになる」と述べたノクマン事務局長は、MFLが数シーズンかけて秋春制に移行してくれれば、このような問題を起こらなかったと、「恨み節」も付け加えています。

また未払い給料の中、5月と6月の給料については、支払いに当てる資金が来週までに確保できることをKLシティFCのスタンリー・バーナードCEOを明らかにしており、残る5ヶ月分についても、分割して年内に支払いを完了することは選手たちと同意済みであると説明し、後は念書に、選手らがサインするだけの状況であると、ノクマン事務局長は述べています。

KLシティFCキャプテンは分割支払いに条件付きで合意

未払い給料の分割による支払いについては、KLシティFCのキャプテン、パウロ・ジョズエもコメントしており、分割払いという方法には同意するものの、その具体的な内容については書面で内容を確認する必要があると述べています。

2017年からKLシティFCでプレーするジョズエ選手は、35歳ながら代表でも主力としてプレーすることから、給料未払い問題を抱えるチームを早晩去るのではないかと言われていますが、スポーツ専門サイトのアストロアリーナの取材に対しては、「(チーム残留について)自分は全く問題ない。何度も述べているように、チームが困窮していても、自分が愛するチームをそれを理由に去るつもりはなければ、他のチームに移籍するつもりもない。」と述べています。

その上で、未払い給料を分割で支払うことには同意するが、その具体的な内容を確認する必要があると述べています。

「自分は2年契約を結んでいるが、もしチームが(金銭的な)問題を抱えているのであれば、給料減額に応じる用意もある。大事なことはチームが未払い給料を完済するという責任を果たすつもりがあるがどうかを示してくれれば良い。」と寛容な発言をしています。

KLシティの給料未払い問題は政争が原因-前KLサッカー協会会長

KLシティFCを間接的に運営するクアラルンプールサッカー協会(KLFA)の会長職を2019年から務め、今年3月に辞任したカリド・サマド氏は「隠れた手」がKLシティFCが受け取るはずの資金が渡ることを阻止していると主張しています。

英字紙ニューストレイツタイムズによると、カリド・サマド氏は、KLシティFCが将来的に「隠れた手」の影響で解体の恐れがあると懸念しています。KLシティFCの本拠地があるクアラ・ルンプールは、スランゴールやジョホールといった州とは異なり、マレーシア政府の連邦直轄地省の管理下にあります。政治とサッカーが密接に結びつくマレーシアでは、連邦直轄地相がそのままKLFA会長に就任することが慣例化しており、2018年に連邦直轄地相となったカリド氏は、2019年にKLFAの会長に就任しています。

2020年の内閣改造で連邦直轄地相を交代した後もカリド氏はKLFAの会長として残り、在職中のKLシティFCは、2021年マレーシアカップ優勝、2022年AFCカップ(現ACL2)準優勝、2023年FAカップ準優勝という成績を残してきました。しかし、自身がKLFA会長のままでは、「隠れた手」がチームへの資金提供を妨げることを知り、辞任することを決めたと説明しています。

「私は3月に辞任したが、これは選手たちに給与が支払われ、KLシティFCのリーグ参加に必要な国内クラブライセンスが取り消されないようにするためだった。その後、2023年の未払い給与を解消するためにクアラルンプール市役所(DBKL)から300万リンギ(およそ1億円)が与えられるはずだった。」

「しかし現在まで、チームは(今シーズンのために)1セントも受け取っていません。ある個人が(KLFA)会長になることを熱望していると聞いているが、現在もそのポストは空席のままであり、その人物がKLFA会長にならない限り、クラブには1セントも与えられないだろう。」

「こういった政治的な駆け引きために、KLシティFCの状況はますます困難になっており、KLシティFCの選手たちが政争の犠牲者になっている。私は非常に失望している。私が辞任すれば、資金がクラブに提供されると約束されていたが、それは実現していない。」

「私はこの問題をアンワル・イブラヒム首相およびザリハ・ムスタファ連邦直轄地相のに対して注意を喚起しており、速やかに解決策が見つかることを望んでいます。」

「この状況をこれ以上長引かせるべきではない。KLFA会長になりたがっている人々に望むことは、少なくとも選手たちを気遣ってほしいということだ。政治的な利益ではなくKLFAとKLシティFCを優先して欲しい。」とかリド氏は述べています。

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元国民信託党(Amanah)のカリド氏(2020年の総選挙で落選)が3月に辞任して以来、KLFA会長不在の状態が続き、その後任には、チームの「後援者」でもある人民正義党(PKR)のファーミ・ファジル通信相が有力とされていましたが、ここに来て同じPKRの天然資源及び環境保持相のニック・ナズミ・ニック・アフマド氏も関心を示していると報じられるなど、混沌としています。国民信託党と人民正義党はいずれも政府与党連合に所属する政党ですが、与党内での議席数は国民信託党12に対して人民正義党38ということもあり、売名にもってこいのKLFA会長を既に国会議員でもないカリド氏が務めていたことが、人民正義党にすれば気に入らなかったのかもしれません。


7月17日のニュース・キム・パンゴン代表監督が「個人的な事情」を理由に契約期間を1年以上残して辞任・AFC-給料未払い問題が解決しなければFAMとMFLへ制裁もありうる・KLシティのブラジル人GKコーチはベトナムリーグのベトテルへ

キム・パンゴン代表監督が「個人的な事情」を理由に契約期間を1年以上残して辞任

マレーシアサッカーに激震。マレーシア代表のキム・パンゴン(金判坤)監督が7月16日に「個人的な事情」を理由に辞任を発表しています。スランゴール州プタリン・ジャヤにあるマレーシアサッカー協会(FAM)の本部では特別会見が開かれ、その席上でキム監督は2025年12月末までの契約を全うすることなく、即時辞任すると発表しています。キム監督はおよそ1ヶ月前のW杯アジア2次予選台湾戦後、予選敗退が決まった後の会見では「できるだけ長く監督を務めたい」と話していただけに、この豹変ぶりは関係者だけでなく、国内サッカーファンも困惑しています。

「皆さんに残念なお知らせがあります。私は個人的な事情から代表監督を辞任することを決めました。」と記者会見を始めたキム氏は、以下のようなコメントを述べています。

「(私の辞任に)失望した方々に謝罪したい。(就任した)2022年1月以来の2年と半年の間、マレーシアの方々のおかげで、この上なく素晴らしい時を過ごすことができた。」

「2022年6月には、予選突破では43年ぶりとなるアジアカップ出場を決め、FIFAランキングも130位まで上昇した。今年1月のアジアカップでは、FIFAランキング22位の韓国とも引き分け、サッカーにおけるマレーシアの誇りも見せることができた。」

「残念ながら、我々はW杯アジア2次予選では3勝し、勝点10を獲得しましたが、最終予選には進むことはできなかった。この事実は、今後代表チームをどのレベルまで強化していくか必要があるかのヒントになると思う。」

「(代表チームサポーターグループの)ウルトラス・マラヤの声援は、いつも私に大きなモチベーションを与えてくれ、FAMの支援は強さを与えていくれていた。またマレーシア政府にも感謝しており、マレーシアスーパーリーグの各クラブにチーム強化のための十分な支援を受けたことを感謝したい。」

