8月23日のニュース・東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:トレンガヌはカンボジア王者に苦杯・KLシティはフィリピン王者に辛勝・ジョホール州がFAカップ決勝翌日を州の祝日とすることを発表

東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:トレンガヌはカンボジア王者に苦杯、KLシティはフィリピン王者に辛勝

2005年以来19年ぶりに再開されるアセアン東南アジアクラブ選手権(ACC)は、東南アジア最大のECサイトがスポンサーとなり「ショッピーカップ」とし第3回大会が開催されています。マレーシアからは昨季のマレーシアカップ準優勝チームのトレンガヌFCとFAカップ準優勝チームのKLシティFCが参加します。トレンガヌはグループステージのA組、KLシティはB組に入り、今週から始まった大会に臨んでいます。(試合のハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

トレンガヌはカンボジア王者に苦杯

2024年8月21日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 2-3 プリヤ・カーン・リーチ・スヴァイ・リエンFC
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(55分)、サファウィ・ラシド(90+1分PK)
⚽️スヴァイ・リエン:ガブリエル・シルヴァ(12分)、パブロ(16分)、ミン・ラタナック(86分)
🟨トレンガヌ(2)、🟨スヴァイ・リエン(3)

開幕戦で昨季のカンボジア1部リーグチャンピオンをホームに迎えたトレンガヌは、開始16分で立て続けにゴールを決められてリードを許すと、そのまま一度も追いつくことなく敗れています。

小田原貴、藤井亮の2名の日本人選手が先発したPKRスヴァイ・リエンは、12分にガブリエル・シルヴァのゴールで先制すると、その4分後には、FC琉球やカターレ富山でのプレー経験があるパブロがゴールを決めて、前半を2-0とリードして折り返します。

後半の55分にはマヌエル・オットのゴールでトレンガヌが1点差まで迫りますが、終了間際に失点して再び点差を広げられると、ロスタイムにサファウィ・ラシドのPKで1点を返すも時すでに遅く、トレンガヌが2−3で敗れています。
PKRスヴァイ・リエンの小田原貴選手はフル出場し、藤井亮選手は64分に交代しています。

A組の他の試合結果は、トレンガヌが次節第2節で対戦するタインホアFC(ベトナム)が3−1でシャン・ユナイテッド(ミャンマー)に勝利し、PSMマカッサル(インドネシア)対BGパトゥム・ユナイテッド(タイ)はスコアレスドローに終わっています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

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なお、この試合前にはトレンガヌのトミスラフ・シュタインブリュックナー監督がマレーシアの通信社ブルナマの取材に応え、自身が必要とされていないのであればチームをさる用意があると発言しています。

これまでトレンガヌがマレーシアスーパーリーグのトップチームの一つでいるために全力で関わってきたと話したシュタインブリュックナー監督は、他のプロクラブの監督同様、必要とされていなければ、いつでもチームを去ると話しています。

2022年にチームのテクニカルディレクターから転身し、今季が監督2シーズン目となるシュタインブリュックナー監督について、ジョホール・ダルル・タジムFCからローンで代表選手のサファウィ・ラシドやアキヤ・ラシドを獲得するなどチーム力が上がっていると考えられていることから、SNSを中心に不安定な戦いぶりを見せているチームの責任を問う声がトレンガヌサポーターから上がっており、FAカップ準決勝敗退に続き、このショッピーカップの敗戦で、その声はさらに大きくなりそうです。


東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:KLシティはフィリピン王者に辛勝

2024年8月22日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 1-0 カヤFCイロイロ
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム(12分)
🟨KLシティ(1)、🟨カヤFC(3)

カップ戦に強いKLシティが前半に挙げた1点を守り切り、3名の日本人選手を擁する昨季のフィリピン王者を破って開幕戦での勝利を挙げています。

来週のFIFA国際マッチカレンダーで開催されるムルデカ大会に出場するマレーシア代表にはチーム最年少の21歳で招集されているFWハキミ・アジムがこの試合でも躍動し、12分には左サイドを上がったパウロ・ジョズエからのクロスをファーサイドで受けるとこれを落ち着いて決めると、これがこの試合唯一のゴールとなりました。

日本人の星出悠監督が指揮を取るカヤFCイロイロは、先月7月14日に終了したフィリピン1部リーグを制して2連覇を果たした強豪ということで、マレーシアスーパーリーグでは中堅のKLシティに対してどのような試合を見せてくれるのかを楽しみに現地観戦しました。

左ウィングに駒木秀人、MFには東南アジアでのプレー経験が豊富な山崎海秀、そして最終ラインの要に斎藤彰人の日本人3選手を要するカヤFCイロイロは、この試合ではボールの保持率は高かったもの、試合前から降り続く雨で滑りやすくなったピッチのせいもあったのか、決定機を作ることがほとんどありませんでした。

いわゆるボックストゥボックスタイプのMF山崎選手の運動量は素晴らしかったですが、昨季のフィリピンリーグでは11試合で10ゴール8アシストという記録を残した駒木選手も自陣に戻って守備をする機会も多く、ウィング的な活躍の機会がほとんどありませんでした。素人目では、KLシティ守備陣が戦術的に崩される場面がほとんどなく、ゴール前などでつまらないミスをしない限りは失点しそうな気配も正直ありませんでした。もしかしたらカヤFC色々にとっては、シーズン終了後の疲労が溜まっていた時期のいわば「罰ゲーム」的な大会になってしまっていたのかもしれません。
カヤFCイロイロの駒木秀人、山崎海舟、斎藤彰人の3選手はこの試合でフル出場しています。

B組の他の試合は、ハノイ公安FC(ベトナム)が対1部リーグ3連覇中のブリーラム・ユナイテッドに2-1と勝利し、KLシティが来月9月の第2節に対戦するボルネオFCサマリンダ(インドネシア)がライオン・シティ・セイラーズ(シンガポール)に3-0と圧勝しています。なおグループステージでは各組の上位2チームが来年4月にホームアンドアウェイ方式で行われる準決勝に進出します。

しかし、ACLエリートにも出場するブリーラム・ユナイテッドがこの大会にも出場しているのはちょっと驚きです。

ジョホール州がFAカップ決勝翌日を州の祝日とすることを発表

明日8月24日には今季の初タイトルマッチとなるFAカップ決勝が開催され、大会3連覇を目指すジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と、最後に優勝した2009年以来の決勝進出を果たしたスランゴールFCが対戦します。このFAカップ決勝を前に、ジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ州首相は、決勝翌日の8月25日を州の祝日とすることを発表しています。

8月25日を祝日とする理由として、FAカップ決勝に進出を果たしたJDTを応援するジョホール州民に対する感謝の気持ちの表明であると説明したオン・ハフィズ州首相は、今回の州祝日は、父君のスルタン・イブラヒム殿下がマレーシア国王を務めている間はジョホール州摂政となっているトゥンク・イスマイル殿下の了承を得た上での発表であるとしています。なお、トゥンク・イスマイル殿下はJDTのオーナーでもあります。

オン・ハフィズ州首相は、ジョホール州民に向けて400km以上離れたクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されるマレーシアFAカップ決勝に足を運んで「12番目の選手」としてJDTを応援して欲しいと話しています。

2012年2月16日にジョホール州サッカー協会の会長にトゥンク・イスマイル殿下が就任して以来、ジョホール州のサッカーは成功へ向かって大きな変革を進めているとし、2013年のJDT創設がこの変革の中心になっていると説明しています。さらに現在のリーグ10連覇を含めたこれ以降のJDTの素晴らしい成績はジョホール州民の誇りであるとも述べています。

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日本に例えれば、ヴィッセル神戸が天皇杯決勝に進出するので、兵庫県知事が急遽、天皇杯決勝翌日を県民の日に制定するので、兵庫県民に国立競技場まで応援に行ってください!と言っているような内容です。まぁこれが罷り通るのがマレーシアだとも言えますが、これはJDTがFAカップ決勝でスランゴールを破るだろうという自信の表れでもあると言えます。実際に過去8シーズンはリーグ戦、カップ戦問わずスランゴールはJDTを破った経験がなく、この自身は根拠がないものではありませんが、今回は「ファイサル・ハリム」という要素がスランゴールのモチベーションにどのくらい火をつけるかで、この根拠すらひっくり返す可能性もあります。

