2025/26ACL試合結果とハイライト映像<br>・ACLエリート リーグステージ第3節:ジョホールは今季初勝利-アウェイで成都蓉城に快勝<br>・ACL2 グループステージ第3節:スランゴールはインドネシア王者に敗れて3連敗

ACLエリート リーグステージ第3節:ジョホールは今季初勝利-アウェイで成都蓉城に快勝

2025/26シーズンのACLエリート(ACLE)は今節がリーグステージ第3節。第1節でブリーラム・ユナイテッド(タイ)に敗れ、第2節ではACLE初出場の町田ゼルビア相手にホームでスコアレスドローと、今季ここまで勝ち星がないジョホール・ダルル・タジムFC。第3節ではここまで1勝1敗、そして現在は国内リーグ2位の成都蓉城とアウェイで対戦しています。

以下はこの試合の両チームの先発XI。ジョホールは前節ACLE初出場を果たしたマレーシア代表GKシーハン・ハズミがベンチスタートとなり、これまでACLEでジョホールゴールを守ってきたアンドニ・ズビアウレが先発復帰しています。この他はFWジャイロがFWベルグソンに代わっていますが、残る9名は町田戦から変わっていません。

一方韓国出身のソ・ジョンウォン監督率いる成都蓉城は、年代別ポルトガル代表の経験がある中国帰化選手ペドロ・デルガド、英国生まれの元台湾代表ティム・チャウ、そして年代別スイス代表の経験があるミン・ヤンヤンやウェイ・シハオ、ハン・ペンフェイら中国代表選手が先発する一方で、チーム得点王のフェリペ・シウバが先発から外れています。

今季ACLエリート未勝利のジョホールですが、この試合では開始から試合をコントロールし、早くも5分にはオスカル・アリバスのゴールで先制します。中盤でハイロからのヒールパスを受けると、そのまま一気にボールをペナルティエリアまで持ち込みます。そしてGKリウ・ディアンズオの横を抜いてゴール隅にシュート。ジョホールがあっさり先制します。

その後もアヘル・アケチェ、アリフ・アイマン、ハイロらがシュートを放ちますが、追加点はならず、前半はジョホールが1点のリードで折り返します。

後半に入ってもジョホールは優勢に試合を進めルト、追加点が生まれます。62分には左サイドで成都のDF陣を振り切ったホナタン・シウバのクロスをナチョ・メンデスがボレーで蹴り込み、ジョホールはリードを広げると、成都の反撃を抑えてそのまま逃げ切り、今季のACLE初勝利を挙げています。

ジョホールは11月5日の次節第4節では、今節FCソウルに勝利してやはり今季初勝利を挙げた上海申花をホームに迎えます。

2025/26ACLエリート リーグステージ第3節
2025年10月22日@鳳凰山体育公園フットボールスタジアム(四川省成都市)
成都蓉城 0-2 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:オスカル・アリバス(5分)、ナチョ・メンデス(62分)


ACL2 グループステージ第3節:スランゴールはインドネシア王者に敗れて3連敗

今季のACL2でスランゴールが入るG組は、日中韓のチーム不在で、4チームいずれも東南アジアのチームです。そんな中で前節第2節のライオン・シティ・セイラーズ(シンガポール)戦では、Jリーグ横浜F・マリノスから移籍したアンデルソン・ロペスにまさかの4ゴールを許して敗れたスランゴール。第1節のバンコク・ユナイテッド戦でも同じく4失点と守備が崩壊し、ここまで0勝2敗です。さらにこの間、喜熨斗勝史監督が解任され、前スリ・パハンFC監督のクリストファー・ギャメル氏が監督代行に就任しています。そして迎えた10月23日の第3節では、インドネシアリーグ2連覇中のプルシブ・バンドンとアウェイで対戦しています。

そのプルシブ・バンドンを率いるのは、マレーシアのサッカーを熟知するボダン・ホヤック監督です。クランタンとジョホール・ダルル・タジムではリーグ優勝を、クアラ・ルンプールではマレーシアカップ優勝と、3つのクラブで合わせて6つの国内タイトルタイトルを獲得しています。さらにU19代表監督としてAFC U19アジア杯出場、さらに東南アジアサッカー連盟(AFF)U19選手権優勝などマレーシアでは名将の誉も高い指導者です。

またこの試合のプルシブの先発XIには昨季までペラ(既に解散)でプレーしていたルシアーノ・ゴイコチェア(リバプールの10番MFアレクシス・マック・アリスターの従兄弟としても知られています)の名前があります。またベンチにはやはり昨季までサバで4シーズンプレーした元インドネシア代表WGサディル・ラムダニも入っています。

一方のスランゴールは、今月のFIFAデイズで2ゴールを挙げるなど調子を上げてきた代表WGファイサル・ハリムを筆頭にDFクエンティン・チェン、MFノーア・ライネ、DFハリス・ハイカル、GKシーク・イズハンと各ポジションにマレーシア代表を配する布陣です。

試合はホームのプルシブ・バンドンが開始から優勢に進めます。国内リーグでは7試合で5ゴール、ACL2ではバンコク・ユナイテッド戦でもゴールを決めているウィリアム・バロスが攻撃を牽引し、スランゴールはGKシーク・イズハンが好セーブを見せるなど耐える試合展開が続きます。

試合が動いたのは29分でした。スランゴールが得たコーナーキックのクリアボールからプルシブが一気に高速カウンターを仕掛けます。マーク・クロックから前線のアダム・アリスへとボールが渡ると、アダム選手は背後のザック・クラフをあっさりかわし、1対1となったGKシーク・イズハンもかわすと落ち着いてシュート。これが決まってプルシブ・バンドンが先制し、前半はこのまま終了します。

後半に入ると、アルヴィン・フォルテス、クリゴール・モラエスらがシュートを放ちますが、プルシブGKテジャ・パク・アラムがこれを防ぎ、ゴールを許しません。

すると66分にプルシブが追加点を挙げます。それまで何度も崩されていた左サイドでボールを持つフェデリコ・バルバをハリス・ハイカルが押し倒してPKを与えてしまいます。スローの映像を見るとハリス選手がバルバ選手の足につまづいて倒れ込んでしまったようですがファウルはファウル。このPKをアンドリュー・ユングが決めてプルシブがリードを広げます。

降り頻る雨の中でこのまま試合は動かず、スランゴールはACL2で3連敗。11月6日の次節第4節では、スランゴールはプルシブをホームに迎えますが、この試合の結果次第ではスランゴールのACL2 敗退が決まってしまう可能性もあります。

2025/26ACL2 グループステージ第3節
2025年10月23日@ゲロラ・バンドン・ラウタン・ アピ・スタジアム(バンドン、インドネシア)
プルシブ・バンドン 2-0 スランゴールFC
⚽️バンドン:アダム・アリス(29分)、アンドリュー・ユング(66分PK)

この試合のハイライト映像。インドネシアのテレビ局RCTIのYouTubeチャンネルより

2025/26 ACL2 グループステージG組順位表(第3節終了)

クラブ勝点
ペルシブ・バンドン32105147
バンコク・ユナイテッド32015416
ライオン・シティ・セーラーズ31115454
セランゴール3003410-60

10月23日のニュース<br>・東南アジア競技大会のサッカー組み合わせ決定-マレーシアはベトナム・ラオスと同組に<br>・インファンティーノFIFA会長がマレーシア訪問へ

東南アジア競技大会のサッカー組み合わせ決定-マレーシアはベトナム・ラオスと同組に

東南アジア競技大会、通称シーゲームズ(SEA Games)は、東南アジア版のオリンピックとも言える総合スポーツ大会。アセアン(ASEAN、東南アジア諸国連合)の各国が持ち回りで2年ごとに開催されます。今年2025年に開催される第33回大会の開催国はタイで、男子サッカーは、開会式の12月9日に先立って12月3日より開幕します。

U22代表が対戦する男子サッカーはシーゲームズの目玉競技で、今大会は東南アジアサッカー連盟(AFF)加盟国中、ブルネイを除く10カ国が出場することが発表されています。AからCまでの3組に分かれて行う予選を経て、準決勝進出4チームを決定しますが、その予選組み合わせ抽選が10月19日に行われ、マレーシアはベトナム、ラオスと共にB組に入ることが決まりました。以下が決定した予選の組み合わせです。

A組:タイ・カンボジア・東ティモール
B組:ベトナム・マレーシア・ラオス
C組:インドネシア・フィリピン・シンガポール・ミャンマー

A組は開催国タイ、カンボジア、東ティモールの3カ国。この組は明らかにタイが頭一つ抜けています。7月の軍事衝突から双方合わせて40名以上の死者を出している国境紛争を抱えていたタイとカンボジアが同組なのは運命の悪戯ですが、数日前には両国が和平協定に合意したことが発表されています。また2002年にインドネシアから独立した東ティモールは、アセアンのメンバーではなく、これまでは「オブザーバー」という位置付けでしたが、今週末10月26日にクアラ・ルンプールで開幕するアセアン首脳会議で、正式加盟国となることが発表されています。

B組はベトナム、マレーシア、ラオスの3カ国。この組は現在、大会4連覇中のベトナムの1位通過間違いなし。なおこの組み合わせは奇しくも、現在行われているアジア杯2027年大会3次予選の組み合わせと同じです。アジア杯予選ではマレーシアがここまでベトナムに1勝、ラオスに2勝していますが、このブログでも取り上げているようにマレーシアのベトナム戦勝利は、国籍偽装疑惑が持たれているヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名の活躍のおかげです。