またFAMのモハマド・ユソフ・マハディ副会長は、スペイン出身でバルセロナのユースのコーチを務めた他、アデレード・ユナイテッド(オーストラリア)やキッチーFC(香港)などで指導経験があるポー・マルティ・ヴィンセント コーチが監督代行を務め、残るコーチ陣は全員残留することも明らかにしています。

パウ・マルティ監督代行の最初の仕事は9月に予定されているムルデカ大会で指揮を取ることだと述べたモハマド・ユソフ・マハディ副会長は、FAMの代表チーム運営委員会が今後、マルティ監督代行やチームのパフォーマンスを評価し、11月から12月にかけて予定されている東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権、そして来年3月に予定されている2027年AFCアジアカップ予選の前には、続投か新監督獲得かを決めたいとしています。

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不満は全くなかったとも述べたキム氏ですが、辞任理由の「個人的な事情」の詳しい内容を会見の席で問われると、全ては既にFAMのハミディン・アミン会長に説明済みだとして、メディアには詳細を明かすことはありませんでした。

「(個人的な事情の)内容については、ここで明かすつもりはない。なのでこれ以上その件について話すのはやめよう。」と述べたキム氏は、ハミディン会長にも聞かないで欲しいとメディアに釘を刺していました。

一部メディアは、キム氏は辞任する意向をこれまで何度か伝えてきたものの、ハミディン会長がこれを拒否していたとしており、直近では6月11日のW杯アジア2次予選の台湾戦直後にも辞任を申し出たと報じています。

在籍期間907日、監督として35試合を指揮し、20勝5分10敗の結果を残したキム氏は、監督就任以来61名の選手を代表に招集し、マレーシアのFIFAランキングを就任時の154位から、現在は135位まで引き上げています。

なお今後について、キム氏は洪明甫前監督が韓国代表の監督に就任したことにより現在空席となっている。韓国1部Kリーグの蔚山現代の監督就任の噂もあります。選手としてプレーした蔚山現代に監督として凱旋する形になりますが、この蔚山現代は今季のACLエリート(ACLE出場が決まっており、同じくACLEに出場するジョホール・ダルル・タジムFCと同じくになれば、再びマレーシアの土を踏むことがあるかもしれません。

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また辞任会見中の発言に、ジョホール・ダルル・タジムFCのオーナーで前マレーシアサッカー協会会長でもあるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が疑問を呈しています。

辞任会見中、キム監督は報道陣から前回(6月12日のW杯アジア2次予選敗決定時)の記者会見では続投を希望しながら、わずか1ヶ月で辞任を表明したことから、この間で何が変わったのかという質問に対して、ここではとても「危険」なので話せないと説明し、ハミディン・アミンFAM会長が全ての詳細を知っていると述べて、明確な回答をしませんでした。

イスマイル殿下は、この「危険」という表現を使ったキム監督に対して、「危険」が何を意味するのかを具体的に述べるべきだと話しています。イスマイル殿下は「(辞任理由を説明することの)何がそんなに難しいのか。ファン、政治家、メディアの皆がキム監督が『危険』と言った意味を尋ねるべきだ。」と自身のSNSに投稿したイスマイル殿下はさらに「もっと具体的に言うべきだ。(辞任理由を表明することで)撃たれるのが怖いのか。 誘拐されるのが怖いのか。 蹴られるのが怖いのか。 正直に言うべきだ」とも投稿しています。

AFC-給料未払い問題が解決しなければFAMとMFLへ制裁もありうる

英字紙ニューストレイトタイムズは、 マレーシアサッカー協会(FAM)と国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、国内リーグ(Mリーグ)に給与未払い問題が続く場合、アジアサッカー連盟(AFC)からの制裁を受ける可能性があると報じています。

2022年からFAMは、クラブライセンス発給権限をMリーグを運営するMFLに委譲していますが、AFCは、給料未払い問題が頻発する現在の状況が改善されなければ、FAMとMFLはMリーグクラブへの国内ライセンスの交付権限を失うリスクがあると、AFCのウィンザー・ポール・ジョン事務局長は述べています。

このブログで何度も取り上げていますが、Mリーグでの給料未払い問題は常態化しておりており、直近ではKLシティFCのキャプテンでマレーシア代表でもプレーするパウロ・ジョズエが昨年12月以降の7か月分の給与が未払いであると主張しています。またKLシティ以外のMリーグクラブでは、サバ、ケダ、スリパハンなどが財政的な困難に直面しているとこれまでたびたびメディアで報じられています。

ウィンザー事務局長は、AFCは、FAMとMFLに対して給料未払い問題を迅速に解決するよう厳しい警告を発し、この問題が深刻化した場合、AFCが介入する用意があるとも述べています。

給料未払い問題を抱えるクラブに対してウィンザー事務局長は「クラブが選手に給与を支払うための財務的安定性がない場合、サッカーに関わる資格はない。またクラブのオーナーは現実的である必要がある。労働者に給与を支払うことができない場合、サッカークラブを始めるべきでない。」と話す一方で、未払い給料問題に苦しむ選手に対しては、「選手たちはマレーシア人や外国籍を問わず、権利が保護されるべき従業員であり、給与を受け取るためにあらゆる手段を講じることができる。」と述べたウィンザー事務局長は、クラブ内で給与紛争が解決できない場合、選手たちはマレーシアプロサッカー選手協会(PFAM)などの団体に助けを求めべきと話しています

KLシティのブラジル人GKコーチはベトナムリーグのベトテルへ

英字紙スターは、KLシティFCのギリェルメ・アルメイダGKコーチがチームを退団し、ベトナムリーグ(Vリーグ)のベトテルFCのGKコーチに就任すると報じています。

アルメイダGKコーチと同じブラジル出身でKLシティFCでキャプテンを務めるパウロ・ジョズエも先週のクラン渓谷ダービー、KLシティFC対スランゴールFC戦が、アルメイダコーチのKLシティでの最後の試合であったことを認める発言をし、選手にポジティブな影響を与えてくれていたアルメイダコーチの退団はチームにとって大きな痛手となるだろうと話しています。

なおKLシティは昨年12月以降、7ヶ月分の給料が未払いとなっていることが報じられており、ジョズエ選手はアルメイダコーチの退団をきっかけに、他の選手やコーチがチームをさるのではないかと心配していると話しています。

41歳のアルメイダGKコーチは、CRヴァスコ・ダ・ガマ(ブラジル)でGKコーチを務め、マレーシアではケヴィン・メンドーザ(フィリピン代表、現インドネシア1部プルシブ・バンドン)や、マレーシア代表とKLシティでプレーするアズリ・ガニ、マレーシアU23代表のアジム・アル・アミン(スランゴールへ期限付き移籍中)など、指導してきた実績があります。



2024/25シーズンFAカップ準々決勝2ndレグの結果とハイライト映像・ジョホールが大学生チームを相手に容赦なしの13ゴールで連覇に近づく・3時間を超える死闘を制したスランゴールがベスト4進出

7月5日と6日にマレーシアFAカップ準々決勝の2ndレグ4試合が行われ、ジョホール・ダルル・タジムFC、クダ・ダルル・アマンFC、トレンガヌFC、そしてスランゴールFCがベスト4進出を決めています。ホームアンドアウェイ方式で行われるFAカップ準決勝は、7月20日と21日に1stレグが、8月3日と4日2ndレグが予定されています。なお決勝は8月24日となっています。
*試合のハイライト映像は、マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。