8月22日のニュース・ムルデカ大会に向けた代表候補合宿参加の26名が発表に・今季2度目のトランスファーウィンドウでスランゴールはヨルダン代表FWを獲得へ・サバにはベトナムリーグからブラジル出身FWが加入・トレンガヌはタイリーグの経験豊富なエルサルバドル代表FW獲得

今週末は国内リーグのマレーシアスーパーリーグ(MSL)はありませんが、東南アジアクラブ選手権ショッピーカップ、そして今季1つ目の国内タイトルとなるFAカップ決勝が開催されます。また来週月曜日8月26日には今季2度目のトランスファーウィンドウが開くなど、いくつかのクラブに動きがありそうです。

ムルデカ大会に向けた代表候補合宿参加の26名が発表に

マレーシアサッカー協会(FAM)は公式サイトで来週8月29日から始まる代表候補合宿に参加する代表候補26名を発表しています。今回の代表候補合宿は先月、突然辞任したキム・バンゴン監督に代わってポー・マルティ監督代行が行う初めての合宿で、来月9月4日に開幕する第43回ムルデカ大会に向けた合宿となります。

今回の合宿参加者の顔ぶれですが、キム前監督が指揮を取った6月のW杯アジア2次予選、キルギス戦と台湾戦のメンバー26名からは18名が残り、GKシーハン・ハズミ、MFアフィク・ファザイル、FWアリフ・アイマン、FWロメル・モラレス(以上ジョホール・ダルル・タジムFC)、DFハリス・ハイカル(スランゴールFC)、DFアザム・アズミ(トレンガヌFC)、FWダレン・ロック(サバFC)、FWシャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)の8名が復帰しています。

ポー・マルティ監督代行が率いるマレーシアは、ムルデカ大会では、9月4日の準決勝ではフィリピンと対戦し、勝てばもう一つの準決勝、レバノン対タジキスタン戦の勝者と決勝で、また敗れれば同じ試合の敗者と3位決定戦を戦います。

2024年8月開催代表候補合宿参加メンバー
P氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ28JDT
アズリ・ガニ25KLC
アラムラー・アル=ハフィズ29KDA
DFマシュー・デイヴィーズ29JDT
フェロズ・バハルディン24JDT
ラヴェル・コービン=オング33JDT
サフワン・マズラン22TRE
アザム・アズミ23TRE
ドミニク・タン27SAB
ダニエル・ティン32SAB
ハリス・ハイカル22SEL
ディオン・コールズ28BUR
MFアフィク・ファザイル30JDT
ザフリ・ヤーヤ30KLC
ノーア・レイン22SEL
シャミル・クティ27PEN
エンドリック・ドス・サントス29HOM
FWアリフ・アイマン22JDT
ロメル・モラレス27JDT
サファウィ・ラシド27TRE
アキヤ・ラシド25TRE
パウロ・ジョズエ35KLC
ハキミ・アジム21KLC
ダレン・ロック34SAB
シャフィク・アフマド29KDA
アディブ・ラオプ25PEN
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC、SAB-サバFC
TREートレンガヌFC、KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC。PEN-ペナンFC
BUR-タイ1部ブリーラム・ユナイテッドFC、HCM-ベトナム1部ホーチミン・シティFC
今季2度目のトランスファーウィンドウでスランゴールはヨルダン代表FWを獲得か

国内複数のサッカー系メディアは、現在MSL2位のスランゴールFCがヨルダン代表FWのヤザン・アル=ナイマットの獲得を狙っていると報じています。なおスランゴールFCには既にヨルダン代表のMFノー・アル=ラワブデ、ヨルダンU23代表のFWレジク・バニハニが在籍しています。また今回のトランスファーウィンドウでやはりヨルダン代表のFWアリ・オルワンをカタール1部のアル・シャマルSCから加入することを発表しており、このヤザン選手を実際に獲得することになれば、この「ヨルダン・コネクション」がさらに強化されることになりそうです。なお、昨季まではこの他にヨルダン代表DFヤザン・アル=アラブ(現在は韓国1部FCソウル)も所属していましたが、試合中の判定に不服だったことで審判を「蹴って」しまい無期限の出場停止処分を受けて退団しています。)

25歳のヤザン選手は、今年1月AFCアジアカップで準優勝したヨルダン代表で主力選手として活躍し、グループステージの韓国戦でゴールを挙げると、ベスト16のイラク戦、準決勝で再び対戦した韓国戦、そして決勝のカタール戦でも得点し、7試合で4ゴール3アシストの記録を残しています。

このヤザン選手は、カタール1部で3シーズンプレーし、47試合で15ゴール14アシストの記録を残していますが、最後に所属していたカタール1部の強豪アル・アハリSCを8月11日に退団しています。

今季国内リーグでは9試合で16ゴールと、首位のジョホールの8試合で28ゴールと比べると火力がやや心許ないところもあることから、このヤザン選手に是非とも加入してもらいたいところです。またスランゴールFCは来月開幕するACL2にも出場しますが、同組には韓国の全北現代、タイのムアントン・ユナイテッド、フィリピンのセブFCなど強豪もいることから、積極的な補強が期待されます。

サバにはベトナムリーグからブラジル出身FWが加入

現在リーグ4位のサバFCはブラジル出身FWジョアン・ペドロ・ボイエア・ドゥアルテの加入を発表しています。24歳のジョアン・ペドロ選手は昨季はベトナム1部のベトテルFCでプレーし、12試合で2ゴールという成績を残しています。

リーグ中断前の直近の3試合では4得点7失点、今季通算でも8試合で12得点13失点という成績のサバは、昨季9ゴールを挙げたラモン・マチャド(アゼルバイジャン1部アラズ・ナクチヴァンへ移籍)との契約を先月解除し、さらに5月25日に行なわれたMSL第4節クチンシティFC戦以降ベンチ入りすらしていない前インドネシア代表FWサディル・ラムダニにも退団や移籍の噂もあり、頼りになるのはマレーシア代表FWダレン・ロック1人という状況です。

サバのオン・キムスイ監督は、ジョアン・ペドロ選手がチーム合流後すぐにでもその影響が出ると良いと話す一方で、サポーターにはこのジョアン・ペドロ選手が昨季とチーム得点王だったラモン選手は違うタイプの選手であり、単純に両者を比較しないで欲しいいと話しています。

さらにオン監督は次節第10節のホーム開催のトレンガヌ戦(9月15日)までにはチームのプレースタイルなどに適応させたいと話しています。

トレンガヌはタイリーグの経験豊富なエルサルバドル代表FW獲得

昨季は11ゴールを挙げたトレンガヌFCのチーム得点王のイヴァン・マムートは開幕前のプレシーズンマッチで踵を痛め、その後は治療と回復が長引き、今季はここまで出場がなく、現在は手術を受けるためにフィンランドに滞在中です。現在4勝3分1敗でリーグ3位ではあるものの、昨季は26試合で45ゴールを挙げた攻撃陣がり今季は8試合で13ゴールとエース不在の影響が表れています。そんな得点力不足に悩むトレンガヌFCですが、クラブ公式SNSでエルサルバドル代表FWで33歳のネルソン・ボニーヤの加入を発表しています。

ルーマニアやポルトガル、アゼルバイジャンやトルコなどでもプレー経験があるボニーヤ選手は。タイ1部では合計6シーズン在籍し、ポートFCやバンコク・ユナイテッド、チェンライ・ユナイテッドなどでプレーした他、昨季はスコータイFCで25試合に出場して8ゴール5アシストという記録を残しています