なおU23代表はA代表と違い、帰化選手による補強を行っていませんが、そのせいなのか今年7月に行われたアセアンU23選手権、そしてU23アジア杯予選の両大会でいずれも予選敗退しています。7月のアセアンU23選手権では、フィリピンに●0-2、インドネシアとは△0-0、ブルネイには⚪︎7-0としたものの、グループ3位で予選敗退しています。なおこのアセアンU23選手権ではベトナムが優勝しています。

また先月9月のU23アジア杯2026年大会予選では、レバノンに●0-1、タイにも●1-2、モンゴルには⚪︎7-0の結果で、やはりグループ3位で3大会連続出場がかかっていた本大会出場を逃しています。

今年1月に就任したナフジ・ザイン監督が指揮を取るU23代表は、U23アジア杯予選前にはシンガポールに0-1、クウェートは2試合を行いいずれも0-1で敗れています。A代表が今年は6勝1分、FIFAランキングも今年2月の132位から、今週10月25日発表予定の最新ランキングでは20年ぶりとなる118位になることが予想されていますが、これは年代別代表の教科ではなく、外国育ちの帰化選手に依存したA代表のいびつな補強を示しています。

C組はインドネシア、フィリピン、シンガポール、ミャンマーの4カ国。予選3組の中では最も力が拮抗している、いわゆる「死の組」です。インドネシアは前回2023年シーゲームズの優勝チーム。しかも自国開催となった7月のアセアンU23選手権で、ベトナムに0-1で敗れ2年連続の準優勝と一歩リードですが、フィリピンは同じアセアンU23選手権でベスト4、ミャンマーは前回のシーゲームズでやはりベスト4の成績を残し、決して侮れません。

予選では各組の1位3チームと2位チーム中最も成績の良い1チームが準決勝へ進出します。なおA組の試合はタイ南部のソンクラにあるティンスラーノン・スタジアムで、B組とC組の試合は北部チェンマイにある700周年記念スタジアムで試合が行われ、準決勝以降はバンコクのラジャマンガラ国立競技場が試合会場となります。


なおU22代表の対戦となった2017年大会以降の成績は以下のとおりです。ちなみマレーシアが最後に優勝したのは2011年のインドネシア大会が最後です。

開催年開催国優勝準優勝3位4位
2017マレーシアタイマレーシアインドネシアミャンマー
2019フィリピンベトナムインドネシアミャンマーカンボジア
2021ベトナムベトナムタイインドネシアマレーシア
2023カンボジアインドネシアタイベトナムミャンマー

また、同時に行われる女子サッカーは8チームが出場し、予選組み合わせではマレーシアはいずれもW杯出場経験があるベトナム、フィリピンの両国、そしてミャンマーと同じB組に入っています。A組にはタイ、インドネシア、シンガポール、カンボジアが入っています。


インファンティーノFIFA会長がマレーシア訪問へ

国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長が今週10月26日にマレーシアのクアラ・ルンプールで開幕する第47回アセアン(東南アジア諸国連合)首脳会議に合わせてマレーシアを公式訪問する予定だと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

マレーシアサッカー協会(FAM)の関係者によると、今回の訪問の目的のひとつは、東南アジアサッカー発展協定の署名式に立ち会うことだということです。なおこの協定は「東南アジアにおけるサッカーのエコシステムを強化する上で重要な一歩」だと、そのFAM関係者は説明しています。

インファンティーノ会長は公式行事への出席に加え、クアラ・ルンプールから35kmほど南下したプトラジャヤで建設中のナショナルトレーニングセンター(NTC)も訪問する予定だということです。

インファンティーノFIFA会長がマレーシアを訪れるのは今回が2度目であり、前回2019年4月の来訪時は、当時のマハティール・モハマド首相を表敬訪問するため、各国のサッカー指導者を率いていました。

今回のアセアン首脳会議は、10月26日から28日までクアラ・ルンプールで開催され、アセアン加盟10か国の首脳に加え、中国、日本、インドなど主要な対話パートナー国の首脳も出席する見込みで、アメリカのドナルド・トランプ大統領も出席するとみられています。


FIFAは、マレーシア代表としてアジア杯予選に出場しながら国籍偽装が疑われているヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名に出場停止や罰金の処分を下しています。マレーシアサッカー協会(FAM)は、この処分について、FIFAへ控訴を行っていますが、この件について、FAMとインファンティーノ会長の間で会談が行われるのかにも注目が集まっています。

10月22日のニュース:マレーシア代表7選手の国籍偽装疑惑-サッカー協会による会見が新たな波紋

10月17日発表の最新FIFAランキングで、マレーシアはインドネシアを抜き東南アジア3位に浮上。5つ順位を上げ、2005年11月以来約20年ぶりの118位を記録しました。しかし、このニュースを霞ませる記者会見が10月18日、マレーシアサッカー協会(FAM)本部で開催されました。

FAMは前日10月17日には緊急記者会見を行うことを発表し、会見当日は50名を超える記者が集まりました。そして午後3時から行われた記者会見では、FAMの事務方トップに当たるノー・アズマン・ラーマン事務局長に無期限の停職処分が科されたことが発表されています。この処分は、マレーシアサッカー界を揺るがしているヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)7名に対する国籍偽装疑惑に関連しています。

今回国籍偽装が疑われているのは、以下の7選手です。
FWジョアン・フィゲイレド
MFエクトル・へヴェル
DFジョン・イラザバル(以上ジョホール・ダルル・タジム)
FWロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)
FWイマノル・マチュカ(アルゼンチン1部ベレス・サルスフィエルド)
DFファクンド・ガルセス(スペイン1部アラべス)
DFガブリエル・パルメロ(スペイン3部ウニオニスタス・デ・サラマンカ)

この7選手全員が、6月10日に行われたアジア杯2027年大会予選ベトナム戦に出場。試合ではフィゲイレド、オルガド両選手がゴールを挙げるなど4-0で勝利し、11年ぶりのベトナム撃破に貢献しています。

しかし9月26日にFIFAの規律委員会は、ベトナム戦にこの帰化選手7名を出場させることを目的に捏造書類を提出したとして裁定を下しています。その内容は、FAMには35万スイスフラン(およそ6600万円)、7選手にはそれぞれ罰金2000スイスフラン(およそ38万円)と12カ月間の出場停止処分という重い処分でした。

さらに10月6日にFIFAの規律委員会は「決定の根拠に関する通知」と題された公式報告書を発表。その中でFIFAが入手した7選手の実際の出生証明書がFAMが提出した書類と一致しないと説明しています。そして「公式文書の偽造および改ざんに関するFIFA懲戒規定第22条違反」に抵触しているとしました。

この処分に対してFAMは、当初提出した書類には事務手続き上の「軽微なミス」があったことは認めています。その上で、10月14日にFIFAに対して正式に控訴を行いました。この控訴結果は10月30日にFIFAから発表される予定となっています。

10月18日に行われた会見では、FAMが任命した法律顧問でジュネーブを拠点とするスポーツ弁護士セルジュ・ヴィットーズ氏が説明を行いました。ヴィットーズ氏は「FAMや選手による偽造は一切ない」と主張する一方で、仮に不正があったとしても、それは「問題の当事者」によるものだと述べたものの。その人物の名指しは避けています。

また同じくこの会見には、マレーシア代表チーム運営部門のロブ・フレンド最高経営責任者(CEO)も出席しました。フレンドCEOは運営部門の役割を以下のように説明しました。

「私とピーター・クラモフスキー代表監督は、選手を技術的な観点からのみ評価し、選手登録の書類作成や管理は一切行っていない。なぜならそれはFAMと関係政府機関の管轄だからだ。」

なおクラモフスキー監督は10月9日のアジア杯予選ラオス戦後会見で以下のように話しています。

「トゥンク・イスマイル殿下には多くの否定的な意見が出ているが、それは公平ではない。殿下は先見の明があるリーダーであり、殿下がいなければ、マレーシアサッカーはとうの昔にだめになっていただろう。」

「マレーシアの(アンワル・イブラヒム)首相から資金提供を引き出したり、政府からの支援を引き出したの一体誰なのか。イスマイル殿下その人であり、マレーシアサッカー協会ではない。国内サッカーのレベルを上げてきたのは誰なのか、代表戦のためにチャーター便で快適に移動できるような仕組みを持ち込んだのは誰なのか。それもイスマイル殿下である。」

「殿下の支援により、代表チームは最善の環境が提供され、代表チームはプロの集団によって機能するようになっている。これは全て殿下の功績である。」

「FIFAとの間で生じている全ての混乱の原因はマレーシアサッカー協会であり、イスマイル殿下ではない。私はマレーシア国民に明確なメッセージを送りたい。殿下なしではこの国のサッカーは『終わってしまう』」

雄弁なクラモフスキー監督に対し、フレンドCEOが公に発言したのは、国籍偽装疑惑が明らかになった9月28日以来初めてでした。しかしこの後、衝撃の発言が飛び出します。