ジョホールが大学生チームを相手に容赦なしの13ゴールで連覇に近づく

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月5日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 8-0 マレーシア大学FT
(通算成績:ジョホール 13-0 マレーシア大学)
⚽️ジョホール:フアン・ムニス(20分)、ヘベルチ・フェルナンデス(27分PK、30分)、フェロズ・バハルディン(35分)、フランシスコ・ジェラルデス(61分)、ロメル・モラレス2(73分、90+1分)ベルグソン・ダ・シルヴァ(78分)
🟨ジョホール(0)、🟨マレーシア大学(2)
MOM:ロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジムFC)

連覇を狙うジョホールが、唯一残っていた3部のセミプロA1リーグでプレーするマレーシア大学FTを圧倒して準決勝進出を決めています。

5-0と勝利したものの1軍半のメンバーで臨んだ1stレグとは違い、この試合はベストメンバーを揃えたジョホールは、前半だけで4ゴールを挙げ、力の差を見せつけています。エクトル・ビドリオ監督も、リーグが再開する今週末の試合にすでに目を向けていたことを認め、リーグ戦に向けてポジショニングなどの確認のために、主力を起用したと話すなど余裕を見せていました。

クダが1stレグで挙げた1点を守って準決勝進出

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月5日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-0 ペナンFC
(通算成績:クダ 1-0 ペナン)
🟨クダ(2)、🟨ペナン(2)
MOM:カラムラー・アル=ハフィズ(クダ・ダルル・アマンFC)

リーグ戦も含めると2週間で3度目の顔合わせとなったこのカードは「北部ダービー」として知られていますが、この試合は両チームとも決め手を欠き、引き分けに終わっています。しかし1stレグを1−0で勝利していたクダが通算成績1−0でペナンを破り、昨年のFAカップでは1回戦で対戦して敗れていた雪辱を果たし、ベスト4に進出しています。

ペナンは、FAカップ1回戦では同じスーパーリーグのスリ・パハンと1−1と引き分けもPK戦で勝ち上がりましたが、その得点力不足は深刻です。FAカップはここまでの3試合で2得点(2失点)、リーグ戦は4試合で1得点(2失点)と苦しんでおり、来週末から再開するスーパーリーグでも苦しい試合を強いられそうです。

トレンガヌが2試合連続のクリーンシートでサバに勝利で2年連続の4強を決める

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月6日@リカス・タジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 3-0 トレンガヌFC
(通算成績:トレンガヌ 7-0 サバ)
⚽️トレンガヌ:サファウィ・ラシド(10分)、アキヤ・ラシド(43分)、マリン・ピルジ(88分)
🟨トレンガヌ(3)、🟨サバ(1)
MOM:サイド・ナスルルハク(トレンガヌFC)

1stレグではホームで4−0と解消していたトレンガヌ。その1stレグでは新型コロナ感染により指揮を取れなかったトミスラフ・スタインブリュックナー監督が戻ったこの試合では、サファウィ・ラシドが先制ゴールを10分に決めて、反撃したいサバの出鼻をくじきます。さらに前半終了間際にはアキヤ・ラシドのゴールで、トレンガヌがさらにリードを広げます。

後半はより積極的なプレーを見せたサバは、「家庭の事情」によりこの試合を最後に退団し、ブラジルに帰国するFWラモン・マチャドにボールを集めるも、この試合のMOMにも選ばれたトレンガヌGKサイド・ナスルルハクがたびたび好守を見せて、サバに得点を許しません。逆にトレンガヌはマリン・ピルジが駄目押しの3点目を決め、守っては’サイド・ナスルルハクが2試合連続のクリーンシートで快勝しています。

3時間を超える死闘を制したスランゴールがベスト4進出

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 3-2 クチンシティFC
(通算成績:スランゴール 4-4 クチンシティ、PK:スランゴール5-3クチンシティ)
⚽️スランゴール:ジクリ・カリリ(27分)、アルヴィン・フォルテス2( 39分、90+25分)
⚽️クチンシティ:ヌル・シャミー・イズワン(15分)、アリフ・ハサン(90+26分)
🟨スランゴール(1)、🟨クチンシティ(4)、🟥スランゴール(2):ヨハンドリ・オロスコ、レジク・バニ・ハニ
MOM:アルヴィン・フォルテス(スランゴールFC)

敵地での1stレグを1-2と落としているスランゴールはこの試合では最低でも2点が必要。しかし先制したのはクチンシティでした。15分にジョーダン・ミンターのパスを受けたヌル・シャミー・イズワンが押し込んで、クチンシティが通算成績を3-1とすると、スタジアムの雰囲気が一気に消沈するのが感じられました。しかし27分にジクリ・カリリがゴールを決めて1-1とすると、ホームチームを後押しする1万人を超えるサポーターの声は再び大きくなります。さらに39分に決まったアルヴィン・フォルテスのゴールで、スランゴールは通算成績を3-3として前半を折り返します。

後半に入っても、前半の勢いのままスランゴールが攻め込みますが、63分に照明の一部が消え、さらにVARにも不具合が見つかり試合は20分ほど中断したことで、クチンシティは守備陣を立て直し、スランゴールの猛攻に耐え続けます。

中断もあり20分と長くとられたロスタイムも終わりに近づき、延長戦の雰囲気が漂い始めた90+23分に、チームの司令塔、ヨハンドリ・オロスコがクチンのディエゴ・バッジオ(!)に肘打ちを喰らわせてしまいます。VARのチェックが入った結果、オロスコ選手は一発レッドとなり、スランゴールは10人となってしまいます。このまま延長戦突入かと思われた90+25分、スランゴールは右サイドで粘ったアルヴィン・フォルテスがクチンシティDFをかわしてゴール!スランゴールがついに通算成績を4-3とリードします。

しかし、試合はここで終わりませんでした。クチンシティは左サイドのヌル・シャミー・イズワンからのクロスがゴール前へ。スランゴールGKサミュエル・サマービルは自分の前に落ちそうなボールを体いっぱいに伸ばしてパンチングしますが、このボールがゴール前に詰めていたアリフ・ハサンの足元へ。シュートというよりも自身足に当たったボールはそのまま跳ね返ってゴールに吸い込まれ、90+26分という文字通り土壇場でクチンシティが追いつきます。

延長に入った103分には、スランゴールから再び退場者が出てしまいます。この試合は途中から出場しながらも左サイドでクチンシティDFをたびたび脅かしていたヨルダンU23代表のレジク・バニ・ハニがハイキックで一発退場となり、スランゴールは9人となってしまいます。しかしこの数的有利を生かすことができなかったクチンシティも追加点を奪うことができず、延長戦は0-0で終了し、ついにPK戦に突入します。

スランゴールの先攻で始まったPK戦は、両チーム共に3人目まではゴールを決めたものの、クチンシティは4人目の谷川由来選手の蹴ったボールはゴールポストに当たって失敗に終わると、スランゴールは5人目のハリス・ハイカルが落ち着いて右隅に蹴り込んで、9人のスランゴールがPK戦を5-3で制して準決勝進出を決めています。

この試合はクチンシティサポーターの横、ゴール裏で観戦しました。本拠地のサラワク州クチンからは1000km以上離れたスランゴールのホームで行われたこの試合では、試合前にはサラワク州の州歌を歌ってチームを鼓舞するなど、数は少ないながらも熱いサポーターが印象的でした。クチンシティは今季ここまでのリーグ戦では0勝3分1敗ですが、この試合を見た限りでは、今季リーグ戦初勝利は時間の問題でしょう。なおクチンシティの谷川由来選手は、この試合は先発して、フル出場しています。