ボニーヤ選手加入を報じたマレーシア語紙マジョリティは、ボニーヤ選手はマレーシアでは知られていないものの、タイリーグで138試合で117ゴールを挙げ、ジョホール・ダルル・タジムFCでもプレーしたジオゴに匹敵するレベルの選手であるとしています。なおボニーヤ選手は、タイ1部でプレーした6シーズンで130試合に出場して65ゴールを挙げています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ<br>第9節の結果とハイライト映像(1)・サバとの上位対決を制したスランゴールが引き分けを挟み3連勝・KLシティに快勝のPDRMは2連勝で6位浮上

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第9節が8月13日から8月17日にかけて開催されています。今節はペラFC対ジョホール・ダルル・タジムFC戦が豪雨によるピッチ悪化で順延となり、クランタン・ダルル・ナイムFC対クチンシティFC戦は試合会場の廃数位設備の改修が終了していないことを理由にやはり順延されています。

なお今季のMSLは13チームで編成されており、第9節はペナンFCの試合はありません。また次節第10節は、9月2日から10日までのFIFA国際マッチデーに開催されるムルデカ大会を挟んで9月13日(金)から15日(日)に予定されています。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。

サバとの上位対決を制したスランゴールが引き分けを挟み3連勝

MSL2024/25 第9節
2024年8月13日@リカス・スタジアム(サバ州イスカンダル・プテリ)
サバFC 1-2 スランゴールFC
⚽️サバ:サフワン・バハルディン(27分OG)
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス(31分)、ハリス・ハイカル(87分)
🟨サバ(0)、🟨スランゴール(2)
MOM:ラウィルソン・バトゥイル(サバFC)

リーグ2位のスランゴールは同4位のサバに逆転勝ちしています。

前半の27分にサバFWダレン・ロックのシュートをブロックに行ったサフワン・バハルディンがシュートは防いだものの、身体に当たったボールがゴールに転がり込んでオウンゴールとなり、サバが先制します。しかしその4分後には、サバDFのパスミスからヨハンドリ・オロスコがボールを奪うと、ゴール前のロニー・フェルナンデスへパス。ここまでの8試合で5ゴールを挙げているロニー・フェルナンデスがこのパスをゴールし、スランゴールが同点に追いつきます。

1-1で折り返した後半は、両チームとも得点できない中、残り時間5分を切ったところで、スランゴールがコーナーキックを得ます。ヨハンドリ・オロスコからのボールをロニー・フェルナンデスが頭で合わせますが、これをサバGKカイルル・ファーミが反応よくブロックするも、補給しきれなかったボールをハリス・ハイカルが押し込みゴール!これが決勝点となり、スランゴールが2−1で勝利しています。


トレンガヌはロスタイムのゴールで痛恨の引き分け。一方のスリ・パハンは7試合勝利なし

MSL2024/25 第9節
2024年8月16日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 1-1 スリ・パハンFC
⚽️トレンガヌ:ヌリーロ・トゥクタシノフ(45+2分)
⚽️スリ・パハン:ステファノ・ブルンド(90+3分)
🟨トレンガヌ(0)、🟨スリ・パハン(2)
MOM:スハイミ・フシン(トレンガヌFC)

今季開幕戦での勝利以降、3分3杯と勝星のないスリ・パハンは、アウェイのこの試合ではトレンガヌとがっぷり四つに組み合い、先制をを許したものの、後半ロスタイムにキャプテンのステファノ・ブルンドが同点ゴールを決めて、引き分けに持ち込んでいます。

キックオフから試合を優勢に進めたのはスリ・パハンでした。32分にはミコラ・アハポフ、43分にステファノ・ブルンドがシュートを放つも、2試合ぶりに先発に復帰したトレンガヌGKスハイミ・フシンがいずれもファインセーブでゴールを許しません。そして前半終了間際にヌリロ・トゥクタシノフがペナルティエリアの外から放ったシュートが決まり、ついにトレンガヌが先制します。

後半に入るとトレンガヌがペースを上げ、このまま逃げ切るかに見えた90+3分に、スリ・パハンがコーナーキックを得ると、そのボールをファーサイドのブルンド選手が頭で合わせてゴールを決め、土壇場で引き分けに持ち込んでいます。


KLシティに快勝のPDRMは2連勝で6位浮上

MSL2024/25 第9節
2024年8月16日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 2-1 KLシティFC
⚽️PDRM:イフェダヨ・オルセグン(9分)、ファディ・アワド(65分)
⚽️KLシティ:ジョヴァン・モティカ(51分)
🟨PDRM(3)、🟨KLシティ(2)、🟥PDRM(1):サフィー・アフマド
MOM:ファディ・アワド(PDRM FC)

試合前の大雨によりステップを踏むだけで水飛沫が上がるピッチコンディションの中で行われた試合は、過去2節でJDTと引き分け、ヌグリスンビランに勝利しているPDRMがこの試合でも先制します。開始9分に相手DFからボールを奪った鈴木ブルーノから出たパスをイフェダヨ・オルセグンが落ち着いてゴールを決め、PDRMがリードします。

PDRMが1-0のリードのまま前半を折り返すと、後半の51分にKLシティが追いつきます。右サイドでボールを受けたハキミ・アジムがゴール前へ低く速いクロスを送るとそれをジョヴァン・モティカがダイレクトで押し込みゴール。試合は振り出しに戻ります。65分には左サイドの鈴木ブルーノからのパスをファーサイドのファディ・アワドがこれまたダイレクトで蹴り込んで逆転ゴールを決めます。その後のPDRMは退場者を出して10名となったものの、KLシティの反撃に耐えたPDRMが連勝し、順位を1つ上げて6位に浮上しています。

この試合2アシストを記録したPDRM FCの鈴木ブルーノ選手は、先発してフル出場しています。

引き分けもヌグリスンビランは連敗を3で止める

MSL2024/25 第9節
2024年8月17日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 2-2 ヌグリスンビランFC
⚽️クダ:ソニー・ノルデ(53分)、クレイトン(62分)
⚽️ヌグリスンビラン:ジャック・フェイ2(45+1分、64分)
🟨クダ(3)、🟨ヌグリスンビラン(2)
MOM:ジャック・フェイ(ヌグリスンビラン FC)

クダ、ヌグリスンビランともにここまでの7試合で6得点と1試合あたりの平均得点が1点を下回る両チームの対戦は、前半終了間際のロスタイムに3連敗中のヌグリスンビランが右サイドでコーナーキックを得ます。佐々木匠のキックにジャック・フェイが頭でドンピシャで合わせてゴール。前半はヌグリスンビランが1−0とリードして終了します。

先制されたクダは後半開始から積極的なプレーを見せ、53分にはDF数人をドリブルでかわしてペナルティエリア近くまでボールを持ち込んだソニー・ノルデが放ったシュートが決まり、クダが追いつきます。さらにその9分後には、今度は供給役となったソニー・ノルデが左サイドからゴール前に上げたクロスをクレイトンが頭で落としてゴール。ホームのクダが遂にリードを奪います。

しかしその2分後に今度はクダDFラインの裏に抜け出したハイン・テット・アウンからのパスを再びジャック・フェイがゴールし、ヌグリスンビランが追いつくと、試合はそのまま終了。2-2の引き分けでともに順位の変動はありませんでした。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第9節途中)
順位チーム勝点
1JDT82271028424
2SEL9196121688
3TRE8154311394
4SAB8134131213-1
5KCH81125112102
6PDRM811323910-1
7PEN810242981
8*KDA88323812-4
9SRP87143712-5
10PRK762051013-3
11#KLC8532310100
12NSE84116819-11
13KDN83107418-14
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第9節途中)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT9
2ロニー・フェルナンデスSEL6
3ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
パウロ・ジョズエKLC4
ジョーダン・ミンターKCH4
イフェダヨ・オルセグンPDRM4
6チェチェ・キプレ他4KCH3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC

8月18日のニュース・ACLエリートのリーグ戦組合せが決定:ジョホールは前マレーシア代表監督率いる蔚山HDとの対戦も・ACL2のグループ組み合わせが決定:スランゴールは韓国の強豪、全北現代と同組に・多くのクラブは財政難で今月のトランスファーウィンドウでは戦力増強見送りか