フレンドCEOは、7選手の身元を確認してから国籍取得までさせるプロジェクトを主導したのは、トゥンク・イスマイル殿下であることを公表しています。

フレンドCEOはクラモフスキー同様、イスマイル殿下を「先見の明を持つ」と称賛。さらに殿下はこの帰化選手プログラムに関与しているものの、その運用には直接、関わっていない点を強調しています。また殿下はあくまでもプログラムの「方向性」と「モチベーション」を示し、7選手は「殿下のためにプレーしたいと思っている」とも発言しています。


しかしこの会見後、さまざまなメディアで、国籍偽装疑惑についての謎がより深まった、といった調子の記事が出ています。

オンラインメディアのScoopは、イスマイル殿下が1月11日にSNSに投稿した記事を紹介しています。その投稿でイスマイル殿下は「6から7人のヘリテイジ帰化選手の身元を確認した。FAM、(FAMを統括する)マレーシア政府青年スポーツ省、そしてアンワル・イブラヒム首相には書類手続きを迅速に進めるよう促した。」と投稿しています。殿下はフレンドCEOと共に映った写真を添えていますが、これによりイスマイル殿下が直接関わっていないとするフレンドCEOの発言の信憑性が揺らいでいます。

さらにフレンドCEOの発言により、マレーシアサッカーを運営しているのは誰で、説明責任があるのは誰なのかという議論が再燃していると報じ、特に代表チームとイスマイル殿下が摂政を務めているジョホール州のサッカーを取り巻くエコシステムとの境界線が曖昧になっていると指摘しています。

なおイスマイル殿下自身は今回の国籍偽装疑惑について、マレーシアへの制裁を科したFIFAの決定を疑問視する投稿をした以外は沈黙を守っています。

また別のオンラインメディアTwenty Two13は、フレンドCEOが、FIFAによる調査を8月22日には既に把握していたという発言に注目しています。FIFAが処分を公表したのは前述のとおり9月26日なので、問題が公になる1ヶ月以上前の時点でフレンドCEOはこの問題を知っていたことになります。

またTwenty Two13の記事は、フレンドCEOとクラモフスキー監督がイスマイル殿下への賛辞を繰り返せば繰り返すほど、疑問が深まると指摘し、現在はFAMとは無関係のイスマイル殿下がFAMの意思決定にどれほど関わっているのかに疑問を呈しています。(なおイスマイル殿下は2017年3月から5年の任期でFAM会長に就任しましたが、就任から1年後の2018年3月に辞任しています。その際には、就任期間中の代表戦が0勝3分7敗でFIFAランキング166位から178位に下がり批判を受け、その責任を取ると説明していました。)

さらに記事では、国内リーグでプレーするジョホール・ダルル・タクジムFCのオーナーでもあるイスマイル殿下の関与が適切かどうかを問うています。さらにフレンドCEOとクラモフスキー代表監督の両者ともに、殿下がアンワル・イブラヒム首相を説得してマレーシア代表チームへの資金提供を実現させたと明かしましたが、この発言からは、「殿下は他にどのような政府決定にも影響を与えているのか」という新たな疑問が生じているとしています。

さらに両氏はイスマイル殿下を称賛する中で、FAM自身がチームにまともな宿泊施設もチャーター機も提供できていないことまで示唆しています。こうなるとFAMがマレーシア代表チームにこれまで何をしてきたのかという疑問も湧いてくると同時に、代表チームの取り巻き対FAMという対立構造すら浮かんできます。そこには、順調なときは、代表チーム取り巻きの手柄、問題が起きればFAMのせい、といった構図が透けて見えるとTwenty Two13の記事では指摘されています。

またFIFAの規律委員会が「決定の根拠に関する通知」を明らかにしてから3週間もメディア対応を避けていたFAMが、今年1月まで会長を務めていたハミディン・アミン名誉会長、今年8月に健康上の理由からジョハリ・アヨブ会長が在任わずか6ヶ月で辞任したのち、会長代理を名乗るユソフ・マハディ副会長、そして前述のとおり職務停止処分を科されたノー・アズマン事務総長のいずれも不在の中、なぜ突然、会見を開き、まるでS・シヴァスンドラム副会長ひとりにメディア対応の責任を押し付けたように見える点についても、Twenty Two13の記事では非常に不可思議だとしています。


このほか、今回の会見で明らかになった情報のいくつかは、さらに驚く内容でした。

1)国籍偽装疑惑を持たれている7名のヘリテイジ帰化選手のマイカード(MyKad=マレーシア国民身分証)の申請は2025年1月に行われ、およそ4ヶ月という短期間を経て5月には発行された。

2)今回の一件をFIFAに告発した人物について会見で問われたS・シヴァスンドラム副会長は「ベトナムの個人」であると述べましたが、後に記者からそれが事実か推測かを問われると、「ベトナム出身であると“考えられている”」と訂正した。

3)FAMが未だにこの7選手の「血統(ヘリテイジ)」を証明する書類を提示していない理由について質問が出たものの、これに対しては明確な回答はなかった。

4)シヴァスンドラム副会長は「事務手続き上の『軽微なミス』」と発表されている事案を調査するための「独立委員会」設置を明らかにしたが、そのメンバーの名前は明かされなかった。

5)FIFAによる調査開始の通達をFAMが受け取ったのは8月22日で、処分が公表される1か月以上も前のことだったことをマレーシア代表チームのロブ・フレンドCEOは明らかにしているが、なぜその時点でFAMまたはフレンドCEO本人が公に説明を行わなかったのかの説明はなかった。

6)フレンドCEOもシヴァスンドラムFAM副会長も、国籍偽装疑惑を持たれている7選手を最初に特定した代理人や関係者の名前を明らかにしなかった。

7)FAMが任命したスポーツ弁護士セルジュ・ヴィットーズ氏は、「マレーシアには労働ビザで来ているのか、観光ビザなのか」と会見の席で問われると、それには答えず、「助言を行うために来ている」とだけ答えた。


自分でもうまくまとめきれていない文なのはわかっていますが、できるだけ多くの記事に目を通してから書こうと思い、結果として時間がかかってしまいました。また上には書きませんでしたが、個人的に気になるのは1点だけ。国籍偽装疑惑により処分を受けた7選手の誰1人として、自身がマレーシア国籍を取得したことの正当性を主張していないことです。こういった場合、自身に降りかかる火の粉を払うためにも記者会見を開き、自身が清廉潔白であることを世間に訴えるのが通常ではないかと思うのですが、その気配すらないのが不思議でたまりません。12ヶ月の出場停止という自身のサッカー人生に大きな影響を及ぼす処分を受けながらも、そういったことができない理由があるのでしょうか。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ試合結果とハイライト映像<br>・ジョホール、サバ、クチン、スランゴールといずれもアウェイチームが先勝

10月17日から18日にかけて、2025/26マレーシアFAカップの準々決勝1stレグの4試合が行われ、1stレグでは、勝利したのはいずれもアウェイチームというハプニングが起きています。またこの4試合中、日本人選手4名が3試合に出場しています。なお2ndレグは10月28日と29日に予定されています。

試合のハイライト映像はいずれもマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。


ジョホールはペナン相手に辛勝

FAカップ4連覇がかかるジョホールは、1回戦では3部のマレーシア大学相手に3失点を喫するなど「らしくない」試合を経て準々決勝に進出しています。この試合でもリーグ戦では今季1勝のペナンに一度は同点とされるなど、ジョホールにとっては「らしくない」試合展開でしたが、AFCアウォーズに出席したアリフ・アイマンを欠く中、MFアヘル・アケチェのFAカップ初ゴールで逆転して逃げ切っています。

この試合では、今季はケガで出遅れていたマシュー・ディヴィーズが今季初出場を果たしています。昨季はジョホールで29試合、マレーシア代表でも6試合に出場したディヴィーズ選手は、6月のアジア杯予選ベトナム戦を最後に試合出場がなく、8月に開幕した今季リーグ戦でもこれまで出場がありませんでした。しかしこの試合では先発してフル出場するなど完全復活を果たしています。

ペナンFCの鈴木ブルーノ選手は90+3分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月17日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナンFC 1-2 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ペナン:アディブ・ラオプ(36分)
⚽️ジョホール:オスカー・アリバス(6分)、アヘル・アケチェ(55分)
MOM:アヘル・アケチェ(ジョホール・ダルル・タジムFC)


今季未勝利のサバが先勝

過去3シーズン連続3位のサバは、リーグ戦では6試合を終えて3分3敗の12位と絶不調。いずれもマレーシア代表選手のFWダレン・ロック、DFドミニク・タンを筆頭に主力選手がケガによる長期離脱しており苦しいシーズンが続いています。一方のクランタンは昨季は最下位ながら、今季は既に昨季の勝星と同じ2勝を挙げて7位につけ、勢いづいています。

しかしこの試合では代表DFダニエル・ティンが8月以来となる先発に復帰したサバが、この試合のMOMに輝いたGKダミエン・リムの好セーブを連発して僅差の試合に勝利しています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月17日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズFC 1-2 サバFC
⚽️クランタン:アブドゥル・シセイ(18分)
⚽️サバ:ジェフリ・フィルダウス・チュウ(13分)、アイディン・ムヤギッチ(45分)
MOM:ダミエン・リム(サバFC)


スランゴールが今季ホーム無敗のヌグリ・スンビランを撃破

今季のリーグ戦では常安澪選手の2発でスランゴールに逆転勝ちするなど、ホームでは3勝1分と今季無敗のヌグリ・スンビラン。チームの好調は観客動員にも現れており、この試合もほぼ満員の2万5000人を集めています。