一方のスランゴールは、最後は9人で耐えたこの厳しい試合で勝利したことで、特にジクリ・カリリ、ハリス・ハイカルといった若い選手が今後はより自信を持ってプレーできるのではないかと思います。レジク・バニ・ハニもケガから復帰し、ファイサル・ハリム不在ながらも、やはり今季のジョホール追撃の一番手となりそうです。

7月3日のニュース・9月のムルデカ大会出場国が発表:連覇を狙うタジキスタンやアジア杯準優勝のレバノンも・U17代表チームマネージャー「アジアカップに出場できなければ辞任する」・酸攻撃の治療で療養中のファイサル・ハリムの回復状況は95パーセント・スランゴールの19歳MFがFC大阪と契約間近か

9月のムルデカ大会出場国が発表:大会連覇を狙うタジキスタンやアジア杯準優勝のレバノンも出場

マレーシアサッカー協会(FAM)は公式サイト上で、今年9月のFiFA国際マッチカレンダー期間に開催するムルデカ大会の出場4チームを発表しています。

マレーシアの前身マラヤ連邦が1957年に英国から独立したことを記念して始まったムルデカ大会(ムルデカとはマレーシア語で「独立」の意味)は、今回が第43回大会で、9月2日から10日にかけてクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されます。

今大会に出場するのは、直近のFIFAランキングで135位の大会ホスト、マレーシアの他、昨年の第42回大会優勝のタジキスタン(同102位)、今年1月のアジアカップ2023ではイラク、タジキスタン、韓国を次々と破り、まさかの決勝進出を果たしたレバノン(同117位)、そして東南アジアではFIFAランキングではマレーシアに次ぐフィリピン(同147位)の4ヶ国です。

大会はこの4チームが2組に分かれて準決勝を行い、勝ったチームは決勝へ、敗れたチームは3位/4位決定戦に回ります。

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1974年のミュンヘン、1980年のモスクワとオリンピック2大会連続で出場権を得るほどマレーシアが強かった頃のムルデカ大会は、日本や韓国も代表チームを参加させるアジアでも屈指の国際大会でしたが、マレーシアが弱体化するにつれてアジアの上位国が参加しなくなり、2000年代に入ってからは東南アジアのチーム同士の対戦が中心となり、2013年の41年大会を最後に開催されなくなっていました。

そして10年ぶりに開催されたのが昨年の第42回大会でした。当初はマレーシア、インド、パレスチナ・レバノンが参加予定でしたが、ムルデカ大会出場国が発表になった後に行われたW杯アジア2次予選の組み合わせ抽選でパレスチナとレバノンが同組になると、アジア予選前の対戦を嫌ったレバノンが大会出場を辞退し、代わりにタジキスタンが急遽、出場することになりました。さらに、この年の10月7日にパレスチナの武装組織ハマスがイスラエルに対して行った奇襲攻撃に端を発したイスラエルとハマスの武力衝突により、パレスチナ代表が大会に向けて出国できない事態となり、大会3日前に参加を取り止めています。これにより準決勝でインドを4−2で破ったマレーシアは、パレスチナの不参加による不戦勝で勝ち上がったタジキスタンと決勝で対決し、この時は、マレーシアが0−2で敗れています。

なおこの時期のマレーシアは8月31日のマラヤ連邦(現在の半島部マレーシア)の独立記念日、そしてマレーシア成立を記念する9月16日のマレーシアデーと独立に関する祝日に挟まれており、文字通り「ムルデカ」を祝うムードに包まれます。

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ムルデカ大会参加国発表後に、隣国タイで10月に開催される同様の招待大会「キングズカップ」の出場国も発表されました。そちらは大会ホストのタイ(FIFAランキング100位)、シリア(同97位)に加え、ムルデカ大会にも出場するタジキスタンとフィリピンが参加するようです。

U17代表チームマネージャー「アジアカップに出場できなければ辞任する」

現在、インドネシアで開催中の東南アジアサッカー連盟(AFF)U17選手権は準決勝が終わり、オーストラリアとタイが決勝に進出しています。マレーシアはというと、この両国と同じC組に入ったグループステージで敗退しています。

初戦の東ティモール戦では5-0で勝利し、好スタートを切ったマレーシアでしたが、オーストラリアに0−2と敗れ、タイ相手にはには開始4分で先制しながらも、レッドカードによる退場者を出すと、74分から立て続けに3失点し、1−3で敗れています。

C組首位として準決勝に進出したオーストラリアは、インドネシアを5-3で、また最も成績の良かった2位チームとして準決勝に進出したタイはベトナムを2−1で下して、それぞれ決勝に進出しています。

一方、インドネシアから帰国したU16代表のチームマネージャーを務めたクリストファー・ラジ氏は、帰国後の会見で、今年10月に開催されるAFC U17アジアカップ予選でマレーシアが敗退することがあれば辞任すると発言しています。

「前回2023年のAFC U17アジアカップにはマレーシアU17代表は出場を果たしており、今回のU17代表に同じことができないとは思えない。」と述べたクリストファー氏はは、10月19日から26日かけてラオスで開催されるAFC U17アジアカップ予選で、マレーシアが敗退するようなことがあれば、その責任をとって辞任すると述べています。なお、予選でH組に入ったマレーシアは、ラオスの他、アラブ首長国連邦、レバノンと同組となっています。なお来年4月に開催されるAFC U17アジアカップには、予選10組の1位10チームと、2位のうち成績上位の5チーム、そして開催国のサウジアラビアの16ヶ国が出場します。

酸攻撃の治療で療養中のファイサル・ハリムの回復状況は95パーセント

マレーシアの通信社ブルナマは、5月5日に酸をかけられ、数回の皮膚移植手術などを経て、現在は療養中のファイサル・ハリムについて、現在もフィジオセラピーを受けながらも、軽い運動を始めているという父親アブドル・ハリム氏の話を報じています。

アブドル・ハリム氏によると、回復状況は既に95%ほどで、スランゴールFCをはじめ、多くの支援により順調に回復していると述べています。

「スランゴールFCがチームをあげて、全力で支援してくれていることに感謝したい。(ファイサル選手の)精神状態は良く、現在はピッチに戻ることしか考えていない。」とアブドル・ハリム氏は話しています。また家族の間でも起こってしまったことについては深く考えないようにし、アブドル・ハリム氏自身も息子に起こった事実だけを受け入れるように務めているとも話しています。

スランゴールの19歳MFがFC大阪と契約間近か

マレーシア国内の複数のサッカー専門メディアによると、スランゴールFCの19歳MFムハマド・アブ・カリルがJ3のFC大阪と契約間近であると伝えています。アブ・カリリ選手は現在、FC大阪の練習に参加中で、その際にFC大阪の首脳陣から高い評価を受けた結果、契約が近いうちにオファーされるということです。

昨年1月に国内エリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミーからスランゴールFCに加入したムハマド選手は、昨年はスランゴールFCのU23チーム、スランゴールFCIIに所属し、U23リーグのMFLカップではチームの全19試合中16試合に出場し(先発15試合)し、トップチームのスランゴールFCでも1試合(出場5分未満)に出場しています。また今季は5月に開幕したMFLカップの第1節クチンシティFC戦に先発して、フル出場しています。

