11月10に行われたペラFC対ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の試合中、接触プレーからあわや乱闘となりかけたペラのトミー・マワトとJDTのアリフ・アイマン。お互いに掴みかかるなど、両選手ともに1発レッドで退場かという場面でしたが、結局はそれぞれにイエローカードが出されて終わりました。しかし試合後に両チームサポーターやメディアなどからは、ラズラン・ジョフリ主審、そして今季からマレーシアリーグに導入されたVARとしてこの試合を担当したアフマド・ズハディ審判に批判の声が上がりました。
これに対してはマレーシアサッカー協会(FAM)審判委員会の委員長でもあるS・シヴァスンダラムFAM副会長が「追加の処分や更なる措置が取られる可能性がある」と批判の火消しを図るコメントを出していましたが、結局、ラズラン・ジョフリ主審とアフマド・ズハディVAR審判に対して、FAMは2試合の「休養」処分を科すことを発表しています。
JDT以外のサポーターからは、国内リーグでの審判の判定はJDTに有利であるという主張はこれまで何度も繰り返されており、今回も先に手を出したアリフ・アイマンには口頭注意となる一方で、トミー・マワトには出場停止と罰金処分となるだろうと揶揄するSNS投稿が多くみられます。またマレーシアの先住民族でもあるマワト選手に対しては、人種差別的な内容のSNSが投稿されたことも報じられており、JDTサポーター対残る12クラブのサポーターという図式が明らかになった格好になりました。
マレーシアスーパーリーグの審判がJDTに「甘い」ことは、特定クラブのサポーター以外のサッカーファンも感じていることであり、時間がある時にこれについても詳しく取り上げる予定です。
3選手の代表デビュー以外にラオス戦勝利で得たものはなし
11月のFIFA国際マッチカレンダーでマレーシア代表の初戦となったラオス代表戦が一昨日11月14日にタイのバンコクで行われました。ラオス代表は11月17日にタイ代表と対戦予定であることから、ラオス代表の主催試合という形でおこなわました。
下はこの試合の先発XI。これまで代表に呼ばれてはいたものの出場機会がなかったMFザフリ・ヤーヤ(KLシティFC)が待望の代表デビューを飾っています。またFWシャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)の先発は2022年9月26日のキングズカップ(タイ)のタジキスタン代表戦以来となりました。

試合前から降る雨でピッチには水溜りができている状態で強行されたこの試合は、開始から何度か得点のチャンスを作っていたマレーシアが先制します。6分に左コーナーキックからDFハリス・ハイカル(スランゴールFC)が頭で合わせてゴール!代表戦出場2戦目となる22歳が代表初ゴールを決めて、マレーシアがリードを奪います。その後も追加点のチャンスは得るものの、ゴールには至らないマレーシアに対しラオスが同点に追いつきます。33分に自陣に蹴り込まれたロングボールに対してクリアに行ったDFマシュー・デイヴィーズ(JDT)が足を滑らせたところに走り込んできたキダボン・スワニー (ラオス1部ヤングエレファントFC)に奪われると、そのまま落ち着いてゴールを決められ、前半は1−1で折り返します。
後半に入り、ピッチの状況が徐々に改善すると、マレーシアが優勢となり、ラオスのペナルティエリア内までボールが持ち込まれるようになります。64分には途中交代のMFスチュアート・ウィルキン(サバFC)が、83分にはMFエセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)がいずれもペナルティエリア内で倒されて得たPKを決めたマレーシアが3−1でラオスを振り切って勝利しています。
対ラオス戦8連勝となったマレーシアは、11月18日にインドのハイデラバードで行われるインド代表戦に向けてインドへ移動します。
2024年11月14日@PATスタジアム(タイ、バンコク)
ラオス 1-3 マレーシア
⚽️マレーシア:ハリス・ハイカル(8分)、スチュアート・ウィルキン(64分)、エセキエル・アグエロ(83分)
⚽️ラオス:キダボン・スワニー (33分)
リーグが12月以降の日程発表:三菱電機カップ開催中もリーグ戦継続
国内リーグのマレーシアスーパーリーグ(MSL)とカップ戦のマレーシアカップを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は第16節以降の日程を発表しています。これによると、MSLとマレーシアカップの試合は、来月12月8日に開幕する東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」開幕後も継続して行われることが明らかになっています。
東南アジアチャンピオンを決める域内最大の大会の横で国内リーグが進行する試合日程には疑問しかありませんが、MFLによると、各クラブの選手との契約が来年4月末までとなっており、国内試合日程がこの4月末までに全て終了するためにはやむを得ない措置であると説明しています。