これに対し、今季の監督解任リーグ第1号となる喜熨斗勝史監督を9月下旬に解任し、クリストフ・ギャメル氏を暫定監督に据えたスランゴールは、リーグ上位6チームの中では、唯一、既に3敗を記録するなど不安定な戦いが続いています。

そんな両チームの対戦は、10月9日のアジア杯予選ラオス戦では、ピーター・クラモフスキー監督就任以来初となるゴールを挙げ、続く10月14日の同じくアジア杯ラオス戦でも2試合連続ゴールを挙げたファイサル・ハリムがその勢いのまま、この試合でも躍動、2ゴールを挙げる活躍を見せ、スランゴールを勝利に導いています。

ヌグリ・スンビランFCの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。また常安澪選手は60分から出場し、試合終了までプレーしています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月18日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ
ヌグリ・スンビランFC 0-4 スランゴールFC
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム2(34分、63分)、クリゴール・モラエス(46分)、ザック・クラフ(56分)
MOM:ファイサル・ハリム(スランゴールFC)


ロナルド・ンガの2発などでクチン・シティが快勝

リーグ戦3位のトレンガヌと同4位クチン・シティは、この試合が今季初顔合わせ。好調チーム同士の対戦ということもあり、接戦が予想されましたが思いの外大差がついてしまいました。

ホームのトレンガヌは好機は作るもののシュートまで結びつけることができず、逆にクチン・シティは少ないチャンスを生かし、また相手のミスにも乗じて得点を重ねました。クチン・シティは、エースのロナルド・ンガはPKを含む2ゴール、また前所属のスランゴールでは5シーズンで5ゴールのダニアル・アスリが、この日のゴールで今季通算6ゴールと覚醒しています。

クチン・シティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2025/26マレーシアFAカップ準々決勝1stレグ
2025年10月182日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 1-4 クチン・シティFC
⚽️トレンガヌ:ヤン・マベラ(68分PK)
⚽️クチン:ロナルド・ンガ3(9分、13分PK、53分)、ヤン・マベラ(82分OG)
MOM:ロナルド・ンガ(クチン・シティ FC)

10月17日のニュース:<br>・マレーシアサッカー協会が出場停止処分のヘリテイジ帰化選手7名についてFIFAに正式控訴<br>国籍偽装疑惑関連-ネパールがアジア杯マレーシア戦の無効化をFIFAに要請<br>・国籍偽装疑惑関連-かつて東南アジアを揺るがした「東ティモール事件」との類似点<br>・クラモフスキー監督の協会批判発言を巡り処分の可能性が浮上

マレーシアサッカー協会が出場停止処分のヘリテイジ帰化選手7名についてFIFAに正式控訴

マレーシアサッカー協会(FAM)は、7人のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)に関する書類問題について、FIFAに正式な控訴手続きに必要な書類をを提出したことを明らかにしています。

FAMのユソフ・マハディ会長代行によると、FAMの法務部門が提出した書類はFAMが任命したマレーシア国外の弁護士らによる「専門家チーム」によって作成されたということです。

「マレーシア代表チームの運営陣はプロフェッショナルな組織であり、世界的なレベルでサッカーに関する規定に詳しい国際的な弁護士ともつながりを持っている。経験豊富な法律専門家のネットワークが、FAMの控訴手続きを支援してくれている。控訴については慎重かつ丁寧に準備を進めている。拙速に進めたわけでも、圧力の下で行ったわけでもなく、我々は有利な判断を得るために万全を期しています」と述べています。

今回の控訴手続きは、10月6日にFIFAがその処分決定理由を公表した、FAMおよび7人のヘリテイジ帰化選手に対する懲戒処分に関するものです。FIFAの規律委員会は9月26日に、ガブリエル・パルメロ、ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、イマノル・マチュカ、ジョアン・フィゲイレド、ジョン・イラサバル、エクトル・ヘヴェルの7選手に対し、公式文書の偽造および改ざんに関する規定(FIFA規律規定第22条)違反で処分を科したことを発表し、FAMに35万スイスフラン(およそ6600万円)の罰金を、7選手にはそれぞれ2,000スイスフラン(およそ38万円)の罰金と、12か月間に及ぶサッカーに関連するあらゆる活動の禁止処分を命じています。

FAMはこれまで、登録時の書類不備は、FIFAに書類を提出した事務職員による「軽微なミス」によるもので、意図的な改ざんではないと主張しています。


国籍偽装疑惑関連-ネパールがアジア杯マレーシア戦の無効化をFIFAに要請

ネパールサッカー協会(ANFA)は、対戦相手が資格のない選手を起用したとして、今年3月25日に行われたアジア杯2027年大会3次予選でマレーシアに0対2で敗れた試合を無効にするようFIFAに正式に要請したというニュースを、AFP通信社が配信しています。

AFP通信社配信の記事によると、マレーシアのジョホールで行われたこの試合では、国籍偽装疑惑で処分を受けた7名のヘリテイジ帰化選手の一人、MFエクトル・ヘヴェルがマレーシア代表としてプレーし、しかも先制ゴールを決めており、マレーシア代表としての出場資格を持たないへヴェル選手が出場したことをネパールサッカー協会が問題視した結果だということです。

「試合に出場資格のない選手が出場していた件についてFIFAに連絡を取った。したがって、結果は覆される必要がある」と、ネパールサッカー協会のインドラ・マン・トゥラダールCEOと発言しています。

FAMは故意に不正行為をしたことを否定していますが、FIFAはその調査の結果として、7選手誰一人ともその親や祖父母がマレーシア出身でないと発表しています。

ネパールは現在、アジア杯予選F組第4節を終えて勝点0で最下位となっています。


国籍偽装疑惑関連-かつて東南アジアを揺るがした「東ティモール事件」との類似点

マレーシアのヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑問題は、東南アジアサッカー界でかつて起こった、いわゆる「東ティモール事件」との類似が指摘されています。

この「東ティモール事件」の発端は、2015年10月8日に行われたW杯2015年大会アジア2次予選のパレスチナ戦で、かつてはボルトガルの植民地だった東ティモールの先発11人のうち7人が同じポルトガルの植民地だったブラジル出身のヘリテイジ帰化選手(東ティモールにルーツを持つ帰化選手)だったことでした。

この試合後、パレスチナサッカー協会はFIFAに対し、この試合に出場した東ティモールのヘリテイジ帰化選手が代表戦に出場する資格がないとして不服申し立てをおこないました。これを受けたアジアサッカー連盟(AFC)が調査を行った結果、ブラジル出身の12名のヘリテイジ帰化選手が偽造された東ティモールの出生証明書または洗礼証明書で登録されていたことが判明しました。「不正選手の出場に対してはゼロ容認政策を取る」ことを明言していたAFCは、W杯2015年大会予選での不正選手が出場した東ティモールの全29試合の結果を無効にするとともに、アジア杯2023年大会予選からの追放も発表しました。

東ティモールサッカー協会は当初、この処分に反発しましたが、最終的にAFCとFIFAの処分を受け入れ、東ティモールサッカー連盟には2万米ドルの罰金とのアマンディオ・サルメント事務局長(当時)は9000米ドルの罰金と3年間のサッカー活動関与停止処分を受けました。


今回のマレーシアの国籍偽装疑惑については、マレーシアサッカー協会(FAM)も同様の試練に直面しています。ユソフ・マハディFAM会長代行はFIFAへの控訴を行った際には、「FIFAの決定には驚いたが、国内法のもとで帰化が認められた選手であり、控訴で誤解が解かれると信じている」と述べています。なお、東ティモールの例では制裁確定までに2年近くを要した上、その後、長期間に渡り国際大会から遠ざかることになり、信頼回復に数年を要したことを考えると、FAMの控訴の行方が気になります。


クラモフスキー監督の協会批判発言を巡り処分の可能性が浮上

マレーシアサッカー協会(FAM)は、ピーター・クラモフスキー監督の最近の発言が協会への批判と見なされたことを受け、FAMの懲戒委員会に対応を委ねると発表しています。

クラモフスキー監督本人から謝罪を受け入れたと述べたユソフ・マハディFAM会長代行は、「クラモフスキー監督は、もしかしたら、口を滑らせたか、あるいは意図しないミスだったのかも知れない。しかしFAMは明確な規約のもとで運営されており、全員がそれを尊重すべきだ」と強調し、適正な手続きを踏む必要があるとして、懲戒委員会に審議と決定を委ねると述べています。

クラモフスキー監督は10月9日にラオスのヴィエンチャンで行われたアジア杯2027年大会3次予選ラオス対マレーシア戦の試合後、「FIFAで起こっている全ての混乱は事務的なミスが原因であり、それは全てFAMのせいだ」と述べて、今回のヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑の根源をFAMと非難していました。

しかし10月14日のアジア杯3次予選マレーシア対ラオス戦の試合前の会見では、FAMを軽視する意図は全くなかったと述べて、自身の発言で不快感を与えたことを謝罪していました。

ユソフ・マハディFAM会長代行は、「「クラモフスキー監督の発言後、迅速な対応を求める声もあったが、FAMは代表チームの利益を何よりも優先しました。(ラオスとの)試合が控えており、監督や選手たちに不必要な緊張や不快感を与えず、チームの調和を保ち、準備がスムーズに進むようにしたいと考えていた」とも述べて、FAMがクラモフスキー監督の非難に直ちに反応しなかったのは、代表チームの集中を優先したと説明しています。

