ジョホールは来月のスペインキャンプでラ・リーガのクラブと対戦
今季2025/26シーズンの開幕が8月8日と発表されたマレーシア1部スーパーリーグ。そのスーパーリーグで11連覇中と言う圧倒的な強さを誇るジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、7月3日から22日までプレシーズンキャンプをスペインで行うことを発表していますが、そのキャンプ中に、2024/25シーズンのスペイン2部チャンピオンのレバンテUDと対戦することが発表されています。
今月就任したばかりのスペイン出身のシスコ・ムニョス新監督の元、12連覇とACLエリートでの上位進出を目指すJDTは、2シーズン連続となるスペインでのプレシーズンキャンプを実施することを発表しています。ワトフォードや元シェフィールド・ウエンズデイといった英国のクラブで監督経験があるムニョス監督は、母国スペインでもSDウエスカ(今季スペイン2部8位)で2021/22シーズンに監督を務めたこともあり、また現役時代の大半をスペインで過ごし、レバンテUDでもプレーした経験があることからこの試合が実現したのかもしれません。
JDTのクラブ公式SNSでは、この後もさらにスペインキャンプ中の他の練習試合の対戦カードが発表される予定としており、来季スペイン1部に昇格するレバンテUD以上のビッグクラブとの対戦も期待されます。
スランゴールFCにタイ代表MFが加入
昨季2024/25シーズンは2位のスランゴールFCは、タイ代表MFピチャ・アウトラの加入をクラブ公式SNSで発表しています。29歳のピチャ選手は、退団したシンガポール代表CBのサフワン・バハルディンに代わる東南アジア枠での加入となります。
昨季のACL2でスランゴールFCはタイ1部のムアントン・ユナイテッドと対戦しましたが、ピチャ選手は両試合ともにキャプテンとして先発しており、ホームアンドアウェイで1分1敗となりノックアウトステージ進出を逃したスランゴールFCにとっては好印象を残した選手だったのかも知れません。キャプテンシーもあるようなので昨季のサフアン選手に続き、外国籍選手のキャプテン誕生となる可能性もありそうです。
昨季最下位のクランタンDN FCが未払い給料の支払いを開始
昨季2024/25シーズンはスーパーリーグ最下位の13位に終わったクランタン・ダルル・ナイムFC(クランタンDN FC)は、未払いとなっている昨季の給料の一部支払いを始めたことを発表しています。2025年2月から4月分に該当する支払いは、未払い給料全体の10〜20%に相当すると言うことです。
クランタンDN FCのイルワン・リザルCEOは、未払い給料の支払い方法についてはクラブと選手間の協議 の結果、同意に至ったと説明し、今季2025/26シーズンが開幕する8月までには、未払い給料を完済したいとも述べています。
またイルワン・リザルCEOは今季に向けてクラブは600万リンギ(およそ2億600万円)を監督・コーチや選手などの人件費に用意していると述べています。
昨季2024/25シーズンの未払い給料がありながら、クランタンDN FCに今季のクラブライセンスを交付した独立機関の第一審機関(FIB)の対応には疑問の声も上がっています。今季に向けた予算が用意できるのであれば、まずは未払い給料を完済するのが先決ではないかと思うのですが、マレーシアサッカーの常識では、クラブライセンス交付には問題がないようです。
スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の規約では、クラブライセンス交付を求めるクラブは、ライセンス申請の時点でクラブ(雇用者)が選手やスタッフ(被雇用者)に対して給料、所得税、社会保障費用などにおいて雇用者が被雇用者への未払いがないこと、あるいは未払いに対する支払い方法に同意が得られていることを条件の一つに挙げています。
ただしこの条件は2024年12月末日の時点を基準にしており、クラブライセンスを交付するFIBは、マレーシアプロサッカー選手会(PFAM)を通じて、2024年12月末日の時点で未払い給料がないことを確認していたと説明しています。その一方で、今季のスーパーリーグは秋春制移行に伴い、シーズンが2024年5月から2025年5月までの2年にまたがる形となっており、11月にシーズンが終了したいた昨季までとは状況が異なっています。つまり昨季までは12月31日の時点で未払い給料が無ければ、クラブの財務状況は「シロ」でしたが、今季は12月31日はまだシーズン途中であり、2025年1月以降に未払い給料があっても、クラブライセンス申請には何の問題もないと言う「抜け穴」があったわけです。