今季から大きく改編されるACLエリートとACL2の組み合わせ抽選が行われました。ボラセパマレーシアJP的には、マレーシアからACLエリートに出場するジョホール・ダルル・タジムFC、ACL2に出場するスランゴールFCは、いずれもリーグ戦とグループステージではJリーグクラブとの対戦とはならなかったのは少々残念です。特にACLエリートでは、日本以外の全ての国のクラブとは対戦するのに、3チームも出場している日本のクラブとはなぜか対戦がありません…。

ACLエリートのリーグ戦組合せが決定:ジョホールは前マレーシア代表監督率いる蔚山HDとの対戦も

2024/25シーズンのACLエリートのリーグ戦組み合わせ抽選が行われ、マレーシアから出場するジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、韓国リーグ王者の蔚山HDなどの対戦が決まっています。

8月16日にマレーシアにアジアサッカー連盟(AFC)の本部があることから、クアラ・ルンプールのインターコンチネンタルホテルで行われた組み合わせ抽選の結果、JDTはホームでの4試合の相手が蔚山HD、浦項スティーラーズ(いずれも韓国)、上海申花(中国)、ブリーラム・ユナイテッド(タイ)、アウェイでの4試合の相手が光州FC(韓国)、山東泰山(中国)、ポートFC(タイ)、セントラルコーストマリナーズ(オーストラリア)に決定しています。

この8試合の内、マレーシア国内で注目が集まっているのはJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで開催される蔚山HDとの対戦です。この試合が昨季の韓国1部リーグのチャンピオンとの対戦という好カードであることに加え、蔚山HDの監督が、先月7月16日にマレーシア代表監督を辞任したばかりのキム・パンゴン(金判坤氏であることが、関心を集めている理由です。

2022年1月にマレーシア代表監督に就任したキム氏は、昨年2023年11月に契約を更新し、AFCアジアカップ2027予選を終える2025年12月までマレーシア代表監督を務めるはずでしたが、個人的事情を理由に7月16日に突然辞任すると、ホン・ミョンボ(洪明甫)氏が韓国代表監督に就任したことにより空席となった蔚山HDの監督に7月28日に就任したことが発表されました。

マレーシアリーグ10連覇中のJDTと、韓国1部Kリーグ1で2連覇中で昨季までの蔚山現代からクラブ名を変更した蔚山HDはいずれも、ACLから改編されたACLエリートに出場することが決まっており、多くのマレーシア代表選手を抱えるJDTとかつての代表監督との対戦をマレーシアサッカーファンは期待していましたが、それが実現した形になります。

またJDTはタイ1部のタイリーグ1を3連覇中のブリーラム・ユナイテッドとも対戦しますが、このブリーラムにはマレーシア代表のDFディオン・コールズが在籍しており、こちらのカードもマレーシア代表サポーターにとっては注目の試合となります。

ACL2のグループ組み合わせが決定:スランゴールは韓国の強豪、全北現代と同組に

AFCカップから改編されたACL2の組み合わせ抽選も8月16日にクアラ・ルンプールのインターコンチネンタルホテルで行われ、マレーシアから出場するスランゴールFCは東地区H組に入り、韓国1部の強豪、全北現代モーターズ、ムアントン・ユナイテッド(タイ)、ダイナミック・ハーブ・セブFC(フィリピン)と同組となっています。

韓国リーグでは優勝回数最多の9回を誇り、本家のACLでは2006年と2016年の2度優勝している全北現代モーターズは、おそらくH組では頭ひとつ抜けた存在です。各組の上位2位がノックアウトステージ進出となることから、スランゴール、ムアントン・ユナイテッド、セブFCの3チームが9月17日に第1節が行われるグループステージでH組2位をかけて争うことになりそうです。

多くのクラブは財政難で今月のトランスファーウィンドウでは戦力増強見送りか

マレーシア1部のマレーシアスーパーリーグ(MSL)では、今月8月26日から9月22日にかけて今年2度目のトランスファーウィンドウが開きます。リーグ首位のジョホール・ダルル・タジムFCはこのトランスファーウィンドウに先立ち、来月開幕するACLエリートに向けて、既に複数の選手の獲得を発表しています。

しかし、その一方で今季のMSLでは、クダ・ダルル・アマンFC(JDT)が選手への給料未払いで勝点3を、またKLシティFCは給料未払いに加えて、クラブライセンス申請の際に税金滞納を隠す書類の改ざんを行なったことで勝点6をそれぞれ剥奪される処分を受けています。またこの両クラブ以外にも給料未払いの問題を抱えるクラブはサバFCなど複数あるとされています。そしてこの状況下では、今回のトランスファーウィンドウでも多くのMSLクラブが新規外国籍選手を積極的に獲得する動きは見せないだろうと、英字紙ニューストレイツタイムズが報じています。

JDTは既に、タイ1部ラーチャブリーFCから韓国出身DFパク・ジュンホン(朴俊炯)、フランス出身のFWエンツォ・ロンバルド(スペイン2部SDウェスカから加入)、スペイン生まれでスペイン1部と2部もプレー経験があるアゼルバイジャン代表DMFエディ・イスラフィロフ(アゼルバイジャン1部ネフチ・バクーから加入)、スペイン出身のDMFイケル・ウンダバレナ(スペイン2部CDレガネスから加入)、そしてスペインとマレーシア両方の国籍を持つ18歳のGKクリスチャン・アバド(スペイン2部エルチェCF U19から加入)と5名の選手の加入を発表していますが、他のクラブでは、現在リーグ2位のスランゴールFCがヨルダン代表FWアリ・オルワン(カタール1部アル・シャマルSCより加入)の獲得を発表したくらいしかありません。

マレーシア国内で代理人業務を行うアクション・フットボール・アジア社のエフェンディ・ジャガン・アブドラ代表は、ニューストレイトタイムズの取材に対して、現在、マレーシア国内の多くのクラブは、新規の外国籍選手を獲得する際に発生する少なくとも3万から4万リンギ(1リンギはおよそ33円)の給料に加えて、1ヶ月分の給料にあたるサイニングフィー、代理人の手数料、マレーシアまでの航空券や、マレーシアでの住宅費など諸々の費用を支払う余裕がないと話しています。さらに新たな選手を獲得する際に、既存の選手との契約を打ち切るとなれば、最低でも給料3ヶ月分の補償金の支払いも必要になることから、今回のトランスファーウィンドウは静かなものになると予想していると話しています。

20年以上に渡り代理人業務を行なっているエフェンディ氏は、プレシーズンマッチなどで獲得候補の選手の実力を見極める時間があるシーズン前のトランスファーウィンドウと比べると、そういった時間を取ることができないシーズン途中のトランスファーウィンドウでいわゆる「はずれ」の選手を獲得するリスクがあることにも言及しています。

「シーズン中のトランスファーウィンドウでは、チームの弱点を補い、期待に応えられるような良い選手を撮らねばならないが、そのためには事前の情報収集が欠かせない。例えば実績がある選手であっても、長期間プレーしていない選手などは獲得してもリスクが大きい可能性がある」と述べたアフェンディ代表は、シーズン途中のトランスファーウィンドウが始まってから選手を探すようならば、むしろ選手獲得を検討しない方が良いとも述べてます。

8月16日のニュース・ACLのポット分けが発表:ACLE出場のジョホールはポット1、ACL2出場のスランゴールはポット2へ・エンドリックが自身のSNSでジョホールからの移籍を明らかに・クランタンは元今治FCのバルデマール・ティーとの契約を解除

ACLのポット分けが発表:ACLE出場のジョホールはポット1へ、ACL2出場のスランゴールはポット2へ

アジアサッカー連盟(AFC)は今季2024/25シーズンから、ACLをACLエリート(ACLE)へ、それに次ぐAFCカップをACL2へとそれぞれ改変し、さらに3番目のカテゴリーとしてAFCチャレンジリーグ(ACGL)を新設しています。この3大会についての組み合わせ抽選は今週金曜日8月17日に行われますが、それに先立ってポット分けが発表されています。