アジア杯予選2027予選:ラオスに逆転勝ちのマレーシアは連勝記録を4に伸ばす

10月14日にAFCアジア杯2027年大会3次予選F組の第4節が行われています。なお10月9日に行われた前節第3節では、主力選手のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)7名が国籍詐称疑惑でFIFAから12ヶ月間の出場停止処分を受けてから初の試合でしたが、苦しみながらもホームのラオスを3-1で破って予選3試合全勝としています。

マレーシアのピーター・クラモフスキー監督は、前節のラオス戦の先発XIからナズミ・ファイズ(ジョホール・ダルル・タジム)に代えてファイサル・ハリム(スランゴール)を左WGに起用した以外は変化なし。なおファイサル・ハリムはクラモフスキー監督就任以来、初の先発となっています。以下がこの試合の先発XIですが、一緒に写っているファイサル選手は前回のアジア杯本大会の韓国戦では引き分けとなる同点ゴールを決めるなど、代表の主力として活躍していましたが、昨年5月に顔や手足に酸攻撃を受け、皮膚の移植手術を受けて以来の先発復帰となっています。

7名のヘリテイジ帰化選手に対する出場停止処分発表後、初のホーム開催となったこの試合は私も現地観戦しましたが、試合会場となったブキ・ジャリル競技場のあるクアラ・ルンプール市内が豪雨に見舞われたためか客足も悪く、試合開始時点ではスタンドの半分どころか三分の一程度しか埋まっていませんでした。

この試合も5日前の試合同様、開始からマレーシアが優勢に試合を進めますが、ラオスは全員が自陣に戻る守備的な布陣で応じます。ボールを保持しながら、シュートまでには至らないマレーシアは、前の試合でも先発しながら無得点に終わったロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジム)が数少ない好機ではなったシュートがいずれも枠外となるなど嫌な雰囲気となります。所属するジョホールでは今季出場2試合、出場時間37分のモラレスを先発起用しなければならない現在の代表チーム状況は、まさにヘリテイジ帰化選手の出場停止処分の影響が出ています。

そうする内に、チャンターウィサイ・クトーンフォンが放ったミドルシュートが、それをクリアしようとしたDFシャールル・サアドの頭に当たって角度が変わり、意表をつかれる形になったGKシーハン・ハズミが反応できずゴール。ラオスがチャンターウィサイ・クトーンフォンの代表初ゴールでリードします。

まさかの後手に回る形になったマレーシアは26分にはアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジム)のコーナーからラヴェル・コービン=オング(ジョホール・ダルル・タジム)がヘディングシュートを放つもラオスGKコブ・ロックパティフの正面となり、さらに前半終了間際にはモラレスがGKと1対1となるもシュートはまたも枠外に外れ、前半はラオスが1点リードで終了します。

後半に入ってもクラモフスキー監督は動かず、ラオス側ハーフで進むも得点が取れないまま試合が進む中、59分にマレーシアはラオスペナルティエリアのすぐ外でファイサル・ハリムが倒されてフリーキックを得ます。これをファイサル選手自身が直接決めて、ついにマレーシアが追いつきます。そしてその6分後にはペナルティエリア内でアリフ・アイマンとのパス交換からロメル・モラレスが身体を反転させてシュート。モラレスの2024年9月以来となる代表戦8試合ぶりのゴールでついにマレーシアがラオスを逆転します。

さらに70分には、アリフ・アイマンのコーナーキックをディオン・クールズ(セレッソ大阪)が落としたボールを再びモラレス選手が押し込み、さらにリードを広げると、79分にはゴール前に上がったボールをラオスの17歳DFカムナン・タンパスットがクリアしようとしたボールがオウンゴールとなってしまいます。

その後はファイサル選手と交代で出場のパウロ・ジョズエ(クアラ・ルンプール)がゴール前のこぼれ球を押し込んでダメ押しの5点目を決めるなど、この日の試合は終わってみれば大勝、F組で唯一全勝を守ったマレーシアが首位を守っています。


AFCアジア杯3次予選F組第4節
2025年10月14日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラ・ルンプール)
マレーシア 5-1 ラオス
⚽️マレーシア: ファイサル・ハリム(59分)、ロメル・モラレス2(65分、70分)、 カムナン・タンパスット(79分OG)、パウロ・ジョズエPaulo Josue
⚽️ラオス:チャンターウィサイ・クトーンフォン(19分)


なおF組のもう一試合はベトナムのホーチミンで行われ、ベトナムとネパールが対戦しています。悪天候により試合開始が30分ほど遅れて始まった試合は、開始5分にネパールDFスマン・シュレスタのオウンゴールでベトナムがリードすると、結局これが決勝点となり、ベトナムがそのまま逃げ切っています。

なおこの試合はネパールのホームマッチですが、ネパールが試合の開催を予定していたダサラス・スタジアムがAFCの求める国際試合開催開催基準に合わないことから、ベトナムでの開催となっています。

AFCアジア杯3次予選F組第4節
2025年10月14日@トンニャット・スタジアム(ホーチミン、ベトナム)
ネパール 0-1 ベトナム
⚽️ベトナム:スマン・シュレスタ(5分オウンゴール)

F組の次節第5節は11月18日に行われ、マレーシアはネパールとブキ・ジャリル国立競技場で(ただし前述のベトナム戦同様ネパールのホームゲームとして開催)、またベトナムはラオスとのアウェイマッチでそれぞれ対戦します。

アジア杯2027年大会3次予選F組順位(第4節終了)

順位チーム勝点
1マレーシア44001411312
2ベトナム43019549
3ラオス4103314-123
4ネパール400428-60

10月14日のニュース:<br>・クラモフスキー代表監督が自身の発言をマレーシアサッカー協会に謝罪-協会軽視の意図は否定<br>・マハティール元首相-「国籍偽装疑惑は『法を超越する』」権力者によって引き起こされたスキャンダル」

クラモフスキー代表監督が自身の発言をマレーシアサッカー協会に謝罪-協会軽視の意図は否定

国籍偽装疑惑によりFIFAから処分を受けたのはマレーシアサッカー協会(FAM)の落ち度であると、FAMを公の場で批判していたマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督が一転、FAMに謝罪しています。

10月9日に行われたアジア杯2027年3次予選のラオス対マレーシア戦後の会見で、「FIFAとの間で生じている全ての混乱の原因はマレーシアサッカー協会(FAM)であり、イスマイル殿下ではない。私はマレーシア国民に明確なメッセージを送りたい。殿下なしではこの国のサッカーは『終わってしまう』。」と述べるなど、自身の雇用主が誰なのかを忘れた物言いのクラモフスキー監督に対し、その発言があまりにも無礼であるとの指摘がメディアやSNSで上がっていました。

クラモフスキー監督は、本日10月14日に行われるアジア杯2027年3次予選のマレーシア対ラオス戦前の会見の席上で、10月8日の自身の発言についてFAMを非難する意図はなかったと謝罪しています。さらに自身が集中するべきはサッカーであり、代表チームを揺るがしている事務方の混乱ではないとも述べています。

その一方で「実際のところ、FAM自体が事務手続き上のミスがあったこと発表しており、自分はそのことについて触れただけである。」と述べるなど謝罪が本意でないことも仄めかしています。

さらに現在の代表チームはピッチ外の「雑音」を遮断して、10月14日の試合に向けて集中していると述べ、自身の発言によって自分が嫌われても、自分のなすべき仕事を続け、この国のサッカーを少しでも前に進めたいと話しています。


マハティール元首相-「国籍偽装疑惑は『法を超越する』」権力者によって引き起こされたスキャンダル」

国籍偽装疑惑についてはマレーシアの多くの政治家がさまざまな発言をしていますが、元首相のマハティール・モハマド氏は「ヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)の国籍偽装疑惑の裏には『法を超越する』権力者が存在する」という自説を展開しています。

マレーシア語紙シナル・ハリアンのポッドキャスト番組に出演したマハティール元首相は、その根拠が疑わしい状況にもかかわらず7名の選手に国籍が付与された事件には当惑していると述べています。

「(ヘリテイジ帰化選手の祖父母の一人の)本当の出生地はアルゼンチンであるにもかかわらず、(マレーシアの)ペナンと書いた書類を提出したが、それは全くの嘘である。」と述べたマハティール元首相は、それは故意に不正を働いた行為であり、マレーシアには、そういった不正行為などの悪事を働いたとしても、その責任を回避できるほどの権力を持つ人物がいると断言しています。

マハティール元首相は、一部の人物に特定して法が執行されているパターンがあるとして、悪事を働いていないにもかかわらず、捜査対象となる人物がいる一方で、悪事を働いても何も問われない人物もいる。つまりその人物が悪事を働いても、その人物が持つ権力は強大なので決して捕まることはない。(国籍偽装の調査をFIFAに求めたとされる)ベトナムサッカー協会が指摘しているのもおそらくこの点だろう。」

「(FIFAのような)国際的な組織を相手に嘘をつき、文書を偽造するような行為は非常に強い影響力を持つ人物、つまり権力を持つ人物にしかできない。そしてその影響力のせいで、今回のようなことをしても逃げ切れると考えているに違いない。しかし残念ながら、その人物が誰かを特定することはできない。」とも話しています。