クランタンDN FCは前U23代表監督を新監督に指名
タンスリ・アヌアル・ムサは今でもクランタンで影響力があることに驚き
昨季の最下位からのチーム立て直しを目指すクランタン・ダルル・ナイムFC(クランタンDN FC)の今季監督に元マレーシアU23代表監督のE・エラヴァラサン氏が就任することになりそうです。
元クランタン州サッカー協会会長のアヌアル・ムサ氏が自身のSNSに投稿し、エラヴァラサン氏と、かつてサラワクFA(既に解散)やサバFC(現在のサバFC)でプレーしたボスニア出身のムアマー・サリバシッチ氏(今年5月まで前ボスニア2部HNKトミスラヴ・トミスラヴグラード監督)の両氏が、来季のクランタンDN FCの指揮を取ることになると投稿しています。
エラヴァラサン氏はU23代表監督を務めた後、2023年からはマレーシア代表のコーチに就任し、キム・パンゴン監督(現韓国1部蔚山HD FC監督)のもとで唯一のマレーシア人コーチを務め、2024年7月にキム監督が蔚山HD FC監督就任のために契約解除となった後、代表チームから離れています。
今回の投稿でアヌアル氏は「2025/26シーズンにスーパーリーグでプレーするクランタン州の唯一のクラブに、エラヴァラサン、サリバシッチ両氏を迎え入れることができることは喜ばしい。」と投稿し、さらにクランタン州のサッカーは本気で栄光を取り戻すつもりであるとし、その観点から見ると現在のクラブは明らかに人材不足であり、マレーシア人選手だけでは如何ともし難いとして、東南アジアを含めたアジアやアフリカの代表クラスの選手数名を契約する予定でもあるとも述べています。
今回のニュースの中心にいるアヌアル氏は国内有数の政治家としても知られ、2009年から2016年までクランタン州サッカー協会の会長を務め、クランタン州サッカー協会が運営するプロクラブのクランタンFAを強豪に育てた人物として知られています。それまではリーグ3位が最高位だったクランタンFAは、アヌアル氏在任の7年間には2012年の国内三冠(リーグ戦、FAカップ、マレーシアカップ)を含むリーグ優勝2回、FAカップ優勝2回、マレーシアカップ優勝2回という成績を残しており、アヌアル氏はクランタン州サッカーの黄金期を知る人物でもあります。
しかし、その一方で2015年からのクランタン州サッカー協会がクランタンFAの選手の給料未払い分など多額の負債を抱えていることが明らかになると2016年には会長職を突如辞任し、いわゆる「泥舟から逃げた」と批判された人物でもあり、またクランタンFAの資金を自身が会長を務めるマレーシア政府の地方地域開発省の下部組織である国民信頼評議会MARAから私的に流用したとして、マレーシア汚職防止委員会の取り調べを受けたこともある人物でもあります。
オン元マレーシア代表監督は今季はプルシク・クディリを指揮
昨季2024/25シーズン途中にサバFCを退団し、降格圏にいたインドネシア1部のプルシス・ソロの監督に就任したオン・キムスウィー氏は、クラブ経営陣が求めていた降格回避を達成しました。今季2025/26シーズンも続けて指揮をとりたいという希望を表明していたオン氏ですが、シーズン終了後も複数の候補者の1人という位置付けてプルシスとの交渉は進んでおらず、他のクラブでの指揮も視野に入れているという報道が出ていました。そんなオン氏が同じインドネシア1部のプルシク・クディリの監督に就任したことをクラブ公式SNSが伝えています。オン監督は、昨季は9勝9分16敗の14位で終えたプルシスから10勝11分13敗の12位だったプルシクへ移ることになります。
昨季のプルシクはブラジル出身のマルセロ・ホスピージ監督でスタートしましたが、第27節を終えて12位と徐々に順位を下げていたことから、ポルトガル出身のディバウド・アウベス監督に交代しました。2022/23シーズンにプルシクの監督を務めたこともあるアウベス監督でしたが、シーズン終了までの残り7試合を1勝3分3敗の成績で順位を12位で維持し、何とか残留を果たしています。しかしクラブはアウベス監督との契約を終えて新監督を探しているところでした。
プルシクは、スペインの2部や3部でのプレー経験があり、昨季に現役を引退したばかりのアーサー・イルワン氏がオーナーを務めるクラブで、2019年にインドネシア2部リーグで優勝し、1部昇格を果たしています。2020/21シーズンはコロナ禍で1部リーグが中止になりましたが、翌2021/22シーズンからは11位、11位、9位、12位という成績を残しています。