ACLEへマレーシアからは国内リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が出場しますが、JDTはと同じヴィッセル神戸、蔚山現代(韓国)、上海海港(中国)、 ブリーラム・ユナイテッド(タイ)、 セントラル・コースト・マリナーズ(オーストラリア)東地区ポット1に入っています。

またACL2には現在、国内リーグ2位のスランゴールFCが出場しますが、ポートFC(タイ)、 シドニーFC(オーストラリア)、ナムディンFC(ベトナム)と同じ東地区ポット2に入っています。なおACGLへのマレーシアからの出場はありません。

ACLEの組合せ抽選会では、東地区ポット1の6チームにD1、D2、E1、E2、F1、F2のいずれかに、また東地区ポット2の6チームはD3、D4、E3、E4、F3、F4のいずれかに入り、各チームは異なるアルファベットの8チームと対戦します。なお、抽選では同じ国のチーム同士は対戦しないような配慮しながら、それぞれ地区内のチームとホーム4試合、アウェイ4試合の合計8試合を実施し、上位8チームが決勝トーナメントに進出します。なおACLEの第1節は9月16日から18日にかけて行われます。

エンドリックが自身のSNSでジョホールからの移籍を明らかに

マレーシアリーグで5年以上プレーした後にマレーシア国籍を取得、マレーシア代表チームでもプレーするブラジル出身の帰化選手エンドリック・ドス・サントスは、ベトナム1部のホーチミン・シティFCへの移籍が濃厚とされていますが、所属するジョホール・ダルルFCを離れることを、自身のSNSで発表しています。

エンドリック選手は、2023年から所属するJDTのオーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イブラヒム殿下やチームメート、そしてJDTサポーターへ感謝の言葉を述べるとともに、今回はローン移籍であることから、再会を望んでいるという言葉でSNSへの投稿を締め括っています。また、この投稿にはベルグソン・ダ・シルヴァ、アリフ・アイマン、マシュー・デイヴィーズ、フランシスコ・ジェラルデスらJDTの選手たちも反応し、新天地での幸運を祈るメッセージを送っています。

今回の移籍についてJDTのアリスター・エドワーズCEOは、今回のローン移籍がエンドリック選手にとって有意義なものになり、将来はJDTにとっても良い結果をもたらすことを願っているというメッセージをクラブ公式SNSに投稿しています。

クランタンは元今治FCのバルデマール・ティーとの契約を解除

今季2024/25シーズンの第8節を終えて1勝7敗、得点4失点18で最下位の13位となっているクランタン・ダルル・ナイムFCは、ギニアビサウ出身で元今治FCのFWバルデマール・ティーとの契約解除をクラブ公式SNSで発表しています。

2022年1月に今治FCを退団後、いずれも中国の青島西海岸、延辺龍頂でプレーした後、今季からクランタンでプレーしていた26歳のティー選手は、リーグ戦8試合(7試合先発)、FAカップ1試合(1試合先発)と今季全ての試合に出場していますが、ゴールはありませんでした。なおクランタン退団後は、ティー選手はリビア1部のアル・タハディSC (ベンガジ)へ移籍しています。

クランタンは、今季、既にコンゴ民主共和国出身でU20などでプレー経験があるFWチャドラック・ムズング・ルコンベとの契約も解除しており、ティー選手はクランタンを退団する2人目の選手となっています。なおクランタンの経営陣は、今季ここまで1勝のチーム状況を打開するために大幅な選手の入れ替えを行うことを発表しています。

8月15日のニュース・Mリーグ最高価値のジャリルエリアスはジョホールからベレス・サルスフィエルドへローン移籍・ジョホールは元スペイン年代別代表MFイケル・ウンダバレナ・マルティネスを獲得・タイでプレーする代表コンビがいずれも今季開幕戦でゴールを決める・9月のFIFAデイズで「格下」のベトナム、タイと対戦するロシアを自国内のレジェンドが批判

Mリーグ最高価値のエリアスはジョホールからベレス・サルスフィエルドへローン移籍

英字紙スターは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に今季加入したばかりのシリア代表DFジャリル・エリアスが出身国アルゼンチンのべレス・サルスフィエルドへローン移籍すると報じています。契約はバイアウト条項付きで、ローン期間は6ヶ月ということです。

今季開幕前に同じアルゼンチンのサン・ロレンソから移籍したばかりのエリアス選手は、Transfermarktでは300万ユーロ(およそ4億8400万円)と評価されており、ポルトガルの年代別代表でプレー経験があるMFフランシスコ・ジェラウデスの200万ユーロ(およそ3億2300万円)、インドネシア代表でスペイン出身のDFジョルディ・アマトの80万ユーロ(およそ1億2900万円)を抑えて、チーム内では最高の価値がつけられている選手でした。

しかし28歳のエリアス選手は、チーム内では安定したプレーを見せる38歳のベテラン、ナチョ・インサ、そして23歳で英国1部ウォルバーハンプトンU23出身のホン・ワンに次ぐ3番手という評価で、今季は5月18日に行われたMSL第2節のヌグリスンビランFC戦に先発して69分間プレーしただけでした。

JDTはマレーシアU23代表でもプレーするのストライカーのファーガス・ティエニーをタイ2部のチョンブリーFCに既にローンしており、マレーシア代表のAMFエンドリック・ドス・サントスもベトナム1部の強豪ホーチミン・シティFCへローンすることが一部で報じられています。

ジョホールは元スペイン年代別代表のDMFイケル・ウンダバレナ・マルティネスを獲得

上の記事で伝えたようにDMFのジャリル・エリアスをローン移籍させたジョホール・ダルル・タジムFCは、スペインやポルトガルでプレー経験がある元スペイン年代別代表でプレー経験があるイケル・ウンダバレナ・マルティネスをスペイン2部のレガネスから獲得してます。

スペイン生まれで29歳のイケル選手は、今月下旬に開く今年2度目のトランスファーウィンドウでJDTが選手登録する5人目の選手となることが予想されています。

スペインU16やU17代表でのプレー経験もあるイケル選手はスペイン2部では170試合に出場し、2022年からは柴崎岳選手も所属したレガネスで65試合に出場しています。昨季23/24シーズンは32試合(先発26試合)に出場し、クラブの2部優勝と1部昇格にも貢献しています。

U23代表ファーガス・ティアニーが挨拶がわりの1発-開幕戦開始1分でゴールを決めてタイデビューを飾る

ジョホール・ダルル・タジムFCのU23チーム、JDT IIからタイ2部のチョンブリーFCに移籍したマレーシアU23代表FWファーガス・ティアニーがデビュー戦でゴールを決めています。

タイリーグ2部は8月9日に2024/25シーズンが開幕しましたが、チョンブリーFCにローン移籍した21歳のティアニー選手は、ホームでのスパンブリーFCとの開幕戦で先発出場すると開始からわずか1分で挨拶がわりの一発を決めて、強烈なデビューを飾っています。

ティアニー選手とタイU23代表でもプレーする19歳のヨツァコーン・ブラパとのツートップが機能したこの試合は、この後も3点を追加したチョンブリーFCが4−0で勝利し、1シーズンでの1部復帰に向けて好スタートを切っています。

チョンブリーFC対スパンブリーFCのハイライト映像。タイリーグ公式YouTubeチャンネルより。
タイ1部リーグ開幕-代表DFディオン・コールズが開幕戦でゴールを決める

タイ1部リーグは8月9日に2024/25シーズンが開幕し、リーグ4連覇を狙うブリーラム・ユナイテッドは開幕戦で今季1部に昇格したノーンブワ・ピッチャヤFCと対戦し、マレーシア代表DFディオン・コールズのゴールを含めて4-0と圧勝しています。

開始10分にディオン・コールズのヘディングシュートで先制したブリーラムでしたが、前半終了間際に相手GKがペナルティエリアの外で手でボールに触れて一発レッドとなると、数的有利になった後半には一気に3ゴールを挙げて勝利しています。