「残念ながら、その人物が誰かを特定することはできない」としているマハティール元首相ですが、首相在任時代にはマレーシア国王やスルタンに対する批判を繰り返し、最終的には憲法を改正して国王やスルタンの政治的権利の縮小に成功しています。その際には特にジョホール州のスルタン(現国王スルタン・イブラヒムの父君)とは対立したことが知られていることから、この記事でマハティール元首相が「法を超越している」権力者と読んでいるのは、現在のヘリテイジ帰化選手による代表強化方針の中心的人物でもある「あの方」を指しているに違いないと、多くのマレーシア人は推測しています。

10月13日のニュース:<br>・国籍偽装疑惑問題-この問題に関わった「代理人」の役割とは?<br>・帰化選手ジョーダン・ミンターの代表デビューは14日のラオス戦?<br>・サッカー協会を管轄する青年スポーツ相は自身の過去の投稿に反論

シン・テヨン監督続投だったら結果はどうだったのだろう。

東南アジア勢最後の砦として2026W杯アジア4次予選まで駒を進めていたインドネシアは、初戦のサウジアラビア戦、そして昨日のイラク戦に連敗して敗退が決まりました。

前回の2022年W杯予選では2次予選でマレーシアに2戦2敗、しかもグループ最下位で敗退したインドネシアを指揮していたシン・テヨン監督。しかしかつての宗主国オランダ出身のヘリテイジ帰化選手(インドネシアにルーツを持つ帰化選手)による積極的な代表強化策もあり、その後は東南アジアの強豪に成長し、地域2強のタイやベトナムを脅かす存在になりました。シン監督率いるインドネシアは、2026年W杯3次予選では初戦でサウジアラビア、第2節ではオーストラリア、第3節ではバーレーンといずれも格上相手に引き分けると、中国、日本には敗れたもの、その後はサウジとの再戦で勝利するなど、4次予選進出が見えかけてきたところで、インドネシアサッカー協会のエリック・トヒル会長は「欧州出身のヘリテイジ帰化選手とのコミュニケーションに難あり」との理由から今年1月にシン監督を突如解任し、カリブ海の小国キュラソー代表監督として1年ほどしか経験のないオランダ出身のパトリック・クライファート氏を監督に据えました。

その後クライファート監督は3次予選の残り4試合を2勝2敗で終え、通算成績3勝3分4敗として4次予選へと駒を進めました。しかし4次予選ではサウジアラビアに2−3、イラクにも0−1と破れて予選敗退が決まっています。なおイラクのグラハム・アーノルド監督は、3次予選ではインドネシアが引き分けたオーストラリアの監督で、インドネシアとの引き分け後に6年以上勤めた監督を辞任し、今年5月からはイラクの監督に就任しており、いわばジャカルタの仇をジェッダで取られた形となりました。

それでも東南アジアのどの国も経験していないほどW杯本大会に近づいたインドネシア代表は、現在のヘリテイジ帰化選手による強化策を続けていくのか、クライファート監督の去就はどうなるか、などまだまだ話題を提供してくれそうです。


国籍偽装疑惑問題:この問題に関わった「代理人」の役割とは?

FIFAによって国籍偽装と認定されたマレーシア代表でプレーする7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)についてマレーシアサッカー協会(FAM)は、FIFAに書類を提出する際に職人による「軽微なミス」があったと発表しました。そのミスとは、FAMの職員がFIFAに提出した書類は「代理人」から提供された書類であり、本来提出するべき書類とは別の書類を提出したことだったと説明しています。

英字紙スターがこの「代理人」について深掘りする記事を掲載し、記事の中では、FAMの一件とは無関係のマレーシア国内で「代理人」業務を勤めている人物が匿名を条件にインタビューに答えています。

この人物によると代理人は、帰化の条件を満たす選手を探し出すスカウティングや、その選手とマレーシアサッカー協会をつなげることが主な業務で、代理人自身が帰化に関する書類作成を行ったり、帰化申請を代理人自身で行うといった煩雑な事務仕事は行わないと話しています。

「以前、自分が代理人を務めていた選手が帰化申請を行った際には、選手の代理人である自分ではなく、その選手が所属していたクラブが最初から最後まで手続きを進め、自分が関与する余地はなかった。」

「今回の7選手に関しては、どこかの代理人がまずこの7選手に声をかけた可能性がある。そしてその代理人が選手らとFAMを繋ぎ、その際にこの代理人がFAMに対して何かの書類を提出したか、帰化申請についての協議を始めた可能性がある。しかし、FIFAへの書類提出は代理人ではなく、マレーシアサッカー協会が行なっているはずだ。」

「選手がある国の代表としてプレー際には、選手とその国との「明確なつながり」を示す要件として、1)その国に少なくとも5年の居住歴を有していること2)その国生まれの親もしくは祖父母がいることのいずれかをFIFAは挙げている。なお選手に国籍を与える権利自体は当該国にあり、FIFAが介入するのはその選手がFIFAが規定する代表選手としての要件を満たしているかどうかを審査するときだけだ」とこの代理人は説明しています。


この記事もそうですが、問題になっているのはヘリテイジ帰化選手7名がマレーシア国籍を持っているかどうかではなく、FIFAに提出された書類がこの7選手とマレーシアとの明確なつながりを示すことができなかったということ。そうなるとこの7選手はマレーシア国籍は得たものの、マレーシア代表としてプレーできないことになります。その一方で今回処分を受けたヘリテイジ帰化選手の母国であるアルゼンチンやブラジル、スペインは二重国籍を認めていたり、元の国籍への回復が不可能ではないようなので、用がなくなればマレーシア国籍を放棄してしまうかも知れません。

帰化選手ジョーダン・ミンターの代表デビューは14日のラオス戦?

国籍偽装疑惑により12ヶ月の出場停止処分を受けている7名のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツがある帰化選手)とは別に、今年に入ってマレーシア国籍を取得したのがクチン・シティでプレーするガーナ出身FWジョーダン・ミンターです。

今年8月29日にマレーシア国籍を取得したミンター選手は、2020年からマレーシアリーグでプレーしており、ヘリテイジ帰化選手としてではなく、マレーシアでの5年の居住歴を有することでマレーシア代表としてプレーする資格を得たはずでした。

マレーシア国籍を取得したことで、今月のFIFA国際マッチカレンダーで行われているアジア杯2027年大会予選に向けたマレーシア代表にも召集されているミンター選手ですが、10月9日に行われたラオスとの試合ではベンチ外でした。前述のヘリテイジ帰化選手7名を欠くマレーシアにとっては、国内リーグ51試合で27ゴール4アシストの成績を残しているミンター選手は貴重な戦力ですが、ベンチ外だった理由はマレーシア代表として試合に出場するための書類の手続きが終わっていないことだったことが明らかになっています。

マレーシアのピーター・クラモフスキー監督は詳しい状況は把握していないとしながらも、明日10月14日の試合前までに書類の手続きが終われば、ラオス戦ではベンチ入りだろうと説明しています。


サッカー協会を管轄する青年スポーツ相は自身の過去の投稿に反論

マレーシアサッカー協会(FAM)を管轄するマレーシア政府青年スポーツ省のハンナ・ヨー大臣は、かつて自身が行なった帰化選手に関する投稿の内容を批判する一部の声に対して反論しています。

ヨー青年スポーツ相は、野党議員時代の2022年に英国生まれのリー・タックがマレーシアリーグで5年間プレーしたことを受けてマレーシア国籍を取得した際、マレーシア国内に住む「国籍を持たない子供」による国籍申請がなかなか認められない点を挙げて当時のマレーシア政府を批判。「国籍を持たない子供たちは自分たちの存在に注目されるために全員がサッカーをしなければならないのか」といった皮肉も交えて政府の対応が不公平であり不誠実であるという批判を展開していました。

しかしヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑に対してFAMを擁護するヨー青年スポーツ相に対して、SNS上ではこの3年前の投稿を引き合いに出し、その変遷を非難する声が上がっています。

これに対してヨー青年スポーツ相は、現在のアンワル・イブラヒム首相率いる政府となってからは、投稿を行った当時と状況は全く変わっていると説明しています。現在の政府が発足した2023年以来、現在までにそれまで未対応となっていた5万件近くの国籍申請手続きを処理していると説明、かつての政府がこれほど多くの国籍申請手続きに対応してきたことはないとしています。

さらにアンワル政権下では憲法も改正され、マレーシア国外でマレーシア人の母親に生まれた子どもにはマレーシア国籍が自動的に付与されるようになった(注:憲法改正以前までは父親がマレーシア人の場合のみ、その子どもにマレーシア国籍が自動的に付与されていた)ことも説明したヨー青年スポーツ相は、事実が何かを見極めることが現代のデジタル社会では重要だと述べ、過去の投稿を元に現政権批判を行う一部のネットの声に対し、それを鵜呑みしないようなリテラシーが必要であると、自身のSNSで反論しています。

アジア杯2027予選:ラオスに苦戦も3連勝でグループ首位堅守

10月9日にアジア杯2027年大会3次予選F組第3節が行われ、グループ首位でFIFAランキング123位のマレーシアはアウェイで同185位のラオスと対戦しています。