またMFLは、マレーシアサッカー協会(FAM)とも協議を行い、マレーシア代表の三菱電機カップに向けた準備の妨げにならないよう配慮した結果であるとも説明しています。また今季はFIFA国際マッチカレンダーの他にも、ACLエリート、ACL2、アセアン(東南アジア)クラブカップ「ショッピーカップ」などの日程も考慮せざるを得ない中での試合日程作成となっているとも述べています。
また年末にかけては複数のスタジアムで改修工事が行われることも決まっており、PDRM FCのホーム、MPSスタジアムは11月から12月まで、クランタン・ダルル・ナイムFCのホーム、スルタン・ムハマド4世スタジアムは9月から12月まで、ペラFCのホーム、ペラ・スタジアムは11月から来年5月まで、そしてサバFCが使用するリカス・スタジアムは11月から12月と使用できない期間があることも今回の日程作成に影響を及ぼしたとしています。
以下は12月1日から3週間の試合日程です。三菱電機カップのグループステージ初戦のカンボジア戦と同時期に行われるMSL第16節は、ACLエリート出場中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とACL2に出場中のスランゴールFCに配慮し、12月8日にはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)対KLシティFC、翌9日にはヌグリスンビランFC対スランゴールFCが行われます。この4チームの選手はカンボジア戦出場は不可能だと考えられますが、ちなみに一昨日のラオス戦に先発した11名の内、この4チームに所属している選手はJDT3名、KLシティ2名、スランゴール2名の計7名もいます。
またグループステージ最大のライバルであるタイとの試合の前後にはマレーシアカップ準々決勝1stレグが組まれています。1回戦で3部セミプロA1リーグのKLローヴァーズと対戦するJDTは当然ベスト8に進出するでしょうし、同じ3部のPTアスレティックFCやマラッカFCと対戦するサバFCやトレンガヌFCも準々決勝に駒を進めることが予想されます。となればラオス戦のメンバー26名中、サバFC所属の3名、トレンガヌFC所属の5名も代表に招集されない可能性があります。この結果JDTやスランゴールの選手も含めると、ラオス戦に招集された全26名中、18名について所属クラブが国内戦を理由に代表への招集を拒む事態も考えられます。
そうでなくともFIFAデイズ外での開催となる三菱電機カップは、これまでもJDTのオーナーで現在はジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下が自チームの選手の招集を拒否したこともあり、せめてこの大会期間中はタイのようにリーグ中断という決断を下してもよかったように思います。前述したようにMFLは日程消化に不安を抱えていることを理由としていますが、その一方で5月10日に開幕した今季のMSLは、5月に3節、6月に1節、7月に3節、8月に2節、9月に3節、10月に2節、そして11月はここまで1節とスカスカな日程で進んできています。11月から1月にかけてモンスーンシーズンを迎えることなども考えると6月には1節のみ、8月も2節のみの開催というのは明らかに計画不足な印象です。
12月 | 三菱電機カップ | マレーシアカップ | リーグ戦 | ACLE | ACL2 |
1日 | 1回戦2ndレグ | ||||
2日 | |||||
3日 | ブリーラムU | ||||
4日 | 第16節 | ||||
5日 | セブFC | ||||
6日 | |||||
7日 | |||||
8日 | カンボジア(A) | *第16節 | |||
9日 | *第16節 | ||||
10日 | |||||
11日 | 東ティモール(H) | ||||
12日 | 準々決勝1stレグ | ||||
13日 | 準々決勝1stレグ | ||||
14日 | タイ(A) | ||||
15日 | 準々決勝1stレグ | ||||
16日 | |||||
17日 | 第17節 | ||||
18日 | 第17節 | ||||
19日 | |||||
20日 | シンガポール(H) | ||||
21日 | 準々決勝2ndレグ |
この日程が発表されたのはラオス戦の前でしたが、ここで気になるのがパウ・マルティ監督代行の考えです。監督代行として三菱電機カップまでチームの指揮を取ることは決まっていますが、それ以降についてはFAMは、三菱電機カップまでのチーム状況を見て判断する方針を明らかにしており、もしマルティ氏が正式監督就任を望むのであれば、この三菱電機カップでグループステージ2位以上となり準決勝進出が最低ラインになることが予想されます。しかしラオス戦の先発XIは三菱電機カップでは、前述した通り大会には招集できなそうな選手を中心に起用しています。
リーグの考えも監督代行の考えも全く不明ですが、そもそも三菱電機カップ自体に勝つことに意義を見出していないのだとしたら、全て腑に落ちます。さらに今月のFIFAデイズは、来年から始まる2027年アジアカップ予選につながるような選手としてファーガス・ティエニー(タイ2部チョンブリーFC)やファズルル・アミル(クランタン・ダルル・ナイムFC)といった新顔を今回招集したことの筋は通りそうです。