今季からブリーラムの指揮を取るオスマール・ロス・ヴィエイラ監督は、シーズン開幕戦の難しさがある中、勝利を飾ったチームに手応えを感じたのか、2年ぶりの国内三冠を達成できる「パーフェクトトチーム」であると自信を見せていました。

ノーンブワ・ピッチャヤFC対ブリーラム・ユナイテッドのハイライト映像。タイリーグ公式YouTubeチャンネルより
9月のFIFAデイズで「格下」のベトナム、タイと対戦するロシアを自国内のレジェンドが批判

ベトナムサッカー協会は、9月5日から10日にかけてのFIFA国際マッチデー期間にハノイでタイ代表、ロシア代表との3カ国対抗戦を開催することを発表しています。またロシアサッカー協会(RFU)も今年の9月と10月に東南アジアで国際親善試合を行うことを発表しています。

しかし、ロシア国内ではベトナムサッカー協会の招待を受け、「格下」と見られるタイやベトナムとの対戦を決めたRFUに対して批判的な声が出ていると、サッカー専門サイトのマカン・ボラが伝えています。

批判をしているのは元ロシア代表MFとして50試合に出場し、ストラスブルグやカーン(いずれもフランス)、ベンフィカ(ポルトガル)そしてスペイン1部セルタ・デ・ビーゴなどでプレーしたアレクサンドル・モストヴォイ氏で、FIFAランキング33位のロシア代表が同101位のタイや同115位のベトナムと対戦するのは全く相応しくないと述べています。

モストヴォイ氏は「そういった(タイやベトナムの)名前を聞くのは可笑しな気がする。そういったチームとの対戦は全く無意味だ。ロシア代表はどんな相手と試合をしても良いが、たとえFIFAによって国際大会への出場停止処分を受けているとはいえ、プライドを持つべきだ。」とソビエト・スポーツの取材に応えたということです。

ロシアのウクライナへの侵攻により2022年3月1日に、FIFAおよびUEFAは代表チームおよびクラブチームを問わず、すべてのロシアチームをFIFAおよびUEFAの両方の大会への参加を停止することを決定しています。

ベトナムでの3カ国対抗戦に出場するロシアは、9月5日にベトナムと、9月7日にはタイと対戦します。この他、ベトナムとタイは9月10日に対戦することも発表されています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第8節の結果とハイライト映像・スランゴールはファイサル・ハリムの今季初出場を勝利で飾る・PDRMは鈴木ブルーノの決勝ゴールで5試合ぶりの勝利

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第8節が8月9日から8月11日にかけて開催されています。

なお今季のMSLは13チームで編成されており、第8節はペラFCの試合はありません。また次節第9節は、8月13日(火)から17日(土)に予定されています。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。

前節引き分けのジョホールはベルグソンの今季2度目のハットトリックでクダに圧勝

MSL2024/25 第8節
2024年8月9日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 6-0 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ3(8分、36分、64分)、フェロズ・バハルディン(74分)、ムリロ・エンリケ(75分)、アフィク・ファザイル(79分)
🟨ジョホール(0)、🟨クダ(2)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジムFC)

前節ではPDRMを相手に引き分け、開幕からの連勝が7で止まったジョホールが、FAカップ準決勝では接戦を演じたクダに圧勝しています。この試合の立役者は、早くくも今季2度目のハットトリックを記録した「ゴール・マシーン」のベルグソン・ダ・シルヴァですが、ジョホールのエクトル・ビドリオ監督は途中出場の選手も含めたチーム全体の勝利であると話し、ベルグソン選手の活躍は目を見張るものの、彼一人に依存するチームではないことを強調しています。

またクダのナフジ・ザイン監督は試合後の会見で、6失点するほどチーム力の差はないとしながらも、ハビブ・ハルーン、ソニー・ノルデら主力選手を欠くチームの現状を考えると順当な結果であったと分析する発言を残しています。

給料未払い問題により開幕の時点で勝点3を剥奪されたクダですが、先日のFAカップ準決勝終了後に「この国で5年間プレーしてきたが、審判の質の低さに毎度失望する」と発言して、マレーシアサッカー協会(FAM)の懲罰委員会の出頭を求められているキャプテンのソニー・ノルデの問題など、クダは今後も苦しいシーズンを送ることになりそうです。

スリ・パハンは開幕戦以来の勝ち星を逃す

MSL2024/25 第8節
2024年8月9日@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 2-3 サバFC
⚽️スリ・パハン:クパー・シャーマン2(6分、48分)
⚽️サバ:ジャフリ・フィルダウス・チュウ(18分)、ファルハン・ロスラン(26分)、ダニエル・ティン(35分)
🟨スリ・パハン(4)、🟨サバ(3)
MOM:カイルル・ファーミ(サバFC)

従来の本拠地であるダルル・マクムル・スタジアムが改修工事中のため、今季はそこから120キロ以上離れたテメルローのMBTスタジアムでの試合を強いられているスリ・パハンは、今季開幕戦で勝利を挙げて以降は3分3敗と勝利がありません。この試合では3試合ぶりに出場したクパー・シャーマンのゴールで先制したものの、前半だけで3失点して逆転を許して敗れています。過去6試合でわずか3得点と苦しむチームにシャーマン選手が戦列復帰したことは良いニュースですが、2位のスランゴールと引き分ける一方で、12位のヌグリスンビランに敗れる不安定さの解消が課題となりそうです。

マレーシア代表MFスチュアート・ウィルキンの他、CBガブリエル・ペレス、MFミゲル・シフエンテスなど主力にケガ人を抱えながらもサバは逃げ切って4位に浮上しています。

スランゴールはファイサル・ハリムの今季初出場を勝利で飾る

MSL2024/25 第8節
2024年8月10日@MBPJスタジアム(スランゴール州クラナ・ジャヤ)
スランゴールFC 2-0 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️スランゴール:ロニー・フェルナンデス2(66分、86分PK)
🟨スランゴール(2)、🟨クランタン(4)
MOM:ロニー・フェルナンデス(スランゴールFC)

首位ジョホールとこれ以上離されるわけにはいかないスランゴールは、アウェイでは勝点1で十分と引き気味の相手に攻めあぐね、今季のスランゴールを象徴するような試合は前半を0−0で折り返しました。後半に入っても好機を作りながらもシュートに至ら図、スランゴールにとっては嫌な展開となる中、ロニー・フェルナンデスが65分、85分(PK)とゴール挙げ、スランゴールが辛勝しています。

今年5月に酸攻撃を受け、皮膚移植手術やリハビリを経て、先週のFAカップで今季初のベンチ入りを果たしたファイサル・ハリムがこの試合もベンチ入りしました。この試合はスタンドで観戦しましたが、試合途中でアップを始めると、最下位のクランタン相手で満員とはなっていなかったもののスタジアム全体が高揚感に包まれ、87分に交代出場のためにピッチ横に立った際には大歓声が上がり、ロニー・フェルナンデスに代わってピッチに立つとサポーターがファイサル・ハリムの応援歌を歌って復帰を祝う様子は感動的ですらありました。

試合ではマスクをつけてプレーしたファイサル選手ですが、そのマスクは日本の東大にあたるマラヤ大学医学部と企業が共同で開発したカーボンファイバー製で、まだ完治していない神経部や傷を覆いながらも軽く快適なものになっているということです。(写真はマスクを着用したファイサル選手、写真は英字紙スターより)

泣きっ面に蜂-零敗のKLシティには勝点6剥奪が決定

MSL2024/25 第8節
2024年8月10日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 0-2 トレンガヌFC
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(45+13分)、サファウィ・ラシド(70分)
🟨KLシティ(1)、🟨トレンガヌ(2)
MOM:サファウィ・ラシド(トレンガヌFC)

クチンシティは無敗記録を5に伸ばすもホームで勝点3ならず

MSL2024/25 第8節
2024年8月11日@サラワク州立スタジアム(クアラ・ルンプール)
クチンシティFC 2-2 ペナンFC
⚽️クチンシティ:ザールル・ニズワン(70分)、チェチェ・キプレ(78分)
⚽️ペナン:ネト・オリヴェイラ(36分)、ロドリゴ・ディアス(41分)
🟨クチンシティ(2)、🟨ペナン(2)
MOM:シーク・イズハン(ペナンFC)