9月26日にFIFAが発表した国籍偽装疑惑による出場停止処分により主力のヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ選手)7名を欠くマレーシアは、前節のベトナム戦からは大幅なメンバー変更を余儀なくされています。(左は今年6月のベトナム戦の先発XI、右はこの試合の先発XI)11年ぶりに勝利を挙げたベトナム戦の先発XIの内、この日のラオス戦にも先発しているのはGKシーハン・ハズミ、MFアリフ・アイマン、DFラヴェル・コービン=オング(いずれもジョホール・ダルル・タジム)、MFノーア・ライネ(スランゴール)、DFディオン・クールズ(セレッソ大阪)の5名です。

特にベトナム戦で代表デビューし、いきなり先制ゴールを挙げたジョアン・フィゲイレド(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてやはりこの試合が初の代表戦ながら2点目を挙げたロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)のFW2名を欠くこの日の布陣は火力不足となることが予想されました。

ピーター・クラモフスキー監督は、出場停止となっているオルガドに代えてロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジム)を起用、ジョホールではチームメートのアリフ・アイマンとともに2トップとし適用しています。中盤は出場停止となっているフィゲイレドに代わりにMFを一人増やし、出場停止のエクトル・へヴェルに代えてナズミ・ファイズ、アフィク・ファザイル(いずれもジョホール・ダルル・タジム)とライネの3選手が先発し、両SHはベトナム戦と同じコービン=オングとキャプテンのクールズを左右に配置しています。DF陣はこれまた出場停止のファクンド・ガルセス(スペイン1部アウベス)とジョン・イラザバル(ジョホール・ダルル・タジム)、そしてケガで離脱中のマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジム)とベトナム戦の3バック全員が不在のため、シャールル・サアド(ジョホール・ダルル・タジム)、U23キャプテンのウバイドラー・シャムスル(トレンガヌ)、ハリス・ハイカル(スランゴール)の3選手が先発しています。

またこの試合はクラモフスキー監督にとっては今年加入した7名のヘリテイジ帰化選手不在で指揮を取る最初の試合でもありました。そしてこの7名の不在は予想通り攻撃面で明らかに影響が出ており、試合開始からマレーシアが圧倒的なボール保持率を維持しながらも、映像で見るからに劣悪なピッチ状況もあり、ラオスのゴールを破ることができないまま試合が進みます。

11分にはロメル・モラレスとのパス交換からアリフ・アイマンがこの試合初のシュートを放ちますが枠を捉えられません。さらにベトナム戦では全く出番がなかったモラレス自身も16分にヘディングシュートを試みますがやはり枠内に飛ばず、さらにその後も優勢に試合を進めるマレーシアに対して、ラオスはGKコップ・ロクパティップを中心に文字通り身体を張ってゴールを防ぎ、結局、前半は0−0で終了します。

試合が動いたのは後半の54分、そしてこの苦境を救ったのはやはりあの選手でした。ペナルティエリア前でラオスDF数人を得意のドリブルでかわしたアリフ・アイマンが左足を一閃するとそのボールはラオスゴールへ。GKコップ・ロクパティップが伸ばしたて指先を掠めるようにゴールインし、マレーシアに待望の先制点が入ります。

ストリーム配信では何度も映像が中断され、はっきりとは移りませんでしたが、68分にキャプテンのディオン・クールズが2点目を、そしてアディショナルタイムには途中出場のファイサル・ハリム(スランゴール)が3点目を決め、ボール支配率71パーセント対29パーセント、シュート数26本(枠内11本)対4本(枠内2本)と数字的にはラオスを圧倒したマレーシアがこの予選3連勝を飾り、首位を守っています。

AFCアジア杯2027年大会3次予選F組第3節
2025年10月9日@ラオス新国立競技場(ヴィエンチャン、ラオス)
ラオス 0-3 マレーシア
⚽️マレーシア:アリフ・アイマン(54分)、ディオン・クールズ(68分)、ファイサル・ハリム(90+8分)

またF組のもう一試合は、ベトナムがネパールに一度は追いつかれるも、ネパールが前半終了間際に退場者を出すと、後半に2ゴールを挙げて勝利し、マレーシアとの勝点差3のまま追随しています。

AFCアジア杯2027年大会3次予選F組第3節
2025年10月9日@ビンズオン・スタジアム(ビンズオン、ベトナム)
ベトナム 3-1 ネパール
⚽️ベトナム:グエン・ティエン・リン(7分)、ファム・スアン・マイン(67分)、グエン・ヴァン・ヴィ(72分)
⚽️ネパール:サニッシュ・シュレスタ(17分)

アジア杯2027年大会3次予選F組順位(第3節終了)

順位チーム勝点
1マレーシア33009099
2ベトナム32018536
3ラオス310229-73
4ネパール300327-50

試合後の会見では、ピーター・クラモフスキー監督がマレーシアサッカー協会(FAM)を批判しています。FAMは12ヶ月間の出場停止処分を受けている7名のヘリテイジ帰化選手についてFIFAへ出場資格申請を行う際に「軽微なミス」があったことを認めています。

クラモフスキー監督は「ピッチ外が喧騒に包まれている中で、我々自身がコントールできることをコントールできた。(ヘリテイジ帰化選手による代表チーム強化の中心人物であるジョホール州摂政の)トゥンク・イスマイル殿下には多くの否定的な意見が出ているが、それは公平ではなく、根拠がないものだ。殿下は先見の明があるリーダーであり、殿下がいなければ、マレーシアサッカーはとうの昔にだめになっていただろう。」と述べています。

「マレーシアの首相から資金提供を引き出したり、政府からの支援を引き出したの一体誰なのか。イスマイル殿下その人であり、マレーシアサッカー協会ではない。国内サッカーのレベルを上げてきたのは誰なのか、代表戦のためにチャーター便で快適に移動できるような仕組みを持ち込んだのは誰なのか。それもイスマイル殿下である。殿下の支援により、代表チームは最善の環境が提供され、代表チームはプロの集団によって機能するようになっている。これは全て殿下の功績である。」

「FIFAとの間で生じている全ての混乱の原因はマレーシアサッカー協会であり、イスマイル殿下ではない。私はマレーシア国民に明確なメッセージを送りたい。殿下なしではこの国のサッカーは『終わってしまう』。この件についてはこれ以上言うことはない。」

またクラモフスキー監督は、「今日の勝利をマレーシア国民に捧げたい。代表チームのプレーが皆に希望と励みを与え、我々は特別なことを成し遂げるだけの力があることが示したいと思っていた。そしてそれを成し遂げた選手たちを誇りに思う。」とも述べています。


またこの試合で先制ゴールを決めたアリフ・アイマンはこの日の勝利はチーム全員の力を合わせた結果がであることを強調しています。

「今日の試合は決して楽な試合ではなかった。ラオスは果敢に立ち向かってきたので、我々も勝つためには全力を尽くさねばならなかった。プレーシア選手全員に今日の勝利をおめでとうと言いたい。そして出場停止処分を受けた7名のヘリテイジ帰化選手のことも忘れてはいけない。彼らは皆、マレーシア代表選手であり、マレーシア国民だ。我々は彼らのために祈りを捧げる。そして代表チームの最大の支援者であるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下にも感謝したい。」

10月9日のニュース<br>・国籍偽装疑惑の喧騒の中でマレーシアは本日、アジア杯予選ラオス戦<br>・国籍偽装疑惑:FIFAの裁定に対する異議申し立てのハードルは高い-スポーツ専門弁護士<br>・主力不参加のウルグアイ戦主催者が高額チケット払い戻しととチケット価格改定を発表

10月8日から始まったW杯予選アジア4次予選は、3次予選で3位と4位だった6チームが3チームずつ2組に分かれて1回戦総当たり方式で対戦し、各組の1位が2026年W杯に出場します。この4次予選にはアラブ首長国連邦(3次予選A組3位)、カタール(同4位)、イラク(B組3位)、オマーン(同4位)、サウジアラビア(C組3位)、インドネシア(同4位)の6チームが出場します。集中開催方式行われるこの4次予選の開催地については、当初は中立地でもありAFC本部もあるマレーシアが候補に上がりましたが、最終的にAFCがこの4次予選に出場するサウジアラビアとカタールでの開催を発表すると、開催地決定までの経緯の不透明に加え、予選の「中立性」が損なわれるとして残る4チーム全てがAFCに再考を求めました。しかし近年はカタールを中心とした謎の「中東押し」が顕著なAFCはこれを無視、サウジアラビアとカタールにとっては全試合「ホーム」での予選が決定しています。

さらに4次予選B組初戦のインドネシア対サウジアラビア戦の主審として、AFCがクウェートのアフメド・アル=アリ氏を指名したことに今度はインドネシアサッカー協会が「中東の笛」への懸念から猛反発し、東アジアやオーストラリアからの審判への交代をAFCに求めるも再びAFCはこれを無視。ちなみにオマーンが属するA組の3試合は日本、オーストラリア、カザフスタンと中東以外の国が主審を務めることが発表されています。

そんな中で迎えた10月8日のインドネシア対サウジアラビア戦は、東南アジア最後の砦としてボラセパマレーシアJPもインドネシアを応援しながらストリーム配信を観戦しましたが、サウジにレッド1枚、さらに3つのPKとなんとも大荒れの試合となりました。さらにインドネシアが心配した「中東の笛」は、アフメド主審が前後半ともアディショナルタイムを表示の9分以上も取るなど、追いかける立場のインドネシアにとっては有利に機能し、まるで12番目の選手のような振る舞いでした。