飛び級でU23代表でもプレーするムハマド選手は、今年4月にカタールで行われたAFC U23アジアカップにもマレーシア代表として出場し、グループリーグ3試合の内、初戦のウズベキスタン戦は後半から出場し、2戦目のベトナム戦は先発するなど2試合に出場しています。

J3には、、Y.S.C.C.横浜にFWルクマン・ハキムも在籍しており、U23代表でもチームメートでもあるマレーシア選手同士がJリーグで対峙する場面が見られるかも知れません。

2024/25シーズンFAカップ準々決勝1stレグの結果とハイライト映像

スランゴール州スルタン、ジョホール州皇太子、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)、そしてマレーシアサッカー協会(FAM)を巻き込んだ国内サッカーを揺るがす事態が発生する中、今季2024/25シーズンのマレーシアFAカップ準々決勝1stレグが6月28日と29日に行われています。注目は1回戦でスーパーリーグのPDRM FCを破った、3部のセミプロA1リーグ所属マレーシア大学チームですが、リーグ10連覇中の王者ジョホール・ダルル・タジムFCの壁は厚かったようです。なおFAカップ2ndレグは、7月5日と6日に開催される予定です。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月28日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 0−1 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️クダ:モハマド・ハスブラー(74分)
🟨ペナン(2)、🟨クダ(4)、🟥ペナン:ファイルズ・ザカリア(🟨x2)
MOM:ハビブ・ハルン(クダ・ダルル・アマンFC)

いずれもマレーシア北部にあるクダ州とペナン州に本拠地を持つ両チームの「北部ダービー」は、前週6/22のリーグ戦でも同じカードが組まれ、そのときはクダが1−0でペナンを破っていましたが、再戦となったこの日も同じスコアでアウェイのクダが先勝しています。

この試合唯一の得点は74分に生まれました。ペナンのペナルティーエリア正面やや左でFKを得たクダは、キャプテンのソニー・ノルデが直接、ゴールを狙いました。ペナンGKシーク・イズハンの正面に飛んだシュートはゴールを破れなかったものの、シーク・イズハンが捕球し損ねたボールを、これに詰めていたモハマド・ハスブラーが押し込んでゴールを決めています

クダはその4分後にも、左サイドのシュクロブ・ヌルラエフからパスを受けたファズルル・ダネルのクロスをエベネゼル・アシフアーが蹴り込みますが、VARのチェックが入り、このゴールは認められませんでした。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月29日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 4−0 サバFC
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(9分)、イスマヒル・アキネード2(37分、45+3分)、マリン・ピルジ(42分)
🟨トレンガヌ(4)、🟨サバ(2)
MOM:ヌリーロ・トゥクタシノフ(トレンガヌFC)

トレンガヌが予想外とも言える大勝でサバを破り、準決勝進出に近づいています。

トミスラフ・シュタインブリュックナー監督が新型コロナ感染により不在な中、バドロル・アフザン・ラザリ コーチが代行として指揮を取ったこの試合は、開始9分でマヌエル・オットが先制弾を決めて、トレンガヌがりーどします。そして今季ここまでリーグ戦4試合で1ゴールの成績でサポーターから批判を受けていたFWイスマヒル・アキナーデが2点目を決めると、42分にはマリン・ピルジが3点目のゴールを、さらに前半ロスタイムには再びイスマヒル選手がこの試合2点目となるゴールを決め、前半だけで4ゴールのトレンガヌが、後半も優勢に試合を進めて、勝利しています。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月29日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
マレーシア大学FT 0−5 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ラヴェル・コービン=オング(3分)、フランシスコ・ジェラルディス2(48分、62分)、シャールル・サアド(72分)、ロメル・モラレス(81分)
0🟨マレーシア大学(1)、🟨ジョホール(0)
MOM:フランシスコ・ジェラルディス(ジョホール・ダルル・タジムFC)

3部に当たるセミプロA1リーグのマレーシア大学(MUFT)がホームの試合は、昨季のFAカップ王者のジョホール・ダルル・タジム(JDT)の本拠地スルタン・イブラヒム・スタジアムで開催され、JDTが5−0と圧勝しています。

準々決勝からはホームアンドアウェイ方式ということもあり、JDTは外国籍選手はゼロ、マレーシア人選手のみが名を連ねた先発XIには、GKイズハム・タルミジ、DFシャーミ・サファリ、MFモハマドゥ・スマレ、MFサフィク・ラヒム、MFナチョ・インサ、そして今季から登録名をプテラ・ナデール・アマルハン・マデルナーと変更したDFジュニオール・エルドストールら今季初先発となるメンバーが半数以上を占めました。それでもこの「1.5軍」は早くも3分にラヴェル・コービン=オングのゴールで先制し、セミプロチームを圧倒します。

それでも自陣に引いて守る守備とGKアシュラフ・ファディルの奮闘もあり、MUFTの前半の失点はこの1点のみでした。

も後半開始とともにJDTのエクトル・ビドリオ監督は代表FWロメル・モラレスとMFフランシスコ・ジェラルディスを投入して、試合を決めにかかります。それに応えるように48分、60分とジェラルディス選手が、さらにシャールル・サアドが2013年のチーム創設以来通算1000得点となるゴールをヘディングで決めると、最後は81分にはロメル・モラレスがゴールを決めて、追加点を奪うと、そのままのリードを保って勝利しています。

マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝1stレグ
2024年6月2日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 2−1 スランゴールFC
⚽️クチンシティ:ジェイムズ・オクゥオサ(45+7分)、ジョーダン・ミンター(64分)
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(31分)
🟨クチンシティ(2)、🟨スランゴール(2)
MOM:ジョーダン・ミンター(クチンシティFC)

これがカップ戦!リーグ戦では今季まだ勝利がないクチンシティですが、この試合ではリーグ2位のスランゴールに逆転勝利しています。

先制したのはスランゴールでした、ここまでリーグ戦3試合出場で3ゴールを挙げているロニー・フェルナンデスがヨハンドリ・オロスコのFKからのこぼれ球を押し込んでゴール!しかし前半終了間際に左サイドでFKを得たクチンシティは、今季マレーシアスーパーリーグでプレーする最年少外国籍選手でブラジル出身の21歳、ルイス・フェルナンド・ウェルターがキッカーに。フェルナンド選手の蹴ったボールにジョーダン・ミンターが頭で合わせますが、スランゴールGKサミュエル・サマビルがこれをブロック。しかし、こぼれたボールを詰めていたジェイムズ・オクウォサが蹴り込んで、クチンシティが前半で追いつきます。

後半に入るとギアを上げたホームのクチンシティが、何度も好機を作り、スランゴールにプレッシャーをかけます。そしてついに64分、スランゴールに痛恨のミスが出てしまいます。ゴール前に上がったボールをDFシャルル・ナジームが胸でトラップしてGKのサマビルにパスしようとしますが、二人のコミュニケーションが悪く、ボールは空いたスペースへ。ここへ走り込んできたジョーダン・ミンターが蹴り込んでゴールを決めルト、逆転したクチンシティがそのまま逃げ切り、スーパーリーグ昇格以来、初めてスランゴールに勝利しています。また、クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

6月29日のニュース・マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の処分内容が迷走・今度はジョホール州皇太子がMFLを皮肉を込めて批判