均衡が破れたのは36分でした。ニック・アキフからのパスを受けたネト・オリヴェイラがゴールを決めてペナンが先制します。さらにその5分後にはロドリゴ・ディアズがネトのプリーキックをダイレクトボレーで合わせてゴールを挙げ、ペナンが2−0とリードします。

後半に入るとホームのクチンシティはギアを上げ、70分にはザールル・ニズワン、さらに78分にはチェチェ・キプレがゴールを決めて同点に追いつきますが、この試合のMOMにも選ばれたペナンGKシーク・イズハンの好守などもあり、逆転するには至らず、ホームで勝点1を獲得するにとどまっています。

クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

PDRMは鈴木ブルーノの決勝ゴールで5試合ぶりの勝利

MSL2024/25 第8節
2024年8月11日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 1-2 PDRM FC
⚽️ヌグリスンビラン:バラトクマル・ラマルー(45分)
⚽️PDRM:シャーレル・フィクリ(53分)、鈴木ブルーノ(58分)
🟨ヌグリスンビラン(1)、🟨PDRM(0)
MOM:フェイス・フライデー・オビロール(PDRM FC)

現在3連敗中のヌグリスンビランはホームにPDRMを迎えた試合は、PDRMが試合開始から優勢となる中、前半終了間際にヌグリスンビランが先制します。PDRMのキャプテン、フェイス・フライデーが自陣ゴール前のボールを中途半端にクリアすると、そのボールはヌグリスンビランFWバラトクマル・ラマルーの足元へ。これを躊躇せず蹴り込んだバラトクマル選手のゴールでヌグリスンビランがリードを奪い前半を終了します。

しかし後半の53分にシャーレル・フィクリのゴールで追いついたPDRMは、その5分後に逆転します。ファディ・アワドのパスがDFラインの裏に抜け出した鈴木ブルーノに通ると、鈴木選手はこれをすかさずシュートするも、ヌグリスンビランGKがブロックします。しかしこのこぼれ球に詰めていた鈴木選手がこれを押し込みます。これが決勝ゴールとな李、PDRMは5試合ぶりの勝利を挙げ、ヌグリスンビランは今季すでに6敗となっています。

ヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発してフル出場し、PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して、80分に交代しています。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第8節終了)
順位チーム勝点
1JDT82271028424
2SEL8165121477
3TRE7144211284
4SAB71341211110
5KCH81125112102
6PEN810242981
7PDRM7822379-2
8*KDA77313610-4
9PRK762051013-3
10SRP76133611-5
11#KLC75322981
12NSE73106617-11
13KDN83107418-14
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第8節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT9
2ロニー・フェルナンデスSEL5
3ヘベルチ・フェルナンデスJDT4
パウロ・ジョズエKLC4
ジョーダン・ミンターKCH4
6チェチェ・キプレ他5KCH3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC

8月11日のニュース・マレーシア代表ウルトラスがムルデカ大会のボイコットを表明・W杯アジア最終予選のパレスチナ対ヨルダン戦は中立地のクアラ・ルンプールで開催

マレーシア代表ウルトラスがムルデカ大会の応援ボイコットを表明

ムルデカ大会は、1957年にマレーシアの前身であるマラヤ連邦が英国から独立したことを記念して始まった国際招待大会です。今年開催される第43回大会には、開催国のマレーシアの他、レバノン、タジキスタン、フィリピンが参加し、来月9月4日に準決勝2試合が、また9月8日には決勝と3位決定戦がクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で予定されています。

このムルデカ大会まであと1ヶ月と迫り、チケット販売も始まる中、マレーシアの通信社ブルナマは、マレーシア代表の複数のウルトラス団体がムルデカ大会をボイコットすることを表明し、これがSNS上でさまざまな反応を引き起こしていると報じています。

大会ボイコットを表明したのはヌグリスンビラン州、パハン州、ペナン州そしてクアラ・ルンプールのウルトラス団体で、いずれの団体もその理由としてマレーシアサッカー協会(FAM)への不満を挙げています。

また各州のウルトラス団体とは別に、最大のウルトラス団体「ウルトラス・マラヤ」も「現在、病んでいるFAMは今後も病み続けるだろう。治療は不要だ。スタジアムを空にせよ。ムルデカ大会のクルヴァ(Curva)を閉鎖せよ。」というメッセージを#ResetBolasepakMalaysia「マレーシアサッカーをリセット」という内容のハッシュタグともにSNSに投稿しています。

またペナン州のウルトラス「ウルトラス・パンサーズ」は、先月7月に突然辞任したキム・パンゴン前代表監督の問題や、酸攻撃を受けたファイサル・ハリム選手ら一連の代表選手襲撃事件のいずれについてもFAMの対応に共感が得られないことから、ムルデカ大会での応援ボイコットという結論にたどり着いたこと説明しています。

またクアラ・ルンプール・ウルトラスも、FAMによる運営のせいてマレーシア国内のサッカーに様々な問題起こっていることを明らかにしたいとして、ボイコットを表明しています。

ブルナマの記事では、実際にボイコットが実施されれば、昨年、優勝を逃し、王者奪還を目指すマレーシア代表にとっては大きな痛手になるだろうとしている他、キム前監督辞任を受け、ムルデカ大会で指揮を取るポー・マルティ監督代行もサポーターにスタジアムを満員にして欲しいと懇願していると報じています。

一方、マレーシアサッカー協会(FAM)のノー・アズマン・ラーマン事務局長は、マレーシア代表のサポーター団体ウルトラスが来月開催予定のムルデカ大会のボイコットを表明していることに対して、再考を求めたいと述べています。

代表チームを応援するウルトラスの存在は欠かせないと話したノー・アズマン事務局長は、今回のムルデカ大会はマレーシア代表のFIFAランキングポイントを獲得するために欠かせない大会であることも踏まえ、全てのサポーターの応援が必要であると説明しています。

W杯アジア最終予選のパレスチナ対ヨルダン戦は中立地のクアラ・ルンプールで開催

マレーシアサッカー協会(FAM)は、9月10日に2026年W杯アジア3次予選のパレスチナ対ヨルダン戦がKLフットボールスタジアムで開催されることを発表しています。

パレスチナサッカー協会(PFA)は、昨年10月以来続いている紛争により、国内で2026年W杯アジア3次予選のB組の第2節、ホームのヨルダン戦の開催が難しいとして、この試合をを開催する中立地を探していたということです。そこでFIFA評議会メンバーでもあるマレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長がマレーシアで中立会場を提供し、今回、FAMとPFAの間で合意に達したということです。

2026年W杯アジア3次予選に進出したでパレスチナは、ヨルダンの他、韓国、イラク、オマーン、クウェートとともにB組に入っています。

なおマレーシアはこれまでも、2018年W杯予選プレーオフで中立地となり、2017年10月5日にマラッカのハン・ジェバ・スタジアムでシリア対オーストラリア戦の第1戦を開催したことがあります。

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マレーシアは親パレスチナ、反イスラエルを明確に打ち出している国で、今月8月4日にもクアラ・ルンプールで、パレスチナのイスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者暗殺を非難し、パレスチナへの連帯を示す政府主催の大規模集会が開かれたばかりでした。またこの集会では、5月に訪問先のカタールでハニヤ氏と会談したことを明らかにしていたアンワル・イブラヒム首相は1万人以上の参加者を前に「マレーシアはパレスチナの闘いを支援するため最善を尽くす」と述べ、協力を惜しまない考えを強調していました。

イスラム教徒が多数派のマレーシアではハマスへの同情論が強く、イスラエルを支援していると見なされた米欧企業の製品の不買運動も起きています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第7節の結果とハイライト映像

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第7節が7月30日から8月1日にかけて開催されています。

なお今季のMSLは13チームで編成されており、第7節はクダ・ダルル・アマンFCの試合はありません。また次節第8節は1週間開けて、8月9日(火)から11日(木)に予定されています。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。