結局、インドネシアは先制するも、自力で勝るサウジアラビアに敗れてしまいましたが、終了間際にサウジアラビアを2−3まで追い込んだことで、この4次予選の2位2チームが大陸間プレーオフ出場権をかけて対戦する5次予選にも望みを繋いでいます。


国籍偽装疑惑の喧騒の中でマレーシアは本日、アジア杯予選ラオス戦

マレーシアサッカー協会(FAM)とヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)に関する国籍偽装疑惑がマレーシアサッカー界を揺るがす中、本日はアジア杯2027年大会予選のマレーシア対ラオス戦がラオスの首都ヴィエンチャンにあるラオス新国立競技場で行われます。10月8日にはこの試合に先立って両チームの監督とキャプテンが出席して試合前会見が行われています。

​直近のFIFAランキングではマレーシアが123位、ラオスが189位と一見するとマレーシア有利ですが、試合前会見でマレーシアのピーター・クラモフスキー監督は、ピッチ外の「騒音」に気を取られることなく、最高のパフォーマンスで勝点3を獲得することにチーム全員が集中していると述べています。

FIFAランキングでは大きな差があるラオスを与し易い相手だとは思っていないと述べたクラモフスキー監督は、「自分たちが何もコントロールできないことに煩わされてもしょうがない。ピッチ外で起こっていることについては、このチームとは関係がないので何も気にならない。我々は無事にラオスに着き、全力で試合に臨むために準備してきた。ラオスとの試合以外のことを考えているとしたら、それは自分たちがすべきことをしてないことになる。」と述べ、チームの結束と一人一人が練習に取り組む姿勢によって全員が集中力を維持できている説明しています。

なおマレーシアは9月26日にFIFAが国籍偽装が疑われるヘリテイジ帰化選手に12ヶ月の出場停止処分を科しており、歴史的なベトナム戦勝利に貢献したFWジョアン・フィゲイレド、MFエクトル・へヴェル、DFジョン・イラザバル(いずれもジョホール・ダルル・タジム)、FWロドリゴ・オルガド(コロンビア1部アメリカ・デ・カリ)、FWイマノル・マチュカ(アルゼンチン1部ベレス・サルスフィエルド)、DFファクンド・ガルセス(スペイン1部アラべス)、DFガブリエル・パルメロ(スペイン3部ウニオニスタス・デ・サラマンカ)の7選手は今回は代表に招集されていません。

ちなみにマレーシアとラオスの通算対戦成績は、マレーシアの13勝5分1敗で、マレーシアが最後にラオスに敗れたのは2015年10月と、過去の対戦ではマレーシアに圧倒的有利な結果ですが、クラモフスキー監督はラオスに対して敬意は払いつつも、自身も含めてこの試合に向けては準備万端と語り、試合のあらゆる局面で強いサッカーを見せ、クリーンシートでの勝利を宣言しています。

一方、ラオスの韓国人指揮官ハ・ヒョクジュン監督は、7名のヘリテイジ帰化選手の欠場により自チームが大いに有利になるとは考えていないと語り、前節のネパール戦での2-1の勝利に続く勝点3を取りに行きたいと話しています。


国籍偽装疑惑:FIFAの裁定に対する異議申し立てのハードルは高い-スポーツ専門弁護士

FIFAは9月26日に国籍偽装が疑われる7名のヘリテイジ帰化選手とマレーシアサッカー協会(FAM)に対して、FAMには罰金、また7選手には罰金に加えて12ヶ月の出場停止という厳罰処分を下し、10月6日にはその裁定の根拠となる調査内容を公表しています。これに対してFAMは書類提出の際に「軽微なミス」があったことを認める一方で、FIFAが公表した調査内容には不正確な内容が含まれるとして、処分に対する異議申し立てを行うことを表明しています。

これに対してスポーツ専門の弁護士のニック・エルマン・ニック・ロスリ氏は英字紙ニューストレイツタイムズの取材に対し、以下のように述べています。

「FIFAの制裁に対する異議申し立てにおいては、FAMはその厳格な責任と、ヘリテイジ帰化選手の資格確認の義務を果たしたかどうかが争点となるため、非常に厳しい状況にあると分析できる。その上で、異議申し立てでは、FIFAの規定の理解不足や「軽微なミス」といった言わば「言い訳」的なものではなく、FIFAの調査内容の誤りや、デューデリジェンス(相当の注意義務)を尽くしたことを証明する必要がある。」

エルマン氏は、FIFAによる制裁はFAMが追うべき厳格な責任の原則と、自国代表選手の資格を確認するFAMの独立した義務に基づいていることから、マレーシア政府下の国民登録局の交付した書類を根拠とするFAMの異議申し立てが受け入れられる余地はほとんどないと説明しています。

さらにエルマン氏は、FAMまたは7名のヘリテイジ帰化選手が書類の偽造を知っていたかどうかは法的に無関係であり、「知らなかった」あるいは「その意図がなかった」という異議申し立ては無効になるとも述べ、7名のヘリテイジ帰化選手がマレーシア代表としてプレーする資格を有することを確認するのは、FAMの独立した義務でり、その責任を(出生届を再交付した)国家登録局に転嫁することはできない。」

エルマン氏はまた、ヘリテイジ帰化選手は既に合法的なマレーシア国民であるため、違反は「軽微なミス」であるというFAMの説明についてはこれを否定し、問題は「合法的なマレーシア国民である」という資格を証明するために使用された手段にあるとも述べています。

「これは、7名のヘリテイジ帰化選手が国内法上マレーシア人であるかどうかの問題ではない。FIFAは国民登録局が国籍を付与したことを問題視しているのではなく、『FIFAの規定に基づき』7選手がマレーシア代表としてプレーする資格があるかどうかを問題視している。」

「このため、選手たちが他の正当な手段でマレーシアにルーツがあることであることを証明できたとしても、FIFAの決定は当初提出された捏造された書類に基づいているため、裁定処分はおそらく有効になるだろう。」

しかもFIFAは、出生届の原本を「支障なく」入手できたと述べており、FAMの検証プロセスに大きな疑問が生じています。この点についてエルマン氏は、なぜFIFAは原本を入手できたのに、(原本が入手できないとして出生届を「再交付」した)国民登録局は入手できなかったのかには疑問が残るとした上で、FAMはどのような手順を踏み、どのような独立した調査を行い、そして書類が選手たちに直接要求されたのかどうかを示す必要があるとし、「努力したが入手できなかった」という説明では不十分であると述べた。

このようにさまざまな点からも異議申し立てを行うのは困難であるものの、これは国益に関わる問題なので、控訴すべきであると述べたエルマン氏は、FAMが、事務的な誤りに関する一般的な陳述ではなく、FIFAの調査結果について詳細かつ信憑性のある弁明を提示しなければならないだろうとも述べています。


主力不参加のウルグアイ戦主催者が高額チケット払い戻しととチケット価格改定を発表

明日10月10日と10月13日にマレーシアで開催されるウルグアイ・スター・グローバル・フレンドリーマッチは、MFフェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリード)、DFロナルド・アラウホ(バルセロナ)、MFマヌエル・ウガルテ(マンチェスター・ユナイテッド)を含む複数のスター選手の欠場を受け、主催者がチケットの払い戻しと、新たに割引価格によるチケット販売が発表されています。なおこれらの試合は、FIFAによって国際Aマッチとして公式認定されています。

主催者は10月7日に発表した声明で、バルベルデ、、アラウホ、ウガルテの3選手は10月10日のドミニカ共和国戦(ブキット・ジャリル国立競技場)と10月13日のウズベキスタン戦(マラッカ、ハン・ジェバ・スタジアム)に出場しないことが明らかになったとしています。

さらにGKセルヒオ・ロシェ(インテルナシオナル)、DFホセマ・ヒメネス(アトレティコ・マドリード)、FWダルウィン・ヌニェス(アル・ヒラル)、MFジョージアン・デ・アラスカエタ、DFギジェルモ・バレラ(いずれもフラメンゴ)らの主力選手もマレーシアでの試合には出場しないということです。

主催者のコヒージョン・プリマ社は、「予期せぬ事態により数名の選手が欠場となるが、両試合はFIFAの国際Aマッチとして認められており、トップレベルの競技とスポーツとしての価値を保証する。」と述べています。

その上で「ファンの支援は、常に我々のイベントの原動力となっている」として、「善意と感謝の気持ちとして」チケット価格を引き下げると発表しています。

またこの発表以前にチケットを購入したファンの希望者全員に全額払い戻しを約束すると同時に、価格を調整した新しいチケットを用意するとしています。

ちなみにチケット価格は以下のようになっています。
左側がウルグアイ対ドミニカ戦で、25リンギから299リンギまでとなっています。参考までに右側は来週、同じブキ・ジャリル国立競技場で行われるアジア杯2027年大会予選のラオス戦のチケット価格で、40リンギから70リンギとなっています。(1リンギはおよそ35円。)


個人的にはドミニカ共和国戦よりも、再びアジアに戻ってきたファビオ・カンナバーロ新監督の就任が発表されたウズベキスタン戦が見たかった。しかし初のW杯出場を決めたチームの試合は筆者の住むクアラルンプールから150キロ以上離れたマラッカで行われ、それも月曜日の夜ということで断念しました。