スランゴールFCが今季開幕戦の出場を辞退したことへの処分が発表された6月26日以来、マレーシアサッカーは大混乱に陥っていますが、今度はジョホール州スルタンの長男で皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)を批判しています。

マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の処分内容が迷走

イスマイル殿下の発言に触れる前に、ここまでの出来事を時間軸に沿って振り返ってみましょう。

5月5日
スランゴールFCに所属するファイサル・ハリムがスランゴール州内のショッピングモールで酸をかけられる事件が起こる。

5月8日
スランゴールFCは5月10日に出場する予定だった今季リーグ開幕戦兼*スンバンシーカップについて、「安全上の理由」からMFLに延期を求める。しかし、MFLはマレーシア警察から試合での選手の安全を保証するという確約を得たことを理由に、スランゴールFCの要求を拒否。その結果、スランゴールFCは、後援者でもあるスランゴール州スルタンの同意を得た上で、この試合への出場辞退を表明。

*スンバンシーカップ:前年のマレーシア1部スーパーリーグ王者とマレーシアカップ優勝チームが対戦するいわゆる「スーパーカップ」ながら、リーグ開幕戦も兼ねて開催される。2023年シーズンはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がスーパーリーグとマレーシアカップの両方で優勝したため、JDTがリーグ2位のスランゴールとJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで対戦するはずだった

5月10日
スランゴールFCがスンバンシーカップの出場辞退を決定したことからMFLは、対戦相手のジョホール・ダルル・タジムFCを3-0で不戦勝として、勝点3とスンバンシーカップを授与。また出場辞退したスランゴールFCについては、後日、その処分が課されると発表。

6月26日
MFLがスランゴールFCに対する以下の4項目の処分を発表。なお、MFLは下の4番目の項目、無観客試合については、JDTのホームゲームでもあったスンバンシーカップが中止となったことによる入場料収入の損失を考慮し、スランゴールFCのホームでの同じカードでスランゴールが入場料収入を得るのは公平でないと、その理由も丁寧に説明した。またスランゴールFCがこれらの処分内容に納得しない場合には、不服申し立てを行うことができることも併せて発表。
1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償
  (具体的な金額はこの時点で発表なし)
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪
4. 今季第14節にスランゴールのホームMBPJスタジアムで予定されているスランゴールFC対JDTを無観客試合として実施

この処分内容が明らかになると、スランゴールFCサポーターからは、罰金は法外で、処分は非人道的だという批判が沸き起こった。そしてスランゴールFCの後援者であるスランゴール州スルタンのスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下が公式声明を発表し、MFLとマレーシアサッカー協会(FAM)に対して失望、および厳しい言葉で非難するなど不満を表明。特にFAMのハミディン・アミン会長に対しては、かつてスランゴール州サッカー協会(FAS)の事務局長を1995年から2013年まで務めたこともあり、スランゴールFCの窮状に何も言及しない姿勢について、特に名指しで厳しく非難。

FAS副会長で、FAM理事の一人でもあるシャーリル・モクタル氏がFAMでの全ての役職(スポンサー及びマーケティング委員会委員長、U23代表チームマネージャなど)を即時辞任し、ハミディンFAM会長は時評を受理したことを明かす。なお、シャーリル氏は今回のスランゴールFCへの処分とFAMの役職辞任は無関係であると説明。

6月27日
MFLが、前日に発表した処分内容から、「自主的」に再検討した新たな処分内容を発表。MFLは新たな処分発表の中で、今回の再検討が、スランゴール州スルタンの「命令」に対する敬意と承諾の結果であるとも説明。
1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)から6万リンギへの減額
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償は変更なし
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪の撤回
4. 今季第14節にスランゴールのホームMBPJスタジアムで予定されているスランゴールFC対JDTを無観客試合として実施から観客の入場を認めることに変更

スランゴール州スルタンから名指しで非難されたFAMのハミディン会長がシャラフディン殿下への謁見を希望する文書を送付したことをメディアに明らかに。

またスランゴールFCも公式声明を発表し、MFLには未だ不服申し立ては行なっていないと説明した上で、MFLが再検討した処分内容に基づいて、不服申し立てを行う予定があることを公式発表明。

6月28日
ハミディンFAM会長がスランゴール州スルタンとの謁見承認の返事を受け取ったこと、そして謁見はスルタン多忙のため7月7日以降に予定されたことを明らかにする。

今度はジョホール州皇太子がMFLを皮肉を込めて批判

スンバンシーカップではスランゴールFCと対戦予定だったJDTのオーナーで、ジョホール州スルタンの皇太子、現在は父君のスルタン・イスマイル殿下がマレーシア国王の職を務めているため、ジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下は一連の流れに沈黙してましたが、6月28日にMFLによるスランゴールFCへの処分軽減を非難する内容をSNSに投稿しています。

「今後は、どのクラブも規則を破ってMFLから処分を受けた場合には、そのクラブがある州のスルタンに怒りを表明する公式発表を行なってもらえば良い。MFLはスルタンに対する敬意をもとに、処分を撤回してくれることが明らかになった。もしMFLが処分を撤回しなければ、なぜスランゴールFCが処分を逃れたのかをMFLに問えば良い。」との投稿したいイスマイル殿下は、今回のMFLの決断が悪しき前例を作ってしまったとしています。

さらにイスマイル殿下は、2013年にスーパーリーグの審判とその判定を公に非難し、1万8000リンギ(およそ61万円)の罰金と、全てのサッカー活動を6ヶ月間禁止する処分を下され、また2023年には試合中にサポーターが発煙筒を焚いたことに対して12万リンギ(およそ410万円)の罰金処分をFAMから受けています。しかしいずれもジョホール州スルタンで父君のスルタン・イブラヒムはこの処分に不服を申し立てることはしなかったとも述べています。

「MFLは、スランゴールFCからの不服申し立てがなされる前に、処分を再検討した。スランゴールFCへの処分についてMFLを責め立てていた皆が、手のひらを返すようにMFLを称賛している。」と述べたイスマイル殿下は、今回の一件で、マレーシアサッカーでは誰が本当の「権力者」なのかが明らかになったと、皮肉混じりの投稿も行なっています。

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結果的にスランゴール州王家とジョホール州王家の「直接対決」の様式を呈してきた今回の一件には、一般のサッカーファンはもちろん、国内にあと7名いる各州のスルタンやその王家も注目していることでしょう。

実はイスマイル殿下は、上の内容の他にも、スランゴール州スルタンのシャラフディン殿下の声明の内容に言及しています。シャラフディン殿下は、マレーシアサッカー協会のハミディン・アミン会長がかつてはスランゴール州サッカー協会(FAS)の事務局長を18年務めたことに触れ、スランゴール州に対する貢献に対して、日本では褒賞に該当する「ダト」と呼ばれる称号を自身から与えられたにもかかわらず、沈黙を守っていることを批判しましたが、イスマイル殿下は、これについても触れ、スランゴールFCとMFL/FAMの関係が他のクラブとはとなるのではないかと示唆しています。

なおスランゴール州王室は、この記事を執筆している時点では、イスマイル殿下のSNS投稿については何もコメントを出していません。

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インドネシアで開催中のアセアンU16選手権や、FAMがプトラジャヤに建設を予定している新しいトレセンの鍬入れのイベントなど、今週はいくつもニュースがありましたが、それが全て吹っ飛ぶほどマレーシアサッカーが揺れています。