クチンシティが今季アウェイで初勝利

MSL2024/25 第7節
2024年7月30日@ペラ・スタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 1~2 クチンシティFC
⚽️ペラ:ワン・ザック・ハイカル(7分)
⚽️クチンシティ:ジョーダン・ミンター(69分)、チェチェ・キプレ(77分)
🟨ペラ(1)、🟨クチンシティ(2)
MOM:ジョーダン・ミンター(クチンシティFC)

今季のアウェイマッチはここまで2分1敗だったクチンシティがペラを破り、今季初のアウェイ勝利を挙げています。

先制したのはペラでした。前節のクランタン・ダルル・ナイム戦で2ゴールを挙げていたルチアーノ・グアイコチェアをケガで欠く中、元琉球FCのベテラン、キャプテンのワン・ザック・ハイカルが7分に、自身今季2点目となるゴールをペナルティーエリアの外から決めて先制します。これに対してクチンシティは反撃を試みますが得点には至らず、前半はペラのリードで終了します。

後半開始早々にクチンシティのアイディル・シャリン監督が動き、シャミー・イスズワンに代えてペトラス・シテムビを投入すると、これが功を奏し、クチンシティが徐々に試合をコントロールし始め、69分にはコーナーキックからジョーダン・ミンターがヘディングシュートを決めて同点とします。そして77分にはチェチェ・キプレがゴール前に出たボールをペラGKラマダン・ハミドをかわす絶妙なチップシュートを決めて逆転すると、その後のペラの反撃に持ちこたえたクチンシティは、今季アウェイ初勝利を挙げ、一方のペラはまたもホーム初勝利を逃しています。

クチンシティの谷川由来選手は、先発してフル出場しています。

先発復帰のサファウィとアキヤがゴールを挙げたトレンガヌが逃げ切り

MSL2024/25 第7節
2024年7月30日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 3-2 ヌグリスンビランFC
⚽️トレンガヌ:サファウィ・ラシド(45+2分)、ナビーク・チュクー・チジョケ(49分)、アキヤ・ラシド(59分)
⚽️ヌグリスンビラン:ミゲル・マルティネス(69分)、ジャック・フェイ(77分)
🟨トレンガヌ(1)、🟨ヌグリスンビラン(1)
MOM:ジャック・フェイ(ヌグリスンビランFC)

ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は先発して、88分に交代しています。

クラブ最多ゴール記録に並ぶパウロ・ジョズエのゴールなどでKLシティが快勝

MSL2024/25 第7節
2024年7月31日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 3-0 サバFC
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(分)、ザフリ・ヤハヤ(69分)、コ・グアンミン(45+5分OG)
🟨KLシティ(2)、🟨サバ(0)、🟥サバ(1):ラウィルソン・バトゥイル
MOM:パウロ・ジョズエ(KLシティFC)

スランゴールは10人のスリ・パハン相手に痛い引き分け

MSL2024/25 第7節
2024年7月31日@MPTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 1-1 スランゴールFC
⚽️スリ・パハン:ステファノ・ブルンド(43分)
⚽️スランゴール:アルヴィン・フォルテス(3分)
🟨スリ・パハン(24)、🟨スランゴール(1)、🟥スリ・パハン(1):ミコラ・アハポフ
MOM:ステファノ・ブルンド(スリ・パハンFC)

PDRMがジョホールの開幕からの連勝を6で止める

MSL2024/25 第7節
2024年7月31日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC1-1 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️PDRM:シャーレル・フィクリ(22分)
⚽️ジョホール:オスカル・アリバス(33分)
🟨PDRM(2)、🟨ジョホール(1)
MOM:ノー・ハキミ・ハムダン(PDRM FC)

PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、90+3分に交代しています。

ホーム今季初勝利のペナンは7位浮上、敗れたクランタンは最下位転落

MSL2024/25 第7節
2024年8月1日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 3-0 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️ペナン:ロドリゴ・ディアス(12分)、ニック・アキフ・シャヒラン(34分)、ラファエル・ヴィトール(75分)
🟨ペナン(2)、🟨クランタン(1)
MOM:ラファエル・ヴィトール(ペナンFC)

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第7節終了)

順位チーム勝点
1JDT71961022418
2SEL7134121275
3KLC611321963
4TRE6113211082
5KCH7102411082
6SAB61031289-1
7PEN79232761
8*KDA67312642
9PRK762051013-3
10SRP6613248-4
11PDRM6512358-3
12NSE63105515-10
13KDN73106416-12
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。

8月6日のニュース・ライセンス申請に虚偽書類提出のKLシティに罰金と勝点剥奪など処分・酸攻撃から復帰のファイサル・ハリム-キム前代表監督の言葉が励みに

ライセンス申請に虚偽書類提出のKLシティに罰金と勝点剥奪などの処分 

今季の国内クラブライセンスおよびAFCクラブライセンス申請の際に虚偽の書類を提出したとして、ライセンス発給を行う第一審機関(FIB)は、マレーシアスーパーリーグのKLシティFCに対して勝点剥奪や罰金を含む厳重処分を発表しています。

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)からライセンス発給を委託されている独立機関のFIBの発表によると、KLシティFCは、国内クラブライセンス申請については2023年6月30日の時点で、またAFCクラブライセンス申請については2023年12月31日の時点で、所得税の他、雇用主に義務付けられている従業員積立金(EPF)と労働災害保険(SOCSO)の未納がないと申告していました。

しかしKLシティFCを運営するKLユナイテッドFC社のサイド・ヤジド社長が未払い給料問題とともに虚偽内容があることを明らかにし、これに基づいてFIBが行った今回の再調査により、実際には所得税、EPF、SOCSOの未納といった虚偽内容が含まれていることが明らかになっています。

処分内容は、国内クラブライセンス申請の違反行為に対して勝点6の剥奪、罰金5万リンギ(およそ164万円)、今季2024/25シーズン中の新規選手獲得禁止、またAFCライセンス申請の違反行為に対しては罰金5万リンギ(およそ160万円)、2023/24シーズンのAFCライセンス取り消し、2024/25および2025/26シーズンのAFCライセンス申請禁止となっています。

今季第6節を終えて、勝点11を挙げているKLシティFCは現在3位となっていますが、給料未払い問題を抱えているクラブにとっては、総額10万リンギ(およそ320万円)の罰金は重荷となるだけでなく、今月下旬に開く今年2度目のトランスファーウィンドウで、主力選手が流出する辞退も考えられます。

酸攻撃から復帰のファイサル・ハリム-キム前代表監督の言葉が励みに

5月5日に酸をかけられたスランゴールFCのファイサル・ハリムは、複数回の皮膚移植手術やリハビリを経て、8月3日のFAカップ準決勝で今季初のベンチ入りを果たしました。トレンガヌFCを相手に4−1と勝利した試合では出番はなかったものの、数ヶ月に及んだ回復への道の途中では、前マレーシア代表監督のキム・パンゴン氏からの励ましの言葉が励みになったと話しています。

8月3日の試合後にメディア向けのビデオインタビューでファイサル選手は、7月に個人的な理由を挙げて代表監督を辞任したキム前監督がマレーシアを去る前にメッセージが伝えられたと話しています。

「キム前監督がマレーシアを去ることを知っていたので、彼にメッセージを送ると、『将来、何があるか分からないが、我々は常に最善を尽くすべきだ。そして立ち上がれば、将来には最高になれる』という返信を受け取った。」

「私はその言葉を信じ、立ち上がって素晴らしい選手になるよう努力するつもりだ。マレーシアの人々の祈りがあれば、私は何にも負けないということをマレーシアに証明したい。」と語っています。

さらにファイサル選手は「現在の私の状況は普通ではないかもしれないが、再び実力を発揮できると自分自身は感じており、その後の状況次第では、セランゴールFCや代表チームでプレーしたいと思っている。チームメイトやマレーシア国民、スランゴールFCサポーターからの支援に心が動かされ、これからもサッカーをするために戦い続ける」という決意も表明しています。