個人的にはここまで一連の流れの中で、いくつか思うことがあるので、それについて書いてみたいと思います。

1. スランゴールFCのスンバンシーカップ出場辞退の理由
  5月5日のファイサル選手への酸攻撃を受けて、スランゴールFCは「安全上の理由」からMFLにスンバンシーカップの延期を求めました。しかし、MFLは地元警察はもとより、全国警察のトップからも安全を保障する確約を受けていました。マレーシア人は対面を重んじることもあり、この状況下では「安全上の理由」での辞退は警察へも、MFLへも信用がないといっているのと同じですので、辞退の理由としては不十分だったのではないか、と思います。その後、スランゴール州スルタンのシャラフディン殿下は、ファイサル選手が襲われた後、チーム内に動揺があり、精神的に試合をする状況ではないことを理解していると述べていますが、スランゴールFCも「安全上の理由」ではなく、「選手の精神状態」を理由にしていれば、MFLも受け入れやすかったのではないかと考えます。

2. スンバンシーカップがリーグ戦を兼ねている点
  日本で言えば、富士フィルムスーパーカップに当たるこのスンバンシーカップは、本来ならば中立地で、リーグ戦とは別に行われる独立大会であるべきカップ戦だと考えます。リーグチャンピオンとカップ戦の王者が対戦するこのスーパーカップは多くの国で開催されていると思いますが、これをリーグの一環として、しかも中立地ではなく、リーグ王者のホームで行う仕組みでなければ、スランゴールへの処分がそもそもこれほど酷くはなかったのではないかと考えます。

3. マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の過度な商業化方針
  スンバンシーカップをJDTのホームで開催すれば、MFLは会場費用を持ち出すこともない一方で、収容人数4万人がほぼ満員で埋まるであろうスルタン・イブラヒム・スタジアムの入場料収入や放映権料などから、一部を受け取ることができたはず。(具体的にはMFLがスランゴールFCに課した「損失」の補填を処分内容に含めています。)この試合を中立地、例えば、代表戦などが行われるブキ・ジャリル国立競技場でMFLが主催して行えば、会場費用の持ち出しに加え、おそらくはスルタン・イブラヒム・スタジアムほどは観衆を集めることができず、試合開催自体が赤字興行になってしまう可能性もあることから、ジョホール州開催に拘っているのではないかと考えます。

6月28日のニュース・スルタンの怒りに慄いた?MFLが朝令暮改でスランゴールFCへの処分大幅軽減を発表・サッカー協会会長はスランゴール州スルタンへの謁見を求める・スランゴールFCはMFLの処分大幅軽減にもかかわらず不服申し立てを行うと発表

スルタンの怒りに慄いた?MFLが朝令暮改でスランゴールFCへの処分大幅軽減を発表

5月10日の今季開幕戦スンバンシーカップへの出場を「安全上の理由」から辞退したスランゴールFCに対して、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が非常に厳しい内容の処分を課したことについては、昨日のこのブログで取り上げました。この処分が発表された後、マレーシアサッカー協会(MFL)の理事の一人で、スランゴール州サッカー協会(FAS)副会長のシャーリル・モクタル氏がFAMの全ての役職を辞職することを発表、さらにスランゴールFCの後援者でもあるスランゴール州スルタンのスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下がMFLの処分について激しい不満と憤りを明らかにしていました。

MFLは今回の処分発表時には、スランゴールFCには処分内容に対する不服申し立てを行う資格があるとしていましたが、そのスランゴールFCが不服申し立てを行う前に、なんとMFLが「自主的に」処分内容を軽減することを発表しています。その内容は以下の通りです。

1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)を6万リンギに減額
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償は減額なし
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪処分の取り消し
4. 今季第14節にスランゴールのホーム、MPBJスタジアムで予定されているスランゴールFC対JDT戦の無観客開催処分の取り消し

一連の反発に慄いたのか、MFLの公式サイトで発表された朝令暮改とも言える処分軽減については「今回の処分再検討はスルタン・シャラフディン殿下の公式声明に対して敬意を払った結果である。しかし今後、スランゴールFCが同様の違反行為を行えば、より厳しい処分が課されるだろう。」と説明されています。

サッカー協会会長はスランゴール州スルタンへの謁見を求める

スランゴールFCに対するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の処分大幅軽減はクラブの後援者でもあるスランゴール州スルタンのスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下が公式声明として発表したMFLに対する強い不満が理由であることは、上の記事で取り上げましたが、シャラフディン殿下は、同時にマレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長に対しても、MFLの処分に対して沈黙を続けたことで不満をぶつけています。

「私は驚きと失望を感じている。ハミディンFAM会長は、1995年から2013年までFASの元事務局長であり、スランゴール州のサッカーに広範な経験を持ちながらも、真剣に懸念を表明しなかったことが信じられない。」とハミディンFAM会長の姿勢を批判したシャラフディン殿下ですが、これに対してハミディン会長が緊急でスルタンに謁見を求めていると、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

ハミディン会長は、自身が受けた「叱責」についてスルタン・シャラフディン殿下に謁見の許可を求める公式文書を送ったことを明らかにしていますが、その詳細などにはコメントを控えています。

「MFLの決定に対するシャラフディン殿下の不満については十分理解している。そこで昨日(6月26日)はスランゴール州王宮に連絡を入れ、今日(6月27日)には謁見を求める公式文書を送付した。もし殿下と謁見できれば、今回の件について状況を説明して殿下の不満を解消したいと考えている。」と話したハミディン会長は、MFLの決定に不満だけでなく、同時に深い失望と悲しみも表明したシャラフディン殿下との謁見を望んでいるとしています。

またハミディン会長は、突然、辞意を表明したFAM理事でスランゴール州サッカー協会副会長のシャーリル・モクタル氏からの辞表を受理したことも明らかにしています。FAMスポンサー及びマーケティング委員会の委員長やU23代表のチームマネージャーなどを務めていたシャーリル氏の後任については、来年の年次総会で後任を決定するとしています。

スランゴールFCはMFLの処分大幅軽減にもかかわらず不服申し立てを行うと発表

上記のようにマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、スランゴールFCに対して当初の40%減となる罰金の減額や勝点剥奪や無観客試合などの処分撤回を発表しましたが、スランゴールFCは規定て認められている権利である不服申し立てをおこうなうい子があることをクラブ公式SNSで発表しています。

SNSに投稿された声明では、「スランゴールFCは、今季の開幕戦スンバンシーカップ出場辞退に対する処分について、MFL理事会が見直しを行なったことを理解した上で、未だ行なっていない不服申し立てを行う予定がある。この申し立ては見直された処分内容について行う予定である。」

複数のメディアによると、MFLが発表した処分軽減の内、スランゴールFCのスンバンシーカップ出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償については減額されておらず、おそらくスランゴールFCはこれについて不服申し立てを行うものと見られています。

6月27日のニュース・MFLが試合辞退のスランゴールに対する処分発表-サッカー協会も巻き込んだ「戦争」に発展も

開幕戦辞退のスランゴールへ処分発表:勝点剥奪・罰金及び賠償・無観客試合

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、リーグ開幕戦となるスンバンシーカップの出場を辞退したスランゴールFCに対しての処分を6月25日に公式サイト上で発表しています。

5月10日に予定されていたこの試合は、今季2024/25スーパーリーグ開幕戦であるとともに、前年のリーグ覇者とマレーシアカップ優勝チームが対戦する「スンバンシーカップ」を兼ねた試合で、スランゴールFCは前年のリーグ覇者でマレーシアカップ優勝チームでもあるジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のホームゲームとして、ジョホール州イスカンダル・プテリにあるスルタン・イブラヒム・スタジアムで対戦する予定でした。

しかし、この試合の直前の5月5日にスランゴールFCに所属する代表FWファイサル・ハリムが酸をかけられるという事件があったことから、スランゴールFCはMFLに対して試合の延期を求めました。これに対してMFLはマレーシア王立警察本部などから安全を保証を確約されたとしてスランゴールFCの要請を拒否しました。

しかしスランゴールFCはMFLの説明に納得せず、結果的にこのスンバンシーカップの出場を辞退しました。この結果、試合はJDTの3-0で不戦勝となり、JDTは勝点3を獲得しました。

そしてこの件についてのMFL理事会が課した処分は以下の通りです。
1.  罰金10万リンギ(およそ340万円)
2. スランゴールFCの出場辞退によってMFLとJDTが被った損失への補償(具体的な金額はこの時点で発表なし)
3. 今季リーグ戦の勝点3剥奪
4. 今季第14節に予定されているスランゴールFC対JDTの試合の無観客実施

なおスランゴールFCは、この処分に対して不服申し立てを行うことを、クラブ公式SNSで直ちに発表しています。

各方面からの反発を受けたMFLは処分の理由をあらためて説明

MFLによる処分が発表されるとスランゴールFCの関係者やサポーターはもとより、各方面からその厳しさに批判や疑問の声が上がりました。これを受けてMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOが6月26日にメディアに対応して、処分内容についての説明を行っています。

スチュアートCEOは、スランゴールFCは今回課された処分内容について不服申し立てを行う権利がある、と説明した上で、特に批判の声が多いスランゴールFCの無観客試合について説明しています。

今季第14節にはスランゴールFCのホーム、MBPJスタジアムでスランゴールFC対ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の試合が予定されていますが、MFLは処分の一環として、この試合を無観客で行うことを命じました。

「MFL理事会はこの無観客試合処分を、商業的な観点から下している。本来であれば5月10日に(JDTのホーム)スルタン・イブラヒム・スタジアムで試合が行われ、それに伴う収入が発生していたはずである。その収入を失ったことに対して、スランゴールFCのホームでの試合で収入が発生するべきでないことが今回の処分の根拠であり、無観客試合はあくまでも商業的な公正さという観点の処分であることを理解して欲しい。」

「マレーシアのクラブは入場料収入が収入の大きな割合を占めていることは承知している。(スランゴールFC対JDTのような)ビッグマッチでの収入が重要なことも承知している。」

スチュアートCEOは、不服申し立てを受け付けることができるのは数日以内だとして、MFLの不服申し立て委員会を通して正式に申し立てをすることを求めるとともに、スポーツ仲介裁判所(CAS)に直接、この件を持ち込まないように釘を刺しています。

スランゴール州スルタンはハミディンFAM会長の沈黙に失望

MFLによる処分が発表された後、スランゴール州スルタン、スルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下が、マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長に失望と不満を表しています。

スルタンとはマレーシア各州のイスラム教の最高位であり、いわば「州王」とも言える存在です。スランゴール州のスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下はスランゴールFCの後援者ですが、今回発表されたMFLの「過激な措置」に対して極めて失望し、悲しんでいるとともに、ハミディンFAM会長が「真剣に懸念を表明しなかった」ことにも不満を示しました。

元スランゴール州サッカー協会(FAS)会長でもあるスルタン・シャラフディン殿下は、6月26日に以下のような公式声明を発表しています。

「私は驚きと失望を感じている。ハミディンFAM会長は、1995年から2013年までFASの元事務局長であり、スランゴール州のサッカーに広範な経験を持ちながらも、真剣に懸念を表明しなかったことが信じられない。」

「私はこの最新のMFLの決定に非常に怒りを覚えている。これは無責任で、思いやりに欠け、不人道的で、起こった不正に対する関心を示していないと考える。」

「5月5日に、スランゴールFCとマレーシア代表のサッカー選手ファイサル・ハリムに対する生命を脅かす酸による攻撃事件が発生しました。同じ週に他のプロサッカー選手への暴行事件も発生した。このため、選手たちがまだトラウマと恐怖に苛まれている状態であるため、スンバンシーカップの試合の延期を要求するよう(後援者として)私はスランゴールFCに許可しました。

「しかし、MFLは延期要求を拒否し、3-0で対戦相手の勝利とスンバンシーカップを授与しました。」という発言に加え、スルタン・シャラフディン殿下は自身がFASの会長ならスランゴールFCの一定期間のリーグ撤退すら考えるととその怒りを表明しています。

なお、これを報じた英字紙ニューストレイトタイムズは、ハミディンFAM会長にがコメントを求めたところ、「申し訳ないが、今は(回答は)無理だ。」とという返答を受け取ったということです。

スランゴール州サッカー協会副会長がFAMの全てのポストを辞任

スランゴール州サッカー協会(FAS)副会長のシャリル・モクタール氏が、マレーシアサッカー協会(FAM)の全てのポストを辞任しています。なお、シャリル氏は、彼の決定がマレーシアンフットボールリーグ(MFL)がセランゴールFCに科した処罰に関する騒動とは無関係であると述べました。

これを報じた英字紙ニューストレイツタイムズU12代表のチームマネージャーを務めたこともあ李、FAM理事であり、またFAMスポンサー及びマ=ケティング委員会の委員長でもあるシャリル氏は、6月26日にハミディン・アミン会長が率いるFAMに対して辞任の意思を伝えたということです。

「私は今朝(6月26日朝)、ハミディン・アミン氏に対してFAMの全てのポストを即時に辞任することを伝えた。私の辞任の理由は、私とFAMとハミディン氏の間に留めておきたい」と述べたシャリル氏は、この決断はこれまで長期間にわたり検討していたものであり、MFLによる処分とは無関係である点を強調しています。

スランゴール州政府はセランゴールFCのための連帯基金を立ち上げ

スランゴール州政府は、同州スポーツ評議会(MSNS)を通じて、スランゴールFC連帯基金を設立することを発表し、6月26日から7月2日まで寄付を集めるということです。

同州青年スポーツ委員会のナジュワン・ハリミ委員長は、この取り組みは、今シーズンのスンバンシーカップの試合を辞退したスランゴールFCに対して10万リンギの罰金を科したマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の「不公正で抑圧的な」決定を受けて行われると述べています。

「これまで、人々を団結させるスポーツとして称えられてきたサッカーが、暴力と過激主義によって汚され、分裂を引き起こすまでになっている。スランゴール州政府は、スランゴールFCが直面する様々な問題や不公正に対するスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下の断固とした姿勢と感受性を尊重する。」

「この取り組みは、州境を越えて全国全てのマレーシア人およびサッカーファンに、セランゴールFCを支持するためにRM1の貢献をする機会を提供することを目的としている。」と述べましたナジュワン委員長は、集められた資金はスランゴールFCに渡され、MFLによる処罰に対して「最高レベルでの正義を求める」助けになるとナジュワン委員長は説明しています。